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特開2024-151124光検出装置、電子機器及び半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151124
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】光検出装置、電子機器及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241017BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20241017BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241017BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/76
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064268
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今水 健太郎
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA22
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA33
4M118GA02
4M118GB09
4M118GC07
4M118GC08
4M118GD01
5C024CX43
5C024EX03
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
(57)【要約】
【課題】配線レイアウトの自由度を向上可能な光検出装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、及び複数の画素トランジスタを備える構成とした。また、複数の画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1転送トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2転送トランジスタを含む構成とした。さらに、第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、第1及び第2ゲート電極に第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
複数の画素トランジスタと、を備え、
複数の前記画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、前記第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1及び第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する
光検出装置。
【請求項2】
前記第1ゲート電極は、第1ゲート絶縁膜を介して前記第1チャネル形成領域と対向し、
前記第2ゲート電極は、第2ゲート絶縁膜を介して前記第2チャネル形成領域と対向し、
前記第1電圧と前記第2電圧との差が所定値以上となるように、前記第1ゲート絶縁膜の少なくとも一部の厚さが、前記第2ゲート絶縁膜の各部の厚さよりも薄くなっている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記半導体基板に前記光電変換部と離間して形成され、2以上の前記光電変換部で共有される電荷蓄積領域を備え、
前記2以上の前記光電変換部は、隣り合う第1光電変換部及び第2光電変換部を含み、
前記第1トランジスタは、前記第1光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第1転送トランジスタであり、
前記第1転送トランジスタでは、
前記第1チャネル形成領域は、前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第1光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第1ゲート電極は、前記第1チャネル形成領域と対向するように、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
前記第2トランジスタは、前記第2光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第2転送トランジスタであり、
前記第2転送トランジスタでは、
前記第2チャネル形成領域は、前記半導体基板の前記第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第2光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第2ゲート電極は、前記第2チャネル形成領域と対向するように、前記第2ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
さらに、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1ゲート絶縁膜のうちの、前記第1光電変換部側から前記電荷蓄積領域側に延びている帯状領域の厚さが、前記第2ゲート絶縁膜の各部の厚さよりも薄くなっている
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1ゲート絶縁膜のうちの、前記帯状領域を挟む一側及び他側にそれぞれ位置する残りの領域の厚さは、前記帯状領域の厚さよりも厚くなっている
請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は連続している
請求項3に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記半導体基板の隣り合う前記光電変換部間の領域に形成された画素分離部を備え、
前記画素分離部は、p型の半導体領域で形成されており、
前記電荷蓄積領域は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、2×2個の前記光電変換部が構成するブロックの中央に位置する領域に形成されて、前記2×2個の前記光電変換部で共有され、
前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部は、前記2×2個の前記光電変換部に含まれる、隣り合う一対の前記光電変換部であり、
前記第1ゲート絶縁膜及び前記第2ゲート絶縁膜、並びに前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極のそれぞれは、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部間に位置する領域を横切って連続的に形成されている
請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記画素分離部の幅方向中心に形成されたトレンチ部と、前記トレンチ部内に埋め込まれた絶縁膜と、を有する
請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面上に配置された配線層を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記配線層の配線を介して電気的に接続されている
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第1電圧と前記第2電圧との差が所定値以上となるように、前記第1チャネル形成領域の不純物濃度が、前記第2チャネル形成領域の不純物濃度よりも薄くなっている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記半導体基板に前記光電変換部と離間して形成され、2以上の前記光電変換部で共有される電荷蓄積領域を備え、
前記2以上の前記光電変換部は、隣り合う第1光電変換部及び第2光電変換部を含み、
前記第1トランジスタは、前記第1光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第1転送トランジスタであり、
前記第1転送トランジスタでは、
前記第1チャネル形成領域は、前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第1光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第1ゲート電極は、前記第1チャネル形成領域と対向するように、第1ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
前記第2トランジスタは、前記第2光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第2転送トランジスタであり、
前記第2転送トランジスタでは、
前記第2チャネル形成領域は、前記半導体基板の前記第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第2光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第2ゲート電極は、前記第2チャネル形成領域と対向するように、第2ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成されている
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は連続している
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記半導体基板の隣り合う前記光電変換部間の領域に形成された画素分離部を備え、
前記画素分離部は、p型の半導体領域で形成されており、
前記電荷蓄積領域は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、2×2個の前記光電変換部が構成するブロックの中央に位置する領域に形成されて、前記2×2個の前記光電変換部で共有され、
前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部は、前記2×2個の前記光電変換部に含まれる、隣り合う一対の前記光電変換部であり、
前記第1ゲート絶縁膜及び前記第2ゲート絶縁膜、並びに前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極のそれぞれは、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部間に位置する領域を横切って連続的に形成されている
請求項11に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記画素分離部の幅方向中心に形成されたトレンチ部と、前記トレンチ部内に埋め込まれた絶縁膜と、を有する
請求項12に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面上に配置された配線層を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記配線層の配線を介して電気的に接続されている
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項15】
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、及び複数の画素トランジスタを備え、複数の前記画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、前記第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1及び第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する光検出装置を有する
電子機器。
【請求項16】
第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタと、
第2チャネル形成領域と対向し、且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタと、を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1ゲート電極及び前記第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本開示に係る技術)は、光検出装置、電子機器及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部(フォトダイオード)と、半導体基板に光電変換部と離間して形成され、2×2個の光電変換部で共有される電荷蓄積領域(フローティングディフュージョン)と、各光電変換部毎に形成され、光電変換部で生成した電荷を電荷蓄積領域に転送する複数の転送トランジスタと、を備える光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光検出装置は、明所では、2×2個の光電変換部のうちの1つの光電変換部の電荷を転送して、SDR(Standard Dynamic Range)撮影を行い、暗所では、2つ以上の光電変換部の電荷を同時転送して、HDR(High Dynamic Range)撮影を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-104979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の光検出装置では、光電変換部の数と同数のゲート電極が必要となるため、ゲート電極にゲート電圧を供給する配線も光電変換部の数と同数必要となる。それゆえ、配線数が増大し、配線レイアウトの自由度が低下する可能性があった。
【0005】
本開示は、配線レイアウトの自由度を向上可能な光検出装置、電子機器及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光検出装置は、(a)半導体基板と、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、(c)複数のトランジスタと、を備え、(d)複数の画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、(e)第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、(f)第1及び第2ゲート電極に第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成することを要旨とする。
【0007】
本開示の他の電子機器は、(a)半導体基板、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、(c)及び複数のトランジスタを備え、(d)複数の画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、(e)第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、(f)第1及び第2ゲート電極に第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する光検出装置を有することを要旨とする。
【0008】
本開示の他の半導体装置は、(a)第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタと、(b)第2チャネル形成領域と対向し、且つ第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタと、を備え、(c)第1ゲート電極及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、(d)第1ゲート電極及び第2ゲート電極に第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、第1ゲート電極及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
図2】画素の回路構成を示す図である。
図3図1のA領域を半導体基板の表面側から見た場合の、固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図4図3のB-B’線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図5図3から第1ゲート電極及び第2ゲート電極を省略した場合の、固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図6図3のC-C’線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図7】第1転送トランジスタ及び第2転送トランジスタの動作を示す図である。
図8】第1転送トランジスタ及び第2転送トランジスタの動作を示す図である。
図9】比較例に係る固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図11】変形例(2)に係る固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図12図11のD-D’線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図13】変形例(3)に係る固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図14】変形例(4)に係る固体撮像装置の平面構成を示す図である。
図15】変形例(4)を、第1の実施形態に係る固体撮像装置に適用した場合を示す図である。
図16】変形例(4)を、第2の実施形態に係る固体撮像装置に適用した場合を示す図である。
図17】センサ画素及び読み出し回路の一例を表す図である。
図18】本変形例に係る固体撮像装置の概略構成の一例を示す図である。
図19】変形例(5)の画素の回路構成を示す図である。
図20】電子機器の構成例を示すブロック図である。
図21】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図22】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図23】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図24】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態に係る光検出装置、電子機器及び半導体装置の一例を、図1図24を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
1.第1の実施形態:固体撮像装置
1-1 固体撮像装置の全体の構成
1-2 画素の回路構成
1-3 要部の構成
2.第2の実施形態:固体撮像装置
2-1 要部の構成
2-2 変形例
3.第3の実施形態:電子機器
4.移動体への応用例
5.内視鏡手術システムへの応用例
【0011】
〈1.第1の実施形態〉
[1-1 固体撮像装置の全体の構成]
本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1(広義には「光検出装置」)について説明する。図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成を示す図である。
図1の固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。図20に示すように、固体撮像装置1(光検出装置103)は光学系102を介して、被写体からの像光(入射光)を取り込み、受光面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
図1に示すように、固体撮像装置1は、画素領域2と、周辺回路部とを備えている。周辺回路部は、垂直駆動回路3と、カラム信号処理回路4と、水平駆動回路5と、出力回路6と、制御回路7とを備えている。
【0012】
画素領域2は、二次元アレイ状に配置された複数の画素8を有している。画素8は、受光量に応じた電荷(例えば電子)を生成する光電変換部PD(図2参照)と、光電変換部PDで生成された電荷に基づく画素信号を出力する複数の画素トランジスタ(図2参照)とを有している。複数の画素トランジスタとしては、例えば転送トランジスタ13、リセットトランジスタ14、増幅トランジスタ15及び選択トランジスタ16を採用できる。
垂直駆動回路3は、例えば、シフトレジスタによって構成され、選択パルスφSEL(図2参照)を画素駆動配線9に順次出力して、画素領域2の各画素8を行単位で順次選択し、選択した画素8の画素信号を、垂直信号線10を通してカラム信号処理回路4に出力する。画素信号は、光電変換部PDで生成された電荷によって得られる信号である。
【0013】
カラム信号処理回路4は、例えば、画素8の列毎に配置されており、1行分の画素8から出力される画素信号それぞれに対して画素列毎に信号処理を行う。信号処理としては、例えば、画素固有の固定パターンノイズを除去するための相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)、AD(Analog Digital)変換を用いることができる。
水平駆動回路5は、例えば、シフトレジスタによって構成され、水平走査パルスをカラム信号処理回路4に順次出力して、カラム信号処理回路4の各々を順番に選択し、選択したカラム信号処理回路4に、信号処理された画素信号を水平信号線11に出力させる。
【0014】
出力回路6は、カラム信号処理回路4の各々から水平信号線11を通して順次に出力される画素信号に対して信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正等の各種デジタル信号処理を用いることができる。
制御回路7は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号(不図示)に基づいて、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4及び水平駆動回路5等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路7は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4及び水平駆動回路5等に出力する。
【0015】
[1-2 画素の回路構成]
次に、画素8の回路構成について説明する。図2は画素8の回路構成を示す図である。
図2に示すように、画素8は、光電変換部PDと、4つの画素トランジスタ(転送トランジスタ13、リセットトランジスタ14、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16)と、フローティングディフュージョン(以下「電荷蓄積領域FD」とも呼ぶ)とを有している。転送トランジスタ13、リセットトランジスタ14、増幅トランジスタ15及び選択トランジスタ16としては、例えば、nチャネルのMOSトランジスタを採用できる。また、電荷蓄積領域FDは、光電変換部PDで生成した電荷(例えば電子)を保持する領域である。例えば、n型の不純物がドープされたn型の半導体領域を採用できる。また、画素8には、画素駆動配線9として、例えば、転送線18、リセット線19及び選択線20が同一行の各画素8に対して共通に設けられている。転送線18、リセット線19及び選択線20それぞれの一端は、垂直駆動回路3(図1参照)に接続されている。
光電変換部PDは、アノード電極が基準電位線(例えば、グランド)に電気的に接続され、カソード電極が転送トランジスタ13を介して増幅トランジスタ15のゲート電極に接続されている。光電変換部PDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0016】
転送トランジスタ13は、光電変換部PDのカソード電極と電荷蓄積領域FDとの間に接続されている。転送トランジスタ13のゲート電極には、転送線18を介して、高レベルがアクティブ(以下、「Highアクティブ」とも呼ぶ)の転送パルスφTRFが与えられる。転送パルスφTRFがゲート電極に与えられることにより、転送トランジスタ13は、オン状態となって、光電変換部PDが蓄積している電荷を電荷蓄積領域FDに転送する。
ここで、後述するように、隣り合う2つの転送トランジスタ13(第1転送トランジスタ131、第2転送トランジスタ132)のゲート電極(第1ゲート電極29、第2ゲート電極31)は、互いに電気的に接続されている。それゆえ、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31は、同じ転送線18に電気的に接続され、同じ転送パルスφTRFが与えられる。また、転送パルスφTRF は、第1電圧Vth1及び第2電圧Vth2(>Vth1)の2種類を高レベルとして付与可能となっている。そして、第1転送トランジスタ131は、第1ゲート電極29に第1電圧Vth1又は第2電圧Vth2(即ち、第1電圧Vth1以上の電圧)が与えられると、オン状態となって、第1光電変換部PD1(後述)が蓄積している電荷を電荷蓄積領域FDに転送可能となっている。また、第2転送トランジスタ132は、第2ゲート電極31に第2電圧Vth2が与えられると、オン状態となって、第2光電変換部PD2(後述)が蓄積している電荷を電荷蓄積領域FDに転送可能となっている。
【0017】
リセットトランジスタ14は、ドレイン電極が電源線Vddに接続され、ソース電極が電荷蓄積領域FDに接続されている。リセットトランジスタ14のゲート電極には、転送トランジスタ13(第1転送トランジスタ131、第2転送トランジスタ132)による光電変換部PDから電荷蓄積領域FDへの電荷の転送前に、HighアクティブのリセットパルスφRSTがリセット線19を介して与えられる。リセットパルスφRSTがゲート電極に与えられることにより、リセットトランジスタ14は、オン状態となって、電荷蓄積領域FDが蓄積している電荷を電源線Vddに捨て、電荷蓄積領域FDをリセットする。
【0018】
増幅トランジスタ15は、ゲート電極が電荷蓄積領域FDに接続され、ドレイン電極が電源線Vddに接続されている。そして、リセットの実行後、転送トランジスタ13による電荷の転送後の電荷蓄積領域FDの電位に応じた信号を画素信号として出力する。
選択トランジスタ16は、ドレイン電極が増幅トランジスタ15のソース電極に接続され、ソース電極が垂直信号線10に接続されている。選択トランジスタ16のゲート電極には、Highアクティブの選択パルスφSELが選択線20を介して与えられる。選択パルスφSELがゲート電極に与えられることにより、選択トランジスタ16は、オン状態となって、増幅トランジスタ15から出力された画素信号を垂直信号線10に出力する。
上記の構成により、画素トランジスタ(転送トランジスタ13、リセットトランジスタ14、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16)は、光電変換部PDで生成された電荷に基づく画素信号を出力する。なお、選択トランジスタ16は省略してもよい。
【0019】
[1-3 要部の構成]
次に、固体撮像装置1の詳細構造について説明する。図3は、図1のA領域を半導体基板21の表面側から見た場合の、固体撮像装置1の平面構成を示す図である。また、図4は、図3のB-B’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
図4に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板21を有し、半導体基板21の受光面(以下、「裏面S1」とも呼ぶ)に、カラーフィルタ22、及びマイクロレンズ23がこの順に積層されている。なお、半導体基板21とカラーフィルタ22との間には、平坦化膜やOPB(Optical Black)膜等の各種膜を配置してもよい。また、半導体基板21の裏面S1と反対側の面(広義には「第1面」。以下、「表面S2」とも呼ぶ)には、配線層24が配置されている。
【0020】
半導体基板21は、例えば、シリコン(Si)によって構成された基板である。半導体基板21は、図3に示すように、各画素8に対応する領域それぞれに光電変換部PDが形成されている。即ち、半導体基板21には、複数の光電変換部PDが二次元アレイ状に形成されている。また、複数の光電変換部PDは、2×2個の光電変換部PDが1つのブロック25を構成し、複数のブロック25が二次元配置された構成となっている。以下、2×2個の光電変換部PDのうち、図3の左下及び右上の光電変換部PDを「第1光電変換部PD1」とも呼び、図3の右下及び左上の光電変換部PDを「第2光電変換部PD2」とも呼ぶ。即ち、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2(広義には「2以上の光電変換部」)は、2×2個の光電変換部PDに含まれる、隣り合う一対の光電変換部PDである。図3では、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2が、左右方向に隣り合う場合を例示している。第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2は、p型半導体領域とn型半導体領域とを有し、これらのpn接合によってフォトダイオードを構成し、入射した光を光電変換して電荷(例えば、電子)を生成する。また、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2は、生成した電荷をpn接合で生じた静電容量に蓄積する。
【0021】
また、半導体基板21の隣り合う光電変換部PD(PD1、PD2)間の領域には、画素分離部26が形成されている。即ち、画素分離部26は、各光電変換部PD(PD1、PD2)を取り囲むように、格子状に形成されている。画素分離部26は、半導体基板21の表面S2側から裏面S1側まで連続して形成される。例えば、p型の半導体領域を採用できる。画素分離部26により、隣り合う光電変換部PD(PD1、PD2)間にポテンシャル障壁を形成でき、光電変換部PD(PD1、PD2)間の電荷の移動が防止される。
また、半導体基板21の表面S2側には、光電変換部PD(PD1、PD2)と離間されて、電荷蓄積領域FDが形成されている。電荷蓄積領域FDは、ブロック25ごとに形成され、ブロック25の中央に位置する半導体基板21の領域に形成されている。即ち、電荷蓄積領域FDは、半導体基板21の厚さ方向から見た場合に、画素分離部26のうちの、ブロック25の中央に位置する領域に形成されて、ブロック25を構成する2×2個の光電変換部PD(PD1、PD2)で共有されている。言い換えると、電荷蓄積領域FDは、2以上の光電変換部PD(PD1、PD2)で共有されている、と言える。また、電荷蓄積領域FDの配線層24側の面(以下、「露出面S3」とも呼ぶ)は、表面S2に露出している。電荷蓄積領域FDは、露出面S3と対向する位置に配置されたコンタクト27に接続され、コンタクト27及び配線層24の配線等を介して、画素トランジスタ(例えば、図2に示した増幅トランジスタ15のゲート電極等)に電気的に接続される。
【0022】
また、図4に示すように、半導体基板21の表面S2側には、複数の転送トランジスタ13が形成されている。複数の転送トランジスタ13は、第1光電変換部PD1で生成した電荷を電荷蓄積領域FDに転送する第1転送トランジスタ131(広義には「第1トランジスタ」)、及び第2光電変換部PD2で生成した電荷を電荷蓄積領域FDに転送する第2転送トランジスタ132(広義には「第2トランジスタ」)を含んでいる。第1転送トランジスタ131は、第1チャネル形成領域28と対向する第1ゲート電極29を有している。第1チャネル形成領域28は、半導体基板21の裏面S1側のうちの、第1光電変換部PD1と電荷蓄積領域FDとの間の領域に形成され、p型の不純物(例えば、ボロン(B))がドープされたp型の半導体領域である。また、第1ゲート電極29は、第1チャネル形成領域28と対向するように、第1ゲート絶縁膜32を介して半導体基板21の表面S2上に形成され、ドープドポリシリコン(Poly-Si)等によって構成された電極である。
また、第2転送トランジスタ132は、第2チャネル形成領域30と対向する第2ゲート電極31を有している。第2チャネル形成領域30は、半導体基板21の表面S2側のうちの、第2光電変換部PD2と電荷蓄積領域FDとの間の領域に形成され、p型の不純物がドープされたp型の半導体領域である。また、第2ゲート電極31は、第2チャネル形成領域30と対向するように、第2ゲート絶縁膜33を介して半導体基板21の表面S2上に形成され、ドープドポリシリコン等によって構成された電極である。また第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の不純物濃度は同一となっている。
【0023】
また、第1ゲート絶縁膜32の少なくとも一部の厚さt1が、第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2よりも薄くなっている。図4では、半導体基板21の厚さ方向から見た場合に、第1ゲート絶縁膜32のうちの、第1光電変換部PD1側から電荷蓄積領域FD側に延びている帯状領域34(図5参照)の厚さt1が、第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2よりも薄くなっている(t1<t2)。図5は、図3から第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31を省略した場合の、固体撮像装置1の平面構成を示す図である。これらの厚さt1、t2の差は、第1チャネル形成領域28にチャネルが形成される電圧(第1電圧Vth1)と、第2チャネル形成領域30にチャネルが形成される電圧(第2電圧Vth2>Vth1)との差が所定値(例えば、0.5V)以上となるように設定する。即ち、第1電圧Vth1と第2電圧Vth2との差が所定値以上となるように、第1ゲート絶縁膜32の少なくとも一部の厚さt1が第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2よりも薄くなっている。
また、図5及び図6に示すように、第1ゲート絶縁膜32のうちの、帯状領域34を挟む一側及び他側にそれぞれ位置する残りの領域の厚さt3、t4は、帯状領域34の厚さt1よりも厚くなっている(t3、t4>t1)。図6は、図3のC-C’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。t3、t4>t1とすることにより、第1ゲート絶縁膜32のうちの電界集中で高い電圧がかかる箇所(例えば、図6の第1ゲート電極29の左下隅及び右下隅とに接する箇所)に、絶縁破壊が生じることを抑制できる。
【0024】
また、図3に示すように、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31は連続している。即ち、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31は、1つのゲート電極36で形成され、互いに電気的に接続されている。同様に、図5に示すように、第1ゲート絶縁膜32及び第2ゲート絶縁膜33は、ゲート電極36と同一形状の、1つのゲート絶縁膜35で形成されている。図3及び図5では、ゲート絶縁膜35及びゲート電極36が、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30を連続的に覆うように、電荷蓄積領域FDの露出面S3の外周に沿って帯状に形成された場合を例示している。より具体的には、ゲート絶縁膜35及びゲート電極36のそれぞれは、半導体基板21の厚さ方向から見た場合に、画素分離部26のうちの、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2間に位置する領域(以下、「分離領域37」とも呼ぶ)を横切って連続的に形成されている。
また、ゲート電極36は、半導体基板21の厚さ方向から見た場合に、分離領域37と重なる位置でコンタクト38(図3参照)に接続され、コンタクト38及び配線層24の配線等を介して、転送線18(図2参照)に電気的に接続されている。
【0025】
上記の構成により、第1転送トランジスタ131及び第2転送トランジスタ132において、例えば、図7に示すように、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に転送パルスφTRFとして第1電圧Vth1(低電圧)が印加されると、第1転送トランジスタ131がオン状態、第2転送トランジスタ132がオフ状態となり、第1ゲート電極29と対向する第1チャネル形成領域28のみにチャネルが形成される。そして、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷を電荷蓄積領域FDに転送する。
また、例えば、図8に示すように、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第1電圧Vth1よりも高い第2電圧Vth2(高電圧)が転送パルスφTRFとして印加されると、第1転送トランジスタ131及び第2転送トランジスタ132の両方がオン状態となり、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の両方にチャネルが形成される。そして、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷、及び第2光電変換部PD2に蓄積されている電荷を電荷蓄積領域FDに同時に転送する。
【0026】
カラーフィルタ22は、1つのブロック25に対して1つのカラーフィルタ22が配置されるように二次元アレイ状に配置されている。カラーフィルタ22としては、例えば、RGB光等の所定波長の光を透過させるフィルタを採用できる。これにより、カラーフィルタ22は、所定波長の光を透過させて、透過した光を光電変換部PDに入射させる。
マイクロレンズ23は、1つの光電変換部PDに対して1つのマイクロレンズ23が配置されるように二次元アレイ状に配置されている。マイクロレンズ23は、被写体からの光を集光し、集光した光を、カラーフィルタ22を介して光電変換部PDに入射させる。
配線層24は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜を介して複数層に積層された配線(不図示)とを有し、複数層の配線を介して、各画素8の画素トランジスタを駆動する。
【0027】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、半導体基板21の裏面S1側から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ23及びカラーフィルタ22を透過し、透過した光が光電変換部PDで光電変換されて電荷(電子)が生成される。そして、生成された電荷が、配線層24の配線で形成された図1の垂直信号線10から画素信号として出力される。
また、第1の実施形態に係る固体撮像装置1は、明所では、隣り合う第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2のうちの第1光電変換部PD1の電荷を電荷蓄積領域FDに転送して、SDR撮影を実行する。また、暗所では、第1光電変換部PD1の電荷と第2光電変換部PD2の電荷とを電荷蓄積領域FDに同時転送して、HDR撮影を実行する。
ここで、例えば、図9に示すように、第1ゲート電極29と第2ゲート電極31とを互いに離間させて電気的に絶縁させ、また、第1ゲート絶縁膜32の厚さと第2ゲート絶縁膜33の厚さとを同一とする構成(比較例の構成)を採用した場合を考える。図9は、変形例に係る固体撮像装置1の平面構成を示す図である。このような構成を採用した場合、SDR撮影やHDR撮影を行うためには、光電変換部PDの数と同数のゲート電極が必要となるため、ゲート電極にゲート電圧を供給する配線も光電変換部PDの数と同数必要となる。それゆえ、配線数が増大し、配線レイアウトの自由度が低下する可能性があった。
【0028】
これに対し、第1の実施形態では、図4に示すように、画素トランジスタとして、第1チャネル形成領域28と対向する第1ゲート電極29を有する第1転送トランジスタ131、及び第2チャネル形成領域30と対向し且つ第1ゲート電極29と電気的に接続された第2ゲート電極31を有する第2転送トランジスタ132を含む構成とした。また、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第1電圧Vth1(低電圧)が印加された場合には、第1チャネル形成領域28のみにチャネルを形成し、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第2電圧Vth2(>Vth1。高電圧)が印加された場合には、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の両方にチャネルを形成する構成とした。
このような構成により、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31の一方に電圧を印加することで他方にも電圧を印加することができる。そして、例えば、明所での撮影時には、図7に示すように、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に転送パルスφTRFとして第1電圧Vth1(低電圧)を印加することで、第2転送トランジスタ132をオフ状態に維持しつつ、第1転送トランジスタ131のみをオン状態とすることができる。それゆえ、第1ゲート電極29と対向する第1チャネル形成領域28のみにチャネルを形成でき、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷(例えば、電子)だけを電荷蓄積領域FDに転送でき、SDR撮影を実現することができる。
【0029】
また、例えば、暗所での撮影時には、図8に示すように、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に転送パルスφTRFとして第1電圧Vth1よりも高い第2電圧Vth2(高電圧)を印加することで、第1転送トランジスタ131及び第2転送トランジスタ132の両方をオン状態とすることができる。それゆえ、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の両方にチャネルを形成できる。そして、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷、及び第2光電変換部PD2に蓄積されている電荷を電荷蓄積領域FDに同時に転送でき、HDR撮影を実現することができる。
また、上記の構成により、第1の実施形態に係る固体撮像装置1では、転送トランジスタ13にゲート電圧を供給する配線(例えば、図2の転送線18)が光電変換部PDの数の半分で済む。それゆえ、配線数を低減でき、配線レイアウトの自由度を向上できる。
【0030】
〈2.第2の実施形態〉
[2-1 要部の構成]
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。第2の実施形態の固体撮像装置1の全体構成は、図1と同様であるから図示を省略する。図10は、第1の実施形態の図4に対応する図であり、第2の実施形態の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。図10では図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
第2の実施形態に係る固体撮像装置1は、ゲート絶縁膜35の構造、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の不純物濃度が、第1の実施形態と異なっている。ゲート絶縁膜35の各部の厚さは一定となっている。即ち、第1ゲート絶縁膜32の各部の厚さt1と第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2とが同一となっている。また第1チャネル形成領域28の不純物濃度は第2チャネル形成領域30の不純物濃度よりも薄くなっている。これらの不純物濃度の差は、第1チャネル形成領域28にチャネルが形成される電圧(第1電圧Vth1)と、第2チャネル形成領域30にチャネルが形成される電圧(第2電圧Vth2)との差が所定値(例えば0.5V)以上となるように設定する。即ち、第1電圧Vth1と第2電圧Vth2との差が所定値以上となるように、第1チャネル形成領域28の不純物濃度が第2チャネル形成領域30の不純物濃度よりも薄くなっている。
【0031】
このように第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30に不純物濃度の差を持たせることにより、第2の実施形態に係る固体撮像装置1では、第1の実施形態と同様に、例えば、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第1電圧Vth1(低電圧)を印加することで、第2転送トランジスタ132をオフ状態に維持しつつ、第1転送トランジスタ131のみをオン状態とすることができる。それゆえ、第1ゲート電極29と対向する第1チャネル形成領域28のみにチャネルを形成でき、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷だけを電荷蓄積領域FDに転送できる。
また、例えば、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第2電圧Vth2(>Vth1。高電圧)を印加することで、第1転送トランジスタ131及び第2転送トランジスタ132の両方をオン状態とすることができる。それゆえ、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の両方にチャネルを形成できる。そして、形成したチャネルを通して、第1光電変換部PD1に蓄積されている電荷、及び第2光電変換部PD2に蓄積されている電荷を電荷蓄積領域FDに同時に転送できる。また、上記の構成により、転送トランジスタ13にゲート電圧を供給する配線(図2の転送線18)が光電変換部PDの数の半分で済む。それゆえ、配線数を低減でき、配線レイアウトの自由度を向上できる。
【0032】
[2-2 変形例]
(1)なお、第2の実施形態では、第1ゲート絶縁膜32の各部の厚さt1と第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2とを同一とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、第1電圧Vth1と第2電圧Vth2との差が所定値(例えば、0.5V)以上となるように、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30に不純物濃度の差を持たせるとともに、第1ゲート絶縁膜32の各部の厚さt1と第2ゲート絶縁膜33の各部の厚さt2とを異ならせる構成としてもよい。
【0033】
(2)また、第1及び第2の実施形態では、画素分離部26を、p型の半導体領域で形成する例を示したが、他の構成を採用することができる。例えば、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置1において、図11及び図12に示すように、画素分離部26を、画素分離部26の幅方向中心に形成されたトレンチ部39と、トレンチ部39内に埋め込まれた絶縁膜40とを有する構成としてもよい。トレンチ部39は、表面S2側から深さ方向に掘り込んで構成されたトレンチ部である。図12は、図11のD-D’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。図12では、画素分離部26のうちの半導体基板21の裏面S1側の部分をp型の半導体領域(以下、「不純物領域41」とも呼ぶ)のみで構成し、表面S2側の部分を不純物領域41と絶縁膜40とで構成した場合を例示している。ここで、例えば、ゲート電極36に電圧が印加されると、画素分離部26のうちの、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2間に位置する領域(分離領域37)に電圧が印加される。それゆえ、例えば、画素分離部26の表面S2側の部分を不純物領域41のみで形成した場合、分離領域37の不純物領域41のポテンシャル障壁が下がり、第1光電変換部PD1と第2光電変換部PD2との間で電荷の漏れを生じるブルーミングが発生する可能性があった。これに対し、本変形例では、画素分離部26の表面S2側の部分が不純物領域41と絶縁膜40とで形成されるため、分離領域37の不純物領域41のポテンシャル障壁が下がっても、絶縁膜40で第1光電変換部PD1と第2光電変換部PD2との間の電荷の漏れを抑制でき、ブルーミングを抑制できる。図12では、本変形例を第1の実施形態に係る固体撮像装置1に適用した場合を例示している。
【0034】
(3)また、第1及び第2の実施形態では、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31を連続して形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置1において、図13に示すように、第1ゲート電極29と第2ゲート電極31とを物理的に分断して形成し、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31を、配線層24の配線42を介して電気的に接続する構成としてもよい。図13では、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31のそれぞれは、コンタクト38に接続され、コンタクト38及び配線層24の配線42を介して互いに電気的に接続される場合を例示している。これにより、例えば、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に電圧が印加されても、画素分離部26のうちの、第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2間に位置する領域(分離領域37)に電圧が印加されずに済む。それゆえ、分離領域37のポテンシャル障壁が下がることを防止でき、第1光電変換部PD1と第2光電変換部PD2との間の電荷の漏れを抑制することができ、ブルーミングを抑制できる。
【0035】
(4)また、第1及び第2の実施形態では、隣り合う一対の光電変換部PDである第1光電変換部PD1及び第2光電変換部PD2に対して1つのゲート絶縁膜35及びゲート電極36を形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置1において、図14図15及び図16に示すように、1つのブロック25を構成する4つの光電変換部(以下、「第1光電変換部PD1」「第2光電変換部PD2」「第3光電変換部PD3」「第4光電変換部PD4」とも呼ぶ)に対して1つのゲート絶縁膜35及びゲート電極36を形成する構成としてもよい。この場合、ゲート絶縁膜35及びゲート電極36それぞれは、第1光電変換部PD1、第2光電変換部PD2、第3光電変換部PD3及び第4光電変換部PD4の表面S2を連続的に覆うように、電荷蓄積領域FDの露出面S3の外周に沿って環帯状に形成する。図15は、本変形例を、第1の実施形態に係る固体撮像装置1に適用した場合を示す図である。また、図16は、本変形例を、第2の実施形態に係る固体撮像装置1に適用した場合を示す図である。
【0036】
ここで、第1の実施形態に係る固体撮像装置1に適用する場合、図15に示すように、第1光電変換部PD1に対応する転送トランジスタ(以下、「第1転送トランジスタ131」とも呼ぶ)のゲート絶縁膜35の厚さ< 第2光電変換部PD2に対応する転送トランジスタ(以下、「第2転送トランジスタ132」とも呼ぶ)のゲート絶縁膜35の厚さ< 第3光電変換部PD3に対応する転送トランジスタ(以下、「第3転送トランジスタ133」とも呼ぶ)のゲート絶縁膜35の厚さ< 第4光電変換部PD4に対応する転送トランジスタ(以下、「第4転送トランジスタ134」とも呼ぶ)のゲート絶縁膜35の厚さ、とする。図15では、上記の順番を、ゲート絶縁膜35のうちの、第1光電変換部PD1側、第2光電変換部PD2側、第3光電変換部PD3側及び第4光電変換部PD4側のそれぞれから電荷蓄積領域FD側に延びている帯状領域43において実現した場合を例示している。
また、第2の実施形態に係る固体撮像装置1に適用する場合、図16に示すように、第1転送トランジスタ131のチャネル形成領域44の不純物濃度< 第2転送トランジスタ132のチャネル形成領域44の不純物濃度< 第3転送トランジスタ133のチャネル形成領域44の不純物濃度< 第4転送トランジスタ134のチャネル形成領域44の不純物濃度、とする。図16では、チャネル形成領域44が明確となるように、ゲート絶縁膜35及びゲート電極36を省略した場合の、固体撮像装置1の平面構成を図示している。
【0037】
(5)また、第1及び第2の実施形態では、電荷蓄積領域FDを、2×2個の光電変換部PDで共有する例を示したが、他の構成を採用することができる。例えば、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置1において、図17に示すように、フローティングディフュージョンFD(図2の「電荷蓄積領域FD」に相当)を、各センサ画素52(図2の「画素8」に相当)毎に形成し、2×2個のフローティングディフュージョンFDを電気的に接続する構成としてもよい。図17は、センサ画素52及び読み出し回路62の一例を表したものである。この場合、例えば、図18に示すように、固体撮像装置1を、3つの基板(第1基板50、第2基板60、第3基板70)を備える構成としてもよい。図18は、本変形例に係る固体撮像装置1の概略構成の一例を示す図である。固体撮像装置1は、第1基板50、第2基板60及び第3基板70を貼り合わせた3次元構造となっている。第1基板50、第2基板60及び第3基板70は、この順に積層されている。
【0038】
第1基板50は、半導体基板51(図1の「半導体基板21」に相当)に、光電変換を行う複数のセンサ画素52(図1の「画素8」に相当)を有している。複数のセンサ画素52は、第1基板50における画素領域53(図1の「画素領域2」に相当)内に行列状に設けられている。第2基板60は、半導体基板61に、センサ画素52から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路62を4つのセンサ画素52ごとに1つずつ有している。また、第2基板60は、行方向に延在する複数の画素駆動線63(図1の「画素駆動配線9」に相当)と、列方向に延在する複数の垂直信号線64(図1の「垂直信号線10」に相当)とを有している。また、第3基板70は、半導体基板71に、画素信号を処理するロジック回路72を有している。ロジック回路72は、例えば、垂直駆動回路73(図1の「垂直駆動回路3」に相当)、カラム信号処理回路74(図1の「カラム信号処理回路4」に相当)、水平駆動回路75(図1の「水平駆動回路5」に相当)及びシステム制御回路76(図1の「制御回路7」に相当)を有している。ロジック回路72(具体的には、水平駆動回路75)は、センサ画素52毎の出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路72では、例えば、ソース電極及びドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0039】
垂直駆動回路73は、例えば、複数のセンサ画素52を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路74は、例えば、垂直駆動回路73によって選択された行の各センサ画素52から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(CDS)処理を施す。カラム信号処理回路74は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素52の受光量に応じた画素データを保持する。また、水平駆動回路75は、例えば、カラム信号処理回路74に保持されている画素データを順次、外部に出力する。また、システム制御回路76は、例えば、ロジック回路72内の各ブロック(垂直駆動回路73、カラム信号処理回路74、水平駆動回路75)の駆動を制御する。
【0040】
以下では、図17に示すように、4つのセンサ画素52(フローティングディフュージョンFD)が1つの読み出し回路62を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つのセンサ画素52の出力が共通の読み出し回路62に入力されることを指している。また、各センサ画素52は、互いに共通の構成要素を有している。図17には、各センサ画素52の構成要素を互いに区別するために、各センサ画素52の構成要素の符号の末尾に識別番号(1、2、3、4)が付与されている。各センサ画素52の構成要素を互いに区別する必要がある場合には、各センサ画素52の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各センサ画素52の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各センサ画素52の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0041】
各センサ画素52は、例えば、フォトダイオードPD(図2の「光電変換部PD」に相当)と、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTR(図2の「転送トランジスタ13」に相当)と、転送トランジスタTRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンFD(図2の「電荷蓄積領域FD」に相当)とを有している。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えば、グランド)に電気的に接続されている。また、転送トランジスタTRのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、転送トランジスタTRのゲートは画素駆動線63(図18参照)に電気的に接続されている。転送トランジスタTRとしては、例えば、CMOSトランジスタを採用できる。
【0042】
ここで、転送トランジスタ131及び転送トランジスタ132、並びに転送トランジスタ133及び転送トランジスタ134に本技術が適用される。例えば、転送トランジスタ131のゲート電極と転送トランジスタ132のゲート電極とを電気的に接続し、また、転送トランジスタ133のゲート電極と転送トランジスタ134のゲート電極とを電気的に接続する。また、転送トランジスタ131並びに転送トランジスタ133のゲート電極、ゲート絶縁膜及びチャネル形成領域を、第1又は第2の実施形態の「第1ゲート電極29」「第1ゲート絶縁膜32」「第1チャネル形成領域28」と同様の構成とする。また、転送トランジスタ132並びに転送トランジスタ134のゲート電極、ゲート絶縁膜及びチャネル形成領域を、第1又は第2の実施形態の「第2ゲート電極31」「第2ゲート絶縁膜33」「第2チャネル形成領域30」と同様の構成とする。即ち、転送トランジスタ131のゲート絶縁膜の厚さ< 転送トランジスタ132のゲート絶縁膜の厚さ、転送トランジスタ133のゲート絶縁膜の厚さ< 転送トランジスタ134のゲート絶縁膜の厚さ、とする。若しくは、転送トランジスタ131のチャネル形成領域の不純物濃度< 転送トランジスタ132のチャネル形成領域の不純物濃度、転送トランジスタ133のチャネル形成領域の不純物濃度< 転送トランジスタ134のチャネル形成領域の不純物濃度、とする。
【0043】
1つの読み出し回路62を共有する各センサ画素52のフローティングディフュージョンFDは、互いに電気的に接続されるとともに、共通の読み出し回路62の入力端に電気的に接続されている。読み出し回路62は、例えば、リセットトランジスタRST(図2の「リセットトランジスタ14」に相当)と、選択トランジスタSEL(図2の「選択トランジスタ16」に相当)と、増幅トランジスタAMP(図2の「増幅トランジスタ15」に相当)とを有している。なお、選択トランジスタSELは省略してもよい。読み出し回路62は、リセットトランジスタRSTのソース(読み出し回路62の入力端)がフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線Vdd及び増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは、画素駆動線63(図18参照)に電気的に接続されている。また、増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(読み出し回路62の出力端)が垂直信号線64に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線63(図18参照)に電気的に接続されている。
【0044】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線Vddの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、読み出し回路62からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成し、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線64を介してカラム信号処理回路74に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP及び選択トランジスタSELとしては、例えばCMOSトランジスタを採用できる。
【0045】
(6)また、第1及び第2の実施形態では、本技術を、第1光電変換部PD1の転送トランジスタ13と、第2光電変換部PD2の転送トランジスタ13とに適用する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置1において、図19に示すように、電荷蓄積領域FDとリセットトランジスタ14との間に、電荷蓄積領域FDの容量を切り替えるための切替トランジスタFDGを形成し、本技術(第1及び第2の実施形態等に開示の技術)を、リセットトランジスタ14と切替トランジスタFDGとに適用する構成としてもよい。切替トランジスタFDGは、切替トランジスタFDGがオン状態になると、切替トランジスタFDGのゲート容量を電荷蓄積領域FDに付加して、電荷蓄積領域FDの容量を切り替える画素トランジスタである。
【0046】
この場合、切替トランジスタFDGのゲート電極、ゲート絶縁膜及びチャネル形成領域を第1又は第2の実施形態の「第1ゲート電極29」「第1ゲート絶縁膜32」「第1チャネル形成領域28」と同様の構成とし、リセットトランジスタ14のゲート電極、ゲート絶縁膜及びチャネル形成領域を第1又は第2の実施形態の「第2ゲート電極31」「第2ゲート絶縁膜33」「第2チャネル形成領域30」と同様の構成とする。これにより、例えば、切替トランジスタFDGの第1ゲート電極29、及びリセットトランジスタ14の第2ゲート電極31に第1電圧Vth1(低電圧)を印加することで、第1チャネル形成領域28のみにチャネルを形成できる。そして、形成したチャネルを通して、電荷蓄積領域FDの容量に切替トランジスタFDGのゲート容量を付加できる。また、例えば、第1ゲート電極29及び第2ゲート電極31に第2電圧Vth2(高電圧)を印加することで、第1チャネル形成領域28及び第2チャネル形成領域30の両方にチャネルを形成できる。そして、形成したチャネルを通して、電荷蓄積領域FD及び切替トランジスタFDGのゲート容量に蓄積されている電荷、及び第2光電変換部PD2に蓄積されている電荷を捨てて、電荷蓄積領域FD及び切替トランジスタFDGのゲート容量をリセットできる。
【0047】
(7)また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置1の他、ToF(Time of Flight)センサとも呼ばれる距離を測定する測距センサ等も含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射され返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサの受光画素構造として、上述した画素8の構造を採用することができる。
また、本技術は、光検出装置の他、半導体装置全般に適用することもできる。
【0048】
〈3.第3の実施形態〉
本開示に係る技術(本技術)は、各種の電子機器に適用されてもよい。例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、又は撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
図20は、電子機器の構成例を示すブロック図である。図20に示すように、電子機器101は、光学系102、光検出装置103(上述した何れかの構成例の固体撮像装置1)、DSP(Digital Signal Processor)104を備えており、バス107を介してDSP104、表示装置105、操作系106、メモリ108、記録装置109、及び電源系110が接続されて構成され、静止画像及び動画像を撮像可能である。
【0049】
光学系102は、1枚又は複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光検出装置103に導き、光検出装置103の受光面(センサ部)に結像させる。
光検出装置103としては、上述した固体撮像装置1が適用される。光検出装置103は、光学系102を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間電子が蓄積される。そして、光検出装置103に蓄積された電子に応じた信号がDSP104に供給される。
DSP104は、光検出装置103から供給される信号に対して各種の信号処理を施して画像を取得し、取得した画像のデータを、メモリ108に一時的に記憶させる。メモリ108に記憶された画像のデータは、記録装置109に記録されたり、表示装置105に供給されて画像が表示されたりする。また、操作系106は、ユーザからの各種の操作を受け付けて電子機器101の各ブロック(例えばDSP104)に操作信号を供給する。また、電源系110は、電子機器101の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
このように構成されている電子機器101では、光検出装置103として、上述したような固体撮像装置1を適用することにより、配線レイアウトの自由度を向上できる。
【0050】
〈4.移動体への応用例〉
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することもできる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等の何れかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0051】
図21は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0052】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0053】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0054】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0055】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0056】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0057】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0058】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0059】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0060】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0061】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図21の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0062】
図22は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0063】
図22では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0064】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0065】
なお、図22には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0066】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0067】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0068】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0069】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0070】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、第1の実施形態に係る固体撮像装置1(図3図6参照)、第2実施形態に係る固体撮像装置1(図10参照)は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部12031の配線レイアウトの自由度を向上できるため、撮像部12031の製造コストを低減することが可能になる。
【0071】
〈5.内視鏡手術システムへの応用例〉
本開示に係る技術(本技術)は、他の様々な製品へ応用することもできる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0072】
図23は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0073】
図23では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0074】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0075】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0076】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0077】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0078】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0079】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0080】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0081】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0082】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0083】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0084】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0085】
図24は、図23に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0086】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0087】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0088】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0089】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0090】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0091】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0092】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0093】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0094】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0095】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0096】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0097】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0098】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0099】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0100】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0101】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0102】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402等に適用され得る。具体的には、第1の実施形態に係る固体撮像装置1(図3図6参照)、第2実施形態に係る固体撮像装置1(図10参照)は、撮像部11402に適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402の配線レイアウトの自由度を向上できるため、撮像部11402の製造コストを低減することが可能になる。
【0103】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0104】
なお、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
複数の画素トランジスタと、を備え、
複数の前記画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、前記第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1及び第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する
された場合には、前記第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する
光検出装置。
(2)
前記第1ゲート電極は、第1ゲート絶縁膜を介して前記第1チャネル形成領域と対向し、
前記第2ゲート電極は、第2ゲート絶縁膜を介して前記第2チャネル形成領域と対向し、
前記第1電圧と前記第2電圧との差が所定値以上となるように、前記第1ゲート絶縁膜の少なくとも一部の厚さが、前記第2ゲート絶縁膜の各部の厚さよりも薄くなっている
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記半導体基板に前記光電変換部と離間して形成され、2以上の前記光電変換部で共有される電荷蓄積領域を備え、
前記2以上の前記光電変換部は、隣り合う第1光電変換部及び第2光電変換部を含み、
前記第1トランジスタは、前記第1光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第1転送トランジスタであり、
前記第1転送トランジスタでは、
前記第1チャネル形成領域は、前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第1光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第1ゲート電極は、前記第1チャネル形成領域と対向するように、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
前記第2トランジスタは、前記第2光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第2転送トランジスタであり、
前記第2転送トランジスタでは、
前記第2チャネル形成領域は、前記半導体基板の前記第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第2光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第2ゲート電極は、前記第2チャネル形成領域と対向するように、前記第2ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
さらに、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1ゲート絶縁膜のうちの、前記第1光電変換部側から前記電荷蓄積領域側に延びている帯状領域の厚さが、前記第2ゲート絶縁膜の各部の厚さよりも薄くなっている
前記(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1ゲート絶縁膜のうちの、前記帯状領域を挟む一側及び他側にそれぞれ位置する残りの領域の厚さは、前記帯状領域の厚さよりも厚くなっている
前記(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は連続している
前記(3)又は(4)に記載の光検出装置。
(6)
前記半導体基板の隣り合う前記光電変換部間の領域に形成された画素分離部を備え、
前記画素分離部は、p型の半導体領域で形成されており、
前記電荷蓄積領域は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、2×2個の前記光電変換部が構成するブロックの中央に位置する領域に形成されて、前記2×2個の前記光電変換部で共有され、
前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部は、前記2×2個の前記光電変換部に含まれる、隣り合う一対の前記光電変換部であり、
前記第1ゲート絶縁膜及び前記第2ゲート絶縁膜、並びに前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極のそれぞれは、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部間に位置する領域を横切って連続的に形成されている
前記(5)に記載の光検出装置。
(7)
前記画素分離部の幅方向中心に形成されたトレンチ部と、前記トレンチ部内に埋め込まれた絶縁膜と、を有する
前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面上に配置された配線層を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記配線層の配線を介して電気的に接続されている
前記(2)から(4)の何れかに記載の光検出装置。
(9)
前記第1電圧と前記第2電圧との差が所定値以上となるように、前記第1チャネル形成領域の不純物濃度が、前記第2チャネル形成領域の不純物濃度よりも薄くなっている
前記(1)から(8)の何れかに記載の光検出装置。
(10)
前記半導体基板に前記光電変換部と離間して形成され、2以上の前記光電変換部で共有される電荷蓄積領域を備え、
前記2以上の前記光電変換部は、隣り合う第1光電変換部及び第2光電変換部を含み、
前記第1トランジスタは、前記第1光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第1転送トランジスタであり、
前記第1転送トランジスタでは、
前記第1チャネル形成領域は、前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第1光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第1ゲート電極は、前記第1チャネル形成領域と対向するように、第1ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成され、
前記第2トランジスタは、前記第2光電変換部で生成した電荷を前記電荷蓄積領域に転送する第2転送トランジスタであり、
前記第2転送トランジスタでは、
前記第2チャネル形成領域は、前記半導体基板の前記第1面側のうちの、前記半導体基板の前記第2光電変換部と前記電荷蓄積領域との間の領域に形成され、
前記第2ゲート電極は、前記第2チャネル形成領域と対向するように、第2ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板の前記第1面上に形成されている
前記(9)に記載の光検出装置。
(11)
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は連続している
前記(10)に記載の光検出装置。
(12)
前記半導体基板の隣り合う前記光電変換部間の領域に形成された画素分離部を備え、
前記画素分離部は、p型の半導体領域で形成されており、
前記電荷蓄積領域は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、2×2個の前記光電変換部が構成するブロックの中央に位置する領域に形成されて、前記2×2個の前記光電変換部で共有され、
前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部は、前記2×2個の前記光電変換部に含まれる、隣り合う一対の前記光電変換部であり、
前記第1ゲート絶縁膜及び前記第2ゲート絶縁膜、並びに前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極のそれぞれは、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記画素分離部のうちの、前記第1光電変換部及び前記第2光電変換部間に位置する領域を横切って連続的に形成されている
前記(11)に記載の光検出装置。
(13)
前記画素分離部の幅方向中心に形成されたトレンチ部と、前記トレンチ部内に埋め込まれた絶縁膜と、を有する
前記(12)に記載の光検出装置。
(14)
前記半導体基板の受光面と反対側の面である第1面上に配置された配線層を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記配線層の配線を介して電気的に接続されている
前記(9)又は(10)に記載の光検出装置。
(15)
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、及び複数の画素トランジスタを備え、複数の前記画素トランジスタは、第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタ、及び第2チャネル形成領域と対向し且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタを含み、前記第1及び第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1及び第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1及び第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する光検出装置を有する
電子機器。
(16)
第1チャネル形成領域と対向する第1ゲート電極を有する第1トランジスタと、
第2チャネル形成領域と対向し、且つ前記第1ゲート電極と電気的に接続された第2ゲート電極を有する第2トランジスタと、を備え、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極に第1電圧が印加された場合には、前記第1チャネル形成領域のみにチャネルを形成し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極に前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加された場合には、前記第1ゲート電極及び前記第2チャネル形成領域の両方にチャネルを形成する
半導体装置。
【符号の説明】
【0105】
1…固体撮像装置、2…画素領域、3…垂直駆動回路、4…カラム信号処理回路、5…水平駆動回路、6…出力回路、7…制御回路、8…画素、9…画素駆動配線、10…垂直信号線、11…水平信号線、13…転送トランジスタ、131…第1転送トランジスタ、132…第2転送トランジスタ、133…第3転送トランジスタ、134…第4転送トランジスタ、14…リセットトランジスタ、15…増幅トランジスタ、16…選択トランジスタ、18…転送線、19…リセット線、20…選択線、21…半導体基板、22…カラーフィルタ、23…マイクロレンズ、24…配線層、25…ブロック、26…画素分離部、27…コンタクト、28…第1チャネル形成領域、29…第1ゲート電極、30…第2チャネル形成領域、31…第2ゲート電極、32…第1ゲート絶縁膜、33…第2ゲート絶縁膜、34…帯状領域、35…ゲート絶縁膜、36…ゲート電極、37…分離領域、38…コンタクト、39…トレンチ部、40…絶縁膜、41…不純物領域、42…配線、43…帯状領域、44…チャネル形成領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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