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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151120
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064263
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】前田 真吾
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA11
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA72
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DA02
3B166DC45
3B166DC47
3B166FB01
3B166GA06
(57)【要約】
【課題】タンク接続部から落下する液剤を洗い流すことが可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、給水弁から供給された水が通過する給水経路と、第1液剤を貯留する第1タンクと、第1タンクと接続される第1タンク接続部を有し、第1タンク内の第1液剤を給水経路に吐出する第1液剤投入装置と、給水経路を通過した水が流れる第1流路を有し、第1タンクの下方に設けられた流路部と、第1タンク接続部の下方に位置し、第1流路に向けて傾斜する第1傾斜面と、を備える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水弁から供給された水が通過する給水経路と、
第1液剤を貯留する第1タンクと、
前記第1タンクと接続される第1タンク接続部を有し、前記第1タンク内の第1液剤を前記給水経路に吐出する第1液剤投入装置と、
前記給水経路を通過した水が流れる第1流路を有し、前記第1タンクの下方に設けられた流路部と、
前記第1タンク接続部の下方に位置し、前記第1流路に向けて傾斜する第1傾斜面と、 を備える、
洗濯機。
【請求項2】
前記流路部は、
前記給水経路と水平方向に接続され前記給水経路から水が流入する流入部と、
前記流入部に流入した水を前記第1流路に案内する第1壁部と、を有する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記第1傾斜面に落下した第1液剤を、前記第1流路の前記第1壁部よりも下流側に案内する第2壁部を有する、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第2壁部の上面には、前記第1傾斜面に向けて傾斜する第2傾斜面が設けられている、
請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
第2液剤を貯留する第2タンクと、
前記第2タンクと接続される第2タンク接続部を有し、前記第2タンク内の前記第2液剤を前記給水経路に吐出する第2液剤投入装置と、
前記第2タンク接続部の下方に位置し、前記第1流路に向けて傾斜する第3傾斜面と、を備え、
前記第2タンクは前記第1タンクよりも前記流路部の下流側に配置され、
前記第3傾斜面は絞られることなく前記第1流路に接続されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記第1流路は前記第1傾斜面に向けて傾斜しており、
前記第1傾斜面は前記第1流路に向けて傾斜している、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記第1タンクを支持する下面を有し、前記第1タンクを収容するタンク収容部を備え、
前記下面は、前記第1タンク接続部の下方及び前記第1傾斜面の直上に位置する第1開口を有する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記タンク収容部の下面は、前記第1タンク接続部の延びる方向に沿って下方に傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜面の下端は前記第1開口に接続する、
請求項7に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には筐体内のタンク収容部に着脱可能に収容される液剤タンクと、液剤タンクに貯蔵された液剤を吸引、吐出する液剤自動投入装置を備える洗濯機が開示されている。
【0003】
液剤タンクは、液剤タンクがタンク収容部に収容された状態でタンク収容部から出し入れ可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-171394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、タンク接続部から落下する液剤を洗い流すことが可能な洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の洗濯機は、給水弁から供給された水が通過する給水経路と、第1液剤を貯留する第1タンクと、第1タンクと接続される第1タンク接続部を有し、第1タンク内の第1液剤を給水経路に吐出する第1液剤投入装置と、給水経路を通過した水が流れる第1流路を有し、第1タンクの下方に設けられた流路部と、第1タンク接続部の下方に位置し、第1流路に向けて傾斜する第1傾斜面と、を備える。
洗濯機。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、タンク接続部から落下する液剤を洗い流すことが可能な洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る実施形態の洗濯機の全体斜視図
図2】蓋を開けた状態の洗濯機の斜視図
図3】洗濯剤供給ユニットの斜め前方から見た斜視図
図4】洗濯剤供給ユニットの斜め後方から見た斜視図
図5】蓋が取り外された状態における洗濯剤供給ユニットの斜視図
図6】蓋が取り外された状態における洗濯剤供給ユニットの上面図
図7】流路部材の蓋が取り外された状態の洗濯剤供給ユニットの後方から見た斜視図
図8】流路部材を前方から見た正面図
図9】洗濯剤供給ユニットの横断面図
図10】洗濯剤供給ユニットの縦断面図
図11】泡立て部周辺の縦断面図
図12A】泡立て部周辺の斜視図
図12B】泡立て部周辺の横断面図
図13】第2案内部周辺の縦断面図
図14】洗濯剤供給ユニットの横断面図
図15図9のAA-AA矢視断面図
図16A】液剤投入装置周辺の縦断面図
図16B】タンクを取り外した状態における液剤投入装置周辺の縦断面図
図16C】タンクを取り外した状態における洗濯剤供給ユニットの斜め前方から見た斜視図
図17】第1及び第3傾斜面周辺の断面斜視図
図18】第1及び第3傾斜面周辺の上面図
図19】第1及び第3傾斜面周辺の斜視図
図20】洗濯剤供給ユニットの縦断面図
図21】洗濯剤供給ユニットの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、洗濯機において、液剤を収容可能な液剤タンクと液剤タンク内の液剤を吸引・吐出可能な液剤投入装置を備えていた。しかしながら、ユーザが液剤タンクに液剤を投入するために液剤タンクを液剤投入装置から引き出した際、液剤タンクと液剤投入装置との接続口からタンク収容部の内底面に液剤が落下して残存してしまい、タンク収容部の内底面が液剤で汚れてしまう虞があった。
【0010】
そこで、本開示は、タンク接続部から落下する液剤を洗い流すことが可能な洗濯機を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0013】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す全体斜視図である。図2は洗濯機1の蓋を開けた状態の洗濯機1を示す斜視図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられる液剤であり、例えば、洗剤、柔軟剤、中性洗剤の少なくとも1つを含む。洗濯処理剤とは、液剤、粉末剤、固形剤、錠剤の少なくとも1つを含む。
【0014】
図1及び図2に示すように、洗濯機1は、筐体2と、水槽3と、洗濯槽4と、給水部10と、制御部17とを備える。
【0015】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の上面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な蓋21とが設けられている。
【0016】
<水槽>
水槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜めるように一端が閉じた大略円筒状の部材である。水槽3は、外槽と称してもよい。
【0017】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、水槽3の内側において回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4は水槽3に連通する多数の貫通孔40を有する。貫通孔40は、水槽3と洗濯槽4との間で洗濯水及び洗濯処理剤の移動を可能にする。洗濯槽4は筐体2の開口20に面する位置に開口41をさらに有する。開口41を通じて洗濯物は洗濯槽4に投入される。洗濯槽4をドラムまたは内槽と称してもよい。
【0018】
<制御部>
制御部17は、洗濯機1の運転を制御する。制御部17は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0019】
<洗濯剤供給ユニット>
洗濯剤供給ユニット5は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤等の洗濯処理剤を供給する。したがって、洗濯剤供給ユニット5は、洗濯処理剤を洗濯槽4に向けて下方に排出する。液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられるものである。液剤は、例えば、洗剤、柔軟剤、中性洗剤を含んでもよい。洗濯剤供給ユニット5は、手動投入ユニット6と自動投入ユニット7とを備える。
【0020】
次に、図3及び図4を参照して、洗濯剤供給ユニット5の構成について説明する。図3及び図4は、洗濯剤供給ユニット5の斜視図である。
【0021】
洗濯剤供給ユニット5は、ユニットケース50と、蓋50aと、手動投入ユニット6と、自動投入ユニット7と、給水部10と、流路部材11、15とを備える。
【0022】
ユニットケース50は、手動投入ユニット6と、自動投入ユニット7と、流路部材11を収容する。ユニットケース50の上部は開口しており、蓋50aで覆われる。
【0023】
手動投入ユニット6は、洗濯機1の運転の度に、ユーザが1回分の液剤、粉末洗剤や固形剤等の洗濯剤を手動で投入するための機構である。手動投入ユニット6に投入された量の洗濯剤が洗濯槽4に流入する。
【0024】
手動投入ユニット6に投入される1回分の洗濯剤は、手動投入ユニット6が有する複数のケース60、61、62、63に収容される。本実施形態では、それぞれのケース60~63は、1回分の洗剤、柔軟剤、粉末洗剤、水溶性の固形剤(例えば、錠剤)を収容する。
【0025】
自動投入ユニット7は、液剤を貯蔵するタンクから洗濯槽4に、所定量の液剤を自動で投入する機構である。自動投入ユニット7は、例えば、洗濯物の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量で洗濯槽4に投入する。自動投入ユニット7は、幅方向K(例えば、水平方向)に並び液剤を収容する2つのタンク70、71と、それぞれのタンク70、71から液剤の吸引・吐出を行う液剤投入装置73、74とを有する。本実施形態では、タンク70は洗剤を収容し、タンク71は柔軟剤を収容する。
【0026】
給水部10は、ユニットケース50内に形成された流路部材11及びユニットケース50の外部に配置された流路部材15を介して、洗濯剤供給ユニット5に水を供給する機構である。給水部10は複数の給水弁10a、10b、10cと、水道栓からの水が供給される給水口10dと、を備える。給水口10dには、水道栓からの水を導入するように給水ホース18が接続されている。給水弁10a、10b、10cの開閉によって、給水口10dから流入した水の供給先を変更することができる。具体的には、給水弁10aが開放されると、水はケース60、62に供給され、給水弁10bが開放されると、水はケース61、63に供給され、給水弁10cが開放されると、水は自動投入ユニット7に供給される。給水弁10a、10b、10cは、例えば、電磁弁である。手動投入ユニット6に供給された水は、収容されている洗濯剤とともに洗濯槽4に流入する。
【0027】
ユニットケース50内に形成された流路部材11及びユニットケース50の外部に配置された流路部材15は、給水弁10a、10b、10cから供給される水を供給先に案内する部材である。流路部材11は、ケース60、61、62、63の上方に設けられて、給水弁10a、10b、10cに接続される。流路部材11、15は、給水弁10a、10b、10cから供給先まで連通する複数の独立した経路を形成する。
【0028】
手動投入ユニット6のケース60、61、62、63に供給された水は、収容されている洗濯剤とともに洗濯槽4に流入する。図5に示すように、本体部64には、洗濯剤が収容されるケース60、61、62が幅方向Kに並んで設けられている。上述のように、ケース60は洗剤を収容し、ケース61は柔軟剤を収容し、ケース62は粉末洗剤を収容する。本体部64において、洗剤を収納するケース60と粉末洗剤を収納するケース62とは互いに隣接している。洗剤を収納するケース60と柔軟剤を収納するケース61との間には空間が設けられており、この空間に錠剤を収納するケース63が配置される。
【0029】
図6を参照して、流路部材11に形成された流路について説明する。図6は、蓋50aを取り外した状態における洗濯剤供給ユニット5の上面図である。給水部10の3つの給水弁10a、10b、10c(図3)は、それぞれ、流路部材11の経路F1、F2、F3に接続される。経路F1、F2、F3は互いから独立して形成される。給水弁10aに接続される経路F1は、ケース60とケース62とに水を供給するための流路を形成する。給水弁10bに接続される経路F2は、ケース61とケース63とに水を供給するための流路を形成する。給水弁10cに接続される経路F3は、自動投入ユニット7に水を供給するための流路を形成し、流路部材15に接続される。1つの経路で複数のケースに給水することで、給水部10における給水弁の数を減らして、構成を単純化することができる。
【0030】
経路F2は、ケース63に対向した開口14a、14bと、ケース61に対向した複数の開口16とを有する。給水弁10bが開放されて経路F2と連通すると、水は開口14a、14bを通じてケース63に流入する。開口14a、14bを越えた水は、その後、開口16を通じてケース61に流入する。
【0031】
次に、自動投入ユニット7へ供給される流路について図7及び図8を参照して説明する。図7は、流路部材15の蓋15aを取り外した状態の洗濯剤供給ユニットの斜視図である。図8は、流路部材を前方から見た正面図である。
【0032】
流路部材15は、ユニットケース50の外部に取りつけられている。流路部材15は、蓋15aと、本体流路部15bと、ユニットケース50の経路F3から水が流入する開口15cと、ユニットケース50内の流路と連通する接続口15d、15eとを有する。流路部材15には、流路部材11の経路F3からの水が案内される。
【0033】
流路部材15は、流路部材11の経路F3から流入した水を液剤投入装置73及び74の下方に案内し、液剤投入装置73及び74から吐出される液剤と水とが混ざった洗剤水を2つの経路F5及びF6に分岐してユニットケース50内へ案内する。一方の経路F5は接続口15dを介してユニットケース50内の底部50bに設けられた下部流路部80の第1流路101に洗剤水を案内する。この第1流路101は自動投入ユニット7のタンク70、71の接続部の下方の近傍に配置されている。他方の経路F6は接続口15eを介してユニットケース50の底部50bに設けられた泡立て部84に洗剤水を案内する。
【0034】
流路部材15内に形成された流路は、開口15cから斜め下方へ延び、液剤投入装置73及び74の下方を延びて、幅方向Kに折り返して、再び給水部10側へ延びる。流路部材15内の流路の折り返し付近に接続口15dが形成され、再び給水部10側へ延びた端部に接続口15eが形成されている。
【0035】
《泡立て構造》
次に、図9図12Bを参照して、ユニットケース50の底部50bに設けられた下部流路部80の泡立て構造について説明する。図9は、洗濯剤供給ユニットの断面図である。図10は、洗濯剤供給ユニットの断面図である。図11は、泡立て部周辺の縦断面図である。図12Aは、泡立て部周辺の斜視図である。図12Bは、泡立て部周辺の横断面図である。
【0036】
下部流路部80は、洗濯槽4と対向する注水口81を有し、ユニットケース50の底部50bに流入した洗剤水を注水口81へ案内する流路である。注水口81へ案内された洗剤水は、注水口81から洗濯槽4へ落下する。下部流路部80は、ユニットケース50の底部50bから起立する複数の壁により、第1流路101を含む、洗剤水が流れる複数の経路を有する。
【0037】
下部流路部80は、流路部材11の経路F6からの洗剤水が流入する第1流入部82と、流路部材11の経路F5からの洗剤水が流入する第2流入部83と、洗剤水から洗剤泡を生成する泡立て部84と、を有する。
【0038】
第1流入部82は、例えば、ユニットケース50の後壁50dに設けられた接続口であり、流路部材15の接続口15eと連通している。第1流入部82は、給水経路である流路部材15と水平方向に接続されている。
【0039】
第2流入部83は、例えば、ユニットケース50の後壁50dに設けられた接続口であり、流路部材15の接続口15dと連通している。第1流入部82は、給水経路である流路部材15と水平方向に接続されている。
【0040】
泡立て部84は、流入した洗剤水を泡立てて洗剤泡を生成する。泡立て部84は、第1壁85と、第1案内部86と、第2案内部87と、複数のピン88と、を有する。
【0041】
第1壁85は、洗剤水の流れと対向するように設けられている。これにより、第1壁85に衝突した洗剤水が、泡立て部84内に残留する。この残留した洗剤水に対して、第1流入部82の開口から流入した洗剤水が衝突して乱流が起きることで、洗剤泡が生成される。
【0042】
第1流入部82の開口面積は、流路部材15の断面積、特に、流路部材15内の経路F6の断面積よりも小さい。これにより、第1流入部82から流出する洗剤水の流速を高めることができる。一旦流速を高めた洗剤水を第1壁85に向けて流すことで、泡立て部84内の第1壁85の近傍で滞留する洗剤水に、流速を高めた洗剤水を勢いよく衝突させてより大きな乱流を発生させることができ、泡立てを促進することができる。
【0043】
洗剤水が衝突する第1壁85の面積は、第1流入部82の開口面積よりも大きい。これにより、第1流入部82と第1壁85とが離れて配置されていることで洗剤水の流れが水平方向に広がっても、第1壁85に衝突しやすくなる。さらに、第1流入部82から流出する洗剤水は液状であるのに対して、第1壁85付近では洗剤泡が生成されるので、洗剤泡を含む洗剤水の体積が大きくなっている。そこで、第1壁85の高さH1は、第1流入部82の開口の直径よりも大きいので、この洗剤泡を第1壁85で受け止めきることができる。
【0044】
第1案内部86は、第1流入部82から流入した洗剤水を第1壁85に案内する。第1案内部86は、ユニットケース50の底部50bから鉛直上方に延びる第2壁91を有し、第1流入部82と対向するように配置される。第1案内部86は、第2壁91の他にも第3壁92と、天面部93とを有する。
【0045】
第2壁91は、第1流入部82から流入する洗剤水の流れに対して傾斜して設けられている。これに対して、例えば、洗剤水の流れに完全に対向するように壁が配置されている場合、流入した洗剤水がこの壁に衝突した際に、壁を乗り越える虞がある。そこで、第2壁91のように傾斜した壁に洗剤水を当てることで傾斜方向に洗剤水を案内することができ、第2壁91を乗り越える洗剤水を低減させつつ、第2壁91に衝突した洗剤水の流れをスムーズに第1壁85の方へ変えることができる。
【0046】
第3壁92は、第2壁91の傾斜面の端部から第1壁85に向けて延びるように配置されている。これにより、第2壁91に衝突し第2壁91の傾斜及び下部流路部80の傾斜に沿って第3壁92に衝突した洗剤水、及び、第2案内部87から直接第3壁92に衝突した洗剤水の流れをスムーズに第1壁85の方へ変えることができる。また、第3壁92は、第3壁92の下流側の延長線と第1壁85とが交差するように配置されているので、第2案内部87に沿って下流側に流れる洗剤水は第1壁85に衝突しやすい。
【0047】
天面部93は、第1壁85に衝突して上方に撥ね返った洗剤水を下部流路部80へ返す。天面部93は、第2壁91の上端及び第3壁92の上端の第2壁91側から第1流入部82側へ延びる。天面部93で洗剤水が泡立て部84に戻されることで、第2壁91及び第3壁92を越えて注水口81へ流れる洗剤水を低減することができ、泡立て部84で洗剤泡を発生させる洗剤水が低減するのを抑制することができる。
【0048】
図12に示すように、ユニットケース50の底部50bからの第1壁85の高さH1は、ユニットケース50の底部50bからの第1案内部86の第2壁91の高さH2よりも大きい。ユニットケース50の底部50bは、幅方向Kに両端部から中央部に向けて下方に傾斜している。第1案内部86の第2壁91よりも、ユニットケース50の幅方向Kの中央側に配置されている第1壁85の方が高い。第1壁85の上方は開放されており、第1壁85の方が第2壁91よりも高いので、第1壁85において洗剤水をより撥ね返らせることができ、洗剤泡の発生を促進することができる。
【0049】
図9に示すように、第1案内部86は、第1流入部82から離隔して設けられ、第1流入部82と第1案内部86との間に、第2案内部87が設けられている。
【0050】
図12及び図13を参照して第2案内部87を説明する。図13は、第2案内部87の横断面図である。第2案内部87は、第1流入部82から流入した洗剤水を第1壁85に案内する。第2案内部87は、半円筒状の流路の一部が開口した扇形の筒形状を有する。第2案内部87は、断面が円弧形状を有する壁部87aと底面87bと段差87cとを有する。第2案内部87の一端は第1流入部82に接続される。
【0051】
第2案内部87の壁部87aは、底面87bと対向する天面部87aaと、天面部87aaから円弧状に底面87bに向けて延びる側壁部87abとを有しており、第2案内部87の壁部87aは、第1壁85側が開口している。したがって、第2案内部87を流れる洗剤水は、上方及び第1壁85側と反対側に流れるのを規制されている。
【0052】
第2案内部87の底面87bは、第1流入部82から前方に延び、前方に延びるほど先細となるテーパー形状を有する。第2案内部87の底面87bは下部流路部80から一段高い位置にあり、第2案内部87の底面87bと下部流路部80との間に段差87cがある。底面87bがテーパー状であるので、第1流入部82から第2案内部87に沿って流れる洗剤水は、第2案内部87の下流側先端に近づくほど段差87cから第1壁85に向けて流れる水量が増加する。さらに、第2案内部87の第1壁85側が開口しているので、第2案内部87に沿って下流に向かうにつれて、第1壁85の方に向けて流れる洗剤水の量が自然に増える。
【0053】
図9に示すように、第1案内部86と第2案内部87との間には間隙94が設けられている。例えば、間隙94が設けられず、第2案内部87の下流側先端に洗剤水の流れを曲げるような構成を設けた場合、第1流入部82側における圧力損失が増えてしまうので、流路部材15を流れる洗剤水のうち第2流入部83側に流入する流量が多くなる。第2流入部83側に流入する流量が多くなると、第1流路101から第1傾斜面103及び第3傾斜面105を上がって行き、タンク収容部68(図16C参照)の液垂れ回収用の第1開口121から、タンク収容部68に洗剤水が乗り上げ、タンク収容部68に洗剤水が溢れる出す虞がある。この事態を防止するために、間隙94が設けられることで、第2案内部87の第1壁85側および下流側先端を開放させることで、流路部材15を流れる洗剤水のうち第1流入部82側に流入する流量を増やし、第2流入部83側に流入する流量を抑えることができる。また、第1流入部82側に流入する流量を増やすことで、洗剤水を泡立てるための流量を確保することができる。また、泡立て部84に流入する洗剤水の量が増加したとしても、第1案内部86と第2案内部87との間の間隙94を洗剤水が流れることができるので、第2流入部83に流入する洗剤水が増えて水が溢れるのを防止することができる。
【0054】
複数のピン88は、それぞれのピン88に洗剤水が衝突することで、乱流が発生し効率良く水と洗剤とが混合し、洗剤泡の生成を促進する。複数のピン88は、それぞれ、ユニットケース50の底部50bより上方に起立している。
【0055】
図9図11及び図14に示すように、泡立て部84よりもユニットケース50の幅方向K外側に液剤混合部95が配置されている。液剤混合部95は複数のピン96を有する。柔軟剤を含むケース61から液剤混合部95へ柔軟剤が落下し、手動投入ユニット6へ流れた水も、液剤混合部95に向けて落下し、液剤混合部95においてピン96への衝突と撥ね返しにより柔軟剤が水に効率良く溶ける。液剤混合部95で混合された柔軟剤が溶けた水は、底部50bの傾斜に沿って泡立て部84の方へ流れる。柔軟剤が溶けた水は、第1案内部86と第2案内部87との間の間隙94を通ることで、スムーズに注水口81の方へ流れることができる。さらに、第2案内部87が円弧状の形状を有し、液剤混合部95から泡立て部84に向けて流れる水が円弧状に上がるように設けられている。これにより、間隙94を流れることができない水は、第2案内部87の円弧に沿って上方に上がって第2案内部87の上方も流れることができるので、柔軟剤が溶けた水が液剤混合部95から泡立て部84に向けてのスムーズな移動を補助している。なお、本実施の形態においては、液剤混合部95に柔軟剤を含んだ水が落下する構成としていたが、流路部材11に第2案内部87より上流側(本実施の形態における液剤混合部95の位置)近傍に対して水を落下させる注水口が設けられている場合においても適用可能である。
【0056】
図15に示すように、ユニットケース50の底部50bは前後方向Lにおいて、前端および後端から注水口81に向けて傾斜が設けられている。したがって、第1壁85で撥ね上がって返ってきた洗剤水、及び柔軟剤が溶けた水は、底部50bの傾斜に沿って注水口81に案内されて、注水口81から洗濯槽4に向けて落下する。
【0057】
《液垂れ洗浄構造》
次に、図7の経路F5を流れる水が、タンク70、71を抜き取る際などに発生する液垂れを洗浄する構造について説明する。まず、図16A図16C図21を参照して、タンク71と液剤投入装置73との接続構造について説明する。図16Aは、幅方向Kの内側から見たタンク71及び液剤投入装置73における液剤投入装置周辺の縦断面図であり、図10の矢視XVIの縦断面図である。図16Bは、図10の矢視XVIにおけるタンク71を取り外した状態における液剤投入装置周辺の縦断面図である。図16Cは、タンク70、71を取り外した状態における洗濯剤供給ユニットの斜め前方から見た斜視図である。図21は、洗濯剤供給ユニットの横断面図である。
【0058】
液剤投入装置73は、ポンプ75と第1タンク接続部76とを備える。ポンプ75は、タンク71からの液剤を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。
【0059】
第1タンク接続部76は、液剤投入装置73をタンク71に接続する部材である。第1タンク接続部76は、内部にタンク71から液剤投入装置73のポンプ75内へ液剤が流れる流路75aの一部を含む。第1タンク接続部76の一方は、液剤投入装置73のポンプケース75cに固定されており、他方はタンク71の接続部78に着脱可能である。
【0060】
第1タンク接続部76は、タンク71において、液剤が吐出する吐出部としても機能する接続部78に配置されたタンク吐出弁79を閉状態から開状態へ移動させるピン76aを有する。第1タンク接続部76がタンク71の接続部78に装着されると、第1タンク接続部76のピン76aが、逆止弁であるタンク吐出弁79をタンク71の前面側へ移動させる。これにより、タンク吐出弁79が閉状態から開状態へ変化し、タンク71内の液剤の圧力により液剤が接続部78から流路75aへ流れる。流路75aへ流れ出た液剤は、ポンプ75により所定量吸引され、吐出口75bから流路部材15内へ吐出される。
【0061】
図16Cに示すように、ユニットケース50は、第1側壁50cと、後壁50dと、中央壁50eと、第2側壁50fと、タンク70及び71を収容するタンク収容部68と、を備える。中央壁50eは、自動投入用のタンク70及び71を収容するタンク収容部68と、手動投入用のケース60~63を収容する空間とを分離している。
【0062】
タンク収容部68は、タンク70及び71の底面を支持する下面68aを有し、下面68aと、ユニットケース50の第1側壁50cと、後壁50dと、中央壁50eとで囲まれる空間内にタンク70及び71を収容する。
【0063】
図16C及び図21に示すように、タンク収容部68の下面68aの一部に、ユニットケース50の底部50bへ連通する第1開口121及び第2開口122が設けられている。第1開口121は第1タンク接続部76の開口76bの下方に設けられ、第2開口122は第2タンク接続部77の開口77bの下方に設けられている。第1開口121及び第2開口122は、それぞれ、第1タンク接続部76及び第2タンク接続部77から垂れた液剤(以降、液垂れという)を下部流路部80へ落とすための貫通孔である。
【0064】
また、タンク収容部68の下面68aには、第1開口121に向けて下方傾斜する傾斜面68bと、第2開口122に向けて下方傾斜する傾斜面68cとが設けられている。傾斜面68bは、第1タンク接続部76のピン76aに沿って前後方向Lに延びており、傾斜面68cは、第2タンク接続部77のピン77aに沿って前後方向Lに延びている。言い換えると、傾斜面68b及び68cは、それぞれ、タンク70及び71が第1タンク接続部76及び第2タンク接続部77から前方に向かって引き抜かれる際に落下する液垂れを、第1開口121及び第2開口122に案内するように傾斜している。傾斜面68b、68cは、それぞれ、下端において第1開口121及び第2開口122と接続しており、第1タンク接続部76のピン76a及び第2タンク接続部77のピン77aから落下した液垂れを第1開口121及び第2開口122へそれぞれ案内する。
【0065】
ユーザがタンク71に液剤を補充するためにタンク71を液剤投入装置73の第1タンク接続部76から取り外されると、液剤がピン76aの先端及び第1タンク接続部76の開口76bからユニットケース50の底部50bへ垂れ落ちる。垂れ落ちた液垂れは乾燥して固着するので、除去することが望ましい。そこで、第1タンク接続部76の開口76bの直下に第1開口121が設けられおり、さらに、第1タンク接続部76の開口76b及び第1開口121の直下に、第1傾斜面103が配置されている。第1傾斜面103は、第1流路101に向けて下方傾斜している。したがって、第1タンク接続部76のピン76aの先端及び開口76bから垂れ落ちた液垂れは、第1開口121を通過して、第1傾斜面103に落下し、さらに第1流路101へ案内される。
【0066】
第2タンク接続部77の開口77bの直下に第2開口122が設けられおり、さらに、第2タンク接続部77の開口77b及び第2開口122の直下に、第2傾斜面104が配置されている。第2傾斜面104は、第1流路101に向けて下方傾斜している。したがって、第2タンク接続部77のピン77aの先端及び開口77bから垂れ落ちた液垂れは、第2開口122を通過して、第2傾斜面104に落下し、さらに第1流路101へ案内される。
【0067】
次に、図17図19も参照して斜面に落ちた液垂れの洗浄について説明する。ユニットケース50の底部50bに形成された下部流路部80は、第1流路101を有する。
【0068】
下部流路部80は、経路F5と水平方向に接続され経路F5から水が流入する第2流入部83と、第2流入部83に流入した水を第1流路101に案内する第4壁107と、を有する。第2流入部83は、ユニットケース50内において、幅方向内側が開口した扇形筒状の形状を有する。
【0069】
第4壁107は底部50bから鉛直上方に起立し、第2流入部83から水平方向前方に向けて流入した水と対向するように幅方向Kに沿って延びる。経路F5から第2流入部83に流入した水は、第4壁107と衝突して幅方向Kの内側方向に案内される。水は、やがて、ユニットケース50の底部50bの幅方向中央部に設けられた、ユニットケース50の後端から前方向に延びる第6壁113に衝突して前後方向の流れに変更され、注水口81へ案内される。
【0070】
第1傾斜面103の周りは壁106に囲まれており、第1傾斜面103に落下した液垂れを、第1流路101の第4壁107よりも下流側に案内する第5壁111が設けられている。第5壁111の後ろ側は、第4壁107と対向する。壁106と第5壁111との間に開口108が設けられている。
【0071】
第5壁111の上面には、第1傾斜面103に向けて傾斜する第2傾斜面104が設けられている。第2傾斜面104は、前後方向Lの後ろから前方向に下がるような傾斜を有する。これにより、第2傾斜面104に落ちた液垂れは、第1傾斜面103に案内されるので、第2傾斜面104で溜まるのを防止することができる。また、第5壁111は、第4壁107よりも幅方向Kの内側に延びているので、液垂れが第4壁107に当たって溜まるのを防止し、第1傾斜面103に落ちた液垂れを水が流れる第1流路101の領域まで案内することができる。
【0072】
図18に示すように、液垂れ落下の範囲Ar1は、第1傾斜面103及び第2傾斜面104に広がっているが、第2傾斜面104に落ちた液垂れは、第1傾斜面103に案内され、第1傾斜面103の液垂れは、第5壁111によって開口108を通って第1流路101へ案内される。
【0073】
図21に示すように、第3傾斜面105は、タンク70と接続される第2タンク接続部77の下方に位置する。図17から図19に示すように、第3傾斜面105は、第1流路101に向けて傾斜する。第3傾斜面105の幅方向Kの内側は絞られることなく開放された状態で第1流路101に接続されている。第3傾斜面105に落下した液垂れは、自重により第3傾斜面105に沿って下方へ落ちていき、第1流路101を流れる水に案内されて、水とともに注水口81へ流れる。
【0074】
ユニットケース50の底部50bに対する、第1傾斜面103及び第3傾斜面105の角度θ(図17参照)は、10度以上であり、例えば、20~30度程度である。なお、底部50b及び第1流路101の幅方向Kの傾斜角度は3度程度である(図20参照)。第1傾斜面103及び第3傾斜面105が10度以上の傾斜角度を有することで、第1傾斜面103及び第3傾斜面105に落下してきた液垂れを第1流路の方へ案内することができる。
【0075】
図17に示すように、ユニットケース50の底部50bは前後方向Lにおいて、それぞれの前端及び後端から注水口81に向けて傾斜している。したがって、第1流路101も前後方向Lにおいて後端から前方向に傾斜しているので、第1傾斜面103及び第3傾斜面105の傾斜面と第1流路101の傾斜面とが互いに向き合うように、逆向きになっている。
【0076】
第1流路101を流れる水は、開口108から第1傾斜面103へも流れる。したがって、第1傾斜面103の中央部及び下部に残る液垂れも洗い流すことができる。水は、例えば、第1傾斜面103の高さの7割程度まで流れこんでくる。また、第3傾斜面105の幅方向内側、つまり第3傾斜面105における第1流路101の下流側には、壁が設けられておらず、注水口81へ傾斜する第1流路101へも開放されている。したがって、第1流路101を流れる水は、第3傾斜面105を通ることで流れる経路をショートカットして注水口81へ向かうこともできる。この際に、第3傾斜面105の中央部及び下部に残る液垂れも洗い流すことができる。
【0077】
[効果]
実施の形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
(効果1)
【0078】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、給水弁10cから供給された水が通過する給水経路としての経路F3、F4、F6と、洗剤を貯留するタンク70と、経路F4に対してタンク70内の洗剤を吐出する液剤投入装置74と、洗剤泡を生成する泡立て部84を有する下部流路部80と、を備える。下部流路部80は、経路F6から水と洗剤とを含む洗剤水が流入する第1流入部82を有する。泡立て部84には、第1流入部82から流入した洗剤水が流入する。泡立て部84は、洗剤水の流れに対向する第1壁85を有する。第1流入部82の開口から第1壁85への流路空間89に向けて開放されている。
【0079】
泡立て部84にて、流れに対向する第1壁85に洗剤水を衝突させることで、第1壁85近傍に洗剤水を滞留させることがきる。この滞留した洗剤水に対して、さらに、第1流入部82から流入した洗剤水を衝突させることで、洗剤泡を発生させることができる。また、洗剤を含まない水を用いなくても洗剤水を泡立てることができるので、経路F4へ流す水を少なくする必要がなく、吐出経路における洗剤の溶解効果を保つことができる。
【0080】
第1流入部82の開口面積は、第1流入部82の開口と接続する経路F6の断面積よりも小さい。これにより、第1流入部82から第1壁85への流路空間89へ洗剤水を案内する前に第1流入部82により水が流れる経路が絞られているので、第1流入部82から流出する洗剤水の流速を増加させることができる。一旦流速を高めた洗剤水を第1壁85に向けて流すことで、泡立て部84内の第1壁85の近傍で滞留する洗剤水に、流速を高めた洗剤水を勢いよく衝突させ、より大きな乱流を発生させることができ、泡立てを促進することができる。
【0081】
また、洗剤水が衝突する第1壁85の面積は、第1流入部82の開口面積よりも大きい。これにより、第1流入部82と第1壁85とが離れて配置された場合に洗剤水の流れが水平方向に広がっても、第1壁85に衝突しやすくなる。さらに、第1壁85付近で生成される洗剤泡を第1壁85で受け止めることができる。
【0082】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1流入部82は、経路F6と水平方向に接続されている。泡立て部84は、第1流入部82と対向して設けられた第1案内部86を有し、第1案内部86は、第1流入部82から流入した洗剤水を第1壁85に案内する。
【0083】
第1壁85が第1流入部82に対向して設けられていなくても、第1案内部86が、第1流入部82から流入した洗剤水を第1壁85へ案内することができる。また、第1案内部86が第1壁85としても機能し、泡立て効果も得ることができる。
【0084】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1案内部86は、下部流路部80の底面から鉛直上方に延び、第1流入部82と対向する第2壁91と、第2壁91の上端から下部流路部80の底面と対向して第1流入部82に向けて延びる天面部93と、を含む。
【0085】
第1流入部82から流れてきた洗剤液が第2壁91で衝突し洗剤液の一部が第2壁91に沿って上方に撥ねるが、上方に撥ねた洗剤液は天面部93によって下部流路部80へ返される。このように、天面部93によって第1案内部86の上方を乗り越えて、泡立て部84から流出するのを防止することができる。また、天面部93が洗剤液を戻すことで、上方に撥ねた洗剤液が第1案内部86の上方に位置するケース60に残水として残るのを防止することができる。
【0086】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1案内部86は、下部流路部80の底面から鉛直上方に延び、第1流入部82と対向する第2壁91を含み、第1案内部86の第2壁91は、第1流入部82から流入する洗剤水の流れに対して傾斜して設けられている。
【0087】
例えば、第1案内部86の第2壁91が第1流入部82から流入する洗剤水の流れに対して垂直に設けられていると、第2壁91へ衝突した洗剤水は勢いよく撥ねて第2壁91の上方を乗り越えて、泡立て前の洗剤水が流出することになる。また、撥ねた洗剤液が第1案内部86の上方に位置するケース60に入って意図しない残水を引き起こす。これに対して、第2壁91は、第1流入部82から流入する洗剤水の流れに対して傾斜して設けられているので、洗剤水の流れをスムーズに曲げて、第1壁85へ向かわせることができる。
【0088】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1案内部86は、第1流入部82と離隔して設けられる。泡立て部84は、第1流入部82と接続して設けられた第2案内部87を有し、第2案内部87は、第1流入部82から流入した洗剤水を第1案内部86に案内する。
【0089】
これにより、第1流入部82から流入した洗剤水の流れを制限し、第1流入部82と離隔して設けられた第1案内部86に向けて、洗剤水を案内することができる。
【0090】
また、本実施形態の洗濯機1は、第2案内部87の横断面は扇形の形状を有する。第2案内部87が扇形であるので、第1流入部82から流入した洗剤水の流れを、第2案内部87に沿う方向か、または、扇形の開口方向へと規制することができる。また、扇形の中心角が水平面に対して90度を越える場合、第2案内部87は屋根構造を有するので、洗剤水が上方へ撥ねるのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1案内部86と第2案内部87との間には、間隙が設けられている。
【0092】
これにより、第2案内部87の先端部を塞いでいないので、泡立て部84に流入する洗剤水の量が増加したとしても、第1案内部86と第2案内部87との間の間隙に洗剤水が流れることができるので、第2流入部83に流入する洗剤水が増えて水溢れするのを防止することができる。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、泡立て部84は、第1流入部82から第1壁85に至る流路において、下部流路部80の底面から鉛直上方に延びる複数のピン88を有する。
【0094】
それぞれのピン88に洗剤水が衝突することで洗剤泡の生成を促進することができる。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1において、泡立て部の上方に、泡立て部に向けて水を噴射するノズルを備えない。
【0096】
ノズルを備えないので、泡立てに用いる洗剤水を減らすことなく、泡立て部の構造のみで多くの泡立てを実現することができる。
(効果2)
【0097】
また、上述したように、本実施形態の洗濯機1は、給水弁10cから供給された水が通過する給水経路としての経路F3、F4、F5と、柔軟剤を貯留するタンク71と、タンク71と接続される第1タンク接続部76を有し、タンク71内の柔軟剤を経路F4に吐出する液剤投入装置73と、経路F3、F4、F5を通過した水が流れる第1流路101を有し、タンク71の下方に設けられた下部流路部80と、第1タンク接続部76の下方に位置し、第1流路101に向けて傾斜する第1傾斜面103と、を有する。
【0098】
第1タンク接続部76から落下した液垂れが第1傾斜面103に落下し、落下した液垂れを第1傾斜面103の傾斜に沿って第1流路101に案内することができる。そのため、第1タンク接続部76の直下に第1流路101のような流水経路を設けることができない場合にも、第1タンク接続部76から落下する液垂れを洗い流すことができる。
【0099】
下部流路部80は、経路F5と水平方向に接続され経路F5から水が流入する第2流入部83と、第2流入部83に流入した水を第1流路101に案内する第4壁107(第1壁部)と、を有する。
【0100】
第2流入部83から流入した水を、第4壁107によって液垂れが流下してくる第1流路101に案内することができる。
【0101】
第1傾斜面103に落下した柔軟剤を、第1流路101の第4壁107よりも下流側に案内する第5壁111(第2壁部)を有する。
【0102】
第5壁111により第1タンク接続部76から落下した液垂れを第4壁107よりも下流側に案内することができる。そのため、液垂れを第1傾斜面103に残留させず、洗浄することができる。
【0103】
第5壁111の上面には、第1傾斜面103に向けて傾斜する第2傾斜面104が設けられている。
【0104】
これにより、第5壁111の上面に柔軟剤が落下した場合も、第1傾斜面103を通じて水が流れる第1流路101へ誘導することがきる。
【0105】
洗濯機1は、洗剤を貯留するタンク70と、タンク70と接続される第2タンク接続部77を有し、タンク70内の洗剤を経路F4に吐出する液剤投入装置74と、第2タンク接続部77の下方に位置し、第1流路101に向けて傾斜する第3傾斜面105と、を備える。タンク70はタンク71よりも下部流路部80の下流側に配置され、第3傾斜面105は絞られることなく第1流路101に接続されている。
【0106】
これにより、第1流路101から注水口81に至る水が上方に溢れることを防止することができる。
【0107】
第1流路101は第1傾斜面103に向けて傾斜しており、第1傾斜面103は第1流路101に向けて傾斜している。これにより、第1流路101と第1傾斜面103との境目が水の深さを深くすることができ、第1流路101に案内された柔軟剤を効率よく洗浄することができる。
【0108】
洗濯機1は、タンク70を支持する下面68aを有し、タンク70を収容するタンク収容部68を備え、下面68aは、第1タンク接続部76の下方及び第1傾斜面103の直上に位置する第1開口121を有する。第1タンク接続部76から落ちた液垂れを、第1開口121を通過させて、第1傾斜面103へ案内することができる。
【0109】
タンク収容部68の下面68aは、第1タンク接続部76の延びる方向に沿って下方に傾斜する傾斜面68bを有し、傾斜面68bの下端は第1開口121に接続する。第1開口121からズレて落下した液垂れも、傾斜面68bによって第1開口121へ案内することができる。
【0110】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0111】
実施形態において、自動投入ユニット7が2つのタンクを有する場合について説明したが、このような場合に限定されない。自動投入ユニットが3つ以上のタンクを有してもよい。
【0112】
実施形態において、2つのタンクには、それぞれ洗剤および柔軟剤が収容されたが、収容される剤は洗剤および柔軟剤に限定されない。タンクには、液体洗剤、中性洗剤、漂白剤、補助剤などが収容されてもよい。
【0113】
第1の態様における洗濯機は、給水弁から供給された水が通過する給水経路と、第1液剤を貯留する第1タンクと、第1タンクと接続される第1タンク接続部を有し、第1タンク内の第1液剤を給水経路に吐出する第1液剤投入装置と、給水経路を通過した水が流れる第1流路を有し、第1タンクの下方に設けられた流路部と、第1タンク接続部の下方に位置し、第1流路に向けて傾斜する第1傾斜面と、を備える。
【0114】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、流路部は、給水経路と水平方向に接続され給水経路から水が流入する流入部と、流入部に流入した水を第1流路に案内する第1壁部と、を有する。
【0115】
第3の態様における洗濯機は、第2の態様における洗濯機において、第1傾斜面に落下した第1液剤を、第1流路の第1壁部よりも下流側に案内する第2壁部を有する。
【0116】
第4の態様における洗濯機として、第3の態様における洗濯機において、第2壁部の上面には、第1傾斜面に向けて傾斜する第2傾斜面が設けられている。
【0117】
第5の態様における洗濯機は、第1から第4の態様のいずれか1つにおける洗濯機において、第2液剤を貯留する第2タンクと、第2タンクと接続される第2タンク接続部を有し、第2タンク内の第2液剤を給水経路に吐出する第2液剤投入装置と、第2タンク接続部の下方に位置し、第1流路に向けて傾斜する第3傾斜面と、を備える。第2タンクは第1タンクよりも流路部の下流側に配置され、第3傾斜面は絞られることなく第1流路に接続されている。
【0118】
第6の態様における洗濯機として、第4の態様における洗濯機において、第1流路は第1傾斜面に向けて傾斜しており、第1傾斜面は第1流路に向けて傾斜している。
【0119】
第7の態様における洗濯機は、第1から第6の態様のいずれかにおける洗濯機において、第1タンクを支持する下面を有し、第1タンクを収容するタンク収容部を備える。下面は、第1タンク接続部の下方及び第1傾斜面の直上に位置する第1開口を有する。
【0120】
第8の態様における洗濯機として、第7の態様における洗濯機において、タンク収容部の下面は、第1タンク接続部の延びる方向に沿って下方に傾斜する傾斜面を有し、傾斜面の下端は第1開口に接続する。
【0121】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の洗濯機は、泡及び水を投入する洗濯機に適用可能であるので、縦型洗濯機、ドラム式洗濯機、二槽式洗濯機などに、本開示は提供可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 洗濯機
2 筐体
3 水槽
4 洗濯槽
5 洗濯剤供給ユニット
6 手動投入ユニット
7 自動投入ユニット
8 攪拌機構
9 排水弁
10 給水部
10a、10b、10c 給水弁
10d 給水口
11 流路部材
12、13 給水ノズル
14a、14b 開口
15 流路部材
15a 蓋
15b 本体流路部
15c 開口
15d、15e 接続口
16 開口
17 制御部
20 開口
21 蓋
40 貫通孔
41 開口
50 ユニットケース
50a 蓋
50b 底部
50c 第1側壁
50d 後壁
50e 中央壁
50f 第2側壁
60、61、62、63 ケース
64 本体部
68 タンク収容部
68a 下面
68b、68c 傾斜面
70、71 タンク
73、74 液剤投入装置
75 ポンプ
75a 流路
75b 吐出口
75c ポンプケース
76 第1タンク接続部
76a ピン
77 第2タンク接続部
78 接続部
79 タンク吐出弁
80 下部流路部
81 注水口
82 第1流入部
83 第2流入部
84 泡立て部
85 第1壁
86 第1案内部
87 第2案内部
87a 壁部
87aa 天面部
87ab 側壁部
87b 底面
87c 段差
88 ピン
91 第2壁
92 第3壁
93 天面部
94 間隙
95 液剤混合部
96 ピン
101 第1流路
103 第1傾斜面
104 第2傾斜面
105 第3傾斜面
106 壁
107 第4壁
108 開口
111 第5壁
113 第6壁
121 第1開口
122 第2開口
Ar1、Ar2 液剤落下の範囲
F1、F2、F3、F4、F5、F6 経路
K 幅方向
L 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21