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特開2024-151457接続方法、接続部材、配線部材および衣類
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151457
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】接続方法、接続部材、配線部材および衣類
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/2406 20180101AFI20241018BHJP
   H01R 9/03 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01R4/2406
H01R9/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064787
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
【テーマコード(参考)】
5E012
5E077
【Fターム(参考)】
5E012AA22
5E012AA37
5E012AA43
5E077BB05
5E077CC16
5E077DD11
5E077EE12
5E077FF08
5E077GG10
5E077GG12
5E077JJ20
(57)【要約】
【課題】複数の配線導体に対して複数の接続導体を容易に電気的に接続することができる接続方法および接続部材を提供する。
【解決手段】配線の中間部を第1インシュレータ12の一対の外側面に沿うように屈曲し、屈曲された配線の中間部および第1インシュレータ12の一部が第2インシュレータ13の貫通孔を貫通して突出するように第2インシュレータ13を第1インシュレータ12に嵌合することにより、配線の中間部は、第2インシュレータ13の貫通孔13Bの一対の内側面13C上に露出している一対の接続導体34に接触し、第2インシュレータ13の貫通孔13Bから突出する配線の中間部および第1インシュレータ12の一部を切除することにより、配線は、2分割されて一対の配線導体21を形成し、一対の配線導体21が一対の接続導体34に電気的に接続される。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装対象物の表面に沿って配置された一対の配線導体を一対の接続導体に電気的に接続する接続方法であって、
前記実装対象物の前記表面に沿って配線を配置し、
前記実装対象物の前記表面に沿って互いに反対方向を向いた一対の外側面を有する第1インシュレータを前記実装対象物の前記表面と前記配線の中間部との間に配置し、
前記配線の前記中間部を前記第1インシュレータの前記一対の外側面に沿うように屈曲し、
屈曲された前記配線の前記中間部および前記第1インシュレータの一部が第2インシュレータの貫通孔を貫通して突出するように前記第2インシュレータを前記第1インシュレータに嵌合することにより、前記配線の前記中間部は、前記第1インシュレータの前記一対の外側面と前記第2インシュレータの前記貫通孔の一対の内側面上に露出している前記一対の接続導体との間に挟まれて前記一対の接続導体に接触し、
前記第2インシュレータの前記貫通孔から突出する前記配線の前記中間部および前記第1インシュレータの一部を切除することにより、前記配線は、2分割されて前記一対の配線導体を形成し、前記一対の配線導体が前記一対の接続導体に電気的に接続される接続方法。
【請求項2】
実装対象物に実装され且つ前記実装対象物の表面に沿って配置された一対の配線導体を一対の接続導体に電気的に接続する接続部材であって、
前記実装対象物の前記表面上に配置され且つ前記実装対象物の前記表面に沿って互いに反対方向を向いた一対の外側面を有する第1インシュレータと、
前記第1インシュレータの少なくとも一部が貫通する貫通孔を有する第2インシュレータと、
前記第2インシュレータに保持された前記一対の接続導体と
を備え、
前記第2インシュレータの前記貫通孔は、前記第1インシュレータの前記一対の外側面に対向する一対の内側面を有し、
前記一対の接続導体は、前記貫通孔の前記一対の内側面上に露出し、
前記一対の配線導体は、前記第1インシュレータの前記一対の外側面に沿うように屈曲され且つ前記第1インシュレータの前記一対の外側面と前記第2インシュレータの前記貫通孔の前記一対の内側面上に露出している前記一対の接続導体との間に挟まれることにより前記一対の接続導体に電気的に接続され、
前記第1インシュレータの前記一対の外側面に沿うように屈曲された前記一対の配線導体の先端面と前記第2インシュレータの前記貫通孔を貫通した前記第1インシュレータの先端面は、前記第1インシュレータの前記一対の外側面に沿った方向において、互いに同一の高さ、または、互いに近接する高さに位置している接続部材。
【請求項3】
前記一対の接続導体は、前記実装対象物の表面に沿って延びるフレキシブル基板の表面上に露出する一対のフレキシブル導体からなり、
前記フレキシブル基板の一部が前記貫通孔の前記一対の内側面に沿うように屈曲され、屈曲された前記フレキシブル基板の前記一対のフレキシブル導体が前記第1インシュレータの両側において前記一対の配線導体に電気的に接続される請求項2に記載の接続部材。
【請求項4】
前記一対の接続導体は、それぞれ金属部品により形成された一対のコンタクトからなり、
前記一対のコンタクトの一部が前記貫通孔の前記一対の内側面に沿うように配置され、前記一対のコンタクトが前記第1インシュレータの両側において前記一対の配線導体に電気的に接続される請求項2に記載の接続部材。
【請求項5】
表面上に一対のフレキシブル導体が露出するフレキシブル基板を備え、
前記一対のコンタクトは、前記フレキシブル基板の前記一対のフレキシブル導体にハンダ付けされている請求項4に記載の接続部材。
【請求項6】
前記第1インシュレータは、前記一対の外側面に形成され且つ前記一対の配線導体が収容される一対の配線導体収容溝を有する請求項2に記載の接続部材。
【請求項7】
前記一対の配線導体は、前記第1インシュレータの両側において互いに同一直線上に延びている請求項2に記載の接続部材。
【請求項8】
前記第2インシュレータに保持され且つ前記貫通孔の前記一対の内側面上に露出する複数対の前記接続導体を備え、
複数対の前記配線導体が、前記第1インシュレータの前記一対の外側面に沿うように屈曲され且つ前記第1インシュレータの前記一対の外側面と前記第2インシュレータの前記貫通孔の前記一対の内側面上に露出している前記複数対の前記接続導体との間に挟まれることにより前記複数対の前記接続導体に電気的に接続される請求項2に記載の接続部材。
【請求項9】
実装対象物に実装される配線部材であって、
少なくとも一対の配線導体と、
請求項2~8のいずれか一項に記載の接続部材と
を備える配線部材。
【請求項10】
前記少なくとも一対の配線導体は、導電繊維を用いた配線、または、電線からなる請求項9に記載の配線部材。
【請求項11】
請求項9に記載の前記配線部材が実装された前記実装対象物としての衣服。
【請求項12】
少なくとも一対の電極が配置され、
前記少なくとも一対の配線導体は、前記少なくとも一対の電極に接続される請求項11に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接続方法および接続部材に係り、特に、実装対象物の表面に沿って配置された配線導体を接続導体に電気的に接続する接続方法および接続部材に関する。
また、この発明は、配線導体と接続部材を備える配線部材、および、配線部材が実装された衣服にも関している。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル導体に接続されるコネクタとして、例えば、特許文献1には、図35に示されるようなコネクタ1が開示されている。コネクタ1は、フレキシブルなフラットケーブル2に装着されるもので、突き刺し片3を有する金属板からなる接続導体4と、受け溝5が形成された金属製の受け溝プレート6を備えている。
【0003】
突き刺し片3が受け溝5の一端に沿って挿入されるように接続導体4と受け溝プレート6とを位置合わせした状態で、接続導体4の突き刺し片3をフラットケーブル2に突き刺すと、フラットケーブル2内の配線導体7が突き刺し片3により剪断され、突き刺し片3の挿入に伴って、配線導体7の剪断された部分が、受け溝5の他端と突き刺し片3との間に形成された隙間に巻き込まれて延伸切断部7Aとなり、突き刺し片3に接触する。これにより、接続導体4と配線導体7が電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-122901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図35に示されるように、フラットケーブル2への突き刺し片3の突き刺しにより、配線導体7が剪断されて突き刺し片3の両側に位置する2つの導体部分に分割される。しかしながら、分割された2つの導体部分のうち、延伸切断部7Aを有する一方の導体部分のみが接続導体4と電気的に接続されて電気回路を形成し、延伸切断部7Aを有しない他方の導体部分は電気回路に寄与することなく無用の存在となってしまう。
このため、複数の配線導体7に複数の接続導体4を接続する場合に、1つの配線導体7に対して1つの接続導体4を配置しなければならず、複数系統の電気回路の形成に手間がかかるという問題がある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、複数の配線導体に対して複数の接続導体を容易に電気的に接続することができる接続方法および接続部材を提供することを目的とする。
また、この発明は、配線導体と接続部材を備える配線部材、および、配線部材が実装された衣服を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る接続方法は、
実装対象物の表面に沿って配置された一対の配線導体を一対の接続導体に電気的に接続する接続方法であって、
実装対象物の表面に沿って配線を配置し、
実装対象物の表面に沿って互いに反対方向を向いた一対の外側面を有する第1インシュレータを実装対象物の表面と配線の中間部との間に配置し、
配線の中間部を第1インシュレータの一対の外側面に沿うように屈曲し、
屈曲された配線の中間部および第1インシュレータの一部が第2インシュレータの貫通孔を貫通して突出するように第2インシュレータを第1インシュレータに嵌合することにより、配線の中間部は、第1インシュレータの一対の外側面と第2インシュレータの貫通孔の一対の内側面上に露出している一対の接続導体との間に挟まれて一対の接続導体に接触し、
第2インシュレータの貫通孔から突出する配線の中間部および第1インシュレータの一部を切除することにより、配線は、2分割されて一対の配線導体を形成し、一対の配線導体が一対の接続導体に電気的に接続される方法である。
【0008】
この発明に係る接続部材は、
実装対象物に実装され且つ実装対象物の表面に沿って配置された一対の配線導体を一対の接続導体に電気的に接続する接続部材であって、
実装対象物の表面上に配置され且つ実装対象物の表面に沿って互いに反対方向を向いた一対の外側面を有する第1インシュレータと、
第1インシュレータの少なくとも一部が貫通する貫通孔を有する第2インシュレータと、
第2インシュレータに保持された一対の接続導体と
を備え、
第2インシュレータの貫通孔は、第1インシュレータの一対の外側面に対向する一対の内側面を有し、
一対の接続導体は、貫通孔の一対の内側面上に露出し、
一対の配線導体は、第1インシュレータの一対の外側面に沿うように屈曲され且つ第1インシュレータの一対の外側面と第2インシュレータの貫通孔の一対の内側面上に露出している一対の接続導体との間に挟まれることにより一対の接続導体に電気的に接続され、
第1インシュレータの一対の外側面に沿うように屈曲された一対の配線導体の先端面と第2インシュレータの貫通孔を貫通した第1インシュレータの先端面は、第1インシュレータの一対の外側面に沿った方向において、互いに同一の高さ、または、互いに近接する高さに位置しているものである。
【0009】
一対の接続導体は、実装対象物の表面に沿って延びるフレキシブル基板の表面上に露出する一対のフレキシブル導体からなり、フレキシブル基板の一部が貫通孔の一対の内側面に沿うように屈曲され、屈曲されたフレキシブル基板の一対のフレキシブル導体が第1インシュレータの両側において一対の配線導体に電気的に接続されるように構成することができる。
【0010】
あるいは、一対の接続導体は、それぞれ金属部品により形成された一対のコンタクトからなり、一対のコンタクトの一部が貫通孔の一対の内側面に沿うように配置され、一対のコンタクトが第1インシュレータの両側において一対の配線導体に電気的に接続されるように構成することもできる。
この場合、表面上に一対のフレキシブル導体が露出するフレキシブル基板を備え、一対のコンタクトは、フレキシブル基板の一対のフレキシブル導体にハンダ付けされていることが好ましい。
【0011】
第1インシュレータは、一対の外側面に形成され且つ一対の配線導体が収容される一対の配線導体収容溝を有することが好ましい。
また、一対の配線導体は、第1インシュレータの両側において互いに同一直線上に延びていることが好ましい。
さらに、第2インシュレータに保持され且つ貫通孔の一対の内側面上に露出する複数対の接続導体を備え、複数対の配線導体が、第1インシュレータの一対の外側面に沿うように屈曲され且つ第1インシュレータの一対の外側面と第2インシュレータの貫通孔の一対の内側面上に露出している複数対の接続導体との間に挟まれることにより複数対の接続導体に電気的に接続されるように構成してもよい。
【0012】
この発明に係る配線部材は、
実装対象物に実装される配線部材であって、
少なくとも一対の配線導体と、
上記の接続部材と
を備えるものである。
【0013】
少なくとも一対の配線導体は、導電繊維を用いた配線、または、電線から形成することができる。
【0014】
この発明に係る衣服は、
上記の配線部材が実装された実装対象物となるものである。
【0015】
少なくとも一対の電極が配置され、
少なくとも一対の配線導体は、少なくとも一対の電極に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、一対の外側面を有する第1インシュレータを実装対象物の表面と配線の中間部との間に配置し、配線の中間部を第1インシュレータの一対の外側面に沿うように屈曲し、屈曲された配線の中間部および第1インシュレータの一部が第2インシュレータの貫通孔を貫通して突出するように第2インシュレータを第1インシュレータに嵌合することにより、配線の中間部は、第1インシュレータの一対の外側面と第2インシュレータの貫通孔の一対の内側面との間に挟まれて貫通孔の一対の内側面上に露出している一対の接続導体に接触し、第2インシュレータの貫通孔から突出する配線の中間部および第1インシュレータの一部を切除することにより、配線は、2分割されて一対の配線導体を形成し、一対の配線導体が一対の接続導体に電気的に接続されるので、複数の配線導体に対して複数の接続導体を容易に電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態1に係る接続部材を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る接続部材の組立図である。
図3】実施の形態1の接続部材に用いられる第1インシュレータを示す斜視図である。
図4】実施の形態1の接続部材に用いられる第2インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
図5】実施の形態1の接続部材に用いられる第2インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
図6】実施の形態1の接続部材に用いられるフレキシブル基板を斜め上方から見た斜視図である。
図7】実施の形態1の接続部材に用いられるフレキシブル基板を斜め下方から見た斜視図である。
図8】実施の形態1の接続部材におけるフレキシブル基板の一対の折り込み部が第2インシュレータの貫通孔に折り込まれた状態を斜め上方から見た斜視図である。
図9】実施の形態1の接続部材におけるフレキシブル基板の一対の折り込み部が第2インシュレータの貫通孔に折り込まれた状態を斜め下方から見た斜視図である。
図10】実施の形態1において用いられる衣服を示す斜視図である。
図11】実施の形態1において複数の配線が取り付けられた衣服を示す斜視図である。
図12】実施の形態1において衣服の表面と複数の配線の中間部との間に配置された第1インシュレータを示す斜視図である。
図13】実施の形態1において衣服の表面と複数の配線の中間部との間に配置された第1インシュレータを示す断面図である。
図14】実施の形態1において第1インシュレータに第2インシュレータが嵌合した状態を示す斜視図である。
図15】実施の形態1において第1インシュレータに第2インシュレータが嵌合した状態を示す断面図である。
図16】実施の形態1の接続部材を示す断面図である。
図17】実施の形態1の接続部材を示す平面図である。
図18】実施の形態1の接続部材が実装された衣服を示す斜視図である。
図19】実施の形態1の接続部材に複数の配線導体が接続された配線部材を示す斜視図である。
図20】実施の形態2に係る接続部材の組立図である。
図21】実施の形態2の接続部材に用いられる第2インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
図22】実施の形態2の接続部材に用いられる第2インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
図23】実施の形態2の接続部材に用いられるコンタクトを示す斜視図である。
図24】実施の形態2の接続部材に用いられるフレキシブル基板を斜め上方から見た斜視図である。
図25】実施の形態2の接続部材に用いられるフレキシブル基板を斜め下方から見た斜視図である。
図26】実施の形態2の接続部材における第2インシュレータにコンタクトおよびフレキシブル基板が取り付けられた状態を斜め上方から見た斜視図である。
図27】実施の形態2の接続部材における第2インシュレータにコンタクトおよびフレキシブル基板が取り付けられた状態を斜め下方から見た斜視図である。
図28】実施の形態2において第1インシュレータに第2インシュレータが嵌合した状態を示す断面図である。
図29】実施の形態2の接続部材を示す断面図である。
図30】実施の形態3に係る接続部材の組立図である。
図31】実施の形態3の接続部材に用いられる配線を示す部分拡大斜視図である。
図32】実施の形態3の接続部材に用いられる第1インシュレータを示す斜視図である。
図33】実施の形態3において第1インシュレータに第2インシュレータが嵌合した状態を示す断面図である。
図34】実施の形態3の接続部材を示す断面図である。
図35】フラットケーブルに実装された従来のコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係る接続部材11を示す。接続部材11は、衣服等からなる実装対象物に実装され、実装対象物の表面に沿って配置された複数対の配線導体21を複数対の接続導体に電気的に接続するものである。
【0019】
接続部材11は、第1インシュレータ12と、第1インシュレータ12に嵌合する第2インシュレータ13と、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13に保持されたフレキシブル基板31を備えている。第2インシュレータ13は、フレキシブル基板31の上に配置された状態で、第1インシュレータ12に嵌合している。
フレキシブル基板31は、複数対の接続導体を有しており、第1インシュレータ12と第2インシュレータ13の間において、複数対の配線導体21がフレキシブル基板31の複数対の接続導体に電気的に接続されている。
【0020】
ここで、便宜上、フレキシブル基板31がXY面に沿って延び、複数対の配線導体21がそれぞれ接続部材11に向かって延びる方向をX方向、XY面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶものとする。第2インシュレータ13は、フレキシブル基板31の+Z方向側の表面上に配置されている。
なお、図1には、複数対の配線導体21として、3対の配線導体21が示されており、3対の配線導体21がフレキシブル基板31の3対の接続導体に接続されている。
【0021】
図2に接続部材11の組立図を示す。第1インシュレータ12の+Z方向側に3本の配線W1が配置されている。3本の配線W1は、互いにY方向に所定の間隔を隔てて配列され、それぞれ、X方向に沿って延びている。配線W1としては、例えば、導電糸を織り込む、または、編み込むことにより形成される繊維配線を用いることができる。
3本の配線W1の+Z方向側にフレキシブル基板31が配置され、さらに、フレキシブル基板31の+Z方向側に第2インシュレータ13が配置されている。
【0022】
図3に示されるように、第1インシュレータ12は、例えば、絶縁性樹脂により形成されており、YZ面に沿って+Z方向に延びる平板状の本体部12Aを有している。本体部12Aは、+X方向および-X方向を向いた一対の外側面12Bを有しており、これら一対の外側面12Bに、互いにY方向に所定の間隔を隔てて配列され且つそれぞれZ方向に沿って延びる3つの配線導体収容溝12Cが形成されている。配線導体収容溝12Cは、接続部材11を組み立てる際に、配線W1を収容するもので、配線W1の幅に対応する溝幅と配線W1の厚さ寸法よりも小さい溝深さを有している。
また、本体部12Aは、X方向の厚さD1を有している。
さらに、本体部12AのY方向における両端面の-Z方向端部に、それぞれY方向に突出する突起12Dが形成されている。
【0023】
図4に示されるように、第2インシュレータ13は、例えば、絶縁性樹脂により形成されており、XY面に沿って延びる平板状の本体部13Aを有している。本体部13Aには、本体部13AをZ方向に貫通し且つY方向に延びる貫通孔13Bが形成されている。貫通孔13Bは、互いにX方向に対向し且つそれぞれYZ面に沿って延びる一対の内側面13Cを有し、X方向の幅D2を有している。貫通孔13BのX方向の幅D2は、第1インシュレータ12の本体部12AのX方向の厚さD1よりもわずかに大きい寸法を有し、本体部12Aの+Z方向部分が貫通孔13BをZ方向に貫通し得るように構成されている。
また、図5に示されるように、本体部13Aには、貫通孔13BのY方向における両端部に、それぞれ、-Z方向を向いた段差部13Dが形成されている。
【0024】
図6に示されるように、フレキシブル基板31は、シート状のフレキシブルな絶縁基材32を有しており、絶縁基材32に、Y方向に長く延びるH形状の開口部32Aが形成されている。開口部32Aは、絶縁基材32をZ方向に貫通する切れ込みからなり、第2インシュレータ13の貫通孔13Bに対応する大きさを有している。開口部32Aの存在により、互いにX方向に対向し且つそれぞれY方向に延びる一対の折り込み部32Bが形成されている。一対の折り込み部32Bは、接続部材11の組み立て時に第2インシュレータ13の貫通孔13Bに折り込まれるものである。
【0025】
図7に示されるように、-Z方向を向いた絶縁基材32の裏面には、それぞれX方向に延びる直線状のパターンを有する3対のフレキシブル導体33が形成されている。それぞれの対を形成する2つのフレキシブル導体33は、開口部32Aを間に挟んで開口部32Aの+X方向側および-X方向側に配置され、互いにX方向に延びる同一直線上に位置している。それぞれのフレキシブル導体33は、折り込み部32Bにまで延びており、一対の折り込み部32Bの-Z方向を向いた裏面上に、それぞれフレキシブル導体33からなる3対の接続導体34が配置されている。
【0026】
また、図6に示されるように、+Z方向を向いた絶縁基材32の表面にも、絶縁基材32の+X方向端部および-X方向端部の近傍に、3対のフレキシブル導体33が形成されている。絶縁基材32の表面側の3対のフレキシブル導体33は、それぞれ、絶縁基材32の内部を通って、絶縁基材32の裏面側の対応するフレキシブル導体33に電気的に接続されている。
【0027】
接続部材11の組み立て時には、フレキシブル基板31を間に挟んで、-Z方向から第1インシュレータ12の本体部12Aが第2インシュレータ13の貫通孔13Bに挿入されるが、このとき、図8および図9に示されるように、フレキシブル基板31の一対の折り込み部32Bは、第1インシュレータ12の本体部12Aにより押されて第2インシュレータ13の貫通孔13Bの一対の内側面13C上に位置することとなる。これにより、一対の折り込み部32Bの裏面上に配置されている3対の接続導体34は、第2インシュレータ13の貫通孔13Bの一対の内側面13C上に露出した状態となる。
【0028】
次に、実施の形態1に係る接続部材11を実装対象物としての衣服Cに実装することにより、3対の配線導体21を3対の接続導体34に接続する方法について説明する。
まず、図10に示されるように、6つの電極Eが表面上に配置された衣服Cを用意する。6つの電極Eは、互いに同一のY方向位置に位置する2つの電極Eを対として、3対の電極Eを形成している。
【0029】
次に、図11に示されるように、衣服Cの3対の電極Eに3本の配線W1の両端部が接続される。3本の配線W1は、3対の電極Eに対応しており、それぞれの配線W1の両端部が、対応する一対の電極Eにハンダ付け等により接続される。ここで、それぞれの配線W1の中間部は、衣服Cに固定されることなく移動可能な状態にあり、3本の配線W1の中間部は、互いに近接するように配置される。
【0030】
さらに、図12に示されるように、衣服Cに固定されていない3本の配線W1の中間部と衣服Cの表面との間に第1インシュレータ12が挿入され、3本の配線W1の中間部が、第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲され、それぞれ、本体部12Aの対応する配線導体収容溝12Cに収容される。
配線導体収容溝12Cは、配線W1の厚さ寸法よりも小さい深さを有しているので、図13に示されるように、配線導体収容溝12Cに収容された配線W1の表面は、本体部12Aの一対の外側面12BからX方向の外側に突出した状態にある。
【0031】
この状態で、第1インシュレータ12の+Z方向側にフレキシブル基板31が配置され、さらに、フレキシブル基板31の+Z方向側から第2インシュレータ13が第1インシュレータ12に向けて-Z方向に押し込まれる。
【0032】
これにより、フレキシブル基板31の一対の折り込み部32Bは、第1インシュレータ12の本体部12Aにより、図8および図9に示されるように、第2インシュレータ13の貫通孔13B内に折り込まれ、第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向側部分が、フレキシブル基板31の開口部32Aおよび第2インシュレータ13の貫通孔13Bを貫通して、図14に示されるように、第2インシュレータ13の+Z方向側に突出する。
そして、図5に示される第2インシュレータ13の段差部13Dが、図3に示される第1インシュレータ12の突起12Dに突き当たることにより、第1インシュレータ12に対する第2インシュレータ13のZ方向の位置が規制され、第2インシュレータ13は、第1インシュレータ12に嵌合される。
【0033】
このとき、図8および図9に示されるように、フレキシブル基板31の一対の折り込み部32Bの裏面上に配置されている3対の接続導体34は、第2インシュレータ13の貫通孔13Bの一対の内側面13C上に露出し、また、図13に示されるように、第1インシュレータ12の配線導体収容溝12Cに収容された配線W1の表面は、本体部12Aの一対の外側面12BからX方向の外側に突出している。
【0034】
このため、図15に示されるように、それぞれの配線W1の中間部は、第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bと第2インシュレータ13の貫通孔13Bの一対の内側面13C上に露出している一対の接続導体34との間に挟まれて、所定の接触圧により一対の接続導体34に接触し、一対の接続導体34に電気的に接続される。
【0035】
ここで、第2インシュレータ13の+Z方向側の表面の高さH1において、第1インシュレータ12の本体部12A、および、本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲されている3本の配線W1の中間部が切断される。このときの本体部12Aおよび3本の配線W1の切断は、例えば、ニッパー等の切断工具を用いて1工程で行うことができる。
このようにして、第2インシュレータ13の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向側部分と3本の配線W1の中間部が切除され、図1に示される接続部材11が組み立てられる。
【0036】
第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲され且つ第2インシュレータ13の+Z方向側に突出していた3本の配線W1の中間部が切除されることにより、3本の配線W1は、それぞれ、第1インシュレータ12の+X方向側と-X方向側とに2分割され、図16に示されるように、第1インシュレータ12の+X方向側に配置される配線導体21と、第1インシュレータ12の-X方向側に配置される配線導体21が形成される。すなわち、3対の配線導体21が形成される。
【0037】
そして、+X方向側の配線導体21が、第2インシュレータ13の貫通孔13Bの+X方向側の内側面13C上に露出している接続導体34に電気的に接続され、-X方向側の配線導体21が、第2インシュレータ13の貫通孔13Bの-X方向側の内側面13C上に露出している接続導体34に電気的に接続される。
このようにして、3本の配線W1を用いて接続部材11を組み立てることにより、3対の配線導体21に対して3対の接続導体34を容易に電気的に接続することが可能となる。
【0038】
なお、第2インシュレータ13の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ12の本体部12Aの一部と3本の配線W1の中間部が切除されるため、図1に示されるように、第1インシュレータ12の一対の外側面12Bに沿うように屈曲された一対の配線導体21の+Z方向を向いた先端面と、第2インシュレータ13の貫通孔13Bを貫通した第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向を向いた先端面は、第1インシュレータ12の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに同一の高さに位置し、互いに同一面(XY面)上に位置している。
また、切断工具の刃先形状、第1インシュレータ12と配線導体21のそれぞれの素材が有する弾性の違い等に起因して、一対の配線導体21の+Z方向を向いた先端面と第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向を向いた先端面の間にわずかな段差が生じたとしても、第1インシュレータ12の本体部12Aと配線W1を同一の切断工具により1工程で切断するため、双方の先端面は、ほぼ同一面上に位置し、第1インシュレータ12の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに近接する高さに位置することとなる。
【0039】
また、3本の配線W1の中間部が切除されることで、3対の配線導体21が形成されているので、図17に示されるように、それぞれの配線W1に対応する一対の配線導体21は、第1インシュレータ12のX方向の両側において互いに同一直線Lの上に延びている。
【0040】
実施の形態1に係る接続部材11が実装された衣服Cを図18に示す。接続部材11から引き出された3対の配線導体21は、それぞれ対応する電極Eに接続されている。
そこで、接続部材11に配置されたフレキシブル基板31を介して3対の配線導体21に図示しない計測回路または無線送信回路等の回路モジュールを接続することにより、衣服Cの電極Eを用いて取得された心拍数、体温等のユーザの生体情報を回路モジュールに伝送して、回路モジュールにおいて各種の計測を行う、または、回路モジュールから遠隔の計測装置に生体情報を無線送信することが可能となる。
【0041】
上記の実施の形態1では、図11に示されるように、それぞれの両端部が衣服Cの電極Eに接続された3本の配線W1に対して接続部材11の組み立てを行っているが、同様にして、両端部が衣服Cの電極Eに接続されていない3本の配線W1に対して、第1インシュレータ12と第2インシュレータ13とフレキシブル基板31を用いて接続部材11を組み立てることもできる。
このようにして、接続部材11に3対の配線導体21が接続された配線部材41を図19に示す。配線部材41を用いれば、図10に示されるように衣服Cの表面に配置された6つの電極Eに、配線部材41の3対の配線導体21の端部を接続するだけで、生体情報を取得することができる衣服Cを容易に作製することが可能となる。
【0042】
なお、上記の実施の形態1に係る接続部材11は、3本の配線W1を用いることにより、3対の配線導体21を3対の接続導体34に接続しているが、これに限るものではない。例えば、1本の配線W1を用いて一対の配線導体21を一対の接続導体34に接続する接続部材を構成することもでき、また、2対の配線導体21と2対の接続導体34を接続する接続部材、さらには、4対以上の配線導体21と4対以上の接続導体34を接続する接続部材を構成してもよい。
【0043】
実施の形態2
図20に、実施の形態2に係る接続部材51の組立図を示す。第1インシュレータ12の+Z方向側に3本の配線W1が配置され、3本の配線W1の+Z方向側に第2インシュレータ53が配置され、第2インシュレータ53の+Z方向側に3対のコンタクト54が配置され、3対のコンタクト54の+Z方向側にフレキシブル基板61が配置されている。
【0044】
互いにX方向に対向する2つのコンタクト54が対をなしており、3対のコンタクト54がY方向に配列されている。接続部材51においては、第1インシュレータ12に第2インシュレータ53が嵌合し、3対のコンタクト54は、第2インシュレータ53に保持され、フレキシブル基板61は、3対のコンタクト54により保持される。
3本の配線W1および第1インシュレータ12は、いずれも、実施の形態1で用いられているものと同一である。
【0045】
第2インシュレータ53は、図21に示されるように、例えば、絶縁性樹脂により形成されており、XY面に沿って延びる平板状の本体部53Aを有している。本体部53Aには、本体部53AをZ方向に貫通し且つY方向に延びる貫通孔53Bが形成されている。貫通孔53Bは、互いにX方向に対向し且つそれぞれYZ面に沿って延びる一対の内側面53Cを有している。
また、図22に示されるように、本体部53Aには、貫通孔53BのY方向における両端部に、それぞれ、-Z方向を向いた段差部53Dが形成されている。
【0046】
さらに、図21および図22に示されるように、それぞれ本体部53Aの+Z方向側の面から内側面53Cを通って本体部53Aの-Z方向側の面にまで延びる3対のコンタクト収容溝53Eが形成されている。3対のコンタクト収容溝53Eは、貫通孔53Bの+X方向側において互いにY方向に所定の間隔を隔てて配列された3つのコンタクト収容溝53Eと、貫通孔53Bの-X方向側において互いにY方向に所定の間隔を隔てて配列された3つのコンタクト収容溝53Eから構成されている。
【0047】
Y方向に配列された3対のコンタクト54のうち、-X方向側に配列された1つのコンタクト54の構成を図23に示す。コンタクト54は、金属部品により形成され且つ屈曲された帯状部材からなり、XY面に沿ってX方向に延びる接続部54Aと、接続部54Aの+X方向端部からYZ面に沿って-Z方向に延びる接触部54Bと、接触部54Bの-Z方向端部からXY面に沿って-X方向に屈曲された屈曲部54Cを有している。
なお、3対のコンタクト54のうち、+X方向側に配列されたコンタクト54は、図23に示されるコンタクト54と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0048】
それぞれのコンタクト54は、第2インシュレータ53の本体部53Aの対応するコンタクト収容溝53Eに収容された状態で第2インシュレータ53に保持され、実施の形態2の接続部材51における接続導体を構成している。
このような3対のコンタクト54が保持された第2インシュレータ53は、例えば、インサート成形法により作製することができる。
【0049】
図24および図25に示されるように、フレキシブル基板61は、シート状のフレキシブルな絶縁基材62を有しており、絶縁基材62に、Y方向に長く延びる矩形の開口部62Aが形成されている。開口部62Aは、第2インシュレータ53の貫通孔53Bに対応している。
-Z方向を向いた絶縁基材62の裏面には、それぞれX方向に直線状に延びる3対のフレキシブル導体63が形成されている。それぞれの対を形成する2つのフレキシブル導体63は、開口部62Aを間に挟んで開口部62Aの+X方向側および-X方向側に配置されており、開口部62Aに隣接する部分に矩形の接続パッド63Aを有している。
【0050】
接続部材51を組み立てる際には、3対のコンタクト54が保持された第2インシュレータ53の+Z方向側にフレキシブル基板61が配置され、フレキシブル基板61の3対のフレキシブル導体63の接続パッド63Aが、それぞれ、対応するコンタクト54の接続部54Aにハンダ付け等により接続される。
【0051】
このようにしてフレキシブル基板61が取り付けられた第2インシュレータ53を図26および図27に示す。第2インシュレータ53の貫通孔53Bの+Z方向側にフレキシブル導体63の開口部62Aが位置している。また、3対のコンタクト54が第2インシュレータ53に保持されることにより、3対のコンタクト54の接触部54Bが、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの一対の内側面53C上に露出している。
【0052】
実施の形態2に係る接続部材51を実装対象物としての衣服Cに実装する際には、まず、実施の形態1と同様にして、図12および図13に示されるように、3本の配線W1の中間部と衣服Cの表面との間に第1インシュレータ12が挿入され、3本の配線W1の中間部が、第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲され、それぞれ、本体部12Aの対応する配線導体収容溝12Cに収容される。
この状態で、第1インシュレータ12の+Z方向側から第2インシュレータ53が第1インシュレータ12に向けて-Z方向に押し込まれる。なお、図26および図27に示されるように、第2インシュレータ53にはフレキシブル基板61が取り付けられている。
【0053】
これにより、図28に示されるように、第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向側部分が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bおよびフレキシブル基板61の開口部62Aを貫通して、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出する。
そして、図22に示される第2インシュレータ53の段差部53Dが、図3に示される第1インシュレータ12の突起12Dに突き当たることにより、第1インシュレータ12に対する第2インシュレータ53のZ方向の位置が規制され、第2インシュレータ53は、第1インシュレータ12に嵌合される。
【0054】
このとき、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの一対の内側面53C上には、3対のコンタクト54の接触部54Bが露出している。このため、それぞれの配線W1の中間部は、第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bと第2インシュレータ53の貫通孔53Bの一対の内側面53C上に露出している一対のコンタクト54の接触部54Bとの間に挟まれて、所定の接触圧により一対のコンタクト54の接触部54Bに接触し、一対のコンタクト54に電気的に接続される。
【0055】
ここで、フレキシブル基板61の+Z方向側の表面の高さH2において、第1インシュレータ12の本体部12A、および、本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲されている3本の配線W1の中間部がニッパー等の切断工具を用いて1工程で切断される。
このようにして、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向側部分と3本の配線W1の中間部が切除されることにより、接続部材51が組み立てられる。
【0056】
第1インシュレータ12の本体部12Aの一対の外側面12Bに沿うように屈曲され且つフレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた3本の配線W1の中間部が切除されることにより、3本の配線W1は、それぞれ、第1インシュレータ12の+X方向側と-X方向側とに2分割され、図29に示されるように、第1インシュレータ12の+X方向側に配置される配線導体21と、第1インシュレータ12の-X方向側に配置される配線導体21が形成される。すなわち、3対の配線導体21が形成される。
【0057】
そして、+X方向側の配線導体21が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの+X方向側の内側面53C上に露出しているコンタクト54の接触部54Bに電気的に接続され、-X方向側の配線導体21が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの-X方向側の内側面53C上に露出しているコンタクト54の接触部54Bに電気的に接続される。
このようにして、3本の配線W1を用いて接続部材51を組み立てることにより、3対の配線導体21に対して3対のコンタクト54を容易に電気的に接続することが可能となる。
【0058】
なお、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向側部分と3本の配線W1の中間部が切除されるため、図29に示されるように、一対の配線導体21の+Z方向を向いた先端面と、第2インシュレータ53の貫通孔53Bおよびフレキシブル基板61の開口部62Aを貫通した第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向を向いた先端面は、第1インシュレータ12の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに同一の高さに位置し、互いに同一面(XY面)上に位置している。
また、切断工具の刃先形状、第1インシュレータ12と配線導体21のそれぞれの素材が有する弾性の違い等に起因して、一対の配線導体21の+Z方向を向いた先端面と第1インシュレータ12の本体部12Aの+Z方向を向いた先端面の間にわずかな段差が生じたとしても、第1インシュレータ12の本体部12Aと配線W1を同一の切断工具により1工程で切断するため、双方の先端面は、ほぼ同一面上に位置し、第1インシュレータ12の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに近接する高さに位置することとなる。
【0059】
実施の形態3
図30に、実施の形態3に係る接続部材71の組立図を示す。第1インシュレータ72の+Z方向側に3本の配線W2が配置され、3本の配線W2の+Z方向側に第2インシュレータ53が配置され、第2インシュレータ53の+Z方向側に3対のコンタクト54が配置され、3対のコンタクト54の+Z方向側にフレキシブル基板61が配置されている。
第2インシュレータ53、3対のコンタクト54,および、フレキシブル基板61は、いずれも、実施の形態2で用いられているものと同一である。
【0060】
実施の形態1で用いられている配線W1は、例えば、導電糸を織り込む、または、編み込むことにより形成される繊維配線からなっているが、実施の形態2においては、図31に示されるように、導体部81の外周が絶縁被覆部82により覆われた構造を有する被覆電線が配線W2として使用されている。なお、導体部81は、1本の導体により構成される、いわゆる単線、および、複数本の導体を撚り合わせて構成される、いわゆる撚り線のいずれであってもよい。
【0061】
第1インシュレータ72は、図32に示されるように、例えば、絶縁性樹脂により形成されており、YZ面に沿って+Z方向に延びる平板状の本体部72Aを有している。本体部72Aは、+X方向および-X方向を向いた一対の外側面72Bを有しており、これら一対の外側面72Bに、互いにY方向に所定の間隔を隔てて配列され且つそれぞれZ方向に沿って延びる3つの配線導体収容溝72Cが形成されている。配線導体収容溝72Cは、接続部材71を組み立てる際に、配線W2の導体部81を収容するもので、導体部81の径に対応する溝幅と、導体部81の径よりも小さい溝深さを有している。
また、本体部72AのY方向における両端面の-Z方向端部に、それぞれY方向に突出する突起72Dが形成されている。
【0062】
実施の形態3に係る接続部材71を実装対象物としての衣服Cに実装する際には、まず、図31に示されるように、それぞれの配線W2の中間部において、絶縁被覆部82が除去されることにより導体部81が露出される。
さらに、3本の配線W2の中間部において露出された導体部81と衣服Cの表面との間に第1インシュレータ72が挿入され、3本の配線W2の導体部81が、第1インシュレータ72の本体部72Aの一対の外側面72Bに沿うように屈曲され、それぞれ、本体部72Aの対応する配線導体収容溝72Cに収容される。
【0063】
また、実施の形態2と同様にして、図26および図27に示されるように、フレキシブル基板61が第2インシュレータ53に取り付けられる。
この状態で、第1インシュレータ72の+Z方向側から第2インシュレータ53が第1インシュレータ72に向けて-Z方向に押し込まれる。
【0064】
これにより、図33に示されるように、第1インシュレータ72の本体部72Aの+Z方向側部分が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bおよびフレキシブル基板61の開口部62Aを貫通して、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出する。
そして、図22に示される第2インシュレータ53の段差部53Dが、図32に示される第1インシュレータ72の突起72Dに突き当たることにより、第1インシュレータ72に対する第2インシュレータ53のZ方向の位置が規制され、第2インシュレータ53は、第1インシュレータ72に嵌合される。
【0065】
このとき、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの一対の内側面53C上には、3対のコンタクト54の接触部54Bが露出している。このため、それぞれの配線W2の中間部において露出され且つ第1インシュレータ72の本体部72Aの配線導体収容溝72Cに収容されている導体部81は、第1インシュレータ72の本体部72Aの一対の外側面72Bと第2インシュレータ53の貫通孔53Bの一対の内側面53C上に露出している一対のコンタクト54の接触部54Bとの間に挟まれて、所定の接触圧により一対のコンタクト54の接触部54Bに接触し、一対のコンタクト54に電気的に接続される。
【0066】
ここで、フレキシブル基板61の+Z方向側の表面の高さH2において、第1インシュレータ72の本体部72A、および、本体部72Aの一対の外側面72Bに沿うように屈曲されている3本の配線W2の中間部の導体部81がニッパー等の切断工具を用いて1工程で切断される。
このようにして、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ72の本体部72Aの+Z方向側部分と3本の配線W2の中間部の導体部81が切除されることにより、接続部材71が組み立てられる。
【0067】
第1インシュレータ72の本体部72Aの一対の外側面72Bに沿うように屈曲され且つフレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた3本の配線W2の中間部の導体部81が切除されることにより、3本の配線W2は、それぞれ、第1インシュレータ72の+X方向側と-X方向側とに2分割され、図34に示されるように、第1インシュレータ72の+X方向側に配置される配線導体83と、第1インシュレータ72の-X方向側に配置される配線導体83が形成される。すなわち、3対の配線導体83が形成される。
【0068】
そして、+X方向側の配線導体83が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの+X方向側の内側面53C上に露出しているコンタクト54の接触部54Bに電気的に接続され、-X方向側の配線導体83が、第2インシュレータ53の貫通孔53Bの-X方向側の内側面53C上に露出しているコンタクト54の接触部54Bに電気的に接続される。
このようにして、3本の配線W2を用いて接続部材71を組み立てることにより、3対の配線導体83に対して3対のコンタクト54を容易に電気的に接続することが可能となる。
【0069】
なお、フレキシブル基板61の+Z方向側に突出していた第1インシュレータ72の本体部72Aの+Z方向側部分と3本の配線W2の中間部が切除されるため、図34に示されるように、一対の配線導体83の+Z方向を向いた先端面と、第2インシュレータ53の貫通孔53Bおよびフレキシブル基板61の開口部62Aを貫通した第1インシュレータ72の本体部72Aの+Z方向を向いた先端面は、第1インシュレータ72の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに同一の高さに位置し、互いに同一面(XY面)上に位置している。
また、切断工具の刃先形状、第1インシュレータ72と配線導体83のそれぞれの素材が有する弾性の違い等に起因して、一対の配線導体83の+Z方向を向いた先端面と第1インシュレータ72の本体部72Aの+Z方向を向いた先端面の間にわずかな段差が生じたとしても、第1インシュレータ72の本体部72Aと配線W2を同一の切断工具により1工程で切断するため、双方の先端面は、ほぼ同一面上に位置し、第1インシュレータ72の一対の外側面に沿ったZ方向において、互いに近接する高さに位置することとなる。
【0070】
上記の実施の形態2および3では、フレキシブル基板61が第2インシュレータ53に取り付けられているが、フレキシブル基板61は、第2インシュレータ53の貫通孔53B内等に折り曲げられることがないため、フレキシブル基板61の代わりに、可撓性を有しない、いわゆるリジッド基板を第2インシュレータ53に取り付けることもできる。
【0071】
また、上記の実施の形態1~3では、接続部材11、51、71が実装対象物としての衣服Cに実装されているが、実装対象物は、衣服Cに限るものではなく、例えば、ユーザの体を預けるシート、ベッド、寝具、ユーザが携帯または身に着けるバッグ類等、ユーザの身体が、直接的または間接的に、接触、近接するものに接続部材11、51、71を実装することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 コネクタ、2 フラットケーブル、3 突き刺し片、4 金属板、5 受け溝、6 受け溝プレート、7 フレキシブル導体、7A 延伸切断部、11,51,71 接続部材、12,72 第1インシュレータ、12A,13A,53A,72A 本体部、12B,72B 外側面、12C,72C 配線導体収容溝、12D,72D 突起、13,53 第2インシュレータ、13B,53B 貫通孔、13C,53C 内側面、13D,53D 段差部、21,83 配線導体、31,61 フレキシブル基板、32,62 絶縁基材、32A,62A 開口部、32B 折り込み部、33,63 フレキシブル導体、34 接続導体、41 配線部材、53E コンタクト収容溝、54 コンタクト、54A 接続部、54B 接触部、54C 屈曲部、63A 接続パッド、81 導体部、82 絶縁被覆部、W1,W2 配線、D1 厚さ、D2 幅、C 衣服、E 電極、H1,H2 高さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35