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特開2024-151313低ノイズバンドギャップ電圧リファレンス回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151313
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】低ノイズバンドギャップ電圧リファレンス回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/30 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G05F3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061156
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】18/298,875
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ワーキング、ポール エム.
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA12
5H420NA24
5H420NA27
5H420NB02
5H420NB16
5H420NB22
5H420NB27
5H420NC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回路によって消費される電力及び面積を最小限に抑えながら、バンドギャップ電圧リファレンス及びレギュレータのノイズを低減するいくつかの方法を提示する。
【解決手段】電圧リファレンス回路100は、所望のリファレンス電圧を出力するために、合計電圧(Vsum)を生成し、次いで、合計電圧を増幅するように、2つ以上の独立したシャント電圧リファレンス回路を直列に積層することができる。本開示の回路は、例えば、直列の独立したシャント電圧リファレンス回路のアレイとして、合計電圧において各独立したシャント電圧リファレンス回路によって発生した任意のノイズを減少させるように、独立したシャント電圧リファレンス回路を構成し得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
電圧出力を提供するように構成された出力端子と、
入力端子と、
を備える増幅器回路と、
第1のシャント電圧リファレンス回路及び第2のシャント電圧リファレンス回路と、を備え、
前記第1のシャント電圧リファレンス回路は、第1のロー端子及び第1のハイ端子を含み、
前記第2のシャント電圧リファレンス回路は、第2のロー端子及び第2のハイ端子を含み、
前記第1のシャント電圧リファレンス回路は、前記第2のハイ端子が前記第1のロー端子に接続するように、前記第2のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続しており、
前記第1のハイ端子は、前記増幅器回路の前記入力端子に接続している、回路。
【請求項2】
第3のハイ端子と第3のロー端子とを含む第3のシャント電圧リファレンス回路を更に備え、前記第3のハイ端子が、前記第3のシャント電圧リファレンス回路を前記第1のシャント電圧リファレンス回路及び前記第2のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続するように前記第2のロー端子に接続している、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
第3のシャント電圧リファレンス回路及び第4のシャント電圧リファレンス回路を更に備え、
前記第3のシャント電圧リファレンス回路が、第3のロー端子及び第3のハイ端子を含み、
前記第4のシャント電圧リファレンス回路が、第4のロー端子及び第4のハイ端子を含み、
前記第1のシャント電圧リファレンス回路及び前記第2のシャント電圧リファレンス回路が、直列接続された電圧リファレンス回路の第1のストリングを備え、
前記第3のシャント電圧リファレンス回路は、直列接続された電圧リファレンス回路の第2のストリングを形成するために、前記第4のハイ端子が前記第3のロー端子に接続するように前記第4のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続しており、
前記第3のハイ端子が、電圧リファレンス回路の並列接続されたストリングのアレイを形成するように、前記増幅器回路の前記入力端子に接続している、請求項1に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧リファレンス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
バンドギャップ電圧リファレンス回路は、多くのアナログ及び混合信号集積回路の一部である。バンドギャップ電圧リファレンス回路は、温度非依存出力リファレンス電圧を提供するように構成することができる。
【発明の概要】
【0003】
概して、本開示は、約20ボルト未満の電圧を出力するように構成された電圧リファレンス回路について説明する。この電圧より上では、ツェナーダイオード又はアバランシェダイオードのいずれかが一般に使用される。しかしながら、本明細書に開示される技法は、より高い電圧リファレンス及びレギュレータのノイズを低減するために、ツェナーダイオード及びアバランシェダイオードとともに使用することもできる。これらの技法はまた、低ノイズ電圧リファレンス回路の他の構成と比較したとき、電力消費を低減する。本開示の電圧リファレンス回路は、所望のリファレンス電圧を出力するために、合計電圧(Vsum)を生成し、次いで、合計電圧を増幅するように、2つ以上の独立したシャント電圧リファレンス回路を直列に積層することができる。本開示の回路は、独立したシャント電圧リファレンス回路を、電圧リファレンス回路全体によって発生したノイズを減少させるように、構成し得る。本開示の構成はまた、合計電圧の増幅された出力における任意のノイズを減少させ得る。また、独立したシャント電圧リファレンス回路の構成は、他の電圧リファレンス回路構成と比較して、より少ない電力を消費し得る。いくつかの用途、特にセンサ用途では、使用されるバンドギャップ電圧リファレンスのノイズがシステム性能を制限する可能性がある。本開示は、これらの回路によって消費される電力及び面積を最小限に抑えながら、バンドギャップ電圧リファレンス及びレギュレータのノイズを低減するいくつかの方法を提示する。
【0004】
一実施例では、本開示は、回路であって、電圧出力を提供するように構成された出力端子と入力端子とを備える増幅器回路と、第1のシャント電圧リファレンス回路及び第2のシャント電圧リファレンス回路と、を備え、第1のシャント電圧リファレンス回路は、第1のロー端子及び第1のハイ端子を含み、第2のシャント電圧リファレンス回路は、第2のロー端子及び第2のハイ端子を含み、第1のシャント電圧リファレンス回路は、第2のハイ端子が第1のロー端子に接続するように、第2のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続しており、第1のハイ端子は、増幅器回路の入力端子に接続している、回路について記載する。
【0005】
本開示の1つ以上の実施例の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】単一バンドギャップ電圧リファレンス及び関連するノイズ源を有する例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。
図2】バンドギャップ電圧リファレンスに対する出力ノイズを低減するための1つの技法を示す概略図である。
図3】直列の独立したシャント電圧リファレンス回路を含む例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。
図4】直列の独立したシャント電圧リファレンス回路のアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。
図5】平均バンドギャップ電圧VAVGが所望の出力リファレンス電圧よりも大きいときに有用であり得る、本開示による例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。
図6】分圧器が増幅器への入力にある、本開示による例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。
図7】本開示の1つ以上の技法による、独立したワイドラーバンドギャップ電圧リファレンスの単一のストリングを備えるアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。
図8】ワイドラーバンドギャップリファレンスの統合された構成を備えるアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。
図9】本開示の1つ以上の技法による、統合されたBrokaw電圧リファレンスのアレイを使用する例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。
図10】統合されたBrokaw電圧リファレンスのアレイを含む例示的なバンドギャップリファレンス回路についての電圧対温度のグラフである。
図11】統合されたBrokaw電圧リファレンスのアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の出力ノイズ性能を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、低ノイズ電圧リファレンス回路の他の構成と比較したとき、出力上のノイズが低減され、電力消費が低減されたリファレンス電圧を出力するように構成された電圧リファレンス回路について説明する。本開示の電圧リファレンス回路は、所望のリファレンス電圧を出力するために、合計電圧(Vsum)を生成し、次いで、必要に応じて、合計電圧を増幅又は減衰するように、2つ以上の独立したシャント電圧リファレンス回路を直列に積層することができる。いくつかの実施例では、独立したシャント電圧リファレンス回路は、温度非依存バンドギャップ電圧リファレンス回路を含み得る。
【0008】
本開示の電圧リファレンス回路が望まれ得る用途としては、加速度計、ジャイロスコープ、及び同様のセンサなどの微小電気機械システム(Microelectromechanical system、MEMS)センサが挙げられる。関連する静電界の物理的特性のために、センサの物理的寸法が低減され得る場合であっても、MEMSセンサを駆動するバイアス電圧を低減することも、センサ出力電圧を低減することもできない場合がある。したがって、ほとんどのMEMSセンサは、約5V~20Vの電圧で動作することができ、予測可能な将来にわたって動作し続けることができる。他の例示的な用途としては、同様の電圧が必要とされ、コンピュータの中心にある「キュービット」の寿命を維持するために低ノイズが望ましい量子コンピューティングも挙げられ得る。
【0009】
センサ回路において、そのセンサ回路をサポートする電圧リファレンスのノイズは、センサの感度及び/又は精度を制限する可能性がある。MEMSセンサにおいて、例えば、ノイズは、2つの点でセンサ性能を低減させ得る。1つ目は、センサによって使用されるバイアスリファレンス(AC又はDCのいずれか)にノイズを追加することによるものであり、これは、次いで、センサ出力に結合される。2つ目は、センサ信号出力を捕捉するために使用されるアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)によって使用されるリファレンスにノイズを追加することによるものであり、変換されたデジタル量に小さな誤差が現れる可能性があり、これはまた、感度及び分解能を制限する可能性がある。
【0010】
本開示の回路は、これらの課題に対処し、合計電圧において各独立したシャント電圧リファレンス回路によって発生した任意のノイズを減少させるように、独立したシャント電圧リファレンス回路を構成し得る。したがって、本開示の構成はまた、合計電圧の増幅された出力における任意のノイズを減少させ得る。
【0011】
リファレンスノイズ電圧を低減するための技法のいくつかの実施例は、概して、これらの電圧リファレンス回路がMEMSセンサ回路の残りよりも多くの電力を消費するように、大きな電流消費を必要とする。対照的に、本開示の独立したシャント電圧リファレンス回路の構成は、これらの他の電圧リファレンス回路構成と比較して、より少ない電力を消費し得る。
【0012】
図1は、単一バンドギャップ電圧リファレンス及び関連するノイズ源を有する例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。図1の回路900の実施例では、VBG910は、バンドギャップ電圧リファレンスによって供給される温度安定DC電圧を表し、vn908は、このリファレンスの等価ACノイズ電圧を表す。次いで、これらの電圧は、抵抗器926及び928によって設定されるAv=(1+RX/RY)の正の閉ループ利得を提供する、理想的なノイズのない演算増幅器AR1 902によって増幅される。この回路全体は、以下に特定されるように、DC出力電圧Vout930と、等価出力ノイズ電圧vn-out932とを供給する。
VOUT=AvVBG (1)
vnout=Avvn (2)
【0013】
これらの式は、増幅器及び抵抗器のノイズ寄与が有意でないと仮定している。例えば、10uVrmsのノイズ電圧(vn908)を有する1.25Vバンドギャップ電圧リファレンス(VBG910)から5V出力電圧(Vout930)を提供するために、回路900は増幅を使用する。RX=3RYの値を設定することは、5Vの所望の出力電圧を達成するために4の電圧利得(Av=1+3=4)を生成する。しかしながら、vn908もまた、Av=4だけ増幅され、vn-out932は40uVrmsとなる。
【0014】
図2は、バンドギャップ電圧リファレンスに対する出力ノイズを低減するための1つの技法を示す概略図である。回路950の実施例では、いくつかの独立したバンドギャップ電圧リファレンスの出力を組み合わせることができる。この回路では、m個の抵抗器によって互いに接続された整数個(m)のバンドギャップ電圧リファレンスが存在する。抵抗器R1 921、R2 922~Rm925の各々は、バンドギャップリファレンスのネットワークのDC出力VAVG904がm個の電圧リファレンスの平均、例えば、以下にあるように同じ値を有する。
VAVG=(VBG1+VBG2+...+VBGm)/m (3)
【0015】
また図3に関して以下に説明するように、全ての電圧リファレンスがほぼ同じ値(又は少なくとも同じ平均値)VBGを有する場合、式3は以下の式に変形され、出力電圧は前と同じである。
VAVG=VBG (4)
VOUT=AvVBG (5)
【0016】
m個の抵抗器の値を十分に低く保つことによって、抵抗器は、ネットワークの出力ノイズvn-avg906に有意に寄与せず、vn-avg906は、各ノイズ源の和の平方根をmで割ったものに等しい。(これはノイズ電力の統計的平均と同じである)
vnavg=SqrRoot(vn1+vn2+...+vnm)/m (6)
【0017】
上述したように、全ての電圧リファレンスが同じ平均ノイズ電圧vnを有する場合、これは以下のように低減し、出力ノイズ電圧はそれに応じて減少する。
vnavg=vn/SqrRoot(m) (7)
vnout=Avvn/SqrRoot(m) (8)
【0018】
図1の回路900と比較すると、4つの独立したバンドギャップ電圧リファレンスを使用することは、出力ノイズを1/2の係数だけ、例えば20μVrmsまで低減し得る。別の実施例では、m=16に設定し、16個の独立したバンドギャップ電圧リファレンスを使用すると、出力ノイズは、1/4の係数だけ、10μVrmsまで低減され得る。これは、増幅器のノイズ利得Av=4を打ち消す。しかしながら、このように追加の電圧リファレンスを追加することは、全体的な電力消費を著しく増加させ得る。これは、各バンドギャップ電圧リファレンスが、増幅器AR1 952とほぼ同じDC電流消費、例えばIDD954を有するからである。この数値例を続けると、回路900は、2IDDの全電流消費を有することができ、回路950は、mがそれぞれ4及び16に等しい例において、5IDD又は17IDDのいずれかの電流消費を有することができる。言い換えれば、これらの2つの実施例は、全ての回路が同じ電源電圧VDD923から動作すると仮定される場合、ワット損において2.5×(5/2)又は8.5×(17/2)のいずれかの増加を引き起こし得る。
【0019】
図3は、直列の独立したシャント電圧リファレンス回路を含む例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。図1の回路900は同様であるが、k=1である。回路100の実施例では、VBG、例えばVBG1 110は、バンドギャップ電圧リファレンスによって供給される温度安定DC電圧を表し、vn、例えばvn1 108は、このリファレンスの等価ACノイズ電圧を表す。直列構成は、直列に接続された整数k個の独立したバンドギャップ電圧リファレンス107~115を含む。この回路構成の結果、直流電圧とノイズ電圧が増幅器AR1 102への非反転入力で合計され、以下の式に従ってVSUM104とvnsum106が得られる。
VSUM=VBG1+VBG2+...+VBGk (9)
vnsum=SqrRoot(Vn1+Vn2+...+Vnk) (10)
【0020】
Av=(1+RX/RY)の正の閉ループ利得を提供する理想的なノイズがない演算増幅器AR1 102は、以下の式に従って、DC出力電圧VOUTと等価出力ノイズ電圧vnoutを提供するように、2つの合計電圧を増幅する。
VOUT=Av(VBG1+VBG2+...+VBGk) (11)
vn-out=AvSqrRoot(Vn1+Vn2+...+Vnk) (12)
【0021】
これらの式において、増幅器及び抵抗器のノイズ寄与が有意ではないと仮定される。
【0022】
より詳細には、増幅器AR1 102の出力端子は、回路100の実施例において、Vout130及びvn-out132を提供する。出力電圧Vout130は、抵抗器Rx126及びRy128を含む抵抗器分割器を通して、AR1 102の反転入力にフィードバックされる。Rx126の第1の端子は、AR1 102の出力端子に接続し、Rx126及びRy128の直列構成は、AR1 102の出力端子を接地GND120に接続する。Rx126とRy128との間のノードは、AR1 102の反転端子に接続する。本開示では、GND120は、例えば、回路接地、システム接地、集積回路内の層、又は何らかのリファレンス電圧、例えば、Vdd123とは極性が反対の電圧源であり得るが、本開示の回路の説明を簡略化するために、GND120はGND120と呼ばれることに留意されたい。
【0023】
いくつかの実施例では、増幅器AR1 102は、演算相互コンダクタンス増幅器(operational transconductance amplifier、OTA)として実装され得る。AR1 102はまた、Vdd123及びGND120に接続する。独立したバンドギャップ電圧リファレンス回路107、109及び115の直列構成は、電圧リファレンスのストリングを形成して、Vsum104を提供する。回路100の実施例における電圧リファレンス回路は、バンドギャップ電圧リファレンスとして説明されるが、本開示の電圧リファレンス回路はまた、任意のシャント電圧リファレンスを使用して実装されてもよい。
【0024】
回路100の実施例では、独立バンドギャップ電圧リファレンス107は、AR1 102の非反転入力に接続する。独立バンドギャップ電圧リファレンス107は、VBG1 110、バンドギャップ電圧リファレンス、及び関連するACノイズ源vn1 108を含む。回路100の実施例では、VB1 110の正端子は、ノイズ源vn1 108を介してAR1 102の正端子に接続する。しかしながら、他の実施例では、VBG1 110及びvn1 108は、いずれかの直列順序で接続することができる。VBG2 114及びvn2 112を含む独立バンドギャップ電圧リファレンス109は、独立バンドギャップ電圧リファレンス107、並びにVBGk118及びvnk116を含む独立バンドギャップ電圧リファレンス115までの直列の他のk個の電圧リファレンスに接続する。
【0025】
説明を簡単にするために、回路100の全てのバンドギャップ電圧リファレンスが同じDC電圧VBG及び同じノイズ電圧vnを有すると仮定する。すると、式(9)~(12)は以下のように簡略化され得る。
VOUT=AvVBG (13)
vn-out=AvSqrRoot(k)vn (14)
【0026】
回路100は、抵抗値が大きい場合に出力ノイズレベルを増加させる可能性のある平均化抵抗器を有していないことに留意されたい。Vsum104をもたらす直列構成は、増幅器AR1 102の利得が、Vout130を所望の大きさにするのに十分なだけであり得ることを意味する。いくつかの実施例では、この回路によって必要とされる利得の最大値は以下の通りであり、ここでkは任意の正の整数である。
Av<1+(1/k) (15)
【0027】
AR1 102における任意の利得もまたノイズvn-sum106を増幅するので、低減された増幅器利得を有する電圧リファレンス回路は、より高い利得の増幅器を有する回路と比較したとき、低減されたノイズvn-out132をもたらし得る。Rx126及びRy128の値は、増幅器AR1 102の利得Avを設定し得る。例えば、RX=3RYの値を設定すると、4の電圧利得(Av=1+3=4)が生成される。しかしながら、vnもまたAv=4だけ増幅される。回路100に関して、より多くの利得が必要とされる場合、kは、別の直列バンドギャップ電圧リファレンスを追加することによって増加され得る。原理的には、回路100は、各独立バンドギャップ電圧リファレンスからの電圧出力、例えばVBGの大きさよりも大きい任意の出力電圧VOUT130を生成することができる。いくつかの実施例では、電圧リファレンスのためのそのような精度は必要でないことがあり、増幅器回路AR1 102は、完全に省略され得る(図3に図示せず)。
【0028】
回路100の有用性は、以下の数値例によって示すことができる。各出力電圧VBG=1.25Vであり、各々がvn=10uVrmsのノイズを有するバンドギャップリファレンスを使用して5Vの電圧リファレンス出力を提供する目標を考える。4つのバンドギャップリファレンスを直列に配置することによって(k=4)、出力電圧は、Av=1のとき5V(VOUT=11.25V)になり、出力ノイズ電圧は、式(13)及び(14)を適用することによって20uVrms(vnout=110uVrms)になる。積層(直列)構成は、vn-out132におけるノイズ寄与を、ノイズ電圧寄与(Vn1 108、vn2 112、...vnk116)の単純和未満だけ低減する。
【0029】
また、回路100において、4つのシャントバンドギャップ電圧リファレンスは全て、同じ供給電流を共有する。独立バンドギャップ電圧リファレンスの直列構成(ストリング)への電流が、演算増幅器供給電流IDD124に等しいと仮定する。したがって、回路100への総供給電流は2IDDとなり、これは他の実施例で必要とされる供給電流よりも著しく小さい。本質的に、回路100は、必要とされる利得が、ノイズの増加(kの平方根)よりも、VOUT/VBGの速度でより速く減少する(1/k)ので、他の実施例よりも望ましい場合がある。したがって、電圧リファレンス回路の直列結合を有する図3の回路は、回路900と同じ5Vリファレンスを提供するが、ノイズが低減されている。
【0030】
図4は、直列の独立したシャント電圧リファレンス回路のアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。図4の実施例における回路200は、直列接続されたバンドギャップリファレンスのm個の並列接続ストリングのアレイを含み、各ストリングはk個のリファレンスを有する。各ストリングは、それぞれの平均化抵抗器R1 221~Rm225を介して増幅器AR1 202の非反転入力に接続する。回路200の実施例では、各抵抗器R1 221~Rm 225は、ネットワークのDC出力VAVG204がm個の電圧リファレンスの平均であるように同じ値を有する。
VAVG=(VBG1+VBG2+...+VBGm)/m (16)
【0031】
図1に関連して上述したように、これらのバンドギャップ電圧リファレンスが全て同じDC値VBGを有する場合、DC出力電圧は、図3に関連して上述した式13と同じである。
VOUT=AvVBG (17)
【0032】
m個の抵抗器、すなわち抵抗器R1 221~Rm 225に対して十分に低い値を選択することによって、それらは、ネットワークの出力ノイズvn-avg206に有意に寄与しない可能性があり、vn-avg206は、各ノイズ源の和の平方根をmで割ったものに等しい。(これはノイズ電力の統計的平均と同じである)
vn-avg=SqrRoot(vn1+vn2+...+vnm)/m (18)
【0033】
全ての電圧リファレンスが同じ平均ノイズ電圧vnを有する場合、ノイズ方程式は以下のように簡略化され得、出力ノイズ電圧vn-out232はそれに応じて低減される。
vn-avg=vnSqrRoot(k)/SqrRoot(m) (19)
vn-out=AvvnSqrRoot(k)/SqrRoot(m) (20)
【0034】
集積回路内に実装された回路200の実施例では、所与の製造プロセスランに対して、バンドギャップ電圧リファレンス、及び各バンドギャップ電圧リファレンスに関連する平均ノイズ電圧は、ほぼ同じであり得る。本開示において、「ほぼ同じ」又は「ほぼ等しい」とは、製造公差及び測定公差内で値が等しいことを意味する。プロセス変動は、ウェハごとに、又は同じウェハ上の異なる場所であっても、異なる回路の値(電圧、電流、抵抗及び他の値)が互いに正確に等しくない場合があるが、回路200などの回路内では、バンドギャップ電圧リファレンス、及び各バンドギャップ電圧リファレンスに関連する平均ノイズ電圧がほぼ同じであり得ることを意味し得る。一実施例として、シリコンオンインシュレータ(silicon-on-insulator、SOI)プロセスの場合、バンドギャップリファレンスは、出力電圧が互いに5%以内であるときに「ほぼ等しい」とみなすことができる。他の製造プロセスは、±20%の範囲内の値を有し得る。このおよその定義は、本開示における他の値、例えば、抵抗器値、電圧降下、及び他の値に同様に適用され得る。
【0035】
直列接続バンドギャップリファレンスの並列接続ストリングのアレイ250は、抵抗器R1 221を介してVavg204ノードに接続された第1のストリングを含む。第1のストリング、並びに直列接続バンドギャップリファレンスの他のストリングは、図3に関連して上述したk個の独立バンドギャップ電圧リファレンス107~115の直列構成と同じであり、同じ又は類似の特性及び機能を有し得る。第1のストリングは、バンドギャップ電圧リファレンスVBG11 210、VBG21 214~VBGk1 218を含み、各リファレンスの電圧値が抵抗器R1 221で一緒に追加されるように、各々が直列に接続されている。バンドギャップ電圧リファレンスVBG11 210、VBG21 214~VBGk1 218の各々は、R1 221における電圧出力にACノイズを追加する可能性がある各バンドギャップ電圧リファレンスと直列の関連するノイズ源vn11 208、vn21 212~vnk1 216を有する。
【0036】
同様に、第2のストリングから第mのストリングまでは、第1のストリングと同様に構成される。第2のストリングは、バンドギャップ電圧リファレンスVBG12 240、VBG22 244~VBGk2 248を含み、各リファレンスの電圧値が抵抗器R1 222で一緒に追加されるように、各々が直列に接続されている。バンドギャップ電圧リファレンスVBG12 240、VBG22 244~VBGk2 248の各々は、各バンドギャップ電圧リファレンスと直列の関連するノイズ源vn12 238、vn22 242~vnk2 246を有する。第mのストリングは、バンドギャップ電圧リファレンスVBG1m260、VBG2m 264~VBGkm268を含み、各リファレンスの電圧値が抵抗器R1 225で一緒に追加されるように、各々が直列に接続されている。バンドギャップ電圧リファレンスVBG1m 260、VBG2m 264~VBGkm268の各々は、各バンドギャップ電圧リファレンスと直列の関連するノイズ源vn1m258、vn2m262~vnkm266を有する。第1のストリング、第2のストリング及び第mまでのストリングの各々はまた、接地GND220と、増幅器AR1 202の非反転入力へのそれぞれの平均化抵抗器との間に接続する。
【0037】
図3に関連して上述したように、増幅器AR1 202の出力端子は、回路200の実施例において、Vout230及びvn-out232を提供する。出力電圧Vout230は、抵抗器Rx226及びRy228を含む抵抗器分割器を通して、AR1 202の反転入力にフィードバックされる。Rx226の第1の端子は、AR1 202の出力端子に接続し、Rx226及びRy228の直列構成は、AR1 202の出力端子を接地GND220に接続する。Rx226とRy228との間のノードは、AR1 202の反転端子に接続する。回路100と同様に、Rx226及びRy228の値は増幅器利得を設定し得る。AR1 202はまた、Vdd223及びGND220に接続し、図3に関連して上記で説明した増幅器AR1 102と同じ又は同様の機能及び特性を有し得る。
【0038】
ここで、1.25Vリファレンス(VBG)を使用して5V出力用に構成された回路200の構成を使用する電圧リファレンス回路について、図3と同様の数値例を適用する。4つのバンドギャップリファレンスを直列に配置することによって(k=4)、Av=1のとき、出力電圧は再び5Vになる(VOUT=11.25V)。次いで、これらのストリングのうちの4つ(m=4)も一緒に平均化することによって、出力ノイズ電圧は10uVrmsになる(例えば、vnout=1(2/2)10uVrms)。図3の回路100と比較すると、回路200は、同じ出力電圧に対するノイズを低減する。図3の実施例と同様に、各ストリングが増幅器とほぼ同じ電流を消費すると仮定すると、回路200の総電力消費はIDD224の約5倍である。
【0039】
図4の回路200は、16個の独立バンドギャップ電圧リファレンスを使用することによって、図2の回路950と同じ量だけノイズを低減した。しかしながら、図4の構成、例えば、直列接続されたバンドギャップリファレンスのm個の並列接続されたストリングのアレイでは、各ストリングがk個のリファレンスを有し、回路200によって消費される電力は、回路950と比較したとき、17IDDではなく5IDDと著しく少ない(3.4倍の差又は約70.6%の減少)。
【0040】
図5は、平均電圧VAVG204が所望の出力リファレンス電圧VOUT330よりも大きいときに有用であり得る、本開示による例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。多くの場合、VDD323は、所望の出力電圧VOUT330よりあまり大きくない。しかしながら、いくつかの用途では、VDD323の電圧は、必要とされる出力電圧、例えば、5Vリファレンス電圧を使用する15Vシステムよりも著しく大きい(2倍~4倍、又はそれ以上)場合がある。そのような状況では、回路300の構成は、上述した以前の回路よりも更にノイズを低減することができる。
【0041】
回路300は、接地GND220と増幅器AR1 302の非反転入力へのそれぞれの平均化抵抗器R1 321、R2 322~Rm325との間に接続された直列接続バンドギャップリファレンスの並列接続ストリングの同じアレイ250を使用する。アレイ250は、図4に関連して上述したアレイ250と同じ特性及び機能を有する。Vavg204及びvn-avg206もまた、図4に関連して上述したものと同じである。Vavg204は、増幅器AR1 302の非反転入力に接続する。
【0042】
図3及び図4とは対照的に、Vout330及び関連するノイズ出力vn-out332は、抵抗分割器Rx326とRy328との間のノードにある。増幅器AR1 302の出力Vx327は、AR1 302の反転入力に接続する。Vx327はまた、Rx326及びRy328の直列構成を介してGND220に接続する。
【0043】
図5に示されるように、この回路における電圧利得の値は、1より小さく、0<Av<1であり、これは、より高いk値及びノイズのより大きな低減を可能にする。図5において、増幅器AR1 302は、単位利得バッファとして構成され、その出力VX327は、RX-RY抵抗分割器によって分割されるので、電圧利得は以下の式に従う。
Av=VOUT/VAVG=RY/(RX+RY) (21)
【0044】
したがって、VOUT330及びvn-out332は、全てのバンドギャップ電圧リファレンスの平均値がVBGに等しく、全てのバンドギャップ電圧リファレンスが図3及び図4に関連して上述した同じノイズvnを有するとき、以下のように計算され得る。
VOUT=AvVBG (22)
vn-out=AvSqrRoot(k/m)vn (23)
【0045】
式22及び式23は、上記の図4の回路200を説明するために使用されたもの、例えば式(13)及び式(20)と本質的に同じであることに留意されたい。図2図3との違いは、電圧利得が、以前は1以上であったのに対して、現在は1以下であることである。
【0046】
直列の16個のバンドギャップ電圧リファレンス、例えばk=16を有する、図5の出力構成及びm=1で実装される所望の5Vリファレンス電圧回路の数値例は、図3に示される回路100の構成と同様に、バンドギャップリファレンスの単一ストリング又は行をもたらす。上述したように、シリコンに対するVBG、すなわちVBG=1.25Vを仮定すると、そのような構成は、2IDD、例えばIdd324の約2倍を消費しながら、VX327=20Vの出力を生成し得る。所望の5V出力、VOUT330=5Vを生成するために、電圧利得Avは、RX=3RYを設定することによって達成される1/4に設定され得る。ノイズ源が平均vn=10マイクロボルトrms(μVrms)を出力する実施例では、出力ノイズは、次式に従って10μVrmsである。
vnout=(1/4)SqrRoot(16/1)vn=(4/4)10urms=10uVrms
【0047】
別の実施例では、k=8、m=2、VBG=1.25V、VOUT=5V、VDD=12V、及びvn=10uVrmsである。回路300のこの回路構成は、依然として16個のバンドギャップ電圧リファレンスを含む。AR1 302 VX327の出力は10Vであり、したがって、Vout330を5ボルトに設定するために、Av=1/2であり、これは、次式に従って、出力ノイズvn-out332の10μVrmsを生成する。
Vn-out=(1/2)SqrRoot(8/2)vn=(2/2)10μVrms=10μVrms
【0048】
m=2である回路300は、3IDDを消費し、消費される相対電力は、以下に従って、6PXだけである。
電力=2VDDIDD=6(VDDIDD)=6PX
【0049】
本開示の回路の有用性は、回路が、出力ノイズ及び電力消費の両方を最小限に抑えるために、利用可能な供給電圧の完全な使用を可能にすることである。
【0050】
回路300を使用する数値例もまた、m=16の回路950によって生成される出力ノイズの同じ低減された量を生成した。しかしながら、回路300は、使用する電流が非常に少なく、17IDDではなく2IDDである(8.5倍の差)。回路300の供給電圧が増加したとしても、この回路は回路950の電力の半分未満しか消費しない。比較のために、回路950についてVDD923=6Vであり、回路300についてVDD323=24Vであると仮定する。したがって、VDD323=4VDD923を計算し、対応する電力消費を以下のように計算する。
P(回路950)=VDD217IDD=17PX
P(回路300)=4VDD2IDD=8PX、ここで、PX=VDDIDDである。
【0051】
図6は、分圧器が増幅器への入力にある、本開示による例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。図6の実施例における回路400は、図6の回路300と機能的に同じであり、同じ式に従う。しかしながら、分圧器を演算増幅器入力に移動させることは、増幅器AR1 402の出力Vout430がより大きい負荷を駆動することを可能にする。
【0052】
図5に関連して上述した回路300と同様に、回路400もまた、接地GND220と増幅器AR1 402の非反転入力へのそれぞれの平均化抵抗器R1 421、R2 422~Rm425との間に接続された直列接続バンドギャップリファレンスの並列接続ストリングの同じアレイ250を使用し得る。アレイ250は、図4及び図5に関連して上述したアレイ250と同じ特性及び機能を有する。AvVavg404及びAvvn-avg406のノードは、増幅器AR1 402の非反転入力に接続する。RY428はまた、AR1 402の非反転入力を接地に接続する。RY428の抵抗値は、R1 421~Rm425の抵抗値と同じである必要はない。
【0053】
RX、例えば、図5のRX326をR1~Rmの並列結合(すなわち、全ての平均化抵抗器がほぼ等しいとき、RX=R1/m)であると定義することによって、電圧利得Avを判定するために、図5に関して上述した式21を使用することが依然として可能である。
Av=VOUT/(kVBG)=RY/(RX+RY) (24)
Av=VOUT/VAVG=RY/(RX+RY) (21)
【0054】
この回路のVOUT430及びvn-out432は、回路300について上述した式22及び式23によって依然として定義される。増幅器AR1は、特定の用途において大きな負荷を駆動するために使用されない場合、省略されてもよいことに留意されたい。
【0055】
本開示の任意の回路のこの電圧リファレンスノイズ低減技法は、より大きな集積回路(integrated circuit、IC)上のサブ回路として実装され得る。しかしながら、本開示の技法はまた、プリント回路基板又はより大きいアセンブリ上の離散電圧リファレンスICのアレイとして実装され得る。この技法を実施するために、任意のシリコン(Si)プロセスを使用することもできる。実際、この技法を実施するために、任意の数の非シリコン半導体材料を使用することができる。
【0056】
更に、この技法を実施するために多数の回路トポロジを使用することができる。Widlar、Dobkin、Kuijk、Brokaw、Henry、Degrauwe、Annema、Friedman、Guenot、Werkingからの回路トポロジ、及びその他の多くの回路トポロジを、本発明のバンドギャップ回路アレイ内の基本サブ回路として使用することができる。使用されるバンドギャップサブ回路のタイプは、本発明にとって重要ではない。図3に関連して上述したように、シャント構成を有する限り、任意のバンドギャップ回路トポロジを使用することができる。いくつかの実施例では、望ましいシャント電圧リファレンスは、出力電圧と比較して相対的に小さい電圧を有し得る。シャントリファレンスは、2つの端子、例えば、OUT(ハイ端子)及びGND(ロー端子)を有してもよく、概念において、ツェナーダイオード、又は単に、リファレンスを通る電流にかかわらず、OUT端子とGND端子との間に定電圧を維持する理想的電圧源と同様であるとみなされてもよい。
【0057】
図7は、本開示の1つ以上の技法による、独立したバンドギャップ電圧リファレンスの単一のストリングを備えるアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。図7の実施例における回路500は、VOUT=2VBGであるように、k=2及びm=1を有する基本バンドギャップセルとしてワイドラー設計を使用する。言い換えれば、Vsum504は、図3の回路100の実施例と同様に、BG1 510とBG2 514との和である。BG1 510及びBG2 514の各々は、図3図6に関連して上述したように、関連するノイズ源(図7に図示せず)を含み得る。増幅器AR1 502の利得が1であるようにRx 526及びRy 528を選択すると、Vout530はVsum504に基づき、vn-out532はノイズ源の和に基づく。
【0058】
BG1 510、BG2 514及び出力増幅器AR1 502へのDCバイアスは、Q1 546、Q2 547及びQ3 548によって形成される1組のカレントミラーを介して接合FET J1 545によって供給される。カレントミラートランジスタは、エミッタデジェネレーション抵抗器、RZ557、RZ558及びRZ559を使用して、カレントミラー自体によって生じたノイズを低減する。これらのエミッタデジェネレーション抵抗器は、バイポーラカレントミラーに必要とされない場合がある。しかしながら、デジェネレーション抵抗器は、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor、MOS)トランジスタを使用するカレントミラーにとって望ましい場合がある。抵抗器RB527は、デプレッション型接合電界効果トランジスタ(junction field effect transistor、JFET)J1 545のバイアス電流を設定する。いくつかの実施例では、J1 545は、金属半導体電界効果トランジスタ(metal-semiconductor field-effect transistor、MESFET)によって置き換えられてもよい。
【0059】
Q1 546、Q2 547、Q3 548、RB527、及びJ1 545の例示的な構成は、1つの可能な例示的な構成にすぎない。他の実施例では、異なるタイプの電流源回路が、Vsum504に電流を供給し得る。例えば、Q1 546、Q2 547及びQ3 548の構成は、Rb527及びJ1 545の構成と類似した異なる回路によって置き換えられてもよい。
【0060】
独立バンドギャップ電圧リファレンスBG1 510は、図7の実施例では、3つのNPNバイポーラ接合トランジスタ(bipolar junction transistor、BJT)を含むワイドラーリファレンスである。Q6のコレクタは、AR1 502への非反転入力においてVsum504に接続する。Q6のコレクタは、抵抗RW2を介してQ5のコレクタに接続し、抵抗器RW1を介してQ4のコレクタに接続する。Q5のコレクタはまた、Q6のベースに接続する。Q6のエミッタはQ4のエミッタに接続するとともに、抵抗器RW3を介してQ5のエミッタに接続する。Q4のベースは、Q4のコレクタ及びQ5のベースに接続する。電圧リファレンスBG2 514も同様に構成されている。Idd524は、Vdd523から、RZ557及びPNP BJT Q1 546の直列構成を通って延びる。Q1 546のエミッタは、RZ557を介してVDD 523に接続する。Q1 546のベースは、Q1 546のコレクタに接続し、抵抗器RB 527を介してJFET J1 545のドレイン-ソースチャネルに接続する。J1 545のゲートは、Q1 546のコレクタに接続する。
【0061】
Idd524は、Vdd523から、抵抗器RZ558を通り、PNP BJT Q2 547を通り、BG1 510及びBG2 514を通って、GND220に至る。Q2 547のエミッタは、抵抗器RZ558を介してVdd523に接続する。Q2 547のコレクタは、Vsum504であり、BG1 510及びAR1 502の非反転入力に接続される。Idd524はまた、VDD523とQ3 548のエミッタとの間に接続された抵抗器RZ559を介してAR1 502に給電する。Q3 548のコレクタは、AR1 502に接続する。
【0062】
図8は、ワイドラーバンドギャップリファレンスの統合された構成を備えるアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の概略図である。バンドギャップセルの個々の構成要素を直列に接続することによって、2つ以上の直列接続されたバンドギャップセルを単一のセルに統合することが可能である。図8の回路600の実施例は、図7に関連して上述した回路500の2つのワイドラーバンドギャップリファレンスセルのためのこの統合された構成を示す。バンドギャップセルBG610内の各抵抗器は、バンドギャップセルBG1 510及びBG2 514内の抵抗器と比較して2倍の値を有することに留意されたい。図5及び図6に示される回路500及び600の両方は、図7に関連して上述されたように、同じ出力電圧VOUT=2VBG及び出力ノイズレベルvnout=SqrRoot(2)vnを生成する。
【0063】
また、図7の回路500と比較すると、回路600は、バイアス電流を設定するための代替構成を示している。いくつかの実施例では、JFETは、所与のプロセスにおいて利用可能でない場合があり、したがって、抵抗器RB628は、電源除去の低減を犠牲にしてバイアス電流(より高い値のRBを有する)を設定するために単独で使用され得る。他の実施例では、JFETが利用可能でないとき、バンドギャップ電圧自体(Vsum604)が、バイアス電流を設定するために使用され得る。Vsum604を使用することは、安定したバイアス電流及び良好な電源除去を提供するという利点を有するが、より複雑であり、回路が例えば低温であるなど、VSUM=0及びIDD=0状態にあるときに回路がロックアップするのを防止するためにスタートアップ回路を使用し得る。回路600は、バイアス電流を設定するための一定のVSUM電圧の使用を示す。ダイオードD1 611、抵抗器(RSU625)、及び第3のカレントミラー出力は、バイアス回路が適切に起動することを確実にするために使用されることに留意されたい。RSU625の値は、RB628の抵抗値よりもはるかに大きくてもよい。
【0064】
回路600は、Idd624を運ぶ第1のカレントミラーを含み、PMOSトランジスタP6 646のドレイン-ソースチャネルは、AR1 602に接続されるとともに、ソースデジェネレーション抵抗器RZ660を介してVdd623に接続される。AR1 602の出力は、Vout630と、関連するノイズ出力vn-out632とを提供する。AR1 602の出力は、抵抗分割器Rx626及びRy628の直列構成を介して接地に接続する。AR1 602の反転入力は、Rx626とRy628との間のノードに接続する。
【0065】
第2のカレントミラーは、Idd624を電圧リファレンス回路BG610に提供し、PMOSトランジスタP4 644のドレイン-ソースチャネルは、BG610に接続されるとともに、ソースデジェネレーション抵抗器RZ659を介してVdd623に接続される。第3のカレントミラーは、スタートアップ回路600に電流を提供し、PMOSトランジスタMP1 640のドレイン-ソースチャネルは、抵抗器RSU625を介してGND220に接続されるとともに、ソースデジェネレーション抵抗器RZ657を介してVdd623に接続される。PMOSトランジスタMP2 642及びNMOSトランジスタMN8 648の直列構成は、RZ658を介してVdd623に接続し、RB628を介してGND220に接続する。MN8 648のゲートは、Vsum604ノードに接続する。MP2 642のゲートは、MP1 640、MP4 644、及びMP6 646のゲートと同様に、MP2 642及びMP8 648のドレインに接続する。ダイオードD1のカソードは、MP2 642のドレインに接続し、アノードは、MP1 640のドレインに接続する。
【0066】
図7に関連して上述したように、MP1 640、MP2 642、MP4 644及びMP6 646の電流源回路構成は、異なる電流源回路によって置き換えられてもよい。一実施例として、図8の構成は、図7に示されるJ1 545とともに、Q1 546、Q2 547、及びQ3 548の構成によって置き換えられてもよい。他の実施例では、電流源は、Rb527及びJ1 545の構成と類似した異なる回路によって置き換えられてもよい。同様に、図7の回路は、図8に示される電流供給回路又は何らかの他の等価回路を使用し得る。
【0067】
図9は、本開示の1つ以上の技法による、統合されたBrokaw電圧リファレンスのアレイを使用する例示的な電圧リファレンス回路を示す概略図である。原理的には、任意の基本バンドギャップセルをこのようにして統合することができる。図9の回路700は、一緒に統合された4つのBrokawセルの実施例を示す。いくつかの実施例では、回路700はまた、本開示の範囲外であるスタートアップ回路及びプリレギュレータ回路(図9に図示せず)を含み得る。Q1-Q3-Q5-Q7は低電流密度デバイスであり、Q2-Q4-Q6-Q8は高電流密度デバイスである。いくつかの実施例では、この回路のネイティブ出力電圧は、以下で説明する図10のトレースに示されるように、約4.8Vであり得る。いくつかの実施例では、回路700はまた、5.0VのDC出力を提供するために、少量の利得を伴う増幅器(図9に図示せず)が後続してもよい。抵抗器R37はトランジスタQ1のベース上にあり、以下の図10のプロットに示されるように、湾曲補正のためのベース電流補償を提供する。
【0068】
より詳細には、Vdd723は、AR1 702の反転入力に接続し、抵抗器R529を介してNPN BJT Q1のコレクタに接続する。Vdd723はまた、抵抗器R530を介してNPN BJT Q2のコレクタにtを接続する。増幅器AR1 702の出力は、出力Vout 730に接続する。本開示における全ての例示的な回路と同様に、いくつかの実施例では、増幅器AR1 702は、演算相互トランスコンダクタンス増幅器として実装され得る。
【0069】
Q1-Q3-Q5-Q7の直列構成は、抵抗器R7及び抵抗器R8を介してGND720に接続する。Q1のベースは、抵抗器R37を介してVout730に接続する。Q3のベースは、Q1のエミッタ及びQ3のコレクタに接続する。Q5のベースは、Q3のエミッタ及びQ5のコレクタに接続する。Q7のベースは、Q5のエミッタ及びQ7のコレクタに接続する。Q7のエミッタは、抵抗器R7に接続される。
【0070】
Q2-Q4-Q6-Q8の直列構成は、絶対温度に比例する(proportional to absolute temperature、PTAT)ピン、すなわちPTAT731に直接接続する。PTAT731は、Q8のエミッタと同様に、R8に接続する。いくつかの実施例では、GND720は、上述のように負電源であってもよい。Q2のベースはVout730に接続する。Q4のベースは、Q2のエミッタ及びQ4のコレクタに接続する。Q6のベースは、Q4のエミッタ及びQ6のコレクタに接続する。Q8のベースは、Q6のエミッタ及びQ8のコレクタに接続する。
【0071】
図10は、広い温度範囲にわたる出力電圧の回路性能を示す。図11は、統合されたBrokaw電圧リファレンスのアレイを含む例示的な電圧リファレンス回路の出力ノイズ性能を図示するグラフである。図11のグラフによって説明される性能は、図9に関連して上述された例示的な回路700のノイズ性能を図示する。電圧リファレンス回路の測定は、シリコンオンインシュレータ(SOI)プロセスを使用して作製された回路に基づく。しかしながら、この技法を実施するために、任意の他のシリコン(Si)プロセスを使用することもできる。実際、この技法を実施するために、任意の数の非シリコン半導体材料を使用することもできる。
【0072】
図11のグラフは、ある周波数範囲にわたる回路700の出力ノイズ性能を示す。100Hzを超えると、回路700は、約250nV/sqrt-Hzのノイズ密度を呈し得る。500kHzの帯域幅にわたって積分されると、ノイズ密度は約177μVrmsのノイズ電圧になる。例示的な回路700は、わずか162.6×98.6μmの面積を占有する120μAの総バイアス電流で動作する合計24個の低利得NPNトランジスタを用いてこのレベルのノイズを達成した。
【0073】
この回路のノイズは、バンドギャップ増幅器、図9のAR1 702、又は出力増幅器(図9に図示せず)のいずれかによっても制限されない。図11には示されていないが、回路700は、抵抗器R8が外部キャパシタによって(例えば、PTAT731ピン上で)接地にバイパスされるときに生じる約30nV/rt-Hzの出力ノイズフロアを示すノイズプロットをもたらし得る。R8がバイパスされるとき、支配的なノイズ源は出力増幅器である。したがって、図3図11に関連して上述された本開示の回路構成は、出力ノイズと電力消費の両方を最小限に抑えるために、利用可能な供給電圧を完全に使用することを可能にし得る。
【0074】
本開示の技法はまた、以下の実施例において説明され得る。
【0075】
実施例1:回路であって、増幅器回路であって、電圧出力を提供するように構成された出力端子と、入力端子とを備える、増幅器回路と、第1のシャント電圧リファレンス回路及び第2のシャント電圧リファレンス回路とを備え、第1のシャント電圧リファレンス回路は、第1のロー端子及び第1のハイ端子を含み、第2のシャント電圧リファレンス回路は、第2のロー端子及び第2のハイ端子を含み、第1のシャント電圧リファレンス回路は、第2のハイ端子が第1のロー端子に接続するように、第2のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続しており、第1のハイ端子は、増幅器回路の入力端子に接続している、回路。
【0076】
実施例2:第1のシャント電圧リファレンス回路が、バンドギャップ電圧リファレンス回路である、実施例1に記載の回路。
【0077】
実施例3:第3のハイ端子及び第3のロー端子を含む第3のシャント電圧リファレンス回路を更に備え、第3のハイ端子が、第3のシャント電圧リファレンス回路を第1のシャント電圧リファレンス回路及び第2のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続するように第2のロー端子に接続している、実施例1及び2のいずれかに記載の回路。
【0078】
実施例4:第3のシャント電圧リファレンス回路及び第4のシャント電圧リファレンス回路を更に備え、第3のシャント電圧リファレンス回路が、第3のロー端子及び第3のハイ端子を含み、第4のシャント電圧リファレンス回路が、第4のロー端子及び第4のハイ端子を含み、第1のシャント電圧リファレンス回路及び第2のシャント電圧リファレンス回路が、直列接続された電圧リファレンス回路の第1のストリングを備え、第3のシャント電圧リファレンス回路は、直列接続された電圧リファレンス回路の第2のストリングを形成するために、第4のハイ端子が第3のロー端子に接続するように第4のシャント電圧リファレンス回路と直列に接続しており、第3のハイ端子は、増幅器回路の入力端子に接続して、電圧リファレンス回路の並列接続されたストリングのアレイを形成する、実施例1~3のいずれかに記載の回路。
【0079】
実施例5:各それぞれのシャント電圧リファレンス回路が、各それぞれのロー端子及びハイ端子にわたる電圧降下を有し、それぞれの電圧降下の各々は、大きさがほぼ等しい、実施例4に記載の回路。
【0080】
実施例6:第1のハイ端子が、抵抗器を介して入力端子に接続する、実施例4及び5のいずれかに記載の回路。
【0081】
実施例7.抵抗分割器を含む増幅器フィードバック回路を更に備え、増幅器回路の出力端子からの電圧出力が、リファレンス電圧出力を提供し、増幅器回路が、反転入力のための第2の入力端子を備え、抵抗分割器の抵抗間のノードが、第2の入力端子に接続する、実施例4に記載の回路。
【0082】
実施例8.単位利得のために構成された増幅器フィードバック回路と、増幅器回路の出力端子に接続された抵抗器分割器とを更に備え、抵抗器分割器の抵抗器間のノードが、リファレンス電圧出力を提供する、実施例4に記載の回路。
【0083】
実施例9.単位利得のために構成された増幅器フィードバック回路と、抵抗器分割器とを更に備え、抵抗器分割器の抵抗器間のノードが、入力端子に接続する、実施例4に記載の回路。
【0084】
実施例10:抵抗分割器を含む増幅器フィードバック回路を更に備え、増幅器回路の出力端子からの電圧出力が、リファレンス電圧出力を提供し、増幅器回路が、反転入力のための第2の入力端子を備え、抵抗分割器の抵抗間のノードが、第2の入力端子に接続する、実施例1~10のいずれかに記載の回路。
【0085】
実施例11:単位利得のために構成された増幅器フィードバック回路と、増幅器回路の出力端子に接続された抵抗器分割器とを更に備え、抵抗器分割器の抵抗器間のノードが、リファレンス電圧出力を提供する、実施例1~11のいずれかに記載の回路。
【0086】
実施例12:単位利得のために構成された増幅器フィードバック回路と、抵抗器分割器とを更に備え、抵抗器分割器の抵抗器間のノードが、入力端子に接続する、実施例1~12のいずれかに記載の回路。
【0087】
実施例13:並列接続されたストリング電圧リファレンス回路のアレイが、統合された電圧リファレンス回路として構成される、実施例4~12のいずれかに記載の回路。
【0088】
本開示の様々な実施例が記載されている。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲の範疇内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】