(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151303
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】通信接続の取次
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20241017BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20241017BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20241017BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/021
H04W88/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021746
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】10 2023 109 117.4
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ワルテル・ブロンツィ
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト・ネフ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB03
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】モバイル機器と通信ネットワークに接続されたリソースとの間の通信接続の取次のための改善された技術を得る。
【解決手段】通信システムは、通信要求が存在する地理的な領域110を検出する検出ユニットと;原動機付き車両130の範囲におけるモバイル機器105と接続する第1のワイヤレスのインタフェース140及び通信ネットワーク150と接続する第2のワイヤレスのインタフェース145を有する少なくとも1つの原動機付き車両130と;所定の領域110において、領域110におけるモバイル機器105と通信ネットワーク150に接続されたリソースとの間の通信接続を確立するために原動機付き車両130を制御する管理装置125,135とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要素:
-通信要求が存在する地理的な領域(110)を検出する検出ユニットと;
-原動機付き車両(130)の範囲におけるモバイル機器(105)と接続する第1のワイヤレスのインタフェース(140)及び通信ネットワーク(150)と接続する第2のワイヤレスのインタフェース(145)を有する少なくとも1つの原動機付き車両(130)と;
-所定の領域(110)において、領域(110)におけるモバイル機器(105)と通信ネットワーク(150)に接続されたリソースとの間の通信接続を確立するために原動機付き車両(150)を制御する管理装置(125,135)と
を有する通信システム(100)。
【請求項2】
管理装置(125,135)が、原動機付き車両(130)に割り当てられていないモバイル機器(105)に通信接続を取り次ぐように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム(100)。
【請求項3】
モバイル機器(105)と原動機付き車両(130)の間で相対移動が行われることを特徴とする請求項2に記載の通信システム(100)。
【請求項4】
検出ユニットが、通信要求の期間を特定するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項5】
複数の原動機付き車両(130)が含まれていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項6】
原動機付き車両(130)が、所定のヒューリスティックに従い複数の原動機付き車両(130)から選択されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項7】
通信接続が、少なくとも第1の原動機付き車両(130)と第2の原動機付き車両(130)の間で延びていることを特徴とする請求項5又は6に記載の通信システム(100)。
【請求項8】
原動機付き車両(130)のうち1つが少なくとも一時的に所定の地理的な領域(110)にあるように、管理装置(125,135)がその原動機付き車両(130)の走行を計画するように構成されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項9】
原動機付き車両(130)が自律的に所定の地理的な領域(110)へ制御されることを特徴とする請求項8に記載の通信システム(100)。
【請求項10】
管理装置(125,135)が、所定の領域(110)における原動機付き車両(130)への通信接続の分配を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項11】
管理装置が、領域(110)において生じているイベントについての示唆に基づき地理的な領域(110)を特定するように構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の通信システム(100)。
【請求項12】
通信接続を取り次ぐ方法であって、以下のステップ:
-通信要求が存在する地理的な領域(110)を検出するステップと;
-領域(110)におけるモバイル機器(105)と通信ネットワーク(150)に接続されたリソースとの間の通信接続を確立するために、原動機付き車両(130)の範囲におけるモバイル機器(105)と接続する第1のワイヤレスのインタフェース(140)及び通信ネットワーク(150)と接続する第2のワイヤレスのインタフェース(145)を有する原動機付き車両を制御するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
地理的な領域(110)に対する原動機付き車両(130)の移動が制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
領域(110)における原動機付き車両(130)の予測される移動が特定され、1つの原動機付き車両(130)から他の原動機付き車両への通信接続の引渡しが制御されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信接続の取次に関するものである。特に、本発明は、モバイル機器についての動的な通信接続の取次に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器、例えばスマートフォン、ラップトップコンピュータ又はタブレットコンピュータは、通信ネットワークと接続するためのワイヤレスのインタフェースを含んでいる。したがって、例えばモバイル無線、Bluetooth又はWLANを用いてインターネットのような通信ネットワークへの接続を確立することが可能である。そして、モバイル機器は、通信ネットワークに接続されたリソースと通信することが可能である。リソースは、例えば、サーバ、データベース又はサービスを含み得る。
【0003】
例えば都市空間では、このような通信ネットワークあるいは利用可能なターミナルによるカバレッジ(到達範囲、受信可能範囲)は一般的に良好であるため、モバイル機器によって所望のリソースへ直接アクセス可能である。ただし、所定の領域(地域)では、適合した通信ネットワークの低速な、又は断続的な提供しか存在しないことがある。そのほか、多くのワイヤレスの機器が小さな空間において同時に通信しようとすると、接続クオリティが低下することがある。存在する接続が途切れることがあるか、又は接続の確立が困難であり得る。
【0004】
現代の原動機付き車両は、所定の通信ネットワークへのワイヤレスの通信接続を有している。当該接続を介して、例えば、原動機付き車両が事故に巻き込まれた場合に自動的な緊急通報を行うことができるか、又は利用データ若しくはメンテナンスデータを分析サービスあるいはメンテナンスサービスへ伝達することが可能である。原動機付き車両にいる人は、通信ネットワークを利用するために、そのモバイル機器を原動機付き車両と接続することができる。
【0005】
原動機付き車両と通信ネットワークの間の通信接続は、一般的には、原動機付き車両に割り当てられていないモバイル機器によっては利用されることができない。なぜなら、原動機付き車両は、モバイル機器に対して移動し得るため通信接続が途切れるからである。そのほか、通常、原動機付き車両からの通信ネットワークの利用時にはコストがかかるため、外部のモバイル機器による利用のための精算モデルを作成する必要がある。そのほか、例えば、データセキュリティ又は伝達する内容についての責任の理由から、原動機付き車両に割り当てられた人の利用についての許可を得る必要があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎となる課題は、モバイル機器と通信ネットワークに接続されたリソースとの間の通信接続の取次のための改善された技術を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該課題は、独立請求項の特徴を用いて、本発明によって解決される。従属請求項は、好ましい実施形態を表している。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、通信システムは、通信要求が存在する地理的な領域を検出する検出ユニットと;原動機付き車両の範囲におけるモバイル機器と接続する第1のワイヤレスのインタフェース及び通信ネットワークと接続する第2のワイヤレスのインタフェースを有する少なくとも1つの原動機付き車両と;管理装置とを含んでいる。ここで、管理装置は、所定の領域において、領域におけるモバイル機器と通信ネットワークに接続されたリソースとの間の通信接続を確立するために原動機付き車両を制御するように構成されている。
【0009】
単純な一構成によれば、管理装置は車両内にあってよく、その結果、適当な要求が存在する領域内にあることが特定される場合に通信接続の利用を原動機付き車両が制御することが可能である。しかし、管理装置が、特に中央の箇所(ステーション)の形態で、例えばクラウドにおいて、例えばサーバ又はサービスとして原動機付き車両の外部に設けられていることが好ましい。通信接続の利用は、場所に基づいて制御されることができるため、原動機付き車両が所定の領域から出るように移動する場合には、当該原動機付き車両は接続をもはや共有することができない。
【0010】
通信接続は、モバイル機器を通じて、より小さなカバレッジ又は回線容量をブリッジングするために利用されることが可能である。このとき、モバイル機器は、通信接続を同時に他の通信接続と共に、又は他の通信接続に加えて利用することも可能である。
【0011】
管理装置は、原動機付き車両に割り当てられていないモバイル機器に通信接続を取り次ぐように構成されることが可能である。モバイル機器は、原動機付き車両の外部にいるとともに原動機付き車両に割り当てられていることがない人に割り当てられることが可能である。換言すれば、通信接続は、領域に位置しワイヤレスの通信を確立することが可能な任意のモバイル機器に提供されることが可能である。
【0012】
原動機付き車両は、電気的な駆動モータ及びその動作のための電気的なエネルギー貯蔵部を備えることが可能である。ワイヤレスのインタフェースのうち1つは、エネルギー貯蔵部からのエネルギーによって動作されることが可能である。駆動エネルギーのためのエネルギー貯蔵部は、集中的な、又は持続的なインタフェースの動作を、これにより原動機付き車両の移動性を大きく制限することなく可能とすることができる。
【0013】
原動機付き車両は、静止している間に、特に駐車している間に通信接続の利用を提供することが可能である。しかし、通信接続は、モバイル機器と原動機付き車両の間の相対移動がなされている間にも利用されることが可能である。所定の相対移動を伴う原動機付き車両は、通信にとってより適切であり得るとともに、所定のモバイル機器にとって好ましいものであり得る。このとき、モバイル機器が通信範囲にある限り通信が可能であることを受け入れることが可能である。
【0014】
検出ユニットは、通信要求の期間を特定するように構成されることが可能である。例えば、所定の地理的な領域における通信要求の開始、経過及び/又は終了についての予測を行うことが可能である。予測は、例えば統計的な手法、大規模なイベントのような計画されたイベント又は自然災害のように無計画に生じる事象に基づいて特定されることが可能である。
【0015】
通信システムは、複数の原動機付き車両を含むことが可能である。このとき、モバイル機器は、通信技術的に好都合な原動機付き車両の通信接続を共に利用することが可能である。例えば、原動機付き車両がモバイル機器から移動することで利用が終了すると、その代わりに、領域における他の原動機付き車両の通信接続を利用することが可能である。このとき、通信接続の透過的(トランスペアレント)な引渡しを行うことが可能である。モバイル機器が複数の原動機付き車両の通信接続を同時に利用することも可能である。
【0016】
原動機付き車両は、所定のヒューリスティックに従い複数の原動機付き車両から選択されることが可能である。このために、例えば、原動機付き車両が低いエネルギー状況を有しているかどうか、ワイヤレスの通信接続が低いクオリティであるかどうか、原動機付き車両がモバイル機器に対して移動しているかどうかを考慮することが可能である。このような場合には、追加的な接続性の提供により適した他の原動機付き車両を探索することが可能である。選択された原動機付き車両の適切性が通信中に悪化する場合には、他の原動機付き車両を探索し、通信を切り換えることが可能である。
【0017】
原動機付き車両は、異なるように構成されることが可能である。例えば、異なる原動機付き車両は、モバイル機器との接続のための異なる第1のワイヤレスのインタフェース、例えばWLAN、Bluetooth、BT-LE、NFC又はZigBeeを利用可能である。原動機付き車両は、例えば、モバイル無線、衛星無線、別のWLAN又は例えばホーム(家庭用)WLANに接続された別の原動機付き車両を介して通信ネットワークに接続するための異なる第2のインタフェースも備えることが可能である。
【0018】
通信システムの原動機付き車両は、例えばC2C(車両間)技術又はC2I(車両インフラ間)技術を用いて相互に直接通信するように構成されることが可能である。原動機付き車両は、モバイル機器を通じたその第1のインタフェースの利用を必ずしも可能とする必要はない。例えば、原動機付き車両は、原動機付き車両からのメッセージを受信し、他の原動機付き車両へ伝達する転送者としても動作することができる。通信ネットワークへの伝達が行われれば、原動機付き車両は、ルータとして動作することが可能である。他の原動機付き車両は、モバイル機器を通じたその第1のインタフェースの利用を許容することができるが、当該原動機付き車両自身は通信ネットワークへの接続を有さない。このような原動機付き車両は、アクセスポイント(Access Point)として動作し、1つ又は複数の他の車両と通信することが可能である。
【0019】
通信接続は、少なくとも第1の原動機付き車両と第2の原動機付き車両の間で延びることが可能である。通信接続は、複数の原動機付き車両のつながりを介して延びることも可能である。このようなつながりは、特に原動機付き車両の移動に基づいて、又はつながりによって得ることが可能な通信ネットワークのノード点の位置に基づいて動的に構成されることが可能である。通信接続を必要とするモバイル機器の位置、所定の移動又は予測された移動も考慮されることが可能である。
【0020】
通信システムは、特に原動機付き車両及び/又はモバイル機器の計画された、監視された、推定された、又は予測された移動に基づいて通信接続を制御することが可能である。別の一実施形態では、管理装置は、少なくとも一時的に所定の地理的な領域にあるように通信システムの原動機付き車両のうち1つの走行を計画するように構成されている。例えば、原動機付き車両の計画された走行は、原動機付き車両が領域を走行するするように変更されることが可能である。好ましくは、計画された走行は、原動機付き車両の搬送又は提供の役割に対して重大なデメリットが生じないようにのみ変更される。例えば、計画されたルートの延長又は計画された走行時間の延長は、所定の程度のみ甘受され得る。変更は、原動機付き車両内の人の同意を必要とし得る。
【0021】
原動機付き車両は、自律的に所定の地理的な領域へ制御されることが可能である。したがって、地理的な領域における通信容量を目的に合わせて増大させることが可能である。このとき、増大された通信要求が増大された移動必要性に付随し得ることを活用することが可能である。したがって、一群の原動機付き車両を別の目的に提供することが可能である。
【0022】
管理装置は、所定の領域における原動機付き車両への通信接続の分配を制御するように構成されることが可能である。このとき、例えば、領域にある複数の車両のうち1つの原動機付き車両のみをモバイル機器との通信のために利用することが有利であるかどうかを考量することが可能である。これは、例えば、これにより第2のインタフェースの回線容量を活用することができる場合に有利であり得る。他の原動機付き車両は、モバイル機器との通信に関与することはできず、電気エネルギーを節約することが可能である。別の場面では、領域における通信接続を複数の原動機付き車両に分配することが可能である。これにより、例えば、データ伝達におけるボトルネックを回避することが可能である。
【0023】
また、管理装置は、領域において行われるイベントについての示唆に基づき地理的な領域を特定するように構成されることが可能である。これにより、迅速な特定及び事情によっては予測的な特定を行うことが可能である。例えば、大きなスポーツイベント又はコンサートが計画されていることを特定することが可能である。イベントのために1つの領域に多くの人がいる場合には、そこに設置された通信チャンネルが容易に過負荷となり得る。存在する要求は、ここで説明するように、原動機付き車両がイベントの範囲(エリア)において目的に合わせて通信に利用されることで、動的にカバーされることが可能である。通信のための永続的なリソースの追加的な設置は不要であり得る。
【0024】
類似の過程を、災害時、例えば局所的な停電時、洪水時又は地震時にも応用することが可能である。これにより、個人も、また救助隊員もより良好にサポートされることが可能である。
【0025】
本発明の別の一態様によれば、通信接続を取り次ぐ方法は、通信要求が存在する地理的な領域を検出するステップと;領域におけるモバイル機器と通信ネットワークに接続されたリソースとの間の通信接続を確立するために、原動機付き車両の範囲におけるモバイル機器と接続する第1のワイヤレスのインタフェース及び通信ネットワークと接続する第2のワイヤレスのインタフェースを有する原動機付き車両を制御するステップとを含む。
【0026】
当該方法は、ここで説明する通信システムを用いて実行されることが可能である。このために、通信システムは、プログラム可能なマイクロコンピュータ又はマイクロコントローラを含むことが可能な電子的な管理装置を含むことができる。方法は、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品の形態であり得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータで読取可能なデータ媒体にもメモリすることが可能である。方法の特徴又は利点は、通信システムにも当てはまり得るか、又はその逆である。
【0027】
一実施形態では、原動機付き車両の移動は地理的な領域に関して制御される。このために、原動機付き車両の計画されたルートを変更し、及び/又は原動機付き車両をルートにおいて制御することが可能である。最初は移動が計画されていなかった原動機付き車両については、地理的な範囲へのルートを計画することが可能である。
【0028】
更に別の一実施形態では、原動機付き車両の移動は地理的な領域において特定される。移動は、芸隠された移動及び/又は実際の移動を含み得る。そして、複数の原動機付き車両のうち1つから別の原動機付き車両への通信接続の引渡しは、移動に依存して制御されることが可能である。したがって、近くに原動機付き車両がない場合でも、モバイル機器は、地理的な領域において通信ネットワークに接続されたままであり得る。
【0029】
添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】原動機付き車両と共に地理的な領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、地理的な領域110にあり人115によって利用されることが可能なモバイル機器105への通信接続を提供する通信システム100が示されている。モバイル機器105は、好ましくは、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ又は特にワイヤレスで動作することができるとともにこのときリモートリソース120との通信を行う他の機器を含んでいる。一実施形態では、他のワイヤレスにネットワーク化された機器、例えばネットワーク化された原動機付き車両もモバイル機器105として動作することが可能である。通常、モバイル機器105は、人115に明確に割り当てられている。
【0032】
通信システム100は、好ましくは、例えばサーバ又はサービス、例えばクラウドの形態で中央の構成要素として構成されている制御装置125を含んでいる。また、通信システム100は、少なくとも1つの、しかし好ましくは複数の原動機付き車両130を含んでいる。原動機付き車両130は、地理的な領域110にあり得るか、又は当該領域外にあり得る。様々な場面(シナリオ)において、原動機付き車両130は、その駐車中又は走行中に通信システム100において関与(参加)することが可能である。
【0033】
原動機付き車両130には好ましくは処理装置135が設けられており、当該処理装置は、少なくとも1つのワイヤレスインタフェース140及び少なくとも1つの第2のインタフェース145に接続されている。第1のインタフェース140は、好ましくはモバイル機器105との接続のために原動機付き車両130の範囲に設けられているとともに、例えばWLAN又はBluetoothを用いて実現されることが可能である。第1のインタフェース140の有効距離は、用いられる技術に基づき、通常は数メートルから数十メートルに限定されている。
【0034】
第2のインタフェース145は、好ましくは、モバイル機器105がアクセスしない通信ネットワーク150との接続のために構成されている。通信ネットワーク150は、例えば、衛星ネットワークのような地上配備されていないネットワークを含むことが可能である。通信ネットワーク150は、地上配備されたネットワーク、例えば地上無線ステーションに基づくワイヤレスネットワークも含むことが可能である。通常、原動機付き車両130は、移動性を維持するためにワイヤレスで通信ネットワーク150に接続されている。他の一実施形態では、通信ネットワーク150は、技術的にモバイル機器105との接続を可能とすることができるが、このような接続は、アクセス制限によって防止されることが可能である。例えば、通信は、車両群の所定の製造者又は管理者(オペレータ、ユーザ)の原動機付き車両105に限定されることが可能である。
【0035】
制御装置125は、好ましくは、インタフェース140,145のうち1つを介して原動機付き車両130と通信するように構成されている。このために、制御装置自体が無線のインタフェース145を備えることが可能である。原動機付き車両130との通信は、直接、又は通信ネットワーク150を通して行われることが可能である。
【0036】
所定の条件の下でモバイル機器105に通信ネットワーク150を通した所望のリソース120との通信接続を許容するか、あるいは取り次ぐことが提案される。このとき、モバイル機器105は第1のインタフェース140を用いて原動機付き車両130と通信し、原動機付き車両は第2のインタフェース145を用いて通信ネットワーク150と直接通信するか、あるいはこのために設けられたノードと通信し、又は接続が原動機付き車両130からまずは別の原動機付き車両130へ延び、そこから初めて通信ネットワーク150へ延びる。原動機付き車両130間では、第1のインタフェース140又は第2のインタフェース145を用いて通信を行うことが可能である。別の一実施形態では、2つより多くの原動機付き車両130のつながりもモバイル機器105とリソース120の間の通信に用いられることが可能である。
【0037】
モバイル機器105とリソース120の間の通信への1つ又は複数の原動機付き車両130の利用は、好ましくは領域110に制限されている。領域110は、1つ又は複数のモバイル機器105の通信要求が特定又は予測されることで特定されることが可能である。適当な態様では、通信要求が存在する間の期間も特定されることが可能である。
【0038】
モバイル機器105と原動機付き車両130の間の通信の制御あるいは開始は、好ましくは、異なる実施形態において原動機付き車両130における制御装置125及び/又は処理装置135を含むことができる管理装置を用いて行われる。モバイル機器105の処理装置も、制御に関与することができ、したがって管理装置とみなされることが可能である。通信においては、管理装置125,135は多重に用いられるか、交替されることが可能である。したがって、モバイル機器105と原動機付き車両130の間の通信を確立するために、まず、ローカルな管理装置125を用いることが可能である。後に、通信を更に制御するために、当該通信接続を介してリモート(遠隔)の管理装置125にも到達されることが可能である。リモートの管理装置125は、例えばクラウドにおいて存在し得る。
【0039】
第1の例では、モバイル機器105は、例えば直接、又は第1のインタフェース140を介してブロードキャストを用いて、通信要求を原動機付き車両130に示すことが可能である。原動機付き車両130は、接続を直接受け入れるとともに、通信ネットワーク150を通じた通信を提供することが可能である。通信の提供は、モバイル機器105からの通信について十分に多くの応答要求が受信された後に初めて行われることが可能である。互いに比較的近くに位置する複数の原動機付き車両105は、領域110を特定するために、これら原動機付き車両のそれぞれ存在する応答要求についての情報を相互に交換することが可能である。原動機付き車両130は、ある原動機付き車両130が通信システムへのアクセスによってある原動機付き車両130に至ることを可能とするために、原動機付き車両から成るネットワークを通じたネットワークパスについての情報も交換することが可能である。
【0040】
特定は、原動機付き車両130から対応する情報を受け取る制御装置125によっても行われることが可能である。
【0041】
第2の例では、原動機付き車両130は、通信データの伝送についての意思を示すことが可能である。モバイル機器105は、意思を検出し、通信オファーを利用することが可能である。
【0042】
第3の例では、制御装置125は、外部の情報に基づいて領域110を特定することが可能である。例えば、制御装置は、他の通信ネットワークの障害についての情報を受信することができるとともに、通信要求についての示唆として評価することが可能である。通信要求を示し得る他の情報は、例えばコンサート時、スポーツイベント時又は交通渋滞時の人115の異常な集まりに関するものである。通信要求は、このような情報に基づいて、通信ネットワーク150を通じた通信についての応答要求が受信されるときに初めて特定されるのではなく、事前にも特定されることが可能であることに留意すべきである。
【0043】
制御装置125は、高められた通信要求を有する領域110を特定するために、任意の情報源に接続されることが可能である。特定の領域110は、あらかじめ規定された最大量を有していない。必要であれば、複数の特定の領域110を1つのより大きな領域110に互いに結び付けることも可能である。逆に、所定の1つの領域110を複数の領域110に分割するか、又は1つの領域110をキャンセルすることが可能である。通信が例えば緊急時に関連する用途のための所定の宛先ノード120又は所定のサービスへのみ可能であるかどうかを特定することも可能である。したがって、例えば、緊急通報のための通信は容認され得るものの、会話のための通信は拒否され得る。この決定は、同様に、場所及び/又は要求される期間若しくは有効な期間に依存し得る。
【0044】
制御装置125が1つ又は複数の原動機付き車両130を通じた通信を制御することが好ましい。このために、制御装置は、原動機付き車両130の計画されたルートについての情報を評価することが可能である。他の原動機付き車両による原動機付き車両130の通信接続の容認は、中央で、又はローカルで制御されることが可能である。一実施形態では、原動機付き車両130を領域110の所定の箇所へ、又は領域110における所定のルートに沿ってガイドするために、原動機付き車両130の計画されたルートを変更することが可能である。オプションで、原動機付き車両130は、自律的に、当該箇所へ、又は当該ルートに沿って制御されることが可能である。
【0045】
図2には方法200のフローチャートが示されており、当該方法は、特にシステム100を用いて実行されることが可能である。ステップ205では、空間的に共に存在する1つ又は複数のモバイル機器105の通信要求を特定することが可能である。これに基づき、通信要求が生じている領域110を形成することが可能である。存在する応答要求に基づく当該特定及び/又は人115の集まりに基づく予測的な特定を行うことができることに留意すべきである。
【0046】
ステップ210では、通信データの伝達が可能な原動機付き車両130の位置を特定することが可能である。このとき、通常、領域110内に位置する原動機付き車両130と、オプションで領域110の所定の最大距離における別の原動機付き車両130とが考慮される。
【0047】
ステップ215では、通信意思のあるモバイル機器105との通信のために利用可能な原動機付き車両130を特定することが可能である。原動機付き車両130は、静止しているか、又は移動していてよい。選択時には、原動機付き車両130の適切性を特定することが可能な1つ又は複数のパラメータを考慮することが可能である。
【0048】
例えば、エネルギー状況、信号強度又はモバイル機器105に対する原動機付き車両の近傍性を考慮することが可能である。例えば通信負荷がフェアに分配されるか、又は電源に接続されている原動機付き車両が優先されることで、1つ又は複数の原動機付き車両それぞれのエネルギー消費を最適化することが可能である。接続コストを最適化することが可能である。このために、所望のサービスを最も都合よく提供可能な原動機付き車両への通信に導くことが可能である。したがって、例えば、5G接続を有する原動機付き車両は、他のモバイル無線技術を有する車両に比べて優先されることが可能である。
【0049】
コストごと及び車両容量ごとのカバレッジ(到達範囲、受信可能範囲)を最適化することが可能である。近傍のワイヤレスのネットワークノードとの干渉を考慮することが可能である。原動機付き車両の現在地の周囲の隣り合うエリアも、モバイル機器の予測される移動経路に合わせて考慮されることが可能である。
【0050】
他の信号又は接続が許容されていないゾーンとのあり得るコリジョンを考慮することが可能である。地域的に禁止されている通信周波数を検出することが可能である。緊急状況でのモバイル機器の通信を優先することが可能である。モバイル機器に対する原動機付き車両の移動も同様に選択の基礎とされることが可能である。好ましくは、モバイル機器に対して相対的な移動ができる限り小さな原動機付き車両が選択される。
【0051】
ステップ220では、原動機付き車両130とモバイル機器105の間で、どのような状況において通信が行われ得るかを交渉することが可能である。このとき、例えば、回線容量、通信継続時間又は通信料金を特定することが可能である。取り次がれる通信サービスの種類又は利用の別の種類は、場合によってはユーザ又は場面に応じて特定されることが可能である。データ安全性又は稼働率制御の応答要求も解決されることが可能である。原動機付き車両130とモバイル機器105を有する人との間の認証については、原動機付き車両130における識別機器を用いて行われることが可能である。識別機器は、例えば、例えばUWB又はBluetoothのようなワイヤレスのプロトコルを介した、ローカルな識別メカニズム又は認証メカニズムを含むことが可能である。
【0052】
認証は、原動機付き車両130に割り当てられた人のモバイル機器105についてのその通信構成要素としての使用についての同意を得るために行われることができる。別の認証は、モバイル機器105又はそのユーザと原動機付き車両130の間で行われることが可能である。認証は、それぞれ、原動機付き車両によって、又はクラウドにおけるサービスによって、又はその両方によって行われることが可能である。
【0053】
交渉が成功しない場合には、他の可能な原動機付き車両130を選択するために、ステップ215へ戻ることができる。
【0054】
ステップ225では、モバイル機器105と所望のリソース120の間の接続を少なくとも1つの原動機付き車両130及び通信ネットワーク150を通じて取次あるいは制御することが可能である。
【0055】
ステップ205を起点として、ステップ230では、通信システム100に関与する原動機付き車両130の計画された移動を特定することが可能である。このとき、領域110において静止している原動機付き車両130、領域110へ入る原動機付き車両130、領域110において移動する原動機付き車両130又は領域110を離れる原動機付き車両130を特定することができる。
【0056】
当該情報に基づき、どの原動機付き車両130がどの時点で領域110におけるどの箇所で通信データの伝達のために利用可能であるかを特定することが可能である。
【0057】
オプションで、ステップ235では、領域110における原動機付き車両130の通信のための可用性をより有利に構成するために、原動機付き車両130の計画された移動に影響を与えることが可能である。さらにオプションで、原動機付き車両130は、変更された移動に依存して制御されることも可能である。制御は、原動機付き車両130側で、又は制御装置125側で行われることが可能である。
【0058】
図3には、ここで説明される技術を説明するために例示的な原動機付き車両130を有する例示的な地理的な領域110が示されている。モバイル機器105は、暗いシンボルで図示されているとともに、より容易な理解のために、領域110の中央に位置している。様々な原動機付き車両130は明るいシンボルで図示されている。移動する原動機付き車両130は、矢印として記入された割り当てられた軌道において示されている。
【0059】
上方に図示された第1の原動機付き車両130は、領域110内に入っているとともに、領域110を離れようとしている。この間に、第1の原動機付き車両130は、モバイル機器105からの、又はモバイル機器105への通信データの伝達のために利用可能である。
【0060】
モバイル機器105に対して側方に図示された第2の原動機付き車両130は、領域110内で静止しているとともに、連続的に通信のために用いられることが可能である。
【0061】
左下に図示された第3の原動機付き車両130は、領域110へ入ろうとしている。さらに、第3の原動機付き車両130は後に領域110から再び出ることが計画されている。第3の原動機付き車両130は、その進入と退出の間に領域110において通信のために利用されることが可能である。
【0062】
右下に図示された第4の原動機付き車両130は、領域110を既に離れているとともに、もはやそこでの通信には利用可能ではない。領域110へ戻ることは計画されていない。
【0063】
モバイル機器105と通信ネットワーク150のノード点305の間の通信は、原動機付き車両130の各滞在及び滞在継続時間に依存して制御されることが可能である。別のパラメータ、例えば通信のための原動機付き車両130の稼働率、接続クオリティ又は通信に要求される料金も同様に考慮されることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
100 通信システム
105 モバイル機器
110 領域
115 人
120 リソース
125 制御装置
130 原動機付き車両
135 処理装置
140 第1のワイヤレスのインタフェース
145 第2のワイヤレスのインタフェース
150 通信ネットワーク
200 方法
205 通信要求を有する領域の特定
210 原動機付き車両の位置の特定
215 利用可能な原動機付き車両の特定
220 条件の交渉
225 接続の取次
230 原動機付き車両の計画された移動を特定
235 原動機付き車両の計画された移動への影響付与
240 原動機付き車両の制御
305 ノード点
【外国語明細書】