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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151174
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】液体除去装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 27/10 20060101AFI20241017BHJP
   B21B 28/04 20060101ALI20241017BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20241017BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241017BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20241017BHJP
   B08B 1/00 20240101ALI20241017BHJP
【FI】
B21B27/10 D
B21B28/04 B
B24B55/06
B23Q11/00 L
F16C13/00 B
B08B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064340
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】山田 啓介
【テーマコード(参考)】
3B116
3C047
3J103
【Fターム(参考)】
3B116AA41
3B116AA46
3B116AB54
3B116BA08
3B116BA23
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB88
3C047FF01
3C047FF17
3C047FF19
3C047HH11
3J103AA02
3J103BA41
3J103FA08
3J103GA02
3J103GA52
3J103HA03
3J103HA12
3J103HA53
(57)【要約】
【課題】ロール部材の表面に付着した液体を効率よく除去すること。
【解決手段】ロール部材の周面に接触するローラ側周面を有する回転ローラであって、ローラ側周面がロール部材の周面に接触することで、ローラ側周面がロール部材から回転力を受けてロール部材の回転方向とは逆方向に回転し、ローラ側周面とロール部材の周面との接触位置においてロール部材の回転方向前方側への液体の移動を防ぐ回転ローラと、ロール部材および回転ローラが回転している間、回転ローラをロール部材の軸心に沿って移動させる移動部と、回転ローラがロール部材に対して軸心に沿って移動している間、ロール部材の周面において、回転ローラの移動方向における回転ローラの後方側端部から後方側へ液体が漏れ出すのを防ぐために、ロール部材の周面における回転ローラの後方側端部付近の領域に向けて回転ローラの移動方向における前方側へエアを吹付ける吹付け部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心周りに回転するロール部材の周面に付着した液体を除去する液体除去装置であって、
前記ロール部材の周面に対して、前記軸心と平行な方向または前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するローラ側周面を有する回転ローラであって、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に接触することで、前記ローラ側周面が前記ロール部材から回転力を受けて前記ロール部材の回転方向とは逆方向に回転するとともに、前記ローラ側周面と前記ロール部材の周面との接触位置において前記ロール部材の回転方向前方側への前記液体の移動を防ぐように構成された回転ローラと、
前記ロール部材および前記回転ローラが回転している間、前記回転ローラおよび前記ロール部材の少なくともいずれか一方を、前記ロール部材の軸心に沿って相対的に移動させる移動部と、
前記回転ローラが前記ロール部材に対して前記軸心に沿って移動している間、前記ロール部材の周面において、前記回転ローラの移動方向における前記回転ローラの後方側の端部から後方側へ前記液体が漏れ出すのを防ぐために、前記ロール部材の周面における前記回転ローラの前記後方側の端部付近の領域に向かって前記回転ローラの移動方向における前方側へエアを吹き付ける吹き付け部とを備える、
液体除去装置。
【請求項2】
前記領域は、前記ロール部材の周面において、前記接触位置から前記ロール部材の回転方向後方側の領域である、
請求項1に記載の液体除去装置。
【請求項3】
前記ローラ側周面は、前記ロール部材と前記回転ローラとの接触圧により前記ロール部材の周面の形状に対応するように弾性変形可能な材料により構成されている、
請求項1に記載の液体除去装置。
【請求項4】
前記回転ローラは、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に対して、前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するように構成され、
前記回転ローラは、前記回転ローラの移動方向における前方側が後方側よりも前記ロール部材の回転方向前方側に位置するように傾斜している、
請求項1に記載の液体除去装置。
【請求項5】
前記液体除去装置は、前記領域が、前記接触位置よりも下方に位置するように構成されている、
請求項1に記載の液体除去装置。
【請求項6】
前記吹き付け部は、前記領域に対して、前記回転ローラの移動方向における前方側へ、かつ、斜め下方向へエアを吹き付ける、
請求項5に記載の液体除去装置。
【請求項7】
前記回転ローラは、前記領域が前記ロール部材の前記軸心より下方に位置するように配置されている、
請求項5に記載の液体除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧延ロール(鋼板などの金属材料を圧延するためのロール部材)の周面に水が付着している場合に、その水を除去するための技術が提案されている(たとえば特許文献1を参照)。特許文献1に記載の水切装置は、弾性材料からなる板状の水切ブレードを圧延ロールの周面に線接触させるとともに水切ブレードを圧延ロールの回転方向前方側に弾性変形させた状態で、圧延ロールを軸心周りに回転させながら、水切ブレードを圧延ロールの軸心方向に沿って移動させることにより、圧延ロールの周面に付着した水を掻き取って除去するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-237147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、水切ブレードの圧延ロールに対する移動方向後方側の端部において掻き取られた水が、水切ブレードの移動方向後方側へ流れて圧延ロールの表面に残存する可能性がある。水が圧延ロールの表面に残存する場合、水切ブレードによる水切動作を複数回繰り返す必要がある。また、水切ブレードは、圧延ロールの回転方向前方側に弾性変形させた状態で使用されるため、摩耗によって水切の性能が低下しやすい。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて、圧延ロールなどのロール部材の表面に付着した水などの液体を効率よく除去することが可能な液体除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体除去装置は、軸心周りに回転するロール部材の周面に付着した液体を除去する液体除去装置であって、前記ロール部材の周面に対して、前記軸心と平行な方向または前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するローラ側周面を有する回転ローラであって、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に接触することで、前記ローラ側周面が前記ロール部材から回転力を受けて前記ロール部材の回転方向とは逆方向に回転するとともに、前記ローラ側周面と前記ロール部材の周面との接触位置において前記ロール部材の回転方向前方側への前記液体の移動を防ぐように構成された回転ローラと、前記ロール部材および前記回転ローラが回転している間、前記回転ローラおよび前記ロール部材の少なくともいずれか一方を、前記ロール部材の軸心に沿って相対的に移動させる移動部と、前記回転ローラが前記ロール部材に対して前記軸心に沿って移動している間、前記ロール部材の周面において、前記回転ローラの移動方向における前記回転ローラの後方側の端部から後方側へ前記液体が漏れ出すのを防ぐために、前記ロール部材の周面における前記回転ローラの前記後方側の端部付近の領域に向かって前記回転ローラの移動方向における前方側へエアを吹き付ける吹き付け部とを備える。
【0007】
また、前記領域は、前記ロール部材の周面において、前記接触位置から前記ロール部材の回転方向後方側の領域である。
【0008】
また、前記ローラ側周面は、前記ロール部材と前記回転ローラとの接触圧により前記ロール部材の周面の形状に対応するように弾性変形可能な材料により構成されている。
【0009】
また、前記回転ローラは、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に対して、前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するように構成され、前記回転ローラは、前記回転ローラの移動方向における前方側が後方側よりも前記ロール部材の回転方向前方側に位置するように傾斜している。
【0010】
また、前記液体除去装置は、前記領域が、前記接触位置よりも下方に位置するように構成されている。
【0011】
また、前記吹き付け部は、前記領域に対して、前記回転ローラの移動方向における前方側へ、かつ、斜め下方向へエアを吹き付ける。
【0012】
また、前記回転ローラは、前記領域が前記ロール部材の前記軸心より下方に位置するように配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧延ロールなどのロール部材の表面に付着した水などの液体を効率よく除去することが可能な液体除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る液体除去装置の一例を模式的に示す図である。
図2図1における回転ローラおよび吹き付け部を模式的に示す斜視図である。
図3図2における回転ローラをA1方向から見た矢視図である。
図4図2における回転ローラおよび吹き付け部をA2方向から見た矢視図である。
図5図2における回転ローラおよび吹き付け部をA3方向(上側)から見た矢視図である。
図6図2における回転ローラおよび吹き付け部をA4方向(下側)から見た矢視図である。
図7】吹き付け部がエアを吹き付ける方向の一例を3次元的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の液体除去装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の液体除去装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態に係る液体除去装置1(図1図3参照)は、軸心R1周りに回転するロール部材Rの周面R2に付着した液体Lを除去する装置である。本実施形態では、ロール部材Rの周面R2(以下、ロール部材側周面R2とも称する)は、円柱状(または円筒状)に形成されている。ロール部材Rの種類は特に限定されないが、本実施形態では、圧延ロール(鋼板などの金属材料を圧延するためのロール部材)である。ロール部材Rの形状および大きさは、特に限定されない。本実施形態では、ロール部材Rは、円柱状の胴部R3と、胴部R3の軸心R1の位置に設けられた軸部R4とを備えている。ロール部材Rは、軸部R4に接続された回転駆動装置(図示せず)から回転力を受けて回転するように構成されている。また、ロール部材側周面R2から除去される対象である液体Lの種類は特に限定されないが、たとえば、水、薬液、または油とすることができる。
【0017】
圧延ロールは、圧延によって周面が摩耗または変形した場合に、周面が研磨(本明細書では研削を含む)されることで形状が整えられて再利用され得る。圧延ロールの周面は、たとえば、研磨液(本明細書では研削液を含む)によって冷却および潤滑されながら研磨される。研磨液の種類は特に限定されないが、たとえば、水、薬液、または油である。研磨に使用された後の研磨液の一部は、圧延ロールの周面に付着して残存する。研磨に使用された後の研削液には、研磨による研磨屑、砥粒が混入している可能性がある。研磨液が水である場合、圧延ロールの周面に残存した研磨液は、錆の発生原因となる可能性や、製品検査の妨げになる可能性や、研磨屑、砥粒が混入している可能性があるため、除去される必要がある。また、研磨液が薬液や油である場合においても、圧延ロールの周面に残存した研磨液は、研磨屑、砥粒が混入している可能性があるため、除去される必要がある。本実施形態では、液体除去装置1は、たとえば、そのように残存している研磨液等、圧延ロールの表面に付着した液体を除去するために用いられる。以下、ロール部材Rが圧延ロールである場合について説明する。また、除去される液体Lが研磨液である場合について説明する。
【0018】
図1に示されるように、液体除去装置1は、回転ローラ2と、移動部3と、吹き付け部4とを備えている。
【0019】
回転ローラ2は、ロール部材Rの周面R2に対して、軸心R1と平行な方向D1(以下、軸心方向D1とも称する)または軸心R1に対して傾斜した方向D2(以下、傾斜方向D2とも称する)に沿って接触するローラ側周面21を有する(図4参照)。回転ローラ2は、ロール部材Rが回転している状態において、ロール部材側周面R2に接触することで、ロール部材側周面R2に付着している液体Lを除去する部材である。
【0020】
ローラ側周面21とロール部材側周面R2とは、回転ローラ2の中心軸22とロール部材Rの軸心R1とがなす角度θ(図4参照)に応じて、軸心方向D1または傾斜方向D2に沿って接触する。角度θが0°である場合(回転ローラ2の中心軸22とロール部材Rの軸心R1とが平行である場合)には、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とは、軸心方向D1に沿って接触する。また、角度θが0°より大きい場合(回転ローラ2の中心軸22がロール部材Rの軸心R1に対して傾斜している場合)には、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とは、傾斜方向D2に沿って接触する。図4に示される例では、回転ローラ2の中心軸22がロール部材Rの軸心R1に対して傾斜しており、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とは、軸心R1に対して傾斜した方向D2に沿って接触している。
【0021】
角度θ(図4参照)は、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが、軸心R1に対して傾斜した方向D2に沿って接触できるのであれば、特に限定されない。本実施形態では、角度θの範囲は、たとえば、1°~7°であり、好ましくは、2°~6°であり、より好ましくは、3°~5°である。角度θの範囲がこのような範囲であることにより、後述するように、傾斜した方向D2における接触長さを長く確保することができる。したがって、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との間の後述のシールの長さを長く確保することができる。したがって、ロール部材側周面R2に付着した液体Lを押し返す幅Wが大きくなるため、液体Lを除去する効率を高めることができる。液体Lを押し返す幅Wは、回転ローラ2の中心軸22と平行な方向D3(以下、中心軸方向D3とも称する)におけるローラ側周面21の長さである。
【0022】
図4に示される例では、回転ローラ2は、ローラ側周面21がロール部材Rの周面R2に対して、傾斜方向D2に沿って接触するように構成されている。さらに、回転ローラ2は、回転ローラ2の移動方向D6(本実施形態では、後述するように、ロール部材Rの軸心R1と略平行な方向)における前方側D62が後方側D61よりもロール部材Rの回転方向前方側D41に位置するように傾斜している。すなわち、回転ローラ2の中心軸22は、回転ローラ2の移動方向D6における前方側D62が後方側D61よりもロール部材Rの回転方向前方側D41(本実施形態では、鉛直方向で上側)に位置するように傾斜している。ローラ側周面21は、ロール部材側周面R2と接触することで、ロール部材側周面R2との接触位置P(図3参照)に対して液体Lがロール部材Rの回転方向前方側D41へと移動しないように液体Lを堰き止めている。上述したような傾斜によって、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触した接触位置Pにおいて堰き止められた液体Lは、回転ローラ2の前方側D62へと移動する力を受ける。これにより、回転ローラ2の移動方向後方側D61へ移動する液体Lの量が減少する。したがって、後述する問題点、すなわち、ロール部材側周面R2において、回転ローラ2における移動方向後方側D61の端部25(図6参照)から後方側D61へ漏れ出そうとする液体Lの量を減らすことができる。
【0023】
回転ローラ2は、ローラ側周面21がロール部材Rの周面R2に接触することで、ローラ側周面21がロール部材Rから回転力を受けてロール部材Rの回転方向D4とは逆方向(回転方向D5)に回転するように構成されている(図3参照)。また、回転ローラ2は、そのように回転するとともに、ローラ側周面21とロール部材Rの周面R2との接触位置Pにおいてロール部材Rの回転方向前方側D41への液体Lの移動を防ぐように構成されている(図3参照)。
【0024】
すなわち、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触しながら回転することにより、ローラ側周面21とロール部材側周面R2の接触位置Pからロール部材Rの回転方向前方側D41への液体Lの移動を防止する。これにより、ロール部材側周面R2における回転ローラ2と接触した箇所の液体Lを除去することができる。
【0025】
詳しく説明すると、上述のように、ローラ側周面21は、ロール部材側周面R2に対して、軸心方向D1または傾斜方向D2に沿って接触する(図4参照)。ロール部材側周面R2が回転することにより、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とは、互いに反対方向(逆方向)に回転する(図3参照)。ローラ側周面21は、ロール部材側周面R2との接触位置Pにおいて、ロール部材側周面R2との間の隙間をシールする。これにより、ローラ側周面21は、ロール部材側周面R2に付着している液体Lがロール部材側周面R2とともに回転しようとするのを堰き止める。すなわち、ローラ側周面21は、ロール部材側周面R2との接触位置Pにおいて、ロール部材Rの回転方向前方側D41への液体Lの移動を防ぐ。ローラ側周面21によって堰き止められた液体Lは、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との接触位置Pから落下するか(図3において、落下する液体Lを水滴状に示す)、または、接触位置Pからロール部材側周面R2における回転方向後方側D42の領域AR1(図3図6参照)に溜まる(液体溜りをハッチングで模式的に示す)。図6に示される例では、領域AR1は、中心軸方向D3における回転ローラ2の全体にわたる範囲に位置している。領域AR1に溜まった液体Lの一部は、やがてロール部材Rから離れて落下する。しかしながら、領域AR1に溜まった液体Lの他の一部は、ロール部材側周面R2において、回転ローラ2における移動方向後方側D61の端部25(図6参照)から後方側D61へ漏れ出す(流れ出す)可能性がある。液体Lのこのような漏れ出しを防止するために、後述するように、吹き付け部4から領域AR1に向かって回転ローラ2の移動方向前方側D62へエアAFが吹き付けられる(図4図7参照)。
【0026】
回転ローラ2は、ロール部材Rが回転している状態において、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に接触してロール部材Rから回転力を受けて回転することができるのであれば、その構成は特に限定されない。本実施形態では、図4図5に示されるように、回転ローラ2は、円柱状の胴部23と、胴部23の中心軸22の位置に設けられた軸部24とを備えている。軸部24は、後述の支持部33によって回転可能に支持される。
【0027】
本実施形態では、ローラ側周面21は、ロール部材Rと回転ローラ2との接触圧によりロール部材Rの周面R2の形状に対応するように弾性変形可能な材料により構成されている。ローラ側周面21がこのように弾性変形可能な材料により構成されることで、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触した状態で、ローラ側周面21がロール部材側周面R2の形状に沿って弾性変形することができるため、接触位置Pにおける接触面積を大きく確保することができる。これにより、接触位置Pにおけるシール性が高まるため、上述の液体Lを堰き止める効果をより確実に得ることができる。したがって、液体Lを除去する性能をより高めることができる。上述のように弾性変形可能な材料は特に限定されないが、たとえば、弾性変形可能なゴム材料とすることができる。
【0028】
本実施形態では、回転ローラ2の中心軸方向D3がロール部材Rの軸心方向D1に対して傾斜している場合(図4参照、角度θが0°より大きい場合)、および、中心軸方向D3が軸心方向D1と平行である場合のいずれにおいても、ローラ側周面21がロール部材側周面R2の形状に沿って弾性変形することができる。このため、接触位置Pにおける接触面積を大きく確保することができる。すなわち、ローラ側周面21の弾性変形により、回転ローラ2の中心軸方向D3に沿って接触面積をより大きく確保することができるとともに、中心軸方向D3と直交する方向に沿って接触面積をより大きく確保することができる。ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが、傾斜方向D2に沿って接触する場合に特に有効である。
【0029】
詳しく説明すると、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが、傾斜方向D2に沿って接触する場合において、仮に、ローラ側周面21が金属などの硬質材料により構成されている場合には、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との接触面積が小さくなる傾向がある。これに対し、ローラ側周面21が上述のように弾性変形可能な材料により構成されている場合には、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが傾斜方向D2に沿って接触しても、ローラ側周面21がロール部材側周面R2の形状に沿って弾性変形することができるため、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との接触面積が中心軸方向D3および中心軸方向D3に対して直交する方向の双方において大きくすることができる。これにより、中心軸方向D3および中心軸方向D3に対して直交する方向の双方において接触位置Pにおけるシール性が高まるため、上述の液体Lの堰き止め効果をより確実に得ることができる。したがって、液体Lを除去する性能をより高めることができる。
【0030】
また、本実施形態では、回転ローラ2がロール部材Rと接触して回転することによって液体Lが除去される。回転ローラ2はロール部材Rの周面R2を転がることによって液体Lを除去するので、回転ローラ2のローラ側周面21は摩耗や変形が生じにくい。したがって、液体Lの除去性能を長期間保つことができる。また、特許文献1のように水切ブレードを用いる場合には、水切ブレードに早期に摩耗や変形が生じて、水切ブレードの交換頻度が高くなる可能性がある。また、水切ブレードに早期に摩耗や変形が生じることで、水切ブレードを支持する硬質の支持部が水切作業中にロール部材に当たってしまい、ロール部材の周面が傷んでしまう可能性がある。これに対し、本実施形態における回転ローラ2は、摩耗や変形が生じにくく、長期の使用が可能であるため、交換頻度が少なくて済む上に、回転ローラ2を支持する部材がロール部材Rに当たる可能性が低く、液体Lの除去処理の際にロール部材Rが損傷する可能性を低減することができる。
【0031】
移動部3は、ロール部材Rおよび回転ローラ2が回転している間、回転ローラ2およびロール部材Rの少なくともいずれか一方を、ロール部材Rの軸心R1に沿って相対的に移動させる。具体的には、移動部3は、回転ローラ2およびロール部材Rの少なくともいずれか一方を軸心R1と略平行な方向(図2図4図7に示される例では方向D6)に移動させる。すなわち、移動部3による移動方向は、軸心R1と平行な方向の他、軸心R1に対して若干傾斜した方向であってもよい。
【0032】
本実施形態では、移動部3は、回転ローラ2およびロール部材Rの少なくともいずれか一方を、回転ローラ2およびロール部材Rが互いに接近および離間するように相対的に移動させる。回転ローラ2およびロール部材Rが最も接近した状態では、ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触した状態となる。ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触することにより、ロール部材側周面R2に付着している液体Lを回転ローラ2によって除去することが可能となる。
【0033】
移動部3の構造は、回転ローラ2とロール部材Rとを軸心R1に沿って相対移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、移動部3は、床面FLに対する所定の位置に配置されたロール部材Rに対して、回転ローラ2を移動させるように構成されている。
【0034】
本実施形態では、図1に示されるように、移動部3は、床面FLに対して移動可能に配置された本体31と、本体31からロール部材Rに向かって延出するアーム部32と、アーム部32の先端に設けられた支持部33とを備えている。
【0035】
本体31は、床面FL上を軸心方向D1に沿って移動可能に構成されている。図1に示される例では、本体31は、アーム部32を支持するアーム支持部311と、アーム支持部311を床面FL上で軸心方向D1に沿って移動させるための移動機構312と、移動機構312の動作を制御する制御部(図示せず)とを備えている。制御部は、一般的にコンピュータに搭載される公知の中央演算処理装置(CPU)および記憶部などを用いて構成することができる。
【0036】
アーム支持部311は、アーム部32が後述の動作を行い得るように、アーム部32を支持している。また、アーム支持部311は、アーム部32の高さを調節できるように構成されている。アーム部32の高さを調節する構成により、アーム部32の先端部に設けられた回転ローラ2の高さを調節することができる。これにより、ロール部材Rの大きさおよび設置高さに応じて、回転ローラ2の高さを調節することができる。
【0037】
移動機構312は、図1に示される例では、モータ等の駆動部(図示せず)と、駆動部の動力を受けて走行する走行部313とを有している。走行部313は、たとえば、床面FL上を走行する車輪である。なお、移動機構312は、走行部313に代えて、シリンダ装置等の他の動力を用いて移動する機構であってもよい。
【0038】
アーム部32は、本実施形態では、回転ローラ2およびロール部材Rが互いに接近および離間するように、回転ローラ2をロール部材Rに対して相対的に移動させる機能を有している。
【0039】
支持部33は、回転ローラ2を支持して、ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付けるように構成されている。支持部33は、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に対して、軸心方向D1または傾斜方向D2に沿って接触するように、ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付けるように構成されている。図4に示される例では、支持部33は、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に対して傾斜方向D2に沿って接触するように、ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付けている(以下、このような傾斜状態での押し付けを「傾斜押し付け」とも称する)。支持部33は、傾斜押し付けを行うために、回転ローラ2の中心軸方向D3が、ロール部材Rの軸心R1に対して傾斜した方向D2(傾斜方向D2)に沿って傾斜するように、回転ローラ2を支持している。具体的には、支持部33は、傾斜押し付けを行うために、回転ローラ2の中心軸方向D3が、ロール部材Rの軸心方向D1に対して角度θ(回転ローラ2の中心軸22とロール部材Rの軸心R1とがなす角度θと等しい角度)をなして傾斜するように、回転ローラ2を支持している。
【0040】
なお、支持部33による押し付けは、上述の傾斜押し付けに限定されない。すなわち、支持部33は、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に対して軸心方向D1に沿って接触するように、ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付けてもよい。
【0041】
ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付ける構成は特に限定されない。本実施形態では、移動部3(具体的にはアーム部32)をロール部材Rに向かって移動させることで押し付け力を発生させている。なお、ローラ側周面21をロール部材側周面R2に押し付ける押し付け力は、移動部3の自重によって生じるようにしてもよいし、移動部3の移動と、回転ローラ2の自重との両方によって生じるようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、支持部33は、回転ローラ2の中心軸方向D3が、ロール部材Rの軸心方向D1に対してなす角度θを調節可能に構成されている。また、本実施形態では、支持部33は、角度θを調節し、調節した角度θを保持し得るように構成されている。支持部33が角度θを調節可能に構成されることにより、回転ローラ2およびロール部材Rの大きさ、回転ローラ2およびロール部材Rの材質などに応じて、液体Lを適切に除去できるように角度θを調節することができる。
【0043】
吹き付け部4は、回転ローラ2がロール部材Rに対して軸心R1に沿って移動している間、ロール部材Rの周面R2において、回転ローラ2の移動方向D6における回転ローラ2の後方側の端部25から後方側D61へ液体Lが漏れ出すのを防ぐために設けられている。吹き付け部4は、そのような目的のために、ロール部材Rの周面R2における回転ローラ2の後方側の端部25付近の領域AR2に向かって回転ローラ2の移動方向D6における前方側D62へエアAFを吹き付けるように構成されている。
【0044】
詳しく説明すると、上述のように、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との接触位置Pからロール部材側周面R2における回転方向後方側D42の領域AR1(図3図6参照)に溜まった液体Lの一部は、ロール部材側周面R2から離れて落下し、他の一部は、ロール部材側周面R2において、回転ローラ2における移動方向後方側D61の端部25(図6参照)から後方側D61へ漏れ出す(流れ出す)可能性がある。これは、回転ローラ2がロール部材Rの軸心方向D1に沿って移動する際に、領域AR1に溜まっている液体Lの一部が回転ローラ2の移動に追従できない場合があり、追従できない液体Lが回転ローラ2における移動方向後方側D61の端部25(図6参照)から後方側D61へ漏れ出すためである。液体Lが端部25から後方側D61へ漏れ出した場合には、その漏れ出した液体Lが、再度、ロール部材側周面R2に付着してしまう可能性がある。
【0045】
このような問題が生じないように、吹き付け部4は、ロール部材側周面R2における回転ローラ2の移動方向後方側の端部25付近の領域AR2(以下、端部領域AR2とも称する)に向かって回転ローラ2の移動方向前方側D62へエアAFを吹き付ける(図4図7参照)。端部領域AR2に向かって移動方向前方側D62へエアAFを吹き付ける構成により、回転ローラ2の移動方向後方側の端部25から移動方向後方側D61へ漏れ出そうとする液体Lを前方側D62へ押し返す(液体Lを領域AR1に留める)ことができる。これにより、液体Lが端部25から後方側D61へ漏れ出すのを防止することができる。したがって、ロール部材Rの軸心方向D1に沿った回転ローラ2の移動を1回行うだけで(一方向に移動させるだけで)、ロール部材R全体の液体Lを除去することができる。したがって、ロール部材側周面R2に付着した液体Lを効率よく除去することができる。なお、本実施形態では、回転ローラ2を軸心方向D1に沿って1回移動させるだけで、液体Lを効率よく除去することができるが、回転ローラ2を軸心方向D1に沿って往復移動させても構わない。
【0046】
吹き付け部4は、端部領域AR2に向かって前方側D62へエアAFを吹き付けることによって、回転ローラ2の後方側の端部25から後方側D61へ液体Lが漏れ出すのを防ぐことができるのであれば、その構成は特に限定されない。本実施形態では、吹き付け部4は、高速の空気流を発生させる空気流発生装置(図示せず)と、空気流発生装置に対してエアチューブなどのエア供給路を介して接続されたエアノズル41とを備えている。エアノズル41は、端部領域AR2に向かってエアAFを吹き付ける。
【0047】
本実施形態では、図4に示されるように、吹き付け部4は、端部領域AR2に対して、回転ローラ2の移動方向D6における前方側D62へ、かつ、斜め下方向へエアAFを吹き付けるように構成されている。これにより、吹き付け部4は、端部領域AR2に位置する液体Lを、回転ローラ2の移動方向前方側D62へ、かつ、斜め下方へ押し返すことができる。したがって、端部領域AR2に位置する液体Lが端部領域AR2から回転ローラ2の移動方向後方側D61へ漏れ出すのを防止することができるとともに、液体Lを回転ローラ2の移動方向前方側D62かつ斜め下方へ落下させることができる。したがって、液体Lの除去効率をより高めることができる。吹き付け部4がエアAFを吹き付ける方向は、端部領域AR2に位置する液体Lを、回転ローラ2の移動方向前方側D62へ、かつ、斜め下方へ押し返すことができる方向であればよい。
【0048】
図3図6および図7を参照して、吹き付け部4がエアAFを吹き付ける方向について詳しく説明する。図7は、吹き付け部4がエアAFを吹き付ける方向の一例を3次元的に示す図である。詳細には、図7は、互いに直交する3つの座標軸(X軸、Y軸、Z軸が交点Oで互いに直交する)により定められる3次元空間Sにおいて、吹き付け部4が交点Oに向かってエアAFを吹き付ける場合に、吹き付け部4がエアAFを吹き付ける方向を模式的に示している。交点O(図7参照)は、上述の端部領域AR2(図3図6参照)内に位置することができる(図3図6には交点Oを図示せず)。本実施形態では、3次元空間Sは、回転ローラ2の移動方向D6に沿って延びるX軸と、上下方向(たとえば鉛直方向)に沿って延びるY軸(以下、鉛直軸Yとも称する)と、水平方向に沿って延びるZ軸とにより定められている。Y軸は、X軸およびZ軸により定められる仮想の平面PLに対して直交している。図7におけるY軸の上側が、上下方向における上側である。本実施形態では、移動方向D6は水平方向に沿った方向である。このため、本実施形態では、平面PLは水平な平面である。本実施形態では、吹き付け部4がエアAFを吹き付ける方向は、たとえば、水平方向(水平な平面PL)に対する斜め下方向への角度θ1(図7参照)の範囲が10°~80°、好ましくは20°~70°、より好ましくは30°~60°である。図7に示される例では、角度θ1は、エアAFを吹き付ける方向を示す直線(矢印)AFと平面PLとがなす角度である。また、エアAFを吹き付ける方向は、たとえば、鉛直軸Y周りの回転ローラ2の移動方向D6に対する角度θ2(図7参照)の範囲が10°~80°、好ましくは20°~70°、より好ましくは30°~60°である。図7に示される例では、角度θ2は、エアAFを吹き付ける方向を示す直線(矢印)AFを平面PLに投影したときの平面PL上の投影直線PRと、X軸とがなす角度である。
【0049】
本実施形態では、端部領域AR2(図3参照)は、ロール部材Rの周面R2において、接触位置Pからロール部材Rの回転方向後方側D42の領域(以下、回転後方領域とも称する)である。液体Lは上述の回転後方領域に溜まりやすいため、回転後方領域に向かってエアAFを吹き付ける構成により、端部25から後方側D61へ漏れ出そうとする液体Lを前方側D62へより確実に押し返すことができる。したがって、ロール部材側周面R2に付着した液体Lを除去する効率をさらに高めることができる。
【0050】
本実施形態では、液体除去装置1は、端部領域AR2(図3参照)が、接触位置Pよりも下方に位置するように構成されている。これにより、ローラ側周面21によって押し返された液体Lは、ローラ側周面21とロール部材側周面R2との接触位置Pから落下しやすくなる。仮に、端部領域AR2が、接触位置Pよりも上方に位置している場合には、ローラ側周面21によって押し返された液体Lがロール部材側周面R2に付着した状態を維持しやすくなる可能性がある。これに対し、端部領域AR2(図3参照)が、接触位置Pよりも下方に位置する場合には、ローラ側周面21によって押し返された液体Lが落下しやすくなるため、液体Lの除去効率をより高めることができる。
【0051】
本実施形態では、図3に示されるように、回転ローラ2は、端部領域AR2がロール部材Rの軸心R1より下方に位置するように配置されている。これにより、端部領域AR2に位置する液体Lは、下方へ落下しやすくなる。仮に、端部領域AR2がロール部材Rの軸心R1より上方に位置する場合には、端部領域AR2に位置する液体Lは、下方へ落下しにくくなる可能性がある。これに対し、端部領域AR2がロール部材Rの軸心R1より下方に位置する場合には、端部領域AR2に位置する液体Lは、下方へ落下しやすくなるため、エアAFが吹き付けられたときに、エアAFの風力によって下方へ落下しやすくなる。したがって、液体Lの除去効率をより高めることができる。
【0052】
次に、図1図7を参照して、制御部による液体除去装置1の制御について説明する。ここでは、ロール部材Rの一方側の端部(図1における右側の端部)から他方側の端部(図1における右側の端部)までの範囲に付着している液体Lを、回転ローラ2によって除去する場合について説明する。なお、制御部の記憶部には、ロール部材Rおよび回転ローラ2それぞれの位置および大きさなど、液体Lの除去処理に必要な情報が記憶されているものとする。また、図1は、回転ローラ2がロール部材Rに接触している状態(回転ローラ2がロール部材R側へ前進している状態)を示しているが、液体Lの除去処理を開始する前は、回転ローラ2がロール部材Rに接触しないように後退している状態にあるものとする。また、図1は、回転ローラ2がロール部材Rの軸心方向D1における中央部に位置している状態を示しているが、液体Lの除去処理を開始する前は、回転ローラ2がロール部材Rの軸心方向D1における一端部(図1における右側端部)に対応する位置にあるものとする。また、液体Lの除去処理が開始される前に、ロール部材Rの回転が開始されるものとする。
【0053】
まず、制御部は、回転ローラ2をロール部材Rの一端部(図1における右側端部)へ向けて前進させる前進制御を行う。具体的には、制御部は、たとえば、アーム部32をロール部材Rの一端部へ向けて前進させる制御、および、アーム部32の関節を伸ばす制御を行うことにより、前進制御を行うことができる。
【0054】
つぎに、制御部は、回転ローラ2のローラ側周面21がロール部材Rの周面R2に接触したことを検知する(接触検知)。接触検知を行う手段は特に限定されないが、たとえば、回転ローラ2を支持する支持部33に接触の有無を検知するセンサ(図示せず)を設けておき、制御部がセンサからの信号に基づいて接触を検知することができる。ローラ側周面21がロール部材側周面R2に接触すると、ローラ側周面21が、ロール部材側周面R2の回転方向D4とは反対の方向D5に回転する。
【0055】
制御部は、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に接触したことを検知すると、吹き付け部4から端部領域AR2(図4図6参照。図7における交点Oおよび交点O周辺の領域)に向かって回転ローラ2の移動方向前方側D62へエアAFを吹き付ける吹き付け制御を行う(図4図7参照)。
【0056】
また、制御部は、ローラ側周面21がロール部材側周面R2に接触したことを検知すると、回転ローラ2をロール部材Rの軸心方向D1に沿って、ロール部材Rの他端側に向けて移動させる移動制御を行う(図2参照)。移動制御は、回転ローラ2による液体Lの除去能力および吹き付け部4によるエアAFの吹き付け能力に応じて、ロール部材Rの周面R2に付着した液体Lが適切に除去されるような速度で回転ローラ2を移動させるように行われる。
【0057】
ローラ側周面21とロール部材側周面R2とが接触しながら回転することにより、ローラ側周面21とロール部材側周面R2の接触位置Pからロール部材Rの回転方向前方側D41への液体Lの移動が防止される(図3参照)。回転方向前方側D41への移動防止により、液体Lはロール部材側周面R2から離れて落下する。したがって、ロール部材側周面R2におけるローラ側周面21の通過領域において、液体Lを除去することができる。回転ローラ2は、ロール部材側周面R2を転がりながら、ロール部材Rの軸心方向D1に沿って移動する。これにより、ロール部材側周面R2には、回転ローラ2の螺旋状の通過領域が形成される。
【0058】
吹き付け制御により、吹き付け部4は、ロール部材側周面R2における回転ローラ2の移動方向後方側の端部25付近の端部領域AR2に向かって回転ローラ2の移動方向前方側D62へエアAFを吹き付ける(図4図7参照)。端部領域AR2に向かって移動方向前方側D62へエアAFを吹き付けることにより、回転ローラ2の移動方向後方側の端部25から移動方向後方側D61へ漏れ出そうとする液体Lを前方側D62へ押し返すことができる。これにより、液体Lが回転ローラ2の端部25から後方側D61へ漏れ出すのを防止することができる。したがって、ロール部材Rの軸心方向D1に沿った回転ローラ2の移動を軸心方向D1におけるロール部材Rの全長にわたって1回行うだけで、ロール部材Rの周面R2全体の液体Lを除去することができる。したがって、ロール部材側周面R2に付着した液体Lを効率よく除去することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0060】
(1)軸心周りに回転するロール部材の周面に付着した液体を除去する液体除去装置であって、
前記ロール部材の周面に対して、前記軸心と平行な方向または前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するローラ側周面を有する回転ローラであって、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に接触することで、前記ローラ側周面が前記ロール部材から回転力を受けて前記ロール部材の回転方向とは逆方向に回転するとともに、前記ローラ側周面と前記ロール部材の周面との接触位置において前記ロール部材の回転方向前方側への前記液体の移動を防ぐように構成された回転ローラと、
前記ロール部材および前記回転ローラが回転している間、前記回転ローラおよび前記ロール部材の少なくともいずれか一方を、前記ロール部材の軸心に沿って相対的に移動させる移動部と、
前記回転ローラが前記ロール部材に対して前記軸心に沿って移動している間、前記ロール部材の周面において、前記回転ローラの移動方向における前記回転ローラの後方側の端部から後方側へ前記液体が漏れ出すのを防ぐために、前記ロール部材の周面における前記回転ローラの前記後方側の端部付近の領域に向かって前記回転ローラの移動方向における前方側へエアを吹き付ける吹き付け部とを備える、
液体除去装置。
【0061】
(2)前記領域は、前記ロール部材の周面において、前記接触位置から前記ロール部材の回転方向後方側の領域である、
(1)に記載の液体除去装置。
【0062】
(3)前記ローラ側周面は、前記ロール部材と前記回転ローラとの接触圧により前記ロール部材の周面の形状に対応するように弾性変形可能な材料により構成されている、
(1)または(2)に記載の液体除去装置。
【0063】
(4)前記回転ローラは、前記ローラ側周面が前記ロール部材の周面に対して、前記軸心に対して傾斜した方向に沿って接触するように構成され、
前記回転ローラは、前記回転ローラの移動方向における前方側が後方側よりも前記ロール部材の回転方向前方側に位置するように傾斜している、
(1)~(3)のいずれか1つに記載の液体除去装置。
【0064】
(5)前記液体除去装置は、前記領域が、前記接触位置よりも下方に位置するように構成されている、
(1)~(4)のいずれか1つに記載の液体除去装置。
【0065】
(6)前記吹き付け部は、前記領域に対して、前記回転ローラの移動方向における前方側へ、かつ、斜め下方向へエアを吹き付ける、
(1)~(5)のいずれか1つに記載の液体除去装置。
【0066】
(7)前記回転ローラは、前記領域が前記ロール部材の前記軸心より下方に位置するように配置されている、
(1)~(6)のいずれか1つに記載の液体除去装置。
【符号の説明】
【0067】
1 液体除去装置
2 回転ローラ
21 ローラ側周面
22 中心軸
23 胴部
24 軸部
25 移動方向における後方側の端部
3 移動部
31 本体
311 アーム支持部
312 移動機構
313 走行部
32 アーム部
33 支持部
4 吹き付け部
41 エアノズル
AF エア
AR1 領域
AR2 端部領域
D1 ロール部材の軸心と平行な方向(軸心方向)
D2 ロール部材の軸心に対して傾斜した方向(傾斜方向)
D3 回転ローラの中心軸に沿った方向(中心軸方向)
D4 ロール部材の回転方向
D41 ロール部材の回転方向前方側
D42 ロール部材の回転方向後方側
D5 回転ローラの回転方向
D6 回転ローラの移動方向
D61 回転ローラの移動方向後方側
D62 回転ローラの移動方向前方側
FL 床面
L 液体
O X軸、Y軸およびZ軸の交点
P 接触位置
PL 平面
PR 投影直線
R ロール部材
R1 軸心
R2 周面(ロール部材側周面)
R3 胴部
R4 軸部
S 3次元空間
W 液体が押し出される幅
θ 中心軸とロール部材の軸心とがなす角度
θ1 エアの吹き付け方向と水平方向とがなす角度
θ2 エアの吹き付け方向と回転ローラの移動方向とが鉛直軸周りになす角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7