(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151169
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】接続構造体
(51)【国際特許分類】
H05K 3/32 20060101AFI20241017BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241017BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20241017BHJP
H01R 11/01 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
H05K3/32 B
G09F9/00 348Z
H05K1/14 A
H01R11/01 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064327
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 忠芳
(72)【発明者】
【氏名】金子 俊博
(72)【発明者】
【氏名】中村 好伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 壮太郎
【テーマコード(参考)】
5E319
5E344
5G435
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC04
5E319BB16
5E319CC12
5E319CD26
5E319GG20
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB04
5E344CC14
5E344CD04
5E344DD10
5E344EE06
5G435AA16
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE47
5G435HH12
5G435HH14
5G435KK09
(57)【要約】
【課題】異方性導電膜に含まれる導電粒子によりふたつの接続経路が互いに導通することを抑制する。
【解決手段】接続構造体は、第1の対向面を有する第1の本体と、複数の第1の電極と、を備える第1の部品と、第2の対向面を有する第2の本体と、複数の第2の電極と、前記複数の第2の電極に含まれる互いに隣接するふたつの第2の電極の間に配置され絶縁体からなる構造物と、を備える第2の部品と、前記第1の部品を前記第2の部品に接着する樹脂ベースと、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極に押しつぶされている複数の第1の導電粒子と、前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極との間にそれぞれ形成される複数の間隙の外側に配置される複数の第2の導電粒子と、を備える異方性導電膜と、を備え、前記第1の対向面と前記構造物との間の距離は、前記複数の第2の導電粒子の粒径より小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の対向面を有する第1の本体と、前記第1の対向面上に配置される複数の第1の電極と、を備える第1の部品と、
前記第1の対向面に対向する第2の対向面を有する第2の本体と、前記第2の対向面上に配置される複数の第2の電極と、前記第2の対向面上に配置され前記複数の第2の電極に含まれる互いに隣接するふたつの第2の電極の間に配置され絶縁体からなる構造物と、を備える第2の部品と、
前記第1の部品を前記第2の部品に接着する樹脂ベースと、前記樹脂ベースに分散され前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極に押しつぶされている複数の第1の導電粒子と、前記樹脂ベースに分散され前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極との間にそれぞれ形成される複数の間隙の外側に配置される複数の第2の導電粒子と、を備える異方性導電膜と、
を備え、
前記第1の対向面と前記構造物との間の距離は、前記複数の第2の導電粒子の粒径より小さい
接続構造体。
【請求項2】
前記第1の対向面に対向する凹部が前記構造物に形成される
請求項1に記載の接続構造体。
【請求項3】
前記ふたつの第2の電極は、特定の方向に互いに離れ、
前記凹部は、前記特定の方向について、前記粒径以上の幅を有する
請求項2に記載の接続構造体。
【請求項4】
前記ふたつの第2の電極は、特定の方向に互いに離れ、
前記構造物は、前記特定の方向について、前記粒径の2倍以上の幅を有する
請求項1又は2に記載の接続構造体。
【請求項5】
前記構造物は、前記ふたつの第2の電極から離れている
請求項1又は2に記載の接続構造体。
【請求項6】
前記第1の部品は、集積回路チップであり、
前記第2の部品は、ディスプレイパネルであり、
前記複数の第1の電極は、複数のバンプである
請求項1又は2に記載の接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を開示する。当該液晶装置においては、複数の接続端子が、TFTアレイ基板上に形成される。複数の接続端子及び配線基板の入出力端子部が、異方性導電フィルムを挟持して接続固定される。隣接する接続端子の間には、平坦化膜が形成される。平坦化膜は、高く形成される。接続端子と平坦化膜との境界においては、段差が生じている。平坦化膜と配線基板との間には、異方性導電フィルムに含まれる導電粒子が侵入している(段落0037,0059,0060,0064及び0065並びに
図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された液晶装置においては、平坦化膜と配線基板との間に侵入した導電粒子が互いに連結してふたつの接続経路を互いに導通させる可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、異方性導電膜に含まれる導電粒子によりふたつの接続経路が互いに導通することを抑制することができる接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の接続構造体は、第1の対向面を有する第1の本体と、前記第1の対向面上に配置される複数の第1の電極と、を備える第1の部品と、前記第1の対向面に対向する第2の対向面を有する第2の本体と、前記第2の対向面上に配置される複数の第2の電極と、前記第2の対向面上に配置され前記複数の第2の電極に含まれる互いに隣接するふたつの第2の電極の間に配置され絶縁体からなる構造物と、を備える第2の部品と、前記第1の部品を前記第2の部品に接着する樹脂ベースと、前記樹脂ベースに分散され前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極に押しつぶされている複数の第1の導電粒子と、前記樹脂ベースに分散され前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極との間にそれぞれ形成される複数の間隙の外側に配置される複数の第2の導電粒子と、を備える異方性導電膜と、を備え、前記第1の対向面と前記構造物との間の距離は、前記複数の第2の導電粒子の粒径より小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の表示装置を模式的に図示する平面図である。
【
図2】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図3】参考例の接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図4A】第1実施形態の第1変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図4B】第1実施形態の第2変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図4C】第1実施形態の第3変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図5】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の流れを示すフローチャートである。
【
図6A】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【
図6B】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【
図6C】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【
図6D】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【
図6E】第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【
図7】第1実施形態の表示装置に備えられる導電粒子を模式的に図示する斜視図である。
【
図8】第1実施形態の第4変形例の表示装置に備えられる導電粒子を模式的に図示する斜視図である。
【
図9】第1実施形態の表示装置と異なる表示装置を模式的に図示する平面図である。
【
図10】第2実施形態の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図11】第2実施形態の第1変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【
図12】第2実施形態の第2変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
1 第1実施形態
1.1 表示装置
図1は、第1実施形態の表示装置を模式的に図示する平面図である。
【0010】
図1に図示される第1実施形態の表示装置1は、中小型の表示装置である。
【0011】
図1に図示されるように、表示装置1は、フレキシブル基板11、第1の異方性導電膜(ACF)12、第2のACF13、集積回路(IC)チップ14及びディスプレイパネル15を備える。
【0012】
フレキシブル基板11は、電源電力、制御信号及び映像信号をフレキシブル基板11の一端からフレキシブル基板11の他端まで伝送する。
【0013】
第1のACF12は、フレキシブル基板11の他端をディスプレイパネル15の第1の接続領域に電気的及び機械的に接続する。第1のACF12によるフレキシブル基板11のディスプレイパネル15への接続は、フレックス・オン・ガラス(FOG)実装とも呼ばれる。第1のACF12は、フレキシブル基板11により伝送されてきた電源電力、制御信号及び映像信号をフレキシブル基板11の他端からディスプレイパネル15の第1の接続領域まで伝送する。
【0014】
ディスプレイパネル15は、第1のACF12により伝送されてきた電源電力、制御信号及び映像信号をディスプレイパネル15の第1の接続領域からディスプレイパネル15の第2の接続領域まで伝送する。
【0015】
第2のACF13は、ICチップ14をディスプレイパネル15の第2の接続領域に電気的及び機械的に接続する。第2のACF13によるICチップ14のディスプレイパネル15への接続は、チップ・オン・ガラス(COG)実装とも呼ばれる。第2のACF13は、ディスプレイパネル15により伝送されてきた電源電力、制御信号及び映像信号をディスプレイパネル15の第2の接続領域からICチップ14まで伝送する。
【0016】
ICチップ14は、第2のACF13により伝送されてきた電源電力を消費し、第2のACF13により伝送されてきた制御信号及び映像信号に応じた駆動信号を生成する。
【0017】
第2のACF13は、ICチップ14により生成された駆動信号をICチップ14からディスプレイパネル15の第2の接続領域まで伝送する。
【0018】
ディスプレイパネル15は、第2のACF13により伝送されてきた駆動信号に応じた映像を表示する。ディスプレイパネル15は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネル、量子ドット発光ダイオード(QLED)ディスプレイパネル等である。
【0019】
第1のACF12によるフレキシブル基板11のディスプレイパネル15への接続及び第2のACF13によるICチップ14のディスプレイパネル15への接続は、下記の利点を有する:
【0020】
(1)ディスプレイパネル15の第1の接続領域及び第2の接続領域がガラス基板上の領域である場合でも接続を行うことができる、
【0021】
(2)多数の端子の接続を一括して行うことができる、
【0022】
(3)端子間の距離が短い場合でも接続を行うことができる、
【0023】
(4)鉛フリーで接続を行うことができる、
【0024】
(5)比較的に低い温度で接続を行うことができ、短時間で接続を行うことができる、
【0025】
(6)接続により得られる接続構造体の厚さを薄くすることができる。
【0026】
1.2 接続構造体
図2は、第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【0027】
図2に図示される接続構造体21は、第2のACF13によりICチップ14をディスプレイパネル15に接続することにより得られる接続構造体である。
【0028】
図2に図示されるように、接続構造体21は、第1の部品31、第2の部品32及びACF33を備える。
【0029】
接続構造体21は、第2のACF13によりICチップ14をディスプレイパネル15に接続することにより得られる接続構造体であるため、第1の部品31は、ICチップ14であり、第2の部品32は、ディスプレイパネル15であり、ACF33は、第2のACF13である。
【0030】
図2に図示されるように、第1の部品31は、第1の本体41及び複数の第1の電極42を備える。第2の部品32は、第2の本体51、複数の第2の電極52及び構造物53を備える。ACF33は、複数の第1の導電粒子61、複数の第2の導電粒子62及び樹脂ベース63を備える。
【0031】
第1の本体41及び第2の本体51は、第1の対向面41a及び第2の対向面51aをそれぞれ有する。第1の対向面41a及び第2の対向面51aは、互いに対向する。第1の対向面41aと第2の対向面51aとの間には、間隙71が形成される。間隙71は、接続構造体21の厚さ方向について、幅W1を有する。
【0032】
第1の本体41は、第1の部品31に備えられる、複数の第1の電極42以外の要素からなる。第1の本体41には、電源電力、制御信号及び映像信号から駆動信号を生成する電子回路が形成される。
【0033】
第1の電極42には、電源電力、制御信号及び映像信号が入力される。第1の電極42は、駆動信号を出力する。
【0034】
第1の電極42は、第1の本体41の第1の対向面41a上に配置される。
【0035】
第1の電極42は、バンプである。このため、第1の電極42は、第1の本体41の第1の対向面41aから大きく突出する。
【0036】
第1の電極42は、接続構造体21の厚さ方向について、高さH1を有する。第1の電極42の高さH1は、例えば、10~12μmである。
【0037】
第2の本体51は、第2の部品32に備えられる、複数の第2の電極52及び構造物53以外の要素からなる。第2の本体51には、駆動信号に応じた映像を表示する電子回路が形成される。
【0038】
第2の電極52は、電源電力、制御信号及び映像信号を出力する。第2の電極52には、駆動信号が入力される。
【0039】
第2の電極52は、第2の本体51の第2の対向面51a上に配置される。第2の本体51は、ガラス基板を備える。第2の対向面51aは、ガラス基板上にある。
【0040】
第2の電極52は、パッドである。このため、第2の電極52は、第2の本体51の第2の対向面51aからわずかに突出する。
【0041】
第2の電極52は、接続構造体21の厚さ方向について、高さH2を有する。
【0042】
複数の第2の電極52は、複数の第1の電極42が配置される面内位置と同じ面内位置にそれぞれ配置される。第1の電極42の高さH1及び第2の電極52の高さH2の和H1+H2は、間隙71の幅W1より小さい。これにより、複数の第1の電極42と複数の第2の電極52との間には、複数の間隙72がそれぞれ形成される。
【0043】
構造物53は、第2の本体51の第2の対向面51a上に配置される。
【0044】
構造物53は、接続構造体21の厚さ方向について、高さH3を有する。構造物53の高さH3は、第1の電極42の高さH1とほぼ同じであり、一般的な平坦化膜の高さより著しく高い。
【0045】
構造物53は、複数の第1の電極42が配置される面内位置と異なる面内位置に配置される。第1実施形態においては、構造物53の高さH3は、間隙71の幅W1と同じである。これにより、第1の本体41の第1の対向面41aと構造物53との間には、間隙が形成されない。これにより、第1の対向面41aと構造物53との間の距離は、第2の導電粒子62の粒径より小さくなる。これにより、第1の対向面41aと構造物53との間に第2の導電粒子62が侵入することを抑制することができる。
【0046】
一般的な平坦化膜の高さは、第1の本体41の第1の対向面41aと平坦化膜と間に第2の導電粒子62が侵入することを抑制することができるほど高くはない。なぜならば、平坦化膜の高さが第1の対向面41aと平坦化膜と間に第2の導電粒子62が侵入することを抑制することができるほど高くされた場合は、平坦化膜が突出して平坦化膜が平坦面を提供するという役割を果たすことができなくなるためである。
【0047】
構造物53は、絶縁体からなる。
【0048】
構造物53は、複数の第2の電極52に含まれる互いに隣接するふたつの第2の電極52の間に配置される。
【0049】
第1の導電粒子61は、樹脂ベース63に分散されている。第1の導電粒子61は、間隙72に配置される。第1の導電粒子61は、第1の電極42及び第2の電極52に押しつぶされている。これにより、第1の導電粒子61は、第1の電極42及び第2の電極52に接触する。これにより、第1の導電粒子61は、第2の電極52を第1の電極42に電気的に接続する。これにより、複数の第1の導電粒子61は、複数の第2の電極52から複数の第1の電極42まで電源電力、制御信号及び映像信号を伝送し、駆動信号を複数の第1の電極42から複数の第2の電極52まで伝送する。
【0050】
接続構造体21は、第1の本体41及び第2の本体51を互いに電気的に接続する複数の接続経路81を備える。複数の接続経路81に含まれる各接続経路81は、第1の電極42、第2の電極52並びに第1の電極42及び第2の電極52に押しつぶされた第1の導電粒子61を備える。
【0051】
第2の導電粒子62は、樹脂ベース63に分散されている。第2の導電粒子62は、間隙72の外側に配置される。第2の導電粒子62は、第1の電極42及び第2の電極52に押しつぶされていない。
【0052】
樹脂ベース63は、熱硬化性樹脂の硬化物からなる。樹脂ベース63は、第1の部品31及び第2の部品32に付着し、第1の部品31を第2の部品32に接着する接着剤となる。樹脂ベース63は、絶縁体からなり、複数の接続経路81の隙間に配置される。これにより、樹脂ベース63は、複数の接続経路81を互いに電気的に絶縁する絶縁材となる。
【0053】
図3は、参考例の接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【0054】
図3に図示される参考例の接続構造体29は、構造物53の高さH3が間隙71の幅W1より著しく低く、第1の部品31の第1の対向面41aと構造物53との間の距離が第2の導電粒子62の粒径より大きい点で、
図2に図示される接続構造体21と相違する。
【0055】
参考例の接続構造体29においては、
図3に図示されるように、複数の第2の導電粒子62に含まれるふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結してふたつの接続経路81を互いに導通させる導通経路を構成することが起こりやすい。
【0056】
しかし、第1実施形態の表示装置1に備えられる接続構造体21においては、
図2に図示されるように、構造物53が仕切りとなり、第1の本体41の第1の対向面41aと構造物53との間に第2の導電粒子62が侵入することを抑制することができるため、複数の第2の導電粒子62に含まれるふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結してふたつの接続経路81を互いに導通させる導通経路を構成することが起こりにくい。このため、第2の導電粒子62によりふたつの接続経路81が互いに導通することを抑制することができる。
【0057】
1.3 構造物の詳細
互いに隣接するふたつの第2の電極52が特定の方向Dに離れ、構造物53が当該ふたつの第2の電極52の間に配置される場合は、構造物53は、特定の方向Dについて、複数の第2の導電粒子62の粒径の2倍以上の幅W2を有する。これにより、第1の本体41の第1の対向面41aと構造物53との間にひとつの第2の導電粒子62が侵入しただけでは、複数の第2の導電粒子62に含まれるふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結してふたつの接続経路81を互いに導通させる導通経路を構成することが起こらない。このため、第2の導電粒子62によりふたつの接続経路81が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0058】
互いに隣接するふたつの第2の電極52が特定の方向Dに離れ、構造物53が当該ふたつの第2の電極52の間に配置される場合は、構造物53は、特定の方向Dについて、当該ふたつの第2の電極52から離れている。これにより、当該ふたつの第2の電極52の各々と構造物53との間に、第2の導電粒子62が逃げる空間を形成することができる。これにより、第1の本体41の第1の対向面41aの付近に複数の第2の導電粒子62が集中することを抑制することができる。これにより、第2の導電粒子62によりふたつの接続経路81が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0059】
構造物53は、一般的なLCDパネル等に備えられる平坦化膜を構成する有機絶縁材料により構成することができる。
【0060】
図2に図示されるように、構造物53は、複数の層101及び102を備える。複数の層101及び102は、積層されている。複数の層101及び102を積層して構造物53を形成することにより、大きな高さH3を有する構造物53を容易に形成することができる。
【0061】
構造物53は、台形状の断面形状を有する。複数の層101及び102に含まれる第1の層101は、台形状の断面形状を有する。複数の層101及び102に含まれる第2の層102は、第1の層101の側面及び上面を覆う。
【0062】
図4Aは、第1実施形態の第1変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
図4Bは、第1実施形態の第2変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
図4Cは、第1実施形態の第3変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【0063】
第1実施形態の第1変形例、第2変形例及び第3変形例においては、
図4A、
図4B及び
図4Cに図示されるように、構造物53が、台形状の断面形状と異なる異形の断面形状を有する。
【0064】
第1実施形態の第1変形例においては、
図4Aに図示されるように、第1の層101が、台形状の断面形状を有する。第2の層102は、半円状の断面形状を有し、第1の層101の上面上に形成される。
【0065】
第1実施形態の第2変形例においては、
図4Bに図示されるように、第1の層101が、台形状の断面形状を有する。第2の層102は、第1の層101の台形状の断面形状より小さい台形状の断面形状を有し、第1の層101の上面上に形成される。
【0066】
第1実施形態の第3変形例においては、
図4Cに図示されるように、第1の層101が、台形状の断面形状を有する。第2の層102は、逆台形状の断面形状を有し、第1の層101の上面上に形成される。
【0067】
異形の断面形状を有する構造物53は、複数の層101及び102を積層して構造物53を形成することにより、容易に形成することができる。
【0068】
1.4 接続構造体の製造の流れ
図5は、第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の流れを示すフローチャートである。
図6Aから
図6Eまでは、第1実施形態の表示装置に備えられる接続構造体の製造の途上で作製される中間品を模式的に図示する断面図である。
【0069】
接続構造体29が製造される際には、
図5に示されるステップS1からS5までが実行される。
【0070】
ステップS1においては、
図6Aに図示される第2の部品32の表面32aが洗浄される。
【0071】
続くステップS2においては、
図6Bに図示されように、洗浄された第2の部品32の表面32aに剥離フィルム付きACF111が貼り付けられる。また、貼り付けられた剥離フィルム付きACF111が第2の部品32に向かって加圧され、それと同時に、剥離フィルム付きACF111が加熱される。貼り付けられる剥離フィルム付きACF111は、熱硬化前のACF121及び剥離フィルム122を備える。熱硬化前のACF121の第1の主面121aは、剥離フィルム122により保護されている。熱硬化前のACF121の第2の主面121bは、露出している。表面32aに剥離フィルム付きACF111が貼り付けられる際には、露出している第2の主面121bが表面32aに貼り付けられる。熱硬化前のACF121は、熱硬化前の樹脂ベース131及び導電粒子132を備える。導電粒子132は、熱硬化前の樹脂ベース131に分散されている。
【0072】
続くステップS3においては、
図6Cに図示されように、熱硬化前のACF121から剥離フィルム122が剥がされる。これにより、熱硬化前のACF121の第1の主面121aが露出する。
【0073】
続くステップS4においては、
図6Dに図示されように、露出した熱硬化前のACF121の第1の主面121aの上に第1の部品31が載せられる。熱硬化前のACF121の上に第1の部品31が載せられる際には、複数の第1の電極42の面内位置を複数の第2の電極52の面内位置とそれぞれ同じにするためのアライメント作業が行われる。
【0074】
続くステップS5においては、
図6Eに図示されように、第1の部品31の上にボンディングツール133が載せられる。また、ボンディングツール133により第1の部品31及び熱硬化前のACF121が第2の部品32に向かって加圧され、それと同時に、ボンディングツール133により第1の部品31及び熱硬化前のACF121が加熱される。これにより、熱硬化前の樹脂ベース131が、硬化して樹脂ベース63になり、樹脂ベース63が、第1の部品31を第2の部品32に接着する。また、複数の導電粒子132に含まれる、第1の電極42と第2の電極52との間に存在していた導電粒子132が、押しつぶされて第1の導電粒子61になる。これにより、電流が流れる複数の接続経路81が一度に形成される。また、複数の導電粒子132に含まれる、第1の電極42と第2の電極52との間の外側に存在していた導電粒子132が、第2の導電粒子62になる。第1の部品31及び熱硬化前のACF121の加熱は、110~180℃程度の比較的に低い温度までしか行われない。複数の接続経路81は、第1の本体41の第1の対向面41aから突出する複数の第1の電極42及び第2の本体51の第2の対向面51aから突出する複数の第2の電極52が配置される面内位置に選択的に形成され、当該面内位置以外の面内位置には形成されない。このため、隣接するふたつの接続経路81の間隔が狭い場合であっても、複数の接続経路81を適切に形成することは可能である。
【0075】
1.5 導電粒子
図7は、第1実施形態の表示装置に備えられる導電粒子を模式的に図示する斜視図である。
【0076】
図7に図示されるように、導電粒子132は、コア141及び導電層142を備える。
【0077】
コア141は、球状の形状を有する。コア141は、樹脂からなる。
【0078】
導電層142は、コア141の表面を覆う。導電層142は、導電体により構成される。導電体は、金属である。導電層142は、コア141の表面に金属メッキを施すことにより形成される。
【0079】
導電粒子132の表面には、導電粒子132が押しつぶされていない場合でも、導電層142を構成する導電体が露出する。このため、導電粒子132の表面は、導電粒子132が押しつぶされていない場合でも、導電性を有する。このため、ふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結した場合には、ふたつ以上の第2の導電粒子62からなる導通経路が構成される。しかし、接続構造体21においては、構造物53が、ふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結してふたつの接続経路81の一方からふたつの接続経路81の他方に至る導通経路を構成することを阻害する。このため、第2の導電粒子62によりふたつの接続経路81が互いに導通することを抑制することができる。
【0080】
図8は、第1実施形態の第4変形例の表示装置に備えられる導電粒子を模式的に図示する斜視図である。
【0081】
図8に図示されるように、第1実施形態の第4変形例においては、導電粒子132は、コア151、導電層152及び絶縁層153を備える。
【0082】
コア151は、球状の形状を有する。コア151は、樹脂からなる。
【0083】
導電層152は、コア151の表面を被覆する。導電層152は、導電体により構成される。導電体は、金属である。導電層152は、例えば、ニッケル層及び金層を備える。ニッケル層は、内側に配置される。金層は、外側に配置される。金層は、ニッケル層の外面に金メッキを施すことにより形成される。
【0084】
絶縁層153は、導電層152の外面を覆う。絶縁層153は、絶縁体により構成される。
【0085】
導電粒子132の表面には、導電粒子132が押しつぶされていない場合は、導電層152を構成する導電体が露出せず、導電粒子132が押しつぶされた場合は、導電層152を構成する導電体が露出する。このため、導電粒子132の表面は、導電粒子132が押しつぶされていない場合は、絶縁性を有する。このため、ふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結した場合でも、ふたつ以上の第2の導電粒子62からなる導通経路は構成されにくいが、当該導通経路が構成されるリスクが全くないとはいえない。しかし、接続構造体21においては、構造物53が、ふたつ以上の第2の導電粒子62が互いに連結してふたつの接続経路81の一方からふたつの接続経路81の他方に至る導通経路を構成することを阻害する。このため、ふたつの接続経路81が互いに導通することを抑制することができる。
【0086】
1.6 他の接続構造体における構造物の採用
接続構造体21が、第2のACF13によりICチップ14をディスプレイパネル15に接続することにより得られる接続構造体以外の接続構造体であってもよい。例えば、接続構造体21が、第1のACF12によりフレキシブル基板11をディスプレイパネル15に接続することにより得られる接続構造体であってもよく、
図1に図示される表示装置1と異なる表示装置に備えられる接続構造体であってもよく、表示装置以外の電子機器に備えられる接続構造体であってもよい。表示装置以外の電子機器は、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサ等を備えるカメラモジュール、非接触型集積回路(IC)カード等である。このため、第1の部品31は、ICチップ14以外の部品であってもよく、第2の部品32は、ディスプレイパネル15以外の部品であってもよい。
【0087】
図9は、第1実施形態の表示装置と異なる表示装置を模式的に図示する平面図である。
【0088】
図9に図示される表示装置2は、大型の表示装置である。
【0089】
図9に図示されるように、表示装置2は、プリント配線板161、第1のACF162、フレキシブル基板163、第2のACF164及びディスプレイパネル165を備える。
【0090】
プリント配線板161は、駆動信号を出力する。
【0091】
第1のACF162は、フレキシブル基板163の一端をプリント配線板161に電気的及び機械的に接続する。第1のACF162によるフレキシブル基板163のプリント配線板161への接続は、フレックス・オン・ボード(FOB)実装とも呼ばれる。第1のACF162は、プリント配線板161により出力された駆動信号をプリント配線板161からフレキシブル基板163の一端まで伝送する。
【0092】
フレキシブル基板163は、第1のACF162により伝送されてきた駆動信号をフレキシブル基板163の一端からフレキシブル基板163の他端まで伝送する。
【0093】
第2のACF164は、フレキシブル基板163の他端をディスプレイパネル165に電気的及び機械的に接続する。第2のACF164によるフレキシブル基板163のディスプレイパネル165への接続は、フレックス・オン・ガラス(FOG)実装とも呼ばれる。第2のACF164は、フレキシブル基板163により伝送されてきた駆動信号をフレキシブル基板163の他端からディスプレイパネル165まで伝送する。
【0094】
ディスプレイパネル165は、第2のACF164により伝送されてきた駆動信号に応じた映像を表示する。ディスプレイパネル165は、LCDパネル、OLEDディスプレイパネル、QLEDディスプレイパネル等である。
【0095】
上述した接続構造体21は、第1のACF162によりフレキシブル基板163をプリント配線板161に接続することにより得られる接続構造体であってもよく、第2のACF164によりフレキシブル基板163をディスプレイパネル165に接続することにより得られる接続構造体であってもよい。
【0096】
2 第2実施形態
以下では、第2実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第1実施形態においても採用される。
【0097】
図10は、第2実施形態の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【0098】
第2実施形態においては、
図10に図示されるように、構造物53の高さH3は、間隙71の幅W1より低い。このため、第1の本体41の第1の対向面41aと構造物53との間には、間隙171が形成される。これにより、構造物53が第1の部品31に強く当たって損傷することを抑制することができる。形成される間隙171の幅W1-H3は、第2の導電粒子62の粒径より小さい。これにより、第1の対向面41aと構造物53との間の距離は、第2の導電粒子62の粒径より小さくなる。これにより、第1の対向面41aと構造物53との間に第2の導電粒子62が侵入することを抑制することができる。
【0099】
また、
図10に図示されるように、第2実施形態においては、構造物53に凹部53aが形成される。凹部53aは、第1の本体41の第1の対向面41aに対向する構造物53の上面53bに形成される。このため、形成される凹部53aは、第1の対向面41aに対向する。
【0100】
互いに隣接するふたつの第2の電極52が特定の方向Dに離れ、構造物53が当該ふたつの第2の電極52の間に配置される場合は、凹部53aは、特定の方向Dについて、構造物53の上面53bの中央に形成される。凹部53aは、特定の方向Dについて、第2の導電粒子62の粒径以上の幅W2を有する。これにより、第2の導電粒子62が第1の本体41の第1の対向面41aと構造物53との間に侵入した場合でも、侵入した第2の導電粒子62を凹部53aに逃がすことができる。これにより、第2の導電粒子62によりふたつの接続経路81が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0101】
また、
図10に図示されるように、第2実施形態においては、第1の層101が、ひとつの層であり、第1の層101を覆う第2の層102も、ひとつの層である。
【0102】
図11は、第2実施形態の第1変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
図12は、第2実施形態の第2変形例の表示装置に備えられる接続構造体を模式的に図示する断面図である。
【0103】
第2実施形態の第1変形例においては、
図11に図示されるように、第1の層101が、互いに分離されたふたつの層であり、第1の層101を覆う第2の層102も、互いに分離されたふたつの層である。第2実施形態の第2変形例においては、
図12に図示されるように、第1の層101が、互いに分離されたふたつの層であり、第1の層101を覆う第2の層102が、ひとつの層である。
【0104】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1,2 表示装置、11 フレキシブル基板、12 第1のACF、13 第2のACF、14 ICチップ、15 ディスプレイパネル、21,29 接続構造体、31 第1の部品、32 第2の部品、32a 表面、33 ACF、41 第1の本体、41a 第1の対向面、42 第1の電極、51 第2の本体、51a 第2の対向面、52 第2の電極、53 構造物、53a 凹部、53b 上面、61 第1の導電粒子、62 第2の導電粒子、63 樹脂ベース、71,72 間隙、81 接続経路、101 第1の層、102 第2の層、111 剥離フィルム付きACF、121 熱硬化前のACF、121a 第1の主面、121b 第2の主面、122 剥離フィルム、131 熱硬化前の樹脂ベース、132 導電粒子、133 ボンディングツール、141 コア、142 導電層、151 コア、152 導電層、153 絶縁層、161 プリント配線板、162 第1のACF、163 フレキシブル基板、164 第2のACF、165 ディスプレイパネル、171 間隙、D 特定の方向。