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特開2024-151355車載中継装置、車載装置および車載システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151355
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車載中継装置、車載装置および車載システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064542
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】戸次 道宏
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA03
5K033BA06
5K033CB08
5K033DB19
(57)【要約】
【課題】通信負荷をより低減した車載システムを実現する。
【解決手段】複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置であって、前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する中継部と、前記中継部によって受信された前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う処理部とを備え、前記中継部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置であって、
前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する中継部と、
前記中継部によって受信された前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う処理部とを備え、
前記処理部は、前記中継部によって受信された前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記中継部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記削減処理を行うことを決定し、
前記中継部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する、車載中継装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームが送信された後に前記中継部によって新たに受信された前記定期フレームである第3フレームの前記フレーム情報が、前記第2フレームの前記フレーム情報と異なる場合、前記第3フレームの前記削減処理を行わないことを決定し、
前記中継部は、前記削減処理が行われていない前記第3フレームを宛先の前記車載装置へ送信する、請求項1に記載の車載中継装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1フレームの前記フレーム情報が前記第2フレームの前記フレーム情報と同じであり、かつ前記第1フレームの宛先の前記車載装置の動作状態がスリープ状態でない場合、前記第1フレームの前記削減処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車載中継装置。
【請求項4】
前記定期フレームは、前記車載システムが搭載される車両における計測結果に基づく表示処理用のフレームである、請求項1または請求項2に記載の車載中継装置。
【請求項5】
前記車載システムにおいて、所定の識別情報と、所定のデータ長かつ所定値の前記データフィールドとを含む前記定期フレームの使用が予約されている、請求項1または請求項2に記載の車載中継装置。
【請求項6】
車載システムにおいて用いられる車載装置であって、
他の車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する通信部と、
処理部とを備え、
前記処理部は、前記定期フレームである第1フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値が第1の所定値であり、かつ前記データフィールドの値が第2の所定値である場合、前記第1フレームは、前記通信部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、
前記処理部は、前記第1フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第1フレームを新たな前記第2フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う、車載装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記更新処理において、前記第1フレームにおける所定のフィールドに含まれる情報を前記記憶部に保存する、請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記第1フレームは前記第2フレームのデータ長が削減されたフレームに相当すると判断した場合、前記第2フレームに基づいて所定の処理を行う、請求項6または請求項7に記載の車載装置。
【請求項9】
前記定期フレームは、前記車載システムが搭載される車両における計測結果に基づく表示処理用のフレームである、請求項6または請求項7に記載の車載装置。
【請求項10】
前記車載システムにおいて、所定の識別情報と、所定のデータ長かつ所定値の前記データフィールドとを含む前記定期フレームの使用が予約されている、請求項6または請求項7に記載の車載装置。
【請求項11】
複数の車載装置と、
第1の前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを第2の前記車載装置へ中継する車載中継装置とを備え、
前記車載中継装置は、受信した前記定期フレームである第1フレームの、データフィールドの値および前記データフィールドのデータ長を示すデータ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記データ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記第1フレームにおける前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記第1フレームにおける前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行い、
前記車載中継装置は、前記削減処理を行った前記第1フレームを前記第2の車載装置へ送信し、
前記第2の車載装置は、自己が受信すべきフレームの識別情報を含む前記定期フレームである第3フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値であり、かつ前記第3フレームにおける前記データフィールドの値が前記第2の所定値である場合、前記第3フレームは、前記第3フレームより前に受信した前記定期フレームである第4フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、
前記第2の車載装置は、前記第3フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第3フレームを新たな前記第4フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う、車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載中継装置、車載装置および車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載システムにおける通信負荷を低減する技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2015-67187号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、車両制御システムは、車両(900)が有する複数の機能部を制御する車両制御システム(100,100a)であって、前記車両の複数の領域(Ar1,Ar2,Ar3)に分かれて配置され、前記複数の機能部を制御し、制御対象の前記機能部の機能により複数のグループ(Gr1,Gr2,Gr3)に分類される複数の機能ECU(11~15,21~25,31~34)と、前記複数の領域ごとに配置されている複数の中継ECU(51,52,53)と、前記複数の中継ECUを互いに接続する第1ネットワーク(NW10)と、前記複数の領域ごとに配置され、各領域内において前記機能ECUと前記中継ECUとを接続する第2ネットワーク(NW1,NW2,NW3,NW4,NW5)と、を備え、各機能ECUは、該機能ECUが配置されている領域とは異なる領域に配置され、かつ、該機能ECUと同じグループに分類されている前記機能ECUと通信する際に、該機能ECUが配置されている領域内の前記第2ネットワークおよび前記中継ECUと、前記第1ネットワークと、通信相手となる前記機能ECUが配置されている領域内の前記中継ECUおよび前記第2ネットワークと、を介してデータの送信または受信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-67187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を超えて、車載システムにおける通信負荷を低減することが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、通信負荷をより低減した車載システムを実現することが可能な車載中継装置、車載装置および車載システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載中継装置は、複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置であって、前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する中継部と、前記中継部によって受信された前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う処理部とを備え、前記処理部は、前記中継部によって受信された前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記中継部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記削減処理を行うことを決定し、前記中継部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載中継装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載中継装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、通信負荷をより低減した車載システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける車載ECUにより送信されるCANフレームの一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存するCANフレームの一部を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置による削減処理後の定期フレームの一部を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が受信するCANフレームの一部を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車載ECUの構成の一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存する管理テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る車載装置による登録処理後の管理テーブルの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が削減処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図12図12は、本開示の実施の形態に係る車載ECUがフレームを受信した際の動作手順を定めたフローチャートである。
図13図13は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置および各車載ECUの処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載中継装置は、複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置であって、前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する中継部と、前記中継部によって受信された前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う処理部とを備え、前記処理部は、前記中継部によって受信された前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記中継部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記削減処理を行うことを決定し、前記中継部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する。
【0012】
このように、車載中継装置が受信した定期フレームのフレーム情報が、前回受信した定期フレームのフレーム情報と同じである場合、削減処理を行う構成により、たとえば、データフィールドのデータ長を削減した定期フレームを宛先の車載装置へ送信することができるため、定期フレームの通信量を低減することができる。したがって、通信負荷をより低減した車載システムを実現することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記処理部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームが送信された後に前記中継部によって新たに受信された前記定期フレームである第3フレームの前記フレーム情報が、前記第2フレームの前記フレーム情報と異なる場合、前記第3フレームの前記削減処理を行わないことを決定してもよく、前記中継部は、前記削減処理が行われていない前記第3フレームを宛先の前記車載装置へ送信してもよい。
【0014】
このような構成により、削減処理の実行後において、定期フレームの内容変更に合わせて、削減処理を行わないことを判断することができるため、車載装置において、内容変更後の定期フレームを用いて行うべき処理を確実に行うことができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、前記処理部は、前記第1フレームの前記フレーム情報が前記第2フレームの前記フレーム情報と同じであり、かつ前記第1フレームの宛先の前記車載装置の動作状態がスリープ状態でない場合、前記第1フレームの前記削減処理を行ってもよい。
【0016】
このような構成により、第1フレームのフレーム情報が第2フレームのフレーム情報と同じであっても、不要な削減処理が行われることを防ぐことができるため、車載中継装置における処理負荷を低減することができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記定期フレームは、前記車載システムが搭載される車両における計測結果に基づく表示処理用のフレームであってもよい。
【0018】
たとえば、不定期に送信されるフレームであるイベントフレームと比べて、表示処理用のフレームに含まれるデータの内容は、頻繁に変更されない可能性が高いため、当該フレームに対して削減処理を行うことにより、通信量を効果的に低減することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記車載システムにおいて、所定の識別情報と、所定のデータ長かつ所定値の前記データフィールドとを含む前記定期フレームの使用が予約されてもよい。
【0020】
このような構成により、たとえば、削減処理のために使用が予約されているフレームと同じ内容のフレームが、車載システムにおいて、他の用途のために伝送されることを抑制することができるため、より安定した車載システムを実現することができる。
【0021】
(6)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車載システムにおいて用いられる車載装置であって、他の車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する通信部と、処理部とを備え、前記処理部は、前記定期フレームである第1フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値が第1の所定値であり、かつ前記データフィールドの値が第2の所定値である場合、前記第1フレームは、前記通信部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、前記処理部は、前記第1フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第1フレームを新たな前記第2フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う。
【0022】
このような構成により、データ長が削減された定期フレームが送信される構成において、宛先の車載装置が当該定期フレームを正しく判別することができる。また、定期フレームの宛先の車載装置において、受信済みの定期フレームと比べて、データ長情報の値およびデータフィールドの値の少なくともいずれか一方が異なる定期フレームを新たに受信した場合、次回以降の比較用に用いる定期フレームとして正しい定期フレームを保存することができる。したがって、通信負荷をより低減した車載システムを実現することができる。
【0023】
(7)上記(6)において、前記処理部は、前記更新処理において、前記第1フレームにおける所定のフィールドに含まれる情報を前記記憶部に保存してもよい。
【0024】
このような構成により、定期フレームの宛先の車載装置において、データ長が削減された定期フレームを受信した場合、保存済みの情報を用いて、当該定期フレームの受信に伴って行うべき処理を簡単に実行することができる。
【0025】
(8)上記(6)または(7)において、前記処理部は、前記第1フレームは前記第2フレームのデータ長が削減されたフレームに相当すると判断した場合、前記第2フレームに基づいて所定の処理を行ってもよい。
【0026】
このような構成により、データ長が削減された定期フレームを受信した場合であっても、データ長が削減されていない受信済みの定期フレームを用いて行うべき処理を正常に行うことができる。
【0027】
(9)上記(6)から(8)のいずれかにおいて、前記定期フレームは、前記車載システムが搭載される車両における計測結果に基づく表示処理用のフレームであってもよい。
【0028】
たとえば、不定期に送信されるフレームであるイベントフレームと比べて、表示処理用のフレームに含まれるデータの内容は、頻繁に変更されない可能性が高いため、当該フレームに対して削減処理を行うことにより、通信量を効果的に低減することができる。
【0029】
(10)上記(6)から(9)のいずれかにおいて、前記車載システムにおいて、所定の識別情報と、所定のデータ長かつ所定値の前記データフィールドとを含む前記定期フレームの使用が予約されてもよい。
【0030】
このような構成により、たとえば、削減処理のために使用が予約されているフレームと同じ内容のフレームが、車載システムにおいて、他の用途のために伝送されることを抑制することができるため、より安定した車載システムを実現することができる。
【0031】
(11)本開示の実施の形態に係る車載システムは、複数の車載装置と、第1の前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを第2の前記車載装置へ中継する車載中継装置とを備え、前記車載中継装置は、受信した前記定期フレームである第1フレームの、データフィールドの値および前記データフィールドのデータ長を示すデータ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記データ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記第1フレームにおける前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記第1フレームにおける前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行い、前記車載中継装置は、前記削減処理を行った前記第1フレームを前記第2の車載装置へ送信し、前記第2の車載装置は、自己が受信すべきフレームの識別情報を含む前記定期フレームである第3フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値であり、かつ前記第3フレームにおける前記データフィールドの値が前記第2の所定値である場合、前記第3フレームは、前記第3フレームより前に受信した前記定期フレームである第4フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、前記第2の車載装置は、前記第3フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第3フレームを新たな前記第4フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う。
【0032】
このように、車載中継装置が受信した定期フレームのフレーム情報が、前回受信した定期フレームのフレーム情報と同じである場合、削減処理を行う構成により、たとえば、データフィールドのデータ長を削減した定期フレームを宛先の車載装置へ送信することができるため、定期フレームの通信量を低減することができる。また、データ長が削減された定期フレームが送信される構成において、宛先の車載装置が当該定期フレームを正しく判別することができる。また、定期フレームの宛先の車載装置において、受信済みの定期フレームと比べて、データ長情報の値およびデータフィールドの値の少なくともいずれか一方が異なる定期フレームを新たに受信した場合、次回以降の比較用に用いる定期フレームとして正しい定期フレームを保存することができる。したがって、通信負荷をより低減した車載システムを実現することができる。
【0033】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0034】
[車載システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。図1を参照して、車載システム301は、たとえば、1つの車載中継装置101と、複数の車載ECU202とを備える。車載システム301は、車両1に搭載される。車載中継装置101は、複数の車載ECU202を備える車載システム301において用いられる。車載ECU(Electronic Control Unit)202は、車載装置の一例である。
【0035】
図1に示す例では、車載システム301は、車載ECU202である車載ECU202A,202B,202C,202Dを備える。
【0036】
なお、車載システム301は、4つの車載ECU202を備える構成に限らず、2つ、3つまたは4つ以上の車載ECU202を備える構成であってもよい。
【0037】
車載ECU202は、TCU(Telematics Communication Unit)、エンジン用ECU、自動運転用ECUおよびドアロック用ECU等である。なお、車載システム301は、車載ECU202に加えて、または車載ECU202の代わりに、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等の車載機器を備えてもよい。
【0038】
車載中継装置101および複数の車載ECU202は、車載ネットワーク401を構成する。複数の車載ECU202は、たとえば、CAN(Controller Area Network)の規格に従う通信バス51を介して車載中継装置101と接続されている。
【0039】
車載ECU202である車載ECU202A,202Bは、通信バス51である通信バス51Aを介して車載中継装置101と接続されている。車載ECU202である車載ECU202C,202Dは、通信バス51である通信バス51Bを介して車載中継装置101と接続されている。
【0040】
車載中継装置101は、自己に接続される複数の車載ECU202間のフレームを中継する。
【0041】
たとえば、車載中継装置101および各車載ECU202は、車両1が行う自動運転を補助するための情報、およびエンターテイメントに用いる情報等の各種情報と、データの種別等を示すCAN-ID(Identifer)とを含むCANフレームを、他の車載ECU202または車載中継装置101へ送信する。CAN-IDは、識別情報の一例である。
【0042】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける車載ECUにより送信されるCANフレームの一例を示す図である。図2を参照して、CANフレームは、SOF(Start Of Frame)フィールドと、IDフィールドと、RTR(Remote Transmission Request)フィールドと、CONTROLフィールドと、データフィールド(以下、DATフィールドとも称する)と、CRC(Cyclic Redundancy Check)フィールドと、ACKフィールドと、EOF(End Of Frame)フィールドとを、フレームの先頭からこの順に有する。
【0043】
CONTROLフィールドは、IDE(Identifer Extension)と、予約ビット「r」と、DLC(Data Length Code)とを含む。DLCの値は、データ長情報の一例であり、DATフィールドのデータ長を示す。以下、CANフレームの、CAN-ID、DATフィールドの値およびDLCの各々を「フレーム情報」とも称する。
【0044】
車載ECU202は、たとえば定期的または不定期に、CANフレームを他の車載ECU202または車載中継装置101へ送信する。以下、車載ECU202から定期的に送信されるCANフレームを「定期フレーム」とも称する。
【0045】
たとえば、定期フレームは、車両1における計測結果に基づく表示処理用のフレームである。具体的には、定期フレームは、車両1のメータにおいて車速を表示するためのフレーム、および当該メータにおいて車両1の外部における気温を表示するためのフレーム等である。
【0046】
なお、車載システム301では、2つの通信バス51が設けられる構成に限らず、1つまたは3つ以上の通信バス51が設けられる構成であってもよい。
【0047】
また、複数の車載ECU202は、CANの規格に従う通信バス51を介して車載中継装置101と接続される構成に限らず、たとえば、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)の規格に従う通信バスを介して車載中継装置101と接続される構成であってもよい。
【0048】
(ウェイクアップ状態およびスリープ状態)
車載システム301において、車載ECU202は、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し、または、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する。車載ECU202は、ウェイクアップモードにおいて、車載システム301における他の装置と通信を行い、スリープモードにおいて、車載システム301における他の装置との通信を停止する。スリープモードとは、車載ECU202の一部の機能の停止、車載ECU202への電力供給の停止、または車載ECU202におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップモードよりも消費電力が小さいモードである。
【0049】
車載ECU202は、ウェイクアップモードにおいて、たとえば、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)(登録商標)に従うNM(Network Management)メッセージが格納されたCANフレーム(以下、「NMフレーム」とも称する。)を車載システム301における各装置へ送信する。具体的には、車載ECU202は、たとえば、ウェイクアップモードにおいて、死活監視のために、NMフレームを各装置へブロードキャストする。
【0050】
一方、車載ECU202は、自己の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードへ遷移した場合、NMフレームの送信を停止する。
【0051】
[車載中継装置]
図3は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置の構成の一例を示す図である。図3を参照して、車載中継装置101は、中継部11と、処理部12と、記憶部13とを備える。中継部11および処理部12の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0052】
中継部11は、ある車載ECU202から送信される定期フレームを受信して他の車載ECU202へ中継する。
【0053】
たとえば、記憶部13は、CAN-IDと、当該CAN-IDを含むCANフレームが定期フレームであるか否かを示す種別情報との対応関係を示す種別テーブルを記憶する。
【0054】
中継部11は、車載ECU202からCANフレームを受信すると、記憶部13における種別テーブルを読み出す。そして、中継部11は、種別テーブルを参照することにより、受信したCANフレームが定期フレームであるか否かを確認する。
【0055】
記憶部13は、さらに、CAN-IDと、CANフレームの送信先が接続されているCANバス(以下、「送信先バス」とも称する。)との対応関係を示すルーティングテーブルを記憶する。
【0056】
中継部11は、受信したCANフレームが定期フレームではない場合、記憶部13におけるルーティングテーブルを読み出す。そして、中継部11は、ルーティングテーブルを参照することにより、当該CANフレームに含まれるCAN-ID、に対応する送信先バスを特定し、当該CANフレームを特定した送信先バスへ出力する。
【0057】
一方、中継部11は、受信したCANフレームが定期フレームである場合、同じ定期フレームを受信済みである否かを確認する確認処理を行う。
【0058】
具体的には、たとえば、記憶部13は、CAN-IDごとに、受信したCANフレームを記憶する。
【0059】
中継部11は、受信したCANフレームが定期フレームである場合、記憶部13において、当該CANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されているか否かを確認する。
【0060】
中継部11は、受信したCANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが記憶部13に保存されていない場合、当該CANフレームを受信済みではないと判断し、記憶部13におけるルーティングテーブルを読み出す。そして、中継部11は、ルーティングテーブルを参照することにより、当該CANフレームに含まれるCAN-ID、に対応する送信先バスを特定し、当該CANフレームを特定した送信先バスへ出力する。また、中継部11は、当該CANフレームをCAN-IDと対応付けて保存する。
【0061】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存するCANフレームの一部を示す図である。図4は、定期フレームの一例である定期フレームF10の一部を示す。
【0062】
図4を参照して、記憶部13は、CAN-IDが「001」であり、DLC(Data Length Code)の値が「3」であり、DATフィールドの値が「0xA15BC9」である定期フレームF10を記憶する。
【0063】
(削減処理)
再び図3を参照して、処理部12は、中継部11によって受信された定期フレームにおけるDLCの値を第1の所定値に設定し、かつ定期フレームにおけるDATフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに当該DATフィールドのデータ長を第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う。
【0064】
たとえば、処理部12は、中継部11によって受信された定期フレーム(以下、「定期フレームF11」とも称する。)のフレーム情報が、中継部11によって定期フレームF11より前に受信された定期フレームF10のフレーム情報と同じである場合であって、定期フレームF11の宛先の車載ECU202がスリープ状態でない場合、定期フレームF11の削減処理を行うことを決定する。すなわち、定期フレームF10は、中継部11によって前回受信された定期フレームである。定期フレームF11は、定期フレームF10と同じフレーム情報を含む定期フレームである。
【0065】
具体的には、たとえば、中継部11は、上記確認処理において、定期フレームF11と同じCAN-IDを含む定期フレームF10を受信済みであることを確認した場合、定期フレームF11を処理部12へ出力する。
【0066】
処理部12は、中継部11から定期フレームF11を受けると、定期フレームF11のDLCの値およびDATフィールドの値が、記憶部13に保存されている定期フレームF10のDLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ同じであるか否かを確認する。
【0067】
処理部12は、定期フレームF11のDLCの値が定期フレームF10のDLCの値と異なる場合、または定期フレームF11のDATフィールドの値が定期フレームF10のDATフィールドの値と異なる場合、削減処理を行わないことを決定する。そして、処理部12は、定期フレームF11を中継部11へ出力する。
【0068】
中継部11は、処理部12から定期フレームF11を受けると、上述のようにルーティングテーブルを用いて、定期フレームF11を送信先バスへ出力する。
【0069】
一方、処理部12は、定期フレームF11のDLCの値およびDATフィールドの値が、記憶部13に保存されている定期フレームF10のDLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ同じである場合、定期フレームF11の宛先の車載ECU202がスリープ状態であるか否かを確認する。
【0070】
より詳細には、たとえば、記憶部13は、CAN-IDと、CANフレームの送信元と、CANフレームの送信先との対応関係を示すCANテーブルを記憶する。
【0071】
処理部12は、中継部11から定期フレームF11を受けると、記憶部13におけるCANテーブルを読み出す。そして、処理部12は、CANテーブルを参照することにより、定期フレームF11の送信先の車載ECU202(以下、「対象ECU」とも称する。)を特定する。
【0072】
記憶部13は、さらに、車載システム301における各車載ECU202の動作状態がスリープ状態であるか否かを示す状態確認リストを記憶する。
【0073】
処理部12は、ある車載ECU202からNMフレームを受信すると、記憶部13における状態確認リストにおいて、当該車載ECU202はスリープ状態でない旨を登録する。一方、処理部12は、ある車載ECU202からNMフレームを受信してから一定時間経過しても、当該車載ECU202から新たなNMフレームが到着しない場合、状態確認リストにおいて、当該車載ECU202の動作状態はスリープ状態である旨を登録する。
【0074】
処理部12は、対象ECUを特定すると、記憶部13における状態確認リストを参照することにより、当該対象ECUの動作状態がスリープ状態であるか否かを確認する。
【0075】
処理部12は、特定した対象ECUの動作状態がスリープ状態である場合、削減処理を行わないことを決定し、中継部11から受けた定期フレームF11を破棄する。
【0076】
一方、処理部12は、対象ECUの動作状態がスリープ状態でない場合、削減処理を行うことを決定する。
【0077】
処理部12は、削減処理として、中継部11から受けた定期フレームF11において、DLCの値を第1の所定値に設定し、DATフィールドの値を第2の所定値に設定する。
【0078】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置による削減処理後の定期フレームの一部を示す図である。
【0079】
図5を参照して、削減処理後の定期フレームF11において、DLCの値は「1」であり、DATフィールドの値は「0xFF」である。すなわち、削減処理後の定期フレームF11のDATフィールドのデータ長は2バイトであり、DATフィールドのデータ長が6バイトである図4に示す定期フレームF10と比べてデータ長が削減されている。たとえば、車載システム301において、所定のCAN-IDと、所定のデータ長かつ所定値のDATフィールドとを含む定期フレームの使用が予約されている。この例では、CAN-ID「001」、DLCの値「2」およびDATフィールドの値「0xFF」を含む定期フレームの使用が車載システム301において予約されている。
【0080】
(短縮フレームの送信)
再び図3を参照して、中継部11は、削減処理が行われた定期フレームF11(以下、「短縮フレーム」とも称する。)を宛先の車載ECU202へ送信する。
【0081】
より詳細には、たとえば、処理部12は、短縮フレームを作成すると、作成した短縮フレームを中継部11へ出力する。
【0082】
中継部11は、処理部12から短縮フレームを受けると、上述のようにルーティングテーブルを用いて、短縮フレームを送信先バスへ出力する。
【0083】
(短縮フレームの送信後に定期フレームを新たに受信した場合)
たとえば、処理部12は、短縮フレームが送信された後に中継部11によって新たに受信された定期フレーム(以下、「定期フレームF12」とも称する。)のフレーム情報が、定期フレームF10のフレーム情報と異なる場合、定期フレームF12の削減処理を行わないことを決定する。
【0084】
より詳細には、たとえば、中継部11は、定期フレームF12を受信すると、上記確認処理において、定期フレームF12と同じCAN-IDを含む定期フレームを受信済みであるか否かを確認する。ここでは、定期フレームF12のCAN-IDは、定期フレームF10のCAN-IDと同じであるものとする。
【0085】
中継部11は、定期フレームF12と同じCAN-IDを含む定期フレームF10を受信済みであることを確認すると、定期フレームF12を処理部12へ出力する。
【0086】
処理部12は、中継部11から定期フレームF12を受けると、記憶部13に保存されている定期フレームF10を参照することにより、定期フレームF12のDLCの値およびDATフィールドの値が、定期フレームF10のDLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ同じであるか否かを確認する。
【0087】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が受信するCANフレームの一部を示す図である。図6は、定期フレームF12の一部を示す。
【0088】
図3および図6を参照して、定期フレームF12において、CAN-IDは「001」であり、DLCの値は「2」であり、DATフィールドの値は「0xAC31」である。すなわち、定期フレームF12において、図3に示す定期フレームF10のCAN-IDと同じである一方で、DLCの値およびDATフィールドの値は、定期フレームF10のDLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ異なる。
【0089】
処理部12は、定期フレームF12のフレーム情報が定期フレームF10のフレーム情報と異なる場合、削減処理を行わないことを決定する。そして、処理部12は、定期フレームF12を中継部11へ出力する。
【0090】
たとえば、中継部11は、削減処理が行われていない定期フレームF12を宛先の車載ECU202へ送信する。
【0091】
より詳細には、たとえば、中継部11は、削減処理が行われていない定期フレームF12を処理部12から受けると、上述のようにルーティングテーブルを用いて、定期フレームF12を送信先バスへ出力する。
【0092】
一方、処理部12は、定期フレームF12のフレーム情報が定期フレームF10のフレーム情報と同じである場合、削減処理を行うことを決定する。
【0093】
[車載装置]
図7は、本開示の実施の形態に係る車載ECUの構成の一例を示す図である。図7を参照して、車載ECU202は、通信部21と、処理部22と、記憶部23とを備える。通信部21および処理部22の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部23は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。なお、記憶部23は、車載ECU202以外の他の装置に備えられてもよい。
【0094】
通信部21は、他の車載ECU202から送信される定期フレームを受信する。より詳細には、たとえば、記憶部23は、自己の車載ECU202が受信すべきCANフレームに含まれるCAN-IDと、当該CANフレームが定期フレームであるか否かを示す種別情報との対応関係を示す受信リストを記憶する。
【0095】
たとえば、通信部21は、他の車載ECU202から車載中継装置101経由でCANフレームを受信すると、記憶部23における受信リストを読み出す。そして、通信部21は、受信リストを参照することにより、当該CANフレームに含まれるCAN-IDが受信リストに登録されているか否かを確認する。
【0096】
通信部21は、CAN-IDが受信リストに登録されていない場合、当該CAN-IDを含む定期フレームを破棄する。一方、通信部21は、CAN-IDが受信リストに登録されている場合、当該CAN-IDを含むCANフレームが定期フレームであるか否かを確認する。
【0097】
通信部21は、受信したCANフレームが定期フレームでない場合、当該CANフレームを処理部22へ出力する。処理部22は、通信部21から当該CANフレームを受けると、当該CANフレームに基づいて所定の処理を行う。
【0098】
一方、通信部21は、受信したCANフレームが定期フレームである場合、同じ定期フレームを受信済みであるか否かを確認する。
【0099】
具体的には、たとえば、記憶部23は、CAN-IDごとに定期フレームを記憶する。通信部21は、受信したCANフレームが定期フレームである場合、記憶部23において、当該CANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されているか否かを確認する。
【0100】
通信部21は、受信したCANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されていない場合、当該CANフレームを受信済みではないと判断する。
【0101】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存する管理テーブルの一例を示す図である。
【0102】
図7および図8を参照して、記憶部23は、受信済みの定期フレームの、CAN-IDと、DLCの値と、DATフィールドの値との対応関係を示す管理テーブルTb1を記憶する。
【0103】
管理テーブルTb1において、CAN-ID「010」、DLC「3」およびDATフィールド「0xA23FE6」を含む定期フレームが登録されている。
【0104】
通信部21は、受信したCANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されていない場合、記憶部23における管理テーブルTb1を読み出す。そして、通信部21は、当該CANフレームの、CAN-IDと、DLCの値と、DATフィールドの値を管理テーブルTb1に登録する登録処理を行う。
【0105】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載装置による登録処理後の管理テーブルの一例を示す図である。
【0106】
図9を参照して、登録処理後の管理テーブルTb1において、CAN-ID「001」、DLC「3」およびDATフィールド「0xA15BC19」が、受信済みの定期テーブルのフレーム情報として新たに登録されている。
【0107】
また、通信部21は、受信したCANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されていない場合、受信したCANフレームを記憶部23に保存する。そして、通信部21は、定期フレームを受信した旨を示し、かつ当該定期フレームの受信は初回の受信である旨を示す初回受信通知を処理部22へ出力する。
【0108】
処理部22は、通信部21から初回受信通知を受けると、記憶部23に保存されている定期フレームに基づいて所定の処理を行う。
【0109】
一方、通信部21は、受信したCANフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームが保存されている場合、当該定期フレームを受信済みであると判断する。そして、処理部22は、受信した定期フレームを処理部22へ出力する。以下、車載ECU202において、受信済みの定期フレームを定期フレームF20とも称する。また、定期フレームF20より後に受信した定期フレームであって、定期フレームF20と同じCAN-IDを含む定期フレームを定期フレームF21とも称する。
【0110】
処理部22は、定期フレームF21についての判断処理を行う。具体的には、処理部22は、自己の車載ECU202が受信すべきCANフレームのCAN-IDを含む定期フレームF21のDLCの値が第1の所定値であり、かつDATフィールドの値が第2の所定値である場合、定期フレームF21は、通信部21によって定期フレームF21より前に受信された、定期フレームF21のCAN-IDを含む定期フレームF20の、データ長が削減されたCANフレームに相当する、たとえば同じであると判断する。
【0111】
より詳細には、たとえば、処理部22は、通信部21から定期フレームF21を受けると、定期フレームF21の、DLCの値およびDATフィールドの値を確認する。
【0112】
図10は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
【0113】
図7および図10を参照して、記憶部23は、さらに、CAN-IDと、第1の所定値と、第2の所定値との対応関係を示す対応テーブルTb2を記憶する。対応テーブルTb2は、たとえば、車両1の出荷時に、車両1の製造事業者によって記憶部23に登録される。
【0114】
たとえば、対応テーブルTb2において、CAN-ID「001」に対応する第1の所定値は「1」であり、第2の所定値は「0xFF」である。CAN-ID「010」に対応する第1の所定値は「1」であり、第2の所定値は「0xAA」である。
【0115】
処理部22は、通信部21から定期フレームF21を受けると、記憶部23における対応テーブルTb2を読み出す。そして、処理部22は、判断処理において、対応テーブルTb2を参照することにより、通信部21から受けた定期フレームF21に含まれるCAN-ID、に対応する第1の所定値および第2の所定値を確認する。
【0116】
処理部22は、通信部21から受けた定期フレームF21の、DLCの値が確認した第1の所定値であり、かつDATフィールドの値が確認した第2の所定値である場合、定期フレームF21は、定期フレームF20のデータ長が削減されたフレームに相当すると判断する。
【0117】
たとえば、処理部22は、定期フレームF21は定期フレームF20のデータ長が削減されたフレームに相当すると判断した場合、定期フレームF20に基づいて所定の処理を行う。
【0118】
具体的には、たとえば、処理部22は、定期フレームF21は定期フレームF20のデータ長が削減されたフレームに相当すると判断した場合、記憶部23に保存されている定期フレームF20に基づいて所定の処理を行う。
【0119】
一方、処理部22は、定期フレームF21の、DLCの値が第1の所定値と異なる場合またはDATフィールドの値が第2の所定値と異なる場合、定期フレームF21を新たな定期フレームF20として記憶部23に保存する更新処理を行う。すなわち、処理部22は、更新処理において、定期フレームF21における所定のフィールド、ここではすべてのフィールドに含まれる情報を記憶部13に保存する。そして、処理部22は、記憶部23に保存されている受信済みの定期フレームF20を破棄する。
【0120】
また、たとえば、処理部22は、通信部21から受けた定期フレームF21の、DLCの値が特定した第1の所定値と異なる場合、またはDATフィールドの値が特定した第2の所定値と異なる場合、管理テーブルTb1を更新する。
【0121】
より詳細には、たとえば、処理部22は、処理部22は、通信部21から受けた定期フレームF21の、DLCの値が特定した第1の所定値と異なる場合、またはDATフィールドの値が特定した第2の所定値と異なる場合、記憶部23における管理テーブルTb1を読み出す。そして、処理部22は、管理テーブルTb1において、定期フレームF21に含まれるCAN-IDと同じCAN-IDに対応するDLCの値およびDATフィールドの値を、定期フレームF21のDLCの値およびDATフィールドの値に更新する。
【0122】
[動作の流れ]
図11は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が削減処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0123】
図11を参照して、まず、車載中継装置101は、車載ECU202からのフレームの受信を待ち受ける(ステップS101においてNO)。
【0124】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202からのフレームを受信すると(ステップS101においてYES)、当該フレームが定期フレームであるか否かを確認する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、記憶部13における種別テーブルを参照することにより、車載ECU202から受信したフレームが定期フレームであるか否かを確認する(ステップS102)。
【0125】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202から受信したフレームが定期フレームである場合(ステップS102においてYES)、当該フレームと同じフレーム情報を含む定期フレームを受信済みであるか否かを確認する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、受信したフレームの、CAN-ID、DLCの値およびデータフィールドの値が、受信済みの定期フレームの、CAN-ID、DLCの値およびデータフィールドの値とそれぞれ同じであるか否かを確認する(ステップS103)。
【0126】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202から受信したフレームと同じフレーム情報を含む定期フレームを受信済みである場合(ステップS103においてYES)、当該フレームの宛先の車載ECU202である対象ECUの動作状態がスリープ状態であるか否かを確認する(ステップS104)。
【0127】
次に、車載中継装置101は、対象ECUの動作状態がスリープ状態である場合(ステップS104においてYES)、車載ECU202から受信したフレームを破棄する(ステップS105)。
【0128】
一方、車載中継装置101は、対象ECUの動作状態がスリープ状態でない場合(ステップS104においてNO)、削減処理を行う。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、受信したフレームのDLCの値を第1の所定値に設定し、かつDATフィールドの値を第2の所定値に設定する(ステップS106)。
【0129】
次に、車載中継装置101は、削減処理を行った定期フレームである短縮フレームを、宛先の車載ECU202へ送信する(ステップS107)。
【0130】
また、車載中継装置101は、車載ECU202から受信したフレームと同じフレーム情報を含む定期フレームを受信済みでない場合(ステップS103においてNO)、当該フレームを記憶部13に保存する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、当該フレームをCAN-IDと対応付けて記憶部13に保存する(ステップS108)。
【0131】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202から受信したフレームを宛先の車載ECU202へ送信する(ステップS109)。なお、ステップS108およびステップS109は、順序を入れ替えて実行してもよいし、並列して実行してもよい。
【0132】
図12は、本開示の実施の形態に係る車載ECUがフレームを受信した際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0133】
図12を参照して、まず、車載ECU202は、車載中継装置101からのフレームの受信を待ち受ける(ステップS201)。
【0134】
次に、車載ECU202は、車載中継装置101経由で他の車載ECU202からフレームを受信すると(ステップS201においてYES)、当該フレームが定期フレームであるか否かを確認する(ステップS202)。
【0135】
次に、車載ECU202は、車載中継装置から受信したフレームが定期フレームである場合(ステップS202においてYES)、当該フレームと同じCAN-IDを含む定期フレームを受信済みであるか否かを確認する(ステップS203)
【0136】
次に、車載ECU202は、車載中継装置101から受信したフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームを受信済みである場合(ステップS203においてYES)、当該フレームのDLCの値が第1の所定値であり、かつDATフィールドの値が第2の所定値であるか否かを確認する。ここでは、車載ECU202は、DLCの値が「1」であり、かつDATフィールドの値が「0xFF」であるか否かを確認するものとする(ステップS204)。
【0137】
次に、車載ECU202は、受信したフレームのDLCの値が「1」であり、かつDATフィールドの値が「0xFF」である場合(ステップS204においてYES)、記憶部23に保存されている、受信済みの定期フレームF20を記憶部23から取得する(ステップS205)。
【0138】
次に、車載ECU202は、取得した定期フレームF20に基づいて所定の処理を行う(ステップS206)。
【0139】
一方、車載ECU202は、受信したフレームのDLCの値が「1」ではない場合、またはDATフィールドの値が「0xFF」ではない場合(ステップS204においてNO)、当該フレームを新たな定期フレームF20として記憶部23に保存する更新処理を行い(ステップS207)、管理テーブルTb1において、当該フレームに含まれるCAN-IDと同じCAN-IDに対応するDLCの値およびDATフィールドの値を、当該フレームのDLCの値およびDATフィールドの値に更新する(ステップS208)。
【0140】
また、車載ECU202は、車載中継装置101から受信したフレームと同じCAN-IDを含む定期フレームを受信済みではない場合(ステップS203においてNO)、当該フレームを記憶部23に保存し(ステップS209)、当該フレームの、CAN-ID、DLCおよびDATフィールドを管理テーブルTb1に登録する登録処理を行う(ステップS210)。
【0141】
次に、車載ECU202は、受信したフレームに基づいて所定の処理を行う(ステップS211)。なお、ステップS209からステップS211までの処理は、順序を入れ替えて実行してもよいし、並列して実行してもよい。
【0142】
また、車載ECU202は、車載中継装置101から受信したフレームが定期フレームでない場合(ステップS202においてNO)、受信したフレームに基づいて所定の処理を行う(ステップS211)。
【0143】
図13は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置および各車載ECUの処理のシーケンスの一例を示す図である。図13は、車載中継装置101、車載ECU202Aおよび車載ECU202Cの処理のシーケンスを示す。
【0144】
図13を参照して、まず、車載ECU202Aは、車載ECU202Cを宛先とする定期フレームF10を送信する(ステップS301)。
【0145】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202Aから受信した定期フレームF10を車載ECU202Cへ中継する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、定期フレームF10が受信済みの定期フレームではないことを確認して、定期フレームF10をCAN-IDと対応付けて記憶部13に保存する処理を行うとともに、定期フレームF10を車載ECU202Cへ送信する(ステップS302)。
【0146】
次に、車載ECU202Cは、車載中継装置101から定期フレームF10を受信すると、受信した定期フレーム10を記憶部23に保存し(ステップS303)、定期フレームF10の、CAN-ID、DLCおよびDATフィールドを管理テーブルTb1に登録する登録処理を行う(ステップS304)。
【0147】
次に、車載ECU202Cは、受信した定期フレームF10に基づいて所定の処理を行う(ステップS305)。
【0148】
次に、車載ECU202Aは、定期フレームF10と同じCAN-IDを含み、かつ車載ECU202Cを宛先とする定期フレームF11を送信する(ステップS306)。
【0149】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202Aから定期フレームF11を受信すると、削減処理を行う。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、定期フレームF11と同じCAN-IDを含む定期フレームF10を受信済みであり、かつ定期フレームF11の宛先の車載ECU202Cがスリープ状態でないことを確認すると、削減処理を行う。車載中継装置101は、削減処理において、定期フレームF11のDLCの値を第1の所定値に設定し、かつDATフィールドの値を第2の所定値に設定する(ステップS307)。
【0150】
次に、車載中継装置101は、削減処理を行った定期フレームF11である短縮フレームを車載ECU202Cへ送信する(ステップS308)。
【0151】
次に、車載ECU202Cは、車載中継装置101から短縮フレームを受信すると、受信済みの定期フレームF10に基づいて所定の処理を行う(ステップS309)。
【0152】
次に、車載ECU202Aは、車載ECU202Cを宛先とする定期フレームF12を送信する(ステップS310)。
【0153】
次に、車載中継装置101は、車載ECU202Aから定期フレームF12を受信し、定期フレームF12のCAN-ID、DLCの値およびDATフィールドの値が、定期フレームF10のCAN-ID、DLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ同じであるか否かを確認する。ここでは、定期フレームF12のDLCの値およびDATフィールドの値が、定期フレームF10のDLCの値およびDATフィールドの値とそれぞれ異なる。そのため、車載中継装置101は、削減処理を行わないことを決定する(ステップS311)。
【0154】
次に、車載中継装置101は、削減処理を行っていない定期フレームF12を車載ECU202Cへ送信する(ステップS312)。
【0155】
次に、車載ECU202Cは、車載中継装置101から定期フレームF12を受信すると、受信した定期フレームF12を新たな定期フレームF10として記憶部23に保存する更新処理を行い(ステップS313)、管理テーブルTb1において、定期フレームF12に含まれるCAN-IDと同じCAN-IDに対応するDLCの値およびDATフィールドの値を、当該フレームのDLCの値およびDATフィールドの値に更新する(ステップS314)。
【0156】
次に、車載ECU202Cは、受信した定期フレームF12に基づいて所定の処理を行う(ステップS315)。
【0157】
なお、本開示の実施の形態に係る車載システム301は、1つの車載中継装置101を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載システム301は、複数の車載中継装置101を備える構成であってもよい。この場合、たとえば、定期フレームの宛先の車載中継装置101が車載装置の一例となり、上述のような判断処理および更新処理を行ってもよい。
【0158】
また、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101において、処理部12は、削減処理を行うにあたって、CAN-ID、DLCの値およびDATフィールドの値の3つのフレーム情報を確認する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部12は、処理を簡易するために、CAN-IDおよびDLCの値を確認するか、またはCAN-IDおよびDATフィールドの値を確認する構成であってもよい。
【0159】
また、本開示に実施の形態に係る車載システム301は、通信バス51A,51Bの各々に複数の車載ECU202が接続される構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載システム301は、通信バス51A,51Bの各々に1つの車載ECU202が接続される構成であってもよい。この場合、車載システム301において、たとえば1種類のCAN-IDが用いられる。そのため、定期フレームを受信した車載中継装置101、および定期フレームの宛先の車載ECU202は、受信した定期フレームのCAN-IDを確認することなく、当該定期フレームのDLCの値およびDATフィールドの値と同じ定期フレームを受信済みであるか否かを確認してもよい。
【0160】
また、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101において、処理部12は、定期フレームF11のフレーム情報が定期フレームF10のフレーム情報と同じであり、かつ定期フレームF11の宛先の車載ECU202の動作状態がスリープ状態でない場合、削減処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部12は、定期フレームF11のフレーム情報が定期フレームF10のフレーム情報と同じである場合、定期フレームF11の宛先の車載ECU202の動作状態に関わらず、削減処理を行う構成であってもよい。
【0161】
また、本開示の実施の形態に係る車載ECU202において、処理部22は、更新処理において、定期フレームF21におけるすべてのフィールドに含まれる情報を記憶部23に保存する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部22は、定期フレームF21における一部のフィールドに含まれる情報を記憶部23に保存する構成であってもよい。たとえば、処理部22は、定期フレームF21の、CAN-ID、DLCの値およびDATフィールドの値を記憶部23に保存する構成であってもよい。
【0162】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、定期フレームは、車両1における計測結果に基づく表示処理用のフレームであるとしたが、これに限定するものではない。定期フレームは、他の処理用のフレームであってもよい。
【0163】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0164】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0165】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信し、
受信した前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行い、
受信した前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記削減処理を行うことを決定し、
前記削減処理後の前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する、車載中継装置。
【0166】
[付記2]
複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置における中継方法であって、
前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信するステップと、
受信した前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行うステップとを含み、
前記削減処理を行うステップにおいて、受信した前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記削減処理を行うことを決定し、
前記中継方法は、さらに、
前記削減処理を行った前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信するステップを含む、中継方法。
【0167】
[付記3]
複数の車載装置を備える車載システムにおいて用いられる車載中継装置、において用いられる中継プログラムであって、
コンピュータを、
前記車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する中継部と、
前記中継部によって受信された前記定期フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値を第1の所定値に設定し、かつ前記データフィールドの値を第2の所定値に設定するとともに前記データフィールドのデータ長を前記第1の所定値に対応するデータ長に変更する削減処理を行う処理部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記処理部は、前記中継部によって受信された前記定期フレームである第1フレームの、前記データフィールドの値および前記データ長情報の少なくともいずれか一方であるフレーム情報が、前記中継部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの前記フレーム情報と同じである場合、前記第1フレームの前記削減処理を行うことを決定し、
前記中継部は、前記削減処理が行われた前記第1フレームを宛先の前記車載装置へ送信する、中継プログラム。
【0168】
[付記4]
車載装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
他の車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信し、
前記定期フレームである第1フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値が第1の所定値であり、かつ前記データフィールドの値が第2の所定値である場合、前記第1フレームは、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、
前記第1フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第1フレームを新たな前記第2フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う、車載装置。
【0169】
[付記5]
車載システムにおいて用いられる車載装置におけるフレーム処理方法であって、
他の車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信するステップと、
前記定期フレームである第1フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値が第1の所定値であり、かつ前記データフィールドの値が第2の所定値である場合、前記第1フレームは、前記第1フレームより前に受信した前記定期フレームである第2フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断するステップと、
前記第1フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第1フレームを新たな前記第2フレームとして記憶部に保存する更新処理を行うステップとを含む、フレーム処理方法。
【0170】
[付記6]
車載システムにおいて用いられる車載装置、において用いられるフレーム処理プログラムであって、
コンピュータを、
他の車載装置から定期的に送信されるフレームである定期フレームを受信する通信部と、
処理部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記処理部は、前記定期フレームである第1フレームにおけるデータフィールドのデータ長を示すデータ長情報の値が第1の所定値であり、かつ前記データフィールドの値が第2の所定値である場合、前記第1フレームは、前記通信部によって前記第1フレームより前に受信された前記定期フレームである第2フレームの、データ長が削減されたフレームに相当すると判断し、
前記処理部は、前記第1フレームの、前記データ長情報の値が前記第1の所定値と異なる場合または前記データフィールドの値が前記第2の所定値と異なる場合、前記第1フレームを新たな前記第2フレームとして記憶部に保存する更新処理を行う、フレーム処理プログラム。
【符号の説明】
【0171】
1 車両
11 中継部
12,22 処理部
13,23 記憶部
51,51A,51B 通信バス
101 車載中継装置
202,202A,202B,202C,202D 車載ECU
301 車載システム
401 車載ネットワーク
図1
図2
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図5
図6
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図10
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