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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151158
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】パーソナルスペースチェア
(51)【国際特許分類】
   A47C 9/00 20060101AFI20241017BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20241017BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20241017BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
E04H1/12 A
A47C7/62 B
A47C7/62 Z
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064310
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】591191398
【氏名又は名称】株式会社キルト工芸
(71)【出願人】
【識別番号】515151354
【氏名又は名称】合同会社コノハズク
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯田 侑希
【テーマコード(参考)】
3B084
3B095
【Fターム(参考)】
3B084JA08
3B084JC00
3B084JD01
3B095AA10
3B095AC10
3B095CA06
(57)【要約】
【課題】執務を集中して行うことができると同時に、当該執務の休憩時などにおいてリラックスして休憩できるようにする。
【解決手段】パーソナルスペースチェア10は、利用者が、第1の姿勢と、当該第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とのいずれかの姿勢で着座することが可能な座部22と、利用者が第1の姿勢で座部22に着座したときに、利用者の前方に位置する机部30と、座部22と机部30とを設けることで、座部22と机部30との上方に所定の大きさからなる空間42と、机部30の下方に設けられた空間43と、を内部に有し、利用者が第1の姿勢で座部22に着座したときに、利用者の上半身を空間42に、利用者の脚部を空間43に各々位置させるとともに、利用者の上方から、利用者の左側又は右側のいずれか一方と、利用者の前側及び後側とにかけて包囲するシェル部40と、を備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が、第1の姿勢と、当該第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とのいずれかの姿勢で着座することが可能な座部と、
前記利用者が前記第1の姿勢で前記座部に着座したときに、前記利用者の前方に位置する机部と、
前記座部と前記机部とを設けることで、前記座部と前記机部との上方に所定の大きさからなる第1空間と、前記机部の下方に設けられた第2空間と、を内部に有し、前記利用者が前記第1の姿勢で前記座部に着座したときに、前記利用者の上半身を前記第1空間に前記利用者の脚部を前記第2空間に各々位置させるとともに、前記利用者の上方から、当該利用者の左側又は右側のいずれか一方と、前記利用者の前側及び後側とにかけて包囲する包囲部と、
を備える
ことを特徴とするパーソナルスペースチェア。
【請求項2】
床面に設置されて前記座部を下方から回転自在に支持することで、前記座部、前記机部及び前記包囲部を回転させることが可能な脚部と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルスペースチェア。
【請求項3】
前記座部の回転中心は、前記パーソナルスペースチェアの上面視において、当該パーソナルスペースチェアの中心位置からずれた位置である
ことを特徴とする請求項2に記載のパーソナルスペースチェア。
【請求項4】
前記座部は、前記利用者が前記第1の姿勢又は前記第2の姿勢で前記座部に着座したときに、前記利用者の背中側を支持する背もたれ部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルスペースチェア。
【請求項5】
前記包囲部に設けられ、前記包囲部の内部空間を照明する照明部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルスペースチェア。
【請求項6】
前記照明部は、有機ELパネルである
ことを特徴とする請求項5に記載のパーソナルスペースチェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルスペースチェアに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのフリーアドレス化や、携帯端末やパソコン等のICT(情報通信技術)を活用したモバイルワークの進展により、執務や打ち合わせ等を行うためのスモールオフィスとしてのブースが、オフィスや公共施設などに設置されている。このようなブースでは、例えば椅子や机が設けられた内部空間と、外部空間とを仕切る側壁と、当該側壁の上部に設けられた天板と、側壁に設けられた出入口を開閉可能な扉とを備えている。したがって、利用者は、外部空間から隔離された内部空間において、当該外部空間で発生する音声などを気にすることなく、集中して執務を行うことが可能となる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-147984号公報
【特許文献2】特開2021-8783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したブースでは、内部空間の四方をパネル、また、内部空間の上方を天板にて各々包囲している。したがって、ブースの利用者は、集中して執務を行うことができる反面、例えば執務中に休憩するときに、パネルからの圧迫感を受けてリラックスすることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、執務を集中して行うことができると同時に、当該執務の休憩時などにおいてリラックスして休憩できるようにしたパーソナルスペースチェアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面のパーソナルスペースチェアは、利用者が、第1の姿勢と、当該第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とのいずれかの姿勢で着座することが可能な座部と、利用者が第1の姿勢で座部に着座したときに、利用者の前方に位置する机部と、座部と机部とを内部に設けることで、座部と机部との上方に所定の大きさからなる第1空間と、机部の下方に設けられた第2空間と、を内部に有し、利用者が第1の姿勢で座部に着座したときに、利用者の上半身を第1空間に、利用者の脚部を第2空間に各々位置させるとともに、利用者の上方から、当該利用者の左側又は右側のいずれか一方と、利用者の前側及び後側とにかけて包囲する包囲部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、執務を集中して行うことができると同時に、当該執務の休憩時などにおいてリラックスして休憩できるようにした事務用家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェアの一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパーソナルスペースチェアにおいて、シェル部を外した状態の一例を示す斜視図である。
図3図3は、利用者が椅子部に着座したときの利用者の姿勢を示す図である。
図4図4は、椅子部及び机部を上方から見た図である。
図5図5は、パーソナルスペースチェアを上方から見た図である。
図6図6は、パーソナルスペースチェアを前方から見た図である。
図7図7は、パーソナルスペースチェアを回転させる前の状態と、回転させた後の状態とを、パーソナルスペースチェアを上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェアの構成について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェアの一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すパーソナルスペースチェアの椅子部及び机部の一例を示す斜視図である。
【0010】
本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、オフィスや公共施設の他、自宅などの床面に設置されている。詳細は後述するが、パーソナルスペースチェア10において、利用者が机部30に対峙した状態で座部22に着座すると、利用者の左側に、シェル部40の開口部分が設けられる。なお、利用者が机部30に対峙した状態で座部22に着座したときの利用者の姿勢は、請求項1に記載の第1の姿勢に相当する。
【0011】
以下、利用者が机部30に対峙した状態で座部22に着座したときの利用者の左側を、パーソナルスペースチェア10における「前」、当該利用者の右側を、パーソナルスペースチェア10における「後」とする。また、このときの利用者の前方(前側)を、パーソナルスペースチェア10における「右」、当該利用者の後方(後側又は背中側)を、パーソナルスペースチェア10における「左」とする。また、このときの利用者の頭部が位置する側を、パーソナルスペースチェア10における「上」、利用者の脚部が位置する側をパーソナルスペースチェア10における「下」とする。
【0012】
本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、例えば椅子部20と、机部30と、シェル部40と、を備えている。ここで、シェル部40は、請求項に記載の包囲部に相当する。
【0013】
椅子部20は、脚部21と、座部22と、背もたれ部23を備えている。脚部21は、土台25及び支柱26から構成されている。土台25は、床面に設置される。なお、土台は、床面に対して固定されていてもよいし、床面に対して移動可能としてもよい。土台25の中央には、支柱26の延在方向における一端部(下端部)には、土台25が固定される。また、支柱26の延在方向における他端部(上端部)には、座部22が回転自在に固定される。なお、支柱26は、例えば円形状の筒部材である。支柱26の内部には、複数の電力線が挿通されている。なお、図示は省略するが、これら電力線は、椅子部20の座部22、背もたれ部23及び後述するアーム部28の内部に収納されて、例えば机部30又はシェル部40の机部30近傍の位置に設けられたスイッチ板やコンセントタップに接続されている。したがって、コンセントタップを用いて、利用者が執務中に、机部30に載置したノートパソコンや携帯端末機を充電することが可能となる。
【0014】
座部22は、利用者が着座する部位であり、着座した利用者の体重を下方から支持する。背もたれ部23は、座部22の左端部から後端部に亘って座部22に固定される部材である。背もたれ部23は、例えば、利用者が机部30に対峙する姿勢で座部22に着座したとき(図3A参照)、又は利用者が後述するシェル部40の開口部分に対峙する姿勢で座部22に着座したとき(図3B参照)のそれぞれにおいて、利用者の背中下部から腰部近傍にかけて、利用者を支持する。
【0015】
背もたれ部23は、当該背もたれ部23の右端部の上方から、右方に突出するアーム部28を有している。図4に示すように、アーム部28は、当該アーム部28の先端部に向けて、パーソナルスペースチェア10の前方に向けて屈曲(又は湾曲)している。
【0016】
机部30は、天板31と、棚板32と、から構成されている。天板31は、アーム部28及びアーム部28に固定される支持部材によって下方から支持されている。複数の支持部材は、パーソナルスペースチェア10の前後方向に延び、延在方向における後端部がアーム部28に固定される支持部材35と、パーソナルスペースチェア10の左右方向に延び、当該左右方向における右端部がアーム部28に、左端部が支持部材35に固定される支持部材36とを有している。また、複数の支持部材は、支持部材35及び支持部材36に跨って固定されるL字形状の支持部材37を有している。なお、支持部材35,36,37は、延在方向に直交する断面形状が例えば矩形状の筒部材から構成されている。
【0017】
なお、天板31は、アーム部28及び上述した支持部材に固定されていてもよいし、アーム部28及び上述した支持部材に載置されていてもよい。
【0018】
天板31は、例えば利用者がノートパソコンや携帯端末機の他、資料などを載置して、執務を行うために設けられている。天板31は、当該天板31の左右方向における幅が、例えばパーソナルスペースチェア10における後方に向けて狭くなる形状である。したがって、図5に示すように、パーソナルスペースチェア10の上面視において、天板31の前端部は、例えばシェル部40の前端部から、パーソナルスペースチェア10の前方に所定の長さD突出している。天板31の前端部を、シェル部40の前端部からパーソナルスペースチェア10の前方に突出させることで、天板31の上面において、ノートパソコンや携帯端末機の他、資料などを載置するスペースを確保している。なお、天板31の上面において、ノートパソコンや携帯端末機の他、資料などを載置するスペースが確保できるのであれば、天板31の前端部を、シェル部40の前端部からパーソナルスペースチェア10の前方に突出させる必要はなく、天板31の前端部の位置を、シェル部40の前端部と合わせる(パーソナルスペースチェア10の上面視において同一の位置にする)ことも可能である。
【0019】
棚板32は、図示は省略するが、当該棚板32の後端部から右端部に亘る複数箇所において、リベットなどによりアーム部28に固定されている。棚板32をアーム部28に固定した状態では、天板31との間に、例えばアーム部28の上下方向における厚みに相当する隙間Sが形成されている。この隙間Sには、書類などを棚板32に載置することが可能となっている。また、棚板32の前端部は、天板31に向けて屈曲しており、棚板32に載置した書類などが棚板32の前端側から床面に落下することを防止している。
【0020】
シェル部40は、パーソナルスペースチェア10の後方に向けて突となるように湾曲した形状の部材である。シェル部40は、当該シェル部40の前面及び下端部が開口されている。シェル部40の前面が開口されることで、シェル部40の内部空間41に設けられた椅子部20及び机部30を前方から視認できるようになっている(図6参照)。また、シェル部40の下端部が開口されることで、椅子部20の座部22及び背もたれ部23を、シェル部40の内部に位置させた状態で、椅子部20の脚部21をシェル部40の下部外方に露出させることが可能となる。また、利用者が足を床面に着けた状態で椅子部20の座部22に着座することができると同時に、着座した利用者の膝からつま先までの部位を可動させる領域を確保することができる。
【0021】
シェル部40は、図示は省略するが、例えばポリプロピレン(PP)などの芯材の内側に、ウレタンなどの吸音材を複数の位置(図6では、符号A、B,Cの三か所)に接着などにより取り付けた状態で、芯材の外側及び芯材に取り付けた吸音材の外側を布材で覆うことで構成されている。シェル部40は、背もたれ部23、アーム部28の各々の複数の位置で固定されている。なお、シェル部40を、背もたれ部23、アーム部28の各々の複数の位置で固定すると、シェル部40の内部空間41に椅子部20の座部22と背もたれ部23及び机部30がシェル部40の内部空間41に収納される。また、この状態では、座部22の前端部は、シェル部40の前端部と略同一の位置となり、机部30の天板31の前端部は、シェル部40の前端部よりも前方に位置している。
【0022】
なお、図1に示すように、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10において、シェル部40の内部空間41に椅子部20の座部22及び背もたれ部23と、机部30が収納されることで、椅子部20の座部22及び背もたれ部23と机部30の上方に空間42が形成され、また、机部30の下方に空間43が形成されている。なお、空間42は、例えば机部30に対峙する姿勢で椅子部20の座部22に着座した利用者が執務を行うのに最低限必要な空間である。また、空間43は、利用者が机部30に対峙する姿勢で椅子部20の座部22に着座したときに、利用者の脚部を収納する空間である。なお、空間42が請求項に記載の第1空間に、空間43が請求項に記載の第2空間に、各々相当する。
【0023】
図6に示すように、シェル部40の内側の上端部には、照明部50が設けられている。照明部50としては、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネルが用いられている。照明部50は、点灯時に、シェル部40の内部を照明する。照明部50として有機ELパネルを用いることで、シェル部40の内部空間をやさしく照明することができる。なお、照明部50として有機ELパネルを用いるとしているが、LED(Light-Emitting Diode)などを用いることも可能である。
【0024】
このように、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、椅子部20の座部22に固定される背もたれ部23及び当該背もたれ部23から突出するアーム部28に、机部30及びシェル部40が固定された構成となっている。また、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、椅子部20の座部22が脚部21の支柱26に回転可能に取り付けられている。したがって、パーソナルスペースチェア10は、椅子部20の脚部21を除く部位が、椅子部20の脚部21を回転中心として回転する。なお、椅子部20の脚部21を除く部位が、椅子部20の脚部21を回転中心として回転するときの角度(回転角度)は、例えば180度以上270度未満など、予め設定されている。なお、椅子部20の脚部21の支柱26には、所定の角度回転したときに、当該回転を防止するためのストッパが設けられている。
【0025】
図5に示すように、パーソナルスペースチェア10において、椅子部20の脚部21を構成する支柱26の中心軸C1の位置は、パーソナルスペースチェア10の上面視においてパーソナルスペースチェア10の中心C2から離れた(偏心した)位置となっている。なお、椅子部20の脚部21を構成する支柱26の中心軸C1の位置は、パーソナルスペースチェア10を床面に設置した状態で、パーソナルスペースチェア10自体が倒れない位置である。また、椅子部20の脚部21を構成する支柱26の中心軸C1の位置は、椅子部20の座部22に利用者が着座したときに、パーソナルスペースチェア10自体が倒れない位置である。
【0026】
上述したパーソナルスペースチェア10は、以下のようにして使用される。例えば、図3Aに示すように、利用者が机部30に対峙して椅子部20に着座する。このとき、利用者の上半身は空間42に位置し、また、利用者の脚部は空間43に位置する。この状態で、利用者は、机部30の天板31に載置したノートパソコンや携帯型端末機を操作する、又は机部30の天板31に載置した資料を見るなどの動作を行うことで執務を行う。このとき、シェル部40は、パーソナルスペースチェア10の椅子部20に着座した利用者を、当該利用者の上方から利用者の前方、後方及び右方にかけて包囲している。したがって、パーソナルスペースチェア10のシェル部40によって外部空間で発生する音声が遮音されやすくなる。
【0027】
ところで、本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、図7に示すように、例えば壁面の近傍に設置されることが好ましい。本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、利用者が、机部30の天板31に載置したノートパソコンや携帯型端末機を操作する、又は机部30の天板31に載置した資料を見るなどの動作を行うことの他に、例えば、携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議を行う場合も想定されている。
【0028】
上述したように、椅子部20の座部22は、脚部21の支柱26に回転自在に取り付けられている。また、椅子部20の座部22に固定される背もたれ部23及び当該背もたれ部23から突出するアーム部28には、机部30及びシェル部40が固定されている。上述したように、利用者が机部30に対峙する姿勢で座部22に着座すると、利用者の脚部は、空間43に位置している。したがって、利用者は、自身の脚部を動かして、椅子部20の座部22を脚部21の支柱26を回転中心として回転させる。これにより、脚部21座部22だけでなく、背もたれ部23、アーム部28、机部30及びシェル部40が座部22とともに回転する。例えば、図7中R1方向に180度回転させると、シェル部40に設けた開口部分が、壁面100に対峙した状態となる。なお、図7では、椅子部20の座部22又はシェル部40を180度回転させた状態を、点線で示している。この状態で、利用者が携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議を行う。なお、シェル部40と壁面100との間に多少の隙間が生じているが、利用者が携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議による音声は、シェル部40の内側に設けた吸音材によって吸音される。したがって、利用者が携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議による音声を外部に漏れにくくなり、また同時に、パーソナルスペースチェア10の外部で発生する音声などを遮音して、携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議による音声が聞き取りにくいなることを防止できる。
【0029】
なお、利用者が携帯電話機による通話、又はノートパソコンなどを用いてweb会議を終了したときには、椅子部20の座部22に着座した利用者は、着座したまま、椅子部20の座部22、又はシェル部40を、椅子部20の脚部21の支柱26を回転中心として、図7中R2方向に例えば180度回転させる。このとき、シェル部40の背面側が壁面100と対峙した状態となるので、利用者は、椅子部20の座部22に着座した状態から、立ち上がり、パーソナルスペースチェアから離席することができる。
【0030】
また、図3Bに示すように、利用者がパーソナルスペースチェア10の椅子部20に着座して休憩をするときには、例えば利用者が机部30に対峙した姿勢から、シェル部40の開口部分に利用者が対峙する姿勢へと、姿勢を変える。この状態では、利用者の上半身は、シェル部40の空間42に位置しているが、利用者の脚部は、シェル部40の前面に設けた開口部分から外部に露出されている。この姿勢では、利用者は外部空間を視認したり、パーソナルスペースチェア10の近傍にいる人物と会話を行ったり、本を読んだりして休憩することができる。これにより、利用者は休憩中にリラックスすることができる。なお、シェル部40の開口部分に利用者が対峙する姿勢が、請求項に記載の第2の姿勢に相当する。
【0031】
本実施の形態におけるパーソナルスペースチェア10は、座部22と、当該座部22に対して、自身の左右方向に所定の間隔を空けて配置された机部30と、座部22と机部30とが内部に設けられることで、座部22と机部30との上方に、所定の大きさ(例えば利用者が執務を行うのに必要となる大きさ)の空間42と、机部30の下方に、空間42よりも小さい大きさ(例えば利用者の脚部が収納できる大きさ)の空間43とを内部に形成するとともに、自身の前部が開口されて少なくとも座部22を外部に露呈するシェル部40と、を備えている。
【0032】
これによれば、利用者は、シェル部40の開口部分からシェル部40の内部に入り、例えば机部30に対峙する姿勢で座部22に着座する。このとき、机部30の下方に設けられた空間43に利用者の脚部を収納することができる。また、座部22と机部30との上方に設けられた空間42を利用して、利用者の上半身の姿勢を利用者が意図する姿勢に保持して執務を行うことができる。また、利用者は、シェル部40の開口部分に利用者が対峙する姿勢で座部22に着座することで、リラックスして休憩を取ることができる。
【0033】
本実施の形態では、椅子部20の座部22、机部30及びシェル部40を、椅子部20の脚部21の支柱26を回転中心として回転させることが可能なパーソナルスペースチェア10について説明しているが、椅子部20の座部22、机部30及びシェル部40は、必ずしも回転自在とする必要はない。
【0034】
本実施の形態では、前面及び下端部が開口されるともに、後方に向けて突となるように湾曲した形状のシェル部40を備えたパーソナルスペースチェア10を一例として説明しているが、後面及び下端部が開口されるともに、前方に向けて突となるように湾曲した形状のシェル部、すなわち、図5における水平方向に線対称となる形状のシェル部を有するパーソナルスペースチェアであってもよい。
[発明のまとめ]
【0035】
パーソナルスペースチェア10は、利用者が、机部30に対峙する姿勢(第1の姿勢)と、シェル部40の開口部分に対峙する姿勢(第2の姿勢)とのいずれかの姿勢で着座することが可能な座部22と、利用者が机部30に対峙する姿勢で座部22に着座したときに、利用者の前方に位置する机部30と、座部22と机部30とが設けられる内部空間41を有するとともに、利用者が座部22に机部30に対峙する姿勢で着座したときに、机部30に対峙する姿勢で座部22に着座する利用者の上方から、当該利用者の左側又は右側のいずれか一方と、利用者の前側及び後側とにかけて包囲するシェル部40と、を備えるものである。
【0036】
これによれば、机部30に対峙する姿勢で座部22着座した利用者に対して、シェル部40の外部空間で発生する音声はシェル部40によって遮音される。すなわち、例えば、机部30に対峙する姿勢で執務を行う利用者は、シェル部40の外部空間で発生する音声を気にすることなく、執務に集中することができる。また、シェル部40に開口部文が設けられているので、開口部分から外部空間を視認することができ、例えば全方位を囲われている場合に比べ、圧迫感を感じることがなく、例えば利用者はリラックスすることができる。また、シェル部40の開口部分に対峙する姿勢で座部22に着座することもでき、例えば、シェル部40の開口側にいる人物と容易に会話することも可能である。
【0037】
また、床面に設置されて座部22を下方から回転自在に支持することで、座部22、机部30及びシェル部40を回転させることが可能な脚部21を備えるものである。
【0038】
例えばパーソナルスペースチェア10が壁面100近傍に設置されている場合、利用者が執務中に通話やweb会議などを行う際に、シェル部40の開口部分を壁面100に対峙するように、パーソナルスペースチェア10を回転させることができる。パーソナルスペースチェア10を回転させて、シェル部40の開口部分を壁面100に対峙させることで、通話やweb会議の音声を外部に漏洩することが防止される。また、例えばパーソナルスペースチェア10の外部空間で発生する音声などによって、通話やweb会議がしづらくなることを防止できる。
【0039】
また、座部22の回転中心は、パーソナルスペースチェア10の上面視において、当該パーソナルスペースチェア10の中心位置からずれた位置である。
【0040】
これによれば、利用者は、座部22から離席せずにパーソナルスペースチェア10を利用者の所望する位置まで回転やすくなる。
【0041】
また、座部22は、利用者が机部30に対峙する姿勢又はシェル部40の開口部分に対峙する姿勢で座部22に着座したときに、利用者の背中側を支持する背もたれ部23を有するものである。
【0042】
これによれば、利用者が、利用者が机部30に対峙する姿勢又はシェル部40の開口部分に向けた姿勢とのいずれかの姿勢で座部22に着座したときに、利用者の姿勢を維持しやすくなる。
【0043】
また、シェル部40に設けられ、シェル部40の内部空間を照明する照明部50を有するものである。
【0044】
これによれば、シェル部40の内部空間が、シェル部40の開口部分から入り込む光の他、照明部50による照明光によって明るくなるので、利用者がパーソナルスペースチェア10を利用して執務を行いやすくなる。
【0045】
また、照明部50は、有機ELパネルである。
【0046】
これによれば、有機ELパネルから発光される光は、シェル部40の内部空間41をやさしく照明する。したがって、パーソナルスペースチェア10を利用する利用者が執務を行った際に、目が疲れにくいという利点がある。
【符号の説明】
【0047】
10…パーソナルスペースチェア
20…椅子部
21…脚部
22…座部
23…背もたれ部
30…机部
40…シェル部
50…照明部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7