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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151184
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20241017BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20241017BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20241017BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20241017BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20241017BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q5/00
A61K8/43
A61K8/24
A61K8/23
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064376
(22)【出願日】2023-04-11
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB081
4C083AB281
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB331
4C083AB351
4C083AB412
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC472
4C083AC541
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC682
4C083AC741
4C083AC742
4C083AC771
4C083AC792
4C083AC902
4C083AD112
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC31
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】染色後の毛髪における明るさと染色性を向上させることができるとともに、高温安定性を向上させることができ、皮膚への刺激を低減させることができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】毛髪処理剤は、成分(A)として、アンモニア水を含有し、成分(B)として、炭酸カリウムを含有し、成分(C)として、炭酸水素アンモニウムを含有する。毛髪処理剤の全体に対する成分(A)の含有量が1質量%以上30質量%以下であり、毛髪処理剤の全体に対する成分(B)の含有量が0.1質量%以上4質量%以下であり、毛髪処理剤の全体に対する成分(C)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下であり、成分(A)の含有量をA[質量%]、成分(B)の含有量をB[質量%]とした場合に、1≦A/B≦10の関係が成立する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として、アンモニア水を含有し、
成分(B)として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸グアニジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
成分(C)として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、及びリン酸水素二アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記毛髪処理剤の全体に対する前記成分(A)の含有量が1質量%以上30質量%以下であり、
前記毛髪処理剤の全体に対する前記成分(B)の含有量が0.1質量%以上4質量%以下であり、
前記毛髪処理剤の全体に対する前記成分(C)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下であり、
前記成分(A)の含有量をA[質量%]、前記成分(B)の含有量をB[質量%]とした場合に、1≦A/B≦10の関係が成立することを特徴とする毛髪用処理剤。
【請求項2】
成分(D)として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記毛髪処理剤の全体に対する前記成分(D)の含有量が0質量%超3質量%以下であり、
前記成分(A)の含有量をA[質量%]、前記成分(D)の含有量をD[質量%]とした場合に、3≦A/D≦10の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の毛髪用処理剤。
【請求項3】
成分(E)として、酒石酸、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、及びリンゴ酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪用処理剤。
【請求項4】
成分(F)として、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L-システイン酸、及びN-アセチル-L-システインからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪用処理剤。
【請求項5】
成分(G)として、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、及びメチオニンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪用処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2剤型の酸化染毛剤は、酸化染料及びアンモニア等のアルカリ剤を含有する第一剤と、酸化剤を含有する第二剤とから構成され、第一剤はアルカリ性に、第二剤は酸性に、それぞれ調整されており、第一剤と第二剤とが混合して使用される。
【0003】
そして、第一剤と第二剤とを混合すると、アルカリ性に調整された第一剤が、第二剤の酸化剤、例えば過酸化水素を活性化させ、この混合物を毛髪に塗布すると、第一剤のアルカリ剤が毛髪のキューティクルを開き、第一剤及び第二剤の双方の薬剤が毛髪内に浸透する。薬剤が浸透した毛髪内では、活性化した第二剤の酸化剤により、第一剤に含まれる酸化染料の酸化重合が進行して色素が形成され、当該色素による毛髪の発色が進行する。また、染料を含まない毛髪処理剤は、上述の機構により、脱色剤として作用する。
【0004】
ここで、毛髪処理剤により、染色後の毛髪を所望の明るさと色に仕上げるためには、長時間(20~40分)の染色処理を繰り返して行う必要があるため、所望の明るさと色に仕上がるまで、染毛剤による頭皮の刺激に耐えなければならないという問題があった。
【0005】
そこで、頭皮への刺激を低減するための酸化染毛用第一剤が提案されている。より具体的には、モノエタノールアミン等のアルカリ剤と、炭酸ナトリウム等の炭酸塩と炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤とを含有し、pHが8.4~9.5である酸化染毛用第一剤が提案されている。そして、このような構成により、染色処理の時間が短時間(20分未満)となるため、頭皮への刺激を低減することができると記載されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6523282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の酸化染毛用第一剤を含有する上述の染毛剤においては、頭皮への刺激を低減することはできるものの、アンモニア、及びモノエタノールアミンと比較して、緩やかな脱色性を有するグアニジン塩またはアルカリ塩が多く配合されているため、染色後の毛髪における明るさと染色性を向上させることが困難であるという問題があった。
【0008】
また、高温環境下(例えば、50℃)においては、上述の炭酸塩が分解して発泡するため、毛髪処理剤の変色と粘性の変化を抑制することができず、高温安定性に乏しいという問題があった。
【0009】
また、所望の明るさ、および色に発色するまで長時間を要するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、短い施術時間で染色後の毛髪における明るさと染色性を向上させることができるとともに、高温安定性を向上させることができ、皮膚への刺激を低減させることができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の毛髪処理剤は、成分(A)として、アンモニア水を含有し、成分(B)として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸グアニジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、成分(C)として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、及びリン酸水素二アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、毛髪処理剤の全体に対する成分(A)の含有量が1質量%以上30質量%以下であり、毛髪処理剤の全体に対する成分(B)の含有量が0.1質量%以上4質量%以下であり、毛髪処理剤の全体に対する成分(C)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下であり、成分(A)の含有量をA[質量%]、成分(B)の含有量をB[質量%]とした場合に、1≦A/B≦10の関係が成立することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、短い施術時間で染色後の毛髪における明るさと染色性を向上させることができるとともに、高温安定性を向上させることができ、皮膚への刺激を低減させることができる毛髪処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
【0014】
本発明の毛髪処理剤は、染毛用または脱色用の毛髪処理剤である。より具体的には、例えば、2剤型の酸化染毛剤において、酸化染料及びアルカリ剤を含有する第一剤として使用されるものであり、アンモニア水と炭酸塩とpH調整剤とを含有する。
【0015】
<アルカリ剤>
本発明の毛髪処理剤は、アルカリ剤であるアンモニア水を成分(A)として含有している。
【0016】
また、頭皮への刺激を低減させて、安全性を向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体(すなわち、毛髪処理剤100質量%)に対する成分(A)の含有量は、1質量%以上30質量%以下である。
【0017】
<炭酸塩>
また、本発明の毛髪処理剤は、炭酸塩を成分(B)として含有している。この成分(B)としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸グアニジンが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、炭酸塩の長期安定性を確保し、短い施術時間で染色後の毛髪における染色性を良好にし、更に明るさを向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(B)の含有量は、0.1質量%以上4質量%以下である。
【0019】
また、pHを最適に設定するとともに、短時間の施術においても十分に毛髪を明るくするとの観点から、成分(B)を水に1質量%の濃度で溶解した場合のpHが、10.0~12.0であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の毛髪処理剤においては、毛髪処理剤の全体に対する成分(A)の含有量をA[質量%]、毛髪処理剤の全体に対する成分(B)の含有量をB[質量%]とした場合に、1≦A/B≦10の関係が成立する点に特徴がある。
【0021】
すなわち、本発明の毛髪処理剤においては、毛髪処理剤の全体に対する含有量Aが1質量%以上30質量%以下である成分(A)と、毛髪処理剤の全体に対する含有量Bが0.1質量%以上4質量%以下である成分(B)とを含有するとともに、1≦A/B≦10の関係が成立するため、酸化染料の酸化重合による発色性を向上させることができ、短い施術時間で染色後の毛髪全体における明るさと染色性を向上させることが可能になる。また、毛髪処理剤を高温で保存する場合であっても、成分(B)の分解による発泡を抑制することができるため、毛髪処理剤の変色と粘性の変化を抑制することができ、高温安定性を向上させることが可能になる。
【0022】
<pH調整剤>
また、本発明の毛髪処理剤は、pH調整剤を成分(C)として含有している。このpH調整剤としては、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、及びリン酸水素二アンモニウムが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。そして、本発明の毛髪処理剤は、これらのpH調整剤により、pHを9.0~12.0に設定することができる。
【0023】
また、pHを最適に設定するとともに、皮膚刺激性を低減させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(C)の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下である。
【0024】
そして、本発明の毛髪処理剤においては、このような成分(C)を含有することにより、脱色および染色に適したアルカリ性の範囲において、比較的低いpH環境下に制御することにより、皮膚への刺激を低減させることが可能になる。
【0025】
なお、pHを最適に設定するとともに、皮膚刺激性を低減させるとの観点から、成分(C)を水に1質量%の濃度で溶解した場合のpHが、3.5~8.0であることが好ましい。
【0026】
<成分(A)以外のアルカリ剤>
また、本発明の毛髪処理剤は、上述の成分(A)以外のアルカリ剤を成分(D)として含有してもよい。この成分(D)としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)が使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、成分(D)を使用する場合、炭酸塩の分解を抑制して、長期安定性を確保するとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(D)の含有量は、0質量%超3質量%以下であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の毛髪処理剤においては、染色後の毛髪における染色性を良好にするとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(A)の含有量をA[質量%]、毛髪処理剤の全体に対する成分(D)の含有量をD[質量%]とした場合に、3≦A/D≦10の関係が成立することが好ましい。
【0029】
<有機酸>
また、本発明の毛髪処理剤は、染色後の毛髪における髪質を良好にするとの観点から、有機酸を成分(E)として含有しても良い。この成分(E)としては、酒石酸、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、及びリンゴ酸ナトリウムが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
また、毛髪処理剤の全体に対する成分(E)の含有量は、0.05質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。3.0質量%よりも多い場合は、pHが著しく低下して、脱色性が低下する場合があるとともに、炭酸塩の分解が促進される場合があるためである。
【0031】
また、炭酸塩の分解を抑制して、所望のpHを保持するとの観点から、成分(E)を水に1質量%の濃度で溶解した場合のpHが、2.0~8.0であることが好ましい。
【0032】
<酸化防止剤>
また、本発明の毛髪処理剤は、酸化防止剤を成分(F)として含有してもよい。この成分(F)としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L-システイン酸、及びN-アセチル-L-システインが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
また、染料の酸化重合および脱色反応を阻害しない状態で、炭酸塩の分解を抑制するとともに、染料の劣化を抑制するとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(F)の含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
【0034】
<中性アミノ酸>
また、本発明の毛髪処理剤においては、アルカリ成分としての影響を与えることなく、pH緩衝作用、及びキレート効果を発揮させるとの観点から、中性アミノ酸を成分(G)として含有してもよい。この成分(G)としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、及びメチオニンが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、過剰なキレート効果に起因して、酸化反応自体が阻害されることを回避して、一定の染着性と色持ちを向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(G)の含有量は、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0036】
(酸化染料)
酸化染料を構成する染料中間体としては、例えば、硫酸トルエン-2,5-ジアミン、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、N-メチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-2-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、クロル-p-フェニレンジアミン、2-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-5-アミノトルエン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジクロル-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-ブロム-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-メチル-p-フェニレンジアミン、6-メトキシ-3-メチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノアニソール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-2-メトキシエチル-p-フェニレンジアミンなどの、1種又は2種以上の-NH基、-NHR基及び/又は-NR基(Rは、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基)を有するp-フェニレンジアミン類;2,5-ジアミノピリジン誘導体;p-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-クロロ-4-アミノフェノール、3-クロロ-4-アミノフェノール、2,6-ジメチル-4-アミノフェノール、3,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,3-ジメチル-4-アミノフェノール、2,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、5-アミノサリチル酸などのp-アミノフェノール類及びo-アミノフェノール類;o-フェニレンジアミン類が挙げられる。
【0037】
また、酸化染料を構成するカップラーとしては、例えば、α-ナフトール、o-クレゾール、m-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、ベンズカテキン、ピロガロール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-4-メトキシ-2-メチルフェノール、ヒドロキノン、2,4-ジアミノアニソール、m-トルイレンジアミン、4-アミノフェノール、レゾルシン、レゾルシンモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-フェニル-3-アミノ-5-ピラゾロン、1-フェニル-3,5-ジケトピラゾリジン、1-メチル-7-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-2-キノロン、m-アミノフェノール、4-クロロレゾルシン、2-メチルレゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノトリフロロメチルベンゼン、2,4-ジアミノフロロベンゼン、3,5-ジアミノフロロベンゼン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-ヒドロキシピリミジンが挙げられる。
【0038】
(溶媒)
また、本発明の毛髪処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、例えば、水(精製水等)が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
【0039】
なお、本発明の毛髪処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
【0040】
(その他の成分)
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を配合することができる。例えば、油性成分(例えば、イソステアリン酸イソステアリル、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セトステアリルアルコール、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、アニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(10E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等)、カチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(10E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えば、LPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)窒素ガス、炭酸ガス等)、及び香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
【0041】
なお、括弧内の「E.O.」はエチレンオキシドの意味であり、「E.O.」の前の数値は、エチレンオキシドの平均付加モル数を意味している。
【0042】
また、本発明の毛髪処理剤の剤型は、例えば、クリーム状が挙げられる。第一剤である本発明の毛髪処理剤がクリーム状であると、酸化剤を含有する第二剤との混合が容易になるため好ましい。また、長期にわたって良好な保存安定性が可能になる。さらに、塗布時に垂れ落ちしにくく、毛髪への付着性やなじみに優れ、毛髪のコンディショニング効果に優れるとともに、良好な染色性、又は脱色性を得ることが可能になる。
【0043】
なお、ここで言う「クリーム状」とは、吐出口が5~7mmφのチューブ状容器に本発明の毛髪処理剤を充填し、25℃の条件のもと、本発明の毛髪処理剤を吐出したときに1時間以上吐出した状態を保つ状態のことをいう。
【0044】
(第二剤)
本発明の毛髪処理剤(第一剤)と混合される第二剤としては、特に限定されず、主剤である酸化剤を含有するものであればよい。
【0045】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、アルカリ金属の臭素酸塩、アルカリ金属の過酸塩(例えば、過臭素酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩)などが挙げられる。なお、酸化剤の含有量は、特に限定されず、例えば、第二剤の全体に対して、0.5~12.0質量%であってもよく、1.0~6.0質量%であってもよい。
【0046】
また、本発明の毛髪処理剤(アルカリ剤を含有する第一剤)と酸化剤を含有する第二剤とを混合して使用する場合、第一剤と第二剤の質量比は、例えば、第一剤:第二剤=1:1~1:3の範囲とすることができる。
【実施例0047】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0048】
(実施例1~40及び比較例1~16)
<毛髪処理剤(第一剤)の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表1~8に示す組成(質量%)を有する実施例1~40及び比較例1~16の毛髪処理剤(第一剤)を製造した。なお、各毛髪処理剤(第一剤)はクリーム状であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
<酸化剤を含有する第二剤の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表9に示す組成(質量%)を有する第二剤を製造した。
【0058】
【表9】
【0059】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0060】
<染色処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(C)の染色処理を行った。
【0061】
(A)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)と上述の第二剤を用意し、質量比で第一剤:第二剤=1:1の比率(どちらも10gの使用)により、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して、染毛剤を調製した。
【0062】
(B)次に、調製した染毛剤を毛髪全体に均一に塗布し、15分、放置した。
【0063】
(C)そして、15分の染色処理後、毛髪を洗い流し、シャンプーとトリートメントを行い、その後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
【0064】
<毛髪の明るさの評価>
上述の染色処理(15分間)を行った毛髪に対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤による染色処理を行った場合の毛髪の明るさ(明度)について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~8に示す。
【0065】
染色前の毛髪に比し、毛髪の明度がとても高い:◎
染色前の毛髪に比し、毛髪の明度が十分に高い:〇
毛髪の明度が、染色前の毛髪と同程度である:△
染色前の毛髪に比し、毛髪の明度が低い:×
【0066】
なお、ここでいう「明度」とは、酸化染料により染色した色の明るさの指標のことをいう。
【0067】
<染色性評価>
上述の染色処理を行った毛髪に対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤が、染色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~8に示す。
【0068】
毛髪全体が深く色付き、染色力が非常にある:◎
毛髪全体がやや深く色付き、染色力がある:〇
毛髪全体がやや浅く色付き、染色力がややない:△
毛髪全体が浅く色付き、染色力がない:×
【0069】
<皮膚刺激性評価>
実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤が、上述の染色処理中に触れている頭皮の部分に対して与える刺激性について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~8に示す。
【0070】
染毛剤が触れている頭皮の部分における刺激が全くない:◎
染毛剤が触れている頭皮の部分における痛みはないが、冷たさを感じる:〇
染毛剤が触れている頭皮の部分において、チクチクとした刺激を感じたが、痛みは感じない:△
染毛剤が触れている頭皮の部分において、チクチクとした刺激とともに耐えられない痛みを感じる:×
【0071】
<高温安定性評価>
実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)をアルミチューブに充填し、50℃の恒温槽にて1ヵ月間保存した後の状態を、以下の評価基準に基づいて、目視にて評価(専門パネラー10名による評価)を行った。以上の結果を表1~8に示す。
【0072】
毛髪処理剤(第一剤)の外観色に変化がなく、粘度の低下がみられない:◎
毛髪処理剤(第一剤)の外観色に僅かな変化がある、または僅かな粘度の低下がみられるが、毛髪処理剤(第一剤)の使用に問題はない:〇
毛髪処理剤(第一剤)の外観色に変化(黄変)がある、または粘度の低下がみられる:△
毛髪処理剤(第一剤)の外観色に著しい変化(著しい黄変または体積増加)がある、または著しい粘度の低下がみられる:×
【0073】
なお、上述の各評価において、専門パネラー10名が、「◎」、「〇」、「△」、及び「×」から選択した最も多い評価基準を最終評価とした。また、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。
【0074】
表1~7に示すように、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する含有量Aが1質量%以上30質量%以下である成分(A)と、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する含有量Bが0.1質量%以上4質量%以下である成分(B)とを含有するとともに、1≦A/B≦10の関係が成立する実施例1~40の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、酸化染料の酸化重合による発色性を向上させることができ、短い施術時間(15分)で染色後の毛髪における明るさと染色性を向上させることができることが分かる。また、毛髪処理剤(第一剤)を高温で保存する場合であっても、成分(B)の分解による発泡を抑制することができるため、毛髪処理剤の変色と粘性の変化を抑制することができ、高温安定性を向上させることができることが分かる。
【0075】
また、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(C)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下である実施例1~40の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、皮膚(染毛剤が触れている頭皮の部分)への刺激を低減させることができることが分かる。
【0076】
一方、表1に示すように、成分(A)を含有していない比較例1の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しいことが分かる。
【0077】
また、成分(B)を含有していない比較例2~7の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤においては、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【0078】
また、成分(C)を含有していない比較例8~10の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤においては、皮膚(染毛剤が触れている頭皮の部分)への刺激が強いことが分かる。
【0079】
また、表8に示すように、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(B)の含有量が0.1質量%未満であり、A/Bの値が10よりも大きい比較例11の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【0080】
また、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(B)の含有量が4質量%より多い比較例12の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【0081】
また、A/Bの値が1未満である比較例13の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【0082】
また、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(C)の含有量が0.01質量%未満である比較例14の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、皮膚(染毛剤が触れている頭皮の部分)への刺激が強いことが分かる。
【0083】
また、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(A)の含有量が1質量%未満である比較例15の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【0084】
また、毛髪処理剤(第一剤)の全体に対する成分(A)の含有量が30質量%より多く、A/Bの値が10よりも大きい比較例16の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色後の毛髪における明るさと染色性に乏しく、高温安定性に乏しいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤として、特に有用である。