(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001514
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】セロファン積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 23/04 20060101AFI20231227BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20231227BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20231227BHJP
【FI】
B32B23/04
B65D65/40 D
C08J7/043 CEP
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100207
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】小東 剛
(72)【発明者】
【氏名】春井 直斗
(72)【発明者】
【氏名】服部 芽衣
(72)【発明者】
【氏名】花谷 俊和
【テーマコード(参考)】
3E086
4F006
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086BB01
3E086BB51
3E086BB68
4F006AA02
4F006AB13
4F006BA01
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4F100AJ05A
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4F100AK03B
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4F100AL06C
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4F100EH46
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4F100JB07B
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4F100JL04
4F100JL12B
4F100JL12C
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】アンカーコート層や接着剤層を設けなくても、耐湿性、ヒートシール性、及び高温高湿時の寸法安定性を有するセロファン積層体を得ることを目的とする。
【解決手段】セロファンからなる基材層の両表面にそれぞれ厚さ1.0~4.0μmのヒートシール性を有する耐湿層を設け、この耐湿層として、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂から選ばれる層を設けたセロファン積層体を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロファンからなる基材層の両表面にそれぞれ厚さ1.0~4.0μmのヒートシール性を有する耐湿層を設けたセロファン積層体。
【請求項2】
前記ヒートシール性を有する耐湿層は、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂からなる層である請求項1に記載のセロファン積層体。
【請求項3】
前記耐湿層の量は、前記基材層の各表面当りの固形分が1.0~4.0g/m2である請求項1又は2に記載のセロファン積層体。
【請求項4】
セロファンからなる基材層の両表面に、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂を含有する塗工液を固形分で1.0~4.0g/m2塗工し、乾燥することにより、それぞれ厚さ1.0~4.0μmのヒートシール性を有する耐湿層を形成するセロファン積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セロファン積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、マイクロプラスチック等による海洋汚染問題が世界中で注視される中で、石油系プラスチックフィルムの代替品として、木材パルプ等から製造した海洋生分解性を有するセロファンが期待されている。
しかし、セロファンは吸湿性を示すため、そのまま使用した場合、周囲の湿度変化によりシワや伸縮が発生するといった問題点を有する。また、セロファンはヒートシール性を有さないため、包装材料として使用する場合は、ヒートシール性を有する材料と組み合せる必要がある。
【0003】
その対策として、セロファンに塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体からなる層を積層することにより、防湿性及びヒートシール性を付与する方法が知られている(特許文献1)。また、セロファンにアンカーコート層を介してアイオノマー系樹脂を積層することにより、セロファンの吸湿性を抑制することが知られている(特許文献2)。
【0004】
さらに、セロファンにアンカーコート層を介してエチレン-メタクリル酸共重合体からなる層を積層することにより、セロファンの防湿性及びヒートシール性を付与する方法が知られている(特許文献3)。さらにまた、セロファンに接着剤層を介してポリアミド系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の何れかからなる層を積層することにより、セロファンに防湿性を付与する方法が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-154527号公報
【特許文献2】特許第2648578号公報
【特許文献3】特開2004-074665号公報
【特許文献4】特開2020-140164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、セロファンに塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、エチレン-アクリル酸系共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等からなる層が積層されている場合、防湿性には優れるが、周囲の湿度変化により発生するシワや収縮に対する抑制効果については、十分とは言い難い。
また、セロファンに、オレフィン系フィルム等の石油系プラスチックフィルムをラミネートして積層すると、ヒートシール性を付与できるものの、ヒートシール層を厚くせざるを得ないため、生分解性とリサイクル適性に問題が生じるおそれがある。
さらに、セロファンに樹脂層を積層させる場合、両者の密着性を向上させるため、アンカーコート層や接着剤層を設ける必要が生じることが多く、材料やコスト、加工工程が増えてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、この発明では、アンカーコート層や接着剤層を設けなくても、ヒートシール性、及び高温高湿時の寸法安定性、すなわち耐湿性を有するセロファン積層体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、セロファンからなる基材層に所定の耐湿層を設けることにより、前記の課題を解決したものであり、その要旨は、下記の[1]~[4]に存する。
【0009】
[1]セロファンからなる基材層の両表面にそれぞれ厚さ1.0~4.0μmのヒートシール性を有する耐湿層を設けたセロファン積層体。
[2]前記ヒートシール性を有する耐湿層は、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂からなる層である[1]に記載のセロファン積層体。
[3]前記耐湿層の量は、前記基材層の各表面当りの固形分が1.0~4.0g/m2である[1]又は[2]に記載のセロファン積層体。
[4]セロファンからなる基材層の両表面に、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂を含有する塗工液を固形分で1.0~4.0g/m2塗工し、乾燥することにより、それぞれ厚さ1.0~4.0μmのヒートシール性を有する耐湿層を形成するセロファン積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るセロファン積層体は、特定のヒートシール性を有する樹脂からなる耐湿層を設けるので、アンカーコート層や接着剤層を設けなくても、セロファンからなる基材層と耐湿層の密着性を向上させることができ、ヒートシール性を付与することができる。また、耐湿性を向上させることによって、湿度変化に対する寸法変化が抑制されるので、シワや収縮の発生を抑制できる。
さらに、耐湿層の厚みを所定の範囲内とするので、セロファンの生分解性を損なうおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明にかかるセロファン積層体の例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願発明について説明する。
本願発明は、
図1に示すように、基材層12の両表面に、所定厚さの耐湿層13を設けたセロファン積層体11についての発明である。
【0013】
<セロファン積層体>
この発明に係るセロファン積層体11を構成する前記基材層12は、生分解性を有するセロファンからなる。
【0014】
この発明に係るセロファン積層体11を構成する前記耐湿層13は、前記セロファン積層体11にヒートシール性及び耐湿性を付与する層である。この耐湿層を構成する材料としては、セロファン積層体11としたときにヒートシール性及び耐湿性を発揮できれば特に限定されない。このような材料としては、炭化水素系樹脂や、その樹脂のグラフト重合体又は変性体等が挙げられる。この炭化水素系樹脂としては、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を用いると、前記セロファン積層体11にヒートシール性を付与することができると共に、十分な耐湿性を付与でき、それにより高温高湿時の寸法安定性を向上させることができる。
【0015】
前記オレフィン系樹脂は、オレフィンをモノマー単位とするホモポリマー、又はオレフィンを主たるモノマーとし、他のオレフィンや他の種類のモノマーを共重合したコポリマーである。このオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブタン共重合体、プロピレン-ブタン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(エチレン-ビニルアルコール重合体を含む)等が挙げられる。
【0016】
また、前記脂肪族炭化水素系樹脂としては、石油樹脂やテルペン系樹脂等が挙げられる。さらに、前記脂環式炭化水素系樹脂としては、環状オレフィン系重合体、ノルボルネン系重合体等が挙げられる。
【0017】
また、前記グラフト重合体は、前記炭化水素系樹脂を用いてグラフト重合したものであり、例えば、エチレン-プロピレン樹脂やプロピレン樹脂をスチレン等でグラフト化したもの等が挙げられる。さらに、前記変性体は、前記炭化水素系樹脂を変性剤で変性した樹脂であり、変性剤としては、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の極性モノマーや、塩素、臭素等のハロゲンガス等が挙げられる。
【0018】
なお、前記の耐湿層13を構成する樹脂としては、ポリオレフィン、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、これらの樹脂のグラフト重合体、これらの樹脂の変性体のうち1種のみを用いてもよく、複数種の樹脂を混合して用いてもよい。
【0019】
前記基材層12に積層される前記耐湿層13の厚みは、各表面当たり1.0μm以上がよく、1.2μm以上が好ましく、1.5μm以上が特に好ましく、2.0μm以上がさらに好ましい。また、4.0μm以下がよく、3.5μm以下が好ましく、3.0μm以下がさらに好ましい。4.0μmより厚いと、この発明に係るセロファン積層体としての生分解性を損なったり、塗工により耐湿層を形成する場合、乾燥効率が低下して生産性を阻害したりするおそれがある。一方、1.0μmより薄いと、十分な耐湿性及びヒートシール性が得られ難くなる傾向があり、そのため、高温高湿下における寸法安定性も十分に得られなくなるおそれがある。また、1.0μm以上かつ1.5μm未満の場合は、ヒートシール性は得られるものの、使用態様によっては、ヒートシール性が十分と言い難い場合が生じ得る。これに対し、1.5μm以上とすると、十分なヒートシール性をより確実に得ることができる。
【0020】
この耐湿層13は、耐湿層13を構成する樹脂を含有し、これを溶剤に溶解した塗工液を前記基材層12の両表面に塗工し、乾燥することによって、形成することができる。この溶剤としては、前記の耐湿層13を構成する樹脂と反応せず、かつ、この樹脂を溶解することができ、常温又は加熱して揮散可能であれば、特に限定されない。このような溶剤としては、150℃以下、好ましくは120℃以下の沸点を有する溶剤であればよく、例えば、シクロヘキサンやそのメチル化体、エチル化体等のアルキル誘導体、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トルエン等が挙げられる、なお、上記のプロピル基、ブチル基は、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の各種異性体を含む。これらの溶剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
この塗工液の樹脂濃度としては、特に限定されないが、15質量%以上、35質量%以下であれば、塗工液の流動性を十分に確保できると共に、乾燥に長時間を要しないので好ましい。
【0021】
前記基材層12に積層される前記耐湿層13の量は、単位面積当たりの乾燥質量である固形分(以下、単に「固形分」と称する。)で示され、前記の耐湿層13の厚さを満たす量であればよい。具体的には、各表面当たり1.0g/m2以上がよく、1.2g/m2以上が好ましく、1.5g/m2以上が特に好ましく、2.0g/m2以上がさらに好ましい。また、4.0g/m2以下がよく、3.5g/m2以下が好ましく、3.0g/m2以下がさらに好ましい。4.0g/m2より多いと、この発明に係るセロファン積層体としての生分解性を損なったり、塗工により耐湿層を形成する場合、乾燥効率が低下して生産性を阻害したりするおそれがある。一方、1.0g/m2より少ないと、十分な耐湿性及びヒートシール性が得られ難くなる傾向があり、そのため、高温高湿下における寸法安定性も十分に得られなくなるおそれがある。また、1.0g/m2以上かつ1.5g/m2未満の場合は、ヒートシール性は得られるものの、使用態様によっては、ヒートシール性が十分と言い難い場合が生じ得る。これに対し、1.5g/m2以上とすると、十分なヒートシール性をより確実に得ることができる。
【0022】
<セロファン積層体の製造方法>
この発明に係るセロファン積層体11は、次の方法で製造することができる。
まず、前記炭化水素系樹脂、具体的には、オレフィン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、それらの樹脂のグラフト重合体、及びそれらの樹脂の変性体から選ばれる1種又は複数種の樹脂を前記溶剤に溶解し、前記の範囲内の樹脂濃度を有する塗工液を調製する。
次いで、セロファンからなる基材層12の両表面に、前記範囲内の固形分量の塗工液を塗工する。そして、乾燥させて前記塗工液中の溶剤を気化又は揮散させる。これにより、前記範囲内の厚さを有する耐湿層を形成することができ、セロファン積層体を得ることができる。このとき、一度に多く塗工する1層塗工より、同じ塗工量になるように2回に分けて塗工する2層塗工の方が、乾燥効率が高い場合があり、設備的に対応できるならば生産性の点で好ましい。
【0023】
前記の塗工の方法としては、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター等のコーターを用いる方法や、刷毛等による塗布、浸漬、噴霧等の方法が挙げられる。
なお、前記の通り、前記の炭化水素系樹脂を塗工して耐湿層を形成するので、基材層のセロファンとの密着性が向上し、通常はアンカーコートや接着剤の使用は不要だが、さらに高い密着性が要求される場合は使用しても良い。また、印刷等が必要な場合は、密着性を損なわない限り、基材層のセロファンと耐熱層の間に印刷等の層を設けることができる。
【0024】
<セロファン積層体の物性>
この発明にかかるセロファン積層体のヒートシール強度は、0.4N/15mm以上がよく、0.8N/15mm以上が好ましい。0.4N/15mmより小さいと、ヒートシール性を十分に発揮することが困難となる。0.4N/15mm以上とすることにより、ヒートシール性を発揮することができる。しかしながら、使用態様によっては、ヒートシール性が必ずしも十分とは言い難い場合がある。これに対し、0.8N/15mm以上だと、より確実なヒートシール性を得ることができる。
このヒートシール強度は、まず、得られたセロファン積層体の外表面と内表面とを、温度120℃、圧力0.2MPa、圧着時間1秒の条件下でヒートシールする。次いで、これをJIS Z1707の180°剥離試験により、ヒートシール強度を測定し、N/15mm巾の単位で表記する。これにより、ヒートシール強度を測定することができる。
【0025】
また、この発明にかかるセロファン積層体の高温高湿度下における寸法安定性は、下記に示す測定の値から算出した寸法変化率で99%以上がよく、99.1%以上が好ましい。また、101%以下がよく、100.5%以下が好ましい。99%以上101%以下であれば、保管等の間に寸法変化が生じ難く、シワ、ヒートシール部の剥がれや破れ等が生じるのを抑制でき、包装材料として使用する場合、外観不良が生じにくくなる。
この寸法安定性として、MD測定時はセロファン積層体からMD160mm×TD30mmの試験片を、またTD測定時はセロファン積層体からMD30mm×TD160mmの試験片を裁断し、23℃×50%RHで1日間調湿した直後の寸法を測定してから、40℃×90%RHの雰囲気下で5日間保管した後の寸法を測定することにより、寸法変化率を算出することができる。
なお、MDは、ロール状のセロファン積層体又はセロファンの流れ方向、すなわち、ロールからの引き出し方向をいい、TD方向とは、MD方向と直角の方向をいう。
【実施例0026】
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
まず、本実施例又は本比較例で使用した原材料及び評価方法を示す。
【0027】
<原材料>
[基材層]
・セロファン…レンゴー(株)製:PT#300
[耐湿層]
・樹脂A…大阪印刷インキ製造(株)製:EXP31020、ポリオレフィン系樹脂15~25質量%、メチルシクロヘキサン40~50質量%、メチルエチルケトン5~15質量%、イソプロピルアルコール1~10質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル5~15質量%の樹脂溶液
・樹脂B…大阪印刷インキ製造(株)製:TA-O、ポリオレフィン系樹脂15~25質量%、メチルシクロヘキサン50~60質量%、メチルエチルケトン1~5質量%、イソプロピルアルコール1~10質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル1~10質量%の樹脂溶液
・樹脂C…サカタインクス(株)製:ニューPPL RE-7、塩素化ポリオレフィン系樹脂15~20質量%、トルエン60~70質量%、メチルエチルケトン10~20質量%、イソプロピルアルコール1~5質量%の樹脂溶液
・溶剤(樹脂A、B用)…メチルシクロヘキサン65~75質量%、酢酸n-プロピル15~25質量%、イソプロピルアルコール5~15質量%の混合溶剤
・溶剤(樹脂C用)…トルエン50~60質量%、酢酸エチル40~50質量%、イソプロピルアルコール10~20質量%の混合溶剤
【0028】
<評価方法>
(1)厚さ測定
セロファン積層体の厚さは、マイクロメーター((株)ミツトヨ製)を使用して測定した。また、耐湿層の厚さは、セロファン積層体の厚さから基材のセロファンのそれを差し引いて算出した。
(2)ヒートシール強度の測定
得られたセロファン積層体の外表面と内表面とを、温度120℃、圧力0.2MPa、圧着時間1秒の条件下でヒートシールする。次いで、これをJIS Z1707の180°剥離試験により、ヒートシール強度を測定し、N/15mm巾の単位で表記する。
【0029】
(3)寸法安定性の評価(高温高湿度下における寸法変化率の測定)
MD測定時はセロファン積層体からMD160mm×TD30mmの試験片を、またTD測定時はセロファン積層体からMD30mm×TD160mmの試験片を裁断し、23℃×50%RHで1日間調湿した直後の寸法(「試験開始時の寸法」と称する。)を測定した後、40℃×90%RHの雰囲気下で5日間保管した後の寸法(「5日間保管後の寸法」と称する。)を測定して、下記の式から寸法変化率を算出する。
寸法変化率=(5日間保管後の寸法)/(試験開始時の寸法)×100
【0030】
(4)保管試験
坪量270g/m2の白板紙(レンゴー(株)製:CRC270)を用いて作成した縦10cm×横10cm×高さ20cmの紙器箱を、得られたセロファン積層体で覆い、側縁部及び端縁部を表面160℃に加熱した熱板でヒートシールを行って紙器箱をオーバーラップ包装する。そのオーバーラップ包装された紙器箱を40℃×90%RHの雰囲気下に7日間静置した後の外観変化、すなわち、紙器箱の変形やセロファン積層体表面のシワの発生具合を下記の基準に従い、目視で評価した。
〇:紙器箱の変形は認められず、セロファン積層体表面にシワは認められなかった。
△:軽微な紙器箱の変形が認められた。又は、セロファン積層体表面に軽微なシワが認められた。
×:紙器箱の変形が認められた。又は、セロファン積層体表面にシワが認められた。
【0031】
(実施例1~9、比較例2)
樹脂A~樹脂Cに溶剤を混合し、樹脂成分の濃度が25~35質量%となるように調整し、塗工液を得た。
基材層を構成するセロファンの一方の面に、表1に示す樹脂を有する塗工液を表1に記載の塗工量となるように、ワイヤーバーを設置した卓上自動テストコーター(松尾産業(株)製:K303マルチコーター)で塗工し、80℃で30秒間乾燥した。また、実施例4及び5においては、乾燥した塗工面の上に、2層目として、表1に示す樹脂を有する塗工液を表1に記載の塗工量となるように、同様の方法で塗工し、同様の条件で乾燥した。
乾燥後、セロファンの他方の面に表1に示す樹脂を有する塗工液を表1に記載の塗工量となるように同様の方法で塗工し、同様の条件で乾燥し、基材層の両面に耐湿層が塗工されたセロファン積層体を得た。また、実施例4及び5においては、乾燥した塗工面の上に、2層目として、表1に示す樹脂を有する塗工液を表1に記載の塗工量となるように、同様の方法で塗工し、同様の条件で乾燥した。
得られたセロファン積層体を用いて、前記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
(比較例1、3)
何も塗工されていない基材のセロファンを比較例1に、また市販の防湿セロファン(塩化ビニル・酢酸ビニル系:フタムラ化学(株)製:G-3#300、以下、「G-3」と称する。)を比較例3とした。
これらのセロファンを用いて、前記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0033】