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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151308
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】輪郭形状測定装置および該方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241017BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G01B11/24 K
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042104
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023064267
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000130259
【氏名又は名称】株式会社コベルコ科研
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】米田 奈生
(72)【発明者】
【氏名】西田 洸人
(72)【発明者】
【氏名】森本 勉
(72)【発明者】
【氏名】眞保 英樹
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA24
2F065AA51
2F065BB03
2F065DD04
2F065FF04
2F065FF09
2F065FF10
2F065HH05
2F065JJ19
2F065JJ26
4M106AA01
4M106BA04
4M106BA05
4M106CA38
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB08
4M106DB12
4M106DJ06
4M106DJ19
4M106DJ20
(57)【要約】
【課題】本発明は、より精度良く輪郭形状を測定できる郭形状測定装置および輪郭形状測定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する輪郭形状測定装置であって、前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定し、面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定し、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する輪郭形状測定装置であって、
前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定する影輪郭形状測定部と、
面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する光輪郭形状測定部と、
前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める輪郭形状演算部とを備える、
輪郭形状測定装置。
【請求項2】
前記光輪郭形状測定部は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部である、
請求項1に記載の輪郭形状測定装置。
【請求項3】
前記光輪郭形状測定部は、前記面方向から共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部である、
請求項1に記載の輪郭形状測定装置。
【請求項4】
前記光輪郭形状測定部は、
前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部と、
前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部とを備え、
前記輪郭形状演算部は、
前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求める、
請求項1に記載の輪郭形状測定装置。
【請求項5】
前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理部をさらに備え、
前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める、
請求項1に記載の輪郭形状測定装置。
【請求項6】
前記ノイズ除去処理部は、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状に基づき求めた高さのばらつきに応じた閾値を用いて前記ノイズを除去する、
請求項5に記載の輪郭形状測定装置。
【請求項7】
周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する輪郭形状測定方法であって、
前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定する影輪郭形状測定工程と、
面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する光輪郭形状測定工程と、
前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める輪郭形状演算工程とを備える、
輪郭形状測定方法。
【請求項8】
前記光輪郭形状測定工程は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程である、
請求項7に記載の輪郭形状測定方法。
【請求項9】
前記光輪郭形状測定工程は、前記面方向から共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程である、
請求項7に記載の輪郭形状測定方法。
【請求項10】
前記光輪郭形状測定工程は、
前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程と、
前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程とを備え、
前記輪郭形状演算工程は、
前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求める、
請求項7に記載の輪郭形状測定方法。
【請求項11】
前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理工程をさらに備え、
前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と、前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める、
請求項7に記載の輪郭形状測定方法。
【請求項12】
前記ノイズ除去処理工程は、前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状に基づき求めた高さのばらつきに応じた閾値を用いて前記ノイズを除去する、
請求項11に記載の輪郭形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する輪郭形状測定装置および輪郭形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円板状の測定対象における輪郭形状を測定する装置は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された形状測定装置は、円盤状の測定対象物における面取り加工された端部を含む測定部に対し前記測定対象物の表裏各面に平行な方向から光が投光する投光手段と,その投光方向に対向する方向から前記測定部を撮像する撮像手段と、を備え、前記撮像手段により得られた前記測定部の投影画像に対して画像処理を行うことにより前記測定部の輪郭形状を測定する形状測定装置であって、前記測定対象物の前記測定部における基準位置の厚みを計測する厚み計測手段と、前記測定部の投影像に対する画像処理によって前記測定部の第1の輪郭形状情報を導出する画像処理手段と、前記厚み計測手段により計測された厚みと前記測定部の前記投光方向における寸法とに基づいて、前記第1の輪郭形状情報から特定される厚み分布を補正することにより、前記第1の輪郭形状情報を補正して補正後の第2の輪郭形状情報を出力する輪郭形状補正手段と、を具備してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-156686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外周縁部をR面取りしたウェハを極薄化する際に、前記R面取りのR形状の影響でエッジピッチングが生じ、これを起点としてウェハが割れてしまうことがある。このウェハ割れを防止するために、前記R形状を研磨ブレードによって削ることによって高さ方向の段差を設けるトリム加工(エッジトリミング)が施されることがある。このようなトリム加工されたウェハの輪郭形状を、前記特許文献1に開示された形状測定装置のように、ウェハに光を当てることによって生じるウェハの影に基づき測定しようとすると、段差部分で生じる光の散乱等によって前記段差部分の形状がぼけて測定精度が低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度良く輪郭形状を測定できる郭形状測定装置および輪郭形状測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる輪郭形状測定装置は、周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する装置であって、前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定する影輪郭形状測定部と、面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する光輪郭形状測定部と、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める輪郭形状演算部とを備える。
【0007】
このような輪郭形状測定装置は、影輪郭形状測定部に加え、光輪郭形状測定部を備え、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状とに基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0008】
他の一態様では、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部である。
【0009】
これによれば、光切断法によって光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する輪郭形状測定装置が提供できる。
【0010】
他の一態様では、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部である。
【0011】
これによれば、前記面方向から共焦点法によって光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する輪郭形状測定装置が提供できる。
【0012】
他の一態様では、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部と、前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部とを備え、前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求める。
【0013】
このような輪郭形状測定装置は、一方面に光切断輪郭形状測定部を備え、他方面に共焦点輪郭形状測定部を備えるので、周縁部における両面の輪郭形状を、より精度良く測定できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理部をさらに備え、前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部であり、前記ノイズ除去処理部は、前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部であり、前記ノイズ除去処理部は、前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定装置において、前記光輪郭形状測定部は、前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部と、前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定部とを備え、前記ノイズ除去処理部は、前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第1ノイズ除去輪郭形状を求め、前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第2ノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めた第1ノイズ除去輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めた第2ノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。
【0015】
このような輪郭形状測定装置は、ノイズを除去したノイズ除去輪郭形状に基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0016】
他の一態様では、上述の輪郭形状測定装置において、前記ノイズ除去処理部は、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状に基づき求めた高さのばらつきに応じた閾値を用いて前記ノイズを除去する。
【0017】
トリム加工では、研磨ブレードで削るので、削り残しや削りくず(ごみ)等が生じることがあり、輪郭形状のノイズとなる。このような削り残しや削りくずは、測定対象ごとにまちまちであるので、予め設定した一定値の閾値でノイズであるか否かを判定してしまうと、適切にノイズを判定できない虞がある。上記輪郭形状測定装置は、高さのばらつきに応じた閾値を用いるので、より適切にノイズを除去でき、したがって、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0018】
本発明の他の一態様にかかる輪郭形状測定方法は、周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する方法であって、前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定する影輪郭形状測定工程と、面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する光輪郭形状測定工程と、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める輪郭形状演算工程とを備える。
【0019】
このような輪郭形状測定方法は、影輪郭形状測定工程に加え、光輪郭形状測定工程を備え、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状とに基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0020】
他の一態様では、これら上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程である。
【0021】
これによれば、光切断法によって光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する輪郭形状測定方法が提供できる。
【0022】
他の一態様では、これら上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、前記面方向から共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程である。
【0023】
これによれば、共焦点法によって光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する輪郭形状測定方法が提供できる。
【0024】
他の一態様では、これら上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程と、前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程とを備え、前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求める。
【0025】
このような輪郭形状測定方法は、一方面の測定に光切断輪郭形状測定工程を備え、他方面の測定に共焦点輪郭形状測定工程を備えるので、周縁部における両面の輪郭形状を、より精度良く測定できる。
【0026】
他の一態様では、これら上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理工程をさらに備え、前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と、前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程であり、前記ノイズ除去処理工程は、前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、共焦点法によって前記光輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程であり、前記ノイズ除去処理工程は、前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。好ましくは、上述の輪郭形状測定方法において、前記光輪郭形状測定工程は、前記測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定工程と、前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する共焦点輪郭形状測定工程とを備え、前記ノイズ除去処理工程は、前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第1ノイズ除去輪郭形状を求め、前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第2ノイズ除去輪郭形状を求め、前記輪郭形状演算工程は、前記影輪郭形状測定工程によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定工程によって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めた第1ノイズ除去輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定工程によって測定された共焦点輪郭形状から前記ノイズ除去処理工程で求めた第2ノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。
【0027】
このような輪郭形状測定方法は、ノイズを除去したノイズ除去輪郭形状に基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0028】
他の一態様では、上述の輪郭形状測定方法において、前記ノイズ除去処理工程は、前記光輪郭形状測定工程によって測定された光輪郭形状に基づき求めた高さのばらつきに応じた閾値を用いて前記ノイズを除去する。
【0029】
このような輪郭形状測定方法は、高さのばらつきに応じた閾値を用いるので、より適切にノイズを除去でき、したがって、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる輪郭形状測定装置および輪郭形状測定方法は、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。
図3】実施形態の輪郭形状測定装置におけるステージを説明するための模式図である。
図4】トリム加工した測定対象の形状を説明するための図である。
図5】ノイズの原因を説明するための図である。
図6】影輪郭形状と光切断輪郭形状との重ね合わせを説明するための図である。
図7】第1実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図9】第2実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。
図10】第2実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
図11】第3実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図12】第3実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。
図13】第3実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0033】
実施形態における輪郭形状測定装置は、周縁部をベベル加工された円板状の測定対象における輪郭形状を測定する装置である。この輪郭形状測定装置は、影輪郭形状測定部、光輪郭形状測定部および輪郭形状演算部を備える。前記影輪郭形状測定部は、前記周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて前記輪郭形状を影輪郭形状として測定するものである。前記光輪郭形状測定部は、面方向から光を用いて前記測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定するものである。前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるものである。以下、このような輪郭形状測定装置およびこれに実装された輪郭形状測定方法について、第1ないし第3実施形態によって、より具体的に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
第1実施形態における輪郭形状測定装置では、前記光輪郭形状測定部に、前記面方向から光切断法によって前記光輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する光切断輪郭形状測定部が用いられる。すなわち、第1実施形態における輪郭形状測定装置は、上述と同様な影輪郭形状測定部と、光切断輪郭形状測定部と、輪郭形状演算部とを備える。前記光切断輪郭形状測定部は、面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定するものである。前記輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるものである。以下、より具体的に説明する。
【0035】
図1は、第1実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。図3は、実施形態の輪郭形状測定装置におけるステージを説明するための模式図である。なお、図3には、第1ないし第3実施形態の輪郭形状測定装置におけるステージが模式的に図示されている。図4は、トリム加工した測定対象の形状を説明するための図である。図5は、ノイズの原因を説明するための図である。図5Aは、測定対象の一例である測定対象WAの周縁部を模式的に示す断面図であり、図5Bは、グレースケールによって測定対象WAの高さ(厚さ)を表した測定対象WAの模式的な平面図である。なお、図5Bでは、測定対象WAは、円板状であるが、周方向を直線に変換して測定対象WAが図示されている。図6は、影輪郭形状と光切断輪郭形状との重ね合わせを説明するための図である。図6Aは、重ね合わせ前を示し、図6Bは、重ね合わせ後を示す。
【0036】
第1実施形態における輪郭形状測定装置1000Aは、例えば、図1ないし図3に示すように、影輪郭形状測定部1と、光切断輪郭形状測定部2と、ステージ3と、制御処理部4Aと、入力部5と、出力部6と、インターフェース部(IF部)7と、記憶部8Aとを備える。
【0037】
ステージ3は、測定対象WAが載置されて前記測定対象WAを支持し、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、前記測定対象WAを周方向θに回転し、そして、高さ方向(厚さ方向)に直交する水平方向に所定の移動範囲で前記測定対象WAを移動する装置である。ステージ3は、本実施形態では、例えば、図3に示すように、測定対象WAが載置されて前記測定対象WAを支持し、回転軸となる円柱状の回転支持部材31と、回転支持部材31を回転駆動し、前記所定の移動範囲内で前記水平方向に直線移動する駆動部32と、回転支持部材31および駆動部32を支持する台座33とを備える。回転支持部材31の一方端面は、水平な平面となっており、測定対象WAが載置され、例えば、回転支持部材31には、その中心軸に沿って図略の吸引ポンプに接続される貫通開口が形成され、測定対象WAは、前記吸引ポンプの負圧により前記貫通開口から引かれて前記一方端面に固定される。駆動部32は、回転支持部材31にその他方端で回転可能に連結され、前記回転支持部材31を回転駆動するための、例えばサーボモータ等のアクチュエータや減速ギヤ等の駆動機構を備えて構成される。そして、駆動部32は、例えばラックアンドピニオンにより台座33に対して直線移動するように構成され、台座33は、ラックを備えて構成され、駆動部32は、前記ラック上を直線移動するための、ピニオンおよび前記ピニオンを回転させるための例えばサーボモータ等のアクチュエータをさらに備える。このようなステージ3では、回転支持部材31の一方端面に載置され固定された測定対象WAは、駆動部32により回転支持部材31が回転することで周方向θに回転し、駆動部により台座33上を移動することで前記水平方向に直線的に移動する。
【0038】
測定対象WAは、周縁部をベベル加工された円板状であれば、任意であってよく、例えば半導体の製造に用いるウェハ(例えばシリコンウェハ等)やハードディスクに用いるアルミニウム製やガラス製の磁気ディスク用基板等である。前記ベベル加工は、例えば、高さ方向の段差を径方向Xに1または複数設けるトリム加工(エッジトリミング)である。前記トリム加工では、例えば、研磨ブレードによって測定対象WAの周縁部の表面を略平坦に削ることによって、例えば、図4に示すように、高さ方向の段差が形成される。図4に示す例では、1個のトリム(枠)TRが形成されている。元々のウェハ表面SFとこのトリムTRと間は、略垂直な段差となっており、階段状に形成されている。
【0039】
影輪郭形状測定部1は、測定対象WAの周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて測定対象WAの輪郭形状を影輪郭形状として測定する装置である。影輪郭形状測定部1は、ステージ3によって測定対象WAを所定の角度間隔(サンプリング間隔)で順次に回転させ、周方向の各測定箇所(サンプリング点)で側面から見た各影輪郭形状(各測定箇所の各径方向に沿った断面の各外輪郭形状)を測定する。影輪郭形状測定部1は、例えば、第1測定部11と、第1形状演算部12(42)とを備える。
【0040】
第1測定部11は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、測定対象WAの周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって前記周縁部の影を生成し、この生成した前記周縁部の影を撮像する装置である。このような第1測定部11は、例えば、図2に示すように、照明部111と、照明光学系112と、受光光学系113と、撮像部114とを備える。照明部111は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、照明光を発光するものであり、例えば白色発光ダイオード等の光源を備えて構成される。照明光学系112は、照明部111から放射(照射)された照明光を平行光にコリメートするものであり、例えば1または複数のレンズを備えて構成される。受光光学系113は、測定対象WAの周縁部に前記平行光の照明光を当てることによって生じる前記周縁部の影の光学像を撮像部114の撮像面(受光面)に結像させるものであり、例えば1または複数のレンズを備えて構成される。撮像部114は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、撮像面に結像した前記周縁部の影の光学像を電気的な信号に変換するものであり、例えばCCD型エリアイメージセンサやCMOS型エリアイメージセンサを備えて構成される。撮像部114は、この撮像によって得られたデータ(影データ)を制御処理部4Aに出力する。これら照明部111、照明光学系112、受光光学系113および撮像部114それぞれは、各光軸が互いに一致するように、この順に配置される。
【0041】
第1形状演算部12(42)は、本実施形態では後述するように制御処理部4Aに機能的に構成され、撮像部114の出力(前記影データ)を画像処理(第1画像処理)することで前記周縁部の影の画像(影画像)を表すデータである影画像データを生成し、この生成した影画像データを画像処理(第2画像処理)することによって測定対象WAの輪郭形状を影輪郭形状として生成するものである。前記第2画像処理は、例えばSobelフィルタ等のエッジフィルタによりエッジを抽出する第21画像処理、前記第21画像処理で抽出したエッジから、予め設定された輝度閾値によりノイズを除去する第22画像処理、および、前記第22画像処理によるノイズ除去後のエッジにフィッティングする曲線を前記影輪郭形状としてサブピクセル単位で求める第23画像処理等を備える。
【0042】
光切断輪郭形状測定部2は、面方向から光切断法によって測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を光切断輪郭形状として測定する装置である。光切断輪郭形状測定部2は、ステージ3によって測定対象WAを前記所定の角度間隔(前記サンプリング間隔)で順次に回転させ、周方向の前記各測定箇所(前記サンプリング点)で側面から見た各光切断輪郭形状(各測定箇所の各径方向に沿った断面の各外輪郭形状(照明光の照射側の外輪郭形状))を測定する。光切断輪郭形状測定部2は、例えば、第2測定部21と、第2形状演算部22(43)とを備える。第2測定部21は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、照明光を直線のスリット状で照射し、測定対象WAで反射した照明光の反射光を受光する装置である。第2測定部21は、この受光によって得られたデータ(光切断データ)を制御処理部4Aに出力する。第2測定部21は、例えば、光源と、光源から照射された光をスリット状の照明光に形成するスリット部材と、前記照明光の反射光を受光して撮像するイメージセンサとを備え、前記イメージセンサは、この撮像によって得られた光切断データを制御処理部4Aに出力する。第2形状演算部22(43)は、本実施形態では後述するように制御処理部4Aに機能的に構成され、第2測定部21の出力(前記光切断データ)を光切断法に従う処理により、測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を光切断輪郭形状として求めるものである。前記光切断法では、前記反射光の受光方向(受光角)が第2測定部21から測定対象WAの表面までの距離に応じて変化し、前記照明光の進行方向(照射角)、前記反射光の受光方向(受光角)、および、前記照明光の照射位置と前記反射光の受光位置との間の距離(基線長)から三角測量の原理を用いることで、第2測定部21から測定対象WAの表面までの距離が求められる。この距離を求めることで面方向から測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状(光切断輪郭形状)が求められる。
【0043】
なお、第1実施形態では、上述したように、光切断輪郭形状測定部2は、面方向から光を用いて測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する前記光輪郭形状測定部の一例に相当する。
【0044】
第1測定部11およびステージ3は、図2に示すように、ステージ3によって測定対象WAが影輪郭形状の測定位置(測定対象WAが影輪郭形状測定部1で影輪郭形状を測定するための位置)PS1に移動した場合に、測定対象WAの周縁部が第1測定部11における照明光学系112と受光光学系113との間に位置し、測定対象WAにおける外周の接線方向と第1測定部11の光軸とが互いに一致するように、または、互いに平行となるように、配設される。前記影輪郭形状の測定位置PS1は、影輪郭形状測定部1で影輪郭形状を測定する際の測定対象WAの位置である。第2測定部21およびステージ3は、図2に示すように、ステージ3によって測定対象WAが光切断輪郭形状の測定位置PS2に移動した場合に、第2測定部21におけるスリット状の照明光の延長方向(照明光がスリット状で延びる方向)が測定対象WAの径方向Xと一致し、測定対象WAの周縁部が第2測定部21におけるスリット状の照明光で照明されるように、配設される。前記光切断輪郭形状の測定位置PS2は、光切断輪郭形状測定部2で光切断輪郭形状を測定する際の測定対象WAの位置である。影輪郭形状測定部1の第1測定部11、光切断輪郭形状測定部2の第2測定部21およびステージ3は、上述のように配設され、固定される。
【0045】
そして、ステージ3における駆動部32を水平方向に移動する際の前記所定の移動範囲は、例えば、一方端まで駆動部32が移動した場合に、図2に示すように、測定対象WAが影輪郭形状の測定位置PS1に位置し、他方端まで駆動部32が移動した場合に、測定対象WAが光切断輪郭形状の測定位置PS2に位置するように規定される。
【0046】
入力部5は、制御処理部4Aに接続され、例えば、測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、測定対象名等の、輪郭形状測定装置1000Aを動作させる上で必要な各種データを前記輪郭形状測定装置1000Aに入力する機器であり、例えば、キーボード、マウス、および、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部6は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、入力部5から入力されたコマンドやデータおよび輪郭形状等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0047】
なお、入力部5および出力部6は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部5は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部6は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として輪郭形状測定装置1000Aに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い輪郭形状測定装置1000Aが提供される。
【0048】
IF部7は、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部7は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0049】
記憶部8Aは、制御処理部4Aに接続され、制御処理部4Aの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、第1制御処理プログラムが含まれ、前記第1制御処理プログラムには、例えば、第1制御プログラム、第1形状演算プログラム、第2形状演算プログラム、ノイズ除去プログラムおよび第1輪郭形状演算プログラム等が含まれる。前記第1制御プログラムは、輪郭形状測定装置1000Aの各部1~3、5~7、8Aを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記第1形状演算プログラムは、撮像部114の出力を前記第1画像処理することで前記影画像データを生成し、この生成した影画像データを第2画像処理することによって前記影輪郭形状を求めるプログラムである。前記第2形状演算プログラムは、第2測定部21の出力を光切断法に従う処理により前記光切断輪郭形状を求めるプログラムである。前記ノイズ除去プログラムは、光切断輪郭形状測定プログラムによって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるプログラムである。前記第1輪郭形状演算プログラムは、前記影輪郭形状測定プログラムによって求められた影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定プログラムの第2形状演算プログラムによって求められた光切断輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるプログラムである。
【0050】
前記各種の所定のデータには、例えば、測定対象名、位置関係情報、情報処理中の各データおよび輪郭形状等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。前記位置関係情報は、影輪郭形状測定部1における第1測定部11の測定位置(第1測定位置)と光切断輪郭形状測定部2における第2測定部21の測定位置(第2測定位置)との位置関係を表す情報である。影輪郭形状測定部1、光切断輪郭形状測定部2およびステージ3は、上述のように固定的に配設されるので、前記第1測定位置と前記第2測定位置との位置関係は、予め規定でき、この位置関係情報から、各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所での影輪郭形状と光切断輪郭形状とが互いに対応させるとこができる。
【0051】
このような記憶部8Aは、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部8Aは、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部4AのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部8Aは、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0052】
制御処理部4Aは、輪郭形状測定装置1000Aの各部1~3、5~7、8Aを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象WAの輪郭形状を求めるための回路である。制御処理部4Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4Aには、前記第1制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41A、第1形状演算部42(12)、第2形状演算部43(22)、ノイズ除去処理部44Aおよび輪郭形状演算部45Aが機能的に構成される。
【0053】
制御部41Aは、輪郭形状測定装置1000Aの各部1~3、5~7、8Aを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、輪郭形状測定装置1000Aの全体の制御を司るものである。
【0054】
第1形状演算部42(12)は、上述したように、撮像部114の出力(影データ)を前記第1画像処理することで前記影画像データを生成し、この生成した影画像データを第2画像処理することによって前記影輪郭形状を求めるものである。前記各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所の影輪郭形状が生成される。
【0055】
第2形状演算部43(22)は、上述したように、第2測定部21の出力(光切断データ)を光切断法に従う処理により前記光切断輪郭形状を求めるものである。前記各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所の光切断輪郭形状が生成される。
【0056】
ノイズ除去処理部44Aは、光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるものである。前記各光切断輪郭形状それぞれについて、当該光切断輪郭形状のノイズ除去輪郭形状が生成される(前記各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所のノイズ除去輪郭形状が生成される)。トリム加工では、上述したように、研磨ブレードで削るので、例えば、図5に示すように、削り残しDWや削りくず(ごみ)PT等が生じることがあり、削り残しDWや削りくず(ごみ)PT等が輪郭形状のノイズとなる。ノイズ除去処理部44Aは、このノイズを、光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状から除去するものである。より具体的には、ノイズ除去処理部44Aは、光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状に基づき求めた高さのばらつきに応じた閾値(ノイズ判定閾値)を用いて前記ノイズを除去する。より詳しくは、ノイズ除去処理部44Aは、まず、トリムTRに対応する光切断輪郭形状から高さの標準偏差σを求め、ノイズ判定閾値Thnを、高さの標準偏差σの所定値m倍に設定する(Thn=m×σ)。高さの標準偏差σは、前記高さのばらつきの一例に相当する。ここで、想定されるごみの大きさDdをとし、トリムTRの深さ(段差の長さ)をStとした場合、ノイズ判定閾値ThnがDd/5以上St/2以内の範囲内となるように、所定値mを設定することが好ましい(Dd/5≦Thn≦St/2)。より好ましくは、ノイズ判定閾値ThnがDd/3以上St/4以内の範囲内となるように、mが設定される(Dd/3≦Thn≦St/4)。このノイズ判定閾値Thnの範囲は、複数のサンプルから規定したものである。一実施例では、Dd=10[μm]とし、St=20[μm]とした場合、σ=0.65であり、Thn=6×σ(m=6)に設定される。前記高さは、例えば、影輪郭形状から、測定対象WAの厚さが半分となる水平面を高さの基準面として求め、影輪郭形状と光切断輪郭形状とを後述と同様に重ねて前記基準面から光切断輪郭形状までの長さとして求められる。なお、後述では、影輪郭形状とノイズ除去輪郭形状とが重ねられるが、ここでは、高さを求めるために重ねるので、影輪郭形状とノイズ除去前の光切断輪郭形状とが重ねられる。続いて、ノイズ除去処理部44Aは、トリムTRに対応する、光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状から、トリムTRのノイズ判定閾値Thnを超える箇所をノイズとして除去する。そして、ノイズ除去処理部44Aは、前記除去した箇所を例えば直線補間で補間し、ノイズ除去輪郭形状を生成する。
【0057】
輪郭形状演算部45Aは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるものである。本実施形態では、ノイズ除去処理部44Aを備えるので、輪郭形状演算部45Aは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定部2よって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理部44Aで求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。
【0058】
より詳しくは、輪郭形状演算部45Aは、まず、例えば、図6Aに示すように、前記位置関係情報に基づいて同じ測定箇所における影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状αおよび光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状(本実施形態ではノイズ除去輪郭形状)β(β1、β2)を記憶部8Aから取り出し(読み込み)、図6Bに示すように、位置合わせを実施することによって、これら影輪郭形状αと光切断輪郭形状βとを重ね合わせる。前記位置合わせは、例えば、図6Aに示すように、影輪郭形状αから、段差位置xαが検知され、光切断輪郭形状βから、段差位置xβが検知され、これら段差位置xαと段差位置xβとを一致させることによって実施される。前記段差位置xαは、内側から径方向に沿って走査され、影輪郭形状αで表される高さが、最初に、予め設定された判定閾値以上低くなった箇所として検知される。前記段差位置xβは、内側から径方向に沿って走査され、光切断輪郭形状βで表される高さが、最初に、低くなった箇所として検知される。
【0059】
そして、輪郭形状演算部45Aは、段差を含む所定の範囲において、影輪郭形状測定部1による測定に含まれるボケ量と、光切断輪郭形状測定部2によって測定される段差の高さとを比較し、この比較結果に応じて前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状および前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状のいずれか一方を選択して前記輪郭形状を求める。段差を含む所定の範囲は、例えば、段差から、径方向外側へ予め設定された所定の距離(例えば当該段差の高さの1倍や2倍等)までの範囲である。
【0060】
ベベル加工された測定対象WAの輪郭形状で測定精度が低下する箇所は、主に、例えば光の散乱等が生じる段差部分であるので、処理時間を低減するために、輪郭形状を求める際に用いる測定結果が選択される。ここで、測定対象WAが円板状である一方、影輪郭形状測定部1は、周縁部に外周の接線方向から光を当てることによって生じる前記周縁部の影を撮像した影画像に基づいて影輪郭形状を測定するので、被写界深度を深くしたとしても測定対象WAの先端部分に焦点を合わせた場合、測定対象WAの先端部分では、はっきりした形状の影画像が得られる一方、前記先端部分から径方向に沿って離れるに従って形状にボケが生じた影画像が得られることになる。このため、予め複数のサンプルから、先端位置あるいはベベル加工の開始位置からの距離xに応じて単調に増加するボケ量yを表す関数f(x)=yが求められ(推定され)、段差の前後における平均高さの差が前記段差の高さhとして求められ、輪郭形状演算部45Aは、例えば段差位置xsのボケ量y=f(xs)が光切断輪郭形状測定部2によって測定される前記段差位置xsでの段差の高さhより大きい場合(y>h)には、段差位置xsを含む所定の範囲における光切断輪郭形状を前記所定の範囲における輪郭形状として用い、前記ボケ量y=f(xs)が前記段差の高さhより大きくない場合(前記ボケ量y=f(xs)が前記段差の高さh以下の場合、y≦h)には、前記所定の範囲における影輪郭形状を前記所定の範囲における輪郭形状として用い、段差ごとの前記所定の範囲を除く範囲では、影輪郭形状を輪郭形状として用いる。これによって最終的な輪郭形状が求められる。
【0061】
輪郭形状演算部45Aは、周方向の各測定箇所それぞれについて、このような処理を実行することによって最終的な各輪郭形状を求める。
【0062】
なお、上述では、ボケ量yは、距離xの関数として求めたが、複数のサンプルから予め設定した所定の定数ycとし、ボケ量ycと段差の高さhとが比較されてもよい。あるいは、例えば、前記比較を実施せずに、段差を含む所定の範囲における光切断輪郭形状が前記所定の範囲における輪郭形状として用いられてもよい。
【0063】
なお、第1実施形態では、ノイズ除去処理部44Aは、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理部の一例に相当する。
【0064】
これら制御処理部4A、入力部5、出力部6、IF部7および記憶部8Aは、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
【0065】
次に、本実施形態の動作について説明する。図7は、第1実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0066】
このような構成の輪郭形状測定装置1000Aは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4Aには、その第1制御処理プログラムの実行によって、制御部41A、第1形状演算部42(12)、第2形状演算部43(22)、ノイズ除去処理部44および輪郭形状演算部45Aが機能的に構成される。
【0067】
測定対象WAがステージ3にセットされ、測定が開始されると、図7において、まず、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの制御部41Aによって、影輪郭形状の測定位置PS1で影輪郭形状測定部1によって測定した影データをその第1測定部11から取得し、記憶部8Aに記憶する(S1)。ステージ3によって測定対象WAが所定の角度間隔(サンプリング間隔)で順次に回転され、周方向の各測定箇所(サンプリング点)で各影データが取得され、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0068】
続いて、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの制御部41Aによって、光切断輪郭形状の測定位置PS2で光切断輪郭形状測定部2によって測定した光切断データをその第2測定部21から取得し、記憶部8Aに記憶する(S2)。ステージ3によって測定対象WAが前記所定の角度間隔(前記サンプリング間隔)で順次に回転され、周方向の各測定箇所(前記サンプリング点)で各光切断データが取得され、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0069】
続いて、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの第1形状演算部42によって、撮像部114の出力(影データ)を前記第1画像処理することで前記影画像データを生成し、この生成した影画像データを第2画像処理することによって前記影輪郭形状を求め、記憶部8Aに記憶する(S3)。前記各測定箇所それぞれについて、各影輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0070】
続いて、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの第2形状演算部43によって、第2測定部21の出力(光切断データ)を光切断法に従う処理により前記光切断輪郭形状を求め、記憶部8Aに記憶する(S4)。前記各測定箇所それぞれについて、各光切断輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0071】
続いて、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aのノイズ除去処理部44Aによって、前記光切断輪郭形状からノイズを除去し、ノイズ除去輪郭形状を求め、記憶部8Aに記憶する(S5)。前記各測定箇所それぞれについて、各ノイズ除去輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0072】
続いて、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの輪郭形状演算部45Aによって、最終的な輪郭形状を求め、記憶部8Aに記憶する(S6)。前記各測定箇所それぞれについて、最終的な各輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0073】
そして、輪郭形状測定装置1000Aは、制御処理部4Aの制御部41Aによって、各測定箇所の各輪郭形状を出力部6に出力し(S7)、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記各輪郭形状は、IF部7を介して外部の機器へ出力されてもよい。
【0074】
以上説明したように、第1実施形態における輪郭形状測定装置1000Aおよびこれに実装された輪郭形状測定方法は、影輪郭形状の測定に加え、光輪郭形状の測定、第1実施形態では光切断輪郭形状の測定を行い、前記影輪郭形状の測定による影輪郭形状と前記光切断輪郭形状の測定による光切断輪郭形状とに基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0075】
上記輪郭形状測定装置1000Aおよび輪郭形状測定方法は、ノイズを除去したノイズ除去輪郭形状に基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0076】
トリム加工では、研磨ブレードで削るので、削り残しや削りくず(ごみ)等が生じることがあり、輪郭形状のノイズとなる。このような削り残しや削りくずは、測定対象ごとにまちまちであるので、予め設定した一定値の閾値でノイズであるか否かを判定してしまうと、適切にノイズを判定できない虞がある。上記輪郭形状測定装置1000Aおよび輪郭形状測定方法は、高さのばらつきに応じたノイズ判定閾値Thnを用いるので、より適切にノイズを除去でき、したがって、より精度良く輪郭形状を測定できる。ノイズ判定閾値Thnは、トリムTRごとに求めるので、上記輪郭形状測定装置1000Aおよび輪郭形状測定方法は、より適切にノイズを除去でき、したがって、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0077】
上記輪郭形状測定装置1000Aおよび輪郭形状測定方法は、高さのばらつきに応じたノイズ判定閾値Thnを用いるので、より適切にノイズを除去でき、したがって、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0078】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
第1実施形態では、光輪郭形状測定部として光切断輪郭形状測定部2が用いられたが、第2実施形態では、光輪郭形状測定部として共焦点輪郭形状測定部9が用いられる。すなわち、第2実施形態における輪郭形状測定装置は、上述と同様な影輪郭形状測定部と、共焦点輪郭形状測定部と、輪郭形状演算部とを備える。前記共焦点輪郭形状測定部は、面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定するものである。第2実施形態の輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるものである。以下、より具体的に説明する。
【0079】
図8は、第2実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。図9は、第2実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。
【0080】
第2実施形態における輪郭形状測定装置1000Bは、例えば、図8および図9に示すように、影輪郭形状測定部1と、共焦点輪郭形状測定部9と、ステージ3と、制御処理部4Bと、入力部5と、出力部6と、インターフェース部(IF部)7と、記憶部8Bとを備える。これら第2実施形態の輪郭形状測定装置1000Bにおける影輪郭形状測定部1、ステージ3、入力部5、出力部6およびIF部7は、それぞれ、第1実施形態の輪郭形状測定装置1000Aにおける影輪郭形状測定部1、ステージ3、入力部5、出力部6およびIF部7と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
共焦点輪郭形状測定部9は、面方向から共焦点法によって測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定する装置である。共焦点輪郭形状測定部9は、ステージ3によって測定対象WAを前記所定の角度間隔(前記サンプリング間隔)で順次に回転させ、周方向の前記各測定箇所(前記サンプリング点)で側面から見た各共焦点輪郭形状(各測定箇所の各径方向に沿った断面の各外輪郭形状(照明光の照射側の外輪郭形状))を測定する。共焦点輪郭形状測定部9は、例えば、第3測定部91と、第3形状演算部92(46)とを備える。第3測定部91は、制御処理部4Bに接続され、制御処理部4Bの制御に従って、照明光を1点で集光して照射し、測定対象WAで反射した照明光の反射光を受光する装置であり、測定対象WAの高さ方向(厚さ方向)に沿って移動可能に構成される。例えば、第3測定部91は、照明光を1点で集光して照射し、測定対象WAで反射した照明光の反射光を受光する共焦点測定部と、測定対象WAの高さ方向に沿って立設され、例えばラックを備えたロッド状(棒状)の支持部材と、ピニオンおよび前記ピニオンを回転させるための例えばサーボモータ等のアクチュエータを備え、前記共焦点測定部をラックアンドピニオンにより前記支持部材に沿って移動可能に支持する走査駆動部とを備える。前記走査駆動部は、制御処理部4Bに接続され、制御処理部4Bによって制御される。前記共焦点法は、焦点が合ったときに反射光量が最大となるという共焦点原理を使用し、測定対象WAまでの距離を求めるものである。より具体的には、前記共焦点測定部は、単色光を発光する単色光源(例えばレーザ光源等)と、前記単色光源からの単色光を固定焦点で結像して測定対象WAに照射する結像光学系と、ピンホール(微小開口)を形成したピンホール部材と、測定対象WAで反射した前記単色光を、前記ピンホール部材のピンホールを介して受光する受光部とを備える。第3形状演算部92(46)は、本実施形態では後述するように制御処理部4Bに機能的に構成され、第3測定部91の出力を共焦点法に従う処理により、測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状として求めるものである。より詳しくは、第3形状演算部92(46)は、前記走査駆動部を制御することで前記共焦点測定部を測定対象WAの高さ方向に沿って走査し、前記受光部の出力に基づいて、前記受光部で受光される反射光の光量が最大となる前記共焦点測定部の位置を求めることで、前記共焦点測定部から測定対象WAの表面までの距離を求める。前記共焦点測定部が固定焦点であるので、測定対象WAの表面に合焦していないとき(焦点が合っていないとき)、ぼけが生じ、前記ピンホールによって反射光が略遮断され、合焦の近傍で反射光が前記受光部で受光され、測定対象WAの表面に合焦しているとき(焦点が合っているとき)、最大光量で反射光が前記受光部で受光される。これにより前記距離が求められる。第3形状演算部92(46)は、このような距離の測定を、測定対象WAの径方向に沿って所定の間隔で繰り返すことで、前記共焦点輪郭形状を求める。測定対象WAの径方向に沿った移動は、ステージ3における駆動部32を水平方向に移動することで実施される。
【0082】
なお、上述において、前記共焦点測定部は、前記ピンホールに代え、スリットを備えて構成されてもよい。これにより、前記共焦点輪郭形状を求めるための、測定対象WAの径方向の移動が省略でき、測定時間が短縮できる。また、上述において、前記共焦点測定部は、前記単色光源に代え、多色光(互いに異なる複数の波長を含む各光)を発光する多色光源を備え、前記結像光学系に代え、前記複数の波長ごとに異なる焦点距離となるように、色収差を持つ結像光学系を備え、前記受光部を前記複数の波長ごとに備え、反射光を前記複数の波長に分光する分光部をさらに備え、前記分光部から射出される前記複数の波長の各光それぞれを前記複数の受光部それぞれで受光するように構成されてもよい。これにより測定対象WAの高さ方向に沿って前記共焦点測定部の走査が省略でき、測定時間が短縮できる。
【0083】
なお、第2実施形態では、上述したように、共焦点輪郭形状測定部9は、面方向から光を用いて測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する前記光輪郭形状測定部の他の一例に相当する。前記所定の基準面は、上述と同様に、例えば、影輪郭形状から、測定対象WAの厚さが半分となる水平面であり、前記高さは、影輪郭形状と共焦点輪郭形状とを後述と同様に重ねて前記基準面から共焦点輪郭形状までの長さとして求められる。
【0084】
第3測定部91およびステージ3は、図9に示すように、ステージ3によって測定対象WAが共焦点輪郭形状の測定位置PS3に移動した場合に、測定対象WAの周縁部が第3測定部91における照明光で照明されその反射光を受光するように、配設される。前記共焦点輪郭形状の測定位置PS3は、共焦点輪郭形状測定部9で共焦点輪郭形状を測定する際の測定対象WAの位置であり、本実施形態では、光切断輪郭形状の測定位置PS2である(PS3=PS2)。影輪郭形状測定部1の第1測定部11、共焦点輪郭形状測定部9の第3測定部91およびステージ3は、上述のように配設され、固定される。
【0085】
そして、ステージ3における駆動部32を水平方向に移動する際の前記所定の移動範囲は、例えば、一方端まで駆動部32が移動した場合に、図9に示すように、測定対象WAが影輪郭形状の測定位置PS1に位置し、他方端まで駆動部32が移動した場合に、測定対象WAが共焦点輪郭形状の測定位置PS3に位置するように規定される。
【0086】
記憶部8Bは、制御処理部4Bに接続され、制御処理部4Bの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、第2制御処理プログラムが含まれ、前記第2制御処理プログラムには、例えば、第2制御プログラム、第1実施形態と同様な第1形状演算プログラム、第3形状演算プログラム、ノイズ除去処理プログラムおよび第2輪郭形状演算プログラム等が含まれる。前記第2制御プログラムは、輪郭形状測定装置1000Bの各部1~3、5~7、8Bを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記第3形状演算プログラムは、第3測定部91の出力を共焦点法に従う処理により、測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状として求めるプログラムである。前記ノイズ除去プログラムは、共焦点輪郭形状測定プログラムによって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるプログラムである。前記第2輪郭形状演算プログラムは、前記影輪郭形状測定プログラムによって求められた影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定プログラムの第3形状演算プログラムによって求められた共焦点輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるプログラムである。
【0087】
前記各種の所定のデータには、例えば、測定対象名、位置関係情報、情報処理中の各データおよび輪郭形状等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。前記位置関係情報は、影輪郭形状測定部1における第1測定部11の測定位置(第1測定位置)と共焦点輪郭形状測定部9における第3測定部91の測定位置(第3測定位置)との位置関係を表す情報である。影輪郭形状測定部1、共焦点輪郭形状測定部9およびステージ3は、上述のように固定的に配設されるので、前記第1測定位置と前記第3測定位置との位置関係は、予め規定でき、この位置関係情報から、各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所での影輪郭形状と共焦点輪郭形状とが互いに対応させるとこができる。
【0088】
このような記憶部8Bは、例えばROM、EEPROM、RAM等を備え、必要に応じてハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0089】
制御処理部4Bは、輪郭形状測定装置1000Bの各部1~3、5~7、8Bを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象WAの輪郭形状を求めるための回路である。制御処理部4Bは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4Bには、前記第2制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41B、第1形状演算部42(12)、第3形状演算部46(92)、ノイズ除去処理部44Bおよび輪郭形状演算部45Bが機能的に構成される。この第2実施形態における第1形状演算部42(12)は、第1実施形態における第1形状演算部42(12)と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
制御部41Bは、輪郭形状測定装置1000Bの各部1~3、5~7、8Bを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、輪郭形状測定装置1000Bの全体の制御を司るものである。
【0091】
第3形状演算部46(92)は、上述したように、第3測定部91の出力を共焦点法に従う処理により、測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状として求めるものである。前記各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所の共焦点輪郭形状が生成される。
【0092】
ノイズ除去処理部44Bは、共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるものである。より具体的には、ノイズ除去処理部44Bは、上述のノイズ除去処理部44Aにおいて、光切断輪郭形状測定部2を共焦点輪郭形状測定部9に読み替え、光切断輪郭形状を共焦点輪郭形状に読み替えることで、構成できる。
【0093】
輪郭形状演算部45Bは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求めるものである。本実施形態では、ノイズ除去処理部44Bを備えるので、輪郭形状演算部45Bは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定部9よって測定された共焦点断輪郭形状から前記ノイズ除去処理部44Bで求めたノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。
【0094】
より詳しくは、輪郭形状演算部45Bは、前記位置関係情報に基づいて同じ測定箇所における影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状および共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状(本実施形態ではノイズ除去輪郭形状)を記憶部8Bから取り出し(読み込み)、位置合わせを実施することによって、これら影輪郭形状と共焦点輪郭形状とを重ね合わせる。前記位置合わせは、第1実施形態と類似し、例えば、前記影輪郭形状から段差位置が検知され、前記共焦点輪郭形状から段差位置が検知され、これら各段差位置を互いに一致させることによって実施される。そして、輪郭形状演算部45Bは、前記段差を含み周縁部の輪郭形状を求める所定の測定範囲を複数の区分に分け、前記複数の区分ごとに、これら影輪郭形状および共焦点輪郭形状(本実施形態ではノイズ除去輪郭形状)のうちのいずれか一方を選択することによって前記周縁部の輪郭形状を求める。前記選択では、例えば、当該区分において、影輪郭形状および共焦点輪郭形状の両方が存在する場合には、共焦点輪郭形状が選択され、影輪郭形状が存在し、共焦点輪郭形状が存在しない場合には、影輪郭形状が選択される。なお、当該区分における一部で共焦点輪郭形状が存在する場合は、当該区分において、共焦点輪郭形状が存在しない場合とみなされる。前記区分の長さを短くすることで、このような、みなすケースは、低減される。
【0095】
なお、第2実施形態では、ノイズ除去処理部44Bは、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理部の他の一例に相当する。
【0096】
これら制御処理部4B、入力部5、出力部6、IF部7および記憶部8Bは、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
【0097】
次に、本実施形態の動作について説明する。図10は、第2実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0098】
このような構成の輪郭形状測定装置1000Bは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4Bには、その第2制御処理プログラムの実行によって、制御部41B、第1形状演算部42(12)、第3形状演算部46(92)および輪郭形状演算部45Bが機能的に構成される。
【0099】
測定対象WAがステージ3にセットされ、測定が開始されると、図10において、まず、輪郭形状測定装置1000Bは、制御処理部4Bの制御部41Bによって、第1実施形態の処理S1と同様な処理S11を実行し、続いて、制御処理部4Bの第1形状演算部42(12)によって、第1実施形態の処理S3と同様な処理S12を実行する。
【0100】
続いて、輪郭形状測定装置1000Bは、共焦点輪郭形状測定部9によって、共焦点輪郭形状の測定位置PS3(=PS2)で、第3測定部91の出力を共焦点法に従う処理により、測定対象WAにおける周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状として求め、記憶部8Bに記憶する(S13)。ステージ3によって測定対象WAが前記所定の角度間隔(前記サンプリング間隔)で順次に回転され、周方向の各測定箇所(前記サンプリング点)で各共焦点輪郭形状が測定され、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0101】
続いて、輪郭形状測定装置1000Bは、制御処理部4Bのノイズ除去処理部44Bによって、前記光切断輪郭形状からノイズを除去し、ノイズ除去輪郭形状を求め、記憶部8Bに記憶する(S14)。前記各測定箇所それぞれについて、各ノイズ除去輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0102】
続いて、輪郭形状測定装置1000Bは、制御処理部4Bの輪郭形状演算部45Bによって、最終的な輪郭形状を求め、記憶部8Bに記憶する(S15)。前記各測定箇所それぞれについて、最終的な各輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0103】
そして、輪郭形状測定装置1000Bは、制御処理部4Bの制御部41Bによって、各測定箇所の各輪郭形状を出力部6に出力し(S16)、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記各輪郭形状は、IF部7を介して外部の機器へ出力されてもよい。
【0104】
以上説明したように、第2実施形態における輪郭形状測定装置1000Bおよびこれに実装された輪郭形状測定方法は、影輪郭形状の測定に加え、光輪郭形状の測定、第2実施形態では共焦点輪郭形状の測定を行い、前記影輪郭形状の測定による影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状の測定による共焦点輪郭形状とに基づいて輪郭形状を求めるので、より精度良く輪郭形状を測定できる。
【0105】
次に、別の実施形態について説明する。
(第3実施形態)
第1実施形態では、光輪郭形状測定部として光切断輪郭形状測定部2が用いられ、第2実施形態では、光輪郭形状測定部として共焦点輪郭形状測定部9が用いられたが、第3実施形態では、光輪郭形状測定部として光切断輪郭形状測定部2および共焦点輪郭形状測定部9が用いられる。すなわち、第3実施形態における輪郭形状測定装置は、上述と同様な影輪郭形状測定部と、光切断輪郭形状測定部と、共焦点輪郭形状測定部と、輪郭形状演算部とを備える。第3実施形態の光切断輪郭形状測定部は、測定対象における一方面および前記一方面に対向する他方面のうちの前記一方面の面方向から光切断法によって前記周縁部の前記輪郭形状を光切断輪郭形状として測定するものである。第3実施形態の共焦点輪郭形状測定部は、前記他方面の面方向から共焦点法によって前記周縁部の前記輪郭形状を共焦点輪郭形状として測定するものである。第3実施形態の輪郭形状演算部は、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定部によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求めるものである。以下、より具体的に説明する。
【0106】
図11は、第3実施形態における輪郭形状測定装置の構成を示すブロック図である。図12は、第3実施形態の輪郭形状測定装置における測定系を説明するための模式図である。
【0107】
第3実施形態における輪郭形状測定装置1000Cは、例えば、図11および図12に示すように、影輪郭形状測定部1と、光切断輪郭形状測定部2と、共焦点輪郭形状測定部9と、ステージ3と、制御処理部4Cと、入力部5と、出力部6と、インターフェース部(IF部)7と、記憶部8Cとを備える。これら第3実施形態の輪郭形状測定装置1000Cにおける影輪郭形状測定部1、光切断輪郭形状測定部2、ステージ3、入力部5、出力部6およびIF部7は、それぞれ、第1実施形態の輪郭形状測定装置1000Aにおける影輪郭形状測定部1、光切断輪郭形状測定部2、ステージ3、入力部5、出力部6およびIF部7と同様であるので、その説明を省略する。第3実施形態の輪郭形状測定装置1000Cにおける共焦点輪郭形状測定部9は、第2実施形態の輪郭形状測定装置1000Bにおける共焦点輪郭形状測定部9と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
なお、第3実施形態では、上述したように、光切断輪郭形状測定部2および共焦点輪郭形状測定部9は、面方向から光を用いて測定対象までの距離を測定することによって前記周縁部の前記輪郭形状を光輪郭形状として測定する前記光輪郭形状測定部の他の一例に相当する。
【0109】
第2測定部21およびステージ3は、図12に示すように、ステージ3によって測定対象WAが光切断輪郭形状の測定位置PS2(=PS3)に移動した場合に、測定対象WAにおける一方面(一方主面)および前記一方面に対向する他方面(他方主面)のうちの前記一方面、例えば図12に示す例では測定対象WAの裏面において、第2測定部21におけるスリット状の照明光の延長方向(照明光がスリット状で延びる方向)が測定対象WAの径方向Xと一致し、測定対象WAの周縁部が第2測定部21におけるスリット状の照明光で照明されるように、配設される。第3測定部91およびステージ3は、図12に示すように、ステージ3によって測定対象WAが共焦点輪郭形状の測定位置PS3(=PS2)に移動した場合に、測定対象WAにおける前記他方面、例えば図12に示す例では測定対象WAの表面において、測定対象WAの周縁部が第3測定部91における照明光で照明されその反射光を受光するように、配設される。影輪郭形状測定部1の第1測定部11、光切断輪郭形状測定部2の第2測定部21、共焦点輪郭形状測定部9の第3測定部91およびステージ3は、上述のように配設され、固定される。
【0110】
そして、ステージ3における駆動部32を水平方向に移動する際の前記所定の移動範囲は、例えば、一方端まで駆動部32が移動した場合に、図12に示すように、測定対象WAが影輪郭形状の測定位置PS1に位置し、他方端まで駆動部32が移動した場合に、測定対象WAが共焦点輪郭形状の測定位置PS3(=PS2)に位置するように規定される。
【0111】
記憶部8Cは、制御処理部4Cに接続され、制御処理部4Cの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、第3制御処理プログラムが含まれ、前記第3制御処理プログラムには、例えば、第3制御プログラム、第1実施形態と同様な第1および第2形状演算プログラム、第2実施形態と同様な第3形状演算プログラム、ノイズ除去処理プログラムおよび第3輪郭形状演算プログラム等が含まれる。前記第3制御プログラムは、輪郭形状測定装置1000Cの各部1~3、5~7、8Cを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記ノイズ除去処理プログラムは、光切断輪郭形状測定プログラムによって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第1ノイズ除去輪郭形状を求め、共焦点輪郭形状測定プログラムによって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して第2ノイズ除去輪郭形状を求めるプログラムである。前記第3輪郭形状演算プログラムは、影輪郭形状測定プログラムの前記第1形状演算プログラムによって求められた影輪郭形状と光切断輪郭形状測定プログラムの前記第2形状演算プログラムによって求められた光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状と共焦点輪郭形状測定プログラムの第3形状演算プログラムによって求められた共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求めるプログラムである。
【0112】
前記各種の所定のデータには、例えば、測定対象名、位置関係情報、情報処理中の各データおよび輪郭形状等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。前記位置関係情報は、影輪郭形状測定部1における第1測定部11の測定位置(第1測定位置)と光切断輪郭形状測定部2における第2測定部21の測定位置(第2測定位置)と共焦点輪郭形状測定部9における第3測定部91の測定位置(第3測定位置)との位置関係を表す情報である。影輪郭形状測定部1、光切断輪郭形状測定部2、共焦点輪郭形状測定部9およびステージ3は、上述のように固定的に配設されるので、前記第1測定位置と前記第2測定位置と前記第3測定位置との位置関係は、予め規定でき、この位置関係情報から、各測定箇所それぞれについて、当該測定箇所での影輪郭形状と光切断輪郭形状と共焦点輪郭形状とが互いに対応させるとこができる。
【0113】
このような記憶部8Cは、例えばROM、EEPROM、RAM等を備え、必要に応じてハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0114】
制御処理部4Cは、輪郭形状測定装置1000Cの各部1~3、5~7、8Cを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象WAの輪郭形状を求めるための回路である。制御処理部4Cは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4Cには、前記第3制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41C、第1形状演算部42(12)、第2形状演算部43(22)、第3形状演算部46(92)、ノイズ除去処理部44Cおよび輪郭形状演算部45Cが機能的に構成される。第3実施形態における第1形状演算部42(12)は、第1実施形態における第1形状演算部42(12)と同様であるので、その説明を省略する。第3実施形態における第2形状演算部43(22)は、測定対象WAの一方面(図12に示す例では裏面)における周縁部の輪郭形状を求める点を除き、第1実施形態における第2形状演算部43(22)と同様であるので、その説明を省略する。第3実施形態における第3形状演算部46(92)は、測定対象WAの他方面(図12に示す例では表面)における周縁部の輪郭形状を求める点を除き、第2実施形態における第3形状演算部46(92)と同様であるので、その説明を省略する。
【0115】
制御部41Cは、輪郭形状測定装置1000Cの各部1~3、5~7、8Cを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、輪郭形状測定装置1000Cの全体の制御を司るものである。
【0116】
ノイズ除去処理部44Cは、前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して前記一方面での第1ノイズ除去輪郭形状を求め、前記共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去して前記他方面での第2ノイズ除去輪郭形状を求めるものである。ノイズ除去処理部44Cは、第1実施形態におけるノイズ除去処理部44Aと同様な処理によって、前記一方面での第1ノイズ除去輪郭形状を求めるので、その説明を省略する。ノイズ除去処理部44Cは、第2実施形態におけるノイズ除去処理部44Bと同様な処理によって、前記他方面での第2ノイズ除去輪郭形状を求めるので、その説明を省略する。
【0117】
輪郭形状演算部45Cは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求め、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求めるものである。より具体的には、輪郭形状演算部45Cは、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と、前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めた第1ノイズ除去輪郭形状と、前記共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状から前記ノイズ除去処理部で求めた第2ノイズ除去輪郭形状とに基づいて前記輪郭形状を求める。輪郭形状演算部45Cは、第1実施形態における輪郭形状演算部45Aと同様な処理によって、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記光切断輪郭形状測定部2によって測定された光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求めるので、その説明を省略する。輪郭形状演算部45Cは、第2実施形態における輪郭形状演算部45Bと同様な処理によって、前記影輪郭形状測定部1によって測定された影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状測定部9によって測定された共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求めるので、その説明を省略する。なお、輪郭形状演算部45Cは、測定対象WAにおける先端部分の輪郭形状を用いることにより、前記求めた前記一方面での輪郭形状と前記求めた前記他方面での輪郭形状を統合することによって、測定対象WAにおける前記周縁部の輪郭形状を求めてよい。
【0118】
なお、第3実施形態では、ノイズ除去処理部44Cは、前記光輪郭形状測定部によって測定された光輪郭形状から高さ方向に生じたノイズを除去してノイズ除去輪郭形状を求めるノイズ除去処理部の一例に相当する。
【0119】
これら制御処理部4C、入力部5、出力部6、IF部7および記憶部8Cは、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
【0120】
次に、本実施形態の動作について説明する。図13は、第3実施形態における輪郭形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0121】
このような構成の輪郭形状測定装置1000Cは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4Cには、その第3制御処理プログラムの実行によって、制御部41C、第1形状演算部42(12)、第2形状演算部43(22)、第3形状演算部46(92)、ノイズ除去処理部44Cおよび輪郭形状演算部45Cが機能的に構成される。
【0122】
測定対象WAがステージ3にセットされ、測定が開始されると、図13において、まず、輪郭形状測定装置1000Cは、制御処理部4Cの制御部41Cによって、第1実施形態の処理S1と同様な処理S21を実行し、続いて、制御処理部4Cの制御部41Cによって、測定対象WAの一方面に対し、第1実施形態の処理S2と同様な処理S22を実行し、続いて、制御処理部4Cの第1形状演算部42(12)によって、第1実施形態の処理S3と同様な処理S23を実行し、続いて、制御処理部4Cの第2形状演算部43(22)によって、測定対象WAの一方面において、第1実施形態の処理S4と同様な処理S24を実行し、続いて、制御処理部4Cの第3形状演算部46(92)によって、測定対象WAの他方面において、第2実施形態の処理S13と同様な処理S25を実行する。
【0123】
続いて、輪郭形状測定装置1000Cは、制御処理部4Cのノイズ除去処理部44Cによって、測定対象WAの一方面において、第1実施形態の処理S5と同様な処理S26を実行し、測定対象WAの他方面において、第2実施形態の処理S14と同様な処理S26を実行する。
【0124】
続いて、輪郭形状測定装置1000Cは、制御処理部4Cの輪郭形状演算部45Cによって、最終的な輪郭形状を求め、記憶部8Cに記憶する(S27)。前記各測定箇所それぞれについて、最終的な各輪郭形状が求められ、各測定箇所と対応付けて記憶される。
【0125】
そして、輪郭形状測定装置1000Cは、制御処理部4Cの制御部41Cによって、各測定箇所の各輪郭形状を出力部6に出力し(S28)、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記各輪郭形状は、IF部7を介して外部の機器へ出力されてもよい。
【0126】
なお、図12に示す例では、輪郭形状測定装置1000Cは、測定対象WAの表面における周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状測定部9で測定し、測定対象WAの裏面における周縁部の輪郭形状を光切断輪郭形状測定部2で測定するように構成されたが、輪郭形状測定装置1000Cは、測定対象WAの裏面における周縁部の輪郭形状を共焦点輪郭形状測定部9で測定し、測定対象WAの表面における周縁部の輪郭形状を光切断輪郭形状測定部2で測定するように構成されてもよい。このような輪郭形状測定装置は、ステージ3に裏面で当接して載置されていた測定対象WAをひっくり返してステージ3に載置することで、図12に示す輪郭形状測定装置1000Cの構成で実質的に実現できる。
【0127】
以上説明したように、第3実施形態における輪郭形状測定装置1000Cおよびこれに実装された輪郭形状測定方法は、影輪郭形状の測定に加え、光輪郭形状の測定として測定対象WAの一方面に対する光切断輪郭形状の測定を行い、前記影輪郭形状の測定による影輪郭形状と前記光切断輪郭形状の測定による光切断輪郭形状とに基づいて前記一方面での輪郭形状を求める。そして、上記輪郭形状測定装置1000Cおよび輪郭形状測定方法は、影輪郭形状の測定に加え、光輪郭形状の測定として測定対象WAの他方面に対する共焦点輪郭形状の測定を行い、前記影輪郭形状の測定による影輪郭形状と前記共焦点輪郭形状の測定による共焦点輪郭形状とに基づいて前記他方面での輪郭形状を求める。このため、上記輪郭形状測定装置1000Cおよび輪郭形状測定方法は、周縁部における両面の輪郭形状を、より精度良く測定できる。
【0128】
なお、測定対象WAの両面における各輪郭形状の測定において、前記両面共に光切断法が用いられてよく、あるいは、前記両面共に共焦点法が用いられてよい。
【0129】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0130】
1000A、1000B、1000C 輪郭形状測定装置
1 影輪郭形状測定部
2 光切断輪郭形状測定部
3 ステージ
4A、4B、4C 制御処理部
5 入力部
6 出力部
7 インターフェース部(IF部)
8A、8B、8C 記憶部
9 共焦点輪郭形状測定部
11 第1測定部
12(42) 第1形状演算部
21 第2測定部
22(43) 第2形状演算部
41 制御部
44A、44B、44C ノイズ除去処理部
45A、45B、45C 輪郭形状演算部
91 第3測定部
92(46) 第3形状演算部
図1
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図13