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  • 特開-画像読取装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151226
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241017BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064456
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 信二
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA04
5C072CA02
5C072CA14
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA04
5C072LA02
5C072MA01
5C072MB02
5C072NA01
5C072NA05
5C072RA04
(57)【要約】
【課題】厚さの薄い原稿であっても正しく原稿サイズを検出する。
【解決手段】制御部は搬送ローラー群の駆動制御を行って、原稿を原稿読取スリットに対向する位置へ搬送し、画像読取部は原稿読み取りを行う。画像読取部が原稿先端部の画像データを取得すると、エッジ検出部がこの画像データに含まれる原稿先端部を示す影の濃淡情報を利用してエッジ情報を検出する。エッジ検出部が正常なエッジ情報を検出できなかった場合、画像読取部が原稿後端部の画像を読み取る際に、制御部は搬送ローラー群の駆動速度を通常より遅くする。または光源の光量を通常より少なくする制御を行う。画像読取部が原稿後端部の画像データを取得すると、エッジ検出部がこの画像データから原稿後端部を示す影の濃淡情報を利用してエッジ情報を検出し、原稿サイズ判定部が原稿サイズの判定を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の主走査方向に沿って光源が当該原稿に光を照射し、その反射光を受光して電気信号に変換することで画像データを取得する画像読取部と、
前記原稿又は前記画像読取部を前記主走査方向と直交する副走査方向に相対的に移動させる搬送部と、
前記画像読取部が取得した画像データより前記原稿の端部を示すエッジ情報を検出するエッジ検出部と、
前記原稿の先端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報に基づいて、前記原稿のサイズを判定する原稿サイズ判定部と、
前記原稿サイズ判定部が前記エッジ情報から前記原稿のサイズを判定できなかった場合、(i)前記画像読取部が当該原稿の後端部を読み取るときの前記搬送部による当該原稿と当該画像読取部の相対的な移動速度を予め定められた通常の移動速度より遅くする制御、又は(ii)前記画像読取部による原稿読取時の光量を予め定められた通常の光量よりも下げる制御の少なくともいずれかを行う制御部と、を備え、
前記原稿サイズ判定部は、前記原稿の先端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報から当該原稿のサイズを判定できなかった場合、当該原稿の後端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報に基づいて当該原稿のサイズを判定する画像読取装置。
【請求項2】
前記エッジ検出部は、前記画像読取部が取得した画像データが示す前記原稿の先端部及び後端部において前記主走査方向に延びる影を示す画像に基づいてエッジ情報を検出し、
前記原稿サイズ判定部は、前記主走査方向における各位置の前記エッジ情報が途切れなく前記エッジ検出部によって検出されているときに、前記エッジ情報に基づいて前記原稿のサイズを判定する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿サイズ判定部は、前記原稿の先端部及び後端部の画像データについての前記主走査方向における各位置の前記エッジ情報が両方とも途切れを生じて前記エッジ検出部によって検出されているときは、当該途切れを生じている前記原稿の先端部及び後端部の画像データについての前記エッジ情報に基づいてそれぞれ前記原稿のサイズを判定し、当該判定した前記原稿のサイズの大きい方のサイズを、前記原稿のサイズの正式な判定結果とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さの薄い原稿であっても正確に原稿サイズを検知可能な画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナー等の画像読取装置では、原稿の厚みによって発生する影を利用して画像データから原稿の両端部を検出し、原稿幅を算出することで原稿サイズを判定している。特許文献1には、予備走査(プレスキャン)時に原稿の副走査方向の両端の影を検出して原稿サイズを検出するが、その際に光源移動の往路と復路とで光源を切り替えて原稿端部の影を発生しやすくする方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、原稿の先端部と後端部とで原稿を照射する光源の方向を切り替えることで端部の影を発生しやすくして原稿サイズを検出する方法が記載されている。特許文献3には、自動原稿送り機構を有する画像読取装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-244403号公報
【特許文献2】特開2004-328154号公報
【特許文献3】特開2010-278870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、厚さの薄い原稿は原稿端部の影がはっきりと出現しにくく、通常の読み取りでは影に相当するエッジ情報が途切れた状態になることもあり、原稿サイズの検出が正しく行えないケースがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、厚さの薄い原稿であっても正しく原稿サイズを検出する画像読取装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における画像読取装置は、原稿の主走査方向に沿って光源が当該原稿に光を照射し、その反射光を受光して電気信号に変換することで画像データを取得する画像読取部と、前記原稿又は前記画像読取部を前記主走査方向と直交する副走査方向に相対的に移動させる搬送部と、前記画像読取部が取得した画像データより前記原稿の端部を示すエッジ情報を検出するエッジ検出部と、前記原稿の先端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報に基づいて、前記原稿のサイズを判定する原稿サイズ判定部と、前記原稿サイズ判定部が前記エッジ情報から前記原稿のサイズを判定できなかった場合、(i)前記画像読取部が当該原稿の後端部を読み取るときの前記搬送部による当該原稿と当該画像読取部の相対的な移動速度を予め定められた通常の移動速度より遅くする制御、又は(ii)前記画像読取部による原稿読取時の光量を予め定められた通常の光量よりも下げる制御の少なくともいずれかを行う制御部と、を備え、前記原稿サイズ判定部は、前記原稿の先端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報から当該原稿のサイズを判定できなかった場合、当該原稿の後端部の画像データから前記エッジ検出部が検出したエッジ情報に基づいて当該原稿のサイズを判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、原稿が薄い等の理由で原稿の先端部の画像読取時に原稿の影がはっきりと出現せず、画像データからエッジ情報を正しく得られなかったときは、原稿の後端部の読み取り時に原稿または画像読取部の移動速度を通常より遅くする、又は画像読取部による原稿読取時の光量を通常よりも下げることで、通常の速度で原稿が搬送されるまたは画像読取部が移動する場合、或いは、通常の光量で画像読取部が原稿を読み取る場合に比べて、原稿の端部に生じる影の画像を読み取りやすくなる。原稿を照射する光源の光量を下げる場合、原稿端部に照射する光の量が多すぎることで影が消えてしまう事態の発生を低減でき、影の画像を比較的明確にすることができる。これにより、本発明によれば、薄い原稿でも画像読取部が取得した画像データから影の画像に基づいてエッジ情報を検出しやくなるため、原稿サイズを正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図3】原稿サイズ判定処理の流れを説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置について図面を参照して説明する。尚、本実施の形態では、本発明における画像読取装置を備えた電子写真方式の画像形成装置1を例に挙げて説明するが、インクジェット方式等の他の印刷方式を用いた画像形成装置であっても構わない。図1は、本実施の形態における画像形成装置1の構造を示す正面断面図である。
【0011】
画像形成装置1は、例えば、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等であってもよいし、これらの機能を備えた複合機であってもよい。画像形成装置1は、装置本体11に、入力受付部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、自動原稿送り装置(ADF)6及び画像読取部5等を備えて構成されている。本発明における画像読取装置は、画像読取部5、または画像読取部5及びADF6を備えた構成となっている。
【0012】
画像読取部5は、上面に設けられた原稿を載置するためのコンタクトガラス161、コンタクトガラス161に載置された原稿に光を照射する光源26a及び光源26b(以下、光源26aと光源26bを適宜まとめて「光源26」と表記する)、原稿からの反射光を第2ミラー22に反射する第1ミラー21、反射光をCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーで構成された撮像素子25へ導く第3ミラー23、レンズ系24及び原稿読取スリット53(読取位置)を有する。
【0013】
自動送り読取モードにおいて、制御部310(図2)による制御の下、ADF6は、給紙ローラー613及び搬送ローラー615の駆動により、原稿トレイ61に載置された原稿束Sを1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿読取スリット53を介して画像読取部5による読取を可能とした後、排出ローラー618が駆動して排出トレイ66へと排出する。以下、給紙ローラー613、搬送ローラー615及び排出ローラー618等の原稿を原稿トレイ61から読取位置を介して排出トレイ66へ搬送するローラー群を「搬送ローラー群600」とする(本発明における「搬送部」に相当する)。
【0014】
またADF6は、画像読取部5の上面にあるコンタクトガラス161に対して開閉自在であり、ADF6が閉状態にあるときにコンタクトガラス161の上面と対向する面に原稿押さえ板162を有する。
【0015】
また、載置読取モードにおいては、制御部310(図2)による制御の下、ユーザーがコンタクトガラス161上に原稿を置いてADF6を閉状態にしてスタートボタン(不図示)を押下すると、後述する制御部310の制御に従って光源26が発光し、この光源26の光がコンタクトガラス161を透過して原稿に照射される。その結果、原稿の反射光がコンタクトガラス161を通して第1ミラー21に入射する。この入射光は、第2ミラー22、第3ミラー23及びレンズ系24を通過した後、撮像素子25へ入射する。
【0016】
キャリッジ20は、光源26a、光源26b、第1ミラー21、第2ミラー22、第3ミラー23、レンズ系24及び撮像素子25を搭載する。自動送り読取モードではキャリッジ20は原稿読取スリット53に対向する位置であって、光源26aと光源26bが原稿読取スリット53から原稿を照射可能な位置に配置される。
【0017】
載置読取モードでは、制御部310(図2)による制御の下、画像読取部5がコンタクトガラス161に載置された原稿を主走査方向に1ラインずつ読み取りながらキャリッジ20が主走査方向(図1における矢印Y方向)と直交した副走査方向(図1における紙面奥行き方向。矢印X方向)に一定速度で移動することで、原稿全体の画像読取を行う。キャリッジ20はモーター等によって構成されるキャリッジ搬送部500(特許請求の範囲における「搬送部」に相当する)の駆動によって移動する。
【0018】
また、載置読取モードでは、エッジ検出部311(図2)により、画像読取部5が取得した画像データに含まれる原稿の厚さによって現れた影の濃淡情報を用いて、後述するエッジ検出部311がエッジ検出を行ってエッジ情報を検出し、原稿サイズ判定部312(図2)がエッジ情報から原稿サイズの判定を行う。原稿サイズの判定が正確に行われるためには、原稿による影が明瞭に現れる必要がある。そこで、画像読取部5は2つの光源26aと光源26bを有することが望ましく、2つの光源は読み取りの際に原稿端部の影が現れやすい位置に配置される。
【0019】
撮像素子25は、制御部310の制御に従って動作し、入射光を電気信号へ変換する。撮像素子25は、主走査方向に配列しており、主走査方向の1ライン分の出力値を得る。
【0020】
入力受付部47は、ユーザーから画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。入力受付部47は、ユーザーへの操作案内等を表示する表示部473を備えている。
【0021】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、制御部310(図2)による制御の下、画像読取部5が読み取った画像に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される用紙Pにトナー像を形成する。カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、帯電、露光及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、そのトナー像を一次転写ローラー126により中間転写ベルト125上に転写させる。
【0022】
中間転写ベルト125上に転写される上記各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた用紙Pに転写させる。この後、定着部13が、用紙P上のトナー像を、熱圧着により用紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの用紙Pは、排出トレイ151に排出される。
【0023】
給紙部14は、複数の給紙カセットを備える。そして後述する制御部310が、ユーザーによる指示で指定されたサイズの用紙が収容された給紙カセットのピックアップローラー145を回転駆動させて、各給紙カセットに収容されている用紙Pをニップ部Nに向けて搬送させる。
【0024】
なお、画像形成装置1において、両面印刷を行う場合は、制御部310(図2)による制御の下、画像形成部12より一方の面に画像が形成された用紙Pを、排出ローラー対159にニップされた状態とした後、用紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19により、ニップ部N及び定着部13に対して用紙Pの搬送方向上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部12により用紙の他方の面に画像が形成される。
【0025】
図2は、画像読取装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット31、入力受付部47、ADF6、画像読取部5、画像形成部12及び記憶部9を備えて構成される。図1と同じ構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。記憶部9は、画像形成装置1の動作に必要なデータやプログラムを記憶する。
【0026】
制御ユニット31は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット31は、上記のROM又は記憶部9に記憶されている制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部310、エッジ検出部311及び原稿サイズ判定部312として機能する。尚、制御ユニット31の上記各部は、制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0027】
制御部310は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。
【0028】
エッジ検出部311は、画像読取部12が取得した画像データに対してエッジ検出処理を施すことで、原稿端部によって発生した影に対応するエッジ情報を検出する。光源26が原稿を照射すると、原稿の厚みによって影が発生する。この状態で画像読取部5が読み取りを行うと、取得した画像データには、影を示す画像が濃淡情報として含まれる。エッジ検出部311は、エッジ検出処理によって、当該影を示す画像に基づいてエッジ情報を検出する。なお、エッジ検出処理は既知の技術を用いる。例えば、エッジ検出として、メッシュ状に分割された画像の各点について空間微分することにより、物体のエッジ(稜線)を抽出し、X方向については、ある点と隣の点の明るさの差を取り、当該差のある値以上のところがエッジと判断し、画像の明るい部分と暗い部分の境目をエッジとして強調して取り出す処理を行う。
【0029】
原稿サイズ判定部312は、エッジ検出部311が検出したエッジ情報に基づいて原稿のサイズを判定する。原稿サイズ判定部312は、様々な規定サイズを含む用紙サイズ情報を予め記憶しており、エッジ情報から原稿の幅を算出し、用紙サイズを判定する。
【0030】
原稿サイズ判定部312は、画像データからエッジ検出部311が検出したエッジ情報に基づいて原稿サイズを判定する。しかしながら、厚さの薄い原稿は、原稿端部の影が明瞭に出現しにくい。影の出現が十分でないと画像データに影を示す画像が十分に現れないため、エッジ検出に必要な濃淡情報が十分に得られず、エッジ検出部311が正確にエッジ情報を検出できない。つまり、原稿サイズ判定部312が原稿サイズの判定を正しく行えない場合があった。
【0031】
そこで、原稿の厚さが薄い等の理由で原稿の影がはっきりと出現せず、自動送り読取モードの場合は原稿先端部、載置読取モードの場合は副走査方向上流側の画像読み取りで原稿サイズの判定が正しくできなかった場合、制御部310により、自動送り読取モードでは、原稿後端部で原稿の搬送速度を予め定められた通常の速度よりも予め定められた値だけ下げる、或いは、載置読取モードでは副走査方向下流側でキャリッジ20の移動速度を予め定められた通常の速度より予め定められた値だけ下げる、のいずれかの制御を行う。
【0032】
これにより、画像読取部5が原稿後端部の画像を通常より遅い速度で読み取り、原稿端部の影の画像を示す情報を正確に取得する。つまり、画像読取部5は原稿後端部の画像データの情報量を増やすことができるため、影の画像等により得られる濃淡情報も通常速度での読取時よりも多く取得することができる。従って、エッジ検出部311によるエッジ情報を検出しやすくなり、原稿サイズ判定部312は原稿サイズの判定を正しく行うことができる。
【0033】
または、制御部310は、原稿後端部または副走査方向下流側の画像読み取りにて、光源26の光量を少なくする。これにより、原稿端部に照射する光の量が多すぎることで影が消えてしまう事態を低減し、原稿端部の影及びその位置を明確にする。
【0034】
図3は本実施の形態における原稿サイズ判定処理の流れを説明したフローチャートである。なお、本実施の形態では、原稿の主走査方向のサイズに基づいて原稿サイズを判定する場合を例に説明する。最初に原稿を自動送り読取モードにて読み取る場合について説明する。
【0035】
原稿トレイ61に原稿がセットされて、入力受付部47のスタートボタン(不図示)のユーザーによる操作により原稿読取指示が入力受付部47に入力されたとき、制御部31は、ADF6の搬送ローラー群600の駆動制御を行って、原稿を一枚ずつ原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送させ、画像読取部5に原稿読み取りを行わせる(S11)。このとき、画像読取部5が原稿先端部の読取によりその画像データを取得すると、エッジ検出部311がこの画像データに含まれる原稿先端部に生じた影(原稿先端部を示す影)を示す画像に基づいてエッジ検出処理を行ってエッジ情報を検出する(S12)。
【0036】
エッジ検出部311が、原稿先端部に生じた影を示す画像に基づいて常にエッジ情報を検出できた場合(S13;YES)、原稿サイズ判定部312がエッジ情報を用いて原稿サイズの判定を行う(S18)。この後、原稿サイズ判定処理は終了する。例えば、原稿サイズ判定部312は、主走査方向における各位置において途切れなく原稿先端部に生じた影を示す画像が存在し、エッジ検出部311により当該影を示す画像に基づいて主走査方向における各位置のエッジ情報が途切れなく検出されているときに、上記エッジ情報に基づいて原稿サイズを判定し(S13;YES)、エッジ情報が途切れて検出されているときは、上記エッジ情報に基づいた原稿サイズの判定を行わない(S13;NO)。
【0037】
原稿が薄く、端部の影がはっきり出現されない等の理由で、エッジ検出部311が正常なエッジ情報を検出できなかった(エッジ情報が途切れている等)場合(S13;NO)、画像読取部5が原稿後端部の画像を読み取る際に、制御部31はADF6の搬送ローラー群600の駆動速度を予め定められた通常速度よりも予め定められた値だけ遅くする。これにより、原稿が通常より遅く搬送されるため、画像読取部5は原稿画像を低速度で読み取ることができ、原稿端部の影の画像を示す情報を正確に取得して、通常速度での読取時に比べて画像読取部5はより多くの濃淡情報を含んだ画像データを取得できる。
【0038】
または、画像読取部5が原稿後端部の画像を読み取る際に、制御部31は、光源26の光量を、予め定められた通常の光量よりも予め定められた値だけ少なくする制御を行う。通常の光量の場合、原稿端部に照射する光の量が多すぎることで影が消えてしまうおそれがある。そこで、光源26の光量を通常より少なくすることで、この事態の発生を低減して原稿端部の明暗差をはっきりさせ、画像読取部5が原稿後端部の影を正確に読み取りやすくする。
【0039】
画像読取部5が原稿後端部の画像データを取得すると、エッジ検出部311がこの画像データから原稿後端部を示す影を示す画像に基づいてエッジ検出処理を行ってエッジ情報を検出する(S15)。
【0040】
エッジ検出部311が正常にエッジ情報を検出できた場合(S16;YES)、原稿サイズ判定部312がエッジ情報を用いて原稿サイズの判定を行う(S18)。すなわち、原稿サイズ判定部312による当該判定で得られた結果が、原稿のサイズの正式な判定結果となる。この後、原稿サイズ判定処理は終了する。この場合も、例えば、原稿サイズ判定部312は、主走査方向における各位置において途切れなく原稿後端部に生じた影を示す画像が存在し、エッジ検出部311により当該影を示す画像に基づいて主走査方向における各位置のエッジ情報が途切れなく検出されているときに、上記エッジ情報に基づいて原稿サイズを判定し(S16;YES)、エッジ情報が途切れて検出されているときは、上記エッジ情報に基づいた原稿サイズの判定を行わない(S16;NO)。
【0041】
エッジ検出部311が原稿後端部の画像データから正常にエッジ情報を検出できなかった場合(S16;NO)、原稿サイズ判定部312は、原稿先端部の画像から検出したエッジ情報と、原稿後端部の画像から検出したエッジ情報を合わせることで導き出される最も大きいサイズを原稿のサイズとする(S17)。すなわち、原稿サイズ判定部312は、原稿の先端部及び後端部の画像データについての主走査方向における各位置のエッジ情報が両方とも途切れを生じてエッジ検出部311によって検出されているときは、当該途切れを生じている原稿の先端部及び後端部の画像データについてのエッジ情報に基づいてそれぞれ原稿のサイズを判定し、当該判定した原稿のサイズの大きい方のサイズを、原稿のサイズの正式な判定結果とする。
【0042】
具体的に説明すると、例えば原稿先端部及び原稿後端部の画像データから検出したエッジ情報が不完全(上記途切れがある)であったとき、原稿サイズ判定部312は、主走査方向の座標(画素の位置)として原稿先端部の範囲を200~2000(主走査方向座標位置を示す値)と検出し、原稿後端部の範囲を500~2500(主走査方向座標位置を示す値)と検出する。なお、エッジ情報が上記途切れなく正しく検出されている場合、原稿先端部と原稿後端部の主走査方向の範囲は同じになるものとする。
【0043】
この場合、原稿サイズ判定部312は、得られた上記値が示す原稿の主走査サイズとして最大となる範囲、ここでは、主走査方向の範囲200~2500を、正式な原稿サイズとして採用する。原稿先端部と原稿後端部のエッジ情報が不確かな場合は、判定される主走査方向のサイズは不確かなものとなるが、このように最大の主走査方向のサイズを採用することで、画像読取部5が取得した画像データの有効な画像部分が削除されてしまう事態を低減する。
【0044】
次に、原稿を載置読取モードで読み取る場合について同様に図3を参照して説明する。コンタクトガラス161に原稿がセットされて、入力受付部47のスタートボタン(不図示)のユーザーによる操作により原稿読取指示が入力受付部47に入力されたとき、制御部91は、キャリッジ搬送部500の駆動制御を行い、画像読取部5を副走査方向に移動させながら画像読取部5に原稿読み取りを行わせる(S11)。このとき、画像読取部5が原稿先端部の読取によりその画像データを取得すると、エッジ検出部311がこの画像データに含まれる原稿先端部に生じた影(原稿先端部を示す影)を示す画像に基づいてエッジ検出処理を行ってエッジ情報を検出する(S12)。
【0045】
エッジ検出部311が正常にエッジ情報を検出できた場合(S13;YES)、原稿サイズ判定部312がエッジ情報を用いて原稿サイズの判定を行う(S18)。この後、原稿サイズ判定処理は終了する。
【0046】
原稿が薄く、端部の影がはっきり出現されない等の理由で、エッジ検出部311が正常なエッジ情報を検出できなかった場合(S13;NO)、画像読取部5が原稿後端部の画像を読み取る際に、制御部31はキャリッジ20を移動するキャリッジ搬送部500の駆動速度を予め定められた通常速度よりも予め定められた値だけより遅くする。または、画像読取部5が原稿後端部の画像を読み取る際に、制御部31は光源26の光量を、予め定められた通常の光量よりも予め定められた値だけ少なくする制御を行う。
【0047】
画像読取部5が原稿後端部の画像データを取得すると、エッジ検出部311がこの画像データから原稿後端部を示す影を示す画像に基づいてエッジ検出処理を行ってエッジ情報を検出する(S15)。
【0048】
エッジ検出部311が正常にエッジ情報を検出できた場合(S16;YES)、原稿サイズ判定部312がエッジ情報を用いて原稿サイズの判定を行う(S18)。この後、原稿サイズ判定処理は終了する。
【0049】
エッジ検出部311が原稿後端部の画像データから正常にエッジ情報を検出できなかった場合(S16;NO)、原稿サイズ判定部312は、原稿先端部の画像から検出したエッジ情報と、原稿後端部の画像から検出したエッジ情報を合わせることで導き出される最も大きいサイズを原稿のサイズとする(S17)。
【0050】
以上、説明したように、本実施形態によれば、原稿が薄い等の理由で原稿の先端部の画像読取時に原稿の影がはっきりと出現せず、画像データからエッジ情報を正しく得られなかったときは、原稿の後端部の読み取り時に原稿または画像読取部5の移動速度を通常より遅くする、又は画像読取部5による原稿読取時の光量を通常よりも下げることで、通常の速度で原稿が搬送されるまたは画像読取部が移動する場合、或いは、通常の光量で画像読取部が原稿を読み取る場合に比べて、原稿の端部に生じる影の画像を読み取りやすくなる。原稿を照射する光源の光量を下げる場合、原稿端部に照射する光の量が多すぎることで影が消えてしまう事態の発生を低減でき、影の画像を比較的明確にすることができる。これにより、本実施形態によれば、薄い原稿でも画像読取部5が取得した画像データから影の画像に基づいてエッジ情報を検出しやくなるため、原稿サイズを正確に判定することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図3を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
12 画像形成部
161 コンタクトガラス
31 制御ユニット
310 制御部
311 エッジ検出部
312 原稿サイズ判定部
47 入力受付部
5 画像読取部
500 キャリッジ搬送部
6 ADF
600 搬送ローラー群
図1
図2
図3