(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151357
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】通信管理装置および通信管理方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H04M3/42 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064549
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】エフサステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 佳代子
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA05
5K201BC13
5K201CB05
5K201CC01
5K201CC07
5K201CC09
5K201CD09
5K201EA05
5K201EC03
5K201EC06
5K201ED02
5K201EE08
(57)【要約】
【課題】PBXシステムおよびSIPシステムが混在する音声通話システムにおいて、ピックアップの利便性を高める。
【解決手段】通信管理装置は、SIPサーバおよびPBXを含む音声通話システムの通信を管理する。SIPサーバには、複数のSIP内線および複数のPBX内線が登録されている。通信管理装置は、SIP内線およびPBX内線の状態を表す状態管理情報を保存する保存部と、SIP内線またはPBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ基づいて状態管理情報を更新する制御部とを備える。制御部は、SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたことに起因して、SIPサーバに登録されているSIP内線およびPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを受信したときに、状態管理情報をSIPサーバに通知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)サーバおよびPBX(Private Branch Exchange)を含む音声通話システムの通信を管理する通信管理装置であって、
前記SIPサーバには、前記SIPサーバが提供する複数のSIP内線および前記PBXが提供する複数のPBX内線が登録されており、
前記通信管理装置は、
前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を表す状態管理情報を保存する保存部と、
前記SIPサーバから受信する、前記SIP内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ、および、前記PBXから受信する、前記PBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージに基づいて、前記状態管理情報を更新する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたことに起因して、前記SIPサーバに登録されている前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを受信したときに、前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知する
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項2】
前記状態管理情報は、前記SIP内線または前記PBX内線の状態が変化した時刻を表す状態変化時刻情報を含み、
前記制御部は、前記SIPサーバから前記問合せメッセージを受信したときに、前記状態変化時刻情報を含む前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信管理装置。
【請求項3】
SIP(Session Initiation Protocol)サーバおよびPBX(Private Branch Exchange)を含む音声通話システムの通信を管理する通信管理方法であって、
前記SIPサーバには、前記SIPサーバが提供する複数のSIP内線および前記PBXが提供する複数のPBX内線が登録されており、
前記通信管理装置は、
前記SIPサーバから受信する、前記SIP内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ、および、前記PBXから受信する、前記PBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージに基づいて、前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を表す状態管理情報を更新し、
前記SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたことに起因して、前記SIPサーバに登録されている前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを受信したときに、前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知する
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項4】
SIP(Session Initiation Protocol)サーバおよびPBX(Private Branch Exchange)を含む音声通話システムの通信を管理するための通信管理プログラムであって、
前記SIPサーバには、前記SIPサーバが提供する複数のSIP内線および前記PBXが提供する複数のPBX内線が登録されており、
前記SIPサーバから受信する、前記SIP内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ、および、前記PBXから受信する、前記PBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージに基づいて、前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を表す状態管理情報を更新し、
前記SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたことに起因して、前記SIPサーバに登録されている前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを受信したときに、前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知する
処理をコンピュータに実行させる通信管理プログラム。
【請求項5】
SIP(Session Initiation Protocol)サーバ、PBX(Private Branch Exchange)、および通信管理装置を含む音声通話システムであって、
前記SIPサーバには、前記SIPサーバが提供する複数のSIP内線および前記PBXが提供する複数のPBX内線が登録されており、
前記通信管理装置は、
前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を表す状態管理情報を保存する保存部と、
前記SIPサーバから受信する、前記SIP内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ、および、前記PBXから受信する、前記PBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージに基づいて、前記状態管理情報を更新する制御部と、を備え、
前記SIPサーバは、前記SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたときに、前記SIPサーバに登録されている前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを前記通信管理装置に送信し、
前記通信管理装置は、前記問合せメッセージに応じて、前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知し、
前記SIPサーバは、前記状態管理情報において着信状態となっている内線と前記電話機とを接続する処理を実行する
ことを特徴とする音声通話システム。
【請求項6】
前記状態管理情報は、前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態が変化した時刻を表す状態変化時刻情報を含み、
前記SIPサーバは、前記状態管理情報において複数の内線が着信状態となっているときには、着信状態となっている前記複数の内線のうちで前記状態変化時刻情報が表す時刻が最も早い内線と前記電話機とを接続する処理を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の音声通話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声通話システムにおいて通信を管理する装置および方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
オフィス内の音声通話システムは、既存のPBX(Private Branch Exchange)システムからSIP(Session Initiation Protocol)テレフォニーシステムに移行しつつある。ただし、音声通話システム全体を同時に一括してSIPテレフォニーシステムに移行できないことがある。この場合、音声通話システム内に既存のPBXシステムおよびSIPテレフォニーシステムが混在することになる。なお、以下の記載では、既存のPBXおよび既存のPBXシステムをそれぞれ単に「PBX」および「PBXシステム」と呼ぶことがある。また、SIPテレフォニーシステムを単に「SIPシステム」と呼ぶことがある。
【0003】
他方、オフィス内の音声通話システムは、多くのケースにおいて、ある電話機への着信を他の電話機で代理応答する機能(即ち、ピックアップ機能)を備える。そして、代理応答が可能な利便性の高いコールピックアップシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、PBXシステムおよびSIPシステムが混在する音声通話システムにおいては、他の電話機への着信をピックアップする際の手間が複雑になることがある。例えば、SIPシステムに接続する電話機への着信をSIPシステムに接続する他の電話機でピックアップするときは、1つのピックアップ特番で通話が可能になるが、PBXシステムに接続する電話機への着信を、SIPシステムに接続する電話機でピックアップするときには、複数の特番(例えば、PBXシステムとSIPシステムとを接続するゲートウェイを呼び出すための番号、グループピックアップ特番、ピックアップグループ番号など)が必要になることがある。
【0006】
本発明の1つの側面に係わる目的は、PBXシステムおよびSIPシステムが混在する音声通話システムにおいて、ピックアップの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様に係わる通信管理装置は、SIPサーバおよびPBXを含む音声通話システムの通信を管理する。前記SIPサーバには、前記SIPサーバが提供する複数のSIP内線および前記PBXが提供する複数のPBX内線が登録されている。前記通信管理装置は、前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を表す状態管理情報を保存する保存部と、前記SIPサーバから受信する、前記SIP内線の状態の変化を表す状態通知メッセージ、および、前記PBXから受信する、前記PBX内線の状態の変化を表す状態通知メッセージに基づいて、前記状態管理情報を更新する制御部と、を備える。前記制御部は、前記SIPサーバに接続する電話機において指定された番号が入力されたことに起因して、前記SIPサーバに登録されている前記複数のSIP内線および前記複数のPBX内線の状態を問い合わせる問合せメッセージを受信したときに、前記状態管理情報を前記SIPサーバに通知する。
【発明の効果】
【0008】
上述の態様によれば、PBXシステムおよびSIPシステムが混在する音声通話システムにおいて、ピックアップの利便性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】SIPシステムおよびPBXシステムが混在する音声通話システムの一例を示す図である。
【
図2】ピックアップグループの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係わる音声通話システムの一例を示す図である。
【
図4】SIPサーバに登録される情報の一例を示す図である。
【
図5】PBXに登録される情報の一例を示す図である。
【
図6】状態管理サーバにより管理される情報の一例を示す図である。
【
図7】音声通話システムにおける内線の構成およびその登録を模式的に示す図である。
【
図8】ピックアップ手順の第1の実施例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図8に示すピックアップ手順で更新される状態管理表を示す図である。
【
図10】ピックアップ手順の第2の実施例を示すシーケンス図(その1)である。
【
図11】ピックアップ手順の第2の実施例を示すシーケンス図(その2)である。
【
図13】ピックアップ手順の第3の実施例を示すシーケンス図(その1)である。
【
図14】ピックアップ手順の第3の実施例を示すシーケンス図(その2)である。
【
図16】状態管理サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】状態管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係わる音声通話システムのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、SIPシステムおよびPBXシステムが混在する音声通話システムの一例を示す。SIPシステムは、SIPサーバ10を備える。SIPサーバ10は、IPネットワーク上で音声通話の制御を行う。また、SIPサーバ10は、SIPシステムに接続する電話機の電話番号およびIPアドレスを管理する。さらに、SIPサーバ10には、SIPシステムに接続する電話機の内線番号が登録されている。この実施例では、3台の電話機の内線番号(3000、3100、3200)がSIPサーバ10に登録されている。
【0011】
PBXシステムは、PBX20および内線接続装置30を備える。PBX20は、ISDN(Integrated Service Digital Network)回線またはアナログ中継線に接続され、外部からの着信を指定された電話機に振り分ける機能、内線を転送する機能などを備える。また、PBX20には、PBXシステムに接続する電話機の内線番号が登録されている。この実施例では、3台の電話機の内線番号(4000、4100、4200)がPBX20に登録されている。内線接続装置30は、PBX20を各電話機との間に設けられる。
【0012】
図1において「T」は、電話機を表す。また、SIPサーバ10が提供する内線(すなわち、SIPサーバ10に接続する電話機の内線)を「SIP内線」と呼ぶことがある。例えば、SIPシステムにおいて「3000」が割り当てられている内線を「SIP内線3000」と呼ぶことがある。同様に、PBX20が提供する内線(すなわち、PBX20に接続する電話機の内線)を「PBX内線」と呼ぶことがある。例えば、PBXシステムにおいて「4000」が割り当てられている内線を「PBX内線4000」と呼ぶことがある。
【0013】
SIPシステムおよびPBXシステムは、ゲートウェイ装置(GW)40を介して互いに接続される。ゲートウェイ装置40は、プロトコル変換装置として動作する。この実施例では、ゲートウェイ装置40は、SIPとISDN等とを相互に変換する。
【0014】
SIPシステムおよびPBXシステムそれぞれにおいて、ピックアップグループが形成される。例えば、
図2に示す例では、SIPシステムにおいてSIP内線3000、3100、3200がピックアップグループ01に属している。また、PBXシステムにおいてPBX内線4000、4100、4200がピックアップグループ90に属している。
【0015】
このようなケースにおいて、SIP内線3000のユーザが、他の電話機への着信をピックアップするものとする。例えば、SIP内線3200に着信があったものとする。ここで、SIP内線3000およびSIP内線3200は、いずれもSIPシステムに接続し、且つ、同じピックアップグループに属している。この場合、ユーザは、SIP内線3000の電話機に、SIPシステム内で予め設定されているピックアップ応答特番(例えば、11)を入力することで、SIP内線3200への着信をピックアップすることができる。
【0016】
これに対して、PBXシステムに接続する電話機への着信をピックアップする際には、より多くの番号を入力する必要がある。例えば、PBX内線4200への着信をピックアップする場合は、ユーザは、SIP内線3000の電話機に「ゲートウェイ装置40を捕捉するための特番(例えば、710)」、「グループピックアップ応答特番(例えば、99)」および「ピックアップグループ番号(ここでは、90)」を入力する必要がある。
【0017】
また、SIPシステムおよびPBXシステムの双方に着信があった場合、通常、先の着信をピックアップすることが好ましい。ところが、上述のように、SIPシステムの着信をピックアップする場合と、PBXシステムの着信をピックアップする場合とで、ユーザの操作が異なる。この点でも、ユーザの負担が大きくなる。
【0018】
<実施形態>
図3は、本発明の実施形態に係わる音声通話システム100の一例を示す。本発明の実施形態に係わる音声通話システム100においては、
図1に示す構成と同様に、SIPシステムおよびPBXシステムが混在する。SIPシステムには電話機T11、T12、T13が接続されている。そして、電話機T11、T12、T13にはそれぞれSIP内線3000、3100、3200が割り当てられている。また、PBXシステムには電話機T21、T22、T23が接続されている。そして、電話機T21、T22、T23にはそれぞれPBX内線4000、4100、4200が割り当てられている。
【0019】
SIPサーバ10には、SIPサーバ10が提供する内線の番号(すなわち、SIPシステムに接続する電話機T11~T13に割り当てられた内線番号)が登録され、PBX20には、PBX20が提供する内線の番号(すなわち、PBXシステムに接続する電話機T21~T23に割り当てられた内線番号)が登録される。ただし、音声通話システム100においては、SIPサーバ10には、PBX20が提供する内線の番号も登録される。
【0020】
状態管理サーバ50は、音声通話システム100内の各内線の状態を管理する。また、状態管理サーバ50は、音声通話システム100内の内線への着信に対する代理応答処理(すなわち、ピックアップ)に係わる処理を実行する。したがって、状態管理サーバ50は、音声通話システム100の通信を管理する通信管理装置の一例である。なお、状態管理サーバ50は、IPネットワークを介してSIPサーバ10およびPBX20と接続する。
【0021】
図4は、SIPサーバ10に登録される情報の一例を示す。これらの情報は、例えば、音声通話システム100の管理者により登録される。
【0022】
図4(a)は、SIPシステム内で使用される特番が登録された特番情報11の一例を示す。特番は、特定の機能または特定の装置を呼び出すために予め割り当てられた番号である。この実施例では、ピックアップ応答特番として「11」が設定されている。すなわち、SIPシステムに接続する電話機に「11」を入力すると、他の電話機への着信をピックアップできる。また、ゲートウェイ捕捉特番として「710」が設定されている。すなわち、SIPシステムに接続する電話機に「710」を入力すると、ゲートウェイ装置40を捕捉することができる。
【0023】
図4(b)は、音声通話システム100内で使用される内線番号が登録された内線番号情報12の一例を示す。音声通話システム100内で使用される内線番号は、上述したように、SIPサーバ10が提供する内線の番号およびPBX20が提供する内線の番号を含む。なお、内線種別は、SIPシステムにおける内線であるか、PBXシステムにおける内線であるかを表す。システム番号は、SIPシステムまたはPBXシステムを表す。この実施例では、SIPシステムに「1」が割り当てられ、PBXシステムの「2」が割り当てられている。
【0024】
図4(c)は、ピックアップグループ情報13の一例を示す。ピックアップグループ情報13は、SIPシステムにおいて共通のユーザ操作によりピックアップされ得る内線の集合を表す。ここで、SIPシステムに接続する電話機は、
図4(a)に示すピックアップ特番によりピックアップされる。これに対して、PBXシステムに接続する電話機への着信をピックアップする際には、
図1~
図2を参照して説明したように、「ゲートウェイ装置GWを捕捉するための特番(例えば、710)」、「グループピックアップ応答特番(例えば、99)」および「ピックアップグループ番号(ここでは、90)」が必要となる。したがって、PBX内線に対しては、他局ピックアップ特番として、これらの番号の組合せ(710-99-90)が登録されている。
【0025】
図4(d)は、状態管理サーバ情報14の一例を示す。状態管理サーバ情報14は、状態管理サーバ50のIPアドレスおよび自システム番号を含む。自システム番号は、SIPシステムを識別する。この実施例では、上述したように、SIPシステム(即ち、自システム)に「1」が割り当てられている。
【0026】
図5は、PBX20に登録される情報の一例を示す。これらの情報は、例えば、音声通話システム100の管理者により登録される。
【0027】
図5(a)は、PBXシステム内で使用される特番が登録された特番情報21の一例を示す。この例では、グループピックアップ応答特番として「99」が設定されている。すなわち、PBXシステムに接続する電話機に「99」を入力すると、同一グループ内の他の電話機への着信をピックアップできる。
【0028】
図5(b)は、PBXシステム内で使用される内線番号が登録された内線番号情報22の一例を示す。この実施例では、内線番号情報22は、
図3に示すPBX内線4000、4100、4200を表す。
【0029】
図5(c)は、ピックアップグループ情報23の一例を示す。ピックアップグループ情報23は、PBXシステムにおいて共通のユーザ操作によりピックアップされ得る内線の集合を表す。この実施例では、この集合(すなわち、ピックアップグループ)は、グループ番号「90」により識別される。
【0030】
図5(d)は、状態管理サーバ情報24の一例を示す。状態管理サーバ情報14は、状態管理サーバ50のIPアドレスおよび自システム番号を含む。自システム番号は、PBXシステムを識別する。この実施例では、上述したように、PBXシステム(即ち、自システム)に「2」が割り当てられている。
【0031】
図6は、状態管理サーバ50により管理される情報の一例を示す。
図6(a)は、システム登録情報51の一例を示す。システム番号は、SIPシステムまたはPBXシステムを識別する。システム番号は、
図4(b)に示す内線番号情報12、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13、
図4(d)に示す状態管理サーバ情報14、
図5(b)に示す内線番号情報22、および
図5(d)に示す状態管理サーバ情報24において参照される。
【0032】
図6(b)は、音声通話システム100内の各内線の状態を管理する状態管理表52の一例を示す。状態管理表52には、各内線が実際に接続しているシステムを表すシステム番号が登録されている。また、状態管理表52は、各内線について、状態および状態変化時刻を管理する。「状態」は、空き、使用中、着信中、障害中、または未接続のいずれか1つを表す。「空き」は、当該内線において通信が行われてない状態(即ち、着信待受け状態)を表す。「使用中」は、当該内線が使用中であることを表す。「着信中」は、当該内線が着信中であることを表す。「障害中」は、当該内線において障害が発生していることを表す。「未接続」は、当該内線に電話機が接続されてない、または、当該内線に接続する電話機の電源が入ってない状態を表す。また、「状態変化時刻」は、状態管理サーバ50がSIPサーバ10またはPBX20から内線の状態を表すメッセージを受信した時刻を表す。
【0033】
このように、SIPサーバ10およびPBX20に内線に係わる情報が登録される。ここで、SIPサーバ10には、SIP内線だけでなく、PBX内線に係わる情報も登録される。このとき、SIPサーバ10において、SIP内線およびPBX内線が同一のピックアップグループに登録される。
【0034】
SIPサーバ10およびPBX20は、各内線の状態の変化を状態管理サーバ50に通知する。そして、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10およびPBX20からの通知に応じて、
図6(b)に示す状態管理表52を更新する。このとき、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10およびPBX20から通知を受けた時刻を記録する。
【0035】
次に、上述の音声通話システム100において、ある内線番号への着信をピックアップする手順について説明する。なお、音声通話システム100は、
図3に示すように、SIPシステムおよびPBXシステムを含むものとする。
【0036】
図7は、音声通話システム100における内線の構成およびその登録を模式的に示す。この例では、SIPシステムにおいて用意されているSIP内線3000、3100、3200、およびPBXシステムにおいて用意されているPBX内線4000、4100、4200が、1つのピックアップグループに属する内線としてSIPサーバ10に登録されている。また、SIPサーバ10には、ゲートウェイ装置40を捕捉するためのゲートウェイ捕捉特番「710」が登録されている。更に、SIPサーバ10には、SIPシステムに接続する電話機を用いてPBX内線への着信をピックアップする際に使用される他局ピックアップ特番「710-99-90」が登録されている。一方、PBX20には、PBXシステムにおいて用意されているPBX内線4000、4100、4200が、1つのピックアップグループに属する内線として登録されている。
【0037】
図8は、ピックアップ手順の第1の実施例を示すシーケンス図である。この例では、SIPシステムに接続する電話機のユーザが、SIP内線への着信をピックアップする。ここで、
図8に示すピックアップ手順の開始時において、音声通話システム100内のすべての内線が「空き(着信待ち受け状態)」であるものとする。この場合、
図9(a)に示すように、状態管理サーバ50が保持する状態管理表52において、各内線の状態として「空き」が設定されている。なお、以下の記載では、内線番号AAAAが割り当てられている電話機を「電話機AAAA」と呼ぶことがある。
【0038】
S1において、発信電話機T1からSIP内線3200への発信が行われる。即ち、発信電話機T1において「3200」が入力される。発信電話機T1は、特に限定されるものではないが、この実施例では、SIPシステムに接続する電話機であり、内線番号3900が割り当てられているものとする。この場合、発信電話機T1からSIPサーバ10に発信メッセージが送信される。この発信メッセージは、「着信先番号:3200」および「発信元番号:3900」を含む。
【0039】
S2において、SIPサーバ10は、発信メッセージに含まれる着信先番号で内線番号情報12を参照することにより、着信先がSIPサーバ10により提供されるSIP内線であることを認識する。そうすると、SIPサーバ10は、着信先に発信メッセージを送信する。これにより、SIP内線3200が着信状態となり、電話機3200の着信音が鳴り始める。
【0040】
S3において、SIPサーバ10は、SIP内線3200の状態が「空き」から「着信中」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。そうすると、状態管理サーバ50は、S4において、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図9(b)に示すように、SIP内線3200の状態が「空き」から「着信中」に更新される。このとき、状態管理サーバ50は、状態変化時刻として、状態通知メッセージを受信した時刻を記録する。この場合、この状態変化時刻は、SIP内線3200の状態が「空き」から「着信中」に変化した時刻なので、SIP内線3200への着信時刻に相当する。
【0041】
ここで、電話機3000のユーザが、電話機3200の着信音が鳴っていることに気づき、ピックアップ操作を行うものとする。すなわち、ユーザは、電話機3000にピックアップ応答特番「11」を入力する。そうすると、S5において、電話機3000からSIPサーバ10に発信メッセージが送信される。この発信メッセージは、「着信先番号:11」および「発信元番号:3000」を含む。
【0042】
S6において、SIPサーバ10は、発信メッセージに含まれる発信元番号で内線番号情報12を参照することにより、発信元がSIP内線3000であることを認識する。そして、SIPサーバ10は、SIP内線3000の状態が「空き」から「使用中」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。そうすると、状態管理サーバ50は、S7において、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図9(c)に示すように、SIP内線3000の状態が「空き」から「使用中」に更新される。このとき、状態管理サーバ50は、状態変化時刻として、状態通知メッセージを受信した時刻を記録する。
【0043】
SIPサーバ10は、S5の発信メッセージに含まれる着信先番号がピックアップ応答特番であることを認識すると、S8において、S5の発信メッセージに含まれる発信元番号が属するピックアップグループ内の各内線の状態を、状態管理サーバ50に問い合わせる。この例では、SIPサーバ10は、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13に登録されている各内線の状態を状態管理サーバ50に問い合わせる。具体的には、内線3000、3100、3200、4000、4100、4200について、その状態の問合せが行われる。ただし、SIPサーバ10は、S5の発信メッセージに含まれる発信元番号の状態を問い合わせなくてもよい。この場合、内線3100、3200、4000、4100、4200についての問合せが行われる。
【0044】
S9において、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10からの問合せに対する応答として、状態管理表52に記録されている情報を返信する。すなわち、
図9(c)に示す状態管理情報が、状態管理サーバ50からSIPサーバ10に送信される。これにより、SIPサーバ10は、SIP内線3200が着信中であることを認識できる。
【0045】
ただし、S1の着信先は、SIPサーバ10の配下のSIP内線なので、SIPサーバ10は、状態管理サーバ50に問合せを行わなくても、SIP内線3200が着信中であることを認識している。よって、
図8に示すピックアップ手順において、S8~S9は省略されてもよい。
【0046】
SIPサーバ10は、電話機3000においてピックアップ応答特番「11」が入力されているので、SIP内線3200への着信を電話機3000がピックアップすると判定する。よって、SIPサーバ10は、S10において、SIP内線3200に着信停止メッセージを送信する。これにより、SIP内線3200の状態は「着信中」から「空き」に移行する。また、SIPサーバ10は、S11において、SIP内線3200の状態が「着信中」から「空き」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。そうすると、状態管理サーバ50は、S12において、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図9(d)に示すように、SIP内線3200の状態が「着信中」から「空き」に更新される。
【0047】
S13において、SIPサーバ10は、発信電話機T1に応答メッセージを送信する。S14において、SIPサーバ10は、電話機3000に応答メッセージを送信する。すなわち、SIPサーバ10は、状態管理表52において着信状態となっている内線と発信電話機とを接続する処理を実行する。これにより、発信電話機T1とSIP内線3000との通信が設定される。
【0048】
図10~
図11は、ピックアップ手順の第2の実施例を示すシーケンス図である。この実施例では、SIPシステムに接続する電話機のユーザが、PBX内線への着信をピックアップする。なお、
図10~
図11に示すピックアップ手順の開始時において、音声通話システム100内のすべての内線が「空き(着信待ち受け状態)」であるものとする。この場合、
図12(a)に示すように、状態管理サーバ50が保持する状態管理表52において、各内線の状態として「空き」が設定されている。
【0049】
S21~S24の手順は、
図8に示すS1~S4と実質的に同じである。ただし、
図10~
図11に示す第2の実施例では、S21において、発信電話機T2からPBX内線4200への発信が行われる。S22において、PBX20は、着信先の電話機に発信メッセージを送信する。これにより、PBX内線4200が着信状態となり、電話機4200の着信音が鳴り始める。S23において、PBX20は、PBX内線4200の状態が「空き」から「着信中」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。そうすると、状態管理サーバ50は、S24において、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図12(b)に示すように、PBX内線4200の状態が「空き」から「着信中」に更新される。
【0050】
ここで、電話機3000のユーザが、電話機4200の着信音が鳴っていることに気づき、ピックアップ操作を行うものとする。すなわち、ユーザは、電話機3000にピックアップ応答特番「11」を入力する。そうすると、S25において、電話機3000からSIPサーバ10に発信メッセージが送信される。この発信メッセージは、「着信先番号:11」および「発信元番号:3000」を含む。
【0051】
S26~S29の手順は、
図8に示すS6~S9と実質的に同じである。即ち、S26において、SIPサーバ10は、SIP内線3000の状態が「空き」から「使用中」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。S27において、状態管理サーバ50は、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図12(c)に示すように、SIP内線3000の状態が「空き」から「使用中」に更新される。S28において、SIPサーバ10は、ピックアップグループ内の各内線の状態を状態管理サーバ50に問い合わせる。S29において、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10からの問合せに対する応答として、状態管理表52に記録されている情報を返信する。すなわち、
図12(c)に示す状態管理情報が、状態管理サーバ50からSIPサーバ10に送信される。これにより、SIPサーバ10は、PBX内線4200が着信中であることを認識できる。
【0052】
SIPサーバ10は、電話機3000においてピックアップ応答特番「11」が入力されているので、PBX内線4200への着信を電話機3000がピックアップすると判定する。ここで、SIPサーバ10は、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13を参照することにより、電話機3000がピックアップしようとしている内線が、SIPサーバ10の配下ではなく、PBX20の配下の内線であることを認識する。そうすると、SIPサーバ10は、S30において、PBX20に対して発信メッセージを送信する。具体的には、SIPサーバ10は、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13を参照し、他局ピックアップ特番「710-99-90」を取得する。このとき、「710」は、ゲートウェイ装置40を捕捉するために使用される。よって、発信メッセージに「着信先番号:99-90」が設定される。そして、この発信メッセージが、ゲートウェイ装置40を介してPBX20に送信される。
【0053】
PBX20は、S30の発信メッセージに含まれる着信先番号がピックアップ応答特番であることを認識すると、S31において、S30の発信メッセージに含まれる着信先番号に対応するピックアップグループ内の各内線の状態を、状態管理サーバ50に問い合わせる。この例では、PBX20は、
図5(c)に示すピックアップグループ情報23に登録されている各内線の状態を状態管理サーバ50に問い合わせる。したがって、内線(4000、4100、4200)についての問合せが行われる。
【0054】
S32において、状態管理サーバ50は、PBX20から受信する問合せに対する応答として、状態管理表52に記録されている情報を返信する。すなわち、
図12(c)に示す状態管理情報が、状態管理サーバ50からPBX20に送信される。これにより、PBX20は、PBX内線4200が着信中であることを認識できる。
【0055】
ただし、S21の着信先は、PBX20の配下のPBX内線なので、PBX20は、状態管理サーバ50に問合せを行わなくても、PBX内線4200が着信中であることを認識している。よって、
図10~
図11に示すピックアップ手順において、S31~S32は省略されてもよい。
【0056】
S33において、PBX20は、PBX内線4200に着信停止メッセージを送信する。これにより、PBX内線4200の状態は「着信中」から「空き」に移行する。また、PBX20は、S34において、PBX内線4200の状態が「着信中」から「空き」に変化したことを表す状態通知メッセージを状態管理サーバ50に送信する。そうすると、状態管理サーバ50は、S35において、状態通知メッセージに応じて状態管理表52を更新する。具体的には、
図12(d)に示すように、PBX内線4200の状態が「着信中」から「空き」に更新される。
【0057】
S36において、PBX20は、発信電話機T2に応答メッセージを送信する。また、S37~S38において、PBX20は、SIPサーバ10を介して電話機3000に応答メッセージを送信する。すなわち、SIPサーバ10は、状態管理表52において着信状態となっている内線と発信電話機とを接続する処理を実行する。これにより、発信電話機T2とSIP内線3000との通信が設定される。
【0058】
このように、SIPシステムに接続する電話機を用いてPBX内線への着信をピックアップする場合も、ユーザは、電話機にピックアップ応答特番「11」を入力するだけでよい。すなわち、SIP内線への着信をピックアップする操作と、PBX内線への着信をピックアップする操作とが同じである。したがって、従来技術と比較して、内線への着信のピックアップにおいてユーザの利便性が高くなる。
【0059】
図13~
図14は、ピックアップ手順の第3の実施例を示すシーケンス図である。第3の実施では、短い期間内に、音声通話システム100内の複数の内線に着信がある。一例として、PBX内線4200への着信の直後に、さらにSIP内線3200にも着信がある。そして、SIPシステムに接続する電話機3000のユーザが、いずれか一方の着信をピックアップする。なお、
図13~
図14に示すピックアップ手順の開始時において、音声通話システム100内のすべての内線が「空き(着信待ち受け状態)」であるものとする。この場合、
図9(a)または
図12(a)に示すように、状態管理サーバ50が保持する状態管理表52において、各内線の状態として「空き」が設定されている。
【0060】
S41~S44の手順は、
図11に示すS21~S24と実質的に同じである。したがって、状態管理サーバ50が保持する状態管理表52において、
図15(a)に示すように、PBX内線4200の状態が「空き」から「着信中」に更新される。このとき、状態管理サーバ50がPBX20から発信メッセージを受信した時刻(2023年2月15日の10時10分10秒)が状態管理表52に記録される。この時刻は、PBX内線4200への着信時刻に相当する。そして、PBX内線4200が着信状態となり、電話機4200の着信音が鳴り始める。
【0061】
発信電話機T2からPBX内線4200への着信の直後に、発信電話機T1がSIP内線3200に発信する。これにより、
図13に示すS45~S48の手順が実行される。
【0062】
S45~S48の手順は、
図8に示すS1~S4と実質的に同じである。よって、状態管理サーバ50が保持する状態管理表52において、
図15(b)に示すように、SIP内線3200の状態が「空き」から「着信中」に更新される。このとき、状態管理サーバ50がSIPサーバ10から発信メッセージを受信した時刻(2023年2月15日の10時10分15秒)が状態管理表52に記録される。この時刻は、SIP内線3200への着信時刻に相当する。そして、SIP内線3200が着信状態となり、電話機3200の着信音が鳴り始める。
【0063】
ここで、電話機3000のユーザが、電話機3200および電話機4200の着信音が鳴っていることに気づき、ピックアップ操作を行うものとする。即ち、ユーザは、電話機3000にピックアップ応答特番「11」を入力する。そうすると、S49において、電話機3000からSIPサーバ10に発信メッセージが送信される。この発信メッセージは、「着信先番号:11」および「発信元番号:3000」を含む。
【0064】
S50~S53の手順は、
図8に示すS6~S9または
図10に示すS26~S29と実質的に同じである。よって、S50~S51において、状態管理表52が
図15(c)に示すように更新される。また、SIPサーバ10は、S49の発信メッセージに含まれる着信先番号がピックアップ応答特番であることを認識すると、S52において、S49の発信メッセージに含まれる発信元番号が属するピックアップグループ内の各内線の状態を、状態管理サーバ50に問い合わせる。この例では、SIPサーバ10は、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13に登録されている各内線の状態を状態管理サーバ50に問い合わせる。具体的には、内線3000、3100、3200、4000、4100、4200について、その状態の問合せが行われる。ただし、SIPサーバ10は、S5の発信メッセージに含まれる発信元番号の状態を問い合わせなくてもよい。この場合、内線3100、3200、4000、4100、4200についての問合せが行われる。
【0065】
S53において、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10からの問合せに対する応答として、状態管理表52に記録されている情報を返信する。すなわち、
図15(c)に示す状態管理表52が、状態管理サーバ50からSIPサーバ10に送信される。これにより、SIPサーバ10は、SIP内線3200およびPBX内線4200が着信中であることを認識する。
【0066】
着信中の内線が複数あるときには、SIPサーバ10は、S54において、着信時刻が最も早い内線を選択する。この実施例では、SIPサーバ10は、
図15(c)に示す状態管理表52の内容を受信する。そして、この情報によれば、PBX内線4200への着信がSIP内線3200への着信よりも先である。この場合、SIPサーバ10は、ピックアップすべき内線として、PBX内線4200を特定する。
【0067】
続いて、SIPサーバ10は、電話機3000において入力されたピックアップ応答特番「11」を処理する。すなわち、SIPサーバ10は、S54で特定したPBX内線4200への着信を電話機3000がピックアップするための処理を行う。ただし、
図10~
図11に示す第2の実施例と同様に、電話機3000がピックアップしようとする内線は、SIPサーバ10の配下のSIP内線ではなく、PBX20の配下のPBX内線なので、SIPサーバ10は、S55において、PBX20に対して発信メッセージを送信する。具体的には、SIPサーバ10は、
図4(c)に示すピックアップグループ情報13を参照し、他局ピックアップ特番「710-99-90」を取得する。このとき、「710」は、ゲートウェイ装置40を捕捉するために使用される。したがって、発信メッセージには「着信先番号:99-90」が設定される。そして、この発信メッセージが、ゲートウェイ装置40を介してPBX20に送信される。
【0068】
この後の手順(即ち、
図14に示すS56~S63)は、
図10~
図11に示すS31~S38と実質的に同じである。すなわち、PBX20は、状態管理サーバ50に問合せを行うことによりPBX内線4200が着信中であることを認識すると、PBX内線4200に着信停止メッセージを送信する。これにより、PBX内線4200の状態は「着信中」から「空き」に移行する。また、PBX20から送信される状態通知メッセージに応じて、
図15(d)に示すように、状態管理表52においてPBX内線4200の状態が「着信中」から「空き」に更新される。さらに、PBX20から発信電話機T2および電話機3000に応答メッセージが送信され、これにより、発信電話機T2とSIP内線3000との通信が設定される。
【0069】
このように、複数の内線が同時に着信中となっているときに、いずれかの着信をピックアップする場合には、ユーザは、自分の電話機にピックアップ特番「11」を入力する。ここで、着信中の内線が複数ある場合、発信者の待ち時間を長くしないようにするためには、先に発信した呼に対する着信が先にピックアップされることが好ましい。このため、状態管理サーバ50は、着信中の各内線の着信時刻を管理し、SIPサーバ10からの問合せに対してそれらの着信時刻をSIPサーバ10に通知する。そして、SIPサーバ10は、着信時刻が最も早い内線のピックアップを実行する。したがって、ユーザにピックアップすべき内線を選択させることなく、着信時刻が最も早い内線のピックアップが実現される。
【0070】
図16は、状態管理サーバ50の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、状態管理サーバ50が動作している期間、継続して実行される。
【0071】
S101において、状態管理サーバ50は、SIPサーバ10またはPBX20から送信されるメッセージを待ち受ける。メッセージを受信すると、状態管理サーバ50は、S102~S103において、受信したメッセージの種別を判定する。
【0072】
状態通知メッセージを受信したときは、状態管理サーバ50は、S104において、状態管理表52を更新する。このとき、状態管理サーバ50は、状態通知メッセージに従って対応する内線の状態を更新すると共に、その状態通知メッセージを受信した時刻を記録する。例えば、
図8に示すS3において、SIP内線3200の状態が「空き」から「着信中」に変化したことを表す状態通知メッセージを2023年2月15日の10時10分10秒に受信したときには、状態管理サーバ50は、状態管理表52を
図9(a)に示す情報から
図9(b)に示す情報に更新する。
【0073】
状態問合せメッセージを受信したときは、状態管理サーバ50は、S105において、その問合せに対する状態応答メッセージを作成する。状態問合せメッセージは、1または複数の内線の状態を問い合わせる。状態管理サーバ50は、状態管理表52を参照して、問合せを受けた内線の状態を表す状態応答メッセージを作成する。ここで、状態応答メッセージは、内線の状態が変化した時刻を表す状態変化時刻も含む。そして、状態管理サーバ50は、状態問合せメッセージの発行元に状態応答メッセージを送信する。
【0074】
例えば、
図8に示すS8において、内線3100、3200、4000、4100、4200の状態を問い合わせる状態問合せメッセージがSIPサーバ10から送信されたときは、状態管理サーバ50は、
図9(c)に示す状態管理表52に基づいて状態応答メッセージを作成する。なお、この実施例では、状態管理サーバ50は、問合せを受けた各内線の状態を通知するが、本発明の実施形態はこの方法に限定されるものではない。たとえば、状態管理サーバ50は、問合せを受けた内線のうち、その状態が「着信中」となっている内線を識別する情報のみを通知してもよい。
【0075】
なお、受信メッセージが状態通知メッセージまたは状態問合せメッセージのいずれでもないときは、本発明の実施形態と直接的には係わりがないので説明を省略するが、状態管理サーバ50は、S106において、その受信メッセージに対応する処理を実行する。
【0076】
<ハードウェア構成>
図17は、状態管理サーバ50のハードウェア構成の一例を示す。状態管理サーバ50は、プロセッサ201、メモリ202、記憶装置203、入出力デバイス204、記録媒体読取り装置205、および通信インタフェース206を備えるコンピュータ200により実現される。
【0077】
プロセッサ201は、記憶装置203に保存されている通信管理プログラムを実行することにより、状態管理サーバ50の動作を制御する。ここで、通信管理プログラムは、
図16に示すフローチャートの手順を記述したプログラムコードを含む。よって、プロセッサ201がこのプログラムを実行することで、状態管理サーバ50の機能が提供される。この場合、プロセッサ201は、状態管理表52を更新すると共に、SIPサーバ10またはPBX20から問合せに応答する制御部の一例である。
【0078】
メモリ202は、プロセッサ201の作業領域として使用される。また、記憶装置203は、上述した通信管理プログラムおよび他のプログラムを保存する。ここで、状態管理表52は、例えば、記憶装置203に構築される。この場合、記憶装置203は、状態管理表52を保存する保存部の一例である。
【0079】
入出力デバイス204は、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどの入力デバイスを含む。また、入出力デバイス204は、表示装置、スピーカーなどの出力デバイスを含む。記録媒体読取り装置205は、記録媒体210に記録されているデータおよび情報を取得できる。記録媒体210は、コンピュータ200に着脱可能なリムーバブル記録媒体であってもよい。また、記録媒体210は、例えば、半導体メモリ、光学的作用で信号を記録する媒体、または磁気的作用で信号を記録する媒体により実現される。通信管理プログラムは、記録媒体210からコンピュータ200に与えられてもよい。通信インタフェース206は、ネットワークに接続する機能を提供する。なお、通信管理プログラムがプログラムサーバ220に保存されているときは、コンピュータ200は、プログラムサーバ220から通信管理プログラムを取得してもよい。
【0080】
<バリエーション>
上述の実施例では、SIP内線およびPBX内線が混在する音声通話システム100において、SIPシステムに接続する電話機を用いて簡単な操作でSIP内線およびPBX内線への着信をピックアップできるようにするために、SIPサーバ10にPBX内線および他局ピックアップ特番が登録される。ただし、本発明の実施形態は、この構成に限定されるものではない。
【0081】
例えば、PBXシステムに接続する電話機を用いて簡単な操作でSIP内線およびPBX内線への着信をピックアップできるように構成してもよい。この場合、
図18に示すように、PBX20にSIP内線が登録される。加えて、PBX20からSIPシステム内の内線グループを呼び出すための他局ピックアップ特番が、PBX20に登録される。なお、ピックアップ手順は、SIPシステムに接続する電話機を用いてピックアップするケースと実質的に同じである。
【0082】
上述の実施例では、SIPシステム内に状態管理サーバ50が設けられているが、本発明の実施形態は、この構成に限定されるものではない。状態管理サーバ50は、IPネットワークに接続されていればよい。
【0083】
上述の実施例では、SIP内線およびPBX内線が混在する音声通話システムを想定しているが、本発明の実施形態は、この構成に限定されるものではない。すなわち、本発明の実施形態は、通信プロトコルが異なる通信システムが混在する音声通話システムに適用され得る。
【符号の説明】
【0084】
10 SIPサーバ
20 PBX
40 ゲートウェイ装置
50 状態管理サーバ
52 状態管理表
100 音声通話システム