(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151450
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】動画像符号化装置、復号装置
(51)【国際特許分類】
H04N 19/105 20140101AFI20241018BHJP
H04N 19/70 20140101ALI20241018BHJP
【FI】
H04N19/105
H04N19/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064778
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157200
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 茂孝
(72)【発明者】
【氏名】中條 健
(72)【発明者】
【氏名】青野 友子
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 知宏
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159MA04
5C159MA05
5C159MA14
5C159MA19
5C159MA21
5C159MC11
5C159ME01
5C159RC12
5C159TA30
5C159TB04
5C159TD07
5C159TD12
5C159UA02
5C159UA05
5C159UA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重み予測における重みの数が0の場合、動作することができないことを回避する動画像符号化装置及び動画像復号装置を提供する。
【解決手段】動画像復号装置は、符号化データから、参照リストの重みの数を復号し、前記参照リストの重みの数を1以上とすることを特徴とし、前記重みの数に応じて、前記参照リストのインデクス毎に重み係数とオフセット値が存在するかを示すフラグを復号し、前記フラグの値が真の場合に、重み係数とオフセット値を復号し、参照ピクチャの補間画像に重み係数を乗じてオフセット値を加算して予測画像を生成する重み予測画像を生成する予測画像生成部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化データから、参照リストの重みの数を復号し、
前記参照リストの重みの数を1以上とすることを特徴とし、
前記重みの数に応じて、前記参照リストのインデクス毎に重み係数とオフセット値が存在するかを示すフラグを復号し、
前記フラグの値が真の場合に、重み係数とオフセット値を復号し、
参照ピクチャの補間画像に重み係数を乗じてオフセット値を加算して予測画像を生成する重み予測処理部を有する動画像復号装置。
【請求項2】
参照リストの重みの数を符号化し、
前記参照リストの重みの数を1以上とすることを特徴とし、
前記重みの数に応じて、前記参照リストのインデクス毎に重み係数とオフセット値が存在するかを示すフラグを符号化し、
前記フラグの値が真の場合に、重み係数とオフセット値を符号化し、
参照ピクチャの補間画像に重み係数を乗じてオフセット値を加算して予測画像を生成する重み予測処理部を有する動画像符号化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、動画像符号化装置、動画像復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動画像を効率的に伝送または記録するために、動画像を符号化することによって符号化データを生成する動画像符号化装置、および、当該符号化データを復号することによって復号画像を生成する動画像復号装置が用いられている。
【0003】
具体的な動画像符号化方式としては、例えば、H.264/AVCやH.265/HEVC(High-Efficiency Video Coding)方式などが挙げられる。
【0004】
このような動画像符号化方式においては、動画像を構成する画像(ピクチャ)は、画像を分割することにより得られるスライス、スライスを分割することにより得られる符号化ツリーユニット(CTU:Coding Tree Unit)、符号化ツリーユニットを分割することで得
られる符号化単位(符号化ユニット(Coding Unit:CU)と呼ばれることもある)、及び
、符号化単位を分割することより得られる変換ユニット(TU:Transform Unit)からなる階層構造により管理され、CU毎に符号化/復号される。
【0005】
また、このような動画像符号化方式においては、通常、入力画像を符号化/復号することによって得られる局所復号画像に基づいて予測画像が生成され、当該予測画像を入力画像(原画像)から減算して得られる予測誤差(「差分画像」または「残差画像」と呼ぶこともある)が符号化される。予測画像の生成方法としては、画面間予測(インター予測)、および、画面内予測(イントラ予測)が挙げられる。
【0006】
また、近年の動画像符号化及び復号の技術として非特許文献1が挙げられる。
【0007】
非特許文献1においては、参照ピクチャリストの管理において、複数の参照ピクチャリストを定義して、それを参照して用いる仕組みが採用されている。また、重み予測において、明示的に重みの数を定義する手法が採用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Recommendation ITU-T H.266 (04/22) "Versatile Video Coding"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1では、仕様上では、重み予測における重みの数として0を
定義できるにも関わらず、重みの数が0の場合、動作することができないという課題があ
る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る動画像復号装置は、符号化データから、参照リストの重みの数を復号し、前記参照リストの重みの数を1以上とすることを特徴とし、前記重みの数に応じ
て、前記参照リストのインデクス毎に重み係数とオフセット値が存在するかを示すフラグを復号し、前記フラグの値が真の場合に、重み係数とオフセット値を復号し、参照ピクチャの補間画像に重み係数を乗じてオフセット値を加算して予測画像を生成する重み予測処理部を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る動画像符号化装置は、参照リストの重みの数を符号化し、前記参照リストの重みの数を1以上とすることを特徴とし、前記重みの数に応じて、前記参照リ
ストのインデクス毎に重み係数とオフセット値が存在するかを示すフラグを符号化し、前記フラグの値が真の場合に、重み係数とオフセット値を符号化し、参照ピクチャの補間画像に重み係数を乗じてオフセット値を加算して予測画像を生成する重み予測処理部を有する。
【0012】
このような構成にすることで、上記課題を解決できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、上記の課題が解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る画像伝送システムの構成を示す概略図である。
【
図3】PU単位での符号化データの階層構造を示す図である。
【
図5】画像復号装置の概略的動作を説明するフローチャートである。
【
図6】インター予測パラメータ導出部の構成を示す概略図である。
【
図7】動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】Sequence Paramenter Set(SPS)と、Picture Parameter Set(PPS)のシンタクスの一部を示す図である。
【
図9】ピクチャヘッダPHのシンタクスの一部を示す図である。
【
図10】スライスヘッダのシンタクスの一部を示す図である。
【
図11】重み予測情報pred_weight_tableのシンタクスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像伝送システム1の構成を示す概略図である。
【0017】
画像伝送システム1は、解像度が変換された異なる解像度の画像を符号化した符号化ストリームを伝送し、伝送された符号化ストリームを復号し画像を元の解像度に逆変換して表示するシステムである。画像伝送システム1は、解像度変換装置(解像度変換部)51、動画像符号化装置(画像符号化装置)11、ネットワーク21、動画像復号装置(画像復号装置)31、解像度逆変換装置(解像度逆変換部)61、及び動画像表示装置(画像表示装置)41を含んで構成される。
【0018】
解像度変換装置51は、動画像に含まれる画像Tの解像度を変換し、異なる解像度の画像
を含む可変解像度動画像信号を、画像符号化装置11に供給する。また、解像度変換装置51は、画像の解像度変換の有無を示す情報を動画像符号化装置11に供給する。当該情報が解像度変換を示す場合、動画像符号化装置は、後述する解像度変換情報ref_pic_resampling_enabled_flagを1に設定し、符号化データのシーケンスパラメータセットSPS(Sequence
Parameter Set)に含ませて符号化する。
【0019】
動画像符号化装置11には解像度が変換された画像Tが入力される。
【0020】
ネットワーク21は、動画像符号化装置11が生成した符号化ストリームTeを動画像復号装
置31に伝送する。ネットワーク21は、インターネット(Internet)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、小規模ネットワーク(LAN:Local Area Network)またはこれ
らの組み合わせである。ネットワーク21は、必ずしも双方向の通信網に限らず、地上デジタル放送、衛星放送等の放送波を伝送する一方向の通信網であっても良い。また、ネットワーク21は、DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)、BD(Blue-ray Disc:登録商標)等の符号化ストリームTeを記録した記憶媒体で代替されても良い。
【0021】
動画像復号装置31は、ネットワーク21が伝送した符号化ストリームTeのそれぞれを復号し、可変解像度復号画像信号を生成して解像度逆変換装置61に供給する。
【0022】
解像度逆変換装置61は、可変解像度復号画像信号に含まれる解像度変換情報が解像度変換を示す場合、解像度変換された画像を逆変換することによって、オリジナルサイズの復号画像信号を生成する。
【0023】
動画像表示装置41は、解像度逆変換部から入力された復号画像信号が示す1または複数の復号画像Tdの全部または一部を表示する。動画像表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。ディスプレイの形態としては、据え置き、モバイル、HMD等が挙げられる。また、動画像復号
装置31が高い処理能力を有する場合には、画質の高い画像を表示し、より低い処理能力しか有しない場合には、高い処理能力、表示能力を必要としない画像を表示する。
【0024】
<演算子>
本明細書で用いる演算子を以下に記載する。
【0025】
>>は右ビットシフト、<<は左ビットシフト、&はビットワイズAND、|はビットワイズOR
、|=はOR代入演算子であり、||は論理和を示す。
【0026】
x ? y : zは、xが真(0以外)の場合にy、xが偽(0)の場合にzをとる3項演算子であ
る。
【0027】
Clip3(a,b,c)は、cをa以上b以下の値にクリップする関数であり、c<aの場合にはaを返
し、c>bの場合にはbを返し、その他の場合にはcを返す関数である(ただし、a<=b)。
【0028】
abs(a)はaの絶対値を返す関数である。
【0029】
Int(a)はaの整数値を返す関数である。
【0030】
Floor(a)はa以下の最大の整数を返す関数である。
【0031】
ceil(a)はa以上の最小の整数を返す関数である。
【0032】
Max(a, b)は、aとbで大きい方の値を返す関数である。
【0033】
Min(a, b)は、aとbで小さい方の値を返す関数である。
【0034】
a/dはdによるaの除算(小数点以下切り捨て)を表す。
【0035】
a÷d、及び、d分のaはdによるaの除算(ラウンド切り捨てなし)を表す。
【0036】
(符号化データTeの構造)
本実施形態に係る画像符号化装置11および画像復号装置31の詳細な説明に先立って、画像符号化装置11によって生成され、画像復号装置31によって復号される符号化データTeのデータ構造について
図2、
図3を用いて説明する。
【0037】
符号化データTeは、
図2で示される複数のCVS(Coded Video Sequence)とEoB(End of Bitstream) NAL unitから構成されるビットストリームである。CVSは複数のAU(Access Unit)とEoS(End of Sequence) NAL unitから構成される。CVS先頭のAUはCVSS(Coded Video Sequence Start) AUと呼ぶ。CVSをレイヤ毎に分割した単位をCLVS(Coded Layer Video Sequence)と呼ぶ。AUは、同一出力時刻の一つもしくは複数のレイヤのPU(Picture Unit)からなる。もし、Multilayerの符号化方式を採用しない場合は、AUは、一つのPUからなる。PUは、複数のNALユニットから構成される1つの復号ピクチャの符号化データの単位である。CLVSは、同一レイヤのPUから構成されていて、CLVS先頭のPUは、CLVSS(Coded Layer Video Sequence Start) PUと呼ぶ。CLVSS PUは、ランダムアクセス可能なIRAP(Intra Random Access Pictures)やGDR(Gradual Decoder Refresh Picture)からなるPUに限定される。NAL
ユニットは、NAL unit headerとRBSP(Raw Byte Sequence Payload)データから構成されている。NAL unit headerは、2ビットの0データに続いて、レイヤ値を示す6ビットのnuh_layer_idと、NALユニットタイプを示す5ビットのnuh_unit_typeとTemporal ID値に1プラス
された値の3ビットのnuh_temporal_id_plus1から構成される。
【0038】
図3は、PU単位での符号化データTeにおけるデータの階層構造を示す図である。符号化
データTeは、例示的に、シーケンス、およびシーケンスを構成する複数のピクチャを含む。
図3には、シーケンスSEQを規定する符号化ビデオシーケンス、ピクチャPICTを規定する符号化ピクチャ、スライスSを規定する符号化スライス、スライスデータを規定する符号
化スライスデータ、符号化スライスデータに含まれる符号化ツリーユニット、符号化ツリーユニットに含まれる符号化ユニットを示す図が示されている。
【0039】
符号化ビデオシーケンスでは、処理対象のシーケンスSEQを復号するために画像復号装
置31が参照するデータの集合が規定されている。シーケンスSEQは、
図3に示すように、ビデオパラメータセットVPS(Video Parameter Set)、シーケンスパラメータセットSPS(Sequence Parameter Set)、ピクチャパラメータセットPPS(Picture Parameter Set)、Adaptation Parameter Set(APS)、ピクチャPICT、及び、補助拡張情報SEI(Supplemental Enhancement Information)を含んでいる。
【0040】
ビデオパラメータセットVPSでは、複数のレイヤから構成されている動画像において、
複数の動画像に共通する符号化パラメータの集合および動画像に含まれる複数のレイヤおよび個々のレイヤに関連する符号化パラメータの集合が規定されている。
【0041】
シーケンスパラメータセットSPSでは、対象シーケンスを復号するために画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの幅や高さが
規定される。なお、SPSは複数存在してもよい。その場合、PPSから複数のSPSの何れかを
選択する。
【0042】
ここで、シーケンスパラメータセットSPSには以下のシンタックス要素が含まれる。
・pic_width_max_in_luma_samples:単一のシーケンスにおける画像のうち、最大の幅を
有する画像の幅を、輝度ブロック単位で指定するシンタックス要素である。また、当該シンタックス要素の値は、0ではなく、且つMax(8, MinCbSizeY)の整数倍であることが要求
される。ここで、MinCbSizeYは、輝度ブロックの最小サイズによって定まる値である。
・pic_height_max_in_luma_samples:単一のシーケンスにおける画像のうち、最大の高さを有する画像の高さを、輝度ブロック単位で指定するシンタックス要素である。また、当該シンタックス要素の値は、0ではなく、且つMax(8, MinCbSizeY)の整数倍であることが
要求される。
【0043】
ピクチャパラメータセットPPSでは、対象シーケンス内の各ピクチャを復号するために
画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。なお、PPSは複数
存在してもよい。その場合、対象シーケンス内の各ピクチャから複数のPPSの何れかを選
択する。
【0044】
ここで、ピクチャパラメータセットPPSには以下のシンタックス要素が含まれる。
・pps_pic_width_in_luma_samples:対象ピクチャの幅を指定するシンタックス要素であ
る。当該シンタックス要素の値は、0ではなく、Max(8, MinCbSizeY)の整数倍であり、且
つsps_pic_width_max_in_luma_samples以下の値であることが要求される。後述のInpPicWidthInLumaSamplesはpps_pic_width_in_luma_samplesに等しくセットされる。
・pps_pic_height_in_luma_samples:対象ピクチャの高さを指定するシンタックス要素である。当該シンタックス要素の値は、0ではなく、Max(8, MinCbSizeY)の整数倍であり、
且つsps_pic_height_max_in_luma_samples以下の値であることが要求される。後述のInpPicHeightInLumaSamplesはpps_pic_height_in_luma_samplesに等しくセットされる。
・pps_conformance_window_flag:コンフォーマンス(クロッピング)ウィンドウオフセ
ットパラメータが続いて通知されるか否かを示すフラグであって、コンフォーマンスウィンドウを表示する場所を示すフラグである。このフラグが1である場合、当該パラメータ
が通知され、0である場合、コンフォーマンスウインドウオフセットパラメータが存在し
ないことを示す。
・sps_chroma_format_idは色差フォーマットを示すパラメータである。後述のChromaFormatIdcはsps_chroma_format_idに等しくセットされる。
・pps_init_qp_minus26は、PPSで参照されるスライスの量子化パラメータSliceQpYを導出するための情報である。
【0045】
(符号化ピクチャ)
符号化ピクチャでは、処理対象のピクチャPICTを復号するために画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。ピクチャPICTは、
図3に示すように、ピクチャヘッ
ダPH、スライス0~スライスNS-1を含む(NSはピクチャPICTに含まれるスライスの総数)
。
【0046】
(符号化スライス)
符号化スライスでは、処理対象のスライスSを復号するために画像復号装置31が参照す
るデータの集合が規定されている。スライスは、
図3に示すように、スライスヘッダ、お
よび、スライスデータを含んでいる。
【0047】
スライスヘッダには、対象スライスの復号方法を決定するために画像復号装置31が参照する符号化パラメータ群が含まれる。スライスタイプを指定するスライスタイプ指定情報(slice_type)は、スライスヘッダに含まれる符号化パラメータの一例である。
【0048】
スライスタイプ指定情報により指定可能なスライスタイプとしては、(1)符号化の際にイントラ予測のみを用いるIスライス、(2)符号化の際に単予測(L0予測)、または、イントラ予測を用いるPスライス、(3)符号化の際に単予測(L0予測或いはL1予測)、双予測、または、イントラ予測を用いるBスライスなどが挙げられる。なお、インター予測は、単予測、双予測に限定されず、より多くの参照ピクチャを用いて予測画像を生成してもよい。以下、P、Bスライスと呼ぶ場合には、インター予測を用いることができるブロックを含むスライスを指す。
【0049】
なお、スライスヘッダは、ピクチャパラメータセットPPSへの参照(pic_parameter_set
_id)を含んでいても良い。
【0050】
(符号化スライスデータ)
符号化スライスデータでは、処理対象のスライスデータを復号するために画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。スライスデータは、
図3の符号化スライス
ヘッダに示すように、CTUを含んでいる。CTUは、スライスを構成する固定サイズ(例えば64x64)のブロックであり、最大符号化単位(LCU:Largest Coding Unit)と呼ぶこともある。
【0051】
(符号化ツリーユニット)
図3には、処理対象のCTUを復号するために画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。CTUは、再帰的な4分木分割(QT(Quad Tree)分割)、2分木分割(BT(Binary Tree)分割)あるいは3分木分割(TT(Ternary Tree)分割)により、符号化処
理の基本的な単位である符号化ユニットCUに分割される。再帰的な4分木分割により得られる木構造のノードのことを符号化ノード(Coding Node)と称する。4分木、2分木、
及び3分木の中間ノードは、符号化ノードであり、CTU自身も最上位の符号化ノードとし
て規定される。
【0052】
(符号化ユニット)
図3は、処理対象の符号化ユニットを復号するために画像復号装置31が参照するデータ
の集合が規定されている。具体的には、CUは、CUヘッダCUH、予測パラメータ、変換パラ
メータ、量子化変換係数等から構成される。CUヘッダでは予測モード等が規定される。
【0053】
予測処理は、CU単位で行われる場合と、CUをさらに分割したサブCU単位で行われる場合がある。
【0054】
予測の種類(予測モード)は、イントラ予測と、インター予測の2つがある。イントラ予測は、同一ピクチャ内の予測であり、インター予測は、互いに異なるピクチャ間(例えば、表示時刻間、レイヤ画像間)で行われる予測処理を指す。
【0055】
変換・量子化処理はCU単位で行われるが、量子化変換係数は4x4等のサブブロック単位
でエントロピー符号化してもよい。
【0056】
なお、本明細書中「XXであるか否かを示すフラグ」と記す場合、フラグが0以外(たとえば1)をXXである場合、0をXXではない場合とし、論理否定、論理積などでは1を真、0を偽と扱う(以下同様)。但し、実際の装置や方法では真値、偽値として他の値を用いることもできる。
【0057】
(画像復号装置の構成)
本実施形態に係る画像復号装置31(
図4)の構成について説明する。
【0058】
画像復号装置31は、エントロピー復号部301、パラメータ復号部(予測画像復号装置)302、ループフィルタ305、参照ピクチャメモリ306、予測パラメータメモリ307、予測画像
生成部(予測画像生成装置)308、逆量子化・逆変換部311、及び加算部312、予測パラメ
ータ導出部320を含んで構成される。なお、後述の画像符号化装置11に合わせ、画像復号
装置31にループフィルタ305が含まれない構成もある。
【0059】
パラメータ復号部302は、さらに、ヘッダ復号部3020、CT情報復号部3021、及びCU復号
部3022(予測モード復号部)を備えており、CU復号部3022はさらにTU復号部3024を備えている。これらを総称して復号モジュールと呼んでもよい。ヘッダ復号部3020は、符号化デ
ータからVPS、SPS、PPS、APSなどのパラメータセット情報、スライスヘッダ(スライス情報)を復号する。CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。CU復号部3022は符号化データからCUを復号する。TU復号部3024は、符号化データからQP更新情報(量子化補正値)と量子化予測誤差(residual_coding)を復号する。
【0060】
予測画像生成部308は、インター予測画像生成部309及びイントラ予測画像生成部310を
含んで構成される。
【0061】
エントロピー復号部301は、外部から入力された符号化データTeに対してエントロピー
復号を行って、個々の符号(シンタックス要素)を復号する。
【0062】
エントロピー復号部301は、復号した符号をパラメータ復号部302に出力する。どの符号を復号するかの制御は、パラメータ復号部302の指示に基づいて行われる。
【0063】
(基本フロー)
図5は、画像復号装置31の概略的動作を説明するフローチャートである。
【0064】
(S1100:パラメータセット情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからVPS、SPS、PPSなどのパラメータセット情報を復号する。
【0065】
(S1200:スライス情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからスライスヘッダ
(スライス情報)を復号する。
【0066】
以下、画像復号装置31は、対象ピクチャに含まれる各CTUについて、S1300からS5000の
処理を繰り返すことにより各CTUの復号画像を導出する。
【0067】
(S1300:CTU情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTUを復号する。
【0068】
(S1400:CT情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。
【0069】
(S1500:CU復号)CU復号部3022はS1510、S1520を実施して、符号化データからCUを復
号する。
【0070】
(S1510:CU情報復号)CU復号部3022は、符号化データからCU情報、予測情報等を復号
する。
【0071】
(S1520:TU情報復号)TU復号部3024は、符号化データからQP更新情報と量子化予測誤
差等を復号する。なお、QP更新情報は、量子化パラメータQPの予測値である量子化パラメータ予測値qPpredからの差分値である。
【0072】
(S2000:予測画像生成)予測画像生成部308は、対象CUに含まれる各ブロックについて、予測情報に基づいて予測画像を生成する。
【0073】
(S3000:逆量子化・逆変換)逆量子化・逆変換部311は、対象CUに含まれる各TUについて、逆量子化・逆変換処理を実行する。
【0074】
(S4000:復号画像生成)加算部312は、予測画像生成部308より供給される予測画像と
、逆量子化・逆変換部311より供給される予測誤差とを加算することによって、対象CUの
復号画像を生成する。
【0075】
(S5000:ループフィルタ)ループフィルタ305は、復号画像にデブロッキングフィルタ、SAO、ALFなどのループフィルタをかけ、復号画像を生成する。
【0076】
(インター予測画像生成部)
図6は、本実施形態に係る予測画像生成部308に含まれるインター予測画像生成部309の
構成を示す概略図である。予測画像生成部308は、イントラ予測画像生成部309とインター予測画像生成部310を含んで構成される。インター予測画像生成部309は、動き補償部(予測画像生成装置)3091、合成部3095を含んで構成される。合成部3095は、IntraInter合成部30951、GPM合成部30952、BDOF部30954、重み予測部3094を含んで構成される。
【0077】
予測モードがインター予測モードを示す場合、インター予測画像生成部309は、インタ
ー予測パラメータ導出部303から入力されたインター予測パラメータと参照ピクチャを用
いてインター予測によりブロックもしくはサブブロックの予測画像を生成する。
【0078】
(動き補償)
動き補償部3091(補間画像生成部3091)は、インター予測パラメータ導出部303から入
力された、インター予測パラメータに基づいて、参照ピクチャメモリ306から参照ブロッ
クを読み出すことによって補間画像(動き補償画像)を生成する。
【0079】
合成部3092は、少なくとも、IntraInter合成部30921、GPM合成部30922、BDOF部30923、重み予測部30924を備えている。
【0080】
(IntraInter合成処理)
IntraInter合成部30931は、インター予測画像とイントラ予測画像の重み付け和により
予測画像を生成する。
【0081】
(GPM合成処理)
GPM合成部30932は、上述したGPM予測を用いた予測画像を生成する。
【0082】
(BDOF予測)
次に、BDOF部30923が行うBDOF予測(Bi-Directional Optical Flow, BDOF処理)の詳細について説明する。BDOF部30954は、双予測モードにおいて、2つの予測画像(第1の予測
画像及び第2の予測画像)及び勾配補正項を参照して予測画像を生成する。
【0083】
(重み予測)
重み予測部30924は、補間画像predSamplesLXからブロックの予測画像pbSamplesを生成
する。
【0084】
まず、重み予測処理を行うか否かを示す変数weightedPredFlagは次のように導出されている。slice_typeがPに等しい場合、weightedPredFlagはPPSで定義されるpps_weighted_pred_flagに等しく設定される。それ以外で、slice_typeがBに等しい場合、weightedPredFlagはPPSで定義されるpps_weighted_bipred_flag && (!dmvrFlag)に等しく設定される。
【0085】
以降で、bcw_idxは、CU単位の重みをもつ双予測の重みインデックスである。bcw_idxが通知されない場合、bcw_idx=0にセットする。bcwIdxは、マージ予測モードでは近傍ブロ
ックのbcwIdxNをセットし、AMVP予測モードでは対象ブロックのbcw_idxをセットする。
【0086】
もし、変数weightedPredFlagの値が0に等しいか、変数bcwIdxの値が0の場合は、通常の予測画像処理として、予測画像pbSamplesは次のように導出される。
【0087】
予測リスト利用フラグの一方(predFlagL0もしくはpredFlagL1)が1(単予測)の(重み予測を用いない)場合、predSamplesLX(LXはL0もしくはL1)を画素ビット数bitDepth
に合わせる以下の式の処理を行う。
【0088】
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1<<bitDepth)-1,(predSamplesLX[x][y]+offset1)>>shift1)
ここで、shift1=14-bitDepth、offset1=1<<(shift1-1)である。PredLXは、L0もしくはL1
予測の補間画像である。
【0089】
また、予測リスト利用フラグの両者(predFlagL0とpredFlagL1)が1(双予測PRED_BI
)、かつ、重み予測を用いない場合、predSamplesL0、predSamplesL1を平均し画素ビット数に合わせる以下の式の処理を行う。
【0090】
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1<<bitDepth)-1,(predSamplesL0[x][y]+predSamplesL1[x][y]+offset2)>>shift2)
ここで、shift2=15-bitDepth、offset2=1<<(shift2-1)である。
【0091】
もし、変数weightedPredFlagの値が1に等しい、かつ、変数bcwIdxの値が0に等しい場
合は、重み予測処理として、予測画像pbSamplesは次のように導出される。
【0092】
変数shift1はMax(2、14-bitDepth)に等しく設定する。変数log2Wd、o0、o1、w0、およ
びw1は、次のように導出する。
【0093】
もし、cIdxが0で輝度の場合、次が適用される。
【0094】
log2Wd = luma_log2_weight_denom + shift1
w0 = LumaWeightL0[refIdxL0]
w1 = LumaWeightL1[refIdxL1]
o0 = luma_offset_l0[refIdxL0] <<(bitDepth - 8)
o1 = luma_offset_l1[refIdxL1] <<(bitDepth - 8)
それ以外(cIdxは0に等しくない色差)の場合、以下が適用される。
【0095】
log2Wd = ChromaLog2WeightDenom + shift1
w0 = ChromaWeightL0[refIdxL0][cIdx - 1]
w1 = ChromaWeightL1[refIdxL1][cIdx - 1]
o0 = ChromaOffsetL0[refIdxL0][cIdx - 1] <<(bitDepth - 8)
o1 = ChromaOffsetL1[refIdxL1][cIdx - 1] <<(bitDepth - 8)
x = 0..nCbW - 1およびy = 0..nCbH - 1の予測画像の画素値pbSamples[x][y]は、次の
ように導出される。
【0096】
次に、もし、predFlagL0が1に等しく、predFlagL1が0に等しい場合、予測画像の画素値pbSamples[x][y]は次のように導出される。
【0097】
if(log2Wd >= 1)
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1 << bitDepth)- 1,
((predSamplesL0[x][y] * w0 + 2^(log2Wd - 1))>> log2Wd)+ o0)
else
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1<<bitDepth)-1, predSamplesL0[x][y]*w0 + o0)
それ以外で、もし、predFlagL0が0でpredFlagL1が1の場合、予測画像の画素値pbSamples[x][y]は、次のように導出される。
【0098】
if(log2Wd >= 1)
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1 << bitDepth)- 1,
((predSamplesL1[x][y] * w1 + 2^(log2Wd - 1))>> log2Wd)+ o1)
else
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1<<bitDepth)-1、predSamplesL1[x][y]*w1 + o1)
それ以外で、もし、predFlagL0は1に等しく、predFlagL1は1に等しい場合、予測画像の画素値pbSamples[x][y]は次のように導出される。
【0099】
pbSamples[x][y] = Clip3(0,(1 << bitDepth)- 1,
(predSamplesL0[x][y] * w0 + predSamplesL1[x][y] * w1 +
((o0 + o1 + 1)<< log2Wd))>>(log2Wd + 1))
(イントラ予測画像生成部310)
predModeがイントラ予測モードを示す場合、イントラ予測画像生成部310は、イントラ
予測パラメータ導出部304から入力されたイントラ予測パラメータと参照ピクチャメモリ306から読み出した参照画素を用いてイントラ予測を行う。
【0100】
逆量子化・逆変換部311は、パラメータ復号部302から入力された量子化変換係数を逆量子化して変換係数を求める。
【0101】
加算部312は、予測画像生成部308から入力されたブロックの予測画像と逆量子化・逆変換部311から入力された予測誤差を画素毎に加算して、ブロックの復号画像を生成する。
加算部312はブロックの復号画像を参照ピクチャメモリ306に記憶し、また、ループフィルタ305に出力する。
【0102】
逆量子化・逆変換部311は、パラメータ復号部302から入力された量子化変換係数を逆量子化して変換係数を求める。
【0103】
加算部312は、予測画像生成部308から入力されたブロックの予測画像と逆量子化・逆変換部311から入力された予測誤差を画素毎に加算して、ブロックの復号画像を生成する。
加算部312はブロックの復号画像を参照ピクチャメモリ306に記憶し、また、ループフィルタ305に出力する。
【0104】
(動画像符号化装置の構成)
次に、本実施形態に係る動画像符号化装置11の構成について説明する。
図7は、本実施
形態に係る動画像符号化装置11の構成を示すブロック図である。動画像符号化装置11は、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、逆量子化・逆変換部105、加算部106、ループフィルタ107、予測パラメータメモリ(予測パラメータ記憶部、フレームメモリ)108、参照ピクチャメモリ(参照画像記憶部、フレームメモリ)109、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120、エントロピー符号化部104を含んで構成される。
【0105】
予測画像生成部101はCU毎に予測画像を生成する。予測画像生成部101は既に説明したインター予測画像生成部309とイントラ予測画像生成部310を含んでおり、説明を省略する。
【0106】
減算部102は、予測画像生成部101から入力されたブロックの予測画像の画素値を、画像Tの画素値から減算して予測誤差を生成する。減算部102は予測誤差を変換・量子化部103に出力する。
【0107】
変換・量子化部103は、減算部102から入力された予測誤差に対し、周波数変換によって
変換係数を算出し、量子化によって量子化変換係数を導出する。変換・量子化部103は、
量子化変換係数をパラメータ符号化部111及び逆量子化・逆変換部105に出力する。
【0108】
逆量子化・逆変換部105は、動画像復号装置31における逆量子化・逆変換部311(
図4)
と同じであり、説明を省略する。算出した予測誤差は加算部106に出力される。
【0109】
パラメータ符号化部111は、ヘッダ符号化部1110、CT情報符号化部1111、CU符号化部1112(予測モード符号化部)を備えている。CU符号化部1112はさらにTU符号化部1114を備え
ている。以下、各モジュールの概略動作を説明する。
【0110】
ヘッダ符号化部1110はヘッダ情報、分割情報、予測情報、量子化変換係数等のパラメータの符号化処理を行う。
【0111】
CT情報符号化部1111は、QT、MT(BT、TT)分割情報等を符号化する。
【0112】
CU符号化部1112はCU情報、予測情報、分割情報等を符号化する。
【0113】
TU符号化部1114は、TUに予測誤差が含まれている場合に、QP更新情報と量子化予測誤差を符号化する。
【0114】
CT情報符号化部1111、CU符号化部1112は、インター予測パラメータ(predMode、merge_flag、merge_idx、inter_pred_idc、refIdxLX、mvp_LX_idx、mvdLX)、イントラ予測パラメータ(intra_luma_mpm_flag、intra_luma_mpm_idx、intra_luma_mpm_reminder、intra_chroma_pred_mode)、量子化変換係数等のシンタックス要素をパラメータ符号化部111に
供給する。
【0115】
エントロピー符号化部104には、パラメータ符号化部111から量子化変換係数と符号化パラメータ(分割情報、予測パラメータ)が入力される。エントロピー符号化部104はこれ
らをエントロピー符号化して符号化ストリームTeを生成し、出力する。
【0116】
予測パラメータ導出部120は、インター予測パラメータ符号化部112、イントラ予測パラメータ符号化部113を含む手段であり、符号化パラメータ決定部110から入力されたパラメータからイントラ予測パラメータ及びイントラ予測パラメータを導出する。導出されたイントラ予測パラメータ及びイントラ予測パラメータは、パラメータ符号化部111に出力さ
れる。
【0117】
(インター予測パラメータ符号化部の構成)
インター予測パラメータ符号化部112は、パラメータ符号化制御部1121、インター予測
パラメータ導出部303を含んで構成される。インター予測パラメータ導出部303は動画像復号装置と共通の構成である。パラメータ符号化制御部1121は、マージインデックス導出部11211とベクトル候補インデックス導出部11212を含む。
【0118】
マージインデックス導出部11211は、マージ候補等を導出し、インター予測パラメータ
導出部303に出力する。ベクトル候補インデックス導出部11212は予測ベクトル候補等を導出し、インター予測パラメータ導出部303とパラメータ符号化部111に出力する。
【0119】
(イントラ予測パラメータ符号化部113の構成)
イントラ予測パラメータ符号化部113は、パラメータ符号化制御部1131とイントラ予測
パラメータ導出部304を備える。イントラ予測パラメータ導出部304は動画像復号装置と共通の構成である。
【0120】
パラメータ符号化制御部1131はIntraPredModeYおよびIntraPredModeCを導出する。さらにmpmCandList[]を参照してintra_luma_mpm_flagを決定する。これらの予測パラメータをイントラ予測パラメータ導出部304とパラメータ符号化部111に出力する。
【0121】
ただし、動画像復号装置と異なり、インター予測パラメータ導出部303、イントラ予測
パラメータ導出部304への入力は符号化パラメータ決定部110、予測パラメータメモリ108
であり、パラメータ符号化部111に出力する。
【0122】
加算部106は、予測画像生成部101から入力された予測ブロックの画素値と逆量子化・逆変換部105から入力された予測誤差を画素毎に加算して復号画像を生成する。加算部106は生成した復号画像を参照ピクチャメモリ109に記憶する。
【0123】
ループフィルタ107は加算部106が生成した復号画像に対し、デブロッキングフィルタ、SAO、ALFを施す。なお、ループフィルタ107は、必ずしも上記3種類のフィルタを含まな
くてもよく、例えばデブロッキングフィルタのみの構成であってもよい。
【0124】
予測パラメータメモリ108は、符号化パラメータ決定部110が生成した予測パラメータを、対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
【0125】
参照ピクチャメモリ109は、ループフィルタ107が生成した復号画像を対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
【0126】
符号化パラメータ決定部110は、符号化パラメータの複数のセットのうち、1つのセッ
トを選択する。符号化パラメータとは、上述したQT、BTあるいはTT分割情報、予測パラメータ、あるいはこれらに関連して生成される符号化の対象となるパラメータである。予測画像生成部101は、これらの符号化パラメータを用いて予測画像を生成する。
【0127】
符号化パラメータ決定部110は、複数のセットの各々について情報量の大きさと符号化
誤差を示すRDコスト値を算出する。RDコスト値は、例えば、符号量と二乗誤差に係数λを乗じた値との和である。符号量は、量子化誤差と符号化パラメータをエントロピー符号化して得られる符号化ストリームTeの情報量である。二乗誤差は、減算部102において算出
された予測誤差の二乗和である。係数λは、予め設定されたゼロよりも大きい実数である。符号化パラメータ決定部110は、算出したコスト値が最小となる符号化パラメータのセ
ットを選択する。符号化パラメータ決定部110は決定した符号化パラメータをパラメータ
符号化部111と予測パラメータ導出部120に出力する。
【0128】
なお、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、例えば、エントロピー復号部301、パラメータ復号部302、ループフィルタ305、予測画像生成
部308、逆量子化・逆変換部311、加算部312、予測パラメータ導出部320、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、エントロピー符号化部104、逆量子化・逆変換部105、ループフィルタ107、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能
を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、動画像符号化装置11、動画像復号装置31のいずれかに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピ
ュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピ
ュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0129】
また、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。動画像符号化装置11、動画像復号装置31の各機能ブロックは個別にプロセッサ化しても良いし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0130】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0131】
(シンタクス)
図8(a)は、非特許文献1のSequence Paramenter Set(SPS)のシンタクスの一部を示している。
【0132】
sps_weighted_pred_flagは、SPSを参照するPスライスに重み予測が適用される可能性があるか否かを示すフラグである。sps_weighted_pred_flagが1に等しいことは、SPSを参照するPスライスに重み予測が適用されることを示す。sps_weighted_pred_flagが0に等しいことは、SPSを参照するPスライスに重み予測が適用されないことを示す。
【0133】
sps_weighted_bipred_flagは、SPSを参照するBスライスに重み予測が適用される可能性があるか否かを示すフラグである。sps_weighted_bipred_flagが1に等しいことは、SPSを参照するBスライスに重み予測が適用されることを示す。sps_weighted_bipred_flagが0に等しいことは、SPSを参照するBスライスに重み予測が適用されないことを示す。
【0134】
long_term_ref_pics_flagは、長期間ピクチャが使われるか否かを示すフラグである。
【0135】
inter_layer_ref_pics_present_flagは、階層間予測が使われるか否かを示すフラグで
ある。
【0136】
sps_idr_rpl_present_flagは、nal_unitタイプがIDRピクチャ(Instantaneous Decoding
Refresh picture)を示すスライスのヘッダで、参照ピクチャリストを定義するか否かを
示すフラグである。
【0137】
rpl1_same_as_rpl0_flagが1の場合、参照ピクチャリスト1のための情報が存在せずに、num_ref_pic_lists_in_sps[0]およびref_pic_list_struct(0,rplsIdx)と同じであるこ
とを示す。
【0138】
図8(b)は、非特許文献1でのPicture Parameter Set(PPS)のシンタクスの一部を示している。
【0139】
pps_no_pic_partition_flagは、ピクチャがタイルやスライスで分割されていないかど
うかを示すフラグである。pps_no_pic_partition_flagが1の場合、PPSを参照する各ピク
チャにピクチャ分割が適用されないことを示す。pps_no_pic_partition_flagが0の場合は、PPSを参照する各ピクチャが複数のタイルまたはスライスに分割される可能性があるこ
とを示す。
【0140】
pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]+1は、iが0の場合、sh_num_ref_idx_active_override_flagが0の場合のPまたはBスライスの変数NumRefIdxActive[0]の値を示す。変数NumRefIdxActive[0]は、参照リスト0のアクティブな参照ピクチャ数を意味する。iが1
の場合は、sh_num_ref_idx_active_override_flagが0に等しい場合のBスライスの変数NumRefIdxActive[1]の値を示す。変数NumRefIdxActive[1]は、参照リスト1のアクティブな参照ピクチャ数を意味する。pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]の値は、0以上、14以下の値の範囲内でなければならない。
【0141】
pps_weighted_pred_flagは、PPSを参照するPスライスに重み予測が適用されるか否かを示すフラグである。pps_weighted_pred_flagが0に等しいことは、PPSを参照するPスライ
スに重み予測が適用されないことを示す。pps_weighted_pred_flagが1に等しいことは、PPSを参照するPスライスに重み予測が適用されることを示す。sps_weighted_pred_flagが0に等しいとき、重み予測部3094はpps_weighted_pred_flagの値は0に設定する。pps_weighted_pred_flagが存在しない場合、値は0に設定する。
【0142】
pps_weighted_bipred_flagは、PPSを参照するBスライスに重み予測が適用されるか否かを示すフラグである。pps_weighted_bipred_flagが0に等しいことは、PPSを参照するBス
ライスに重み予測が適用されないことを示す。pps_weighted_bipred_flagが1に等しいこ
とは、PPSを参照するBスライスに重み予測が適用されることを示す。sps_weighted_bipred_flagが0に等しいとき、重み予測部3094はpps_weighted_bipred_flagの値は0に設定する。pps_weighted_bipred_flagが存在しない場合、値は0に設定する。
【0143】
pps_no_pic_partition_flagが0の場合、以下のシンタクスが存在する。
【0144】
pps_rpl_info_in_ph_flagは参照ピクチャリスト情報がピクチャヘッダに存在するか否
かを示すフラグである。pps_rpl_info_in_ph_flagが1に等しいことは、参照ピクチャリスト情報がピクチャヘッダに存在することを示す。pps_rpl_info_in_ph_flagが0に等しいことは、参照ピクチャリスト情報がピクチャヘッダに存在せず、スライスヘッダが存在する可能性があることを示す。
【0145】
pps_weighted_pred_flagが1に等しいか、pps_weighted_bipred_flagが1に等しいか、pps_rpl_info_in_ph_flagが1に等しい時に、pps_wp_info_in_ph_flagが存在する。pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しいことは、重み予測情報pred_weight_tableがピクチャヘッダに存在し、スライスヘッダには存在しないことを示す。pps_wp_info_in_ph_flagが0に等し
いことは、重み予測情報pred_weight_tableがピクチャヘッダに存在せず、スライスヘッ
ダに存在する可能性があることを示す。pps_wp_info_in_ph_flagが存在しない場合、pps_wp_info_in_ph_flagの値は0に等しいとする。
【0146】
図9は、非特許文献1のピクチャヘッダPHのシンタクスの一部を示している。
【0147】
ph_inter_slice_allowed_flagが0の場合、ピクチャのすべてスライスのslice_typeが2
(I Slice)であることを示す。ph_inter_slice_allowed_flagが1の場合は、ピクチャに
含まれるスライスのslice_typeが、少なくとも一つ以上0(B Slice)か1(P Slice)であることを示す。
【0148】
pps_rpl_info_in_ph_flagが1の場合、参照ピクチャリストを定義するref_pic_lists()
を呼び出して、参照ピクチャリストを選択する。
【0149】
ph_inter_slice_allowed_flagが0でなく、かつ、pps_weighted_pred_flagが1に等しい
またはpps_weighted_bipred_flagが1に等しく、かつ、pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合、重み予測情報pred_weight_tableが存在する。
【0150】
図10は、非特許文献1のスライスヘッダのシンタクスの一部を示している。これらのシンタクスは、例えばパラメータ復号部302によって復号される。
【0151】
sh_num_ref_idx_active_override_flagが1の場合、シンタクス要素sh_num_ref_idx_active_minus1[0]がPおよびBスライスに存在し、シンタクス要素sh_num_ref_idx_active_minus1[1]がBスライスに存在することを示す。num_ref_idx_active_override_flagが0の場合、シンタクス要素num_ref_idx_active_minus1[0]がPおよびBスライスに存在しないことを示す。もし、存在しない場合、num_ref_idx_active_override_flagの値は1に等しいと推
測する。
【0152】
sh_num_ref_idx_active_minus1[i]は、参照ピクチャリストiの実際に使われる参照ピクチャ数を導出するために用いられる。実際に用いられる参照ピクチャ数である変数NumRefIdxActive[i]の導出方法は後述する。sh_num_ref_idx_active_minus1[i]の値は、0以上14以下の値でなければならない。スライスがBスライス、かつ、num_ref_idx_active_override_flagは1、かつ、num_ref_idx_active_minus1[i]は存在しない場合、num_ref_idx_active_minus1[i]は0に等しいと推測する。
【0153】
pps_wp_info_in_ph_flagが1でなく、かつ、pps_weighted_pred_flagが1に等しいかつslice_typeが1(P Slice)、あるいは、pps_weighted_bipred_flagが1に等しいかつslice_typeが0(B Slice)の場合、pred_weight_tableが呼び出される。
【0154】
以下の擬似コードは、予測パラメータ導出部320による非特許文献1の変数NumRefIdxActive[i]の導出方法を示している。参照ピクチャリストi(=0,1)に対して、Bスライス、ま
たは、Pスライスかつ参照ピクチャリスト0の場合は、sh_num_ref_idx_active_override_flagが1に等しければ、変数NumRefIdxActive[i]に、sh_num_ref_idx_active_minus1[i]の
値に1を足した値を代入する。そうでない場合(Bスライス、または、Pスライスかつ参照
ピクチャリスト0の場合であって、sh_num_ref_idx_active_override_flagが0に等しい場
合)、もし、num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]の値が、pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]に1を足した値以上ならば、変数NumRefIdxActive[i]に、pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]に1を足した値を代入する。そうでなければ、変数NumRefIdxActive[i]に、num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]の値を代入する。pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]は、PPSで定義されるデフォルトの変数NumRefIdxActive[i]の値である。Iスライスの場合か、Pスライスかつ参照ピクチャリスト1の場合は、変数NumRefIdxActive[i]には0が代入される。
【0155】
for(i=0; i<2; i++){
if(sh_slice_type == B || (sh_slice_type == P && i == 0)){
if(sh_num_ref_idx_active_override_flag)
NumRefIdxActive[i] = sh_num_ref_idx_active_minus1[i] + 1
else {
if(num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]
>= pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i]+1)
NumRefIdxActive[i] = pps_num_ref_idx_default_active_minus1[i] + 1
else
NumRefIdxActive[i] = num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]
}
} else /* sh_slice_type == I || (sh_slice_type == P && i == 1) */
NumRefIdxActive[i] = 0
}
NumRefIdxActive[i]-1の値は、スライスの復号で使用できる参照リストの最大参照インデックス値を示す。NumRefIdxActive[i]の値が0の場合、参照インデクスを用いることが
できない。したがって、現在のスライスがPスライスの場合、NumRefIdxActive[0]の値は0より大きくなければならない。また、現在のスライスがBスライスの場合、NumRefIdxActive[0]とNumRefIdxActive[1]の両方が0より大きくなければならない。
【0156】
図11は、非特許文献1の重み予測情報pred_weight_tableのシンタクスを示している。
【0157】
luma_log2_weight_denomは、すべての輝度の重み係数の分母の2の底とする対数である
。luma_log2_weight_denomの値は、0から7の範囲内でなければならない。delta_chroma_log2_weight_denomは、すべての色差重み係数の分母の2を底とする対数の差である。delta_chroma_log2_weight_denomが存在しない場合、0に等しいと推測する。変数ChromaLog2WeightDenomは、luma_log2_weight_denom+delta_chroma_log2_weight_denomに等しくなるように導出され、値は0から7の範囲内でなければならない。
【0158】
num_l0_weightsは、pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合に、参照ピクチャリスト0のエントリに対してシグナリングされる重みの数を示す。num_l0_weightsの値は、0以上
、Min(15,num_ref_entries[0][RplsIdx[0]])以下の範囲である。pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合、変数NumWeightsL0はnum_l0_weightsに等しく設定される。それ以外の
場合(pps_wp_info_in_ph_flagが0に等しい)、変数NumWeightsL0はNumRefIdxActive[0]
に設定される。ここで、num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]は、参照ピクチャリストiの参
照ピクチャ数を示している。変数RplsIdx[i]は、参照ピクチャリストiの複数存在するリ
ストを示すインデクス値である。
【0159】
luma_weight_l0_flag[i]は、参照ピクチャリスト0のi番目のL0予測の輝度成分の重み係数が存在することを示すフラグである。luma_weight_l0_flag[i]が1の場合、L0予測の輝
度成分の重み係数が存在することを示す。luma_weight_l0_flag[i]が0の場合、L0予測の
輝度成分の重み係数が存在しないことを示す。luma_weight_l0_flag[i]が存在しない場合、重み予測部3094は0に等しいと推測する。chroma_weight_l0_flag[i]は、参照ピクチャ
リスト0のi番目のL0予測の色差予測値の重み係数が存在することを示すフラグである。chroma_weight_l0_flag[i]が1の場合、L0予測の色差予測値の重み係数が存在することを示
す。chroma_weight_l0_flag[i]が0の場合、L0予測の色差予測値の重み係数が存在しない
ことを示す。chroma_weight_l0_flag[i]が存在しない場合、重み予測部3094は0に等しい
と推測する。
【0160】
delta_luma_weight_l0[i]は、参照ピクチャリスト0のi番目のL0予測の輝度予測値に適
用される重み係数の差である。変数LumaWeightL0[i]は、(1<<luma_log2_weight_denom)+delta_luma_weight_l0[i]と等しくなるように導出される。luma_weight_l0_flag[i]が1
に等しい場合、delta_luma_weight_l0[i]の値は-128から127の範囲内になければならない。luma_weight_l0_flag[i]が0に等しい場合、重み予測部3094はLumaWeightL0[i]は2のluma_log2_weight_denomのべき乗値(2^luma_log2_weight_denom)に等しいと推測する。
【0161】
Luma_offset_l0[i]は、参照ピクチャリスト0のi番目のL0予測の輝度の予測値に適用さ
れるオフセット値である。Luma_offset_l0[i]の値は、-128から127の範囲内でなければならない。luma_weight_l0_flag[i]が0に等しい場合、重み予測部3094はluma_offset_l0[i]は0に等しいと推測する。
【0162】
delta_chroma_weight_l0[i][j]は、Cbでjが0、Crでjが1のL0の参照ピクチャリストのi
番目のL0予測の色差の予測値に適用される重み係数の差である。変数ChromaWeightL0[i][j]は、(1<<ChromaLog2WeightDenom)+delta_chroma_weight_l0[i][j]に等しくなるよう
に導出される。chroma_weight_l0_flag[i]が1に等しいとき、delta_chroma_weight_l0[i][j]の値は-128から127までの範囲になければならない。chroma_weight_l0_flag[i]が0の
場合、重み予測部3094はChromaWeightL0[i][j]は2のChromaLog2WeightDenomのべき乗値(2^ChromaLog2WeightDenom)に等しいと推測する。delta_chroma_offset_l0[i][j]は、Cb
でjが0、Crでjが1のL0の参照ピクチャリストのi番目のL0予測の色差の予測値に適用され
るオフセット値の差である。変数ChromaOffsetL0[i][j]は、次のように導出される。
【0163】
ChromaOffsetL0[i][j] = Clip3(-128,127,
(128 + delta_chroma_offset_l0[i][j] -
((128 * ChromaWeightL0[i][j])>> ChromaLog2WeightDenom)))
delta_chroma_offset_l0[i][j]の値は、-4*128から4*127の範囲内でなければならない
。chroma_weight_l0_flag[i]が0に等しい場合、重み予測部3094はChromaOffsetL0[i][j]
は0に等しいと推測する。
【0164】
num_l1_weightsは、pps_weighted_bipred_flagとpps_wp_info_in_ph_flagが共に1に等
しい場合に、参照ピクチャリスト1のエントリに対してシグナリングされる重みの数を示
す。num_l1_weightsの値は、0以上、Min(15,num_ref_entries[1][RplsIdx[1]])以下の範
囲である。
【0165】
変数NumWeightsL1は、以下の擬似コードで導出される。pps_weighted_bipred_flagが1
でない場合、あるいは、pps_wp_info_in_ph_flagが1の場合かつnum_ref_entries[1][RplsIdx[1]]の値が0の場合は、変数NumWeightsL1の値を0に設定する。そうでない場合で、pps_wp_info_in_ph_flagが1の場合は、変数NumWeightsL1の値をシンタクス要素num_l1_weightsの値に設定する。いずれでもない場合は、変数num_l1_weightsを変数NumRefIdxActive[1]の値に設定する。pps_weighted_bipred_flagが1でないとは、Bスライスに重み予測が適用されないことを意味する。pps_wp_info_in_ph_flagは重み予測情報pred_weight_table
がピクチャヘッダに存在するか否かを示すフラグである。num_ref_entriesは参照ピクチ
ャリスト1の参照ピクチャ数を示すパラメータである。
【0166】
if(!pps_weighted_bipred_flag ||
(pps_wp_info_in_ph_flag && num_ref_entries[1][RplsIdx[1]] == 0))
NumWeightsL1 = 0
else if(pps_wp_info_in_ph_flag)
NumWeightsL1 = num_l1_weights
else
NumWeightsL1 = NumRefIdxActive[1]
尚、luma_weight_l1_flag[i]、chroma_weight_l1_flag[i]、delta_luma_weight_l1[i]
、luma_offset_l1[i]、delta_chroma_weight_l1[i][j]、およびdelta_chroma_offset_l1[i][j]を、それぞれ、luma_weight_l0_flag[i]、chroma_weight_l0_flag[i]、delta_luma_weight_l0[i]、luma_offset_l0[i]、delta_chroma_weight_l0[i][j]およびdelta_chroma_offset_l0[i][j]に置き換えて解釈し、l0、L0、list0およびList0を、それぞれ、l1、l1
、list1およびList1に置き換えて解釈する。
【0167】
非特許文献1において、変数NumRefIdxActive[0]の値に関して、以下のような制限があ
る。
【0168】
次の条件のいずれかが真の場合、NumRefIdxActive[0]の値はNumWeightsL0の値以下でなければならない。
・pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_pred_flagが1で、sh_slice_type はPの場合。
・pps_wp_info_in_ph_flag の値は1で、pps_weighted_bipred_flagは1で、sh_slice_type
はBの場合。
【0169】
また、変数NumRefIdxActive[1]の値については、pps_wp_info_in_ph_flagが1で、pps_weighted_bipred_flagが1で、sh_slice_typeがBの場合、NumRefIdxActive[1]の値はNumWeightsL1の値以下でなければならない。
【0170】
非特許文献1において、次の条件のいずれかが真の場合、0からNumRefIdxActive[0]-1までの範囲内のiの各値について、luma_weight_l0_flag[i]とchroma_weight_l0_flag[i]の
値は両方とも0に等しいと推測される。
・pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_pred_flagが0で、sh_slice_typeはPの場合。
・pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_bipred_flagは0で、sh_slice_type
はBの場合。
【0171】
非特許文献1では、以上のように重み予測において明示的に重みの数をシンタクスで指
定できるような仕様となっている。しかしながら、重みの数として0を指定できるにもか
かわらず、0を指定してしまうと、符号化、復号ができないという課題がある。
【0172】
具体的に説明すると、まず、参照リスト0に対しては、シンタクス要素num_l0_weights
の値は、0以上、Min(15,num_ref_entries[0][RplsIdx[0]])以下の範囲である。従って、
値0をとることは可能である。次に、pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合、つまり、シンタクス要素num_l0_weightsが符号化、復号される場合は、変数NumWeightsL0の値は、num_l0_weightsに等しく設定される。
【0173】
pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_pred_flagが1で、sh_slice_typeはPの場合、または、pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_bipred_flagは1で、sh_slice_typeはBの場合は、変数NumRefIdxActive[0]の値はNumWeightsL0の値以下でなければならないという条件がある。
【0174】
pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_pred_flagが1で、sh_slice_typeはPの場合、または、pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_bipred_flagは1で、sh_slice_typeはBの場合、シンタクス要素num_l0_weightsが符号化、復号される。そして、num_l0_weightsの値が0の場合、変数NumWeightsL0の値は0となり、変数NumRefIdxActive[0]の値も0にしなければならない。
【0175】
しかし、Pスライスの場合、NumRefIdxActive[0]の値は0より大きくなければならない。Bスライスの場合、NumRefIdxActive[0]とNumRefIdxActive[1]の両方が0より大きくなければならない。つまり、NumRefIdxActive[0]の値が0であると、参照リスト0の参照ピクチャが存在しないので符号化、復号ができない。そのため、num_l0_weightsを明示的に0に指
定すると、常に変数NumWeightsL0は0となり、NumRefIdxActive[0]も0となり、符号化、復号ができないことがわかる。
【0176】
そこで、本実施の形態では、第1の解決策として、シンタクス要素num_l0_weightsの値
の範囲を変更して、シンタクス要素num_l0_weightsの値を、1以上、Min(15,num_ref_entries[0][RplsIdx[0]])以下の範囲とする。
【0177】
別の実施の形態では、第2の解決策として、変数NumWeightsL0の設定方法を変更する。pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合、変数NumWeightsL0は、Max(1,num_l0_weights)
に等しく設定される。それ以外の場合(pps_wp_info_in_ph_flagが0に等しい)、変数NumWeightsL0はNumRefIdxActive[0]に設定されるとする。
【0178】
また、別の実施の形態では、第3の解決策として、変数NumRefIdxActive[0]の値がNumWeightsL0の値以下でならないという条件を以下のように変更する。
【0179】
次の条件のいずれかが真の場合、NumRefIdxActive[0]の値はMax(1,NumWeightsL0)の値
以下でなければならない。
・pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_pred_flagが1で、sh_slice_typeはPの場合、
・pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_bipred_flagは1で、sh_slice_type
はBの場合。
【0180】
参照リスト1に対しても同様な課題が存在する。シンタクス要素num_l1_weightsの値は
、0以上、Min(15,num_ref_entries[1][RplsIdx[1]])以下の範囲である。従って、値0をとることは可能である。次に、pps_weighted_bipred_flagが1でない、または、pps_wp_info_in_ph_flagが1でnum_ref_entries[1][RplsIdx[1]]が0の場合、変数NumWeightsL1は0に設定される。つまり、Bスライスで双方向予測の重み予測ではない、または、重み予測情報pred_weight_tableがピクチャヘッダに存在するが、参照リスト1の参照ピクチャ数が0の場合(Pスライスの場合)、変数NumWeightsL1は0に設定される。尚、この条件の時は、シンタクス要素num_l1_weightsは符号化、復号されない。前記の条件でない場合で、pps_wp_info_in_ph_flagが1に等しい場合、変数NumWeightsL1の値はnum_l1_weightsに等しく設定
される。つまり、シンタクス要素num_l1_weightsが符号化、復号される場合は、変数NumWeightsL1の値はnum_l1_weightsに等しく設定される。前記のいずれの条件でもない場合は、変数NumWeightsL1は変数NumRefIdxActive[1]の値に設定される。
【0181】
pps_wp_info_in_ph_flagが1で、pps_weighted_bipred_flagが1で、sh_slice_typeがBの場合、変数NumRefIdxActive[1]の値はNumWeightsL1の値以下でなければならないという条件がある。
【0182】
pps_wp_info_in_ph_flagの値は1で、pps_weighted_bipred_flagが1で、sh_slice_type
がBの場合、シンタクス要素num_l1_weightsは符号化、復号される。従って、num_l1_weightsの値が0の場合、変数NumWeightsL1の値は0となり、変数NumRefIdxActive[1]の値も0にしなければならない。
【0183】
しかし、Bスライスの場合、NumRefIdxActive[0]とNumRefIdxActive[1]の両方が0より大きくなければならない。つまり、NumRefIdxActive[1]の値が0であると、参照リスト1の参照ピクチャが存在しないので符号化、復号ができない。そのため、num_l1_weightsを明示的に0に指定すると、常に変数NumWeightsL1は0となり、NumRefIdxActive[1]も0となり、
符号化、復号ができないことがわかる。
【0184】
そこで、本実施の形態では、第4の解決策として、シンタクス要素num_l1_weightsの値
の範囲を変更して、シンタクス要素num_l1_weightsの値を、1以上、Min(15,num_ref_entries[1][RplsIdx[1]])以下の範囲とする。
【0185】
別の実施の形態では、第5の解決策として、変数NumWeightsL1の設定方法を以下の擬似
コードのように変更する。
【0186】
if(!pps_weighted_bipred_flag ||
(pps_wp_info_in_ph_flag && num_ref_entries[1][RplsIdx[1]] == 0))
NumWeightsL1 = 0
else if(pps_wp_info_in_ph_flag)
NumWeightsL1 = Max(1, num_l1_weights)
else
NumWeightsL1 = NumRefIdxActive[1]
シンタクス要素num_l1_weightsが符号化、復号された場合には、変数NumWeightsL1は、Max(1,num_l1_weights)に等しく設定される。
【0187】
また、別の実施の形態では、第6の解決策として、変数NumRefIdxActive[1]の値がNumWeightsL1の値以下でならないという条件を以下のように変更する。
【0188】
変数NumRefIdxActive[1]の値については、pps_wp_info_in_ph_flagが1で、pps_weighted_bipred_flagが1で、sh_slice_typeがBの場合、NumRefIdxActive[1]の値はMax(1, NumWeightsL1)の値以下でなければならない。
【0189】
このような構成にすることで、重み予測において、重みの数として0を指定できるにも
かかわらず、0を指定してしまうと、符号化、復号ができないというという課題が解決で
きる。
【0190】
〔応用例〕
上述した動画像符号化装置11及び動画像復号装置31は、動画像の送信、受信、記録、再生を行う各種装置に搭載して利用することができる。なお、動画像は、カメラ等により撮像された自然動画像であってもよいし、コンピュータ等により生成された人工動画像(CGおよびGUIを含む)であってもよい。
【0191】
(ハードウェア的実現およびソフトウェア的実現)
また、上述した動画像復号装置31および動画像符号化装置11の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU
(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0192】
本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明の実施形態は、画像データが符号化された符号化データを復号する動画像復号装置、および、画像データが符号化された符号化データを生成する動画像符号化装置に好適に適用することができる。また、動画像符号化装置によって生成され、動画像復号装置によって参照される符号化データのデータ構造に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0194】
31 画像復号装置
301 エントロピー復号部
302 パラメータ復号部
303 インター予測パラメータ導出部
304 イントラ予測パラメータ導出部
305、107 ループフィルタ
306、109 参照ピクチャメモリ
307、108 予測パラメータメモリ
308、101 予測画像生成部
309 インター予測画像生成部
310 イントラ予測画像生成部
311、105 逆量子化・逆変換部
312、106 加算部
320 予測パラメータ導出部
3091 動き補償部
3092 合成部
30921 IntraInter合成部
30922 GPM合成部
30923 BDOF部
30924 重み予測部
11 画像符号化装置
102 減算部
103 変換・量子化部
104 エントロピー符号化部
110 符号化パラメータ決定部
111 パラメータ符号化部
112 インター予測パラメータ符号化部
113 イントラ予測パラメータ符号化部
120 予測パラメータ導出部