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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151172
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/86 20060101AFI20241017BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20241017BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20241017BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20241017BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20241017BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C11D1/86
C11D3/37
C11D3/22
C11D1/75
C11D1/90
C11D1/68
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064334
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 聖人
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC15
4H003AD04
4H003AE05
4H003DA05
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003EB33
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA18
(57)【要約】
【課題】硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れる、硬質表面用洗浄剤組成物、及びそれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供する。
【解決手段】下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有し、(c)成分の含有量と、(a)成分と(b)成分の合計含有量との質量比(c)/[(a)+(b)]が0.005以上0.3以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
(a)成分:金属キレート剤
(b)成分:起泡性界面活性剤
(c)成分:水溶性高分子
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有し、(c)成分の含有量と、(a)成分と(b)成分の合計含有量との質量比(c)/[(a)+(b)]が0.005以上0.3以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
(a)成分:金属キレート剤
(b)成分:起泡性界面活性剤
(c)成分:水溶性高分子
【請求項2】
(c)成分が、水溶性変性セルロースである、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(b)成分が、アミンオキシド型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アルキル(ポリ)グルコシド、アルキルグリセリルエーテル、アニオン界面活性剤、及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(d)成分として、水溶性溶剤を含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
トイレの硬質表面に用いられる、請求項1~4の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法。
【請求項7】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触後、30秒以上放置する、請求項6に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項8】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成から5分後の泡比容が5ml/g以上である泡で硬質表面に塗布する、請求項6又は7に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項9】
請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物、及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの便器内の汚れの洗浄は、洗浄剤組成物や漂白剤組成物を対象表面に塗布し、洗浄用ブラシなどを併用して物理的に除去するのが一般的である。この作業は、前屈みの姿勢で力を一定時間かけるため、身体的な負担が大きく、特に高齢者には重労働である。また、水洗大便器のボウル部の周縁縁裏部等は、その凹凸の形状から洗浄ブラシが届き難いため、一旦汚れが蓄積してしまうと物理的な力でも除去し難くなる。この蓄積し易い汚れの代表としては、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れなどが挙げられ、これら汚れの発生を予防する効果の持続性が生活者に強く望まれている。
【0003】
特許文献1には、特定のポリシロキサンと、特定の界面活性剤と、金属キレート剤と、水とを含有し、洗浄力と防汚効果の持続性に優れる防汚性洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を有する高分子量重合体を用いて、優れた防汚性を付与できると共に、繰り返し使用しても再汚染を引き起こさない硬質表面用防汚洗浄剤が開示されている。
特許文献3には、特定の界面活性剤と、特定のグリコール系化合物と、アミノカルボン酸系キレート剤及び多価カルボン酸系キレート剤とを含有し、尿汚れの洗浄性に優れるトイレ用の液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4では、特定の界面活性剤と、特定のグリコール型溶剤と、ポリビニルアルコール系高分子及びセルロース系高分子から選ばれる1種以上の高分子を含有し、尿汚れの洗浄性に優れ、かつ容器からの吐出性と滞留性が良好なトイレ用の液体洗浄剤物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-162041号公報
【特許文献2】特開2003-238991号公報
【特許文献3】特開2020-100774号公報
【特許文献4】特開2020-105388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
便器内の代表的な汚れである、黄ばみや尿石は、尿汚れや水垢に起因し、便器内に一定数以上蓄積することで視認されると考えられる。これらの汚れは便器全体に発生し、例えば水洗大便器のボウル部の周縁裏部、洗浄水が流れる箇所、及び水封部付近に発生し易い。
水洗大便器のボウル部の周縁裏部などブラシが届かない場所において発生した乾燥尿汚れに対して、洗浄するには洗浄剤を当該箇所に長時間滞留することが必要だが、水洗大便器のボウル部の周縁裏部など洗浄剤が滞留しにくいところでは洗浄効果に課題があることが確認されている。この課題に対して、前記特許文献では特定の高分子化合物を硬質表面に残留性させることで防汚効果を高める技術が開示されているが、蓄積した尿石汚れや尿由来の黄ばみ汚れの発生を予防する効果の持続性の観点では、更なる改良の余地があると本発明者らは考えている。
【0006】
本発明は、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れる、硬質表面用洗浄剤組成物、及びそれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有し、(c)成分の含有量と、(a)成分と(b)成分の合計含有量との質量比(c)/[(a)+(b)]が0.005以上0.3以下である、硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:金属キレート剤
(b)成分:起泡性界面活性剤
(c)成分:水溶性高分子
【0008】
また本発明は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法に関する。
【0009】
また本発明は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れる、硬質表面用洗浄剤組成物、及びそれを用いた硬質表面の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物、及びそれを用いた硬質表面の洗浄方法が、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れる理由は必ずしも定かではないが以下のように推定される。
尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れは、例えば、水洗大便器のボウル部の封水部上部や周縁裏部等に発生し、その原因は、尿由来の尿石や水道水由来の水垢等で形成される多孔質体へ排泄由来汚れや金属イオン等が蓄積することに由来すると考えられる。この尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制し、その効果を持続するには、汚れの原因となる尿汚れや水垢汚れの除去に加え、処理した後も汚れの蓄積抑制を持続させることが課題であると考えられる。しかしながら、水洗大便器のボウル部の封水部上部や周縁裏部では洗浄剤組成物を作用させても、有効基剤が使用後の流水により容易に流れ落ちることに加えて、水との接触で容易に有効基剤が希釈されるため作用が不十分である。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分が特定の比率含有することによって、硬質表面、特に水洗大便器の封水部上部で黄ばみ汚れに有効な(a)成分が希釈されることなく硬質表面、特に封水部上部まで長時間滞留し作用することができる。特に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を泡状にして硬質表面に塗布する場合、(b)成分と(c)成分が安定な泡を形成することができるため、硬質表面、特に水洗大便器の封水部上部まで(a)成分が長時間滞留し作用することができる。さらに、流水後も(c)成分が硬質表面に残留することで表面が親水化されることで水垢や尿汚れの発生が抑制されたと考えられる。以上の作用により、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制し、その効果の持続性を得ることを可能にしたと推定される。
【0012】
〔硬質表面用洗浄剤組成物〕
<(a)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分として、金属キレート剤を含有する。
【0013】
(a)成分の具体例としては、下記(a1)~(a3)から選ばれる1種以上のキレート剤が挙げられる。
(a1)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
(a2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノカルボン酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
(a3)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸(但し、後述する(b)成分は除く。)、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
【0014】
(a)成分は、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れ(以下、単に黄ばみ汚れという)の洗浄性能の観点から、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸等のアミノカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上がより好ましく、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が更に好ましい。塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又はアルカノールアミン塩が好ましい。
【0015】
<(b)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分として、起泡性界面活性剤を含有する。本発明の(b)成分は、No.11(口内径×胴径×高さ:φ31.9×φ51.5×95.5mm)の規格瓶(広口)に、界面活性剤とイオン交換水を投入し、1質量%の界面活性剤水溶液50mLを調製し、上下の振とう幅10cm(上端から下端までの長さ)、振とうサイクル3回/秒で、10秒間振とうさせた直後に泡が生成する界面活性剤を起泡性界面活性剤と定義する。
【0016】
(b)成分は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、(b1)アミンオキシド型界面活性剤(以下、(b1)成分という)、(b2)ベタイン型界面活性剤(以下、(b2)成分という)、(b3)アルキル(ポリ)グリコシド(以下、(b3)成分という)、(b4)アルキルグリセリルエーテル(以下、(b4)成分という)、(b5)アニオン界面活性剤(以下、(b5)成分という)、及び(b6)カチオン界面活性剤(以下、(b6)成分という)から選ばれる1種以上が好ましく、(b1)成分、(b2)成分、(b3)成分、(b4)成分、及び(b5)成分から選ばれる1種以上がより好ましく、(b2)成分、(b3)成分、及び(b4)成分から選ばれる1種以上が更に好ましく、(b2)成分がより更に好ましい。
【0017】
(b1)成分のアミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(b1)の化合物が好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
〔式中、R11bは炭素数7以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を示し、R12b及びR13bは、同一又は異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。q及びpは、q=0かつp=0又はq=1かつp=1を示す。〕
【0020】
上記一般式(b1)において、q=1かつp=1の場合には、R11bは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、炭素数9以上、好ましくは11以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
またq=0かつp=0の場合には、R11bは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。本発明ではq=0かつp=0が好ましい。R12b、R13bは、好ましくは炭素数1のメチル基である。
【0021】
(b2)成分としては、炭素数7以上22以下のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上、好ましくは1つ有するベタイン型界面活性剤、好ましくはスルホベタイン型界面活性剤、又はカルボベタイン型界面活性剤が挙げられる。
ベタイン型界面活性剤としては、下記一般式(b2)の化合物が好適である。
【0022】
【化2】
【0023】
〔式中、R21bは炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R22bは炭素数1以上6以下のアルキレン基である。Aは-COO-、-CONH-、-OCO-、-NHCO-、-O-から選ばれる基であり、rは0又は1の数である。R23b、R24bは、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R25bはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1以上5以下のアルキレン基である。Bは、-SO 、-OSO 、-COOである。〕
【0024】
一般式(b2)において、R21bは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、炭素数7以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基である。
Aは、好ましくは-COO-又は-CONH-であり、より好ましくは-CONH-である。
22bの炭素数は好ましくは2又は3である。
rは、好ましくは0である。
23b、R24bは好ましくはメチル基である。
25bの炭素数は、好ましくは1である。
Bは、好ましくは-COOである。
【0025】
ベタイン型界面活性剤としては、具体的には、アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、及びアルキルアミノ脂肪酸塩から選ばれる1種以上が挙げられ、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくはアルキルアミドプロピル-N,N-ジメチルカルボキシベタイン、及びアルキル-N,N-ジメチル酢酸ベタインから選ばれる1種以上である。これらのアルキル基は炭素数炭素数7以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
【0026】
(b3)成分のアルキル(ポリ)グリコシドとしては、下記一般式(b3)の化合物が好ましい。
31b-(OR32b (b3)
〔式中、R31bは炭素数8以上16以下のアルキル基、R32bは炭素数2以上4以下のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、pはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す0以上6以下の数であり、p個のR32bは同一でも異なっていても良い。qはGの平均縮合度を示し、1以上10以下の数である。〕
【0027】
一般式(b3)において、R31bは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、炭素数8以上、好ましくは9以上、そして、16以下、好ましくは14以下のアルキル基である。
32bは炭素数2以上4以下のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、より好ましくはエチレン基である。
pはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、0以上、そして、6以下、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0の数である。
qはGの平均縮合度を示し、配合安定性の観点から、1以上10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下の数である。
Gとしては、単糖類ではグルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、フルクトース又はこれらの混合物等に由来する残基が挙げられ、2糖類以上ではマルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、ラフィノース、ゲンチアノース、メンジトース又はこれらの混合物等に由来する残基が挙げられる。これらのうち好ましい原料は、配合安定性の観点から、単糖類ではグルコース及びフルクトースであり、2糖類以上ではマルトース及びスクロースである。
【0028】
(b4)成分としては、具体的には、炭素数8以上18以下、好ましくは炭素数8以上14以下、より好ましくは炭素数8以上12以下のアルキル基を1つ有するアルキルグリセリルエーテルが挙げられる。(b4)成分のアルキル基としては、炭素数8以上12以下、好ましくは8以上10以下の分岐鎖アルキル基が挙げられ、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、2-エチルヘキシル基、イソノニル基又はイソデシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。(b4)成分としては、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、炭素数8以上12以下のアルキル基を1つ有するアルキルグリセリルエーテルが好ましく、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルがより好ましい。
【0029】
(b5)成分のアニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、及びスルホコハク酸エステルから選ばれる1種以上が挙げられる。
アニオン界面活性剤のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、例えば、炭素数8以上22以下であり、好ましくは炭素数10以上16以下であり、より好ましくは炭素数12以上14以下である。アニオン界面活性剤のポリオキシアルキレン基において、オキシアルキレン基は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基が好ましく、オキシエチレン基が好ましい。ポリオキシアルキレン基において、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、例えば、0以上10以下であり、好ましくは1以上3以下である。
これらアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0030】
(b5)成分は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上である。
アルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル基の炭素数は、10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは14以下であり、アルキル基は直鎖が好ましい。
アルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩は、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を有する。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩は、オキシアルキレン基の炭素数が、好ましくは2または3であり、より好ましくは2であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数が0.5以上、より好ましくは1.0以上、そして、4.0以下、好ましくは3.0以下である。
アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。
【0031】
(b6)成分は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、(b61)下記一般式(b61)で表される化合物(以下、(b61)成分という)、及び(b62)下記一般式(b62)で表される化合物(以下、(b62)成分という)から選ばれる1種以上が好ましい。
【0032】
【化3】
【0033】
〔式中、R61bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R62bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、R63b及びR64bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
【0034】
【化4】
【0035】
〔式中、R65bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R66b及びR67bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
【0036】
一般式(b61)において、R61bの炭素数は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。R61bは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
一般式(b61)において、R62bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。
62bが、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である場合、R62bは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0037】
一般式(b61)において、R63b及びR64bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R63b及びR64bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0038】
一般式(b61)において、Xは陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えばクロルイオン、ブロモイオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0039】
一般式(b61)の化合物の好ましい化合物としては、アルキル基の炭素数が12以上18以下であるN-アルキル-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上16以下であるN,N-ジアルキル-N,N-ジメチル-アンモニウム塩、及びアルキル基の炭素数が12以上16以下であるN-アルキル-N,N-ジメチル-N-エチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0040】
一般式(b62)において、R65bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である。R65bの炭素数は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。R65bは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0041】
一般式(b62)において、R66b及びR67bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R66b及びR67bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0042】
一般式(b62)において、Xは陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えばクロルイオン、ブロモイオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0043】
一般式(b62)の化合物の具体例としては、N-オクチル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-デシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩及びN-ヘキサデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0044】
<(c)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分として、水溶性高分子を含有する。
本発明の(c)成分は、25℃の水90gに10g以上溶解しうる高分子化合物をいう。
【0045】
(c)成分としては、水溶性天然高分子化合物、セルロースやデンプンなどの天然高分子化合物のヒドロキシ基が炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カチオン性基、アルキルカルボルシ基等により変性(又は本発明では“置換”ともいう)された水溶性変性天然高分子化合物、並びに不飽和カルボン酸重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール等の水溶性合成高分子化合物を挙げることができる。
【0046】
水溶性天然高分子化合物及び水溶性変性天然高分子化合物としてはアラビアゴム、カラーギナン、グアガム、デンプン、キサンタンガム、水溶性変性セルロース(例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース)、カチオン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、カチオン化グアガムなどを挙げることができる。
水溶性天然高分子化合物、水溶性変性天然高分子化合物及び水溶性合成高分子化合物の重量平均分子量は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは1000以上、そして、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下である。
(c)成分の高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりアセトニトリルと水の混合溶液(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ポリエチレングリコールを標準として求めたものをいう。
【0047】
(c)成分は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、起泡性、及び泡の安定性の観点から、水溶性変性セルロース、及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上が好ましく、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上がより好ましく、ヒドロキシエチルセルロースが更に好ましい。
【0048】
カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、そして、好ましくは50万以下、より好ましくは30万以下、更に好ましくは15万以下である。
カルボキシメチルセルロースのカルボキシメチル基の置換度(エーテル化度)は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1.2以下、より更に好ましくは0.8以下である。
【0049】
ヒドロキシエチルセルロースの重量平均分子量は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは50万以上、より好ましくは100万以上、更に好ましくは125万以上、そして、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下、更に好ましくは175万以下である。
ヒドロキシエチルセルロースのヒドロキシエチル基の置換度は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1.5以下である。
【0050】
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、そして、好ましくは250000以下、より好ましくは200000以下、更に好ましくは150000以下である。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、好ましくは100モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。またポリビニルアルコールは、ビニルアルコールと共重合可能な不飽和化合物と共重合していても差し支えない。
【0051】
<組成等>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を、黄ばみ汚れ抑制効果の観点から、該組成物中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下含有する。本発明において、(a)成分の質量は酸換算した値を用いるものとする。
【0052】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分を、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、該組成物中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、そして、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは4.0質量%以下含有する。
本発明において、(b)成分として、(b5)成分を含む場合、(b5)成分の質量はナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0053】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分を、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び泡の安定性の観点から、該組成物中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.25質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.08質量%以下含有する。
【0054】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物中、(c)成分の含有量と、(a)成分と(b)成分の合計含有量との質量比(c)/[(a)+(b)]は、黄ばみ汚れ抑制の持続性の観点から、0.005以上、好ましくは0.007以上、より好ましくは0.01以上、そして、0.3以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.10以下、より更に好ましくは0.05以下、より更に好ましくは0.025以下である。
【0055】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、更に(d)成分として、水溶性溶剤を含有することが好ましい。(d)成分について「水溶性」とは、20℃の水に5g以上溶解することをいう。
【0056】
(d)成分の水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル(メチルプロピレングリコール)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、フェノキシエタノール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、フェノキシイソプロパノール、ジブチレンジグリコール、及びベンジルアルコールから選ばれる1種以上の水溶性溶剤が挙げられる。
(d)成分は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、エタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、イソプロピルアルコール、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性溶剤が好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びベンジルアルコールから選ばれる1種以上の水溶性溶剤がより好ましい。
【0057】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分を含有する場合、(d)成分を、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性、及び起泡性の観点から、該組成物中、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、そして、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下含有する。
【0058】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、製品の付加価値を増大させるために、香料、色素、防腐剤、酵素、pH調整剤、酸化防止剤等を任意に含有することができる(但し、前記(a)~(d)成分を除く)。
【0059】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、水を含有する。すなわち、前記(a)~(c)成分及び任意成分以外の残部が水である。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、水を、該組成物中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下含有する。水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
【0060】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、尿石汚れ及び黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上、より更に好ましくは8.0以上、より更に好ましくは9.5以上、そして、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.0以下、更に好ましくは11.0以下である。pHはガラス電極法で測定した値を用いるものとする。
【0061】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、トイレなどの硬質表面における尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れている。よって、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、トイレの硬質表面に用いるのが好適であり、特に水洗大便器のボウル部の周縁縁裏部、洗浄水が流れる箇所、及び水封部付近などの洗浄剤が滞留しにくく、尿石汚れや尿由来の黄ばみ汚れが発生しやすい箇所に好適に用いることができる。
【0062】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、液滴状又は泡状にして噴霧又は塗布して、硬質表面に接触させて用いることが好ましく、泡状にして噴霧又は塗布して、硬質表面に接触させて用いることがより好ましい。噴霧や塗布には、スプレー手段を用いることができる。本発明により、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、スプレイヤーを具備する容器に充填してなる、スプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品が提供される。
【0063】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品における本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を充填するスプレイヤーを具備する容器は、トリガー式スプレー容器、ポンプ式スプレー容器等の噴射剤を使用しない手動式スプレー装置、噴射剤を用いるエアゾール等が挙げられる。前記スプレイヤーを具備する容器は、内容物を液滴状又は泡状にして噴霧又は塗布することができるトリガー式スプレーが好ましく、内容物を液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレー又は泡を形成する機構(泡形成機構)を備えたトリガー式スプレーがより好ましい。
【0064】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、液滴状に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、前記組成物を入れるスプレー容器の噴射ノズルの噴口径は、スプレーのし易さや、噴射された液滴が荒くなく、直線状にスプレーされず、スプレーできる面積が極端に狭くならないために、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の範囲である。
液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.1mL以上、より好ましくは0.3mL以上、そして、好ましくは5mL以下、より好ましくは2mL以下の組成物を噴霧する。
【0065】
また本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、好ましくはスピンエレメント及び直径4~8mmの円形状の空間部分に棒状の突起を数個設置された液体通過板を有するものが好適である。ここでスピンエレメントとは、スピンエレメントを通じて液状物の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出する機構であり、その詳細な構造としては特開平8-332422号公報や特開平8-108102号公報の図4(b)、特開2002-68265号公報の図1などを参考にすることができる。
【0066】
泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.5mL以上、より好ましくは1mL以上、そして、好ましくは30mL以下、より好ましくは15mL以下、更に好ましくは5mL以下の組成物を噴霧する。
【0067】
泡形成機構のもう一つの部材である液体通過板は、直径5~7mmの円形状の空間部分に棒状の突起を好ましくは3~8個設置されたものであり、通過する板を平面で見た場合に、好ましくは幅0.8~1.2mm、長さ2~4mmの長方形状の棒状の突起が好適である。また、棒状の突起を除いた空間部分に対する棒状の突起の占める面積は、好ましくは30面積%以上、より好ましくは40面積%以上、そして、好ましくは90面積%以下、より好ましくは80面積%以下、更に好ましくは70面積%以下であり、このような液体通過板を設置することで、垂直表面への泡の付着滞留性が良好になる。
【0068】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、泡状にして硬質表面に塗布する用途に用いる場合、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))は、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは5ml/g以上、より好ましくは10ml/g以上、更に好ましくは15ml/g以上、より更に好ましくは20ml/g以上、より更に好ましくは30ml/g以上、そして、より好ましくは50ml/g以下、更に好ましくは45ml/g以下、より更に好ましくは40ml/g以下である。泡比容は、実施例の泡比容の評価で記載した方法で測定することができる。
【0069】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、泡状にして硬質表面に塗布する用途に用いる場合、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aは、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、より更に好ましくは0.2以上、そして、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下である。泡比容は、実施例の泡比容の評価で記載した方法で測定することができる。
【0070】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品の容器は、一般に使用されている容器を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを原料として得られるものであり、ブロー成形などによって製造することができる。容器の肉厚は底面と側面と異なってもよく、0.01~2mmが好ましく、容器の容量は100~1000mLが好ましい。容器に充填される硬質表面用洗浄剤組成物の量は、取り扱い上、200~500mLが望ましい。また液の充填は、常識的な空隙を残して行われる。
【0071】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分及び水を含有し、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、上記した泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、上記した泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下であるものが、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性の点から好ましい。
すなわち、本発明は、一実施形態において、(a)成分及び水を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物であって、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下である、硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
前記した本発明の一実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。泡形成から5分後の泡比容、及び比率B/Aの好ましい範囲、及び測定方法も、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様と同じである。
【0072】
〔硬質表面の洗浄方法〕
本発明は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法に関する。
本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と同じである。
対象とする硬質表面は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様と同じである。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法として好適に実施できる。
【0073】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる。
具体的には、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、原液で、硬質表面に接触させる、又は前記硬質表面用洗浄剤組成物を、原液で、希釈せずに硬質表面に接触させる、つまり、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、希釈することなく、硬質表面に接触させる洗浄方法が挙げられる。更に、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、希釈することなく、硬質表面に接触させる洗浄方法が挙げられる。
前記硬質表面用洗浄剤組成物を希釈することなく硬質表面に接触させるとは、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、意図的に水などで希釈した後、硬質表面と接触させないことである。例えば、水滴等が付着した硬質表面と接触させたり、前記硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させた後、硬質表面に水滴が付着したりする場合は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を希釈することなく硬質表面に接触させると理解できる。
本発明では、前記硬質表面用洗浄剤組成物の原液をそのまま、つまり組成を変動させることなく、硬質表面に接触させることが好ましい。例えば、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、含水したスポンジに付着させることなく、硬質表面に接触させる。硬質表面に接触した後は、前記硬質表面用洗浄剤組成物の組成が変動してもよい。すなわち、硬質表面に接触した後は、前記硬質表面用洗浄剤組成物の組成が希釈又は濃縮されてもよい。
【0074】
また、本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させた後、擦り洗いをせずにすすぐ、好ましくは硬質表面に接触させた後、所定時間放置した後、擦り洗いせずにすすぐ、洗浄方法が挙げられる。つまり、スポンジ等の可撓性材料や手指等を用いた擦り洗いをすることなく前記硬質表面用洗浄剤組成物を接触させ、外力をかけずにそのまま放置する洗浄方法が挙げられる。前記硬質表面用洗浄剤組成物の接触後、必要により所定時間放置した後は、硬質表面を水ですすぐ。すすぐ際は、手などで外力(物理的力)を掛けてもよく、単に水流ですすいでもよい。
【0075】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させる方法は、噴霧又は塗布が好ましく、液滴状にして噴霧する又は泡状にして塗布する方法がより好ましく、泡状にして塗布する方法が更に好ましい。本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記した本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品を用いることが好ましい。
【0076】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、対象物である硬質表面の面積100cmに対して、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.3g以上、更に好ましくは0.4g以上、そして、好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下、更に好ましくは2g以下の割合で接触させる。
【0077】
本発明の硬質表面の洗浄方法において、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡状にして硬質表面に塗布する場合、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは5ml/g以上、より好ましくは10ml/g以上、更に好ましくは15ml/g以上、より更に好ましくは20ml/g以上、より更に好ましくは30ml/g以上、そして、より好ましくは50ml/g以下、更に好ましくは45ml/g以下、より更に好ましくは40ml/g以下である泡で硬質表面に塗布する。泡比容は、実施例の泡比容の評価で記載した方法で測定することができる。
【0078】
本発明の硬質表面の洗浄方法において、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡状にして硬質表面に塗布する場合、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、より更に好ましくは0.2以上、そして、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下である泡で硬質表面に塗布する。泡比容は、実施例の泡比容の評価で記載した方法で測定することができる。
【0079】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触後、好ましくは30秒以上、より好ましくは50秒以上、更に好ましくは60秒以上、より更に好ましくは3分以上、より更に好ましくは5分以上、そして、同様の観点から、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下放置する。この場合、最初に前記組成物が硬質表面に接触した時点を放置の開始としてよい。前記所定時間がこの範囲の時間であってよい。
なお、放置する際の温度は、室温でよく、例えば、10℃以上30℃以下が挙げられる。
【0080】
また、本発明の硬質表面の洗浄方法では、黄ばみ汚れ抑制効果の持続性の観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは50秒以上、更に好ましくは60秒以上、より更に好ましくは3分以上、より更に好ましくは5分以上、そして、同様の観点から、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下、前記硬質表面用洗浄剤組成物と硬質表面とを接触させる。
【0081】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を直接硬質表面に接触させる。そして、前記硬質表面用洗浄剤組成物が接触した状態で放置すればよいため、洗浄時において、スポンジ等の可撓性材料による擦り洗いのような外力をかける作業を必要としない。
さらに、本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、好ましくは泡状の前記組成物を、硬質表面に塗布してそのまま放置するため、硬質表面に前記組成物を長く留めることができる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を接触させた硬質表面を、水ですすぐ、好ましくは前記硬質表面用洗浄剤組成物を接触させた硬質表面を、所定時間放置後、水ですすげばよい。
【0082】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、(a)成分及び水を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、上記した泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、上記した泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下である泡で硬質表面に塗布することが、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性の点から好ましい。
すなわち、本発明は、一実施形態において、(a)成分及び水を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、上記した泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、上記した泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下である泡で硬質表面に塗布する、硬質表面の洗浄方法を提供する。
前記した本発明の一実施形態の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面の洗浄方法で記載した態様を適宜適用することができる。また本発明の一実施形態の硬質表面の洗浄方法で用いる、硬質表面用洗浄剤組成物は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と同じであり、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。対象とする硬質表面は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様と同じである。泡形成から5分後の泡比容、及び比率B/Aの好ましい範囲、及び測定方法も、本発明の硬質表面の洗浄方法で記載した態様と同じである。
【0083】
[硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法]
本発明は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法に関する。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させることにより、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制することができる。
本発明の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法において、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に接触させる態様は、本発明の硬質表面の洗浄方法で記載した態様と同じである。
本発明の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法は、本発明の硬質表面の洗浄方法で記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と同じである。
対象とする硬質表面は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様と同じである。
【0084】
本発明の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法では、(a)成分及び水を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、上記した泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、上記した泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下である泡で硬質表面に塗布することが、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性の点から好ましい。
すなわち、本発明は、一実施形態において、(a)成分及び水を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いて、上記した泡形成から5分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))が5ml/g以上50ml/g以下であり、上記した泡形成から30秒後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Aという)と、10分後の泡比容(単位質量(g)あたりの泡の体積(ml))(以下、Bという)の比率B/Aが、0.05以上0.9以下である泡で硬質表面に塗布する、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法を提供する。
前記した本発明の一実施形態の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法は、本発明の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法で記載した態様を適宜適用することができる。また本発明の一実施形態の硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法で用いる、硬質表面用洗浄剤組成物は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と同じであり、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。対象とする硬質表面は、本発明の硬質表面用洗浄剤剤組成物で記載した態様と同じである。泡形成から5分後の泡比容、及び比率B/Aの好ましい範囲、及び測定方法も、本発明の硬質表面の洗浄方法で記載した態様と同じである。
【実施例0085】
実施例、比較例で用いた成分を以下に示す。
<(a)成分>
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム:中部キレスト(株)製
・ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸:中部キレスト(株)製
・ジヒドロキシエチルグリシン:中部キレスト(株)製
・ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸:中部キレスト(株)製
・クエン酸ナトリウム:昭和化工(株)製
【0086】
<(b)成分>
・ラウリルジメチルアミンオキシド:(b1)成分、一般式(b1)中、R11bが炭素数12のアルキル基、R12b及びR13bがメチル基、q=0、p=0の化合物、製品名:アンヒトール20N、花王(株)製
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン:(b2)成分、一般式(b2)中、R21bが炭素数12のアルキル基、rが0、R23b、R24bがメチル基、R25bがメチレン基、Bが-COOの化合物、製品名:アンヒトール20AB、花王(株)製
・ラウリル硫酸ナトリウム:(b5)成分、富士フィルム和光純薬(株)製
・塩化ベンザルコニウム:(b6)成分、一般式(b62)中、R65bが炭素数12のアルキル基、R66b及びR67bがメチル基、Xがクロルイオンの化合物、製品名:サニゾールB-50、花王(株)製
・2-エチルヘキシルグリセリルエーテル:(b4)成分、製品名:ペネトールGE-EH、花王(株)製
・アルキルポリグリコシド:(b3)成分、一般式(b3)中、R31bが炭素数10~14のアルキル基、pは0、qは1.4の化合物、製品名:AG124、花王(株)製
【0087】
<(c)成分>
・ヒドロキシエチルセルロース:重量平均分子量156万、ヒドロキシエチル基の置換度1.0~1.3、ダイセルHEC SE850、(株)ダイセル製
・ポリビニルアルコール:重量平均分子量1万~20万(平均重合度1750)、鹸化度70~100モル%、クラレポバールPVA-217、(株)クラレ製
【0088】
<(d)成分>
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:日本乳化剤(株)製
・ベンジルアルコール:東京化成工業(株)製
・フェノキシエタノール:日本乳化剤(株)製
・エタノール:トレーサブル95、日本アルコール産業(株)製
<その他成分>
・香料
【0089】
[硬質表面用洗浄剤組成物の調製]
表1、2に示す各成分を用いて、下記に示す方法で、表1、2に示す組成の硬質表面用洗浄剤組成物を調製した。表1、2の硬質表面用洗浄剤組成物を得るにあたり、まずイオン交換水に、(a)~(d)成分、香料を、表1、2に記載の配合量となるように添加し、室温(25℃)で溶解させた。配合後、pH調整剤として、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを添加し、pHを表1、2に記載の値になるように調整した。なお、pHはガラス電極法で測定した。
なお表1、2中の各配合成分の含有量は、全て有効分量である。
【0090】
[泡比容の評価]
表1の硬質表面用洗浄剤組成物を吐出容器(TA-F、(株)吉野工業所製)に充填して、該組成物5gの泡を円錐型液量計(型番No.1423、PMP製、容量250mL、Kartell社製)に向かって吐出し、泡形成から30秒間、5分間、又は10分間それぞれ放置したあと、泡比容を測定した。泡比容は、以下の式により算出した。結果を表1に示す。
泡比容(mL/g)=泡体積(mL)/吐出量(g)
また30秒後の泡比容と10分後の泡比容から、以下の式より求められる泡安定性の指標を算出した。結果を表1に示す。値が1に近い程、泡安定性が良好であることがいえる。
泡の安定性=(10分後の泡比容(mL/g)/30秒後の泡比容(mL/g))
【0091】
[泡滞留性の評価]
白色の陶器タイル(LIXIL社製ミスティパレット 100mm×100mm)を縦に3枚つなげたものを、該タイルと水平接地面との傾きが60°となるように垂直壁に立てかけた状態で、一番上部のタイルから水を100g流してフラッシュ後の陶器表面を再現した。次に、表1の硬質表面用洗浄剤組成物を吐出容器(TA-F、(株)吉野工業所製)に充填して、一番上部のタイルの真ん中に向かって泡を吐出した。その後、泡吐出からタイル上を流れ落ちる液もしくは泡が、一番下部のタイルの接地面と接触するまでに要した時間を3回計測し、平均値を下記評価基準に従い評価した。3点以上を合格とした。結果を表1に示す。尚、数字が大きい方がより効果が高いことを意味する。
<評価基準>
5点:90秒以上
4点:60秒以上89秒以下
3点:30秒以上59秒以下
2点:10秒以上29秒以下
1点:9秒以下
【0092】
[尿石及び黄ばみ抑制の持続性評価]
<尿石及び黄ばみ抑制の持続性試験(1)>
1週間に1回洗浄する、家庭用水洗大便器(ウォシュレット一体型機能部ネオレストRH1(材質:陶器、品番:TCF9768、TOTO(株)社製、2022年製)、NEWアラウーノV(材質:有機ガラス、品番:CH3010W、Panasonic(株)社製、2016年製)など)を対象に尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性試験を行った。表1の硬質表面用洗浄剤組成物を蓄圧式吐出容器(TA-F、(株)吉野工業所製)に充填して、試験日初日に(1)硬質表面用洗浄剤組成物10mlを水洗大便器のボウル部の内部全体を覆うように泡状に塗布し、5分間放置した後、水洗大便器の貯水タンクの水でフラッシュした。その後、7日目に(1)の動作を行った。以上の作業を1カ月間(4サイクル)行い、試験開始から1カ月後の水洗大便器のボウル部の内部の汚れの具合を目視およびブラックライトにて観察した。なお試験期間中も評価対象の家庭用水洗大便器は、日常使用されている。専門パネラ―5名により、目視により以下の判定基準より評価し、3点以上で合格とした。点数が高い程、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する効果の持続性に優れていることが言える。結果を表1に示す。

5点:1カ月前と比べて、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れが全くない。
4点:1カ月前と比べて、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れがほとんどない。
3点:1カ月前と比べて、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れがあるが、目立たない。
2点:1カ月前と比べて、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れがやや目立つ。
1点:1カ月前と比べて、尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れが目立つ。
【0093】
<尿石及び黄ばみ抑制の持続性試験(2)>
表2の硬質表面用洗浄剤組成物をスクイズ容器(トイレハイターの容器、花王(株)製)に充填して、試験日初日に(1)硬質表面用洗浄剤組成物10mLを水洗大便器のボウル部の内部全体を覆うように液状に塗布し、5分間放置した後、水洗大便器の貯水タンクの水でフラッシュした以外は、尿石及び黄ばみ抑制の持続性試験(1)と同様の方法で試験を行った。結果を表2に示す。
【0094】
<尿石及び黄ばみ抑制の持続性試験(3)>
表2の硬質表面用洗浄剤組成物を蓄圧式吐出容器(TA-F、(株)吉野工業所製)に充填して、試験日初日に(1)硬質表面用洗浄剤組成物10mlを水洗大便器のボウル部の内部全体を覆うように泡状に塗布し、1分間放置した後、水洗大便器の貯水タンクの水でフラッシュした以外は、尿石及び黄ばみ抑制の持続性試験(1)と同様の方法で試験を行った。結果を表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有し、(c)成分の含有量と、(a)成分と(b)成分の合計含有量との質量比(c)/[(a)+(b)]が0.005以上0.3以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
(a)成分:金属キレート剤
(b)成分:起泡性界面活性剤
(c)成分:水溶性高分子
【請求項2】
(c)成分が、水溶性変性セルロースである、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(b)成分が、アミンオキシド型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アルキル(ポリ)グルコシド、アルキルグリセリルエーテル、アニオン界面活性剤、及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(d)成分として、水溶性溶剤を含有する、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
トイレの硬質表面に用いられる、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法。
【請求項7】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触後、30秒以上放置する、請求項6に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項8】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡形成から5分後の泡比容が5ml/g以上である泡で硬質表面に塗布する、請求項6に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項9】
請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の尿石汚れ及び尿由来の黄ばみ汚れの発生を抑制する方法。