(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151227
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】熱交換器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/167 20060101AFI20241017BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20241017BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20241017BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20241017BHJP
B23K 11/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B23K9/167 A
F28D9/00
F28F3/00 311
B23K26/21 N
B23K11/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064458
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋本 明人
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 雅喜
(72)【発明者】
【氏名】松本 正之
(72)【発明者】
【氏名】横山 創
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】大月 隆寛
【テーマコード(参考)】
3L103
4E001
4E168
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB37
3L103CC21
3L103DD52
4E001AA03
4E001BB07
4E001CA03
4E168BA06
4E168BA86
(57)【要約】
【課題】溶接による変形を抑制することができる熱交換器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱交換器1は、スペーサ3を介在させて積層された複数のプレート部材2と、流路4と、を備える。流路4は、一対のプレート部材2と、スペーサ3と、によって囲まれることにより形成されている。スペーサ3は、一対の被接合部31と、一対の被接合部31同士を接続する接続部32と、を有する。一対の被接合部31は、積層方向Zに互いに対向すると共に、積層方向Zにおいて互いに隣接する一対のプレート部材2にそれぞれ接合される。また、スペーサ3において、一対の被接合部31は、外部に連通する対向空間30を介して互いに対向している。プレート部材2の外周端部と被接合部31の外周端部との溶接部である外周溶接部51は、プレート部材2と被接合部31との間を封止している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサ(3)を介在させて積層された複数のプレート部材(2)と、
該複数のプレート部材の積層方向(Z)において互いに隣接する一対の上記プレート部材と、上記スペーサと、によって囲まれることにより形成されると共に、熱交換を行う流体が流れる流路(4)と、を備え、
上記スペーサは、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材の外周端部同士の間に配置されており、
上記スペーサは、上記積層方向に互いに対向すると共に、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材にそれぞれ接合される一対の被接合部(31)と、該一対の被接合部同士を接続する接続部(32)と、を有し、
上記スペーサにおいて、上記一対の被接合部は、外部に連通する対向空間(30)を介して互いに対向しており、
上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部とは、溶接によって互いに接合されており、
上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部との溶接部である外周溶接部(51)は、上記プレート部材と上記被接合部との間を封止している、熱交換器(1)。
【請求項2】
上記複数のプレート部材は、上記積層方向における外側に配置された一対の外側プレート(21)と、該一対の外側プレート同士の間に配置された内側プレート(22)と、を有し、上記外側プレートは、上記内側プレートよりも厚みが厚い、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
上記被接合部の厚み(T1)は、上記プレート部材の厚み(T2)以下である、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
上記プレート部材と上記被接合部とは、上記外周溶接部よりも上記接続部側に形成されていると共に、上記プレート部材と上記被接合部との溶接によって形成された内側溶接部(52)によっても、互いに接合されている、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
上記スペーサにおいて、上記対向空間には、上記一対の被接合部のそれぞれと当接する介在部材(33)が介在している、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項6】
スペーサ(3)を介在させて積層された複数のプレート部材(2)と、
該複数のプレート部材の積層方向(Z)において互いに隣接する一対の上記プレート部材と、上記スペーサと、によって囲まれることにより形成されると共に、熱交換を行う流体が流れる流路(4)と、を備えた熱交換器(1)を製造する方法であって、
上記スペーサは、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材の外周端部同士の間に配置されており、上記スペーサは、上記積層方向に互いに対向すると共に、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材にそれぞれ接合される一対の被接合部(31)と、該一対の被接合部同士を接続する接続部(32)と、を有し、上記スペーサにおいて、上記一対の被接合部は、外部に連通する対向空間(30)を介して互いに対向しており、
上記プレート部材と上記被接合部とを上記積層方向に互いに当接させた状態にて、上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部とを外周側から互いに溶接して、外周溶接部(51)を形成することにより、上記プレート部材と上記被接合部との間を封止する、外周溶接工程を有する、熱交換器の製造方法。
【請求項7】
上記外周溶接工程は、TIG溶接、またはレーザー溶接によって行う、請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項8】
上記外周溶接工程よりも前に、上記プレート部材と上記被接合部とを上記積層方向に互いに当接させつつ、上記プレート部材及び上記被接合部における上記外周溶接部が形成される部位よりも上記接続部側の部位に対し抵抗溶接を行うことにより、上記プレート部材と上記被接合部とを互いに接合する内側溶接工程を行い、
該内側溶接工程は、上記対向空間にアース電極(142)を挿入すると共に、該アース電極と溶接電極(141)とによって、上記プレート部材及び上記被接合部を上記積層方向に挟持した状態にて行う、請求項6又は7に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、流体が流れる流路を画成する複数のチューブエレメントを備えた熱交換器が知られている。特許文献1に記載の熱交換器において、チューブエレメントは、アッパープレートとロアプレートとを組み合わせることにより形成されている。また、特許文献1に記載の熱交換器は、アッパープレートとロアプレートの間にスペーサを介装させることによって、アッパープレートとロアプレートの間隔にバラツキが生じることを抑えようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の熱交換器において、スペーサ、アッパープレート、及びロアプレートは、互いにロウ付けにより固定される。また、特許文献1に記載の熱交換器は、各チューブエレメントをロウ付けする際、互いに積層された各チューブエレメントを炉に入れて加熱することにより、製造される。そのため、特許文献1に記載の熱交換器を製造するにあたっては、熱交換器の大きさが大きくなるほど、各チューブエレメントをロウ付けするための炉を大きくする必要があり、製造設備の大型化を招くおそれがある。一方、熱交換器の構成要素であるプレートとスペーサを溶接によって互いに接合する場合、ロウ付けを行う場合のように、炉を用いる必要はないものの、溶接の仕方によっては、溶接時に発生する熱によって、プレートが変形するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、溶接による変形を抑制することができる熱交換器及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、スペーサ(3)を介在させて積層された複数のプレート部材(2)と、
該複数のプレート部材の積層方向(Z)において互いに隣接する一対の上記プレート部材と、上記スペーサと、によって囲まれることにより形成されると共に、熱交換を行う流体が流れる流路(4)と、を備え、
上記スペーサは、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材の外周端部同士の間に配置されており、
上記スペーサは、上記積層方向に互いに対向すると共に、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材にそれぞれ接合される一対の被接合部(31)と、該一対の被接合部同士を接続する接続部(32)と、を有し、
上記スペーサにおいて、上記一対の被接合部は、外部に連通する対向空間(30)を介して互いに対向しており、
上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部とは、溶接によって互いに接合されており、
上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部との溶接部である外周溶接部(51)は、上記プレート部材と上記被接合部との間を封止している、熱交換器(1)にある。
【0007】
本発明の他の態様は、スペーサ(3)を介在させて積層された複数のプレート部材(2)と、
該複数のプレート部材の積層方向(Z)において互いに隣接する一対の上記プレート部材と、上記スペーサと、によって囲まれることにより形成されると共に、熱交換を行う流体が流れる流路(4)と、を備えた熱交換器(1)を製造する方法であって、
上記スペーサは、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材の外周端部同士の間に配置されており、上記スペーサは、上記積層方向に互いに対向すると共に、上記積層方向において互いに隣接する一対の上記プレート部材にそれぞれ接合される一対の被接合部(31)と、該一対の被接合部同士を接続する接続部(32)と、を有し、上記スペーサにおいて、上記一対の被接合部は、外部に連通する対向空間(30)を介して互いに対向しており、
上記プレート部材と上記被接合部とを上記積層方向に互いに当接させた状態にて、上記プレート部材の外周端部と上記被接合部の外周端部とを外周側から互いに溶接して、外周溶接部(51)を形成することにより、上記プレート部材と上記被接合部との間を封止する、外周溶接工程を有する、熱交換器の製造方法にある。
【発明の効果】
【0008】
上記熱交換器は、一対の被接合部を備えたスペーサを有する。それゆえ、溶接時における入熱量を抑えつつ、プレート部材とスペーサとを互いに接合することができる。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材が変形することを抑制することができる。
【0009】
上記熱交換器の製造方法は、外周溶接工程を有する。それゆえ、溶接時における入熱量を抑えつつ、プレート部材とスペーサとを互いに接合することができる。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材が変形することを抑制することができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、溶接による変形を抑制することができる熱交換器及びその製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態1における、熱交換器の、積層方向に沿った断面図。
【
図3】実施形態1における、プレート部材の厚み等を示す断面図。
【
図4】実施形態1における、スペーサの斜視断面図。
【
図6】実施形態1における、スペーサの角部付近を積層方向から見た図。
【
図7】実施形態1における、外周溶接工程において、プレート部材と被接合部とをTIG溶接する様子を示す断面図。
【
図8】実施形態1における、内側溶接工程において、プレート部材と被接合部とを抵抗溶接する様子を示す斜視断面図。
【
図9】実施形態1における、内側溶接工程において、アース電極と溶接電極とによって、プレート部材及び被接合部を挟持しながら溶接を行う様子を示す断面図。
【
図10】実施形態1における、スペーサの製造装置の外観図。
【
図11】実施形態2における、スペーサの角部付近を積層方向から見た図。
【
図12】実施形態3における、スペーサの角部付近を積層方向から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
熱交換器及びその製造方法に係る実施形態について、
図1~
図10を参照して説明する。
本形態の熱交換器1は、
図1~
図3に示すごとく、スペーサ3を介在させて積層された複数のプレート部材2と、熱交換を行う流体が流れる流路4と、を備える。流路4は、
図2、
図3に示すごとく、複数のプレート部材2の積層方向Zにおいて互いに隣接する一対のプレート部材2と、スペーサ3と、によって囲まれることにより形成されている。
【0013】
スペーサ3は、積層方向Zにおいて互いに隣接する一対のプレート部材2の外周端部同士の間に配置されている。スペーサ3は、
図2~
図4に示すごとく、一対の被接合部31と、一対の被接合部31同士を接続する接続部32と、を有する。一対の被接合部31は、
図2、
図3に示すごとく、積層方向Zに互いに対向すると共に、積層方向Zにおいて互いに隣接する一対のプレート部材2にそれぞれ接合される。また、スペーサ3において、一対の被接合部31は、外部に連通する対向空間30を介して互いに対向している。
【0014】
プレート部材2の外周端部と被接合部31の外周端部とは、溶接によって互いに接合されている。プレート部材2の外周端部と被接合部31の外周端部との溶接部である外周溶接部51は、プレート部材2と被接合部31との間を封止している。
【0015】
本形態の熱交換器1は、例えば、高温の水蒸気を電気分解して水素を生成するSOEC(固体酸化物形電解セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)における排熱を回収する手段として用いることができる。また、本形態の熱交換器1は、積層方向Zから見たとき(図示略)、角丸四角形状を有する。また、本明細書においては、積層方向Zにおける一方側を上側Z1とし、他方側を下側Z2という。
【0016】
本形態の熱交換器1は、SOEC(図示略)に供給する水蒸気及び空気を、SOECから排出される水素を含有するガス、及び酸素を含有するガスによって加熱する。本形態の熱交換器1は、複数の流路4を備える。具体的には、熱交換器1は、
図2に示すごとく、4つの流路4を備える。本形態において、最も上側Z1に形成された流路4である第1流路41には、SOECから排出された酸素を含有するガスが流れる。つまり、第1流路41を流れるガスは、SOECにおいて水蒸気が分解されることにより生成された酸素を含有する。また、第1流路41の下側Z2に形成された流路4である第2流路42には、SOECに供給する空気が流れる。第2流路42の下側Z2に形成された流路4である第3流路43には、SOECから排出された水素を含有するガスが流れる。つまり、第3流路43を流れるガスは、SOECにおいて水蒸気が分解されることにより生成された水素を含有する。また、最も下側Z2に形成された流路4である第4流路44には、SOECに供給する水蒸気が流れる。熱交換器1は、プレート部材2を介して、SOECから排出された高温のガスから、SOECに供給する水蒸気及び空気へと熱を伝達させることにより、SOECにおける排熱を回収する。なお、それぞれの流路4に流れる流体は、目的に応じて、任意に選択することができる。
【0017】
また、熱交換器1には、
図1に示すごとく、流路4に水蒸気等を流入、もしくは流路4から水蒸気等を流出させるためのパイプ61、62、63、64、65、66、67、68が設けられている。それぞれのパイプ61、62、63、64、65、66、67、68は、プレート部材2に対し、TIG溶接又はレーザー溶接によって固定されていると共に、流路4に連通している。
【0018】
SOECから排出された酸素を含有するガスは、パイプ61から第1流路41に流入すると共に、パイプ62を通って、第1流路41から外部へと流出する。また、SOECに供給する空気は、パイプ63から第2流路42に流入すると共に、パイプ64を通って、第2流路42からSOECへと流出する。また、SOECから排出された水素を含むガスは、パイプ65から第3流路43に流入すると共に、パイプ66を通って、第3流路43から外部へと流出する。また、SOECに供給する水蒸気は、パイプ67から第4流路44に流入すると共に、パイプ68を通って、第4流路44からSOECへと流出する。第1流路41及び第3流路43に流入するSOECから排出されたガスの温度は、例えば、700℃程度とすることができる。また、第2流路42に流入する空気の温度は、例えば、20℃程度の常温とすることができ、第4流路44に流入する水蒸気の温度は、例えば、100℃以上とすることができる。
【0019】
それぞれの流路4は、
図2、
図3に示すごとく、積層方向Zに互いに隣接する一対のプレート部材2によって、上側Z1及び下側Z2から覆われている。本形態の熱交換器1は、5つのプレート部材2を有する。それぞれのプレート部材2は、平板状を呈すると共に、上面及び下面が積層方向Zに直交するように形成されている。また、それぞれのプレート部材2は、プレート部材2の厚み方向に積層していると共に、互いに平行となるように設けられている。プレート部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなるものとすることができる。
【0020】
複数のプレート部材2は、積層方向Zにおける外側に配置された一対の外側プレート21と、一対の外側プレート21同士の間に配置された内側プレート22と、を有する。外側プレート21は、内側プレート22よりも厚みが厚い。本形態において、
図3に示す外側プレート21の厚みT21は、内側プレート22の厚みT22の2倍以上である。また、本形態においては、3つの内側プレート22を有する。
【0021】
それぞれのプレート部材2は、積層方向Zから見たとき(図示略)、角丸四角形状を有する。積層方向Zから見たときのプレート部材2の面積は、例えば、3000cm2以上とすることができる。また、本形態の熱交換器1は、内側プレート22に、熱交換用のフィンを設けることなく、内側プレート22を介して、各流路4を流れる流体同士の熱交換を行うよう構成されている。
【0022】
また、積層方向Zにおいて、外側プレート21と内側プレート22との間、及び内側プレート22同士の間には、スペーサ3が介在している。スペーサ3は、熱交換器1の外周部の全周にわたって、プレート部材2同士の間に介在している。スペーサ3は、
図2~
図4に示すごとく、その延設方向に直交する断面形状がU字形状となっている。また、スペーサ3は、
図5に示すごとく、環状に形成されており、
図5、
図6に示すごとく、直線状に形成された4つのストレート部36と、曲線状に形成された4つの角部34を有する。スペーサ3は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなるものとすることができる。
【0023】
本形態において、スペーサ3は、
図3に示すごとく、幅W1が、積層方向Zの高さH1よりも大きい。本形態において、幅W1は、高さH1の2倍以上である。高さH1は、例えば、流路4の容積の設計値等に応じて、適宜調整することができる。また、幅W1は、例えば、後述する内側溶接工程を確実に実施しやすい大きさとすることができる。
【0024】
スペーサ3の接続部32は、流路4の外周側を覆っている。本形態において、接続部32は、流路4側に凸となるよう湾曲した凸曲面形状を呈していると共に、環状に形成されている。また、接続部32の上端部及び下端部から、それぞれ被接合部31が延設されている。スペーサ3において、それぞれの被接合部31は、接続部32から、積層方向Zに直交する方向かつ外周側へ向かって突出するように形成されている。本形態において、それぞれの被接合部31は、平板状を呈すると共に、環状に形成されている。
【0025】
また、被接合部31の厚みT1は、プレート部材2の厚みT2以下である。具体的には、厚みT1は、内側プレート22の厚みT22と同等の厚みとなっている。また、厚みT1は、外側プレート21の厚みT21よりも薄い。厚みT22は、例えば、1mm以下とすることができる。
【0026】
図2に示すごとく、スペーサ3において、対向空間30には、一対の被接合部31のそれぞれと当接する介在部材33が介在している。介在部材33の積層方向Zにおける最大の高さは、対向空間30の積層方向Zの高さと同等の高さとなっている。また、介在部材33は、その全体が対向空間30の内側に収まるように、配置されている。本形態において、介在部材33は、板状を呈していると共に、スペーサ3に対し、溶接によって固定されている。また、本形態において、介在部材33は、熱交換器1の外周部の全周にわたって、一対の被接合部31同士の間に配置されている。つまり、介在部材33は、環状に設けられている。介在部材33は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなるものとすることができる。
【0027】
また、外側プレート21と被接合部31とを互いに接合する外周溶接部51は、
図2、
図3に示すごとく、1つの外側プレート21と1つの被接合部31とを互いに接合している。また、内側プレート22と被接合部31とを互いに接合する外周溶接部51は、1つの内側プレート22と、2つの被接合部31とを互いに接合している。つまり、それぞれの内側プレート22は、外周溶接部51によって、内側プレート22を積層方向Zに挟持する2つの被接合部31に接合している。本形態においては、5つの外周溶接部51が形成されている。それぞれの外周溶接部51は、外周方向に沿って環状に形成されている。また、外周方向とは、熱交換器1の外周に沿った方向を意味する。
【0028】
また、プレート部材2と被接合部31とは、内側溶接部52によっても、互いに接合されている。内側溶接部52は、外周溶接部51よりも接続部32側に形成されていると共に、プレート部材2と被接合部31との溶接によって形成される。
【0029】
内側溶接部52は、抵抗溶接を行うことによって形成されている。本形態において、内側溶接部52は、外側プレート21と被接合部31とを互いに接合している。内側溶接部52は、外周溶接部51から離れた位置に形成されている。内側溶接部52から流路4までの距離は、外周溶接部51から流路4までの距離よりも短い。
【0030】
内側溶接部52は、所定の間隔をおいて、外周方向に沿って複数形成されている。また、抵抗溶接によって、内側溶接部52を形成したことにより、
図8に示すごとく、第1流路41を上側Z1から覆う外側プレート21の上面と、第4流路44を下側Z2から覆う外側プレート21の下面(図示略)には、それぞれ複数の溶接痕521が形成されている。互いに隣接する溶接痕521の中心同士の間隔は、例えば、20~30mmとすることができる。
【0031】
次に、本形態の熱交換器1の製造方法について説明する。
本形態の熱交換器1の製造方法は、外周溶接工程を有する。外周溶接工程では、
図7に示すごとく、プレート部材2と被接合部31とを積層方向Zに互いに当接させた状態にて、プレート部材2の外周端部と被接合部31の外周端部とを外周側から互いに溶接して、
図2、
図3に示すごとく、外周溶接部51を形成する。そして、外周溶接工程では、外周溶接部51を形成することにより、プレート部材2と被接合部31との間を封止する。本形態において、外周溶接工程は、TIG溶接、またはレーザー溶接によって行う。
【0032】
また、本形態の熱交換器1の製造方法においては、外周溶接工程よりも前に、内側溶接工程を行う。内側溶接工程では、
図8、
図9に示すごとく、プレート部材2と被接合部31とを積層方向Zに互いに当接させつつ、プレート部材2及び被接合部31における外周溶接部51が形成される部位よりも接続部32側の部位に対し抵抗溶接を行う。内側溶接工程では、この抵抗溶接を行うことにより、プレート部材2と被接合部31とを互いに接合する。また、内側溶接工程は、
図9に示すごとく、対向空間30にアース電極142を挿入すると共に、アース電極142と溶接電極141とによって、プレート部材2及び被接合部31を積層方向Zに挟持した状態にて行う。
【0033】
次に、本形態の熱交換器1の製造方法について、詳細に説明する。
本形態の熱交換器1を製造するにあたっては、まず、プレート部材2と被接合部31とを、内側溶接工程によって互いに接合する。内側溶接工程においては、外側プレート21と被接合部31とを、抵抗溶接によって互いに接合することにより、
図8、
図9に示すごとく、スペーサ3が固定された外側プレート21を製造する。また、内側溶接工程においては、外周方向に沿って、所定の間隔をおいて、複数の内側溶接部52が形成されるように、複数回、抵抗溶接を行う。また、本形態においては、スペーサ3が固定された外側プレート21を、2つ製造する。
【0034】
次に、
図7に示すごとく、3つの内側プレート22と2つのスペーサ3とを積層方向Zに交互に配置し、さらに、スペーサ3が固定された2つの外側プレート21によって、この3つの内側プレート22と2つのスペーサ3を積層方向Zに挟持する。これにより、積層方向Zにおいて、5つのプレート部材2と4つのスペーサ3とを交互に配置させる。そして、プレート部材2と被接合部31とを積層方向Zに互いに当接させた状態にて、外周溶接工程を行う。
【0035】
また、第2流路42の上側Z1を覆う内側プレート22には、2つの連通孔(図示略)が形成されており、この内側プレート22における2つの連通孔の周囲には、パイプ63、64が接合されている。また、第3流路43の下側Z2を覆う内側プレート22にも、2つの連通孔(図示略)が形成されており、この内側プレート22における2つの連通孔の周囲には、パイプ65、66が接合されている。また、上側Z1の外側プレート21にも、2つの連通孔(図示略)が形成されており、この外側プレート21における2つの連通孔の周囲には、パイプ61、62が接合されている。また、上側Z1の外側プレート21には、パイプ63、64を挿通させる挿通孔(図示略)が形成されている。また、下側Z2の外側プレート21にも、2つの連通孔(図示略)が形成されており、この外側プレート21における2つの連通孔(図示略)の周囲には、パイプ67、68が接合されている。また、下側Z2の外側プレート21には、パイプ65、66を挿通させる挿通孔(図示略)が形成されている。そして、外周溶接工程を行う際には、上側Z1の外側プレート21の挿通孔に、パイプ63、64を挿通させると共に、下側Z2の外側プレート21の挿通孔にパイプ65、66を挿通させた状態にて、プレート部材2と被接合部31とを積層方向Zに互いに当接させる。
【0036】
本形態において、外周溶接工程は、TIG溶接によって行う。具体的には、外側プレート21と被接合部31との接合は、
図7に示すごとく、外側プレート21と被接合部31との互いの当接部付近と、TIG溶接トーチ13の電極との間にアーク(図示略)を発生させることにより、外周側から溶接を行う。このとき、TIG溶接トーチ13を、熱交換器1に対し、外周方向に沿って相対的に移動させることにより、全周にわたって溶接を行う。これにより、環状の外周溶接部51が形成される。また、この外周溶接工程を行うことにより、外側プレート21から被接合部31までにわたって外周溶接部51が形成されると共に、外側プレート21と被接合部31との間が封止される。
【0037】
また、外周溶接工程においては、内側プレート22と、内側プレート22を積層方向Zの両側から挟む2つの被接合部31とを、互いに溶接する。本形態においては、内側プレート22と2つの被接合部31とを、同時に溶接すると共に、全周にわたって溶接する。これにより、環状の外周溶接部51が形成される。また、この外周溶接工程を行うことにより、
図3に示すごとく、内側プレート22を積層方向Zに挟む一方の被接合部31から他方の被接合部31までにわたって外周溶接部51が形成されると共に、内側プレート22と被接合部31との間が封止される。
【0038】
次に、外周溶接工程の後、対向空間30に介在部材33を配置する。そして、介在部材33をスペーサ3に対し溶接によって固定する。また、外側プレート21の挿通孔に挿通されたパイプ63、64、65、66と外側プレート21とを、環状の接続部材60(
図1参照)を用いて、溶接によって互いに固定し、パイプ63、64、65、66と外側プレート21との間の隙間を封止する。これにより、本形態の熱交換器1が製造される。
【0039】
次に、スペーサ3の製造方法について説明する。
本形態において、スペーサ3は、
図10に示す製造装置15によって製造される。製造装置15は、平板状であって、かつ長尺の金属部材300を屈曲させることにより、スペーサ3を製造する。
【0040】
製造装置15は、被接合部を形成する第1形成部151と第2形成部152とを有する。第1形成部151は、一対のローラー155、156を備える。また、第2形成部152も、一対のローラー157、158を備える。スペーサ3を製造するにあたっては、まず、第1形成部151におけるローラー156の外周部と、外周に沿って凹部(図示略)が形成されたローラー155の外周部との間に、金属部材300を通過させる。これにより、ローラー155、156によって金属部材300を屈曲させて、2つの被接合部を形成する。具体的には、ローラー156の外周部の一部をローラー155の凹部の内側に配置させた状態にてローラー155、156を回転させつつ、ローラー156の外周部とローラー155の凹部との間の隙間に金属部材300を通過させることにより、被接合部を形成する。第1形成部151は、形成された2つの被接合部のなす角度が略45°となるように、金属部材300を屈曲させる。次に、第1形成部151によって屈曲された金属部材300を、さらに、第2形成部152の一対のローラー157、158同士の間に通過させることにより、2つの被接合部が互いに略平行となるように、金属部材300を屈曲させる。具体的には、第1形成部151と同様に、ローラー158の外周部の一部をローラー157の凹部(図示略)の内側に配置させた状態にてローラー157、158を回転させつつ、ローラー158の外周部と、ローラー157の凹部との間の隙間に金属部材300を通過させる。これにより、2つの被接合部が互いに近づくように、金属部材300を屈曲させる。
【0041】
次に、第2形成部152によって屈曲された金属部材300は、調整部153を通過する。調整部153においては、スプリングバックによって互いに離れる方向に広がった一対の被接合部が互いに近づくように金属部材300を屈曲させ、一対の被接合部が互いに平行となるように調整する。次に、調整部153によって調整された金属部材300は、屈曲部154によって曲線状に屈曲され、角部34が形成される。その後、所定の部位にて金属部材300を切断し、金属部材300の端部同士をTIG溶接又はレーザー溶接によって接合することにより、
図5に示すスペーサ溶接部35を形成する。これにより、スペーサ3が製造される。本形態において、スペーサ3は、1つのスペーサ溶接部35を有する。また、スペーサ溶接部35は、スペーサ3のストレート部36に形成されている。つまり、接合前のスペーサ3のストレート部36にある2つの端部同士を互いに溶接することにより、スペーサ溶接部35が形成される。
【0042】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記熱交換器1は、一対の被接合部31を備えたスペーサ3を有する。それゆえ、溶接時における入熱量を抑えつつ、プレート部材2とスペーサ3とを互いに接合することができる。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材2が変形することを抑制することができる。
【0043】
仮に、被接合部を有さないスペーサを備えた熱交換器を想定する。具体的には、積層方向の厚みが、積層方向における流路の高さと同じスペーサを備えた熱交換器を想定する。この場合、スペーサの厚みが厚過ぎるため、プレート部材とスペーサとの溶接を行う際、溶接の出力が高くなることや、溶接を行う時間が長くなること等により、プレート部材に供給する入熱量が多くなりやすい。そのため、例えば、プレート部材の中央部が外側へ向かって膨らむなど、溶接時の熱によって、プレート部材が変形するおそれがある。そして、プレート部材の変形により、流路の容積が設計時の値から変化し、流路の内圧の低下や熱交換性能の低下を引き起こすおそれがある。そこで、本形態の熱交換器1は、一対の被接合部31を備えたスペーサ3を有する。それゆえ、スペーサ3によって、所望の高さの流路4を形成しつつ、プレート部材2に固定する被接合部31の厚みを薄くしやすい。これにより、比較的厚みが薄いプレート部材2と被接合部31とを互いに接合することができる。そのため、溶接の出力を抑えることや、溶接を行う時間を短くすることが可能となり、プレート部材2に供給する入熱量を抑えつつ、プレート部材2と被接合部31とを接合することができる。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材2が変形することを抑制することができる。
【0044】
また、外側プレート21は、内側プレート22よりも厚みが厚い。それゆえ、流路4の内圧により、外側プレート21が変形することを確実に抑制することができる。つまり、内側プレート22は、2つの流路4の間に配置されているため、外側プレート21と比較し、流路4の内圧による変形が生じにくい。一方、外側プレート21は、積層方向Zにおける一方側のみに流路4が隣接しているため、内側プレート22と比較し、流路4の内圧によって変形しやすい。そこで、本形態においては、外側プレート21の厚みT21を内側プレート22の厚みT22よりも厚くしている。そのため、外側プレート21の剛性が高くなることにより、流路4の内圧によって外側プレート21が変形することを確実に抑制することができる。その結果、流路4の容積が変化することを確実に抑制することができる。また、厚みT21を厚くすることにより、熱交換器1の保温性を上昇させやすい。それゆえ、流路4を流れる流体同士の熱交換を一層効率的に行いやすい。
【0045】
本形態において、厚みT21は、厚みT22の2倍以上である。それゆえ、外側プレート21の変形を一層確実に抑制することができると共に、流路4を流れる流体同士の熱交換を、より一層効率的に行いやすい。
【0046】
また、被接合部31の厚みT1は、プレート部材2の厚みT2以下である。それゆえ、プレート部材2と被接合部31との溶接を行う際、溶接時における入熱量を一層抑えやすい。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材2が変形することを一層抑制することができる。
【0047】
プレート部材2と被接合部31とは、内側溶接部52によっても、互いに接合されている。また、内側溶接部52は、外周溶接部51よりも接続部32側に形成されている。それゆえ、プレート部材2と被接合部31とを、確実に強固に接合させることができる。それゆえ、流路4の内圧が比較的高い場合であっても、外周溶接部51に負荷がかかることを抑えることができ、流路4の気密性を確実に確保することができる。
【0048】
また、スペーサ3において、対向空間30には、介在部材33が介在している。それゆえ、スペーサ3の厚みを薄くしたとしても、積層方向Zの圧力に対する熱交換器1の剛性を確実に確保することができる。つまり、対向空間30に介在部材33を介在させることにより、熱交換器1が積層方向Zに加圧されたとしても、熱交換器1が積層方向Zに潰れて流路4の容積が小さくなることを確実に抑制することができる。それゆえ、流路4の内圧の上昇や、流路4を流れる流体の流量が少なくなることによる熱交換性能の低下を確実に抑制することができる。
【0049】
上記熱交換器1の製造方法は、外周溶接工程を有する。それゆえ、溶接時における入熱量を抑えつつ、プレート部材2とスペーサ3とを互いに接合することができる。その結果、溶接時の熱によって、プレート部材2が変形することを抑制することができる。
【0050】
本形態において、外周溶接工程は、TIG溶接、またはレーザー溶接によって行う。それゆえ、プレート部材2と被接合部31との間を確実に封止させることができる。
【0051】
また、本形態の熱交換器1の製造方法においては、外周溶接工程よりも前に、内側溶接工程を行う。また、内側溶接工程は、対向空間30にアース電極142を挿入すると共に、アース電極142と溶接電極141とによって、プレート部材2及び被接合部31を積層方向Zに挟持した状態にて行う。それゆえ、プレート部材2と被接合部31とを、確実に強固に接合させることができる。それゆえ、流路4の内圧が比較的高い場合であっても、外周溶接部51に負荷がかかることを抑えることができ、流路4の気密性を確実に確保することができる。
【0052】
また、スペーサ3は、対向空間30を有する。それゆえ、内側溶接工程を行う際、アース電極142を対向空間30に挿入することが可能となり、アース電極142と溶接電極141とによって、プレート部材2及び被接合部31を積層方向Zに挟持しやすい。その結果、内側溶接部52を確実かつ容易に形成することができる。
【0053】
本形態において、スペーサ溶接部35は、ストレート部36に形成されている。それゆえ、スペーサ3を容易に製造することができる。つまり、接合前のスペーサ3は、ストレート部36に端部を有するため、端部同士を溶接しやすい。その結果、生産性を向上させることができる。
【0054】
プレート部材2及びスペーサ3は、ステンレス鋼からなる。それゆえ、熱交換器1の耐熱性を確実に確保することができる。
【0055】
以上のごとく、本形態によれば、溶接による変形を抑制することができる熱交換器1及びその製造方法を提供することができる。
【0056】
(実施形態2)
本形態は、
図11に示すごとく、実施形態1に対し、スペーサ3の形状を変更した形態である。
【0057】
本形態において、スペーサ3は、
図11に示すごとく、積層方向Zから見たとき、角部34が面取り形状となっている。また、スペーサ3は、ストレート部36を構成する金属部材と、角部34を構成する金属部材とが、互いに異なる部材となっている。つまり、本形態において、スペーサ3は、ストレート部36となる4つの棒状の金属部材と、角部34となる4つの金属部材と、を互いに接合することにより、製造される。
【0058】
角部34は、直線状に形成された直線部341を有する。積層方向Zから見たとき、角部34の直線部341の延設方向は、隣接するストレート部36の延設方向に対し45°の角度で傾斜している。そして、ストレート部36に接合される角部34の両端部は、積層方向Zから見たとき、直線部341に対し45°の角度で傾斜するように、曲線状に屈曲されている。
【0059】
本形態において、プレート部材(図示略)の角部は、積層方向Zから見たとき、スペーサ3と同様に、面取り形状となっている。
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0060】
本形態において、ストレート部36に接合される角部34の両端部は、積層方向Zから見たとき、直線部341に対し45°の角度で傾斜するように、曲線状に屈曲されている。それゆえ、スペーサ3を容易に製造することができる。つまり、延設方向に直交する断面形状がU字形状となる棒状の金属部材を、比較的小さい角度である45°の角度で屈曲させることにより、角部34を形成することができるため、角部34を容易に製造することができる。また、角部34の端部とストレート部36の端部とを互いに溶接しやすい。その結果、製造性を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0061】
(実施形態3)
本形態は、
図12に示すごとく、実施形態1に対し、スペーサ3の形状を変更した形態である。
【0062】
本形態の熱交換器は、積層方向Zから見たとき(図示略)、四角形状となるように形成されている。つまり、プレート部材(図示略)も、積層方向Zから見たとき、四角形状となるように形成されている。プレート部材の4つの角部のそれぞれは、積層方向Zから見たとき、直角となるように形成されている。また、スペーサ3の4つの角部34のそれぞれも、
図12に示すごとく、積層方向Zから見たとき、直角となるように形成されている。
【0063】
本形態において、スペーサ3を製造するにあたっては、延設方向に直交する断面形状がU字形状となる棒状の金属部材を4つ準備する。また、この棒状の金属部材は、延設方向における両端部の端面が、延設方向に対し45°の角度で傾斜するように、製造する。そして、それぞれの金属部材の端面同士を互いに当接させた状態にて溶接することにより、スペーサ3を製造することができる。つまり、本形態において、スペーサ3は、棒状の金属部材のみを用いて、製造することができる。
その他は、実施形態1と同様である。
【0064】
本形態において、スペーサ3は、延設方向に直交する断面形状がU字形状となる棒状の金属部材のみを用いて、製造される。つまり、棒状の金属部材を屈曲させることなく、スペーサ3を製造する。それゆえ、スペーサ3を容易に製造することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0065】
上記実施形態1~3において、熱交換器1は、4つの流路4を備える。ただし、熱交換器は、流路を、4つより少なくすることもでき、また、流路を4つより多くすることもできる。熱交換器は、例えば、流路を1つのみ有する構成とすることもできる。この場合、熱交換器は、例えば、熱交換の対象となる対象物と、プレート部材とを互いに当接することにより、熱交換を行う対象物と熱交換器との間で熱交換を行うことができる。
【0066】
また、上記実施形態1~3においては、外側プレート21と被接合部31とを、内側溶接工程において互いに接合している。ただし、内側プレート及び被接合部も、内側溶接工程において互いに接合することができる。
【0067】
また、上記実施形態1~3において、接続部32は、流路4側に凸となるよう湾曲した凸曲面形状を呈している。ただし、接続部は、例えば、流路側に凸となるよう湾曲することなく、積層方向に沿って形成されたものとすることができる。
【0068】
また、上記実施形態1~3において、介在部材33は、熱交換器1の外周部の全周にわたって、一対の被接合部31の間に配置されている。ただし、熱交換器は、例えば、スペーサの角部の対向空間のみ、又はスペーサのストレート部の対向空間のみに、介在部材を配置した構成とすることもできる。
【0069】
また、上記実施形態1~3において、内側溶接部52は、外周溶接部51から離れた位置に形成されている。ただし、熱交換器は、内側溶接部と外周溶接部とが互いに接続された構成とすることもできる。
【0070】
また、上記実施形態1~3において、外側プレート21と被接合部31とは、外周溶接部51及び内側溶接部52によって、互いに接合している。ただし、熱交換器は、外側プレートと被接合部とが、外周溶接部のみによって互いに接合された構成とすることもできる。
【0071】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…熱交換器、2…プレート部材、3…スペーサ、4…流路、30…対向空間、31…被接合部、32…接続部、51…外周溶接部、Z…積層方向