(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151336
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241017BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113608
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023064203の分割
【原出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】514038580
【氏名又は名称】株式会社ウェイビー
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】竹田 将史
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA01
(57)【要約】
【課題】経営者の注目や希望する情報を高いマッチング精度で提供する。
【解決手段】本発明の情報提供装置1は、企業経営に係る利用者に要求されたコンテンツを利用者に提供するコンテンツ提供部11と、2以上の利用者について、利用者を識別可能な利用者情報とコンテンツ提供部11により利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部17と、履歴において利用者と共通のコンテンツを有する他の利用者と対応付けられた第1履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択する履歴情報選択部12と、第1履歴情報に含まれ、利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択する推奨コンテンツ選択部13と、1以上の推奨コンテンツを利用者に推奨する推奨情報を利用者に提供する推奨情報提供部14とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業経営に係る利用者に要求されたコンテンツを前記利用者に提供するコンテンツ提供部と、
2以上の利用者について、前記利用者を識別可能な利用者情報と前記コンテンツ提供部により前記利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部と、
前記履歴において前記利用者と共通のコンテンツを有する他の利用者と対応付けられた第1履歴情報を、前記記憶部に記憶された複数の履歴情報から選択する履歴情報選択部と、
前記第1履歴情報に含まれ、前記利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択する推奨コンテンツ選択部と、
前記1以上の推奨コンテンツを前記利用者に推奨する推奨情報を前記利用者に提供する推奨情報提供部と、
を備え、
前記コンテンツは、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含む、
情報提供装置。
【請求項2】
前記利用者情報には、前記利用者の属性に係る属性情報が含まれ、
前記履歴情報選択部は、前記属性情報において前記利用者と共通の属性を有する他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、前記記憶部に記憶された複数の履歴情報から選択可能であり、
前記推奨コンテンツ選択部は、前記第2履歴情報に含まれ、前記利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択可能である、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記属性情報には、前記利用者の業績に係る業績情報が含まれ、
前記履歴情報選択部は、前記属性情報において前記利用者と共通の属性を有し、前記業績が所定の基準を満たす他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、前記記憶部に記憶された複数の履歴情報から選択可能である、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記属性情報には、前記利用者に係る企業経営の課題及びその解決状況に係る課題情報が含まれ、
前記履歴情報選択部は、前記利用者の課題情報に含まれる課題のうち解決状況が未解決である課題の解決状況が解決済である他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、前記記憶部に記憶された複数の履歴情報から選択可能である、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
企業経営を支援する支援者に前記履歴情報を提供可能な履歴情報提供部と、
前記履歴情報提供部により提供された前記履歴情報に基づいて前記支援者が推奨した支援者推奨コンテンツを前記支援者から受信可能な推薦受信部と、
をさらに備え、
前記推奨情報提供部は、前記支援者推奨コンテンツを前記利用者に推奨する推奨情報を前記利用者に提供可能である、
請求項1に記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業経営に有用な情報を提供する技術に関し、特許文献1は、異なる視点での医療機関の経営に関する複数の質問を経営者に対して順次に行い、経営者が回答した入力事項に基づいて、複数の他医療機関の診断結果との比較から得られる経営に関する偏差値を計算し、この偏差値に基づいて、医療機関の経営者に経営指針の結果やコメントを提示する技術を開示している。特許文献1の技術によれば、経営者が質問に回答するだけで、瞬時に経営に関しての分析がなされるため、自社の現状分析(強み・弱み・他社との比較)と、さらに改善していくための具体的な行動を知り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、予め準備された質問に対する回答に基づいて、医療機関という同業者間の相対評価により現状分析を行い、その結果やコメントを作成して経営者に提供している。即ち、特許文献1の技術は、情報を提供する側から経営者に対する一方通行的な情報の提供を行っている。そのため、企業経営に係る情報が多種多様であり、且つ経済的や政治的な環境の変化により頻繁に更新されることもあって、提供される情報と経営者の注目や希望する情報とにミスマッチが生じ易いという点においてさらなる改良の余地がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)、自治体、商工会議所、士業、コンサルなどの経営支援者を通じて、経営者の注目や希望する情報を高いマッチング精度で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、利用者に要求されたコンテンツを、共通のコンテンツを有した他の利用者の履歴情報から推奨コンテンツとして選択して利用者に提供することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
企業経営に係る利用者に要求されたコンテンツを前記利用者に提供するコンテンツ提供部と、
2以上の利用者について、前記利用者を識別可能な利用者情報と前記コンテンツ提供部により前記利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部と、
前記履歴において前記利用者と共通のコンテンツを有する他の利用者と対応付けられた第1履歴情報を、前記記憶部に記憶された複数の履歴情報から選択する履歴情報選択部と、
前記第1履歴情報に含まれ、前記利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択する推奨コンテンツ選択部と、
前記1以上の推奨コンテンツを前記利用者に推奨する推奨情報を前記利用者に提供する推奨情報提供部と、
を備え、
前記コンテンツは、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含む、
情報提供装置。
【0008】
上記の構成によれば、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツを利用者に要求させておき、共通のコンテンツを要求した他の利用者に提供されたコンテンツの履歴情報から、利用者の履歴情報に含まれない推奨コンテンツを選択して利用者に提供することによって、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報が多種多様で頻繁に更新されるものであっても、共通する興味や注目を持った利用者間において利用されたコンテンツが優先的に提供されるため、利用者の注目や希望するコンテンツの情報を高いマッチング精度で提供することができる。これにより、例えば、利用者が自身の業種、本社所在地、興味、関心、課題などを「企業経営に係る情報」として登録すると、本発明の構成がパーソナライズした情報として、経営情報、経営者の課題解決ができる具体の会社や商品などのソリューション提案の情報、経営者同士のマッチング情報を提供することができる。加えて、同業種、同本店所在地、同じ関心・興味を持つ他の利用者の履歴情報から推奨コンテンツとして選択し利用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の注目や希望する情報を高いマッチング精度で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態の情報提供装置と各端末との情報の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の情報提供装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、複数のデータテーブルが紐付けられた状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は、利用者端末の表示状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、情報提供プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0012】
(情報提供装置1)
図1に示すように、情報提供装置1は、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツを、予め利用者に要求させておき、共通のコンテンツを要求した他の利用者に提供されたコンテンツの履歴情報から、利用者の履歴情報に含まれないコンテンツを推奨コンテンツとして選択して利用者に提供するように構成されている。例えば、情報提供装置1は、経営者が自身の業種、本社、興味、関心、課題などを登録すると、パーソナライズした推奨コンテンツとして、経営情報、経営者の課題解決ができる具体の会社や商品などのソリューション提案の情報、経営者同士のマッチング情報を利用者に提供するように構成されており、さらに、経営者に対して、本人の興味などに限らず、同業者の興味関心などに基づいて、上記のコンテンツを利用者に推薦するように構成されている。
【0013】
具体的な一例を示すと、情報提供装置1は、企業経営に係る利用者に要求されたコンテンツを利用者に提供するコンテンツ提供部11と、2以上の利用者について、利用者を識別可能な利用者情報とコンテンツ提供部11により利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部17と、履歴において利用者と共通のコンテンツを有する他の利用者と対応付けられた第1履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択する履歴情報選択部12と、第1履歴情報に含まれ、利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択する推奨コンテンツ選択部13と、1以上の推奨コンテンツを利用者に推奨する推奨情報を利用者に提供する推奨情報提供部14と、を備えており、コンテンツは、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含んでいる。
【0014】
図2に示すように、記憶部17は、情報提供装置1に備えられた通信部18及びインターネット等の情報通信網5を介して利用者端末(B1~B3)2や支援者端末(C1)3、情報提供者端末(A1)4にデータ通信可能に接続されている。各端末2・3・4は記憶部17に記憶された履歴情報やコンテンツ情報等の各種の情報を更新するとともに、情報を記憶部17に記憶させる手段を備えている。尚、記憶部17は、情報提供装置1とは別に、情報通信網5に接続されたデータサーバであってもよい。
【0015】
ここで、「企業経営に係る利用者」は、企業の経営者を意味する。「企業」は、営利及び非営利の何れであってもよい。また、株式会社や合同会社のような法人及び個人事業のような自然人であってもよい。従って、企業は、営利を目的として設立された会社、非営利を目的として設立された病院や学校、団体であってもよい。経営者は、企業や組織の経営責任を持つ人物のことを意味する。従って、「企業経営に係る利用者」は、自らの意思決定やリーダーシップを通じて、企業の方向性や目標を決定し、その実現に向けた戦略的な判断を行う者である。但し、利用者は、社長に限定されるものではなく、役員であってもよいし、企業の規模によっては従業員であってもよい。
【0016】
「企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツ」は、利用者(経営者)が興味を持ちそうな情報であり、主に、経営に関連する情報を意味する。コンテンツは、企業経営にとって重要なニュースやブログ記事、動画であってもよい。具体的には、「起業準備プログラム」や「スタートアッププログラム」、「成長期支援プログラム」、「事業承継者プログラム」、「後継ぎアトツギプログラム」、「女性経営者プログラム」、「マーケティングプログラム」、「組織化・仕組みプログラム」、「デジタル活用プログラム」、「補助金・助成金徹底活用プログラム」などのコンテンツが例示される。すなわち、コンテンツは、ニュース・記事等に限定されず、各種のソリューションであってもよい。これにより、情報提供装置1は、企業経営に係る共通点がある他の利用者等が最近使用して効果のあったソリューションをコンテンツとして提案できる。これにより、コンテンツの利用者は、補助金や助成金、同業他社の新規事業例、成功事例、経営の課題及び解決、成長支援の動画、記事コンテンツ、金融機関の取組、外部企業との提携情報等の収益に直結する情報、新しい制度融資情報等の情報を得ることができる。
【0017】
尚、コンテンツは、自動車での移動途中やランチ途中のような仕事と仕事との間に存在する隙間時間(20分程度)で視聴できる程度の分量であることが好ましい。また、「コンテンツ」は、経済状況や政治状況に応じて最新の情報に随時に更新されることが好ましい。「コンテンツ」は、更新後に優先的に推奨コンテンツとして選択されるように、更新日時や更新マークがコンテンツに対応付けられることが好ましい。
【0018】
コンテンツ提供部11における「利用者に要求」及び「利用者に提供」は、利用者端末(B1~B3)2により行われている。利用者端末(B1~B3)2は、一般的な据置型の情報処理装置、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末装置が例示される。「要求」は、経営者が利用者端末(B1~B3)2に情報提供プログラムをインストールして初期設定を行う場合や設定後に要求操作された場合に、経営者が興味のあるコンテンツをコンテンツ一覧から選択することで行われる。
【0019】
尚、コンテンツを選択する際に、「要求」の優先順位が経営者により設定されてもよい。この場合は、複数のコンテンツが推奨候補となった場合に、優先順位の高いコンテンツから順番に利用者に提供することができる。また、提供するコンテンツ数に制限が設定されている場合は、優先順位の高いコンテンツから制限数までのコンテンツを利用者に提供することができる。優先順位が設定されていない場合は、共有数の多いコンテンツが優先順位の高いコンテンツとされてもよい。また、「要求」の優先順位は、利用者情報の属性項目に基づいて設定されてもよい。属性項目は、例えば、企業の業種や企業の規模、企業の設立年月日、利用者の年齢、利用者の性別、利用者の興味、企業の業績、利用者が注目する企業経営の課題、課題の解決状況等が例示される。「提供」は、利用者端末(B1~B3)2の表示画面にコンテンツを表示することにより行われるが、文字情報の場合は、音声により読み上げられてもよい。
【0020】
また、コンテンツ提供部11における「利用者に提供」は、電子メールの配信形式である「Eメールマガジン」等の電子メール配信や、LINE(登録商標)等のインスタントメッセージングアプリケーションにより行われている。
【0021】
「利用者を識別可能な利用者情報」は、経営者が利用者端末(B1~B3)2に情報提供プログラムをインストールして初期設定を行う場合に自動的に付与されてもよいし、マイナンバーカードの個人番号のような各人に付与されたカード情報の読み取りや、指紋、音声、顔などの生体認証の読み取りにより付与されてもよい。「コンテンツの履歴」は、1年や半年などのように、履歴として残す期間が設定されていてもよい。また、コンテンツの種類により履歴に残す期間が異なっていてもよい。これにより、コンテンツの古い履歴に基づいて、最近更新されたコンテンツが提供対象から排除される可能性を低くすることができる。また、「コンテンツの履歴」は、更新情報がコンテンツに対応付けられていてもよい。この場合は、利用者と他の利用者とに提供されたコンテンツが同一であっても、更新情報に基づいて推奨コンテンツ情報として選択することが可能になる。
【0022】
「共通のコンテンツ」は、利用者に提供されたコンテンツと、他の利用者に提供されたコンテンツとの1種類以上が同一のコンテンツであることを意味する。第1~第5コンテンツが利用者に提供され、第3~第10コンテンツが他の利用者に提供された場合は、第3~第5コンテンツが共通コンテンツとなる。履歴情報選択部12における「選択」及び推奨コンテンツ選択部13における「選択」は、コンテンツに優先順位が設定されている場合、その優先順位に従って選択される。優先順位が設定されていない場合は、ランダムに選択されてもよいし、更新日付の新しい順や古い順に選択されてもよい。尚、「選択」の順序は、初期設定等において利用者に設定可能にされていることが好ましい。
【0023】
上記の構成において、例えば、第1~第30コンテンツからなる30種類のコンテンツの内で、利用者が第1~第7コンテンツの提供を要求し、他の利用者が第3~第11コンテンツの提供を要求していた場合は、利用者の識別情報に対応付けて第1~第7コンテンツが要求コンテンツ情報として記憶部17に記憶される一方、他の利用者の識別情報に対応付けて第3~第11コンテンツが要求コンテンツ情報として記憶部17に記憶される。そして、第1~第5コンテンツが提供コンテンツとして利用者に提供され、第3~第10コンテンツが提供コンテンツとして他の利用者に提供された場合は、利用者の識別情報に対応付けて第1~第5コンテンツが履歴情報として記憶部17に記憶される一方、他の利用者の識別情報に対応付けて第3~第10コンテンツが履歴情報として記憶部17に記憶される。
【0024】
この場合において、予め利用者により設定された所定の条件(毎日の午後12時半等)が成立したときに、履歴情報選択部12の処理が開始され、第3~第5コンテンツが共通のコンテンツとして第1履歴情報とされる。そして、推奨コンテンツ選択部13の処理が実行され、第1履歴情報における他の利用者に提供された第3~第10コンテンツの内で、利用者の履歴情報に含まれない第6~第10コンテンツが推奨コンテンツ情報として選択される。その後、推奨情報提供部14の処理が実行され、利用者が要求している第6コンテンツと第7コンテンツとが推奨情報として利用者に提供される。この際、第6コンテンツと第7コンテンツに優先順位が設定されている場合は、優先順位の高いコンテンツから順番に利用者に提供される。
【0025】
これにより、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツを利用者に要求させておき、共通のコンテンツを要求した他の利用者に提供されたコンテンツの履歴情報から、利用者の履歴情報に含まれない推奨コンテンツを選択して利用者に提供することによって、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報が多種多様で頻繁に更新されるものであっても、共通する興味や注目を持った経営者等の利用者間において利用されたコンテンツが優先的に提供されるため、利用者の注目や希望するコンテンツの情報を高いマッチング精度で提供することができる。即ち、情報提供装置1は、経営支援者が経営者に対して、各利用者の属性からパーソナライズされた情報を提供し、共通のコンテンツを持つ利用者の履歴情報を用い、マッチングや課題の提案を行うことが可能になっている。この結果、例えば、銀行と企業との関係において、銀行が経営支援者として情報提供装置1を採用し、企業の経営者に利用者としてコンテンツを提供するようにすれば、今まで行員が行っていた各企業に対応した細かな本業支援の少なくとも一部を情報提供装置1によるコンテンツの提供により代用させることができる。
【0026】
さらに、情報提供装置1は、入力受付部191に接続された入力装置102と、表示制御部192に接続された表示装置101とを有している。入力装置102は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置等が例示される。表示装置101は、液晶表示装置等が例示される。これにより、情報提供装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、情報提供装置1は、入力装置102及び表示装置101の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置102及び表示装置101が図示しない外部端末に備えられるため、例えば銀行員等の顧客担当者が端末装置を所持し、利用者の会社や事務所まで行けば、利用者の利用者端末(B1~B3)2と顧客担当者の端末装置とを用いて各種のアドバイスやサービスを対面で行うことができる。
【0027】
(データテーブル)
記憶部17は、利用者情報や要求コンテンツ情報等の各種の情報(データ)をデータテーブルの対応形態で記憶している。具体例を示すと、
図3に示すように、記憶部17は、利用者テーブル171と要求コンテンツテーブル172と履歴テーブル173とログテーブル174とコンテンツテーブル175とを有している。利用者テーブル171と要求コンテンツテーブル172と履歴テーブル173とログテーブル174とは、利用者識別情報により紐付けられている。
【0028】
利用者テーブル171は、利用者識別項目と属性項目とを対応付けて有している。属性項目は、業種項目と規模項目と設立年月日項目と年齢項目と性別項目と興味項目と企業業績項目と課題項目(企業経営の課題、解決情報)とを対応付けて有している。利用者テーブル171のデータは、利用者端末(B1~B3)2の利用者設定画面において、各項目の入力部に利用者がデータを入力することにより記憶される。尚、企業業績項目は、決算報告に基づいて銀行が自動又は手動でデータを入力してもよい。
【0029】
利用者識別項目のデータ領域は、利用者の識別情報を記憶する。業種項目のデータ領域は、IT(information technology)や化粧品等の業種を記憶する。規模項目のデータ領域は、利用者の企業の従業員数を記憶する。設立年月日項目のデータ領域は、利用者の企業の設立年月日を記憶する。年齢項目のデータ領域は、利用者の年齢を記憶する。性別項目のデータ領域は、利用者の性別を記憶する。興味項目のデータ領域は、利用者が受け取りたいコンテンツの種類を記憶する。企業業績項目は、決算時の利益に応じて優、良、可、不可等の複数段階のレベルを記憶する。課題項目(企業経営の課題、解決状況)のデータ領域は、利用者が考える企業の経営の課題と、課題の解決状況を記憶する。
【0030】
これにより、利用者テーブル171において、例えば、利用者識別情報が「B0028」の利用者は、属性情報においてITの業種、従業員数が35人、2015年7月13日に設立した企業、利用者の年齢が35歳の男性、補助金に興味、業績が良好であって、補助金の情報収集についての課題が未解決であることが分かる。
【0031】
要求コンテンツテーブル172は、利用者識別項目と要求コンテンツ項目とを対応付けている。要求コンテンツ項目のデータ領域は、コンテンツの種類を示すデータを記憶する。例えば、要求コンテンツとして「C10」が記憶された場合は、「C10」に対応する「補助金・助成金徹底活用プログラム」が要求コンテンツとなる。また、要求コンテンツとして「C7」が記憶された場合は、「C7」に対応する「マーケティングプログラム」が要求コンテンツとなる。これにより、要求コンテンツテーブル172において、例えば、利用者識別情報が「B0028」の利用者は、「C10」に対応する「補助金・助成金徹底活用プログラム」を要求コンテンツとしていることが分かる。
【0032】
履歴テーブル173は、利用者識別項目と提供コンテンツ項目と支援者推奨コンテンツ項目とを対応付けている。提供コンテンツ項目のデータ領域は、利用者に提供されたコンテンツの種類を記憶する。支援者推奨コンテンツ項目のデータ領域は、支援者端末(C1)3から送信された支援者推奨コンテンツの情報を記憶する。これにより、履歴テーブル173において、例えば、利用者識別情報が「B0028」の利用者は、「C10」に対応する「補助金・助成金徹底活用プログラム」が提供され、さらに、S10の支援者推薦コンテンツが提供されることが分かる。ここで、「支援者推薦コンテンツ」は、弁護士や税理士、会計士、行政書士、司法書士等の支援者により作成されたコンテンツである。
【0033】
ログテーブル174は、利用者識別項目とログ項目とを対応付けている。ログ項目のデータ領域は、利用者が利用者端末(B1~B3)2を操作した内容を記憶する。これにより、ログテーブル174において、例えば、利用者識別情報が「B0028」の利用者は、ログ内容L8とログ内容L5とで示された操作を利用者端末(B1~B3)2において行ったことが示される。
【0034】
コンテンツテーブル175は、提供者識別項目とコンテンツ項目とを対応付けている。コンテンツ項目のデータ領域は、情報提供者端末(A1)4から送信されたコンテンツ情報を記憶する。これにより、コンテンツテーブル175において、例えば、「A023」の提供者は、情報提供者端末(A1)4により「C10」の「補助金・助成金徹底活用プログラム」に対応するコンテンツ情報を記憶させたことが分かる。
【0035】
以上の各データテーブル171・172・173・174・175のテーブルデータは、単独の記憶部17に記憶されていてもよいし、複数のデータサーバに分散して記憶されていてもよい。テーブルデータが複数のデータサーバに分散して記憶された場合は、利用者の人数やコンテンツの種類・履歴等が多くなった場合でも、情報の更新処理に要する負荷を軽減することができる。上述の構成により、以上の各データテーブル171・172・173・174・175のテーブルデータに多くの利用者の情報が記憶される。これにより、情報提供装置1は、業種・規模等の属性に応じてその属性毎の情報をまとめることができる。そして、情報提供装置1は、このようにまとめられた情報を支援者等に提供できる。これにより、支援者は、属性毎にまとめられたデータに基づいて様々なアドバイスができるようになる。
【0036】
(利用者端末(B1~B3)2の表示例)
図4に示すように、利用者端末(B1~B3)2であるスマートフォンは、コンテンツ表示部21とボタン集合部22とを有している。コンテンツ表示部21は、コンテンツ情報を表示する領域である。ボタン集合部22は、コンテンツを選択可能にするコンテンツ選択ボタン221~225と、ログインボタン220とを有している。ログインボタン220は、利用者端末(B1~B3)2を情報提供装置1として機能させるためのボタンであり、例えば、コンテンツ選択ボタン221~225の入力を可能にすると共に、コンテンツ表示部21におけるコンテンツ情報の表示を可能にする。
【0037】
コンテンツ選択ボタン221~225は、コンテンツの内容を端的に示すタイトルが表示されている。例えば、コンテンツ選択ボタン221・222・223・224・225には、「デジタル顧問」、「〇〇銀行HP」、「経営支援ニュース集」「補助金・助成金」、「成長支援コンテンツ」がそれぞれ表示されている。尚、これらのコンテンツ選択ボタン221~225を有したボタン集合部22は、横スクロールや縦スクロールが可能にされることによって、利用者が目的とするタイトルのボタンに容易に辿りつけるようになっている。また、コンテンツ選択ボタン221~225は、重要度に応じて配置が変更されるようになっており、最重要な6個等の複数のボタン221~225が初期画面に配置されるようになっている。尚、ログインボタン220は、利用者端末(B1~B3)2を情報提供装置1として機能させるためのボタンであるため、所定位置に固定した配置にされていることが好ましい。また、本実施形態においては、利用者端末(B1~B3)2がスマートフォンである場合を例示したが、これに限定されるものではなく、タブレット端末等の情報処理装置であってもよい。
【0038】
以上の情報提供装置1は、さらに、以下の構成1~4を備えていてもよい。
【0039】
(構成1)
図1及び
図3に示すように、情報提供装置1において、利用者情報には、利用者の属性に係る属性情報が含まれ、履歴情報選択部12は、属性情報において利用者と共通の属性を有する他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択可能であり、推奨コンテンツ選択部13は、第2履歴情報に含まれ、利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択可能である構成を備えてもよい。
【0040】
上記の構成によれば、利用者の属性情報と他の利用者の属性情報とを共通させると、利用者と他の利用者との経営環境や規模、経営状態等が近い関係の第2履歴情報が選択可能になる。これにより、利用者が重要視するコンテンツを高い精度で提供することが可能になる。
【0041】
(構成2)
情報提供装置1において、属性情報には、利用者の業績に係る業績情報が含まれ、推奨コンテンツ選択部13は、属性情報において利用者と共通の属性を有し、業績が所定の基準を満たす他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択可能な構成を備えてもよい。
【0042】
上記の構成によれば、利用者の属性情報と他の利用者の属性情報とを共通させると、利用者と他の利用者との経営環境や規模、経営状態等が近い関係となり、さらに業績が所定の基準を満たす他の利用者の第2履歴情報を選択可能にすることによって、利用者に重要視され、且つ業績好調な優良なコンテンツを高い精度で提供することが可能になる。
【0043】
(構成3)
情報提供装置1において、属性情報には、利用者に係る企業経営の課題及びその解決状況に係る課題情報が含まれ、履歴情報選択部12は、利用者の課題情報に含まれる課題のうち解決状況が未解決である課題の解決状況が解決済である他の利用者と対応付けられた第2履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択可能である構成を備えてもよい。
【0044】
上記の構成によれば、利用者の属性情報と他の利用者の属性情報とを共通させると、利用者と他の利用者との経営環境や規模、経営状態等が近い関係となり、さらに利用者の課題情報に含まれる課題のうち解決状況が未解決である課題の解決状況が解決済である第2履歴情報を選択可能にすることによって、利用者に重要視され、且つ解決済みの課題の内容からなる優良なコンテンツを高い精度で提供することが可能になる。
【0045】
(構成4)
情報提供装置1は、企業経営を支援する支援者に履歴情報を提供可能な履歴情報提供部16と、履歴情報提供部16により提供された履歴情報に基づいて支援者が推奨した支援者推奨コンテンツを支援者から受信可能な推薦受信部15と、をさらに備え、推奨情報提供部14は、支援者推奨コンテンツを利用者に推奨する推奨情報を利用者に提供可能である構成を備えてもよい。ここで、「支援者」は、弁護士や税理士、会計士、行政書士、司法書士等の士業、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)、自治体、商工会議所、経営コンサルタント等が例示される。
【0046】
上記の構成によれば、さらに、利用者の履歴情報に基づいて支援者が推奨した支援者推奨コンテンツが利用者に提供されることによって、利用者が要求する以上の優良なコンテンツを支援者推奨コンテンツとして高い精度で提供することが可能になる。
【0047】
(制御部10:情報提供プログラム)
情報提供装置1におけるコンテンツ提供部11、履歴情報選択部12、推奨コンテンツ選択部13、推奨情報提供部14、推薦受信部15、履歴情報提供部16、入力受付部191、及び表示制御部192は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部11~16・191・192は、少なくとも制御部10の一部を構成している。各部11~14がソフトウェアにより構成されている場合は、制御部10であるコンピュータに、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツを、予め利用者に要求させておき、共通のコンテンツを要求した他の利用者に提供されたコンテンツの履歴情報から、利用者の履歴情報に含まれないコンテンツを推奨コンテンツとして選択して利用者に提供する情報提供プログラムを実行させるようになっている。
【0048】
図5を用いて具体的に説明すると、2以上の利用者について、利用者を識別可能な利用者情報と利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部17を備えた情報提供装置1の情報提供プログラムは、企業経営に係る利用者に要求され、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含んだコンテンツを利用者に提供するコンテンツ提供ステップ(S1)と、履歴において利用者と共通のコンテンツを有する他の利用者と対応付けられた第1履歴情報を、記憶部17に記憶された複数の履歴情報から選択する履歴情報選択ステップ(S2)と、第1履歴情報に含まれ、利用者の履歴情報に含まれない1以上のコンテンツから1以上の推奨コンテンツを選択する推奨コンテンツ選択ステップ(S3)と、1以上の推奨コンテンツを利用者に推奨する推奨情報を利用者に提供する推奨情報提供ステップ(S4)とを実行させる。尚、情報提供プログラムは、推薦受信部15の処理ステップ及び履歴情報提供部16の処理ステップをコンピュータに実行させてもよい。
【0049】
上記のプログラムによれば、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報を含むコンテンツを利用者に要求させておき、共通のコンテンツを要求した他の利用者に提供されたコンテンツの履歴情報から、利用者の履歴情報に含まれない推奨コンテンツを選択して利用者に提供することによって、企業経営に係る記事及び企業経営に係る情報が多種多様で頻繁に更新されるものであっても、共通する興味や注目を持った利用者間において利用されたコンテンツが優先的に提供されるため、利用者の注目や希望するコンテンツの情報を高いマッチング精度で提供することができる。さらに、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を情報提供装置1として機能させることができる。尚、プログラムは、CDROMやUSBメモリ等の記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネット等の双方向やテレビ放送等の一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0050】
(情報提供方法)
情報提供プログラムにおける一部や全部のステップがハードウェアにより構成されていてもよい。即ち、情報提供装置1は、情報提供方法を実行可能に構成されていればよい。具体的に説明すると、情報提供方法は、2以上の利用者について、利用者を識別可能な利用者情報と利用者に提供されたコンテンツの履歴との対応付けである履歴情報が格納される記憶部17を備えた情報提供装置1において実行されるものであり、コンテンツ提供ステップ(S1)と、履歴情報選択ステップ(S2)と、推奨コンテンツ選択ステップ(S3)と、推奨情報提供ステップ(S4)とを有している。尚、情報提供方法は、推薦受信部15の処理ステップ及び履歴情報提供部16の処理ステップを備えてもよい。
【0051】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 情報提供装置
101 表示装置
102 入力装置
11 コンテンツ提供部
12 履歴情報選択部
13 推奨コンテンツ選択部
14 推奨情報提供部
15 推薦受信部
16 履歴情報提供部
17 記憶部
171 利用者テーブル
172 要求コンテンツテーブル
173 履歴テーブル
174 ログテーブル
175 コンテンツテーブル
18 通信部
191 入力受付部
192 表示制御部
2 利用者端末(B1~B3)
21 コンテンツ表示部
22 ボタン集合部
220 ログインボタン
221 コンテンツ選択ボタン
222 コンテンツ選択ボタン
223 コンテンツ選択ボタン
224 コンテンツ選択ボタン
225 コンテンツ選択ボタン
3 支援者端末(C1)
4 情報提供者端末(A1)
5 情報通信網