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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151417
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】絶縁検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20241018BHJP
【FI】
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064697
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】宮田 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】坂井 靖広
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AB05
2G003AC08
2G003AE09
2G003AF06
2G003AH04
2G003AH05
2G003AH07
(57)【要約】
【課題】検査される半導体装置が変更されるときの、治具の交換を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体装置は、絶縁基板と、絶縁基板に搭載された半導体素子と、半導体素子と電気的に接続され、フレームに一体化された金属端子とを備える。絶縁検査装置は、フレームを搬送するための絶縁性の搬送レールと、フレームの搬送後に、フレームと絶縁基板との間の電気特性に基づいて、半導体装置の絶縁性を検査する測定部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の絶縁性を検査する絶縁検査装置であって、
前記半導体装置は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子と電気的に接続され、フレームに一体化された金属端子と
を備え、
前記絶縁検査装置は、
前記フレームを搬送するための絶縁性の搬送レールと、
前記フレームの搬送後に、前記フレームと前記絶縁基板との間の電気特性に基づいて、前記半導体装置の絶縁性を検査する測定部と
を備える、絶縁検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁検査装置であって、
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームの搬送を停止するストッパーと、
前記搬送が停止した後に上下方向に移動して、前記フレームと電気的に接続されるプローブピンと、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記測定部は、
前記プローブピンと前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、絶縁検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の絶縁検査装置であって、
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームの搬送を停止するストッパーと、
前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるように前記搬送レールの一部に設けられた、ヒンジレバー、ベアリングまたはスリップリングを含むコンタクト電極と、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記測定部は、
前記コンタクト電極と前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、絶縁検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の絶縁検査装置であって、
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームからの押圧によってオンされるように前記搬送レールの一部に設けられた、前記フレームの搬送を停止するためのスイッチ部と、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記スイッチ部は、前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるスイッチレバーを含み、
前記測定部は、
前記スイッチレバーと前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、絶縁検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の絶縁検査装置であって、
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記絶縁基板からの押圧によってオンされる、前記フレームの搬送を停止するためのスイッチ部と、
前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるように前記搬送レールの一部に設けられた、ヒンジレバー、ベアリングまたはスリップリングを含むコンタクト電極と
をさらに備え、
前記スイッチ部は、前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続される金属電極を含み、
前記測定部は、
前記コンタクト電極と前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、絶縁検査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の絶縁検査装置であって、
複数の前記半導体装置の前記金属端子が、一つの前記フレームに一体化されている、絶縁検査装置。
【請求項7】
請求項4に記載の絶縁検査装置であって、
複数の前記半導体装置の前記金属端子が、一つの前記フレームに一体化され、
前記フレームの搬送方向の先頭に位置する前記半導体装置を除く前記複数の半導体装置に対応して、前記スイッチ部をオフからオンに切り替えるための切り欠きが前記フレームに設けられている、絶縁検査装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の絶縁検査装置であって、
前記搬送レールに沿って設けられた加熱部をさらに備える、絶縁検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の絶縁性を検査する絶縁検査装置について、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、半導体装置の複数の金属端子と封止樹脂との間の電気特性を検出し、当該電気特性に基づいて封止樹脂の絶縁性を検査する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-57589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の絶縁性を検査する際には、半導体装置内の半導体チップの耐圧よりも高い電圧を半導体装置に印加することによって、半導体装置の電気特性を検出する。このような高電圧によって半導体チップが故障しないようするために、複数の金属端子の全ての電位を同電位にした状態で、半導体装置の電気特性が検出される。
【0005】
しかしながら、半導体装置の金属端子の数、配置及び形状は、半導体装置によって異なる。このため、検査される半導体装置が変更されるたびに、複数の金属端子を同電位にするための治具を交換しなければならず、絶縁検査の効率性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、検査される半導体装置が変更されるときの、治具の交換を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る絶縁検査装置は、半導体装置の絶縁性を検査する絶縁検査装置であって、前記半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板に搭載された半導体素子と、前記半導体素子と電気的に接続され、フレームに一体化された金属端子とを備え、前記絶縁検査装置は、前記フレームを搬送するための絶縁性の搬送レールと、前記フレームの搬送後に、前記フレームと前記絶縁基板との間の電気特性に基づいて、前記半導体装置の絶縁性を検査する測定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、搬送レールが絶縁性を有し、フレームと絶縁基板との間の電気特性に基づいて、半導体装置の絶縁性を検査する。このような構成によれば、検査される半導体装置が変更されるときの、治具の交換を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す上面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る絶縁検査装置の動作を示す断面図である。
図5】対比装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図6】実施の形態2に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図7】実施の形態2に係る絶縁検査装置の動作を示す断面図である。
図8】実施の形態2に係るコンタクト電極の構成の一例を示す斜視図である。
図9】実施の形態2に係るコンタクト電極の構成の一例を示す斜視図である。
図10】実施の形態2に係るコンタクト電極の構成の一例を示す斜視図である。
図11】実施の形態3に係る絶縁検査装置の構成及び動作を示す上面図である。
図12】実施の形態3に係る絶縁検査装置の動作を示すタイミングチャートある。
図13】実施の形態4に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図14】実施の形態4に係る絶縁検査装置の動作を示す断面図である。
図15】実施の形態5に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図16】実施の形態5に係る加熱部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の各実施の形態で説明される特徴は例示であり、すべての特徴は必ずしも必須ではない。また、以下に示される説明では、複数の実施の形態において同様の構成要素には同じまたは類似する符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」または「右」などの特定の位置及び方向は、実際の実施時の位置及び方向とは必ず一致しなくてもよい。
【0011】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る絶縁検査装置によって絶縁性が検査される半導体装置の構成を示す上面図であり、図2は、当該構成を示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、半導体装置は、制御端子2と、主端子3と、封止樹脂4と、半導体素子である半導体チップ5と、ヒートスプレッダ6と、絶縁基板7とを備える。なお、図1及び図2に示される半導体装置は未完成であり、制御端子2及び主端子3を含む金属端子は、フレームであるリードフレーム1と一体化されている。半導体装置は、図1及び図2の状態から、例えば、リードフレーム1から制御端子2及び主端子3を切り離す工程、及び、制御端子2及び主端子3の折り曲げ工程などを経て完成する。
【0013】
次に、半導体装置の構成要素について説明する。絶縁基板7は、セラミックを有する絶縁基板でもよいし、絶縁性を有する樹脂部材でもよいし、封止樹脂4の一部であってもよい。
【0014】
図2の半導体チップ5は、ヒートスプレッダ6を介して絶縁基板7に搭載されている。ヒートスプレッダ6は、例えば高熱伝導を有する金属部材である。なお、ヒートスプレッダ6は必須ではない。
【0015】
制御端子2及び主端子3は、半導体チップ5と電気的に接続されており、半導体チップ5は、制御端子2の電圧に基づいて主端子3同士の間の導通を制御する。なお、AがBと電気的に接続しているという記載は、A及びBのそれぞれが導通することを意味するのではなく、AとBとの間の部分が導通していることを意味する。
【0016】
半導体チップ5の材料は、例えば、珪素(Si)であってもよいし、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体であってもよい。半導体チップ5の材料にワイドバンドギャップ半導体が用いられた場合、半導体装置の高温下及び高電圧下の安定動作、及び、スイッチ速度の高速化が可能となる。半導体チップ5は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、RC-IGBT(Reverse Conducting - IGBT)、SBD(Schottky Barrier Diode)、PND(PN junction diode)であってもよい。
【0017】
絶縁性を有する封止樹脂4は、制御端子2及び主端子3のそれぞれの一部と、絶縁基板7の下部とを露出した状態で、制御端子2、主端子3、半導体チップ5、ヒートスプレッダ6及び絶縁基板7を封止する。
【0018】
図1の制御端子2及び主端子3は、リードフレーム1に一体化されており、互いに短絡されている。図1の例では、複数の半導体装置の制御端子2及び主端子3が、一つのリードフレーム1に一体化されているが、一つの半導体装置の制御端子2及び主端子3が、一つのリードフレーム1に一体化されてもよい。また、図1の例では、半導体装置の数は4つであるが、複数であればよい。
【0019】
図3は、本実施の形態1に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。図3の絶縁検査装置は、プローブピン9と位置決めブロック10cとから構成される上治具8と、測定部である測定器13と、金属電極15と、搬送レール16と、ストッパー17とを備える。なお実施の形態2以降で説明するように、上治具8、プローブピン9、ストッパー17は必須ではない。
【0020】
搬送レール16は、図1及び図2で説明したリードフレーム1を搬送するためのレールであり、絶縁性を有している。搬送レール16は、リードフレーム1が載置される載置用部分と、リードフレーム1の短手方向の移動を規制するガイド部分とを有する。載置用部分に載置され、ガイド部分によって短手方向の移動を規制されたリードフレーム1は、リードフレーム1の長手方向に沿って搬送される。リードフレーム1を搬送する駆動源は、搬送レール16に設けられてもよいし、搬送レール16とは別に設けられてもよい。
【0021】
なお以下の説明では、リードフレーム1に一体化された複数の半導体装置のうち、搬送方向の先頭から順に(図3の例では左側から順に)、第1半導体装置、第2半導体装置、…と記すこともある。
【0022】
ストッパー17は、リードフレーム1が予め定められた位置まで搬送されるまでに上昇し、予め定められた位置まで搬送されたリードフレーム1の側部と当接することによって、リードフレーム1の搬送を停止する。図示しないが、複数のストッパー17(例えば第1ストッパー17、第2ストッパー17、…)が、リードフレーム1の搬送方向に沿って設けられてもよい。例えば、第1ストッパー17がリードフレーム1と当接した場合に、第1半導体装置が金属電極15の上方に位置するように、第1ストッパー17はリードフレーム1の搬送を停止する。同様に、第2ストッパー17がリードフレーム1と当接した場合に、第2半導体装置が金属電極15の上方に位置するように、第2ストッパー17はリードフレーム1の搬送を停止する。第3ストッパー17以降も同様にリードフレーム1の搬送を停止する。
【0023】
ストッパー17によってリードフレーム1の搬送が停止した後に、上治具8は、例えばエアまたはサーボモータ等の駆動源によって上下方向に移動する(図3の例では下降する)。そして図4のように、プローブピン9は、リードフレーム1と接することによってリードフレーム1と電気的に接続される。なお、プローブピン9は、制御端子2または主端子3と接してもよいし、リードフレーム1のうち制御端子2及び主端子3以外の部分と接してもよい。
【0024】
ストッパー17によってリードフレーム1の搬送が停止した後に、金属電極15は、例えばエアまたはサーボモータ等の駆動源によって上昇する。そして図4のように、金属電極15は、絶縁基板7と接することによって絶縁基板7と電気的に接続される。
【0025】
図3の測定器13は、高圧電源12を含む。高圧電源12は、配線11によってプローブピン9と電気的に接続され、配線11によって金属電極15と電気的に接続されている。
【0026】
プローブピン9がリードフレーム1と電気的に接続され、金属電極15が絶縁基板7と電気的に接続されている際に、測定器13は、プローブピン9及び金属電極15を介してリードフレーム1と絶縁基板7との間に、高圧電源12の高電圧を印加する。そして、測定器13は、プローブピン9及び金属電極15を介して、高電圧の印加時のリードフレーム1と絶縁基板7との間の電気特性(例えば電流)を検出し、検出された電気特性に基づいて半導体装置の絶縁性を検査する。例えば、測定器13は、検出された電気特性に基づいて絶縁基板7の抵抗を算出し、当該抵抗が閾値以上である場合に絶縁基板7の絶縁性が正常であると判定し、当該抵抗が閾値より小さい場合に絶縁基板7の絶縁性が異常であると判定する。
【0027】
以上で説明した、ストッパー17による搬送の停止、プローブピン9及び金属電極15の半導体装置への接続、及び、測定器13による検査が、リードフレーム1に一体化された複数の半導体装置のそれぞれに対して行われる。
【0028】
図5は、本実施の形態1に係る絶縁検査装置と対比される対比装置の構成を模式的に示す斜視図である。図5の半導体装置の制御端子2及び主端子3は、リードフレーム1に一体化されておらず、リードフレーム1から切り離されている。
【0029】
対比装置では、上治具8の位置決めブロック10cによって固定された制御端子用プローブピン10a及び主端子用プローブピン10bが、半導体装置の制御端子2及び主端子3とそれぞれ電気的に接続され、下治具14上に設けられた金属電極15が、半導体装置の絶縁基板7と電気的に接続される。そして、測定器13が、制御端子2及び主端子3のそれぞれと絶縁基板7との間に、高圧電源12の高電圧が印加されたときのリードフレーム1と絶縁基板7との間の電気特性を検出し、検出された電気特性に基づいて絶縁基板7の絶縁性を検査する。
【0030】
ここで、半導体装置の制御端子2及び主端子3の数、配置及び形状は、半導体装置によって異なる。このため対比装置では、検査される半導体装置が変更されるたびに、制御端子2及び主端子3を同電位にするための上治具8を交換しなければならず、絶縁検査の効率性が悪いという問題があった。
【0031】
これに対して本実施の形態1に係る絶縁検査装置では、半導体装置が一体化されたリードフレーム1と絶縁基板7との間の電気特性に基づいて、半導体装置の絶縁性を検査する。半導体装置の数、配置及び形状が異なっても、リードフレーム1の形状を一定にすることができるため、本実施の形態1のような構成によれば、検査される半導体装置が変更されるときの、上治具8の交換を低減することができる。この結果、治具数削減による治具の製作費の削減、並びに、治具交換による絶縁検査装置の停止時間及び保管場所の削減が期待できる。
【0032】
なお、下治具14の代わりに搬送レールの全体に導電性を持たせることによって、検査の効率性を高める構成(例えば特開2004-271245号公報の構成)が提案されている。しかしながら、搬送レールの全体が導電性を有する場合には、高電圧が地絡するという問題があった。また、半導体装置の絶縁性が低くて半導体装置が検査中に故障した場合には、大電流(つまり大きなdi/dt)が、導電性を有する搬送レールを介して周囲の設備に流れてサージ電圧の回り込みを起こす場合がある。このような場合、周囲の設備に不具合が生じてしまう可能性があった。これに対して本実施の形態1では、搬送レール16が絶縁性を有するので、高電圧の地絡、及び、周囲の設備の不具合を抑制することができる。
【0033】
また本実施の形態1では、プローブピン9が、リードフレーム1の搬送が停止した後に上下方向に移動して、リードフレーム1と電気的に接続される。このような構成によれば、リードフレーム1の厚さ方向の歪みに関わらずコンタクトを安定化することができるので、半導体装置の絶縁検査を安定して行うことができる。
【0034】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態2に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。図6の構成は、上治具8及びプローブピン9の代わりに、コンタクト電極18が設けられている点を除けば、図3の構成と同様である。
【0035】
図6に示すように、コンタクト電極18は、ストッパー17によって搬送が停止されたリードフレーム1と電気的に接続されるように搬送レール16の一部に設けられている。コンタクト電極18の材料は、例えば金属または炭素であり、導電性を有している。図7は、コンタクト電極18が、搬送が停止されたリードフレーム1と電気的に接続されている状態を示す断面図である。
【0036】
図6及び図7では、コンタクト電極18が模式的に示されているが、コンタクト電極18には、図8に示されるヒンジレバー、図9に示されるベアリング、または、図10に示されるスリップリングが用いられる。このように構成されたコンタクト電極18によれば、リードフレーム1と電気的に接続される際に生じる摩擦力を低減することができるので、リードフレーム1及びコンタクト電極18の摩耗を緩和することができる。なお、図6及び図7では、コンタクト電極18は、搬送レール16のガイド部分に設けられているが、搬送レール16の載置用部分に設けられてもよい。また図示しないが、搬送レール16がリードフレーム1の上部と対向する上面を有する場合には、コンタクト電極18は、リードフレーム1の上部と接続可能に搬送レール16の上面に設けられてもよい。
【0037】
高圧電源12は、配線11によってコンタクト電極18と電気的に接続され、配線11によって金属電極15と電気的に接続されている。測定器13は、コンタクト電極18と金属電極15とを介してリードフレーム1と絶縁基板7との間の電気特性を検出し、検出された電気特性に基づいて絶縁基板7の絶縁性を検査する。
【0038】
上記以外の構成(例えば金属電極15及びストッパー17)は、実施の形態1で説明した構成と同様である。
【0039】
以上のような本実施の形態2に係る絶縁検査装置によれば、コンタクト電極18が、搬送が停止されたリードフレーム1と電気的に接続されるように搬送レール16の一部に設けられている。このような構成によれば、上治具8及びプローブピン9と、それらを移動するための駆動源とが不要となるので、絶縁検査装置を簡素化することができ、この結果として絶縁検査装置のコスト削減が期待できる。また、コンタクト電極18は、ヒンジレバー、ベアリングまたはスリップリングを含むので、リードフレーム1及びコンタクト電極18の摩耗を緩和することができる。
【0040】
<実施の形態3>
図11は、本実施の形態3に係る絶縁検査装置の構成及び動作を示す上面図である。図11の構成は、ストッパー17の代わりに、スイッチ部が設けられている点を除けば、図6の構成と同様である。
【0041】
本実施の形態3に係るスイッチ部は、ヒンジレバー構造を有しており、導電性材料で構成されたスイッチレバー22と、絶縁性材料で構成されたスイッチボタン23と、絶縁性を有するハウジング27とを含む。スイッチレバー22は外力に応じて回動可能であり、回動したスイッチレバー22の押圧によってスイッチボタン23がオンされる。スイッチボタン23は、リードフレーム1の搬送を停止する機能を有しており、スイッチボタン23がオフからオンに切り替えられると、リードフレーム1の搬送が停止される。
【0042】
リードフレーム1が予め定められた位置まで搬送された場合に、リードフレーム1からの押圧によってスイッチレバー22を介してスイッチボタン23がオンされるように、スイッチレバー22及びスイッチボタン23が、搬送レール16の一部に設けられている。図11の例では、搬送されたリードフレーム1が、スイッチレバー22の回動軸に接した後に、スイッチレバー22の開いた部分に接するように、スイッチレバー22が設けられている。
【0043】
スイッチレバー22は、スイッチボタン23のオンによってリードフレーム1の搬送が停止されたときに、リードフレーム1と電気的に接続される位置に設置されている。測定器13は、スイッチレバー22と金属電極15とを介してリードフレーム1と絶縁基板7との間の電気特性を検出し、検出された電気特性に基づいて絶縁基板7の絶縁性を検査する。
【0044】
本実施の形態3では、リードフレーム1に、スイッチボタン23をオフからオンに切り替えるための切り欠き24が設けられている。切り欠き24は、リードフレーム1の搬送方向の先頭に位置する半導体装置(図11の例では一番左の半導体装置)を除く複数の半導体装置に対応して設けられている。
【0045】
上記以外の構成は、実施の形態2で説明した構成と同様である。
【0046】
図12は、本実施の形態3に係る絶縁検査装置の動作を示すタイミングチャートである。図12中のA~Dは、図11のタイミングA~Dに対応している。
【0047】
タイミングAでは、スイッチボタン23がオフであり、リードフレーム1が搬送される。また、測定器13は絶縁検査を停止している。
【0048】
タイミングBでは、スイッチボタン23がオフからオンに切り替わり、リードフレーム1の搬送が停止される。また、測定器13は絶縁検査を開始する。測定器13による絶縁検査が終了すると、リードフレーム1の搬送が再開される。
【0049】
タイミングCでは、スイッチレバー22が切り欠き24と嵌合し、リードフレーム1からのスイッチレバー22への押圧が解除される。これにより、スイッチボタン23がオンからオフに切り替わり、リードフレーム1が継続して搬送される。また、測定器13は絶縁検査を停止している。
【0050】
タイミングDでは、タイミングBと同様の動作が行われる。つまり、スイッチボタン23がオフからオンに切り替わり、リードフレーム1の搬送が停止される。また、測定器13は絶縁検査を開始する。測定器13による絶縁検査が終了すると、リードフレーム1の搬送が再開される。その後、残りの半導体装置について絶縁検査が行われるまで、タイミングC及びタイミングDの動作、つまり実質的にタイミングA及びタイミングBと同じ動作が繰り返される。
【0051】
以上のような本実施の形態3に係る絶縁検査装置によれば、リードフレーム1が予め定められた位置まで搬送された場合に、リードフレーム1からの押圧によってスイッチレバー22が回動してスイッチボタン23がオンされるように、スイッチレバー22及びスイッチボタン23が、搬送レール16の一部に設けられている。そして、スイッチレバー22が、実施の形態2で説明したコンタクト電極18と同等の機能を有する。このような構成によれば、ストッパー17のような位置決め機構が不要となるので、絶縁検査装置を簡素化することができ、この結果として絶縁検査装置のコスト削減が期待できる。
【0052】
また本実施の形態3では、リードフレーム1の搬送方向の先頭に位置する半導体装置を除く複数の半導体装置に対応して、スイッチボタン23をオフからオンに切り替えるための切り欠き24がリードフレーム1に設けられている。このような構成によれば、リードフレーム1に一体化された半導体装置の数及び形状に合わせて、制御プログラムを変更する手間を低減することができる。この結果、絶縁検査の効率性の向上化が期待できる。
【0053】
<実施の形態4>
図13は、本実施の形態4に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。図13の構成は、ストッパー17の代わりに、金属電極15と、ハウジング27とから構成されるスイッチ部25が設けられている点を除けば、図6の構成と同様である。なお、スイッチ部25は、図14に示すように、スイッチボタン23も含む。
【0054】
本実施の形態4のスイッチ部25は、概ね実施の形態3のスイッチ部と同様であり、リードフレーム1の搬送を停止するための部品である。スイッチ部25の金属電極15は、搬送が停止されたリードフレーム1と電気的に接続される。リードフレーム1が予め定められた位置まで搬送された場合に、実施の形態3のスイッチ部は、リードフレーム1からの押圧によってオンされるが、本実施の形態4のスイッチ部25は、図14に示すように絶縁基板7からの押圧によってオンされる。絶縁基板7からの押圧によってスイッチ部25がオンされるときに、金属電極15は、絶縁基板7と電気的に接続される。
【0055】
本実施の形態4に係る絶縁検査装置の動作を示すタイミングチャートは、図12と同様であり、複数の半導体装置について絶縁検査が行われるまで、実質的にタイミングA及びタイミングBと同じ動作が繰り返される。
【0056】
以上のような本実施の形態4に係る絶縁検査装置によれば、リードフレーム1が予め定められた位置まで搬送された場合に絶縁基板7からの押圧によってオンされるスイッチ部25が設けられている。そして、金属電極15が、スイッチ部25と一体化されている。このような構成によれば、ストッパー17のような位置決め機構だけでなく、金属電極15を移動するための駆動源も不要となるので、絶縁検査装置を簡素化することができ、この結果として絶縁検査装置のコスト削減が期待できる。
【0057】
また、リードフレーム1に切り欠き24を設けなくても、複数の半導体装置の絶縁性を1つずつ検査することができる。また、絶縁基板7が封止樹脂4の一部である場合に、金属電極15に一体化されたスイッチ部25の形状として、封止樹脂4の表面に均一に接触可能な形状を用いることができ、その結果としてコンタクトを安定化することができる。
【0058】
<実施の形態5>
図15は、本実施の形態4に係る絶縁検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。図15の構成は、加熱部26a,26bが設けられている点を除けば、図13の構成と同様である。
【0059】
加熱部26a,26bは、搬送レール16に沿って設けられている。図16は、加熱部26の構成を模式的に示す斜視図である。図15の加熱部26bは、金属電極15の下部に設けられており、図16の加熱部26aに設けられた穴26cと嵌合可能となっている。なお、平面視における金属電極15のサイズは、平面視における絶縁基板7のサイズと同じであってもよい。
【0060】
加熱部26a,26bは、例えば高周波誘導または電熱線などであるが、加熱する機構であれば何でもよい。加熱部26a,26bの温度は、例えば、半導体装置の使用温度に対応しており、100℃~300℃である。
【0061】
以上のような本実施の形態5に係る絶縁検査装置によれば、加熱部26a,26bによって半導体装置を高温加熱することができる。これにより、加熱部26aは、検査前に半導体装置を予備加熱することができ、加熱部26bは、金属電極15を介して検査時に半導体装置を加熱することができる。このような構成によれば、常温または高温環境下での使用を想定した半導体装置の絶縁性を検査することができる。
【0062】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0064】
(付記1)
半導体装置の絶縁性を検査する絶縁検査装置であって、
前記半導体装置は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子と電気的に接続され、フレームに一体化された金属端子と
を備え、
前記絶縁検査装置は、
前記フレームを搬送するための絶縁性の搬送レールと、
前記フレームの搬送後に、前記フレームと前記絶縁基板との間の電気特性に基づいて、前記半導体装置の絶縁性を検査する測定部と
を備える、絶縁検査装置。
【0065】
(付記2)
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームの搬送を停止するストッパーと、
前記搬送が停止した後に上下方向に移動して、前記フレームと電気的に接続されるプローブピンと、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記測定部は、
前記プローブピンと前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、付記1に記載の絶縁検査装置。
【0066】
(付記3)
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームの搬送を停止するストッパーと、
前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるように前記搬送レールの一部に設けられた、ヒンジレバー、ベアリングまたはスリップリングを含むコンタクト電極と、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記測定部は、
前記コンタクト電極と前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、付記1に記載の絶縁検査装置。
【0067】
(付記4)
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記フレームからの押圧によってオンされるように前記搬送レールの一部に設けられた、前記フレームの搬送を停止するためのスイッチ部と、
前記搬送が停止した後に前記絶縁基板と電気的に接続される金属電極と
をさらに備え、
前記スイッチ部は、前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるスイッチレバーを含み、
前記測定部は、
前記スイッチレバーと前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、付記1に記載の絶縁検査装置。
【0068】
(付記5)
前記フレームが予め定められた位置まで搬送された場合に、前記絶縁基板からの押圧によってオンされる、前記フレームの搬送を停止するためのスイッチ部と、
前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続されるように前記搬送レールの一部に設けられた、ヒンジレバー、ベアリングまたはスリップリングを含むコンタクト電極と
をさらに備え、
前記スイッチ部は、前記搬送が停止された前記フレームと電気的に接続される金属電極を含み、
前記測定部は、
前記コンタクト電極と前記金属電極とを介して前記電気特性を検出する、付記1に記載の絶縁検査装置。
【0069】
(付記6)
複数の前記半導体装置の前記金属端子が、一つの前記フレームに一体化されている、付記1から付記5のうちのいずれか1項に記載の絶縁検査装置。
【0070】
(付記7)
複数の前記半導体装置の前記金属端子が、一つの前記フレームに一体化され、
前記フレームの搬送方向の先頭に位置する前記半導体装置を除く前記複数の半導体装置に対応して、前記スイッチ部をオフからオンに切り替えるための切り欠きが前記フレームに設けられている、付記4に記載の絶縁検査装置。
【0071】
(付記8)
前記搬送レールに沿って設けられた加熱部をさらに備える、付記1から付記7のうちのいずれか1項に記載の絶縁検査装置。
【符号の説明】
【0072】
1 リードフレーム、2 制御端子、3 主端子、4 封止樹脂、5 半導体チップ、6 ヒートスプレッダ、7 絶縁基板、8 上治具、9 プローブピン、10a 制御端子用プローブピン、10b 主端子用プローブピン、10c 位置決めブロック、11 配線、12 高圧電源、13 測定器、14 下治具、15 金属電極、16 搬送レール、17 ストッパー、18 コンタクト電極、22 スイッチレバー、23 スイッチボタン、24 切り欠き、25 スイッチ部、26a,26b 加熱部、26c 穴、27 ハウジング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16