(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151175
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】タグホルダー及びタグホルダー付きのパレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20241017BHJP
B65D 19/32 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
B65D19/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064341
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 瑛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健二
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA04
3E063BA05
3E063CA01
3E063DA05
3E063EE03
3E063FF01
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】タグホルダーに取り付けられたICタグからデータを良好に読み取ることができるタグホルダー及びタグホルダー付きのパレットを提供する。
【解決手段】第1の態様の平面視矩形状をしたパレット1に設けられた収容部12にICタグ5を配置するためのタグホルダー6である。タグホルダー6は、ホルダー上部7及びホルダー下部8を備える。ホルダー上部7は、平面視において第1方向610に延びてパレット1に係合される上部係合部61を有する。ホルダー下部8は、平面視において第2方向620に延びるタグ保持面62を有する。平面視において、第2方向620は第1方向610に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状をしたパレットに設けられた収容部にICタグを配置するためのタグホルダーであって、
ホルダー上部及びホルダー下部を備え、
前記ホルダー上部は、平面視において第1方向に延びて前記パレットに係合される上部係合部を有し、
前記ホルダー下部は、平面視において第2方向に延びるタグ保持面を有し、
平面視において、前記第2方向は前記第1方向に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす、
タグホルダー。
【請求項2】
前記ホルダー上部と前記ホルダー下部とは、別体として形成され、互いに着脱可能に構成されている、
請求項1に記載のタグホルダー。
【請求項3】
前記タグ保持面が前記パレットのいずれかの辺に平行に延びるように前記ホルダー下部と前記ホルダー上部とを取り付けるための第1取付部と、
前記タグ保持面が前記第2方向に延びるように前記ホルダー下部と前記ホルダー上部とを取り付けるための第2取付部と、を有する、
請求項2に記載のタグホルダー。
【請求項4】
ICタグを配置するためのタグホルダーと、前記タグホルダーを収納する収容部と、を備える平面視矩形状をしたタグホルダー付きのパレットであって、
前記タグホルダーは、ホルダー上部及びホルダー下部を備え、前記ホルダー上部は、平面視において第1方向に延びて前記パレットに係合される上部係合部を有し、前記ホルダー下部は、平面視において第2方向に延びるタグ保持面を有し、
平面視において、前記第2方向は、前記第1方向に対して0度超でかつ90度未満の角度をなし、かつ、前記パレットの一辺に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす、
タグホルダー付きのパレット。
【請求項5】
前記パレットは、上下方向に延びて、内部が前記収容部となる筒状桁を有し、
前記筒状桁は、上下方向における端部に、平面視において前記パレットの一辺と平行に延びて前記筒状桁に架設される一対の桟を有し、
前記ホルダー上部の上部係合部は、前記一対の桟を繋ぐように、前記一対の桟に係合される、
請求項4に記載のタグホルダー付きのパレット。
【請求項6】
前記筒状桁は、上下方向における両端部にそれぞれ、前記一対の桟を有し、
前記ホルダー上部の上部係合部は、上側の前記一対の桟に係合され、
前記ホルダー下部は、上側の前記一対の桟よりも下側の前記一対の桟に近接している、
請求項5に記載のタグホルダー付きのパレット。
【請求項7】
前記ホルダー上部と前記ホルダー下部とは、別体として形成され、互いに着脱可能に構成されている、
請求項4に記載のタグホルダー付きのパレット。
【請求項8】
前記タグホルダーは、
前記タグ保持面が前記パレットのいずれかの辺に平行に延びるように前記ホルダー下部と前記ホルダー上部とを取り付けるための第1取付部と、
前記タグ保持面が前記第2方向に延びるように前記ホルダー下部と前記ホルダー上部とを取り付けるための第2取付部と、を有する、
請求項4に記載のタグホルダー付きのパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが取り付けられ、パレットに設けられた収容部に収容されるタグホルダー及びタグホルダー付きのパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂製パレットにIDタグ用ホルダーを取り付けてなるIDタグを有するホルダー付きパレットが開示されている。合成樹脂製パレットは、表面側デッキボード、表面側デッキボードの下方隅部と下方中間部とに形成された隅部筒状桁と中間部筒状桁とを有し、隅部筒状桁と中間部筒状桁との間にフォーク挿入孔が形成されている。表面側デッキボードの中間部筒状桁上に、平行に延びた二本の桟が形成されている。二本の桟は平面部と該平面部から下方に垂下した垂下部とを有している。二本の桟にはそれぞれ、平面部と垂下部との境目に二つの通孔が形成されている。
【0003】
IDタグ用ホルダーは、IDタグ保持部と、IDタグ保持部の上部から表面側に突出した二つの突出片と、IDタグ保持部の上部から裏面側に突出した二つの突出片とを有している。
【0004】
IDタグ用ホルダーを合成樹脂製パレットに取り付けるには、IDタグ用ホルダーのIDタグ保持部を二本の桟の間に差し入れ、突出片を通孔に差し込む。IDタグ用ホルダーに取り付けられたIDタグは、フォークリフト車に設けたタグリーダー(アンテナ)で読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パレットが使用される生産ラインでは、タグリーダーが生産ラインに組み込まれており、読み取る方向が固定されている。タグリーダーは、IDタグの面(被読取面)がパレットの外周の一側面に沿うように取り付けられた状態でデータを読み取ることを想定して設けられることが多い。上述した合成樹脂製パレットにあっては、タグリーダーが読み取るパレットの一側面にIDタグが取り付けられていれば、IDタグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが一致して、うまくデータが読み取られる。しかしながら、タグリーダーが読み取るパレットの一側面に隣接する側面にIDタグが取り付けられている場合、IDタグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交して、うまくデータが読み取られないおそれがある。
【0007】
パレットとしていわゆる二方差しのパレットが使用される場合、フォークリフト車に対するパレットの所定の側面の向きが決まり易く、IDタグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが一致し易いため、タグリーダーによるIDタグのデータの読み取りに影響が出にくい。
【0008】
しかしながら、パレットとして四方差しのパレットが使用される場合には、フォークリフト車に対するパレットの所定の側面の向きは不特定な方向になることが多く、IDタグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが一致し難く、タグリーダーによるIDタグのデータの読み取りに影響が大きく出るものであった。
【0009】
このため、パレットの所定の側面の向きに左右されずにIDタグからデータを良好に読み取れることが望まれている。
【0010】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、タグホルダーに取り付けられたICタグからデータを良好に読み取ることができるタグホルダー及びタグホルダー付きのパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態のタグホルダーは、平面視矩形状をしたパレットに設けられた収容部にICタグを配置するためのタグホルダーである。前記タグホルダーは、ホルダー上部及びホルダー下部を備える。前記ホルダー上部は、平面視において第1方向に延びて前記パレットに係合される上部係合部を有する。前記ホルダー下部は、平面視において第2方向に延びるタグ保持面を有する。平面視において、前記第2方向は前記第1方向に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態のタグホルダー付きのパレットは、ICタグを配置するためのタグホルダーと、前記タグホルダーを収納する収容部と、を備える平面視矩形状をしたタグホルダー付きのパレットである。前記ICタグは、ホルダー上部及びホルダー下部を備える。前記ホルダー上部は、平面視において第1方向に延びて前記パレットに係合される上部係合部を有する。前記ホルダー下部は、平面視において第2方向に延びるタグ保持面を有する。平面視において、前記第2方向は、前記第1方向に対して0度超でかつ90度未満の角度をなし、かつ、前記パレットの一辺に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタグホルダー及びタグホルダー付きのパレットによれば、平面視矩形状をしたパレットの一側面がどの方向を向いていても、パレットに係合されたタグホルダーが有するICタグからデータを良好に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、同上の実施形態におけるタグホルダーの斜め上方より見た斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上のタグホルダーの正面図である。
図3Bは、同上のタグホルダーの左側面図である。
図3Cは、同上のタグホルダーの下面図である。
【
図4】
図4Aは、同上のタグホルダーにおけるホルダー上部の平面図である。
図4Bは、同上のホルダー上部の正面図である。
図4Cは、同上のタグホルダーの下面図である。
【
図6】
図6Aは、同上のタグホルダーにおけるホルダー下部の平面図である。
図6Bは、同上のホルダー下部の正面図である。
図6Cは、同上のホルダー下部の側面図である。
図6Dは、同上のホルダー下部の下面図である。
【
図7】
図7Aは、同上のタグホルダーが装着されたパレットの要部における左右方向に延びる垂直面で切断した断面図である。
図7Bは、同上のタグホルダーが装着されたパレットの要部における前後方向に延びる垂直面で切断した断面図である。
図7Cは、同上のタグホルダーが装着されたパレットの要部における水平面で切断した断面図である。
【
図8】
図8Aは、同上のタグホルダーの正面図である。
図8Bは、同上のタグホルダーの右側面図である。
【
図9】
図9Aは、第二実施形態に係るタグホルダーにおけるホルダー下部の平面図である。
図9Bは、同上のホルダー下部の正面図である。
【
図10】
図10Aは、第三実施形態に係るタグホルダーの平面図である。
図10Bは、同上のタグホルダーの正面図である。
図10Cは、同上のタグホルダーの側面図である。
図10Dは、同上のタグホルダーの下面図である。
【
図11】
図11は、同上のタグホルダーが装着されたパレットの要部における左右方向に延びる垂直面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、タグホルダー及びタグホルダー付きのパレットに関する。以下、本発明に係るタグホルダー及びタグホルダー付きのパレットを添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
(1)第一実施形態
第一実施形態に係るタグホルダー6及びタグホルダー6付きのパレット1について、
図1A~
図8に基いて説明する。
【0017】
(1.1)パレット
図1Aに示すように、パレット1は、上面デッキ部2と、下面デッキ部3と、桁部4と、を備え、平面視矩形状に形成される。パレット1は、合成樹脂の射出成形により一体に成形される。すなわち、上面デッキ部2と桁部4とは一体に連結され、下面デッキ部3と桁部4とは一体に連結されている。第一実施形態におけるパレット1は、上面デッキ部2が上側に位置し、かつ、下面デッキ部3が下側に位置する状態で使用するように設計されている。上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、平面視における外郭形状は略同一であるものの、全体的な形状及び高さ等は同一となるように形成されていない。なお、上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、全体的な形状及び高さ等は同一となるように形成されていてもよい。すなわち、パレット1は、上下方向において対称に形成されていてもよい。以下の説明において、上面デッキ部2が位置する方を上方とし、下面デッキ部3が位置する方を下方とする。また、便宜上、平面視矩形状をしたパレット1の四辺のうちの一辺が向く方を前方とすると共に前方の反対を後方とし、前方から後方を見たときの左右をそれぞれ左方及び右方とする。
【0018】
(1.1.1)上面デッキ部
上面デッキ部2は、平面視矩形状に形成されており、下面デッキ部3は、下面視(平面視)矩形状に形成されている。上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、ともに平面視における外郭形状が正方形状で同形かつ同大に形成されており、平面視において外郭が重なるように上下方向に間隔をあけて配置される。
【0019】
上面デッキ部2は、桁上部21と、上桟部22と、上桟間部23と、を有する。桁上部21は、桁部4の上側に位置する。上面デッキ部2は、桁上部21として、隅桁上部211と、中間桁上部212と、中央桁上部213と、を有する。
【0020】
隅桁上部211は、平面視において、上面デッキ部2の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁上部211は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁上部211は、後述する隅桁41の上側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0021】
中間桁上部212は、上面デッキ部2の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁上部212は、隅桁上部211と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁上部212は、後述する中間桁42の上側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0022】
中央桁上部213は、上面デッキ部2の中央部に位置する。中央桁上部213は、隅桁上部211と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁上部213は、後述する中央桁43の上側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0023】
上桟部22は、二個の桁上部21間に位置して、二個の桁上部21を連結する。上面デッキ部2は、上桟部22として、端上桟部221と、内上桟部222と、を有する。
【0024】
端上桟部221は、隅桁上部211と中間桁上部212との間に位置して、隅桁上部211と中間桁上部212とを連結する。端上桟部221は、上面デッキ部2の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端上桟部221は、隅桁上部211と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0025】
内上桟部222は、中間桁上部212と中央桁上部213との間に位置して、中間桁上部212と中央桁上部213とを連結する。内上桟部222は、中央桁上部213から90度ピッチで十字状に計四個設けられる。内上桟部222は、隅桁上部211と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0026】
上桟間部23は、四辺が上桟部22に囲まれる部分に位置して、上桟部22にそれぞれ連結される。上桟間部23は、計四個設けられる。上桟間部23は、隅桁上部211と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0027】
上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、同一平面上に位置している。
【0028】
(1.1.2)下面デッキ部
下面デッキ部3は、桁下部31と、下桟部32と、下桟間部と、を有する。桁下部31は、桁部4の下側に位置する。下面デッキ部3は、桁下部31として、隅桁下部311と、中間桁下部312と、中央桁下部と、を有する。
【0029】
隅桁下部311は、平面視において、下面デッキ部3の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁下部311は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁下部311は、隅桁41の下側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0030】
中間桁下部312は、下面デッキ部3の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁下部312は、隅桁下部311と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁下部312は、中間桁42の下側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0031】
中央桁下部は、下面デッキ部3の中央部に位置する。中央桁下部は、隅桁下部311と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁下部は、中央桁43の下側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0032】
下桟部32は、二個の桁下部31間に位置して、二個の桁下部31を連結する。下面デッキ部3は、下桟部32として、端下桟部321と、内下桟部と、を有する。
【0033】
端下桟部321は、隅桁下部311と中間桁下部312との間に位置して、隅桁下部311と中間桁下部312とを連結する。端下桟部321は、下面デッキ部3の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端下桟部321は、隅桁下部311と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0034】
内下桟部は、中間桁下部312と中央桁下部との間に位置して、中間桁下部312と中央桁下部とを連結する。内下桟部は、中央桁下部から90度ピッチで十字状に計四個設けられる。内下桟部は、隅桁下部311と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0035】
下桟間部は、四辺が下桟部32に囲まれる部分に位置して、下桟部32にそれぞれ連結される。下桟間部は、計四個設けられる。下桟間部は、隅桁下部311と同様の貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0036】
下面デッキ部3の桁下部31、下桟部32及び下桟間部の下面は、同一平面上に位置している。下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面は、同一平面上に位置している。
【0037】
(1.1.3)桁部
桁部4は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間に位置して、上面デッキ部2と下面デッキ部3とを連結する。パレット1は、桁部4として、隅桁41と、中間桁42と、中央桁と、を有する。
【0038】
隅桁41は、上面デッキ部2の各隅部と下面デッキ部3の各隅部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の隅桁上部211と、隅桁上部211の下方に位置する下面デッキ部3の隅桁下部311とが、それぞれ隅桁41により連結される。隅桁41は、計四個設けられる。
【0039】
中間桁42は、上面デッキ部2の各辺の中間部と下面デッキ部3の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中間桁上部212と、中間桁上部212の下方にそれぞれ位置する下面デッキ部3の中間桁下部312とが、中間桁42により連結される。中間桁42は、計四個設けられる。
【0040】
中央桁は、上面デッキ部2の中央部と下面デッキ部3の中央部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中央桁上部213と、下面デッキ部3の中央桁下部とが、中央桁により連結される。
【0041】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面が水平面に載置されたとき、上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、水平な同一平面上に位置する。すなわち、パレット1の厚み(すなわち上面と下面との間の上下長さ)は一定に形成されている。
【0042】
(1.1.4)フォーク挿入口、フォーク挿入空間
パレット1は、フォーク挿入口10を有する。フォーク挿入口10は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間で、かつ、隅桁41と中間桁42との間に形成される。具体的には、フォーク挿入口10は、上側に端上桟部221、下側に端下桟部321、側方に隅桁41と中間桁42とが位置してこれらに囲まれる部分である。フォーク挿入口10は、端上桟部221と端下桟部321の各対にそれぞれ対応しており、パレット1の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。
【0043】
フォーク挿入口10は、側方に向けて開口しており、フォークリフトのフォークが挿入される。フォークは、パレット1の一辺に形成されたフォーク挿入口10より挿入され、フォークの先端は、パレット1の一辺に対向する辺に形成されたフォーク挿入口10より少し出るが、必ずしもフォークの先端がフォーク挿入口10より出なくてもよい。フォークが挿入され得る一連の空間が、フォーク挿入空間11となる。すなわち、フォーク挿入空間11は、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)、上桟間部23と下桟間部との間、内上桟部222と内下桟部との間、上桟間部23と下桟間部との間、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)に順に到る一連の空間により構成される。フォーク挿入空間11は、パレット1の一辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、パレット1の一辺に隣接する辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、計四本が平面視において井の字状をなすように設けられる。パレット1は、いわゆる四方差しのパレットとなる。
【0044】
パレット1の上面デッキ部2は、桁上部21、上桟部22及び上桟間部23を有しており、上面デッキ部2には大きな開口が形成されず、上面デッキ部2の上面に積載物が載置される。第一実施形態では更に、下面デッキ部3が桁下部31、下桟部32及び下桟間部を有しており、下面デッキ部3には大きな開口が形成されていない。このため、下面デッキ部3を上側とするとともに上面デッキ部2を下側として、下面デッキ部3の上面に積載物が載置される。すなわち、第一実施形態のパレット1は、両面使用のパレット1となっている。なお、パレット1は、片面使用のパレット1であってもよい。
【0045】
(1.1.5)収容部
図1Bに示すように、パレット1は、ICタグ5が取り付けられたタグホルダー6(
図2参照)を収容する収容部12を備える。ICタグ5は、IDタグ、REIDタグ等、無線によりデータの送受信又は送信を行うタグの全てを含み得る。また、ICタグ5にバッテリーが内蔵されていてもよい。
ICタグ5は、タグホルダー6を介してパレット1に取り付けられる。
【0046】
パレット1は、上下方向に延びて、内部が収容部12となる筒状桁13を有する。筒状桁13は、中央桁上部213、中央桁及び中央桁下部により構成される。筒状桁13は、上下方向に一体に延びる筒状部材により構成される。
【0047】
筒状桁13は、上下方向における端部に、一対の桟131、132を有する。桟131、132は、筒状桁13の上端部及び下端部において横方向に架設される、フランジ状をしたものであってもよいし、筒状桁13を構成する筒状部材自体の上端部及び下端部により構成されてもよい。一対の桟131、132には、互いに対向する部分に、上下に貫通する係合孔133が形成されている。
【0048】
一対の桟131、132は、平面視においてパレット1の左側に位置する一辺101(
図1A参照)と平行に延びる。
【0049】
(1.2)タグホルダー
タグホルダー6は、ICタグ5をパレット1に配置するための部材である。
図2、
図3A~
図3Cに示すように、タグホルダー6は、ホルダー上部7及びホルダー下部8を備える。第一実施形態では、ホルダー上部7とホルダー下部8とは、別体として形成され、互いに着脱可能に構成されている。
【0050】
また、タグホルダー6は、ホルダー上部7とホルダー下部8とを互いに取り付けるための第1取付部と第2取付部とを有する。第1取付部は、タグ保持面62がパレット1のいずれかの辺に平行に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。第2取付部は、タグ保持面62が第2方向620に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。第1取付部及び第2取付部については後述する。なお、第1取付部及び第2取付部は任意の構成であり、タグホルダー6が第1取付部及び第2取付部の両方を備える必要はない。
【0051】
(1.2.1)ホルダー上部
図4A~
図4Cに示すように、ホルダー上部7は、上部本体70と、パレット1に係合される上部係合部61と、を有する。上部本体70は、横方向(水平方向)に延びる天板部71、天板部71の左右両端部から下方に突出する一対の側板部72、横方向に延びて一対の側板部72の下端部同士を繋ぐ底板部73、を有する。上部本体70は、内部空間を有し、内部空間は前後方向に開放されている。
【0052】
図4B及び
図5Aに示すように、天板部71の下面には、前後方向及び左右方向に延びる平面視十字状をした補強のための天板部補強リブ710が下方に突出するように形成される。また、
図4B及び
図4Cに示すように、底板部73の下面には、前端部でかつ左端部と、後端部でかつ右端部とにそれぞれ、計二個の下部天板保持リブ730が下方に突出するように形成される。下部天板保持リブ730は、平面視において、前後方向に対して、前側が右側に、後側が左側に45度傾斜した方向に延びる本体片と、本体片の端部から左右方向に延びる屈曲片とを有するくの字状に形成されている。
【0053】
(1.2.1.1)上部係合部
図4A~
図4Cに示すように、天板部71の左右両端部からは、左右の外側に向けて横片711が突出し、横片711の左右両端部からは、下側に向けて縦片712が突出する。縦片712の下端部の左右の内側には、上部係止突起713が突出する。また、横片711の下面と上部本体70の側板部72とを繋ぐ補強のためのリブ714が形成されている。これら横片711、縦片712、上部係止突起713及びリブ714の組がそれぞれ上部本体70の左右両端部に形成されて、上部係合部61が構成される。上部係合部61は、平面視において第1方向610に延びる。第一実施形態では、第1方向610は左右方向である(
図2参照)。
【0054】
(1.2.1.2)ホルダー上部における第1取付部、第2取付部
図4C及び
図5Bに示すように、ホルダー上部7には、第1取付部を構成する第1上部凹係合部731及び第1弾性片係止リブ732が形成されている。第1上部凹係合部731は、底板部73に形成された上下に貫通する貫通孔である。第1上部凹係合部731には、ホルダー下部8の後述する下部弾性片80が挿通される。第1上部凹係合部731は、底板部73において、左右方向の中央部に、前後方向に間隔をあけた二箇所に形成される。第1弾性片係止リブ732は、底板部73の上面の二つの第1上部凹係合部731、731の間の部分に、上方に突出するように形成される。
【0055】
また、ホルダー上部7には、第2取付部を構成する第2上部凹係合部733及び第2弾性片係止リブ734が形成されている。第2上部凹係合部733は、底板部73に形成された上下に貫通する貫通孔である。第2上部凹係合部733には、ホルダー下部8の下部弾性片80が挿通される。第2上部凹係合部733は、底板部73において、第2方向620に間隔をあけた二箇所に形成される。第2弾性片係止リブ734は、底板部73の上面の二つの第2上部凹係合部733、733に隣接した部分に、上方に突出するように形成される。
【0056】
(1.2.2)ホルダー下部
図6A~
図6Dに示すように、ホルダー下部8は、下部天板部81と、下部本体部82と、を有する。下部天板部81は、横方向(水平方向)に延びる板状をした部材である。第一実施形態では、下部天板部81は、
図6A及び
図6Dに示すように平面視略八角形状をしている。更に説明すると、下部天板部81の八辺のそれぞれは、隣接する辺に対して135度の角度をなしている。下部天板部81の下面から下方に向けて下部本体部82が突出する。
図6Bに示すように、下部本体部82は、上下方向に長い矩形状をした板状の部材である。下部天板部81と下部本体部82とは一体に形成されている。
【0057】
下部本体部82は、タグ保持面62を有する。タグ保持面62は、下部本体部82の板面の全部又は一部により構成される。タグ保持面62は、平面視において第2方向620に延びる。
【0058】
下部天板部81には、下部弾性片80が形成される。下部弾性片80は、下部天板部81の上面において、第2方向620に間隔をあけた二箇所に、上方に突出するように形成される。下部弾性片80は、ホルダー上部7に設けられた第1上部凹係合部731と第2上部凹係合部733のいずれかに下方より挿通可能である。
【0059】
下部弾性片80の上端部には、下部凸係合部801が形成される。下部凸係合部801は、下部弾性片80の上端部から互いに近づく方に突出する。
【0060】
下部弾性片80及び下部凸係合部801は、ホルダー下部8におけるホルダー上部7への取付部を構成する。下部弾性片80及び下部凸係合部801は、ホルダー上部7の第1上部凹係合部731及び第1弾性片係止リブ732と共に第1取付部を構成する。また、下部弾性片80及び下部凸係合部801は、ホルダー上部7の第2上部凹係合部733及び第2弾性片係止リブ734と共に第2取付部を構成する。
【0061】
下部凸係合部801及び下部弾性片80が第1上部凹係合部731又は第2上部凹係合部733に下方より挿通されて、ホルダー下部8がホルダー上部7に取り付けられる際、下部天板保持リブ730に下部天板部81が嵌合する。
【0062】
下部凸係合部801及び下部弾性片80が第2上部凹係合部733に下方より挿通された場合、
図3Cに示すように、タグ保持面62の延びる第2方向620が上部係合部61の延びる第1方向610に対して45度の角度をなす。下部天板部81は平面視略八角形状をしており、一対のくの字状をした下部天板保持リブ730は下部天板部81の外形の辺上に位置するため、下部天板保持リブ730に下部天板部81が嵌合され、下部天板部81が下部天板保持リブ730に対して(すなわちホルダー下部8がホルダー上部7に対して)回転規制される。
【0063】
また、下部凸係合部801及び下部弾性片80が第1上部凹係合部731に下方より挿通された場合、タグ保持面62の延びる第2方向620が上部係合部61の延びる第1方向610と直交する。この場合も下部天板部81が下部天板保持リブ730に嵌合され、下部天板部81が下部天板保持リブ730に対して回転規制される。
【0064】
ホルダー下部8がホルダー上部7に取り付けられた状態で、ホルダー上部7に対する回転力がホルダー下部8にかかった場合、下部天板部81が下部天板保持リブ730に嵌合していなければ、第1上部凹係合部731又は第2上部凹係合部733の内面と下部弾性片80とが圧接されて、下部弾性片80に過大な力がかかってしまう。本実施形態では、下部天板部81が下部天板保持リブ730に嵌合しているため、ホルダー上部7に対する回転力がホルダー下部8にかかっても、下部天板部81が下部天板保持リブ730から力を受けるため、下部弾性片80にかかる力が低減され、下部弾性片80の破損が抑制される。なお、下部天板部81が下部天板保持リブ730から力を受けても、この力は下部天板部81の面内方向の力であるため、下部天板部81は変形し難く破損し難い。
【0065】
また、下部弾性片80の第1上部凹係合部731又は第2上部凹係合部733からの脱落が抑制され、ホルダー下部8がホルダー上部7に対して安定して取り付けられる。
【0066】
下部本体部82の下部天板部81との接続部を除く周縁部に、周縁リブ821が形成されている。周縁リブ821は、下部本体部82の板面と直交する方向に形成される。周縁リブ821が形成されることにより、下部本体部82の板面(タグ保持面62)が周縁リブ821で囲まれて一段低くなり、タグ保持面62に取り付けられたICタグ5が保護される。
【0067】
周縁リブ821の先端部から、下部本体部82の板面側に向けて、タグ保持板83が突出している。第一実施形態では、下部本体部82の第2方向620の両端部において、上下に二箇所ずつ計四箇所に、タグ保持板83が形成されている。下部本体部82の板面とタグ保持板83との間に、タグ挿入溝が形成される。なお、第一実施形態では、下部本体部82の正面視において、タグ保持板83に対応する部分には開口822が形成されているため、下部本体部82の板面の延長面とタグ保持板83との間に、タグ挿入溝が形成されている。
【0068】
下部本体部82の下部には、下部弾性舌片84が形成される。下部弾性舌片84は、下部本体部82の下部において、下部弾性舌片84となる部分の周囲の一部がスリット823を介して下部本体部82から分離して形成されている。下部弾性舌片84の表面は、下部本体部82の板面と(仮想の)同一平面上に位置する。下部弾性舌片84は、下端部が自由端となり、下部本体部82の板面と直交する方向に撓む。下部弾性舌片84の下端部には、下部水平状突条85が形成されている。下部水平状突条85は、下部本体部82とタグ保持板83との間のタグ挿入溝に挿入されるICタグ5の下端部を支持する。
【0069】
(1.2.3)ホルダー上部とホルダー下部との取り付け
(1.2.3.1)第1取付部による取り付け
ホルダー下部8の下部弾性片80を、ホルダー上部7の第1上部凹係合部731に下方より挿入していく。
図8A及び
図8Bに示すように、下部凸係合部801が第1弾性片係止リブ732を乗り越えると、ホルダー下部8のホルダー上部7への取り付けが完了する。
【0070】
これにより、上部係合部61の延びる第1方向610と、タグ保持面62の延びる第2方向620とは、平面視において直交する。この結果、
図1Bに示すように、第1方向610はパレット1のいずれかの辺と平行になると共に、第2方向620もこの辺と隣接する辺に平行になる。
【0071】
(1.2.3.2)第2取付部による取り付け
ホルダー下部8の下部弾性片80を、ホルダー上部7の第2上部凹係合部733に下方より挿入していく。
図3A~
図3Cに示すように、下部凸係合部801が第2弾性片係止リブ734を乗り越えると、ホルダー下部8のホルダー上部7への取り付けが完了する。
【0072】
これにより、平面視において、第2方向620は第1方向610に対しての45度の角度をなす。また、第2方向620は、パレット1の一辺101(
図1A参照)に対して45度の角度をなす。
【0073】
(1.3)ICタグのタグホルダーへの取り付け
図2に示すように、ICタグ5は、上下方向に長い矩形状をした板状の部材で、その内部にはICチップ、アンテナ等が収容されている。ICタグ5をタグホルダー6に取り付けるには、
図3Aに示すように、ICタグ5の上端部を、タグホルダー6のタグ保持面62における下側のタグ保持板83の下側より上方に向けて、この下側のタグ保持板83とタグ保持面62との間のタグ挿入溝に挿入する。このとき、ICタグ5を周縁リブ821よりも一段低いタグ保持面62に沿わせるため、ICタグ5が若干撓むこととなる。更に、下部水平状突条85がタグ保持面62から突出しているため、ICタグ5は下部水平状突条85に接触して大きく撓むところ、下部弾性舌片84が撓んで下部水平状突条85のタグ保持面62からの突出量が低減されるため、ICタグ5の撓みが低減される。ICタグ5の下端部を下部水平状突条85の上側に移動させると、撓んでいた下部弾性舌片84が元に戻って下部水平状突条85が突出し、ICタグ5の下端部を下方より支持する。
【0074】
(1.4)タグホルダーのパレットへの取り付け
ICタグ5が取り付けられたタグホルダー6をパレット1に取り付けるには、タグホルダー6の下端部を、
図1Bに示す収容部12の上方より下方に向けて挿入していく。
図7A及び
図7Bに示すように、上部係合部61を構成する上部係止突起713及び縦片712を、パレット1の係合孔133に挿入し、縦片712が撓みながら上部係止突起713が桟131、132を乗り越えて桟131、132の下側に達すると、タグホルダー6がパレット1に取り付けられる。
図7Aに示すように、ホルダー上部7の上部係合部61は、一対の桟131、132を繋ぐように、一対の桟131、132に係合される。
【0075】
また、ホルダー上部7とホルダー下部8とが別体であるため、異なるパレット1の各辺に沿った格子桟への取り付けにおいて、一対の桟131、132の間隔または取り付け寸法が異なる場合、当該パレット1の一対の桟131、132に対応しているホルダー上部7を採用すれば、ホルダー下部8を任意に選択することができる。すなわち、パレット1に応じたホルダー上部7を選択してパレット1に取り付ければ、ホルダー下部8はパレット1にかかわらずICタグ5に応じて選択でき、パレット1とICタグ5との組み合わせを任意に選択できて、多様なタグホルダー6を構成可能となる。
【0076】
また、ホルダー上部7のみが破損したりホルダー下部8のみが破損したりした場合、タグホルダー6全体を交換することなく、破損したホルダー上部7又はホルダー下部8のみを交換すればよく、経済的である。
【0077】
ホルダー下部8は、上側の一対の桟131、132よりも下側の一対の桟131、132に近接している。
【0078】
(1.5)第一実施形態まとめ
タグ保持面62の延びる第2方向620は、上部係合部61の延びる第1方向610に対して45度の角度をなす。第1方向610は、平面視矩形状をしたパレット1の一辺101に平行である。従って、タグ保持面62の延びる第2方向620は、パレット1の一辺101に対して45度の角度をなす。
【0079】
パレットが使用される生産ラインにおいては、タグリーダーは、多くの場合、タグリーダーの読取対象となる一側面に隣接する側面にICタグ5の面が沿う場合、タグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交して、うまくデータが読み取られない。しかしながら、第一実施形態では、タグ保持面62の延びる第2方向620は、パレット1の一辺101に対して45度の角度をなすため、タグリーダーの読取対象となる側面がどの側面であっても、タグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交せず、タグリーダーはICタグ5のデータを読み取ることができる。なお、タグリーダーが設置されるのは生産ラインに限定されない。
【0080】
なお、第2方向620が第1方向610に対してなす角度は、45度に限定されず、0度超でかつ90度未満であればよい。第2方向620が第1方向610に対してなす角度は、30度以上でかつ60度以下であればより好ましい。また、第2方向620がパレット1の一辺101に対してなす角度は、45度に限定されず、0度超でかつ90度未満であればよい。第2方向620がパレット1の一辺101に対してなす角度は、30度以上でかつ60度以下であればより好ましい。
【0081】
また、ホルダー上部7とホルダー下部8とが別体として形成され、互いに着脱可能に構成されているため、使い勝手がよい。具体的には、タグホルダー6が第1取付部と第2取付部とを有するため、タグリーダーの読取方向に応じて、第1方向610(すなわちタグホルダー6が取り付けられるパレット1の一辺101)に対する第2方向620の向きを調節することができる。
【0082】
また、収容部12は、パレット1の中央桁に設けられているため、四方差しのパレット1において、どの辺のフォーク挿入口10からフォークが挿入されても、収容部12に収容されたICタグ5からタグリーダーまでの距離が一定となり、タグリーダーの読み取り(通信)が安定する。
【0083】
また、ホルダー上部7の上部係合部61は、パレット1の収容部12を構成する一対の桟131、132を繋ぐように、一対の桟131、132に係合されることにより、タグホルダー6のパレット1への取り付け強度が向上する。このとき、ホルダー下部8は、上側の一対の桟131、132よりも下側の一対の桟131、132に近接しているため、ICタグ5をパレット1の上下方向における中央部に位置させやすい。これにより、上面デッキ部2と下面デッキ部3のいずれも載置面とすることができるパレット1において、収容部12に収容されたICタグ5からタグリーダーまでの距離が一定となり、タグリーダーの読み取り(通信)が安定する。
【0084】
(2)第二実施形態
次に、第二実施形態について、
図9A及び
図9Bに基づいて説明する。なお、第二実施形態は、第一実施形態と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0085】
第二実施形態におけるパレット1及びホルダー上部7は、第一実施形態におけるパレット1及びホルダー上部7と同じである。第二実施形態におけるホルダー下部8は、第一実施形態におけるホルダー下部8と一部のみ異なる。
【0086】
第二実施形態のホルダー下部8の第2方向620における長さは、第一実施形態のホルダー下部8の第2方向620における長さよりも長い。
図1Bに示すように、収容部12の一対の桟131、132に沿う方向の長さ(前後方向の長さ)は、ホルダー下部8の第2方向620における長さよりも長く形成されている。これにより、第一実施形態のホルダー下部8の第2方向620における長さよりも長い第二実施形態のホルダー下部8であっても、収容部12に収容可能である。
【0087】
第二実施形態のタグホルダー6にあっては、取り付けられるICタグ5の大きさが大きい場合でも、ICタグ5が取り付け可能である。
【0088】
パレット1に応じたホルダー上部7を選択してパレット1に取り付ければ、ホルダー下部8はパレット1にかかわらずICタグ5のサイズを任意に選択でき、パレット1とICタグ5の大きさの組み合わせを任意に選択できて、多様なタグホルダー6を構成可能となる。
【0089】
(3)第三実施形態
次に、第二実施形態について、
図10A~
図11に基づいて説明する。なお、第三実施形態は、第一実施形態と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0090】
第一実施形態におけるタグホルダー6は、ホルダー上部7とホルダー下部8とが別体として形成されていたのに対し、第三実施形態におけるタグホルダー6は、ホルダー上部とホルダー下部とが一体に形成される。
【0091】
タグホルダー6は、天板部60と、上部係合部61と、を有する。天板部60の左右両端部からは、左右の外側に向けて横片611が突出し、横片611の左右両端部からは、下側に向けて縦片612が突出する。縦片612の下端部の左右の内側には、係止突起613が突出する。また、横片611の下面と後述する本体部63とを繋ぐ補強のためのリブ614が形成されている。これら横片611、縦片612、係止突起613及びリブ614の組がそれぞれ天板部60の左右両端部に形成されて、上部係合部61が構成される。
【0092】
天板部60の下面から下方に向けて本体部63が突出する。本体部63は、上下方向に長い矩形状をした板状の部材である。天板部60と本体部63とは一体に形成されている。
【0093】
本体部63は、タグ保持面62を有する。タグ保持面62は、本体部63の板面の全部又は一部により構成される。タグ保持面62は、平面視において第2方向620に延びる。
【0094】
本体部63の天板部60との接続部を除く周縁部に、周縁リブ633が形成されている。周縁リブ633は、本体部63の板面と直交する方向に形成される。周縁リブ633が形成されることにより、本体部63の板面(タグ保持面62)が周縁リブ633で囲まれて一段低くなり、タグ保持面62に取り付けられたICタグ5が保護される。
【0095】
周縁リブ633の先端部から、本体部63の板面側に向けて、タグ保持板64が突出している。第一実施形態では、本体部63の第2方向620の両端部において、上下に二箇所ずつ計四箇所に、タグ保持板64が形成されている。本体部63の板面とタグ保持板64との間に、タグ挿入溝が形成される。なお、第一実施形態では、本体部63の正面視において、タグ保持板64に対応する部分には開口631が形成されているため、本体部63の板面の延長面とタグ保持板64との間に、タグ挿入溝が形成されている。
【0096】
本体部63の下部には、弾性舌片65が形成される。弾性舌片65は、本体部63の下部において、弾性舌片65となる部分の周囲の一部がスリット632を介して本体部63から分離して形成されている。弾性舌片65の表面は、本体部63の板面と(仮想の)同一平面上に位置する。弾性舌片65は、下端部が自由端となり、本体部63の板面と直交する方向に撓む。弾性舌片65の下端部には、水平状突条66が形成されている。水平状突条66は、本体部63とタグ保持板64との間のタグ挿入溝に挿入されるICタグ5の下端部を支持する。タグ保持面62の延びる第2方向620は、上部係合部61の延びる第1方向610に対して45度の角度をなす。
【0097】
第三実施形態のタグホルダー6にあっても、タグ保持面62の延びる第2方向620は、パレット1の一辺101に対して45度の角度をなすため、タグリーダーの読取対象となる側面がどの側面であっても、タグの被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交せず、タグリーダーはICタグ5のデータを読み取ることができる。
【0098】
(4)まとめ
以上、述べた第一実施形態~第三実施形態から明らかなように、第1の態様の平面視矩形状をしたパレット1に設けられた収容部12にICタグ5を配置するためのタグホルダー6である。タグホルダー6は、ホルダー上部7及びホルダー下部8を備える。ホルダー上部7は、平面視において第1方向610に延びてパレット1に係合される上部係合部61を有する。ホルダー下部8は、平面視において第2方向620に延びるタグ保持面62を有する。平面視において、第2方向620は第1方向610に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす。
【0099】
第1の態様によれば、タグリーダーの読取対象となるパレット1の側面がどの側面であっても、ICタグ5の被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交せず、タグリーダーはICタグ5のデータを読み取ることができる。
【0100】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、ホルダー上部7とホルダー下部8とは、別体として形成され、互いに着脱可能に構成されている。
【0101】
第2の態様によれば、タグホルダー6の使い勝手がよくなる。
【0102】
第3の態様では、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、タグホルダー6は、第1取付部と、第2取付部と、を有する。第1取付部は、タグ保持面62がパレット1のいずれかの辺に平行に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。第2取付部は、タグ保持面62が第2方向620に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。
【0103】
第3の態様によれば、ホルダー上部7の上部係合部61の第1方向610に対する、ホルダー下部8のタグ保持面62の第2方向620の向きを調節することができる。
【0104】
第4の態様のタグホルダー6付きのパレット1は、ICタグ5を配置するためのタグホルダー6と、タグホルダー6を収納する収容部12と、を備える平面視矩形状をしたタグホルダー6付きのパレット1である。タグホルダー6は、ホルダー上部7及びホルダー下部8を備える。ホルダー上部7は、平面視において第1方向610に延びてパレット1に係合される上部係合部61を有する。ホルダー下部8は、平面視において第2方向620に延びるタグ保持面62を有する。平面視において、第2方向620は、第1方向610に対して0度超でかつ90度未満の角度をなし、かつ、パレット1の一辺に対して0度超でかつ90度未満の角度をなす。
【0105】
第4の態様によれば、タグリーダーの読取対象となるパレット1の側面がどの側面であっても、ICタグ5の被読取面の向く方向とタグリーダーの読取方向とが直交せず、タグリーダーはICタグ5のデータを読み取ることができる。
【0106】
第5の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、パレット1は、上下方向に延びて、内部が収容部12となる筒状桁13を有する。筒状桁13は、上下方向における端部に、平面視においてパレット1の一辺と平行に延びて筒状桁13に架設される一対の桟131、132を有する。ホルダー上部7の上部係合部61は、一対の桟131、132を繋ぐように、一対の桟131、132に係合される。
【0107】
第5の態様によれば、タグホルダー6のパレット1への取り付け強度が向上する。
【0108】
第6の態様では、第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、筒状桁13は、上下方向における両端部にそれぞれ、一対の桟131、132を有する。ホルダー上部7の上部係合部61は、上側の一対の桟131、132に係合される。ホルダー下部8は、上側の一対の桟131、132よりも下側の一対の桟131、132に近接している。
【0109】
第6の態様によれば、ICタグ5をパレット1の上下方向における中央部に位置させやすく、上面デッキ部2と下面デッキ部3のいずれも載置面とすることができるパレット1において、収容部12に収容されたICタグ5からタグリーダーまでの距離が一定となり、タグリーダーの読み取り(通信)が安定する。
【0110】
第7の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、ホルダー上部7とホルダー下部8とは、別体として形成され、互いに着脱可能に構成されている。
【0111】
第7の態様によれば、パレット1に対するタグホルダー6の使い勝手がよくなる。
【0112】
第8の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、タグホルダー6は、第1取付部と、第2取付部と、を有する。第1取付部は、タグ保持面62がパレット1のいずれかの辺に平行に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。第2取付部は、タグ保持面62が第2方向620に延びるようにホルダー下部8とホルダー上部7とを取り付けるためのものである。
【0113】
第8の態様によれば、タグリーダーの読取方向に応じて、第1方向610(すなわちタグホルダー6が取り付けられるパレット1の一辺101)に対する第2方向620の向きを調節することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 パレット
101 一辺
12 収容部
13 筒状桁
131 桟
132 桟
41 隅桁
42 中間桁
5 ICタグ
6 タグホルダー
61 上部係合部
610 第1方向
62 タグ保持面
620 第2方向
7 ホルダー上部
8 ホルダー下部