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  • 特開-バケット 図1
  • 特開-バケット 図2
  • 特開-バケット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151353
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】バケット
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E02F3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064540
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】591099290
【氏名又は名称】株式会社田口クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕一
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連結板はあくまでバケットを直接支持し、補強板は底板の剛性を高めることのできる連結部を有するバケットを提供する。
【解決手段】ピン孔211が設けられた左右一対の連結板21が底板11に固着され、連結板の間で補強板22が底面11に固着される連結部2を有するバケット1において、連結板は、補強板の表面に倣った下縁の一部に、底板に当接させる連結片を設け、突起を連結片から突出させ、底板は、連結片を当接させた状態で突起が差し込まれる貫通孔を設け、補強板は、第1連結片及び第2連結片が差し込まれるスリット221,222を設けてなり、底板に固着された補強板に対し、連結板の下縁を補強板の表面に当接させ、連結片を補強板のスリットに差し込んだ状態で、貫通孔に差し込んだ突起を底板に固着させたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームを連結するための連結ピンを通すピン孔が設けられた左右一対の連結板が底板に固着され、連結板の間で側面視山形の補強板が底面に固着される連結部を有するバケットにおいて、
連結板は、補強板の表面に倣った下縁の一部に、底板に当接させる連結片を設け、突起を連結片から突出させ、
底板は、連結板の連結片を当接させた状態で突起が差し込まれる貫通孔を設け、
補強板は、連結板の連結片が差し込まれるスリットを設けてなり、
底板に固着された補強板に対し、連結板の下縁を補強板の表面に固着して連結片を補強板のスリットに差し込んだ状態で、貫通孔に差し込んだ突起を底板に固着させた
ことを特徴とするバケット。
【請求項2】
連結板は、下縁の前後2箇所に連結片を設け、
補強板は、連結板に設けた連結片の幅で、2枚の連結片の対向する側縁それぞれに内周縁を接触させる前後2箇所のスリットを設けた
請求項1記載のバケット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームとの連結部における底板の剛性を高めたバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械に使用されるバケットは、例えば特許文献1に見られるように、側面視で円弧状に湾曲させた底板を左右の半月状の側板で挟んだ構造で、アームを連結するための連結ピンを通すピン孔が設けられた左右一対の連結板が底板に溶接等により固着され、連結板の間で側面視山形の補強板が底面に固着される(特許文献1・図3参照)。このように、連結板及び補強板は、いずれも底板に固着され、連結板はあくまでバケットを直接支持し、補強板は底板の剛性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-249710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連結板を挟んで補強板を底板に固着したバケットの連結部は、先に連結板を底板に固着し、後から補強板を底板に固着する。このため、底板に対する連結板が少しでも位置ずれしたり、傾いたりすると、特に連結板の間に位置する補強板を連結板の間に嵌め込みにくくなる問題があった。そこで、連結板はあくまでバケットを直接支持し、補強板は底板の剛性を高めることのできる連結部を有するバケットを開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検討の結果開発したものが、アームを連結するための連結ピンを通すピン孔が設けられた左右一対の連結板が底板に固着され、連結板の間で側面視山形の補強板が底面に固着される連結部を有するバケットにおいて、連結板は、補強板の表面に倣った下縁の一部に、底板に当接させる連結片を設け、突起を連結片から突出させ、底板は、連結板の連結片を当接させた状態で突起が差し込まれる貫通孔を設け、補強板は、連結板の連結片が差し込まれるスリットを設けてなり、底板に固着された補強板に対し、連結板の下縁を補強板の表面に固着して連結片を補強板のスリットに差し込んだ状態で、貫通孔に差し込んだ突起を底板に固着させたことを特徴とするバケットである。
【0006】
本発明のバケットは、連結板及び補強板を組み付けた状態で、連結板が底板の貫通孔に差し込んだ突起を、補強板が前縁及び後縁をそれぞれ底板に固着させ、補強板の表面に倣った連結板の下縁を補強板に固着させる。連結板の連結片と補強板のスリットとは、同数設けられ、連結片の断面よりスリットが大きければ両者の大きさが違ってもよい。しかし、連結板は、下縁の前後2箇所に連結片を設け、補強板は、連結板に設けた連結片の幅で、2枚の連結片の対向する側縁それぞれに内周縁を接触させる前後2箇所のスリットを設けた構成にするとよい。連結板は、連結片が補強板のスリットの幅に一致するので補強板に対する左右位置が特定され、2枚の連結片の対向する側縁が差し込むスリットの内周縁に接触するので補強板に対する前後位置が特定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のバケットは、連結板の間に補強板を嵌め込みにくいという問題を解消し、連結板がバケットを直接支持し、補強板が底板の剛性を高めた連結部を構成できる。これは、結板及び補強板を組み付けた状態で、連結板が底板の貫通孔に差し込んだ突起を、補強板が前縁及び後縁をそれぞれ底板に固着させ、補強板の表面に倣った連結板の下縁を補強板に固着させることによる効果である。また、本発明のバケットは、連結板に前後2箇所の連結片を設け、補強板に連結片の幅で、連結片の対向位置関係にある側縁に内周縁が接触するスリットを設けることにより、補強板に対する連結板の位置関係を一義的に特定できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用したバケットの一例を表す斜視図である。
図2】本例のバケットにおける連結部を分解して表す斜視図である。
図3図1中A-A部で切断した連結部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明が適用されるバケット1は、図1に見られるように、従来と同じ外観をもって構成される。これは、本発明を適用したバケット1が、従来同様に使用できることを意味する。本例のバケット1は、一般的な構成で、側面視で円弧状に湾曲させた底板11を左右の半月状の側板12で挟んだ構造である。底板11は、図2に見られるように、連結部2が構成される部分が平坦面に形成され、連結板21の第1突起214及び第2突起216が差し込まれる貫通孔111が設けられている点が、従来と異なる。
【0010】
連結部2は、左右2枚の連結板21と、側面視が上方へ凸に屈曲した補強板22とから構成される。連結部2の構成要素は従来と同じ連結板21及び補強板22であり、例えば連結板21それぞれは従来同様のピン孔211を2個ずつ有しているが、補強板22が1枚で構成されているほか、連結板21及び補強板22を組み付ける部分がそれぞれ従来にない構造となっている。これら従来との相違点は、ほとんどが補強板22の内部に収まり、外部から視認できず、連結部2として従来同様の外観を有している。
【0011】
連結板21は、ピン孔211を有するボス構造が異なるほか左右が同じ構造で、底板11の表面に倣った下縁212の前後に分かれて、底板11に当接させる第1連結片213及び第2連結片215を設け、第1突起214を第1連結片213から、第2突起216を第2連結片215からそれぞれ突出させている。本例の連結板21は、底板11に直接固着する部分として、底板11の端縁に掛合させる端部鉤217を前端に、底板11の平坦部分から連続する湾曲部分の端部に沿う端部裾218を後端にそれぞれ設けている。
【0012】
第1連結片213は、連結板21の下縁212から前方に延びる下り勾配の斜辺(図2中左側の破線)と、底板11の平坦面に当接する水平な底辺と、斜辺上端及び底辺後端を結ぶ鉛直方向の縦辺とに囲まれた側面視略直角三角形の部分で、連結板21と同幅である。第1突起214は、第1連結片213の底辺後端から突出させている。第2連結片215は、連結板21の下縁212から後方に延びる下り勾配の斜辺(図2中右側の破線)と、底板11の平坦面に当接する水平な底辺と、斜辺上端及び底辺前端を結ぶ鉛直方向の縦辺とに囲まれた側面視略直角三角形の部分で、連結板21と同幅である。第2突起216は、第2連結片215の底辺前端から突出させている。
【0013】
補強板22は、左右の連結板21それぞれの第1連結片213が差し込まれる第1スリット221と、第2連結片215が差し込まれる第2スリット222とが前後に並ぶスリット列を、左右の連結板21の組み付け位置に合わせて左右2列設けている。第1スリット221及び第2スリット222は、連結板21の幅、すなわち差し込まれる第1連結片213及び第2連結片215と同幅の溝である。第1連結片213は、補強板22の第1スリット221に差し込まれて隠される。第2連結片213は、補強板22の第2スリット222に差し込まれて隠される。
【0014】
本例の連結部2は、第1連結片213及び第2連結片213と第1スリット221及び第2スリット222が同幅である。また、本例の連結部2は、対向位置にある第1連結片213の後縁(後方の縦辺)と第2連結片213の前縁(前方の縦辺)との距離αと、第1スリット221の後端と第2スリット222の前端との距離βとを一致させている。これにより、第1連結片213及び第2連結片213を対応する第1スリット221及び第2スリット222に差し込めば、補強板22に対する連結板21の前後方向及び左右方向の位置が特定される。
【0015】
そして、連結片21は、底板11の貫通孔111に第1突起214及び第2突起216を差し込むため、底板11に対する位置関係が特定され、位置関係の特定された連結板21を介して底板11に対する補強板22の位置関係も特定される。このように、本発明の連結部2は、底板11の平坦面において連結板21及び補強板22を仮組みして位置決めした状態から、底板11、連結板21及び補強板22それぞれの接触部位を順番に、溶接により固着すると、底板11、連結板21及び補強板22相互の正確な位置関係を保って連結部2を構成できる。
【0016】
具体的には、第1連結片213及び第2連結片213をそれぞれ第1スリット221及び第2スリット222に差し込んで、2枚の連結板21と補強板22を仮組みし、連結板21の第1突起214及び第2突起216を底板11の貫通孔111に差し込むことで、仮組した連結板21及び補強板22を一体に、底板11に対して位置決めすることができる。こうして底板11に対して位置決めされた連結板21及び補強板22を、順次溶接により固着していく。
【0017】
補強板22は、従来同様、底板11の平坦面に接する前縁及び後縁を溶接により固着する。連結板21は、図3に見られるように、前端の端部鉤217、後端の端部裾218、そして貫通孔111から覗く第1突起214及び第2突起216をそれぞれ底板11に溶接により固着し、補強板22の表面に当接する下縁212と、第1スリット221及び第2スリット222の沿う第1連結片213及び第2連結片215の斜辺とをそれぞれ補強板22に溶接により固着する(溶接部位は、図3中太線部分参照)。こうして、連結板21は直接底板11に固着されるほか、底板11、連結板21及び補強板22が相互に固着される。
【0018】
本発明の連結部2は、連結板21及び補強板22相互の正確な位置関係を保って構成されるほか、補強板21を1枚にまとめて部品点数を減らすと共に、補強板21を底板11に固着する工数を減らす利点がある。そして、補強板21は、一体の大きな部材として剛性の向上が期待でき、連結部21の強度を高めることが期待される。このような利点や強度向上が期待される本発明は、例示された通常のバケット1のほか、図示を省略するが、法面バケット、スケルトンバケット、ミキシングフォークといった同様の連結部を有する各種アタッチメントにも適用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 バケット
11 底板
111 貫通孔
12 側板
2 連結部
21 連結板
211 ピン孔
212 下縁
213 第1連結片
214 第1突起
215 第2連結片
216 第2突起
217 端部鉤
218 端部裾
22 補強板
221 第1スリット
222 第2スリット

図1
図2
図3