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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151116
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20241017BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064257
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和也
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA04
5E322DB06
5E322EA10
5E322FA01
5F136BA06
5F136DA50
5F136FA01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA22
5F136FA51
5F136GA12
(57)【要約】
【課題】熱交換器において、対象物との熱交換効率を向上させやすくするための技術を提供する。
【解決手段】熱交換器は、第1板部材と、第2板部材と、熱交換部材と、を備える。第1板部材は、板状の部材である。第2板部材は、第1板部材に対面するように配置され、第1板部材との間に熱交換媒体が通過する流路を形成する板状の部材である。熱交換部材は、熱交換媒体が通過可能な空隙が形成された部材であって、第1板部材及び第2板部材に当接するように流路内に配置された部材である。また、熱交換部材は、当該熱交換部材において周囲の部分よりも密度が高い部分である少なくとも1つの密部を有する。少なくとも1つの密部における厚さ方向に沿った寸法は、熱交換部材における厚さ方向に沿った寸法よりも小さい。厚さ方向は、第1板部材から第2板部材へ向かう方向である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の部材である第1板部材と、
前記第1板部材に対面するように配置され、前記第1板部材との間に熱交換媒体が通過する流路を形成する板状の部材である第2板部材と、
前記熱交換媒体が通過可能な空隙が形成された部材であって、前記第1板部材及び前記第2板部材に当接するように前記流路内に配置された部材である熱交換部材と、
を備え、
前記熱交換部材は、当該熱交換部材において周囲の部分よりも密度が高い部分である少なくとも1つの密部を有し、
前記少なくとも1つの密部における、前記第1板部材から前記第2板部材へ向かう方向である厚さ方向に沿った寸法は、前記熱交換部材における、前記厚さ方向に沿った寸法よりも小さい、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記少なくとも1つの密部には、前記第1板部材に当接するように構成された第1密部と、前記第2板部材に当接するように構成された第2密部と、の少なくとも一方が含まれる、熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器であって、
前記少なくとも1つの密部には、前記第1密部と、前記第2密部と、の双方が含まれる、熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器であって、
前記第1密部及び前記第2密部は、前記厚さ方向から視て互いに重ならないように配置されている、熱交換器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の熱交換器であって、
前記熱交換部材は、繊維状の材料により構成されている、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電気機器等の対象物を冷却するための熱交換器が記載されている。特許文献1に記載の熱交換器は、内部に冷媒が導入される収容体と、収容体内に配置された金属繊維シートと、を備える。金属繊維シートには、冷媒が通過可能な空隙が形成されている。特許文献1に記載の熱交換器は、収容体に当接した対象物との熱交換により、当該対象物を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6639567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の熱交換器では、金属シート内において冷媒の流れが偏り、十分な熱交換効率を達成することが難しい場合があることが判明した。なお、このような問題は、対象物を冷却するための熱交換器だけでなく、対象物を加熱するための熱交換器においても同様に生じ得る。
【0005】
本開示の一局面は、熱交換器において、対象物との熱交換効率を向上させやすくするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、熱交換器であって、第1板部材と、第2板部材と、熱交換部材と、を備える。第1板部材は、板状の部材である。第2板部材は、第1板部材に対面するように配置され、第1板部材との間に熱交換媒体が通過する流路を形成する板状の部材である。熱交換部材は、熱交換媒体が通過可能な空隙が形成された部材であって、第1板部材及び第2板部材に当接するように流路内に配置された部材である。また、熱交換部材は、当該熱交換部材において周囲の部分よりも密度が高い部分である少なくとも1つの密部を有する。少なくとも1つの密部における厚さ方向に沿った寸法は、熱交換部材における厚さ方向に沿った寸法よりも小さい。厚さ方向は、第1板部材から第2板部材へ向かう方向である。
【0007】
このような構成によれば、熱交換部材において熱交換媒体の流れが偏ることを抑制することができる。したがって、対象物との熱交換効率を向上させやすくすることができる。
【0008】
本開示の一態様では、少なくとも1つの密部には、第1密部と、第2密部と、の少なくとも一方が含まれてもよい。第1密部は、第1板部材に当接するように構成されている。第2密部は、第2板部材に当接するように構成されている。
【0009】
本開示の一態様では、少なくとも1つの密部には、第1密部と、第2密部と、の双方が含まれてもよい。このような構成によれば、熱交換部材において熱交換媒体の流れが偏ることを一層抑制することができる。したがって、対象物との熱交換効率を一層向上させやすくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、第1密部及び第2密部は、厚さ方向から視て互いに重ならないように配置されていてもよい。このような構成によれば、第1密部及び第2密部が厚さ方向から視て互いに重なるように配置される構成と比較して、第1密部及び第2密部により熱交換媒体が流れにくくなることを抑制することができる。
【0011】
本開示の一態様では、熱交換部材は、繊維状の材料により構成されていてもよい。このような構成によれば、第1板部材又は第2板部材が変形した場合における熱交換部材の追従性を高めることができる。このため、対象物との熱交換効率を一層向上させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る熱交換器の模式的な平面図である。
図2図1のII矢視による部分断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5図1のV-V断面図である。
図6】押圧工程を示す模式的な断面図である。
図7】充填工程を示す模式的な断面図である。
図8図8Aは、積層工程を示す模式的な断面図である。図8Bは、積層工程における図8Aの次の状態を示す模式的な断面図である。
図9】第2実施形態に係る熱交換器の模式的な平面図である。
図10図9のX-X断面図である。
図11図9のXI-XI断面図である。
図12】第3実施形態に係る熱交換器の模式的な平面図である。
図13図12のXIII-XIII断面図である。
図14図12のXIV-XIV断面図である。
図15】第4実施形態に係る熱交換器の模式的な平面図である。
図16図15のXVI-XVI断面図である。
図17】密部の変形例を示す模式的な斜視図である。
図18】充填部材の変形例を示す模式的な断面図である。
図19】充填部材の図18とは異なる変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では上中下の語を用いるが、あくまで説明の便宜上の表現であって、本開示の実施の態様について何ら限定するものではない。
【0014】
[1.第1実施形態]
[1-1.熱交換器の構成]
図1及び図2に示す熱交換器1Aは、当接する冷却対象物9を冷却する冷却器である。例えば、熱交換器1Aは、自動車等の車両に搭載される。冷却対象物9の一例としては、車載電池が挙げられる。例えば、複数の熱交換器1Aと複数の冷却対象物9とが交互に積層されることにより、各々の冷却対象物9を両面から冷却する積層型冷却器が構成されてもよい。
【0015】
熱交換器1Aは、第1板部材10と、第2板部材20と、熱交換部材30Aと、入口部40と、出口部50と、を備える。なお、熱交換部材30Aは熱交換器1Aの外部から視認されないが、図1では、理解を容易にするために熱交換部材30Aが実線で示されている。
【0016】
<第1板部材及び第2板部材>
図2に示す第1板部材10及び第2板部材20は、板状の部材である。第1板部材10及び第2板部材20を形成する方法の一例としては、プレス成形が挙げられる。
【0017】
第1板部材10及び第2板部材20の材質は、例えば、銅、アルミ、ステンレスといった金属や、樹脂等である。第1板部材10及び第2板部材20は、熱交換部材30Aと同一の材質であることが好ましい。第1板部材10及び第2板部材20と熱交換部材30Aとの材質が異なる場合、電位差腐食の発生を抑制する観点から、これらの材質は電位差の小さい金属の組合せが好ましい。
【0018】
第1板部材10及び第2板部材20の板厚は、例えば、0.4mm以上2.0mm以下である。第1板部材10及び第2板部材20の板厚は、第1板部材10及び第2板部材20のそれぞれの熱抵抗に基づいて定められる。第1板部材10及び第2板部材20の熱抵抗は、第1板部材10及び第2板部材20の材質によって異なる。第1板部材10及び第2板部材20の板厚は、第1板部材10及び第2板部材20の熱抵抗が6×10-6(m・K)/W以下になるように定められることが好ましい。
【0019】
第1板部材10は、平板部11と、2つの側壁部12と、2つの接合部13と、を有する。
【0020】
平板部11は、平板状の部位である。本実施形態の平板部11は、平面視にて長方形状である。
【0021】
2つの側壁部12は、平板部11の幅方向における両端から、それぞれ平板部11の板厚方向へ突出する板状の部位である。2つの側壁部12は、平板部11から同一の側へ突出している。また、2つの側壁部12は、平板部11の長さ方向へ延びている。
【0022】
2つの接合部13は、2つの側壁部12のそれぞれにおける平板部11側と反対側の端から突出する板状の部位である。各接合部13は、自身と連続する側壁部12を挟んで、平板部11側と反対側へ突出している。また、各接合部13は、平板部11の長さ方向へ延びている。
【0023】
第2板部材20は、第1板部材10と同様に構成されている。すなわち、第2板部材20は、平板部21と、2つの側壁部22と、2つの接合部23と、を有する。第2板部材20における平板部21、2つの側壁部22及び2つの接合部23の各構成は、第1板部材10における平板部11、2つの側壁部12及び2つの接合部13の各構成とそれぞれ同様である。
【0024】
第1板部材10及び第2板部材20は、互いに対面するように配置されている。具体的には、第1板部材10及び第2板部材20は、平板部11,21が間隔を空けて互いに対面し、接合部13,23が互いに当接するように配置されている。本実施形態では、平板部11,21は、互いに平行に配置されている。つまり、本実施形態の平板部11,21同士の間隔は、一定である。接合部13,23は、例えば溶接や接着等により互いに接合されている。これらにより、第1板部材10と第2板部材20との間に、熱交換流路60が形成されている。
【0025】
熱交換流路60は、熱交換媒体が通過する流路である。熱交換媒体の一例としては、冷却用の液体や気体等の冷却媒体が挙げられる。熱交換流路60は、第1板部材10の平板部11及び2つの側壁部12と、第2板部材20の平板部21及び2つの側壁部22と、により形成されている。熱交換流路60における熱交換媒体の流れ方向Fは、平板部11,21の長さ方向と概ね一致する。以下では、熱交換媒体の流れ方向Fを、単に流れ方向Fという。前述した接合部13,23同士の接合は、接合部分の隙間から熱交換媒体が漏出しないように行われる。
【0026】
熱交換器1Aには、少なくとも一方の平板部11,21における、熱交換流路60を形成する面と反対側の面に、冷却対象物9が当接する。図2には、冷却対象物9が第1板部材10の平板部11に当接する例が示されている。そして、熱交換器1Aは、熱交換流路60を流れる熱交換媒体と冷却対象物9との間の熱交換により、冷却対象物9を冷却する。熱交換効率の観点からは、第1板部材10の平板部11と第2板部材20の平板部21との間隔は、できるだけ狭いことが好ましい。例えば、平板部11,21同士の間隔は、10mm以下である。
【0027】
<熱交換部材>
熱交換部材30Aは、熱交換媒体が通過可能な空隙が形成された部材である。熱交換部材30Aは、第1板部材10及び第2板部材20に当接するように、熱交換流路60内に配置されている。具体的には、熱交換部材30Aは、第1板部材10の平板部11及び第2板部材20の平板部21に当接するように配置されている。本実施形態では、平板部11,21同士の間隔が一定であるため、熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1は、一定である。厚さ方向Tは、第1板部材10から第2板部材20へ向かう方向である。熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1は、熱交換部材30Aの厚みL1とも言い換えられる。本実施形態の厚さ方向Tは、第1板部材10及び第2板部材20の平板部11,21の板厚方向と一致する。
【0028】
熱交換部材30Aは、例えば、繊維状の材料や多孔質構造を有する材料により構成されている。熱交換部材30Aの材質は、例えば、銅、アルミ、ステンレス等の金属であってもよいし、カーボン、樹脂等の非金属であってもよい。熱交換部材30Aは、例えば、金属繊維や発泡金属等により構成されてもよい。熱交換部材30Aを構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。つまり、熱交換部材30Aは、複数の材料が複合されて構成されてもよい。例えば、熱伝導率が高い金属繊維と、荷重が加えられたときに変形し難い金属繊維と、が複合され、熱交換部材30Aが構成されてもよい。
【0029】
本実施形態では、熱交換部材30Aは、金属繊維により構成されている。金属繊維同士が結着されることにより、面状に広がる厚みの薄い(つまりシート状の)熱交換部材30Aが形成されている。繊維同士が結着されることとは、繊維同士が物理的に固定された結着部が形成されることを意味する。金属繊維の繊維径は、例えば、1μm以上30μm以下である。金属繊維の繊維長は、例えば、1mm以上10mm以下である。
【0030】
図1図3図5に示すように、熱交換部材30Aは、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の密部31を有する。密部31は、熱交換部材30Aにおいて周囲の部分よりも密度が高い部分である。言い換えれば、密部31は、熱交換部材30Aにおいて周囲の部分よりも空隙が少ない部分である。密部31は、厚さ方向Tに沿って延びる柱状に形成されている。密部31における厚さ方向Tと垂直な断面形状は、例えば円形状である。
【0031】
図3に示すように、密部31における厚さ方向Tに沿った寸法L2は、熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1よりも小さい。ここでいう熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1とは、より詳細には、熱交換部材30Aにおける流れ方向Fにおいて密部31を挟んだ前後の部分の寸法L1のうち小さい寸法L1を指す。本実施形態では、前述したように熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1が一定であるため、熱交換部材30Aにおける流れ方向Fにおいて密部31を挟んだ前後の部分の寸法L1は同一である。また、密部31における厚さ方向Tに沿った寸法L2は、一定である。
【0032】
また、本実施形態では、密部31は、第1板部材10及び第2板部材20の一方に当接するように構成されている。より詳細には、密部31は、第1板部材10の平板部11及び第2板部材20の平板部21のうちの一方に当接し、他方には当接しないように構成されている。密部31は、熱交換部材30Aにおける、第1板部材10の平板部11に当接する面の一部、又は、第2板部材20の平板部21に当接する面の一部を構成している。
【0033】
図3図5に示すように、本実施形態の熱交換部材30Aは、複数の密部31として、複数の上密部31aと、複数の下密部31bと、を有する。
【0034】
上密部31aは、第1板部材10に当接するように構成されている。より詳細には、上密部31aは、第1板部材10の平板部11及び第2板部材20の平板部21のうち、第1板部材10の平板部11のみに当接するように構成されている。上密部31aは、熱交換部材30Aにおける、第1板部材10の平板部11に当接する面の一部を構成している。
【0035】
下密部31bは、第2板部材20に当接するように構成されている。より詳細には、下密部31bは、第1板部材10の平板部11及び第2板部材20の平板部21のうち、第2板部材20の平板部21のみに当接するように構成されている。下密部31bは、熱交換部材30Aにおける、第2板部材20の平板部21に当接する面の一部を構成している。
【0036】
熱交換部材30Aにおいて、上密部31a及び下密部31bは、厚さ方向Tから視て(つまり図1のように視て)互いに重ならないように配置されている。図1及び図3に示すように、上密部31a及び下密部31bは、流れ方向Fにおいて交互に配置されている。また、上密部31a及び下密部31bは、流れ方向Fにおいて互いに離隔している。図1図4及び図5に示すように、上密部31a及び下密部31bは、熱交換流路60の幅方向において交互に配置されている。熱交換流路60の幅方向とは、流れ方向F及び厚さ方向Tの双方に垂直な方向である。上密部31a及び下密部31bは、熱交換流路60の幅方向において互いに離隔している。
【0037】
なお、上密部31aは、第1密部の一例に相当する。下密部31bは、第2密部の一例に相当する。
【0038】
<入口部>
図1に示す入口部40は、第1板部材10及び第2板部材20における、流れ方向Fにおける上流側に設けられている。入口部40は、熱交換流路60へ連続する供給流路41を形成する部位である。入口部40の外面には、供給流路41の内外を連通する供給口42が形成されている。熱交換媒体は、供給口42を介して熱交換器1Aの内部へ供給される。すなわち、入口部40は、熱交換媒体を熱交換器1Aの内部へ供給するように構成されている。
【0039】
<出口部>
出口部50は、第1板部材10及び第2板部材20における、流れ方向Fにおける下流側に設けられている、出口部50は、熱交換流路60から連続する排出流路51を形成する部位である。出口部50の外面には、排出流路51の内外を連通する排出口52が形成されている。熱交換媒体は、排出口52を介して熱交換器1Aから排出される。すなわち、出口部50は、熱交換媒体を熱交換器1Aから排出するように構成されている。
【0040】
[1-2.熱交換部材の製造方法]
熱交換部材30Aの製造方法の一例について、図6図8Bを用いて説明する。熱交換部材30Aの製造方法は、例えば、押圧工程と、充填工程と、積層工程と、を備える。
【0041】
<押圧工程>
図6に示す押圧工程は、シート部材70に部分的に荷重を加える工程である。シート部材70は、シート状の部材である。シート部材70は、密部31が形成されていない状態の熱交換部材30Aと同様の構成を有する。すなわち、シート部材70は、完成品の熱交換部材30Aと同一の材料により構成されている。ただし、シート部材70は、完成品の熱交換部材30Aよりも薄い。
【0042】
押圧工程において、シート部材70には、シート部材70の面外方向から部分的に荷重が加えられる。これにより、シート部材70には、図7に示すように、荷重により圧縮された部分である圧縮部71と、荷重により凹んだ部分である凹み部72と、が形成される。圧縮部71は、シート部材70において周囲の部分よりも密度が高い。
【0043】
<充填工程>
図7に示す充填工程は、押圧工程において形成された凹み部72に、充填部材80を配置する工程である。充填部材80は、圧縮部71と同様に構成された部材である。すなわち、充填部材80は、完成品の熱交換部材30Aと同一の材料により構成された、圧縮部71と同様の密度の部材である。
【0044】
充填工程において、充填部材80は、シート部材70の凹み部72を充填するように、当該凹み部72に配置される。これにより、凹み部72に配置された充填部材80と圧縮部71とによって、図8Aに示すように、前述した密部31が構成される。すなわち、シート部材70に密部31が形成される。
【0045】
<積層工程>
図8A及び図8Bに示す積層工程は、充填工程において密部31が形成されたシート部材70を複数積層して結着させる工程である。
【0046】
本実施形態では、図8Aに示すように、2枚のシート部材70が、密部31同士が重ならないように積層されて結着される。これにより、図8Bに示すように、上密部31a及び下密部31bを有する熱交換部材30Aが得られる。
【0047】
[1-3.作用]
図1に示すように、熱交換器1Aにおいて、熱交換媒体は、供給口42を介して供給流路41へ供給される。そして、熱交換媒体は、供給流路41から熱交換流路60へ流入し、熱交換流路60内に配置された熱交換部材30Aの空隙を通過することにより、熱交換流路60を下流側へ流れる。熱交換流路60を流れてきた熱交換媒体は、熱交換流路60から排出流路51へ流入し、排出口52を介して熱交換器1Aから排出される。
【0048】
ここで、熱交換部材30Aには、少なくとも1つの密部31が形成されている。密部31は、熱交換部材30Aにおける周囲の部分よりも空隙が少ないため、当該周囲の部分よりも熱交換媒体を通過させにくい。このため、図3図5に示すように、熱交換部材30A内において、熱交換媒体の流れは、密部31にぶつかった場合に、相対的に通過しやすい密部31の周囲の部分へ逸れる。すなわち、熱交換部材30A内において、密部31を迂回する熱交換媒体の流れが生じる。
【0049】
このとき、熱交換部材30Aにおける、密部31よりも第1板部材10側及び第2板部材20側の少なくとも一方には、当該密部31よりも密度の低い部分が存在する。なぜなら、密部31における厚さ方向Tに沿った寸法L2が、熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1よりも小さいためである。したがって、熱交換部材30A内では、第1板部材10側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、第2板部材20側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、の少なくとも一方が生じる。これにより、熱交換媒体が熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことが抑制される。
【0050】
特に本実施形態では、密部31として、上密部31aと下密部31bとが形成されている。これにより、上密部31aを迂回する熱交換媒体の流れの少なくとも一部は、第2板部材20側へ向かう。下密部31bを迂回する熱交換媒体の流れの少なくとも一部は、第1板部材10側へ向かう。このため、熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことが一層抑制される。
【0051】
[1-4.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0052】
(1a)熱交換器1Aは、第1板部材10と、第2板部材20と、熱交換部材30Aと、を備える。熱交換部材30Aは、第1板部材10及び第2板部材20により形成された熱交換流路60内に配置されている。
【0053】
熱交換流路60においては、第1板部材10及び第2板部材20の各表面による抵抗の影響により、熱交換媒体が熱交換部材30Aの外周部よりも中心部を流れやすい。ここでいう熱交換部材30Aの外周部又は中心部とは、より詳細には、流れ方向Fから視た場合における熱交換流路60の外周又は中心に位置する部分であって、流れ方向Fに沿って連続する部分を指す。熱交換媒体の流れが熱交換部材30Aの中心部に偏った場合、熱交換器1Aと冷却対象物9との間で十分な熱交換効率を達成することが難しい可能性がある。
【0054】
そこで、熱交換部材30Aには密部31が形成されている。密部31における厚さ方向Tに沿った寸法L2は、熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1よりも小さい。
【0055】
このような構成によれば、熱交換部材30A内において、第1板部材10側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、第2板部材20側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、の少なくとも一方を生じさせることができる。したがって、熱交換媒体が熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことを抑制することができる。ひいては、冷却対象物9との熱交換効率を向上させやすくすることができる。
【0056】
(1b)熱交換部材30Aは、密部31として、上密部31a及び下密部31bを有する。このような構成によれば、熱交換部材30A内において、第1板部材10側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、第2板部材20側へ密部31を迂回する熱交換媒体の流れと、の双方を生じさせることができる。したがって、熱交換媒体が熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことを一層抑制することができる。
【0057】
(1c)上密部31a及び下密部31bは、厚さ方向Tから視て互いに重ならないように配置されている。このような構成によれば、上密部31a及び下密部31bが厚さ方向Tから視て互いに重なるように配置される構成と比較して、上密部31a及び下密部31bにより熱交換媒体が流れにくくなることを抑制することができる。
【0058】
(1d)上密部31a及び下密部31bは、流れ方向Fにおいて交互に配置されている。このような構成によれば、熱交換媒体の流れを、第1板部材10側へ、第2板部材20側へと交互に向かわせやすくすることが可能になるため、熱交換媒体が熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことをより一層抑制することができる。
【0059】
(1e)熱交換部材30Aは、繊維状の材料により構成されている。このような構成によれば、熱交換部材30Aの製造にあたり、繊維状の材料に荷重を加えることによって密部31を形成することができる。したがって、比較的容易に密部31を形成することができる。さらに、繊維状の材料に加える荷重の大きさによって、密部31の密度を調整することも可能である。
【0060】
(1f)また、熱交換器1Aにおいては、第1板部材10(又は第2板部材20)に当接する冷却対象物9が温度変化によって膨張又は収縮した場合に、冷却対象物9からの外力によって第1板部材10(又は第2板部材20)が変形することが考えられる。その際、熱交換部材30Aが繊維状の材料により構成されていることにより、熱交換部材30Aを変形しやすくすることができる。このため、第1板部材10(又は第2板部材20)の変形に対する熱交換部材30Aの追従性を高めることができる。熱交換部材30Aの追従性が高い場合、第1板部材10(又は第2板部材20)と熱交換部材30Aとの間に隙間が生じにくくなり、冷却対象物9との熱交換効率をより一層向上させやすくすることが可能になる。
【0061】
[2.第2実施形態]
[2-1.熱交換器の構成]
第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0062】
図9図11に示すように、第2実施形態の熱交換器1Bは、前述した熱交換部材30Aに代えて熱交換部材30Bを備える。なお、熱交換部材30Bは熱交換器1Bの外部から視認されないが、図9では、理解を容易にするために熱交換部材30Bが実線で示されている。
【0063】
第2実施形態の熱交換部材30Bは、第1実施形態の熱交換部材30Aと概ね同一の構成である。ただし、第2実施形態の熱交換部材30Bは、密部31として、複数の上密部31a及び複数の下密部31bに加え、複数の中密部31cを有する。中密部31cは、第1板部材10及び第2板部材20の双方に当接しないように構成されている。中密部31cは、熱交換部材30Aにおける厚さ方向Tの中央を含む領域に配置されている。
【0064】
熱交換器1Bにおいて、上密部31a及び下密部31bは、厚さ方向Tから視て互いに重なるように配置されている。中密部31cは、厚さ方向Tから視て上密部31a及び下密部31bと重ならないように配置されている。なお、第2実施形態において、上密部31a及び下密部31bは、厚さ方向Tから視た形状及び大きさが概ね同一であるが、図9では、図示の都合上、下密部31bの方が上密部31aよりも小さく示されている。
【0065】
図9に示すように、上密部31a及び下密部31bと、中密部31cとは、流れ方向Fにおいて交互に配置されている。また、上密部31a及び下密部31bと、中密部31cとは、流れ方向Fにおいて互いに離隔している。図9図11に示すように、上密部31a及び下密部31bと、中密部31cとは、熱交換流路60の幅方向において交互に配置されている。また、上密部31a及び下密部31bと、中密部31cとは、熱交換流路60の幅方向において互いに離隔している。
【0066】
なお、上密部31aが第1密部の一例に相当し、下密部31bが第2密部の一例に相当することに対応して、中密部31cは第3密部とも称される。
【0067】
[2-2.熱交換部材の製造方法]
第2実施形態の熱交換部材30Bの製造方法は、第1実施形態の熱交換部材30Aの製造方法と概ね同一の構成である。ただし、第2実施形態の積層工程の一例では、充填工程で密部31が形成されたシート部材70が、2枚ではなく3枚積層されて結着される。例えば、3枚のシート部材70は、両外側の2枚のシート部材70の密部31同士が重なり、内側の1枚のシート部材70の密部31が両外側の2枚のシート部材70の密部31と重ならないように、積層されて結着される。これにより、上密部31a、中密部31c及び下密部31bを有する熱交換部材30Bが得られる。
【0068】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1a),(1b),(1e),(1f)と同様の効果を奏する。特に、熱交換部材30Bが上密部31a及び下密部31bに加えて中密部31cを有することにより、次のとおり、上記(1b)と同種ではあるが一層程度の大きな効果を得ることができる。
【0069】
中密部31cは、熱交換部材30Bの厚さ方向Tの中央を含む領域に配置されている。このため、熱交換部材30Bの特に中心部を流れる熱交換媒体が、中密部31cにぶつかり得る。熱交換部材30Bにおいて、中密部31cよりも第1板部材10側及び第2板部材20側の双方には当該中密部31cよりも密度の低い部分が存在することから、熱交換媒体の流れは、中密部31cにぶつかった場合、第1板部材10側及び第2板部材20側の双方へ逸れる。すなわち、仮に熱交換媒体の流れが熱交換部材30Bの中心部に一時的に偏ったとしても、当該流れを第1板部材10側及び第2板部材20側へ拡散させることができる。したがって、熱交換媒体が熱交換部材30Aの中心部に偏流してしまうことをより一層抑制することができる。
【0070】
[3.第3実施形態]
[3-1.熱交換器の構成]
第3実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0071】
図12図14に示すように、第3実施形態の熱交換器1Cは、前述した熱交換部材30Aに代えて熱交換部材30Cを備える。なお、熱交換部材30Cは熱交換器1Cの外部から視認されないが、図12では、理解を容易にするために熱交換部材30Cが実線で示されている。
【0072】
第3実施形態の熱交換部材30Cは、第1実施形態の熱交換部材30Aと概ね同一の構成である。ただし、第3実施形態の熱交換部材30Cは、密部として、上密部31a及び下密部31bではなく、複数の中密部31dを有する。中密部31dの構成は、第2実施形態の中密部31cの構成と概ね同一である。すなわち、中密部31dは、第1板部材10及び第2板部材20の双方に当接しないように構成されている。また、中密部31dは、熱交換部材30Cにおける厚さ方向Tの中央を含む領域に配置されている。
【0073】
さらに、本実施形態では、中密部31dは、熱交換部材30Cにおける熱交換流路60の幅方向の中央を含む領域に配置されている。つまり、中密部31dは、熱交換流路60の中心部に配置されている。また、複数の中密部31dは、流れ方向Fに沿って一列に並ぶように配置されている。
【0074】
[3-2.熱交換部材の製造方法]
第3実施形態の熱交換部材30Cの製造方法は、第1実施形態の熱交換部材30Aの製造方法と概ね同一の構成である。ただし、第3実施形態の積層工程の一例では、充填工程で密部31が形成されたシート部材70と、密部31が形成されていない2枚のシート部材70とが、積層されて結着される。例えば、密部31が形成されたシート部材70の両面に、密部31が形成されていない2枚のシート部材70が積層されて結着される。これにより、中密部31dを有する熱交換部材30Cが得られる。
【0075】
[3-3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、上記(1a),(1e),(1f)と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0076】
第3実施形態の熱交換部材30Cは、密部として中密部31dを有する。このような構成によれば、第2実施形態の熱交換部材30Bにおける中密部31cによる効果と同様に、仮に熱交換媒体の流れが熱交換部材30Cの中心部に一時的に偏ったとしても、当該流れを第1板部材10側及び第2板部材20側へ拡散させることができる。したがって、熱交換媒体が熱交換部材30Cの中心部に偏流してしまうことを一層抑制することができる。
【0077】
[4.第4実施形態]
[4-1.熱交換器の構成]
第4実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0078】
図15及び図16に示すように、第4実施形態の熱交換器1Dは、前述した熱交換部材30Aに代えて熱交換部材30Dを備える。なお、熱交換部材30Dは熱交換器1Dの外部から視認されないが、図15では、理解を容易にするために熱交換部材30Dが実線で示されている。
【0079】
第4実施形態の熱交換部材30Dは、第1実施形態の熱交換部材30Aと概ね同一の構成である。ただし、第4実施形態の熱交換部材30Dは、補強部32を更に有する。
【0080】
補強部32は、密部31と同様に、熱交換部材30Dにおいて周囲の部分よりも密度が高い部分である。補強部32は、厚さ方向Tに沿って延びる柱状に形成されている。
【0081】
密部31における厚さ方向Tに沿った寸法L2は、熱交換部材30Dにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1よりも小さい。これに対して、補強部32における厚さ方向Tに沿った寸法L3は、熱交換部材30Dにおける厚さ方向Tに沿った寸法L1と同一である。すなわち、補強部32は、熱交換部材30Dにおける、第1板部材10に当接する面から第2板部材20に当接する面まで連続する部分である。補強部32は、第1板部材10及び第2板部材20の双方に当接するように構成されている。より詳細には、補強部32は、第1板部材10の平板部11及び第2板部材20の平板部21の双方に当接するように構成されている。補強部32は、熱交換部材30Dにおける、第1板部材10の平板部11に当接する面の一部、及び、第2板部材20の平板部21に当接する面の一部の双方を構成している。
【0082】
[4-2.熱交換部材の製造方法]
第4実施形態の熱交換部材30Dの製造方法は、第1実施形態の熱交換部材30Aの製造方法と概ね同一の構成である。補強部32は、例えば、積層工程において、密部31同士が重なるように2枚のシート部材70が積層されて結着されることにより形成される。
【0083】
[4-3.効果]
以上詳述した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0084】
熱交換器1Dでは、第1板部材10(又は第2板部材20)に当接する冷却対象物9からの外力により、第1板部材10(又は第2板部材20)、ひいては熱交換部材30Dが変形する可能性がある。そこで、本実施形態では、熱交換部材30Dに補強部32が形成されている。このような構成によれば、補強部32によって熱交換部材30D全体としての剛性を高めることができるため、熱交換部材30Dの変形を抑制することができる。その結果、熱交換部材30Dの密度の変化を抑制することができるため、熱交換性能の変化を抑制することが可能になる。
【0085】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0086】
(5a)上記第2実施形態の熱交換部材30Bは、密部31として、上密部31a、中密部31c及び下密部31bを有する。しかし、熱交換部材は、必ずしも上密部、中密部及び下密部の全てを有しなくてもよい。例えば、熱交換部材は、上記第1及び第4実施形態のように、上密部及び下密部を有し、中密部を有しなくてもよい。また例えば、熱交換部材は、上記第4実施形態のように、中密部を有し、上密部及び下密部を有しなくてもよい。また例えば、熱交換部材は、上密部及び下密部のうち、いずれか一方のみを有してもよい。
【0087】
(5b)上記実施形態では、密部における厚さ方向Tと垂直な断面形状として、円形状を例示した。円形状には、図1に示すような真円状と、図12に示すような楕円状とが含まれる。しかし、密部における厚さ方向Tと垂直な断面形状は、円形状に限定されない。例えば、密部における厚さ方向Tと垂直な断面形状は、正多角形状であってもよいし、正多角形状以外の多角形状であってもよい。また例えば、図17に示すように、密部31eにおける厚さ方向Tと垂直な断面形状は、流線形であってもよい。
【0088】
(5c)上記実施形態では、密部31は、厚さ方向Tに沿って延びる柱状である。しかし、密部の外形は特に限定されない。
【0089】
(5d)熱交換部材における密部31の配置は、特に限定されない。例えば、熱交換部材が複数の密部31を有する場合、これら密部31は、流れ方向Fに沿って並ぶように配置されてもよいし、流れ方向Fにおいて左右にずれて配置されてもよい。熱交換流路60の幅方向に対しても同様である。
【0090】
(5e)上記実施形態で例示した熱交換部材の製造方法では、充填工程において、凹み部72に充填部材80が配置される。充填部材80は、圧縮部71と同様に構成された部材である。
【0091】
しかし、充填部材は、圧縮部71と同様に構成された部材でなくてもよい。例えば、圧縮部71が金属繊維により構成されている場合に、充填工程において、凹み部72には、発泡金属により構成された充填部材が配置されてもよい。また例えば、図18に示すように、金属板等の剛体により構成された充填部材80Aが、凹み部72に配置されてもよい。また例えば、図19に示すように、圧縮コイルばね等の弾性体により構成された充填部材80Bが、凹み部72に配置されてもよい。
【0092】
(5f)上記実施形態では、熱交換器は、当接する冷却対象物9を冷却する冷却器である。しかし、熱交換器は、当接する加熱対象物を加熱する加熱器であってもよい。この場合、熱交換媒体としては、加熱用の液体や気体等の加熱媒体が用いられる。
【0093】
(5g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0094】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
板状の部材である第1板部材と、
前記第1板部材に対面するように配置され、前記第1板部材との間に熱交換媒体が通過する流路を形成する板状の部材である第2板部材と、
前記熱交換媒体が通過可能な空隙が形成された部材であって、前記第1板部材及び前記第2板部材に当接するように前記流路内に配置された部材である熱交換部材と、
を備え、
前記熱交換部材は、当該熱交換部材において周囲の部分よりも密度が高い部分である少なくとも1つの密部を有し、
前記少なくとも1つの密部における、前記第1板部材から前記第2板部材へ向かう方向である厚さ方向に沿った寸法は、前記熱交換部材における、前記厚さ方向に沿った寸法よりも小さい、熱交換器。
【0095】
[項目2]
項目1に記載の熱交換器であって、
前記少なくとも1つの密部には、前記第1板部材に当接するように構成された第1密部と、前記第2板部材に当接するように構成された第2密部と、の少なくとも一方が含まれる、熱交換器。
【0096】
[項目3]
項目2に記載の熱交換器であって、
前記少なくとも1つの密部には、前記第1密部と、前記第2密部と、の双方が含まれる、熱交換器。
【0097】
[項目4]
項目3に記載の熱交換器であって、
前記第1密部及び前記第2密部は、前記厚さ方向から視て互いに重ならないように配置されている、熱交換器。
【0098】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の熱交換器であって、
前記熱交換部材は、繊維状の材料により構成されている、熱交換器。
【符号の説明】
【0099】
1A~1D…熱交換器、10…第1板部材、20…第2板部材、30A~30D…熱交換部材、31…密部、31a…上密部、31b…下密部、31c,31d…中密部、32…補強部、40…入口部、50…出口部、60…熱交換流路、9…冷却対象物、L1~L3…寸法、F…熱交換媒体の流れ方向、T…厚さ方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19