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▶ シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151317
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/16 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
H01H50/16 Y
H01H50/16 W
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062486
(22)【出願日】2024-04-09
(31)【優先権主張番号】202310385755.7
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ウェングアン ダイ
(72)【発明者】
【氏名】リジ ス
(72)【発明者】
【氏名】モン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ソンシェン チェン
(57)【要約】
【課題】 耐短絡能力と極限遮断能力を両立するリレーを提供する。
【解決手段】 本発明は、接触容器と、固定接点引出端と、可動体と、第1の導磁体と、可動部材と、固定導磁体と、を備えるリレーを開示し、接触容器は、接触チャンバと、接触チャンバに連通する一対の第1の貫通孔とを有し、固定接点引出端は、第1の貫通孔内に穿設され、可動体は、接触容器に対して移動可能であり、第1の導磁体は、可動体に接続され、可動部材は、一対の固定接点引出端に接触又は離間するように構成される可動接触子を含み、第1の導磁体は可動接触子の固定接点引出端に向かう一側に設けられ、固定導磁体は、接触容器内に固定設置され、第1の導磁体の可動接触子に背向する一側に設置され、第1の導磁体は、可動体を介して可動部材に対して移動可能であり、可動接触子に流れる電流値の大きさに応じて、第1の導磁体と前記可動部材との間の距離を調整するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触チャンバと、前記接触チャンバに連通する一対の第1の貫通孔とを有する接触容器と、
一対の前記第1の貫通孔内にそれぞれ穿設される一対の固定接点引出端と、
前記接触容器に対して移動可能である可動体と、
前記接触チャンバ内に設けられ、前記可動体に接続される第1の導磁体と、
前記接触チャンバ内に可動的に設けられ、一対の前記固定接点引出端に接触又は離間するように構成される可動接触子を含む可動部材と、
前記接触容器内に固定的に設置される固定導磁体と、を備え、
前記第1の導磁体は、前記可動接触子の前記固定接点引出端に向かう一側に設けられ、
前記固定導磁体は、前記第1の導磁体の前記可動接触子に背向する側に設置され、
前記第1の導磁体は、前記可動体を介して前記可動部材に対して移動可能であり、前記可動接触子に流れる電流値の大きさに応じて、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離を調整するように構成される
ことを特徴とするリレー。
【請求項2】
前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は、前記第1の導磁体と前記可動部材との間のうちの最大距離である
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項3】
前記第1の導磁体は、前記可動体を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第1の間隔であり、前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第2の間隔であり、前記第1の間隔は前記第2の間隔より大きい
ことを特徴とする請求項2に記載のリレー。
【請求項4】
前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の前記第2の間隔はゼロに等しい
ことを特徴とする請求項3に記載のリレー。
【請求項5】
前記第1の導磁体が前記第1の位置に位置するとき、前記可動接触子に流れる電流値は閾値電流より小さいまたは同じであり、
前記可動接触子に流れる電流値が前記閾値電流より大きい場合、前記第1の導磁体は前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する
ことを特徴とする請求項3に記載のリレー。
【請求項6】
前記リレーは、第1の弾性部材をさらに備え、
前記第1の弾性部材は、前記第1の導磁体が前記可動部材から遠ざかる方向に移動する傾向を有するように、前記可動体に弾性力を与える
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項7】
前記固定導磁体は、前記可動部材に向かう第1の側と、前記第1の側の反対側に設けられている第2の側とを有し、
前記第1の弾性部材は、前記第2の側に設けられ、前記第1の導磁体及び前記可動部材は前記第1の側に設けられ、前記第1の導磁体は前記第1の弾性部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動体の一端は前記第1の弾性部材に接続され、他端は前記第1の導磁体に接続される
ことを特徴とする請求項6に記載のリレー。
【請求項8】
前記固定導磁体は、前記第1の側の表面及び前記第2の側の表面を貫通する第1の穿孔を有し、
前記可動体は棒状であり、前記第1の穿孔に移動可能に穿設される
ことを特徴とする請求項7に記載のリレー。
【請求項9】
前記第1の弾性部材は、前記第1の穿孔に対応する第2の穿孔を有し、
前記可動体は、前記第1の穿孔と前記第2の穿孔に穿設される
ことを特徴とする請求項8に記載のリレー。
【請求項10】
前記可動体は、ロッド本体と、前記ロッド本体の一端に設けられる押圧キャップとを含み、前記ロッド本体は、前記第1の穿孔と前記第2の穿孔に穿設され、前記押圧キャップは、前記第2の穿孔の前記第1の導磁体に背向する側の周縁を押圧する
ことを特徴とする請求項9に記載のリレー。
【請求項11】
前記第1の導磁体には、前記第1の穿孔及び前記第2の穿孔の位置に対応する第3の穿孔が設けられており、前記ロッド本体は、前記第2の穿孔、前記第1の穿孔及び前記第3の穿孔の順に穿設され、
前記ロッド本体の外周には段差構造が設けられており、前記ロッド本体の前記可動部材に向かう一端は前記第1の導磁体に固定接続され、前記段差構造は、前記第3の穿孔の前記第1の弾性部材に向かう一側の周縁に当接する
ことを特徴とする請求項10に記載のリレー。
【請求項12】
前記第1の導磁体は、前記可動体を介して第1の位置と第2の位置との間で移動し、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第1の間隔であり、前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第2の間隔であり、前記第1の間隔は前記第2の間隔より大きく、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体は前記第1の側の表面に当接し、且つ前記可動体の一端は前記第1の弾性部材を押圧して、前記第1の弾性部材に弾性予圧力を持たせる
ことを特徴とする請求項7に記載のリレー。
【請求項13】
前記第1の導磁体、前記固定導磁体及び前記第1の弾性部材は、いずれも一対の前記固定接点引出端の間に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載のリレー。
【請求項14】
前記第1の弾性部材は、リード又はバネを含む
ことを特徴とする請求項6に記載のリレー。
【請求項15】
前記可動部材に対する前記第1の導磁体の移動方向は、前記可動接触子と前記固定接点引出端との接触/離間方向に沿っている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項16】
前記可動体は、移動可能に前記可動部材の前記固定接点引出端に向かう一側に設けられ、且つ前記可動体は一対の前記固定接点引出端の間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項17】
前記可動体は、金属材料で作られる
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項18】
前記固定導磁体は、コネクタを介して前記接触容器に固定接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項19】
前記接触容器は絶縁カバーとヨーク板とを含み、前記絶縁カバーは前記ヨーク板に連結されて前記接触チャンバを形成し、一対の前記第1の貫通孔は前記絶縁カバーに開口され、
前記固定導磁体は、前記コネクタにより前記絶縁カバーまたはヨーク板に固定接続されている
ことを特徴とする請求項18に記載のリレー。
【請求項20】
前記コネクタは棒状または筒状構造をなし、前記コネクタの軸方向一端は前記絶縁カバーに接続され、前記コネクタの軸方向の他端は前記固定導磁体に接続されている
ことを特徴とする請求項19に記載のリレー。
【請求項21】
前記コネクタの一端は前記固定導磁体に接続され、他端は前記ヨーク板の前記固定接点引出端に向かう一側に接続されている
ことを特徴とする請求項19に記載のリレー。
【請求項22】
前記絶縁カバーは、セラミックスカバーとフランジ部材とを含み、前記セラミックスカバーは、前記フランジ部材を介して前記ヨーク板に接続され、一対の前記第1の貫通孔は、前記セラミックスカバーに開口され、
前記固定導磁体は、前記コネクタを介して前記セラミックスカバーに固定接続されている
ことを特徴とする請求項19に記載のリレー。
【請求項23】
前記可動体は、前記固定導磁体に移動可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項24】
前記可動部材は、第2の導磁体をさらに備え、
前記第2の導磁体は、前記可動接触子の前記第1の導磁体から背向する一側に固定接続され、前記第2の導磁体は、前記第1の導磁体と導磁回路を形成するのに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【請求項25】
前記第1の導磁体及び/又は前記固定導磁体は、重ね合わされた複数の導磁片を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、電子制御素子の技術分野に関し、特にリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは、電子制御素子であり、制御システム(入力回路とも呼ばれる)と被制御システム(出力回路とも呼ばれる)を有し、通常は自動制御回路に応用(適用)される。リレーは、実際には小さな電流で大きな電流を制御する「自動スイッチ」である。そのため、回路では自動調整、安全保護、変換回路などの役割を果たしている。
【0003】
高圧直流リレーはリレーの一種であり、短絡電流による電動反発力により高圧直流リレーの接触子が弾ける問題を解決するために、関連技術においては、通常耐短絡リング電磁構造が設けられている。耐短絡リングの上部導磁体の設置位置に応じて、追従型構造と固定型構造にさらに分けられる。具体的には、追従型構造とは、上部導磁体がリレーの可動アセンブリに配置されることを意味し、固定型構造とは、上部導磁体が可動アセンブリ以外の固定位置に配置されることを意味する。しかしながら、固定耐短絡構造の耐短絡能力は大幅に強化されるが、耐短絡能力と遮断能力との間には負の相関関係があるため、遮断能力は低下することになる。ただし、追従型耐短絡構造は可動鉄心の保持力の影響を受け、短絡電流が大きい場合には鉄心が外れて接点が離間し、可動鉄心の保持力を大きくするにはコイルを大きくする必要があり、これは小型軽量化と矛盾することになる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、耐短絡能力と極限遮断能力を両立するリレーを提供する。
【0005】
本発明の実施例に係るリレーは、
接触チャンバと、前記接触チャンバに連通する一対の第1の貫通孔とを有する接触容器と、
一対の前記第1の貫通孔内にそれぞれ穿設される一対の固定接点引出端と、
前記接触容器に対して移動可能である可動体と、
前記接触チャンバ内に設けられ、前記可動体に接続される第1の導磁体と、
前記接触チャンバ内に可動的に設けられ、一対の前記固定接点引出端に接触又は離間するように構成される可動接触子を含む可動部材と、
前記接触容器内に固定的に設置される固定導磁体と、を備え、
前記第1の導磁体は、前記可動接触子の前記固定接点引出端に向かう一側に設けられ、
前記固定導磁体は、前記第1の導磁体の前記可動接触子に背向する側に設置され、
前記第1の導磁体は、前記可動体を介して前記可動部材に対して移動可能であり、前記可動接触子に流れる電流値の大きさに応じて、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離を調整するように構成される。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は、前記第1の導磁体と前記可動部材との間のうちの最大距離である。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体は、前記可動体を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第1の間隔であり、前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第2の間隔であり、前記第1の間隔は前記第2の間隔より大きい。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の前記第2の間隔はゼロに等しい。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体が前記第1の位置に位置するとき、前記可動接触子に流れる電流値は閾値電流より小さいまたは同じであり、
前記可動接触子に流れる電流値が前記閾値電流より大きい場合、前記第1の導磁体は前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記リレーは、第1の弾性部材をさらに備え、
前記第1の弾性部材は、前記第1の導磁体が前記可動部材から遠ざかる方向に移動する傾向を有するように、前記可動体に弾性力を与える。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記固定導磁体は、前記可動部材に向かう第1の側と、前記第1の側の反対側に設けられている第2の側とを有し、
前記第1の弾性部材は、前記第2の側に設けられ、前記第1の導磁体及び前記可動部材は前記第1の側に設けられ、前記第1の導磁体は前記第1の弾性部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動体の一端は前記第1の弾性部材に接続され、他端は前記第1の導磁体に接続される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記固定導磁体は、前記第1の側の表面及び前記第2の側の表面を貫通する第1の穿孔を有し、
前記可動体は棒状であり、前記第1の穿孔に移動可能に穿設される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の弾性部材は、前記第1の穿孔に対応する第2の穿孔を有し、
前記可動体は、前記第1の穿孔と前記第2の穿孔に穿設される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動体は、ロッド本体と、前記ロッド本体の一端に設けられる押圧キャップとを含み、前記ロッド本体は、前記第1の穿孔と前記第2の穿孔に穿設され、前記押圧キャップは、前記第2の穿孔の前記第1の導磁体に背向する側の周縁を押圧する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体には、前記第1の穿孔及び前記第2の穿孔の位置に対応する第3の穿孔が設けられており、前記ロッド本体は、前記第2の穿孔、前記第1の穿孔及び前記第3の穿孔の順に穿設され、
前記ロッド本体の外周には段差構造が設けられており、前記ロッド本体の前記可動部材に向かう一端は前記第1の導磁体に固定接続され、前記段差構造は、前記第3の穿孔の前記第1の弾性部材に向かう一側の周縁に当接する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体は、前記可動体を介して第1の位置と第2の位置との間で移動し、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第1の間隔であり、前記第2の位置において、前記第1の導磁体と前記可動部材との間の距離は第2の間隔であり、前記第1の間隔は前記第2の間隔より大きく、
前記第1の位置において、前記第1の導磁体は前記第1の側の表面に当接し、且つ前記可動体の一端は前記第1の弾性部材を押圧して、前記第1の弾性部材に弾性予圧力を持たせる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体、前記固定導磁体及び前記第1の弾性部材は、いずれも一対の前記固定接点引出端の間に設けられる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の弾性部材は、リード又はバネを含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動部材に対する前記第1の導磁体の移動方向は、前記可動接触子と前記固定接点引出端との接触/離間方向に沿っている。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動体は、移動可能に前記可動部材の前記固定接点引出端に向かう一側に設けられ、且つ前記可動体は一対の前記固定接点引出端の間に位置する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動体は、金属材料で作られる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記固定導磁体は、コネクタを介して前記接触容器に固定接続されている。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記接触容器は絶縁カバーとヨーク板とを含み、前記絶縁カバーは前記ヨーク板に連結されて前記接触チャンバを形成し、一対の前記第1の貫通孔は前記絶縁カバーに開口され、
前記固定導磁体は、前記コネクタにより前記絶縁カバーまたはヨーク板に固定接続されている。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記コネクタは棒状または筒状構造をなし、前記コネクタの軸方向一端は前記絶縁カバーに接続され、前記コネクタの軸方向の他端は前記固定導磁体に接続されている。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記コネクタの一端は前記固定導磁体に接続され、他端は前記ヨーク板の前記固定接点引出端に向かう一側に接続されている。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記絶縁カバーは、セラミックスカバーとフランジ部材とを含み、前記セラミックスカバーは、前記フランジ部材を介して前記ヨーク板に接続され、一対の前記第1の貫通孔は、前記セラミックスカバーに開口され、
前記固定導磁体は、前記コネクタを介して前記セラミックスカバーに固定接続されている。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動体は、前記固定導磁体に移動可能に取り付けられている。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動部材は、第2の導磁体をさらに備え、
前記第2の導磁体は、前記可動接触子の前記第1の導磁体から背向する一側に固定接続され、前記第2の導磁体は、前記第1の導磁体と導磁回路を形成するのに用いられる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の導磁体及び/又は前記固定導磁体は、重ね合わされた複数の導磁片を含む。
【0030】
上記発明のうちの1つの実施例は、少なくとも以下の利点又は有益な効果を有する。
【0031】
本発明の実施例に係るリレーでは、第1の導磁体が可動体を介して可動部材に対して移動可能であり、さらに可動接触子に流れる電流値の大きさに応じて第1の導磁体と可動部材との間で発生する磁気吸引力の大きさを調整でき、耐短絡を満たしながら、過負荷遮断の要件も満たすことができる。
【0032】
短絡電流が可動接触子に流れると、固定導磁体と第1の導磁体との間に大きな反発力が発生し、その反発力によって第1の導磁体が可動部材に向かって速く移動できることにより、第1の導磁体と可動部材との間の距離が速く短縮され、第1の導磁体と可動部材との間に大きな磁気吸引力を発生させて短絡電流による可動接触子と固定接点引出端との間の電動反発力に抵抗できるので、耐短絡能力を効果的に向上される。このように、第1の導磁体は、可動部材が付勢する磁気吸引力を受けるとともに、固定導磁体が付勢する反発力も受け、2つの力の共同作用の下で、第1の導磁体の移動の応答時間が効果的に短縮され、耐短絡の信頼性が向上される。同時に、可動接触子に短絡電流が流れると、固定導磁体と可動部材との間に吸引力が発生し、第1の導磁体と可動部材との間にも吸引力が発生し、2つの吸引力が合力を形成して、耐短絡性能がさらに向上される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1の実施例に係るリレーの分解模式図を示す。
図2】本発明の第1の実施例に係るリレーの斜視模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図3】本発明の第1の実施例に係るリレーの上面模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図4図2の分解模式図を示す。
図5図3のA-Aに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第1の位置にある。
図6図3のB-Bに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第1の位置にある。
図7図6のX1箇所の部分拡大図を示す。
図8図3のA-Aに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第2の位置にある。
図9図3のB-Bに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第2の位置にある。
図10図9のX2箇所の部分拡大図を示す。
図11】本発明の一実施例に係る第1の導磁体、固定導磁体、第1の弾性部材および可動部材の組み立て後の模式図を示す。
図12図11の分解模式図を示す。
図13】本発明の他の実施例に係る第1の導磁体、固定導磁体、第1の弾性部材および可動部材の組み立て後の模式図を示す。
図14図13の分解模式図を示す。
図15】本発明の第2の実施例に係るリレーの斜視模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図16】本発明の第2の実施例に係るリレーの上面模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図17図15の分解模式図を示す。
図18】固定導磁体、コネクタ及びヨーク板の組立後の立体模式図を示す。
図19図16のC-Cに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第1の位置にある。
図20図16のC-Cに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第2の位置にある。
図21】本発明の第3の実施例に係るリレーの斜視模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図22】本発明の第3の実施例に係るリレーの上面模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図23図21の分解模式図を示す。
図24図22のD-Dに沿った断面図を示し、ここで、第1の導磁体が第1の位置にある。
図25】本発明の第4の実施例に係るリレーの分解模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図26】本発明の第5の実施例に係るリレーの分解模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図27】本発明の第6の実施例に係るリレーの分解模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図28】本発明の第7の実施例に係るリレーの分解模式図を示し、ここで、ハウジング、電磁石ユニット及び消弧ユニットを省略している。
図29図28の第1の導磁体、固定導磁体、第1弾性部材および可動部材の組み立て後の模式図を示す。
図30図29の分解模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を参照して、例示的な実施例についてより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施例は様々な形態で実施することができ、本明細書で説明する実施例に限定されると理解されるべきではない。逆に、これらの実施例は、本発明が包括的かつ完全であり、例示的な実施例の構想を当業者に全面的に伝達するように提供される。図中の同一の符号は同一又は類似の構造を表すので、詳細な説明は省略する。
【0035】
図1に示すように、本発明の実施例に係るリレーは、ハウジング1100、電磁石ユニット1200、消弧ユニット1300及びシールユニット1400を含む。シールユニット1400は、ハウジング1100内に設けられ、シールユニット1400の固定接点引出端の頂部は、ハウジング1100の露出孔1130を介してハウジング1100の外表面に露出する。電磁石ユニット1200と消弧ユニット1300とは、ハウジング1100内に設けられている。
【0036】
本発明の実施例における「含む」及び「有する」という用語、ならびにそれらのあらゆる変形は、非排他的な包含を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、リストされたステップ又はユニットに限定されず、オプションでリストされていないステップ又はユニットも含むか、またはオプションでそのようなプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットも含む。
【0037】
一例として、ハウジング1100は、第1のケース1110と第2のケース1120とを含み、第1のケース1110と第2のケース1120とは、係合して接続され、電磁石ユニット1200、消弧ユニット1300及びシールユニット1400を収容するためのチャンバを形成する。
【0038】
消弧ユニット1300は、シールユニット1400の固定接点引出端と可動接触子との間に発生するアークを消弧するために用いられる。
【0039】
一例として、消弧ユニット1300は2つの消弧磁石1310を含む。消弧磁石1310は永久磁石であってもよく、各消弧磁石1310は略直方体状であってもよい。2つの消弧磁石1310は、シールユニット1400の両側にそれぞれ設けられ、可動接触子の長手方向に沿って対向して設けられている。
【0040】
対向して設けられた2つの消弧磁石1310を設けることにより、固定接点引出端と可動接触子の周囲に磁場を形成することができる。そのため、固定接点引出端と可動接触子との間に発生するアークは、磁場の作用によって、互いに離れた方向に引き伸ばされ、消弧を実現する。
【0041】
消弧ユニット1300は、2つの消弧磁石1310の位置に対応して配置された2つのヨーククランプ1320をさらに含む。そして、2つのヨーククランプ1320は、シールユニット1400と2つの消弧磁石1310とを囲んでいる。ヨーククランプ1320による消弧磁石1310の周りの設計により、消弧磁石1310による磁場が外部に拡散し、消弧効果に影響を与えることを回避することができる。ヨーククランプ1320は軟磁性材料で作られている。軟磁性材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、及びその合金などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
図2図4に示すように、本発明の実施例のシールユニット1400は、接触容器10、一対の固定接点引出端20、プッシュロッドアセンブリ50、第1の導磁体40、可動体80、固定導磁体620及び第1の弾性部材70を含む。
【0043】
接触容器10は、固定部品であり、接点アセンブリを収容するために使用され、主にケースでチャンバを備えた装置であることが理解され得る。また、接触容器10は、所定の組み立て方法で接続された複数の部品から構成されてもよい。
【0044】
接触容器10は、内部に接触チャンバ101を有する。接触容器10は、絶縁カバー11aとヨーク板13を含み、絶縁カバー11aはヨーク板13の一側面を覆っており、接触チャンバ101は、絶縁カバー11aとヨーク板13によって囲まれて形成される。
【0045】
絶縁カバー11aは、セラミックスカバー11とフランジ部材12とを含む。セラミックスカバー11は、フランジ部材12を介してヨーク板13に接続されている。フランジ部材12は、鉄ニッケル合金などの環状構造の金属部品を形成することができ、その一端は、レーザー溶接、ろう付け、抵抗溶接、接着などによってセラミックスカバー11の開口縁に接続されている。フランジ部材12の他端は、ヨーク板13に接続されており、同様にレーザー溶接、ろう付け、抵抗溶接、接着などを利用してもよい。セラミックスカバー11とヨーク板13との間にフランジ部材12を設けることで、セラミックスカバー11とヨーク板13との接続を容易にすることができる。
【0046】
また、接触容器10は、一対の第1の貫通孔102をさらに有しており、第1の貫通孔102は接触チャンバ101に連通されている。第1の貫通孔102は、固定接点引出端20を貫通させるためのものである。本発明の実施例では、第1の貫通孔102はセラミックスカバー11に開口している。
【0047】
一対の固定接点引出端20は、接触容器10のセラミックスカバー11に接続されており、各固定接点引出端20の少なくとも一部は接触チャンバ101内に位置している。一対の固定接点引出端20の一方が電流流入の端子として、他方が電流流出の端子として機能する。
【0048】
一対の固定接点引出端20は、一対の第1の貫通孔102に一対一に穿設され、例えば溶接によりセラミックスカバー11に接続される。
【0049】
固定接点引出端20の底部を固定接点とし、固定接点は、固定接点引出端20の底部に一体的に又は別体的に設けられてもよい。
【0050】
図4に示すように、プッシュロッドアセンブリ50は、ロッドの軸方向に沿って移動可能に接触容器10に接続される。プッシュロッドアセンブリ50は、ロッド部51、ベース52、可動部材53、及び第2の弾性部材56を含むことができる。
【0051】
ヨーク板13は第2の貫通孔131を有し、第2の貫通孔131は、ヨーク板13の厚さ方向に沿ってヨーク板13の対向する二つの側面を貫通し、接触容器10の接触チャンバ101に連通されている。ロッド部51は、軸方向に沿って移動可能に第2の貫通孔131に穿設される。ロッド部51の軸方向一端にはベース52が設けられており、ベース52の少なくとも一部は接触チャンバ101内に位置している。
【0052】
可動部材53は、ロッド部51の軸方向に沿って移動可能にベース52に接続されている。可動部材53は、可動接触子54と第2の導磁体55とを含み、第2の導磁体55は、可動接触子54に固定接続され、且つ可動接触子54の第1の導磁体40に背向する側に設置され、第2の導磁体55は第1の導磁体40と導磁回路を形成するのに用いられる。可動接触子54の両端は、一対の固定接点引出端20の底面に接触して接点の閉鎖を達成するために使用される。可動接触子54は、可動接触片と、可動接触片の長手方向の両端に設けられた可動接点とを備えている。可動接点は可動接触片よりも突出していてもよいし、可動接触片と一致していてもよい。
【0053】
可動接点は、可動接触片の両端に一体的又は別体的に設けられてもよい。
【0054】
第2の弾性部材56は、可動部材53及びベース52に接続されており、可動部材53に固定接点引出端20に向けて移動する弾性力を与えるために用いられる。
【0055】
プッシュロッドアセンブリ50は、ベース52と可動部材53とに接続されたスライド構造57をさらに備え、可動部材53は、スライド構造57を介してベース52に対してスライド可能である。スライド構造57は、嵌合するリミット孔572とリミット部571を含む。リミット部571は、リミット孔572内にスライド可能に延びる。
【0056】
本発明の実施例では、ベース52はスライド構造57を介して可動部材53に直接接続されており、これにより、ベース52と可動部材53との間の組み立てがより簡単になる。また、可動部材53と第1の導磁体40の間には他の部材が存在しないので、オーバトラベル中に、当該他の部材と第1の導磁体40との移動干渉が回避される。
【0057】
なお、リミット孔572は貫通孔であってもよく、盲孔(止り孔)であってもよい。
【0058】
一例として、ベース52にはリミット孔572が設けられ、可動部材53にはリミット部571が設けられている。
【0059】
もちろん、他の実施例では、プッシュロッドアセンブリ50は、他の構造であってもよく、ここでは一々列挙しない。
【0060】
図4図6に示すように、シールユニット1400は、金属カバー1410をさらに含み、金属カバー1410は、ヨーク板13の絶縁カバー11aに背向する側に接続され、ヨーク板13上の第2の貫通孔131を覆う。金属カバー1410とヨーク板13は、電磁石ユニット1200の固定鉄心1230と可動鉄心1240を収容するためのチャンバとして囲まれる。
【0061】
電磁石ユニット1200は、コイルボビン1210と、コイル1220と、固定鉄心1230と、可動鉄心1240と、リセット部材1250とを含む。コイルボビン1210は中空筒状をなし、絶縁材料を用いて形成されている。金属カバー1410は、コイルボビン1210内に穿設される。コイル1220は、コイルボビン1210を取り囲む。固定鉄心1230は、金属カバー1410内に固設され、固定鉄心1230の一部が第2の貫通孔131に入り込む。固定鉄心1230は貫通孔1231を有し、貫通孔1231は第2の貫通孔131の位置に対応して設けられ、ロッド部51を穿設するためのものである。可動鉄心1240は、金属カバー1410内に移動可能に設けられ、固定鉄心1230と対向して設けられ、可動鉄心1240は、ロッド部51に接続され、コイル1220に通電すると固定鉄心1230に吸引されるために使用される。可動鉄心1240とロッド部51とは、螺着、カシメ、溶接、又はその他の方法で接続することができる。
【0062】
リセット部材1250は、金属カバー1410の内部に位置し、固定鉄心1230と可動鉄心1240との間に配置され、コイル1220の電源が遮断されたときに可動鉄心1240をリセットするために使用される。リセット部材1250は、バネであってもよく、ロッド部51の外部に外嵌されていてもよい。
【0063】
なお、コイル1220が通電されると、電磁石ユニット1200はロッド部51を介してプッシュロッドアセンブリ50を駆動して、上方に移動させることができる。可動部材53が固定接点引出端20に接触すると、可動部材53は固定接点引出端20によって停止されるが、ロッド部51及びベース52はオーバトラベルが完了するまで上方に移動し続ける。
【0064】
引き続いて図4図6を参照すると、第1の導磁体40は、接触チャンバ101内に設置され、第1の導磁体40は可動接触子54の固定接点引出端20に向かう側に設置されている。固定導磁体620は、接触容器10内に固定設置され、固定導磁体620は、コネクタ610を介して接触容器10の絶縁カバー11aに固定接続されてもよい。可動体80は、固定導磁体620に移動可能に取り付けられる。第1の導磁体40は、接触チャンバ101内に設置され、可動体80に接続され、第1の導磁体40は、可動体80を介して可動部材53に対して移動可能である。第1の導磁体40及び固定導磁体620は、共に可動部材53の可動接触子54の固定接点引出端20に向かう側に設置され、固定導磁体620は、第1の導磁体40の可動接触子54に背向する側に設置され、可動部材53の可動接触子54に電流が流れる際に、第1の導磁体40との間に反発力を発生させるのに用いられる。同時に、固定導磁体620は、可動部材53との間に吸引力を発生させるのにも用いられる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態において、リミット部571は、第2の導磁体55に設けてもよいが、これに限定されるものではない。
【0066】
一例として、第2の導磁体55と可動接触子54とはリベットにより固定接続され得るが、これに限定されるものではない。
【0067】
第1の導磁体40と、固定導磁体620と、第2の導磁体55の何れが、鉄、コバルト、ニッケル、及びその合金等の導磁材料を用いて作製され得ることが理解されよう。
【0068】
一実施形態において、第1の導磁体40と第2の導磁体55とは一字型、U字型であり得るが、これに限定されるものではない。固定導磁体620は、一字型、U字型であり得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
可動接触子54の両端が一対の固定接点引出端20に接触すると、可動接触子54とともに移動する第2の導磁体55が第1の導磁体40に接近又は接触し、これにより、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間に可動接触子54を囲む導磁回路が形成される。短絡電流が可動接触子54を通過すると、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間には、接点の圧力方向に沿った磁気吸引力が発生し、この磁気吸引力は、可動接触子54と固定接点引出端20との間の短絡電流による電動反発力に抵抗でき、可動接触子54と固定接点引出端20が弾けないことを確保する。
【0070】
なお、第1の導磁体40と第2の導磁体55はそれぞれ可動接触子54の両側に位置し、可動接触子54が通電すると、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力は直接の電磁吸引力であるので、可動接触子54と固定接点引出端20との間の短絡電流による電動反発力により良く抵抗することができ、耐短絡能力を効果的に向上させる。
【0071】
また、固定導磁体620と第2の導磁体55は、それぞれ可動接触子54の両側に設置されているため、可動接触子54に通電すると、固定導磁体620の一部と第2の導磁体55との間にも導磁回路が形成され、さらに固定導磁体620の一部と第2の導磁体55との間に接点圧力の方向に沿う磁気吸引力が発生し、耐短絡能力を向上させるのに役立つ。
【0072】
上述したように、第1の導磁体40および固定導磁体620のそれぞれと、第2の導磁体55との間には、接点圧力の方向に沿う磁気吸引力が発生し、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の吸引力と、固定導磁体620と第2の導磁体55との間の吸引力とが合力を形成し、この合力により可動接触子54と固定接点引出端20との間の短絡電流により発生する電動反発力にさらに抵抗することができ、可動接触子54と固定接点引出端20とが弾けないように確保し、耐短絡性能を向上させる。
【0073】
可動接触子54に流れる電流値が一定の場合、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間に発生する磁気吸引力の大きさは、第1の導磁体40と可動部材53の第2の導磁体55との間隔に反比例し、間隔が小さいほど発生する磁気吸引力は大きくなるのが理解できる。
【0074】
短絡電流によって発生する電動反発力に抵抗し、可動接触子54と固定接点引出端20とが弾けるのを防ぐためには、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の間隔をより小さく設計する必要があり、これにより、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力を大きくすることができる。
【0075】
適時の遮断を容易にするためには、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の間隔をより大きく設計する必要があり、これにより、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力が低減され、過度の磁気吸引力によって適時の切断に影響に与えることを避ける。
【0076】
このことから、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間隔がある固定値になると、耐短絡能力と極限遮断能力を両立できないことが分かる。
【0077】
本発明の実施例では、第1の導磁体40は可動体80を介して可動部材53に対して移動可能であり、可動接触子54に流れる電流値の大きさに応じて、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離を調整することで、耐短絡能力と極限遮断能力を両立する。いくつかの実施例では、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は異なり、例えば、第1の導磁体40と第2の導磁体55が平行でない場合、異なる位置で、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は異なる。この場合、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離とは、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の最大距離を指す。
【0078】
さらに、図6に示すように、固定導磁体620は、第1の導磁体40の可動部材53に背向する側に設置されているため、可動部材53の可動接触子54に電流が流れると、固定導磁体620と第1の導磁体40を流れる磁気誘導線の方向が同じ方向(図6の点線で示す方向)となり、同じ方向の磁気誘導線の反発の原理により、固定導磁体620と第1の導磁体40との間に接点の接触/離間方向に沿う反発力が発生する。固定導磁体620は接触容器10に対して固定設置され、第1の導磁体40は可動体80を介して移動可能であるため、固定導磁体620は第1の導磁体40に反発力を発生させ、この反発力によって第1の導磁体40は可動部材53に向かって移動するように駆動される。
【0079】
固定導磁体620と第1の導磁体40との間に発生する反発力の大きさは、可動接触子54を流れる電流値の大きさに比例することが理解されよう。従って、可動接触子54に短絡電流が流れると、固定導磁体620と第1の導磁体40との間に大きな反発力が発生し、この反発力によって第1の導磁体40が可動部材53に向かって素早く移動できるように駆動されることにより、第1の導磁体40と可動部材53との間の距離が素早く短縮され、第1の導磁体40と可動部材53との間に大きな磁気吸引力が発生することにより可動接触子54と固定接点引出端20との間の短絡電流により発生する電動反発力に抵抗して、耐短絡性能が向上される。
【0080】
このように、可動接触子54に短絡電流が流れると、第1の導磁体40は、可動部材53が付勢する磁気吸引力とともに、固定導磁体620が付勢する反発力も受けて、この2つの力の共同作用の下で、第1の導磁体40の移動の応答時間が効果的に短縮され、耐短絡の信頼性が向上される。
【0081】
図5図10に示すように、第1の導磁体40は、可動体80を介して第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動する。第1の位置P1では、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は第1の間隔H1である。第2の位置P2では、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は第2の間隔H2であり、第1の間隔H1は第2の間隔H2よりも大きい。第1の導磁体40を移動可能に構成することにより、電流値の大きさに応じて第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の間隔を調整でき、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間で発生する磁気吸引力の大きさを変化させることで、耐短絡電流と極限遮断を両立する。
【0082】
一例として、第2の位置P2では、第1の導磁体40第2の導磁体55との間の第2の間隔H2はゼロに等しい。つまり、第2の位置P2では、第1の導磁体40と第2の導磁体55とが接触している。これにより、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力を最大化し、耐短絡能力を向上させることができる。
【0083】
勿論、他の実施例では、第2の位置P2で、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の第2の間隔H2はゼロと同じでなくてもよい。つまり、第2の位置P2では、第1の導磁体40と第2の導磁体55とは接触しておらず、ギャップが存在する。
【0084】
第1の弾性部材70は、第1の導磁体40が可動部材53から遠ざかる方向に移動する傾向を有するように、可動体80に弾性力を与えるために用いられる。本発明の実施例では、第1の弾性部材70は、第1の導磁体40が第1の位置P1に向かって移動する傾向を有するように、可動体80に弾性力を提供するために用いられる。
【0085】
リレーが通常の動作状態にあるとき、第1の弾性部材70が設置されていることにより、第1の導磁体40が可動部材53から遠ざかる方向に移動する傾向を有するように、第1の弾性部材70が可動体80に弾性力を与えることを理解できる。このようにして、第1の導磁体40と可動部材53との間の距離は比較的大きくなり、第1の導磁体40と可動部材53との間の磁気吸引力は大きくならず、可動接触子54と固定接点引出端20との適時の遮断に影響を与えない。
【0086】
また、リレーが通常動作状態にあるとき、可動接触子54を流れる電流値は短絡回路よりもはるかに小さいので、固定導磁体620と第1の導磁体40との間の反発力は大きくならず、通常動作状態において固定導磁体620が第1の導磁体40を可動部材53に向けて移動させるように駆動する事態は生じない。
【0087】
これらを総合すると、リレーが通常の動作状態にあるとき、第1の弾性部材70の弾性予圧力は、固定導磁体620が第1の導磁体40に付勢する反発力と、可動部材53が第1の導磁体40に付勢する磁気吸引力との和を克服するのに十分であるため、リレーの通常の動作状態において、第1の導磁体40を第1の位置P1に維持することができる。
【0088】
図5図10に関連して本発明の実施例が耐短絡能力と極限遮断能力をどのように両立させるかを以下に説明する。
【0089】
図5図7に示すように、リレーは正常な動作状態にあり、可動接触子54に流れる電流値は閾値電流より小さいかまたは同じであり、例えば電流値は2000A未満である。このときの電流値が小さいため、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力も小さく、固定導磁体620と第1の導磁体40との間の反発力も小さくなり、且つ反発力と磁気吸引力との和は、このときの第1の弾性部材70の弾性予圧力よりも小さいため、第1の弾性部材70の弾性力により、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力と、固定導磁体620と第1の導磁体40との間の反発力とを相殺し、第1の導磁体40を第1の位置P1に維持することができる。第1の導磁体40が第1の位置P1に位置するとき、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は第1の間隔H1である。例えば、この第1の間隔H1は1.5mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0090】
上記の閾値電流の大きさは、リレーの種類に応じて調整できることが理解され得る。例えば、リレーの最大遮断電流が大きい場合、閾値電流もより大きく設定することができ、これにより、リレーの正常な動作状態において、第1の導磁体40が依然として第1の位置P1に留まり、第2の位置P2に移動しないことを保証することができる。
【0091】
図8図10に示すように、可動接触子54に流れる電流値が閾値電流より大きい場合、電流は例えば2000Aより大きく、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力及び固定導磁体620と第1の導磁体40との間の反発力は電流値の大きさに比例するため、電流値が大きいほど、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力及び固定導磁体620と第1の導磁体40との間の反発力は大きくなる。磁気吸引力と反発力との和が第1の弾性部材70の弾性予圧力より大きい場合、第1の導磁体40は磁気吸引力に吸引されて反発力によって押圧され、第2の導磁体55に近づく方向に移動するため(即ち、第1の位置P1から第2の位置P2へ移動する)、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の間隔が小さくなる。そして、磁気距離の大きさは磁気吸引力の大きさに反比例するため、つまり、磁気距離が小さいほど、磁気吸引力は大きくなる。短絡電流(閾値電流よりもはるかに大きい)が流れると、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間により大きな磁気吸引力が発生するとともに、第1の導磁体40と固定導磁体620との間に大きな反発力が発生し、この磁気吸引力と反発力との共同により第1の弾性部材70が圧縮され、第1の導磁体40が第2の位置P2に移動することができ、このとき、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離は第2の間隔H2である。第2の間隔H2は、第1の間隔H1よりも小さく、距離が小さくなるにつれて、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の磁気吸引力が大きくなる。したがって、第1の導磁体40はこの大きな磁気吸引力で第2の導磁体55を吸引することができ、この磁気吸引力は短絡電流によって発生する電動反発力に対抗でき、可動接触子54と固定接点引出端20が弾けないように確保し、耐短絡能力を実現する。
【0092】
以上から分かるように、本発明の実施例に係るリレーでは、第1の導磁体40が可動体80を介して接触容器10内に移動可能に設けられて、電流値の大きさに応じて第1の導磁体40と第2の導磁体55との間の距離を調整でき、そして、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間に発生する磁気吸引力の大きさを変更させることで、耐短絡を満たしながら、過負荷遮断の要件も満たすことができる。
【0093】
なお、第1の導磁体40が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する際、第1の弾性部材70が徐々に圧縮されるので、第1の弾性部材70が可動体80に付勢する逆方向弾性力は徐々に大きくなる。可動接触子54に流れる電流値が閾値電流より大きいが短絡電流に達していない場合、徐々に増加する逆方向弾性力により、第1の導磁体40は第1の位置P1と第2の位置P2との間のある中間位置に保持される。可動接触子54に流れる電流値が短絡電流に達すると、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間により大きな磁気吸引力が発生し、この磁気吸引力は、第1の弾性部材70の逆方向弾性力に打ち勝つのに十分であるため、第1の導磁体40は第2の位置P2に向けて移動し続け、第1の磁石導体40が第2の位置P2に達するまで第1の弾性部材70を圧縮し続ける。
【0094】
また、第1の導磁体40が第1の位置P1にあるとき、第1の導磁体40と固定導磁体620との間の距離は非常に小さいまたは互いに当接している。このとき、可動接触子54に流れる電流値が閾値電流よりも大きくなると、第1の導磁体40と固定導磁体620との距離が非常に小さいため、第1の導磁体40と固定導磁体620との間に非常に大きな反発力が発生し、この反発力によって第1の導磁体40が移動を開始するように素早く駆動することができ、第1の導磁体40の移動の応答時間を短縮し、耐短絡の信頼性を向上させることができる。
【0095】
図4図6及び図8に戻り、固定導磁体620は、2つのコネクタ610を介して接触容器10に接続され、2つのコネクタ610の一端は接触容器10に接続され、2つのコネクタ610の他端は固定導磁体620に接続される。固定導磁体620は、板状の構造を有してもよく、ヨーク板13と平行に設置されている。
【0096】
固定部材60がコネクタ610を介して接触容器10に接続されることにより、耐短絡の磁気吸引力が接触容器10に伝達され、接触容器10は固定部品であるため、過剰なコイル保持力が不要となり、リレーのコイルの消費電力の低減、リレーの小型化、耐短絡量能力の向上が図られる。
【0097】
固定導磁体620は、ヨーク板13に向かう第1の側621と、第1の側621とは反対側に設けられる第2の側622とを有する。第1の弾性部材70は第2の側622に設けられ、第1の導磁体40及び可動部材53は第1の側621に設けられ、第1の導磁体40は第1の弾性部材70と可動部材53との間に設けられる。可動体80の一端は第1の弾性部材70に接続され、他端は第1の導磁体40に接続されている。第1の導磁体40、第1の弾性部材70及び固定導磁体60は、いずれも可動接触子54の固定接点引出端20に向かう一側に位置する。
【0098】
第1の導磁体40が第1の位置P1にあるとき、第1の導磁体40は固定導磁体620の第1の側621の表面に当接する。第1の導磁体40が第2の位置P2にあるとき、第1の導磁体40は固定導磁体620から離間する。
【0099】
コネクタ610は棒状であり、コネクタ610の軸方向の一端は絶縁カバー11aのセラミックスカバー11に固定接続され、コネクタ610の軸方向の他端は固定導磁体620に接続される。
【0100】
本発明の実施例において、接触容器10のセラミックスカバー11の頂壁には第3の貫通孔103が開設されており、コネクタ610は第3の貫通孔103に穿設される。コネクタ610の軸方向の一端とセラミックスカバー11との間の接続は、例えば溶接、カシメ、螺着、接着等の様々な方法で実施することができる。コネクタ610の軸方向の他端と固定導磁体620との間の接続も、例えば溶接、カシメ、螺着、接着、スナップ等の様々な方法で実施することができる。
【0101】
コネクタ610の一端が溶接によりセラミックスカバー11に接続される場合、コネクタ610をセラミックスカバー11の頂壁に溶接することにより、頂壁の内壁面には金属化層を加工せずに、頂壁上の外壁面の第3の貫通孔103の周縁のみに金属化層を加工することができ、加工が容易になるだけでなく、加工手順も簡素化されることが理解され得る。
【0102】
コネクタ610の一端は、セラミックスカバー11の外壁面に接続することもできるし、セラミックスカバー11の内壁面に接続することもでき、あるいは同時にセラミックスカバー11の外壁面と内壁面に接続することもできるのが理解されたい。
【0103】
本発明の実施例では、コネクタ610の一端がセラミックスカバー11の第3の貫通孔103の周縁に接続される。
【0104】
固定導磁体620がコネクタ610を介してセラミックスカバー11に接続されているので、一方で、耐短絡の磁気吸引力がセラミックスカバー11に伝達されるため、過剰なコイル保持力が不要となり、リレーのコイルの消費電力の低減、リレーの小型化、耐短絡能力の向上が図られるのが理解できる。他方、セラミックスカバー11に接続されているため、接触チャンバ内のスペースをあまり占有せず、消弧ユニット1300の消弧スペースとプッシュロッドアセンブリ50の活動スペースを確保することができる。
【0105】
また、固定導磁体620は棒状のコネクタ610に接続されるため、固定導磁体620とコネクタ610との間には、例えばカシメ、レーザー溶接、係合、接着などの様々な接続方法を使用することができ、接続方法が豊富になる。
【0106】
一例として、コネクタ610はソリッド(中実)ロッドである。これにより、接続をより確実にするように、コネクタ610と固定導磁体620とをカシメにより接続することができる。また、ソリッドロッドは支持強度が高く、変形しにくい。
【0107】
可動体80の形状は様々な実施例が可能であり、例えば可動体80は柱状であってもよく、可動体80の一端と第1の弾性部材70は、溶接、カシメ、螺着、接着等により接続することができ、可動体80の他端と第1の導磁体40は、溶接、カシメ、螺着、接着等により接続することができる。変形例として、可動体80の形状を逆U字型としてもよく、逆U字型の頂部が第1の弾性部材70に接続され、逆U字型の二つの側部が第1の導磁体40の両側にそれぞれ接続される。
【0108】
一例として、固定導磁体620は、2つのコネクタ610を介してセラミックスカバー11の頂壁から懸架されている。同時に、可動体80の数は2つであってもよいが、これに限定されるものではない。なお、2つのコネクタ610は、セラミックスカバー11の頂壁の内壁面に接続されてもよいし、セラミックスカバー11の頂壁の外壁面に接続されてもよい。
【0109】
可動体80の形状が柱状である場合、固定導磁体620は、第1の側621の表面及び第2の側622の表面を貫通する第1の穿孔623を有する。第1の穿孔623には、可動体80が移動可能に穿設される。第1の位置P1では、第1の導磁体40が固定導磁体620の第1の側621の表面に当接し、可動体80の一端が第1の弾性部材70を押圧して、第1の弾性部材70に弾性予圧力を持たせる。
【0110】
一方では、第1の導磁体40と第1の弾性部材70が固定導磁体620の対向する2つの側面にそれぞれ設けられているため、第1の導磁体40と可動部材53との間には他の構成要素が存在せず、これにより、可動部材53の可動接触子54により大きな電流が流れたときに、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間のギャップはできるだけ小さくすることができ、第1の導磁体40と第2の導磁体55が接触することさえあり、さらに、第1の導磁体40と第2の導磁体55の間の磁気吸引力を増大して、耐短絡能力が向上する。他方で、第1の弾性部材70は、固定導磁体620の第2の側622の表面に設けられており、第1の導磁体40に直接接触していないため、第1の導磁体40の磁極面には影響を与えない。また他方で、可動体80が固定導磁体620の第1の穿孔623に移動可能に穿設されており、可動体80の一端が第1の弾性部材70を押圧し、可動体80の他端が第1の導磁体40に接続されているので、構造がよりコンパクトになり、リレーの本来の構造を変えることはなく、リレーの内部空間を占有しない。また、構造がシンプルになり、組み立ても容易になる。また、第1の導磁体40は可動体80に直接作用し、可動体80は固定導磁体620の第1の穿孔623に穿設されるため、第1の導磁体40の移動中、第1の導磁体40と第2の導磁体55との間に発生する磁気吸引力は、移動部80と第1の弾性部材70とが形成する支点に対してのフォースアームが大きくないため、ひいては発生する応力は比較的小さい。
【0111】
図5に示すように、第1の弾性部材70は、第1の穿孔623に対応する第2の穿孔711を有する。第1の穿孔623及び第2の穿孔711には、可動体80が穿設される。可動体80は、ロッド本体820と押圧キャップ810を備え、押圧キャップ810は、ロッド本体820の一端に設けられ、第2の穿孔711の第1の導磁体40に背向する側の周縁を押圧する。
【0112】
第1の導磁体40が磁気吸引力と反発力との共同の作用により第1の位置P1から第2の位置P2に移動する際、可動体80の押圧キャップ810が第1の弾性部材70を押圧して第1の弾性部材70を圧縮する。
【0113】
可動体80の一端は、第1の弾性部材70に固定接続されてもよいし、移動可能に接続されてもよいし、第1の導磁体40が第1の位置P1から第2の位置P2に移動するときに、可動体80が第1の弾性部材70に付勢して第1の弾性部材70を圧縮できればよい。
【0114】
第1の導磁体40には、第1の穿孔623及び第2の穿孔711の位置に対応する第3の穿孔420が設けられている。可動体80のロッド本体820の外周には段差構造821が設けられており、段差構造821は、第1の導磁体40の第3の穿孔420の第1の弾性部材70に向かう一側の周縁に当接するために用いられる。
【0115】
可動体80、第1の導磁体40、及び第1の弾性部材70を組み立てる際、可動体80は、第1の弾性部材70の第2の穿孔711、固定導磁体620の第1の穿孔623、第1の導磁体40の第3の穿孔420を順に通過する。ロッド本体820の段差構造821は、第3の穿孔420の周縁に当接している。ロッド本体820の可動部材53に向かう側の一端は、例えばカシメによって第1の導磁体40に固定接続される。押圧キャップ810は、第2の穿孔711の周縁を押圧する。
【0116】
図5に示すように、固定導磁体620、第1の導磁体40及び第1の弾性部材70は、いずれも一対の固定接点引出端20の間に位置する。これにより、固定導磁体620、第1の導磁体40及び第1の弾性部材70がリレーの高さ方向の体積を占めることがなくなり、リレー全体の構造がよりコンパクトになり、小型化が可能となる。
【0117】
可動体80は、移動可能に可動部材53の固定接点引出端20に向かう側に設けられており、一対の固定接点引出端20の間に位置している。
【0118】
一実施形態では、接続強度を向上させるために、可動体80が金属材料で形成されている。
【0119】
図11及び図12に示すように、第1の弾性部材70は弾性リード710であってもよく、これにより弾性リード710が占める空間が減少し、第1の導磁体40に移動空間を提供する。
【0120】
第2の弾性部材56は、弾性リードであってもよく、同様に、第2の弾性部材56が占める空間を縮小でき、第1の導磁体40に移動空間を提供する。
【0121】
弾性リード710の両端には回避切欠き701が設けられており、コネクタ610は回避切欠き701を通過する。本発明の実施例では、第1の弾性部材70の両端に回避切欠き701が設けられ、2つのコネクタ610がそれぞれ回避切欠き701を通過する。第1の弾性部材70に回避切欠き701を設けることにより、コネクタ610は第1の弾性部材70を貫通して固定導磁体620に接続することができ、このようにして、コネクタ610、固定導磁体620、第1の弾性部材70及び第1の導磁体40は、組み立て後はよりコンパクトになり、リレーの内部空間を占有しない。
【0122】
もちろん、弾性リード710に回避切欠き701を設けなくてもよいし、或いは、弾性リード710にコネクタ610を通すための穴が開設されてもよい。
【0123】
図13及び図14に示すように、変形例として、第1の弾性部材70は、バネ720であってもよい。バネ720の一端は固定導磁体620に当接し、バネ720の他端は押圧片730に当接している。可動体80の一端は押圧片730に接続されており、押圧片730によってバネ720の他端に押し付けられ、可動体80の他端は固定導磁体620の第1の穿孔623を貫通して第1の導磁体40に接続されている。
【0124】
図15乃至図20に示すように、第2の実施形態のリレーは、第1の実施形態のリレーとほぼ同様の基本構造を有している。従って、第2の実施形態のリレーの以下の説明では、第1の実施形態で既に説明した構造については繰り返さない。なお、第1の実施形態で説明したリレーの構成と同じ構成には同じ参照符号を付している。従って、本実施形態の以下の説明では、第1の実施形態のリレーとの相違点を中心に説明する。
【0125】
本実施例では、固定導磁体620は、コネクタ610によってヨーク板13に接続されている。一方、固定導磁体620はヨーク板13に対して固定して移動しないため、第1の導磁体40と可動部材53との間で発生した磁気吸引力がヨーク板13に伝達され、このため、過大なコイル保持力が不要となり、リレーのコイルの消費電力の低減、リレーの小型化、耐短絡能力の向上が図れる。他方、コネクタ610とヨーク板13との接続操作が容易となり、コネクタ610の接続強度を向上させることができる。また他方、コネクタ610を絶縁カバー11aに接続せずにヨーク板13に接続するので、絶縁カバー11aの構造強度を損ない得る絶縁カバー11aの開孔を回避することができ、絶縁カバー11aの耐爆発能力を向上させることに有利になる。
【0126】
本発明の実施例では、固定導磁体620は、2つのコネクタ610を介してヨーク板13に接続されている。2つのコネクタ610の一端は、固定導磁体620の対向する両端に接続され、2つのコネクタ610の他端は、ヨーク板13の固定接点引出端20に向かう側の表面にそれぞれ接続されている。
【0127】
図18図20に示すように、固定導磁体620、2つのコネクタ610およびヨーク板13は、収納空間30を形成し、可動部材53および第1の導磁体40は、いずれも収納空間30内に移動可能に設置される。
【0128】
一実施形態において、固定導磁体620と2つのコネクタ610は一体構造であって、逆U字形を形成してもよい。好ましくは、固定導磁体620は導磁材料で作られ、コネクタ610の各々は非導磁材料で作られる。
【0129】
勿論、他の実施例では、固定導磁体620と2つのコネクタ610とを別個に接続することもできる。
【0130】
図21図24に示すように、第3の実施形態のリレーは、第1の実施形態のリレーとほぼ同様の基本構造を有している。従って、第3の実施形態のリレーの以下の説明では、第1の実施形態で既に説明した構造については繰り返さない。なお、第1の実施形態で説明したリレーの構成と同じ構成には同じ参照符号を付している。従って、本実施形態の以下の説明では、第1の実施形態のリレーとの相違点を中心に説明する。
【0131】
本実施例では、コネクタ610は筒状構造である。筒状構造の構造強度はより柔らかい。コネクタ610と固定導磁体620とがカシメ、溶接等の手段で接続される場合、コネクタ610と固定導磁体620との間に発生するカシメ応力または溶接応力が、筒状構造のコネクタ610を介してコネクタ610と絶縁カバー11aとの接続箇所に伝達される応力は比較的小さく、これにより、コネクタ610と絶縁カバー11aとの接続強度が確保され、製品の信頼性が向上する。
【0132】
図23および図24に示すように、コネクタ610は、挿通部611とフランジ612とを含む。挿通部611は筒状構造であり、挿通部611は第3の貫通孔103に穿設され、挿通部611の一端は固定導磁体620に接続される。フランジ612は、挿通部611の固定導磁体620から遠ざかる一端の外周面に突設されており、フランジ612は、第3の貫通孔103の周縁に接続されている。
【0133】
筒状構造の底部は、固定導磁体620に接続され、フランジ612は、筒状構造の開口の縁部から筒状構造の外部に向かって半径方向に延びる。
【0134】
筒状構造の底部は、溶接、カシメ、接着などの方法によって、固定導磁体620の第2の側622の表面に接続されてもよいことが理解されよう。
【0135】
図25図27に示すように、第4実施形態のリレーは、第1実施形態のリレーと比較して、第5実施形態のリレーは、第2実施形態のリレーと比較して、第6実施形態のリレーは、第3実施形態のリレーと比較して、ほぼ同様の基本構造を有している。したがって、以下の第4~第6の実施形態のリレーの説明では、第1~第3の実施形態で既に説明した構造は繰り返さない。また、第1~第3実施形態で例示したリレーの構造と同一の構造については、同一の参照符号を付している。そこで、以下の本実施形態の説明では、第1~第3の実施形態のリレーとの相違点を中心に説明する。
【0136】
第4~第6の実施形態のリレーでは、可動部材53は、可動接触子54を含み、第2の導磁体55を含まない。可動接触子54の両端が一対の固定接点引出端20に接触すると、可動接触子54に電流が流れることにより、可動接触子54の長手方向の外周において可動接触子54を取り囲む導磁回路が形成される。第1の導磁体40の存在により、導電回路の磁界の大部分は第1の導磁体40に収束して第1の導磁体40を磁化し、これにより第1の導磁体40と電流が流れる可動接触子54との間に接触圧力の方向に沿って磁気吸引力が発生し、この磁気吸引力は、短絡電流による可動接触子54と固定接点引出端20との間に発生する電動反発力に抵抗することができ、可動接触子54と固定接点引出端20とが弾けないように確保する。
【0137】
第1の導磁体40は可動体80を介して可動部材53に対して移動可能であり、可動接触子54に流れる電流値の大きさに応じて、第1の導磁体40と可動部材53の可動接触子54との間の距離を調整することで、耐短絡能力と極限遮断能力を両立する。
【0138】
図28~30に示すように、第7の実施形態のリレーは、前記実施形態のリレーと比べてほぼ同様の基本構造を有している。従って、第7の実施形態のリレーの以下の説明では、前記実施形態で既に説明した構造については繰り返さない。なお、前記実施形態で説明したリレーの構成と同じ構成には同じ参照符号を付している。従って、本実施形態の以下の説明では、前記実施形態のリレーとの相違点を中心に説明する。
【0139】
本実施例において、第1の導磁体40は、数枚積層された第1の導磁片410を含んでもよい。一方、第1の導磁片410の厚みは比較的薄く、薄いテープ材を使ってもよく、材料のコストが安く、取り扱い易い。他方、第1の導磁片410の枚数は、短絡電流の大きさに応じて柔軟に調整することができ、それによって第1の導磁体40の厚さを増減させることができる。
【0140】
各第1の導磁片410には第3の穿孔420が設けられており、数枚の第1の導磁片410が積層された後、複数の第3の穿孔420の位置が対応する。第3の穿孔420は、第1の穿孔623及び第2の穿孔711の位置に対応している。移動体80、第1の導磁体40および第1の弾性部材70を組み立てる際、移動部80は、第1の弾性部材70の第2の穿孔711、固定導磁体620の第1の穿孔623、および第1の導磁体40の複数の第3の穿孔420を順に通過する。ロッド本体820の段差構造821は、数枚の第1の導磁片410のうち、移動部材53から最も遠い第1の導磁片410の第3の透孔420の周縁に当接している。ロッド本体820の可動接触子54に向かう一端は、数枚の第1の導磁片410のうち移動部材53に最も近い第1の導磁片410に、例えばカシメによって固定接続されている。
【0141】
第1の位置P1において、第1の導磁体40における複数の第1の導磁片410のうち可動部材53から最も遠い第1の導磁片410は、固定導磁体620の第1の側621の表面に当接される。隣接する2つの第1の導磁片410は、溶接、カシメ、接着等によって接続されてもよい。もちろん、隣接する2つの第1の導磁片410は、互いに直接接触してもよい。
【0142】
固定導磁体620は、積層された複数の第2の導磁片624を含む。一方、第2の導磁片624は、厚さが薄く、薄いテープ材料を使ってもよく、材料のコストが安く、取り扱い易い。他方、第2の導磁片624の枚数は、短絡電流の大きさに応じて柔軟に調整することができ、それによって固定導磁体620の厚さを増減させることができる。
【0143】
隣接する2つの第2の導磁片624は、溶接、カシメ、接着等により互いに接続されてもよい。もちろん、隣接する2つの第2の導磁片624は、互いに直接接触していてもよい。
【0144】
もちろん、他の実施例では、第1の導磁体40は、積層された複数の第1の導磁片410を含み、固定導磁体620は一体物である、あるいは、固定導磁体620は、積層された複数の第2の導磁片624を含み、第1の導磁体40は一体物である。
【0145】
さらに、第1の導磁体40が複数の積層された第1の導磁片410を含むか否か、および固定導磁体620が複数の積層された第2の導磁片624を含むか否かは、上記実施例と互いに組み合わせてもよい。例を挙げれば、第2の実施例のリレーにおいて、第1の導磁体40は、積層された複数の第1の導磁片410を含み、固定導磁体620は一体物であってもよい、あるいは、固定導磁体620は、積層された複数の第2の導磁片624を含み、第1の導磁体40は一体物である、あるいは、第1の導磁体40は、積層された複数の第1の導磁片410を含み、固定導磁体620は、積層された複数の第2の導磁片624を含む。なお、本発明が提供する様々な実施例/実施例は、矛盾を生じることなく互いに組み合わせることができ、ここでは説明を省略する。
【0146】
発明の実施例では、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「1」、「1対」は、説明の目的のためにのみ使用され、相対的な重要性を示す、又は暗示するためのものとして理解すべきではない。用語「複数」は、特に限定されない限り、2つまたは2つ以上を意味する。「取り付け」、「接する」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解されなければならない。例えば、「接続」は固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的に接続してもよい。「接する」は、直接接続することも、中間媒体を介して間接的に接続することもできる。本発明の実施例における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0147】
本発明の実施例の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に基づく方位又は位置関係であり、単に、本発明の実施例の説明及び説明の簡略化を容易にするためのものであって、指し示すデバイス又はユニットが特定の向きを持ち、特定の方位で構成及び動作する必要があることを示す又は暗示するのではないため、発明の実施例に対する制限とは理解できない。
【0148】
本明細書の説明において、用語「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「特定の実施例」などの説明は、この実施例又は例に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特徴が発明の実施例の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上述の用語の概略的な表現は必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方法で結合することができる。
【0149】
以上は発明の実施例の好適な実施例にすぎず、発明の実施例を限定するためには使用されず、当業者にとっては、発明の実施例は種々の変更及び変化が可能である。発明の実施例の精神と原則の中で行ったいかなる修正、同等置換、改良などは、発明の実施例の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0150】
10、接触容器; 101、接触チャンバ; 102、第1の貫通孔; 103、第3の貫通孔;
11a、絶縁カバー; 11、セラミックスカバー; 12、フランジ部材; 13、ヨーク板; 131、第2の貫通孔; 20、固定接点引出端;
30、収容空間;
40、第1の導磁体、 410、第1の導磁片、 420、第3の穿孔;
50、プッシュロッドアセンブリ; 51、ロッド部; 52、ベース; 53、可動部材; 54、可動接触子; 55、第2の導磁体; 56、第2の弾性部材; 57、スライド構造; 571、リミット部; 572、リミット孔;
610、コネクタ; 611、挿入部; 612、フランジ; 620、固定導磁体; 621、第1の側; 622、第2の側; 623、第1の穿孔、 624、第2の導磁片;
70、第1の弾性部材; 701、回避切欠き; 710、弾性リード; 711、第2の穿孔; 720、バネ; 730、押圧片;
80、可動体; 810、押圧キャップ; 820、ロッド本体; 821、段差構造;
1100、ハウジング; 1110、第1のケース; 1120、第2のケース; 1130、露出孔;
1200、電磁石ユニット; 1210、コイルボビン; 1220、コイル; 1230、固定鉄心; 1231、貫通孔; 1240、可動鉄心; 1250、リセット部材;
1300、消弧ユニット; 1310、消弧磁石; 1320、ヨーククランプ;
1400、シールユニット; 1410、金属カバー;
P1、第1の位置; P2、第2の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30