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  • 特開-空気浄化装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151216
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20241017BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20241017BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064443
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】河崎 涼太
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA34X
4C180HH15
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】気流に効率的に紫外光を照射する。
【解決手段】空気浄化装置10は、空気の流れ方向に紫外光40を照射する光源14と、光源14に取り付けられ、流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れ方向に紫外光を照射する光源と、
前記光源に取り付けられ、前記流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体と、を備える空気浄化装置。
【請求項2】
前記鈍頭物体は、放熱部材である、請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記鈍頭物体は、前記流れ方向とは逆向きに突出する円筒面または角柱面を有する、請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記鈍頭物体の表面に微細な凹凸が形成される、請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記光源は、前記流れ方向と直交する所定方向に延びる基板と、前記基板の第1面上に前記所定方向に並べられる複数の発光素子とを備え、
前記鈍頭物体は、前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に取り付けられ、前記所定方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記光源は、前記流れ方向と直交する第1方向に間隔を空けて配置される複数の発光ユニットを備え、
前記複数の発光ユニットのそれぞれは、前記第1方向と直交する第2方向に延びる基板と、前記基板の第1面上に前記第2方向に並べられる複数の発光素子とを備え、
前記鈍頭物体は、前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に取り付けられ、前記第2方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気に紫外光を照射して空気を浄化する空気清浄機が知られている。例えば、サイクロン室内で旋回気流を生成し、旋回気流に紫外光を照射する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-122645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先行技術では、旋回気流を生成するためのファンが必要となり、装置構成が複雑となる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、気流に効率的に紫外光を照射する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の空気浄化装置は、空気の流れ方向に紫外光を照射する光源と、光源に取り付けられ、流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体と、を備える。
【0007】
本発明によれば、気流に効率的に紫外光を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る空気浄化装置の構成を概略的に示す図である。
図2図1の光源の構成を概略的に示す図である。
図3図1の鈍頭物体の構成を概略的に示す図である。
図4】実施形態に係る空気浄化装置の作用効果を概略的に示す図である。
図5】変形例に係る空気浄化装置の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0010】
図1は、実施形態に係る空気浄化装置10の構成を概略的に示す図である。空気浄化装置10は、筐体12と、光源14と、鈍頭物体16とを備える。空気浄化装置10は、筐体12の内部空間18を流れる空気に、光源14からの紫外光40を照射することにより、空気を浄化するよう構成される。
【0011】
筐体12は、空気が流れる内部空間18を有する。筐体12は、内部空間18に露出する内面20を有する。筐体12の内面20は、例えば、亜鉛鉄板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板といった金属材料で構成される。筐体12の内面20は、紫外光40を反射する材料で構成されてもよい。紫外光を反射する材料として、アルミニウム(Al)などの金属材料や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂材料を用いることができる。筐体12の内面20には、紫外光40によって活性化する光触媒材料が設けられてもよい。光触媒材料として、酸化チタンなどを用いることができる。
【0012】
筐体12は、流入口22と、流入部23と、本体部24と、流出部25と、流出口26とを備える。矢印F1で示されるように流入口22から流入する空気は、流入部23、本体部24および流出部25を順に通過し、矢印F2で示されるように流出口26から流出する。筐体12は、例えば、空気が流れるダクトの途中に設けられる。流入口22は、例えば上流側ダクトに接続され、流出口26は、例えば下流側ダクトに接続される。
【0013】
本体部24は、流入口22および流出口26に比べて流路断面積が大きくなるように構成される。本体部24は、例えば、所定方向に直線状に延びており、流路断面積が一定となるように構成される。流入部23は、流入口22と本体部24の間を接続する。流入部23は、流入口22から本体部24に向けて流路断面積が徐々に大きくなるようにテーパー状に構成される。流出部25は、本体部24と流出口26の間を接続する。流出部25は、本体部24から流出口26に向けて流路断面積が徐々に小さくなるようにテーパー状に構成される。
【0014】
図面において、本体部24の延在方向をz方向とし、z方向と直交する二方向をx方向およびy方向としている。内部空間18における空気の流れ方向は+z方向である。これらの方向は、説明のために便宜的に設定されるものであり、空気浄化装置10の設置や使用時の方向を何ら限定するものではない。
【0015】
光源14は、筐体12の内部空間18に配置される。光源14は、本体部24の内部に配置される。光源14は、空気の流れ方向(例えば+z方向)に紫外光40を照射するように構成される。光源14は、例えば、流入部23の近傍に配置され、本体部24の上流側から下流側に向けて紫外光40を照射する。
【0016】
光源14は、少なくとも一つの発光ユニット30を備える。光源14は、複数の発光ユニット30を備えることができる。複数の発光ユニット30は、第1方向(例えばx方向)に間隔をあけて配置される。第1方向(例えばx方向)は、紫外光40を照射する方向(例えば+z方向)と交差または直交する方向である。図1に示す例において、光源14は、3個の発光ユニット30を備える。光源14が備える発光ユニット30の個数は特に限られず、1個または2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0017】
発光ユニット30は、基板32と、発光素子34とを備える。発光素子34は、基板32の第1面32aに設けられる。発光素子34は、紫外光を出力するよう構成されるLED(Light Emitting Diode)である。発光素子34は、例えば、200nm以上320nm以下の波長を有する紫外光を出力し、例えば240nm以上280nm以下の波長を有するよう構成される。
【0018】
図2は、図1の光源14の構成を概略的に示す図である。基板32は、第1方向(例えばx方向)と直交する第2方向(例えばy方向)に延びる。基板32は、短冊形状を有する。光源14は、複数の基板32を備えることができる。複数の基板32は、第1方向(例えばx方向)に間隔を空けて配置される。複数の基板32の間の隙間38は、空気の通り道となる。基板32の第1方向の幅w1は、隙間38の第1方向の幅w2と同じであってもよいし、それよりも大きくてもよいし、それよりも小さくてもよい。
【0019】
発光ユニット30は、複数の発光素子34を備えることができる。複数の発光素子34は、基板32上において第2方向(例えばy方向)に並べられる。図1に示す例において、一つの発光ユニット30は5個の発光素子34を備え、光源14は3×5=15個の発光素子34を備える。発光ユニット30が備える発光素子34の個数は特に限られず、1個以上4個以下であってもよいし、6個以上であってもよい。
【0020】
図1に戻り、鈍頭物体16は、筐体12の内部空間18に配置される。鈍頭物体16は、光源14の上流側に取り付けられる。鈍頭物体16は、例えば基板32の第1面32aとは反対側の第2面32bに設けられる。鈍頭物体16は、空気の流れ方向とは逆向き(例えば-z方向)に突出する。鈍頭物体16は、空気の流れに対する圧力抗力が大きい鈍頭形状を有し、圧力抗力の小さな流線形状とは異なる(例えば、対照的な)形状を有する。鈍頭物体16は、例えば、半円筒形状を有し、流れ方向とは逆向き(例えば-z方向)に突出する円筒面を有する。
【0021】
図3は、図1の鈍頭物体16の構成を概略的に示す図である。複数の鈍頭物体16は、第1方向(例えばx方向)に間隔を空けて配置される。複数の鈍頭物体16のそれぞれは、第2方向に延びる。複数の鈍頭物体16のそれぞれは、例えば、第2方向に延在する円筒面を有する。複数の鈍頭物体16のそれぞれの第1方向の幅w3は、基板32の第1方向の幅w1と同等である。流路断面積において複数の鈍頭物体16が占める面積割合は、例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上であり、例えば90%以下、80%以下、70%以下または60%以下である。
【0022】
鈍頭物体16は、中実部材であってもよいし、中空部材であってもよい。鈍頭物体16は、光源14の動作時の熱を放散させる放熱部材として機能してもよい。鈍頭物体16は、熱伝導性の高い材料で構成されてもよく、アルミニウムや銅などの金属材料で構成されてもよい。鈍頭物体16の表面には、微細な凹凸(例えばディンプル)が設けられてもよい。鈍頭物体16の表面に微細な凹凸を設けることにより、空気の流れに対する摩擦抗力を増やすことができる。
【0023】
つづいて、空気浄化装置10の動作について説明する。筐体12の内部空間18において空気が所定方向(z方向)に流れる。本体部24の流路断面積は、流入口22や流出口26の流路断面積よりも大きいため、本体部24における空気の流速は、流入口22や流出口26における空気の流速よりも小さい。
【0024】
光源14は、紫外光40を照射することにより、内部空間18を流れる空気を浄化する。本体部24における空気の流速を下げることにより、内部空間18を流れる空気に対する紫外光40の作用時間を長くできる。空気の流れ方向(z方向)に延びる本体部24の内部において、光源14からの紫外光40を流れ方向(z方向)に照射することにより、内部空間18を流れる空気に対する紫外光40の作用長を長くできる。これにより、内部空間18を流れる空気を効率的に浄化できる。
【0025】
図4は、実施形態に係る空気浄化装置10の作用効果を概略的に示す図である。図4では、光源14および鈍頭物体16の近傍の空気の流れを破線で模式的に示している。図4に示されるように、空気の流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体16を設けることにより、空気の流れに対して圧力抗力が発生する。その結果、鈍頭物体16よりも下流の位置において空気の流れに乱れが生じ、光源14の正面の位置にカルマン渦42が発生する。カルマン渦42が発生することにより、カルマン渦42が生じない場合に比べて、光源14の正面の位置における空気の滞留時間を長くできる。空気が滞留するカルマン渦42に向けて光源14からの紫外光40を照射することにより、空気に対する紫外光40の作用時間を長くすることができ、紫外光による浄化性能を高めることができる。
【0026】
本実施形態によれば、光源14の裏側に鈍頭物体16を設けることにより、光源14の正面の位置にカルマン渦42を発生させることができ、光源14から空気に照射される紫外光の作用時間を長くできる。これにより、浄化性能を高めることができる。
【0027】
本実施形態によれば、鈍頭物体16を放熱部材とすることにより、放熱部材に向かう空気の流れに対する圧力抗力を大きくすることができる。これにより、放熱部材と気流との間での熱交換を促進することができ、光源14の放熱性能を向上できる。
【0028】
図5は、変形例に係る空気浄化装置10の構成を概略的に示す図である。変形例では、鈍頭物体16が半円筒形状ではなく、角柱形状を有する点で相違する。鈍頭物体16は、空気の流れ方向とは逆向き(例えば-z方向)に突出する角柱面を有する。鈍頭物体16は、例えば三角柱形状を有し、空気の流れ方向とは逆向きに露出する二つの側面を有する。本変形例においても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0029】
上述の実施形態および変形例において、空気浄化装置10は、筐体12を備えなくてもよい。この場合、空気浄化装置10は、空気の流れがある任意の場所に設置して使用できる。
【0030】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0031】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0032】
本発明の第1の態様は、空気の流れ方向に紫外光を照射する光源と、前記光源に取り付けられ、前記流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体と、を備える空気浄化装置である。第1の態様によれば、流れ方向とは逆向きに突出する鈍頭物体を設けることにより、光源の下流側に気流の乱れを生じさせ、光源の下流側における空気の滞留時間を長くできる。気流に乱れが生じている箇所に光源からの紫外光を照射することにより、空気に対する紫外光の作用時間を長くすることができ、浄化性能を向上できる。
【0033】
本発明の第2の態様は、前記鈍頭物体は、放熱部材である、第1の態様に記載の空気浄化装置である。第2の態様によれば、鈍頭物体を放熱部材として用いることにより、光源の動作時の熱を効率的に放散できる。放熱部材が上流側に位置するため、放熱部材を気流に効率的に曝すことができる。また、放熱部材が鈍頭形状を有するため、気流に対する圧力抗力を大きくすることができ、放熱部材と気流の間での熱交換を促進できる。これにより、光源の放熱性能を向上できる。
【0034】
本発明の第3の態様は、前記鈍頭物体は、前記流れ方向とは逆向きに突出する円筒面または角柱面を有する、第1または第2の態様に記載の空気浄化装置である。第3の態様によれば、鈍頭物体として円筒面または角柱面を用いることにより、内部空間を流れる空気の圧力損失の過度な増加を抑制できる。
【0035】
本発明の第4の態様は、前記鈍頭物体の表面に微細な凹凸が形成される、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の空気浄化装置である。第4の態様によれば、鈍頭物体の表面に微細な凹凸を形成することにより、気流に対する摩擦抗力を増やすことができ、光源の下流側に気流の乱れを効果的に生じさせることができる。
【0036】
本発明の第5の態様は、前記光源は、前記流れ方向と直交する所定方向に延びる基板と、前記基板の第1面上に前記所定方向に並べられる複数の発光素子とを備え、前記鈍頭物体は、前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に取り付けられ、前記所定方向に延びる、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の空気浄化装置である。第5の態様によれば、複数の発光素子を所定方向に並べて配置することにより、広範囲に紫外光を照射することができる。また、鈍頭物体を所定方向に延在させることにより、複数の発光素子のそれぞれの下流側に気流の乱れを生じさせ、複数の発光素子のそれぞれから照射される紫外光の空気に対する作用時間を長くできる。
【0037】
本発明の第6の態様は、前記光源は、前記流れ方向と直交する第1方向に間隔を空けて配置される複数の発光ユニットを備え、前記複数の発光ユニットのそれぞれは、前記第1方向と直交する第2方向に延びる基板と、前記基板の第1面上に前記第2方向に並べられる複数の発光素子とを備え、前記鈍頭物体は、前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に取り付けられ、前記第2方向に延びる、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の空気浄化装置である。第6の態様によれば、二次元アレイ状に配置される複数の発光素子を用いて広範囲に紫外光を照射できる。また、複数の鈍頭物体を並べて配置することにより、二次元アレイ状に配置される複数の発光素子のそれぞれの下流側に気流の乱れを生じさせることができる。これにより、複数の発光素子のそれぞれから照射される紫外光の空気に対する作用時間を長くできる。
【符号の説明】
【0038】
10…空気浄化装置、12…筐体、14…光源、16…鈍頭物体、18…内部空間、30…発光ユニット、32…基板、34…発光素子。
図1
図2
図3
図4
図5