(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151288
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20241017BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203794
(22)【出願日】2023-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】202310376554.0
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】320011719
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス (ソシュウ) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】孫群
(72)【発明者】
【氏名】周順達
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB03
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】本発明は、光学レンズの分野に関し、撮像光学レンズを提供する。
【解決の手段】撮像光学レンズは、合わせて合計3枚のレンズを含み、3枚の前記レンズは、物体側から像側に向かって、順に、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズであり、
ここで、前記第1レンズが負の屈折力を有し、前記第2レンズが正の屈折力を有し、前記第3レンズが正の屈折力を有し、且つ、2.50≦f2/f≦3.50、5.00≦R1/R2≦10.00、3.00≦d5/d4≦8.20、1.65≦ET1/d1≦2.10、-2.00≦R5/R6≦-5.00の関係式を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、合わせて合計3枚のレンズを含み、3枚の前記レンズは、物体側から像側に向かって、順に、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズであり、
ここで、前記第1レンズが負の屈折力を有し、前記第2レンズが正の屈折力を有し、前記第3レンズが正の屈折力を有し、前記撮像光学レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第1レンズの物体側の面の中心曲率半径をR1、前記第1レンズの像側の面の中心曲率半径をR2、前記第2レンズの像側の面から前記第3レンズの物体側の面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記第1レンズのエッジ厚さをET1、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第3レンズの物体側の面の中心曲率半径をR5、前記第3レンズの像側の面の中心曲率半径をR6にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
2.50≦f2/f≦3.50
5.00≦R1/R2≦10.00
3.00≦d5/d4≦8.20
1.65≦ET1/d1≦2.10
-2.00≦R5/R6≦-5.00
【請求項2】
前記第1レンズの焦点距離をf1にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
-1.60≦f1/f≦-1.15
【請求項3】
前記第2レンズの物体側の面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側の面の中心曲率半径をR4にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
-1.50≦(R3+R4)/(R3-R4)≦-1.20
【請求項4】
前記第3レンズの焦点距離をf3にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
1.20≦f3/f≦1.40
【請求項5】
前記第1レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、
前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.61≦(R1+R2)/(R1-R2)≦2.22
0.06≦d1/TTL≦0.22
【請求項6】
前記第2レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、
前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.08≦d3/TTL≦0.29
【請求項7】
前記第3レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凸面に形成され、
前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.17≦(R5+R6)/(R5-R6)≦0.99
0.12≦d5/TTL≦0.38
【請求項8】
前記撮像光学レンズの画角FOVが117.00°以上であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【請求項9】
前記撮像光学レンズの絞り値FNOが2.50以下であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【請求項10】
前記撮像光学レンズの光学全長をTTL、前記撮像光学レンズの全視野の像高をIHにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
TTL/IH≦3.60
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズの分野に関し、特に、スマートフォン、デジタルカメラ等の携帯端末装置、モニター、PCレンズ、車載レンズ等の撮像装置に適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のスマートデバイスの台頭により、小型化された光学レンズの需要が高まっており、電荷結合素子の画素サイズの縮小や、現在の電子機器のトレンドは機能性、薄さ、ポータビリティにあることにより、現在の市場では、良好な画像品質を持つ小型化光学レンズが主流となりつつある。
【0003】
優れた結像品質を得るために、レンズは、複数のレンズ構造を用いることが多い。また、技術の進化及びユーザの多様化ニーズの増加に伴い、感光素子の画素面積が縮小しつつあり、システムの結像品質に対する要求が高くなってきているなか、3枚式のレンズ構造徐々にレンズの設計に現れている。一般的な3枚のレンズは既に良好な光学性能を有するが、その屈折力、レンズピッチ及びレンズ形状は依然としてある程度の不適切なところがあり、その結果としてレンズの構造は良好な光学性能を有するものの、大絞り、広角化の設計要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、良好な光学性能を有すると共に、大絞り、広角化、及び極薄化の設計要件を満たすことができる撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の実施形態には、撮像光学レンズが提供され、前記撮像光学レンズは、合わせて合計3枚のレンズを含み、3枚の前記レンズは、物体側から像側に向かって、順に、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズであり、ここで、前記第1レンズが負の屈折力を有し、前記第2レンズが正の屈折力を有し、前記第3レンズが正の屈折力を有し、前記撮像光学レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第1レンズの物体側の面の中心曲率半径をR1、前記第1レンズの像側の面の中心曲率半径をR2、前記第2レンズの像側の面から前記第3レンズの物体側の面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記第1レンズのエッジ厚さをET1、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第3レンズの物体側の面の中心曲率半径をR5、前記第3レンズの像側の面の中心曲率半径をR6にしたときに、以下の関係式を満たす。
2.50≦f2/f≦3.50
5.00≦R1/R2≦10.00
3.00≦d5/d4≦8.20
1.65≦ET1/d1≦2.10
-2.00≦R5/R6≦-5.00
【0006】
好ましくは、前記第1レンズの焦点距離をf1にしたときに、以下の関係式を満たす。
-1.60≦f1/f≦-1.15
【0007】
好ましくは、前記第2レンズの物体側の面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側の面の中心曲率半径をR4にしたときに、以下の関係式を満たす。
-1.50≦(R3+R4)/(R3-R4)≦-1.20
【0008】
好ましくは、前記第3レンズの焦点距離をf3にしたときに、以下の関係式を満たす。
1.20≦f3/f≦1.40
【0009】
好ましくは、前記第1レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
0.61≦(R1+R2)/(R1-R2)≦2.22
0.06≦d1/TTL≦0.22
【0010】
好ましくは、前記第2レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
0.08≦d3/TTL≦0.29
【0011】
好ましくは、前記第3レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凸面に形成され、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
0.17≦(R5+R6)/(R5-R6)≦0.99
0.12≦d5/TTL≦0.38
【0012】
好ましくは、前記撮像光学レンズの画角FOVが117.00°以上である。
【0013】
好ましくは、前記撮像光学レンズの絞り値FNOが2.50以下である。
【0014】
好ましくは、前記撮像光学レンズの光学全長をTTL、前記撮像光学レンズの全視野の像高をIHにしたときに、以下の関係式を満たす。
TTL/IH≦3.60
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は下記の通りである。本発明によれば、撮像光学レンズは、良好な光学性能を有すると共に、大絞り、広角化、及び極薄化の設計要件を満たすことができ、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子から構成される携帯電話の撮像レンズ部品とWEB撮像レンズに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態における技術考案をより明確に説明し、以下、実施形態の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面の説明が、本発明のいくつかの実施形態のみを説明するためのものであり、当業者にとっては、創造的な努力を払わなくて、これらの図面からほかの図面も得られる。
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す撮像光学レンズの球面収差を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す撮像光学レンズの球面収差を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
【
図12】
図12は、
図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
【
図17】
図17は、比較実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術考案及び利点をより明確にするために、以下に、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。ただ、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術考案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
【0018】
(第1実施形態)
【0019】
図面を参照すれば分かるように、本発明は、撮像光学レンズ10を提供する。
図1に示されたのは、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10である。当該撮像光学レンズ10は、合わせて合計3枚のレンズを含む。具体的に、撮像光学レンズ10は、物体側から像側に向かって、順に、第1レンズL1、第2レンズL2、絞りS1及び第3レンズL3を備える。第3レンズL3と像面Siとの間には、光学フィルター(filter)GF等の光学素子が設けられてもよい。
【0020】
本実施形態において、第1レンズL1の材質がプラスチックで、第2レンズL2の材質がプラスチックで、第3レンズL3の材質がプラスチックである。他の選択可能な実施形態では、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3は他の材質であってもよい。
【0021】
撮像光学レンズ10の焦点距離をf、第2レンズL2の焦点距離をf2にしたときに、2.50≦f2/f≦3.50の関係式が設立される。この関係式は、第2レンズL2の焦点距離f2と撮像光学レンズ10の焦点距離fとの比が規定されており、撮像光学レンズ10の焦点距離を適切に配分することにより、撮像光学レンズ10として、優れた結像品質及び低い感度を有する。
【0022】
第1レンズL1の物体側の面の中心曲率半径をR1、第1レンズL1の像側の面の中心曲率半径をR2にしたときに、5.00≦R1/R2≦10.00の関係式が設立される。
【0023】
この関係式には、第1レンズL1の形状が規定されており、この関係式の範囲内にあると、レンズを通過する光線のずれの程度を緩和し、色収差を有効的に補正することができ、色収差|LC|を5.0μm以下にする。
【0024】
第2レンズL2の像側の面から上記の第3レンズL3の物体側の面までの軸上距離をd4、第3レンズL3の軸上厚みをd5にしたときに、3.00≦d5/d4≦8.20の関係式を満たす。この関係式は、第2レンズL2の像側の面から上記の第3レンズL3の物体側の面までの軸上距離d4と第3レンズL3の軸上厚みd5との比が規定されており、この関係式の範囲内にあると、撮像光学レンズ10の光学全長を短縮することに寄与する。
【0025】
第1レンズL1のエッジ厚さをET1、第1レンズL1の軸上厚みをd1にしたときに、1.65≦ET1/d1≦2.10の関係式を満たす。この関係式は、第1レンズのエッジ厚さET1と軸上厚みd1との比を規定しており、この関係式の範囲内にあると、広い視野角の光の入射角の変化を緩衝して、撮像光学レンズ10内を順調に伝搬させるとともに、第1レンズL1の屈折力強度を維持して、色収差を改善し、結像品質を向上させることができる。
【0026】
第3レンズL3の物体側の面の中心曲率半径をR5、第3レンズL3の像側の面の中心曲率半径をR6にしたときに、-2.00≦R5/R6≦-5.00の関係式が設立される。これにより、第3レンズL3の形状を規定されており、この関係式の範囲内にあると、レンズを通過する光線のずれの程度を緩和するのに有利である。
【0027】
第1レンズL1の焦点距離をf1にしたときに、-1.60≦f1/f≦-1.15の関係式を満たす。この関係式には、第1レンズL1の焦点距離f1と撮像光学レンズ10の焦点距離fとの比が規定されており、この関係式の範囲内にあると、システムの光学焦点距離を合理的な割り当てることで、撮像光学レンズ10は、大絞りの設計要件を満足しながら、良好な感度性能を有する。
【0028】
第2レンズL2の物体側の面の中心曲率半径をR3、第2レンズL2の像側の面の中心曲率半径をR4にしたときに、-1.50≦(R3+R4)/(R3-R4)≦-1.20の関係式が設立される。これにより、第2レンズL2の形状が規定されており、撮像光学レンズ10の非点収差と歪曲収差の補正に有利であり、歪曲収差|Distortion|を10%以下にし、ケラレ(Vignetting)発生の可能性を低減する。
【0029】
第3レンズL3の焦点距離をf3にしたときに、1.20≦f3/f≦1.40の関係式が設立される。この関係式は、第3レンズL3の焦点距離f3と撮像光学レンズ10の焦点距離fとの比が規定されており、、収差を補正して結像品質を確保するとともに、撮像光学レンズ10の光学全長TTLを効果的に制御することができる。
【0030】
本実施形態において、第1レンズL1は負の屈折力を有し、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成される。他の選択可能な実施形態では、第1レンズL1は正の屈折力を有することもよく、第1レンズL1の物体側の面と像側の面の面型は、他の凹、凸の分布形態とされてもよい。
【0031】
第1レンズL1の物体側の面の中心曲率半径をR1、第1レンズL1の像側の面の中心曲率半径をR2にしたときに、0.61≦(R1+R2)/(R1-R2)≦2.22の関係式が設立される。第1レンズL1の形状を合理的に制御することで、第1レンズL1はシステムの球面収差を効果的に補正することができる。好ましくは、0.98≦(R1+R2)/(R1-R2)≦1.78の関係式が設立される。
【0032】
第1レンズL1の軸上厚みをd1、撮像光学レンズ10の光学全長をTTLにしたときに、0.06≦d1/TTL≦0.22の関係式が設立される。この関係式の範囲内にあると、極薄化の実現に有利である。好ましくは、0.09≦d1/TTL≦0.18の関係式が設立される。
【0033】
本実施形態において、第2レンズL2について、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、正の屈折力を有する。他の選択可能な実施形態では、第2レンズL2は負の屈折力を有することもよく、第2レンズL2の物体側の面と像側の面の面型は、他の凹、凸の分布形態とされてもよい。
【0034】
第2レンズL2の軸上厚みをd3にしたときに、0.08≦d3/TTL≦0.29の関係式が設立される。この関係式の範囲内にあると、極薄化の実現に有利である。好ましくは、0.13≦d3/TTL≦0.23の関係式が設立される。
【0035】
本実施形態において、第3レンズL3について、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凸面に形成され、正の屈折力を有する。他の選択可能な実施形態では、第3レンズL3は負の屈折力を有することもよく、第3レンズL3の物体側の面と像側の面の面型は、他の凹、凸の分布形態とされてもよい。
【0036】
第3レンズL3は、0.17≦(R5+R6)/(R5-R6)≦0.99の関係式がさらに設立され、この関係式には、第3レンズL3の形状が規定されており、この関係式の範囲内にあると、レンズを通過する光線のずれの程度を緩和するのに有利であり、色収差を有効的に補正することができる。好ましくは、0.26≦(R5+R6)/(R5-R6)≦0.79の関係式が設立される。
【0037】
第3レンズL3の軸上厚みをd5にしたときに、0.12≦d5/TTL≦0.38の関係式が設立され、この関係式は、第3レンズL3の軸上厚みd5と撮像光学レンズ10の光学全長TTLとの比が規定されており、この関係式の範囲内にあると、撮像光学レンズ10の光学全長を短縮することに寄与する。好ましくは、0.19≦d5/TTL≦0.30の関係式が設立される。
【0038】
本実施形態において、撮像光学レンズ10の画角FOVは117.00°以上である。これにより、広角化を実現する。
【0039】
本実施形態において、撮像光学レンズ10の絞り値FNOは2.50以下である。これにより、大絞りを実現し、撮像光学レンズ10の結像性能が優れている。
【0040】
本実施形態において、撮像光学レンズ10の像高をIHにしたときに、TTL/IH≦3.60の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0041】
撮像光学レンズ10は、良好な光学性能を有するとともに、大絞り、広角化及び極薄化の設計要件を満たすことができる。この撮像光学レンズ10の特性から、この撮像光学レンズ10は、特に高画素用のCCD、CMOS等の撮像素子から構成される車載レンズ、携帯電話の撮像レンズ部品とWEB撮像レンズに適用することができる。
【0042】
以下、実施例を用いて、本発明に係る撮像光学レンズ10を説明する。各実施例に記載の符号は以下の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置及び停留点位置の単位は、mmである。
【0043】
TTL:光学全長(第1レンズL1の物体側の面から像面Siまでの軸上距離)、単位はmmである。
【0044】
絞り値FNO:撮像光学レンズの有効焦点距離と入射瞳径の比。
【0045】
好ましくは、高品質な結像需要を満たすように、レンズの物体側の面及び/又は像側の面に、変曲点及び/又は停留点がさらに設けられてもよい。具体的な実施案については、後述する。
【0046】
表1、表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10の設定データを示す。
【0047】
【0048】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
S1 :絞り
R :光学面の中心の曲率半径
R1 :第1レンズL1の物体側の面の中心曲率半径
R2 :第1レンズL1の像側の面の中心曲率半径
R3 :第2レンズL2の物体側の面の中心曲率半径
R4 :第2レンズL2の像側の面の中心曲率半径
R5 :第3レンズL3の物体側の面の中心曲率半径
R6 :第3レンズL3の像側の面の中心曲率半径
R7 :光学フィルターGFの物体側の面の中心曲率半径
R8 :光学フィルターGFの像側の面の中心曲率半径
d :レンズの軸上厚み、又は、レンズ間の軸上距離
d0 :絞りS1から第1レンズL1の物体側の面までの軸上距離
d1 :第1レンズL1の軸上厚み
d2 :第1レンズL1の像側の面から第2レンズL2の物体側の面までの軸上距離
d3 :第2レンズL2の軸上厚み
d4 :第2レンズL2の像側の面から第3レンズL3の物体側の面までの軸上距離
d5 :第3レンズL3の軸上厚み
d6 :第3レンズL3の像側の面から光学フィルターGFの物体側の面までの軸上距離
d7 :光学フィルターGFの軸上厚み
d8 :光学フィルターGFの像側の面から像面Siまでの軸上距離
nd :d線の屈折率(d線は波長940nmの緑色光である)
nd1 :第1レンズL1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズL2のd線の屈折率
nd3 :第3レンズL3のd線の屈折率
ndg :光学フィルターGFのd線の屈折率
vd :アッベ数
v1 :第1レンズL1のアッベ数
v2 :第2レンズL2のアッベ数
v3 :第3レンズL3のアッベ数
vg :光学フィルターGFのアッベ数
【0049】
表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの非球面のデータを示す。
【0050】
【0051】
各レンズ面の非球面は、便宜上、下記式(1)で表される非球面を使用している。しかし、本発明は、この式(1)の非球面多項式に限定されるものではない。
【0052】
z=(cr2)/{1+[1-(k+1)(c2r2)]1/2}+A4r4+A6r6+A8r8+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16+A18r18+A20r20 (1)
【0053】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20は非球面係数であり、cは光学面の中心の曲率であり、rは非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における光軸から離れた距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する接平面との垂直距離)である。
【0054】
表3は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点の設定データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側の面と像側の面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側の面と像側の面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側の面と像側の面を示す。また、「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設けられた変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0055】
【0056】
図2、
図3は、それぞれ波長470nm、510nm、550nm、610nm及び650nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の球面収差及び倍率色収差を示す図である。
図4は、波長550nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、
図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0057】
後記の表17には、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態及び比較実施形態の諸数値及び関係式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0058】
表17に示すように、第1実施形態は、各関係式を満たしている。
【0059】
本実施形態において、撮像光学レンズ10の入射瞳径ENPDが0.395mmであり、全視野の像高IHが1.498mmであり、対角線方向の画角FOVが119.29°であり、撮像光学レンズ10は、大絞り、広角化、極薄化の設計要件を満たすことができ、且つ良好な光学性能を有する。
【0060】
(第2実施形態)
【0061】
第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0062】
図5に示されたのは、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20である。
【0063】
表4、表5は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20の設定データを示す。
【0064】
【0065】
表5は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの非球面のデータを示す。
【0066】
【0067】
表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点の設定データを示す。
【0068】
【0069】
図6、
図7は、それぞれ波長470nm、510nm、550nm、610nm及び650nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の球面収差及び倍率色収差を示す図である。
図8は、波長550nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図8の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0070】
表17に示すように、第2実施形態は、各関係式を満たしている。
【0071】
本実施形態において、上記の撮像光学レンズ20の入射瞳径ENPDが0.339mmであり、全視野の像高IHが1.498mmであり、対角線方向の画角FOVが129.80°であり、撮像光学レンズ20は、大絞り、広角化、極薄化の設計要件を満たすことができ、且つ良好な光学性能を有する。
【0072】
(第3実施形態)
【0073】
第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0074】
図9に示されたのは、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30である。
【0075】
表7は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30の設定データを示す。
【0076】
【0077】
表8は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの非球面のデータを示す。
【0078】
【0079】
表9は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点の設定データを示す。
【0080】
【0081】
図10、
図11は、それぞれ波長470nm、510nm、550nm、610nm及び650nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の球面収差及び倍率色収差を示す図である。
図12は、波長550nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図12の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0082】
表17に示すように、第3実施形態は、各関係式を満たしている。
【0083】
本実施形態において、撮像光学レンズ30の入射瞳径ENPDが0.371mmであり、全視野の像高IHが1.498mmであり、対角線方向の画角FOVが117.57°であり、撮像光学レンズ30は、大絞り、広角化、極薄化の設計要件を満たすことができ、且つ良好な光学性能を有する。
【0084】
(第4実施形態)
【0085】
第4実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0086】
図13に示されたのは、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40である。
【0087】
表10、表11は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40の設定データを示す。
【0088】
【0089】
表11は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40における各レンズの非球面のデータを示す。
【0090】
【0091】
表12は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40における各レンズの変曲点の設定データを示す。
【0092】
【0093】
図14、
図15は、それぞれ波長470nm、510nm、550nm、610nm及び650nmの光が第4実施形態に係る撮像光学レンズ40を通った後の球面収差及び倍率色収差を示す図である。
図16は、波長550nmの光が第4実施形態に係る撮像光学レンズ40を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図16の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0094】
表17に示すように、第4実施形態は、各関係式を満たしている。
【0095】
本実施形態において、撮像光学レンズ40の入射瞳径ENPDが0.308mmであり、全視野の像高IHが1.498mmであり、対角線方向の画角FOVが124.40°であり、撮像光学レンズ40は、大絞り、広角化、極薄化の設計要件を満たすことができ、且つ良好な光学性能を有する。
【0096】
(比較実施形態)
【0097】
比較実施形態は、符号の意味が第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0098】
図17に示されたのは、比較実施形態に係る撮像光学レンズ50である。
【0099】
表13、表14は、比較実施形態に係る撮像光学レンズ50の設定データを示す。
【0100】
【0101】
表14は、比較実施形態に係る撮像光学レンズ50における各レンズの非球面のデータを示す。
【0102】
【0103】
表15、表16は、比較実施形態に係る撮像光学レンズ50における各レンズの変曲点及び停留点の設定データを示す。「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設けられた停留点から撮像光学レンズ50の光軸までの垂直距離である。
【0104】
【0105】
【0106】
図18、
図19は、それぞれ波長470nm、510nm、550nm、610nm及び650nmの光が比較実施形態に係る撮像光学レンズ50を通った後の球面収差及び倍率色収差を示す図である。
図20は、波長550nmの光が比較実施形態に係る撮像光学レンズ50を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図20の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0107】
後記の表17は、上記条件式に従って、比較実施形態における各関係式に対応する数値を列挙したものである。明らかに、比較実施形態の撮像光学レンズ50は、上述した関係式5.00≦R1/R2≦10.00を満たさない。。
【0108】
本比較実施形態において、撮像光学レンズ50の入射瞳径ENPDが0.388mmであり、全視野の像高IHが1.498mmであり、対角線方向の画角FOVが125.44°であり、撮像光学レンズ50の収差が十分に補正されていなく、光学特性は十分に優れていない。
【0109】
【0110】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない範囲での形式及び細部に対する各種の変更は、いずれも本発明の保護範囲に属することは、当業者であれば理解できるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、合わせて合計3枚のレンズから構成され、3枚の前記レンズは、物体側から像側に向かって、順に、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズであり、
ここで、前記第1レンズが負の屈折力を有し、前記第2レンズが正の屈折力を有し、前記第3レンズが正の屈折力を有し、前記撮像光学レンズの焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第1レンズの物体側の面の中心曲率半径をR1、前記第1レンズの像側の面の中心曲率半径をR2、前記第2レンズの像側の面から前記第3レンズの物体側の面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記第1レンズのエッジ厚さをET1、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第3レンズの物体側の面の中心曲率半径をR5、前記第3レンズの像側の面の中心曲率半径をR6にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
2.50≦f2/f≦3.50
5.00≦R1/R2≦10.00
3.00≦d5/d4≦8.20
1.65≦ET1/d1≦2.10
-5.00≦R5/R6≦-2.00
-1.60≦f1/f≦-1.15
【請求項2】
前記第2レンズの物体側の面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側の面の中心曲率半径をR4にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
-1.50≦(R3+R4)/(R3-R4)≦-1.20
【請求項3】
前記第3レンズの焦点距離をf3にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
1.20≦f3/f≦1.40
【請求項4】
前記第1レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、
前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.61≦(R1+R2)/(R1-R2)≦2.22
0.06≦d1/TTL≦0.22
【請求項5】
前記第2レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凹面に形成され、
前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.08≦d3/TTL≦0.29
【請求項6】
前記第3レンズは、その物体側の面が近軸において凸面に形成され、像側の面が近軸において凸面に形成され、
前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.17≦(R5+R6)/(R5-R6)≦0.99
0.12≦d5/TTL≦0.38
【請求項7】
前記撮像光学レンズの画角FOVが117.00°以上であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【請求項8】
前記撮像光学レンズの絞り値FNOが2.50以下であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【請求項9】
前記撮像光学レンズの光学全長をTTL、前記撮像光学レンズの全視野の像高をIHにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
TTL/IH≦3.60