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  • 特開-麺塊取出し装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151425
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】麺塊取出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/06 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65G59/06 101D
B65G59/06 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064712
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬貴
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA01
3F030CA01
3F030CC02
3F030EA01
3F030EA05
3F030EB01
(57)【要約】
【課題】積層された麺塊を下方から1つずつ確実に取出すことができる麺塊取出し装置を提供する。
【解決手段】下グリッパ14は昇降可能に設けられ、積層された麺塊Aの下から1番目に位置する麺塊Aの側面を把持する。上グリッパ12は積層された麺塊Aの下から2番目に位置する麺塊Aの側面を把持する。切断プレート40は下グリッパ14と上グリッパ12との間を水平方向に移動可能である。下グリッパ14が下から1番目の麺塊Aを把持し、かつ上グリッパ12が下から2番目の麺塊Aを把持した状態で、下グリッパ14が下降して下から1番目の麺塊Aを取出すときに、切断プレート40が下グリッパ14によって把持されている麺塊Aと上グリッパ12によって把持されている麺塊Aとの間を移動する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された麺塊を下方から1つずつ取出す麺塊取出し装置であって、
昇降可能に設けられ、積層された麺塊の下から1番目に位置する麺塊の側面を把持する下グリッパと、
積層された麺塊の下から2番目に位置する麺塊の側面を把持する上グリッパと、
前記下グリッパと前記上グリッパとの間を水平方向に移動可能に設けられた切断部材とを備え、
前記下グリッパが下から1番目の麺塊を把持し、かつ前記上グリッパが下から2番目の麺塊を把持した状態で、前記下グリッパが下降して下から1番目の麺塊を取出すときに、前記切断部材が前記下グリッパによって把持されている麺塊と前記上グリッパによって把持されている麺塊との間を移動することを特徴とする麺塊取出し装置。
【請求項2】
前記下グリッパの下方に昇降可能に設けられ、麺塊を支持する支持部材を備え、前記下グリッパは前記支持部材上に支持されている麺塊を把持することを特徴とする請求項1に記載の麺塊取出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された乾燥春雨等の麺塊を下方から1つずつ取出して搬送レール上に受け渡す麺塊取出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層された麺塊を下方から1つずつ取出す麺塊取出し装置が知られており、その取出し動作は特許文献1に開示されたものと同様である。特許文献1に開示された装置では、マガジン内に積層されて収容された多数の容器に対して、下から2番目およびその上方に位置する容器をグリッパ等により保持した状態で、下から1番目の容器をグリッパ等で把持するとともに吸引機構によって下方に移動させて、上方の容器から解放させてマガジンから取出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-8307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マガジンに収容された物品が乾燥春雨や乾燥ラーメン等である場合、上下に隣接する麺塊同士が絡まっていることがある。このような場合に下から1番目の麺塊を取出そうとすると、直ぐ上の麺塊が引っ張られてマガジンから抜け落ちてしまうことがある。また、直ぐ上の麺塊がマガジン内に留まっている場合は、搬送レール上の麺塊をプッシャで下流へ搬送しようとしてもマガジン内の麺塊により引っ張られるので、その麺塊を搬送できないという問題が生じる。
【0005】
本発明は積層された麺塊を下方から1つずつ確実に取出すことができる麺塊取出し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る麺塊取出し装置は、積層された麺塊を下方から1つずつ取出す麺塊取出し装置であって、昇降可能に設けられ、積層された麺塊の下から1番目に位置する麺塊の側面を把持する下グリッパと、積層された麺塊の下から2番目に位置する麺塊の側面を把持する上グリッパと、下グリッパと上グリッパとの間を水平方向に移動可能に設けられた切断部材とを備え、下グリッパが下から1番目の麺塊を把持し、かつ上グリッパが下から2番目の麺塊を把持した状態で、下グリッパが下降して下から1番目の麺塊を取出すときに、切断部材が下グリッパによって把持されている麺塊と上グリッパによって把持されている麺塊との間を移動することを特徴としている。
【0007】
好ましくは、下グリッパの下方に昇降可能に設けられ、麺塊を支持する支持部材を備え、下グリッパは支持部材上に支持されている麺塊を把持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、積層された麺塊を下方から1つずつ確実に取出すことができる麺塊取出し装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態を示す側面図である。
図2】第1実施形態のマガジンと上グリッパを示す平面図である。
図3】第1実施形態の搬送レールと切断プレートを示す横断面図である。
図4】第1実施形態の作用の前半部分を示す図である。
図5】第1実施形態の作用の後半部分を示す図である。
図6】第2実施形態の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示実施形態に基づいて本発明を説明する。図1~3は本発明の第1実施形態である麺塊取出し装置を示している。図1は麺塊取出し装置を示す側面図、図2はマガジンと上グリッパを示す平面図、図3は搬送レールと切断プレートを示す横断面図である。
【0011】
麺塊Aは乾燥春雨であり、下方から数えて2番目から上方の麺塊Aがマガジン10内に積層されて収容される。マガジン10は相互に平行に、上下方向に延びる例えば6本の棒状部材11により構成される。麺塊Aはこれらの棒状部材11により外周面を支持され、自重により落下可能である。マガジン10の下端部近傍には上グリッパ12が設けられる。上グリッパ12は第1水平シリンダ装置13のピストンに取付けられる。すなわち上グリッパ12は第1水平シリンダ装置13に駆動されて水平方向に拡縮し、マガジン10の隣り合う2本の棒状部材11の間を通って麺塊Aに当接し、麺塊Aを把持する。
【0012】
マガジン10より下方には下グリッパ14が設けられる。下グリッパ14は第2水平シリンダ装置15のピストンに取付けられ、第2水平シリンダ装置15に駆動されて水平方向に拡縮し、積層されている下から1番目の麺塊Aを把持する。第2水平シリンダ装置15は、第1昇降シリンダ装置17のピストンに固定された昇降板16に載置される。すなわち第2水平シリンダ装置15と下グリッパ14は第1昇降シリンダ装置17により昇降可能である。
【0013】
下グリッパ14の下方には支持部材20が設けられ、支持部材20は床面に載置された第2昇降シリンダ装置21のピストンに取付けられ、昇降可能である。支持部材20はマガジン10から下方にはみ出た下から1番目の麺塊Aを支持し、この麺塊Aは下グリッパ14により把持される。下グリッパ14を昇降させる第1昇降シリンダ装置17と支持部材20を昇降させる第2昇降シリンダ装置21の下降動作は同期するように制御される。したがって麺塊Aは支持部材20によって支持されるとともに、下グリッパ14により把持された状態で下降し、後述する搬送レール30上に受け渡される。
【0014】
搬送レール30はマガジン10の下側位置から次の工程の位置まで水平方向に延びる。搬送レール30の下方には、無端状のチェーン31が設けられる。チェーン31は搬送レール30の全長に亘って延び、スプロケット32に巻回されて回転駆動される。搬送レール30の横断面は麺塊Aを受容するような溝形状を有し、その中央部には支持部材20と搬送爪33を受容するための開口34が形成される。支持部材20は先端部がフォーク状に分岐したプレートであり、搬送爪33は支持部材20に形成された隙間を通って上方に延びる。搬送爪33はチェーン31に一定間隔毎に連結され、搬送レール30の開口34から搬送レール30の溝内に突出して麺塊Aに係合する。
【0015】
マガジン10と搬送レール30の間には切断プレート(切断部材)40が設けられる。切断プレート40は、搬送レール30の端部の近傍に設けられた横移動シリンダ装置41のピストンに取付けられる。切断プレート40は搬送レール30の幅方向(図3の左右方向)に延び、搬送レール30の全幅に亘るような長さを有する。横移動シリンダ装置41は、切断プレート40が搬送レール30の長手方向(図1において左右方向)に往復動するように駆動される。
【0016】
図4、5を参照して本実施形態の作用を説明する。
第1ステップ(1)では、下グリッパ14と支持部材20は上昇位置にある。積層された麺塊Aの下から1番目に位置する麺塊Aはマガジン10から下方へはみ出ており、支持部材20に載置されている。この状態において、下から1番目に位置する麺塊Aの側面は下グリッパ14により把持され、下から2番目に位置する麺塊Aの側面は上グリッパ12により把持されている。また搬送爪33はマガジン10の直下の受取り位置に定められ、切断プレート40は搬送方向の後方側(図4において左側)であってマガジン10の直ぐ下方位置に待機している。
【0017】
第2ステップ(2)では、第1昇降シリンダ装置17(図1)と第2昇降シリンダ装置21(図1)の作用により、下グリッパ14と支持部材20が同期して下降し、下グリッパ14に把持された麺塊Aは搬送レール30の2つの搬送爪33の間に受渡される。一方、上グリッパ12は第1ステップと同じ状態にあり、下から2番目に位置する麺塊Aの側面を把持している。したがってマガジン10内の全ての麺塊Aはマガジン10内で静止している。一方、切断プレート40は第1ステップ(1)と同じ位置に待機している。
【0018】
第2ステップ(2)において、下から1番目の麺塊Aと直ぐ上の麺塊Aとが完全には分離せずに、どちらかの麺塊Aから延びる乾燥春雨の糸Bにより連結されている場合がある。このような場合に対処するため、第3ステップ(3)では、切断プレート40が搬送方向の後方から前進する。すなわち切断プレート40は、下グリッパ14が下から1番目の麺塊Aを把持し、かつ上グリッパ12が下から2番目の麺塊Aを把持した状態で、下グリッパ14によって把持されている麺塊Aと上グリッパ12によって把持されている麺塊Aとの間を移動する。これにより乾燥春雨の糸Bが切断される。
【0019】
第4ステップ(4)では、下グリッパ14が開放するとともに上昇し、ステップ(1)と同じ上昇位置へ復帰する。下グリッパ14が上昇して麺塊Aを解放した後、搬送爪33は前進して麺塊Aを図4において右方向へ搬送する。このとき支持部材20はまだ搬送レール30の開口34(図3)の中で待機し、また切断プレート40は前進位置に待機している。
【0020】
第5ステップ(5)では、支持部材20が上昇して第1ステップ(1)と同じ上昇位置へ復帰する。また搬送レール30では、第4ステップ(4)で前進した搬送爪33の後方に設けられた搬送爪33が前進して、マガジン10の直下の受取り位置に定められている。このとき、下グリッパ14は開放状態を維持し、上グリッパ12は閉鎖して麺塊Aを把持しており、切断プレート40はまだ前進位置に待機している。
【0021】
第6ステップ(6)では、上グリッパ12が開放する。これによりマガジン10内の全ての麺塊Aが自重で落下し、1番下にある麺塊Aが支持部材20上に載置された状態で静止する。第7ステップ(7)では、第1ステップ(1)と同様に、下グリッパ14が閉鎖して下から1番目の麺塊Aを把持し、また上グリッパ12が閉鎖して下から2番目の麺塊Aを把持する。切断プレート40は第6テップ(6)と同様に、前進位置を維持している。
【0022】
第8ステップ(8)では、第2ステップ(2)と同様に、下グリッパ14と支持部材20が同期し、下グリッパ14に把持された麺塊Aが搬送レール30の2つの搬送爪33の間に受渡される。一方、上グリッパ12は下から2番目に位置する麺塊Aの側面を把持しており、マガジン10内の全ての麺塊Aはマガジン10内で静止している。次のステップでは、切断プレート40が前進位置から図5において左方へ後退する。したがって、この場合にも、下から1番目の麺塊Aと直ぐ上の麺塊Aとが乾燥春雨の糸Bにより連結されていたとしても、その糸Bは切断される。
【0023】
以上のように本実施形態では、下グリッパ14に把持された麺塊Aが搬送レール30上に受け渡され、上グリッパ12に把持された麺塊Aがマガジン10内に保持されている状態において、下グリッパ14と上グリッパ12との間を切断プレート40が水平方向に移動する。したがって、2つの麺塊A同士が乾燥春雨の糸Bにより連結されていたとしても、その糸Bは確実に切断されるので、上グリッパ12に把持されていた麺塊Aがマガジン10から抜け落ちることはなく、また搬送レール30上の麺塊Aがマガジン内の麺塊Aにより引っ張られて搬送不能になることはない。
【0024】
図6は第2実施形態の作用を示している。第1実施形態との構成の違いは、支持部材20が設けられていない点と、上グリッパ12が昇降自在に設けられている点である。この構成の違いにより作用は第1実施形態と少し異なる。第1ステップ(1)は第1実施形態と同様に、上グリッパ12と下グリッパ14は閉鎖して共に麺塊Aを把持している。第2ステップ(2)では、下グリッパ14が下降して麺塊Aが搬送レール30上に受け渡される。第3ステップ(3)では、切断プレート40が搬送方向の後方から前進して、下グリッパ14と上グリッパ12麺塊Aとの間を水平方向に移動する。したがって麺塊A同士が乾燥春雨の糸Bにより連結されていた場合、この糸Bは切断プレート40により切断される。
【0025】
第4ステップ(4)では、下グリッパ14が開放するとともに上昇して上昇位置へ復帰する。また搬送爪33は前進して麺塊Aを図6において右方向へ搬送する。第5ステップ(5)では上グリッパ12が下降する。これによりマガジン10内の全ての麺塊Aが下方へ移動する。搬送レール30では、第4ステップ(4)で前進した搬送爪33の後方に設けられた搬送爪33が前進して、マガジン10の直下の受取り位置に定められている。このとき下グリッパ14は開放状態を維持している。
【0026】
第6ステップ(6)では下グリッパ14が閉鎖し、第7ステップ(7)では上グリッパ12が開放する。第8ステップ(8)では、上グリッパ12が上昇してマガジン10内の最下位の麺塊Aの近傍において停止する。第9ステップ(9)では上グリッパ12が閉鎖し、これによりマガジン10内の全ての麺塊Aが上グリッパ12により支持されることになる。その後は第2ステップ(2)と同様に、下グリッパ14が下降して麺塊Aを搬送レール30上に受け渡した後、切断プレート40が水平方向に移動し、乾燥春雨の糸Bが存在した場合には切断プレート40により切断される。
【0027】
このように第2実施形態においても、第1実施形態と同様な作用により、麺塊Aは確実に1つずつマガジン10から取出されて搬送レール30上に受け渡される。
【符号の説明】
【0028】
10 マガジン
12 上グリッパ
14 下グリッパ
40 切断プレート(切断部材)
A 麺塊
図1
図2
図3
図4
図5
図6