(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151461
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両のアンテナ取付構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20241018BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01Q1/22 A
H01Q1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064802
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正良志
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA12
5J046AB11
5J046QA02
5J047AA03
5J047AA12
5J047AB11
5J047EA01
(57)【要約】
【課題】アンテナと、電波を反射する金属製の車体との間に隙間を確保することにより、直接波と反射波との干渉を抑制することができる車両のアンテナ取付構造を提供する。
【解決手段】車両10のアンテナ取付構造1は、車両10の車体11に車体11の少なくとも一部を覆うように取り付けられた樹脂製の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と、樹脂材合部材(ピラーガーニッシュ3)に固定されて一体化されているアンテナ2とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に前記車体の少なくとも一部を覆うように取り付けられた樹脂製の樹脂外装部材と、
前記樹脂外装部材に固定されて一体化されているアンテナと、を備える、
車両のアンテナ取付構造。
【請求項2】
前記車体の一部を構成する金属製の車体パネルには、前記車体パネルの外表面の少なくとも一部を覆うように前記樹脂外装部材が取り付けられ、
当該樹脂外装部材に前記アンテナが固定されて一体化されている、
請求項1に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項3】
前記樹脂外装部材の内部には、収容空間部が形成され、
前記アンテナは、前記樹脂外装部材の前記収容空間部に収容されている、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項4】
前記樹脂外装部材の前記車体と対向する内側面には、所定方向に沿って延びる収容溝部が形成され、
前記アンテナは、前記樹脂外装部材の前記収容溝部に沿って配置され、固定部材を用いて前記樹脂外装部材に対して固定されている、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項5】
前記樹脂外装部材は、外装部材本体と、前記外装部材本体の前記車体と対向する内側面に取り付けられた保持部と、を有し、
前記アンテナは、前記樹脂外装部材の前記保持部に対して固定されている、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項6】
前記樹脂外装部材は、外装部材本体と、前記外装部材本体の前記車体と対向する内側面に取り付けられたフック部と、を有し、
前記アンテナは、前記フック部によって前記樹脂外装部材に対して保持されている、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項7】
前記アンテナは、前記樹脂外装部材と一体に成形されている、請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項8】
前記樹脂外装部材に一体化された前記アンテナと、前記車体の前記樹脂外装部材と対向する外側面との間には、所定の間隔が形成されており、
前記アンテナと、前記車体の前記樹脂外装部材と対向する前記外側面との間には、電波を反射するリフレクターが配置されている、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項9】
前記樹脂外装部材が、前記車体の前部において上下方向に延在するピラーに取り付けられたピラーガーニッシュである、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【請求項10】
前記樹脂外装部材が、前記車体の後部に配置されたリアスポイラーである、
請求項1又は2に記載の車両のアンテナ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアンテナ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用のドアの一部に組み込まれるアンテナがある(特許文献1参照)。このドアは、窓ガラスを囲んでいる窓枠であって窓ガラスの側縁に沿って延びている縦板を有している窓枠と、縦板を自動車外側から覆っている樹脂製のアウターガーニッシュと、縦板とアウターガーニッシュとの間に配置されているアンテナと、を備えている。そして、アンテナは、ドア開閉ヒンジ側の縦板とアウターガーニッシュとの間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動車用ドアでは、アンテナを金属製の縦板(ドアパネル)又は窓枠に対して取り付けている。しかしながら、アンテナと、電波を反射する金属製の縦板又は窓枠との間に、ある程度の隙間を確保しないと、直接波と反射波との干渉、混線が生じ、アンテナに対する信号減衰量、ノイズが大きくなり得る。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、アンテナと、電波を反射する金属製の車体との間に隙間を確保することにより、直接波と反射波との干渉を抑制することができる車両のアンテナ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る車両のアンテナ取付構造は、車両の車体に車体の少なくとも一部を覆うように取り付けられた樹脂製の樹脂外装部材と、樹脂外装部材に固定されて一体化されているアンテナと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンテナと、電波を反射する金属製の車体との間に隙間を確保することにより、直接波と反射波との干渉を抑制することができる車両のアンテナ取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る車両のアンテナ取付構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】アンテナを一体化したピラーガーニッシュの概略的な裏面図である。
【
図4】
図3に示すピラーガーニッシュの概略的な分解斜視図である。
【
図5】Aピラーに取り付けられるピラーガーニッシュの一例を示す斜視図である。
【
図6】ピラーガーニッシュのAピラーへの取付の一例を示す斜視図である。
【
図7】ピラーガーニッシュのAピラーへの取付の一例を示す斜視図である。
【
図8】FMアンテナのピラーガーニッシュへの固定の一例を示す断面図である。
【
図9】FMアンテナのピラーガーニッシュへの固定の一例を示す断面図である。
【
図10】FMアンテナのピラーガーニッシュへの固定の一例を示す断面図である。
【
図11】FMアンテナのピラーガーニッシュへの固定の一例を示す断面図である。
【
図12】FMアンテナのピラーガーニッシュへの固定の一例を示す断面図である。
【
図13】リフレクターの配置の一例を示す断面図である。
【
図14】リフレクターの配置の一例を示す断面図である。
【
図15】他実施形態に係る車両のアンテナ取付構造の一例を示す平面図である。
【
図18】リフレクターの配置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る車両のアンテナ取付構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1から
図2に示すように、車両10のアンテナ取付構造1は、樹脂製の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と、アンテナ素子(アンテナ2)とを備える。本実施形態では、樹脂外装部材は、車体11の前部において上下方向に延在するフロントピラー(Aピラー12)に取り付けられたピラーガーニッシュ3である。
【0011】
前述のAピラー12は、車体11の前部(運転席及び助手席の付近)において上下方向に延在しており、左右一対に配置されている。Aピラー12は、車両外側に位置するアウターパネル12aと、車両内側に位置するインナーパネル12bと、アウターパネル12aとインナーパネル12bとの間に位置するリインフォースメント12cとを有している。これらのアウターパネル12a、インナーパネル12b及びリインフォースメント12cは、例えば、鋼等の金属材料により形成されている。
【0012】
Aピラー12は、アウターパネル12aとインナーパネル12bとリインフォースメント12cとが接合されて形成されている。Aピラー12の車両前方側には、フロントガラス13が設置されている。Aピラー12のガラス支持面12dとフロントガラス13の車幅方向外側部との間には接着剤14が介在され、この接着剤14によって、フロントガラス13の車幅方向外側部がAピラー12のガラス支持面12dに固定されている。そして、Aピラー12の車幅方向外側部には、ゴム製のオープニングトリム15が取り付けられている。
【0013】
ピラーガーニッシュ3は、車両10の車体11に車体11の少なくとも一部を覆うように取り付けられている。車体11の一部を構成する金属製の車体パネル(Aピラー12のアウターパネル12a)には、Aピラー12のアウターパネル12aの外表面の少なくとも一部を覆うようにピラーガーニッシュ3が取り付けられている。
【0014】
アンテナ2は、ピラーガーニッシュ3に固定されて一体化されている。本実施形態では、金属製のAピラー12と樹脂製の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)との間に配置するのではなく、ピラーガーニッシュ3にアンテナ2が固定されて一体化されている。ピラーガーニッシュ3は、樹脂カバーとも称されるものであり、外装部材本体(アウタートリム31)を有している。このアウタートリム31は、例えば、車両外側に向けて凸となるように湾曲した断面形状を有している(
図2参照)。
【0015】
金属製のAピラー12と樹脂製のピラーガーニッシュ3(アウタートリム31)との間には、所定の間隔G(
図2参照)が形成されている。アンテナ2と、電波Wを反射する金属製のAピラー12との間に、ある程度の間隔Gを確保することにより、直接波と反射波との干渉、混線を抑制し、アンテナ2に対する信号減衰量、ノイズが大きくなることを抑制するためである。
【0016】
アンテナ2を樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と一体化した利点は、アンテナ2が外部に露出されず、アンテナ2による風切り音の発生、及びアンテナ2の折れ曲がりがないことである。また、ピラーガーニッシュ3は上下方向に対して十分な長さがあり、アンテナ2の電波受信性能を確保するためにアンテナ長を長く確保しても、フロントガラス13の視認性、車両10のデザイン性に影響を与えることがない。
【0017】
その一方、Aピラー12のインナーパネル12b側には、樹脂製のインナートリム32が配置されている。このインナートリム32は、例えば、車両内側に向けて凸となるように湾曲した断面形状を有している(
図2参照)。Aピラー12とインナートリム32との間には、所定の配索空間部5が形成されている。また、この配索空間部5には、例えば、カーテンエアバッグ6、サンルーフのドレンホース7、ワイヤーハーネス及びアンテナケーブル等のケーブル類8が挿通されて配索されている。
【0018】
図3から
図4に示すように、ピラーガーニッシュ3の内側面(裏面)には、例えば、AMアンテナ21、FMアンテナ22、その他アンテナ23、車両取付用のクリップ31aが配置されている。すなわち、本実施形態では、アンテナ2は、AMアンテナ21と、FMアンテナ22と、その他アンテナ23とを含む。
【0019】
AMアンテナ21は、AMラジオ放送の電波を受信するためのアンテナである。このAMアンテナ21は、ループアンテナから構成されるアンテナ本体21aと、アンテナ本体21aに接続されたアンテナケーブル21bとを有している。
【0020】
FMアンテナ22は、FMラジオ放送の電波を受信するためのアンテナである。このFMアンテナ22は、線状アンテナから構成されるアンテナ本体22aと、アンテナ本体22aに接続されたアンテナケーブル22bとを有している。
【0021】
その他アンテナ23は、例えば、FMサブアンテナ、GPSアンテナ、TELアンテナ、ITSアンテナ、ETCアンテナ、衛星ラジオアンテナ等である。
【0022】
図5から
図7を用いて、ピラーガーニッシュ3のAピラー12への取付の一例を説明する。
【0023】
図5に示されるように、ピラーガーニッシュ3の内側面(裏面)にはアンテナ2が配置され、同軸ケーブル51(アンテナケーブル21b,22b)の先端にはコネクタ52が装着されている。また、この同軸ケーブル51の途中には、グロメット53(貫通部)が装着されている。
【0024】
コネクタ52及び同軸ケーブル51を、
図6に示されるAピラー12に形成した貫通穴12hを介して配索空間部5(
図2参照)に挿入し、さらに、グロメット53を貫通穴12hを塞ぐように取り付ける。
【0025】
そして、
図7に示されるように、ピラーガーニッシュ3をAピラー12を覆うように取り付ける。アンテナ2を配置するAピラー12(ピラーガーニッシュ3)は、左右一対のAピラー12(ピラーガーニッシュ3)のいずれであってもよい。図示例では、アンテナ2は、車幅方向左側のAピラー12(ピラーガーニッシュ3)に配置されている。
【0026】
以下、FMアンテナ22の固定方法の一例を説明する。
【0027】
図8に示すように、ピラーガーニッシュ3のアウタートリム31の内部には、収容空間部33(空洞)が形成され、この収容空間部33にFMアンテナ22が収容されていてもよい。
【0028】
図9に示すように、ピラーガーニッシュ3のアウタートリム31におけるAピラー12のアウターパネル12aと対向する内側面には、所定方向に沿って延びる収容溝部34が形成され、この収容溝部34に沿ってFMアンテナ22が配置されていてもよい。また、収容溝部34に沿って配置されたFMアンテナ22が、両面テープ又は片面テープ等の固定テープ35(固定部材)を用いてピラーガーニッシュ3のアウタートリム31に対して固定されていてもよい。
【0029】
図10に示すように、ピラーガーニッシュ3が、外装部材本体(アウタートリム31)のAピラー12(アウターパネル12a)と対向する内側面に取り付けられた保持部(セカンドトリム36)を有していてもよい。このセカンドトリム36は、例えば、車両内側に向けて凸となるように湾曲した断面形状を有する。また、FMアンテナ22が、アウタートリム31とセカンドトリム36との間に位置させて、セカンドトリム36に対して固定(保持)されていてもよい。
【0030】
図11に示すように、ピラーガーニッシュ3が、外装部材本体(アウタートリム31)のAピラー12(アウターパネル12a)と対向する内側面に取り付けられたフック部37を有していてもよい。また、FMアンテナ22が、アウタートリム31とフック部37との間に差し込まれて、フック部37によってピラーガーニッシュ3に対して保持されていてもよい。
【0031】
図12に示すように、FMアンテナ22が、ピラーガーニッシュ3と一体に成形されていてもよい。例えば、一体成型、表面実装、印刷(プリント)、インサート成形(一体成形)等によって、FMアンテナ22をピラーガーニッシュ3と一体に成形することができる。
【0032】
以下、アンテナ2の電波受信感度を向上させるための方法の一例を説明する。
【0033】
図13から
図14に示すように、アンテナ2と、Aピラー12(アウターパネル12a)のピラーガーニッシュ3と対向する外側面との間には、電波Wを反射して集約する反射板(リフレクター38)が配置されていてもよい。
【0034】
図13に示すように、リフレクター38をAピラー12のアウターパネル12aとは別体で形成してもよく、
図14に示すように、リフレクター38をAピラー12のアウターパネル12aに一体で形成してもよい。リフレクター38は、信号(電波W)を反射することができる素材から構成されており、反射した信号(電波W)がアンテナ2に向かって集約されるように凹状の湾曲面38aを有していてもよい。また、リフレクター38は、アンテナ2近傍のノイズ源(図示せず)からのノイズを反射して、アンテナ2にノイズが達することを抑制することが可能である。
【0035】
さらに、
図15から
図18に示される車両10Aのアンテナ取付構造1Aにおいて、樹脂外装部材が、車体11の後部において車幅方向に延在するリアスポイラー4であってもよい。
【0036】
リアスポイラー4は、車両10の車体11に車体11の少なくとも一部を覆うように取り付けられている。車体11の一部を構成する金属製の車体パネル(ルーフパネル16)には、ルーフパネル16の外表面の少なくとも一部を覆うようにリアスポイラー4が取り付けられている。また、ルーフパネル16の車両後方側には、リアガラス17が設置されている。
【0037】
そして、この実施形態では、リアスポイラー4は、内部空間部41を持つ中空形状に形成されており、この内部空間部41にアンテナ2が収容されている。
【0038】
アンテナ2を樹脂外装部材(リアスポイラー4)と一体化した利点は、アンテナ2が外部に露出されず、アンテナ2による風切り音の発生、及びアンテナ2の折れ曲がりがないことである。また、リアスポイラー4は車幅方向に対して十分な長さがあり、アンテナ2の電波受信性能を確保するためにアンテナ長を長く確保しても、リアガラス17の視認性、車両10のデザイン性に影響を与えることがない。
【0039】
また、
図16から
図18に示すように、アンテナ2と、ルーフパネル16のリアスポイラー4と対向する外側面との間には、電波Wを反射して集約する反射板(リフレクター42)が配置されていてもよい。
【0040】
図16及び
図17に示すように、リフレクター42をリアスポイラー4の内部空間部41に配置してもよく、
図18に示すように、リフレクター42をルーフパネル16に一体で形成してもよい。リフレクター42は、信号(電波W)を反射することができる素材から構成されており、反射した信号(電波W)がアンテナ2に向かって集約されるように凹状の湾曲面42aを有していてもよい。また、リフレクター42は、アンテナ2近傍のノイズ源(図示せず)からのノイズを反射して、アンテナ2にノイズが達することを抑制することが可能である。
【0041】
次に、車両10のアンテナ取付構造1の効果について説明する。
【0042】
このように、本実施形態の態様に係る車両10のアンテナ取付構造1は、車両10の車体11に車体11の少なくとも一部を覆うように取り付けられた樹脂製の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)を備える。車両10のアンテナ取付構造1は、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)に固定されて一体化されているアンテナ2を備える。
【0043】
本実施形態では、金属製のAピラー12と樹脂製の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)との間に配置するのではなく、ピラーガーニッシュ3にアンテナ2が固定されて一体化されている。このため、金属製のAピラー12と樹脂製のピラーガーニッシュ3との間に、直接波と反射波との干渉、混線が生じにくい所定の間隔G(
図2参照)を確保し易くなる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、アンテナ2と、電波Wを反射する金属製の車体11との間に隙間(間隔G)を確保することにより、直接波と反射波との干渉を抑制することができる車両10のアンテナ取付構造1を提供することができる。
【0045】
車両10のアンテナ取付構造1において、車体11の一部を構成する金属製の車体パネル(アウターパネル12a)には、車体パネル(アウターパネル12a)の外表面の少なくとも一部を覆うように樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)が取り付けられてもよい。樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)に、アンテナ2が固定されて一体化されていてもよい。
【0046】
アンテナ2をピラーガーニッシュ3と一体化することにより、アンテナ2が外部に露出されず、アンテナ2による風切り音の発生、及びアンテナ2の折れ曲がりを抑制することができる。また、アンテナ2の電波受信性能を確保するためにアンテナ長を長く確保しても、フロントガラス13の視認性、車両10のデザイン性に影響を与えることがない。
【0047】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)の内部には、収容空間部33が形成され、アンテナ2は、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)の収容空間部33に収容されていてもよい。
【0048】
このようにアンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して固定することにより、アンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して効率よく一体化することができる。
【0049】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)の車体11と対向する内側面には、所定方向に沿って延びる収容溝部34が形成されていてもよい。アンテナ2は、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)の収容溝部34に沿って配置され、固定部材(固定テープ35)を用いて樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)に対して固定されていてもよい。
【0050】
このようにアンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して固定することにより、アンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して効率よく一体化することができる。
【0051】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)は、外装部材本体(アウタートリム31)と、外装部材本体(アウタートリム31)の車体11と対向する内側面に取り付けられた保持部(セカンドトリム36)とを有してもよい。アンテナ2は、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)の保持部(セカンドトリム36)に対して固定されていてもよい。
【0052】
このようにアンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して固定することにより、アンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して効率よく一体化することができる。
【0053】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)は、外装部材本体(アウタートリム31)と、外装部材本体(アウタートリム31)の車体11と対向する内側面に取り付けられたフック部37とを有していてもよい。アンテナ2は、フック部37によって樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)に対して保持されていてもよい。
【0054】
このようにアンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して固定することにより、アンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して効率よく一体化することができる。
【0055】
車両10のアンテナ取付構造1において、アンテナ2は、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と一体に成形されていてもよい。
【0056】
例えば、一体成型、表面実装、印刷(プリント)、インサート成形(一体成形)等によって、アンテナ2をピラーガーニッシュ3と一体に成形することができる。このようにアンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して固定することにより、アンテナ2をピラーガーニッシュ3に対して効率よく一体化することができる。
【0057】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)に一体化されたアンテナ2と、車体11の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と対向する外側面との間には、所定の間隔Gが形成されていてもよい。アンテナ2と、車体11の樹脂外装部材(ピラーガーニッシュ3)と対向する外側面との間には、電波Wを反射するリフレクター38が配置されていてもよい。
【0058】
アンテナ2と、ピラーガーニッシュ3と対向する外側面との間にリフレクター38を配置することにより、リフレクター38によって反射した信号(電波W)がアンテナ2に向かって集約されるため、アンテナ2の電波受信感度を向上させることが可能である。また、リフレクター38は、アンテナ2近傍のノイズ源(図示せず)からのノイズを反射して、アンテナ2にノイズが達することを抑制することが可能である。
【0059】
車両10のアンテナ取付構造1において、樹脂外装部材が、車体11の前部において上下方向に延在するピラー(Aピラー12)に取り付けられたピラーガーニッシュ3であってもよい。
【0060】
アンテナ2をピラーガーニッシュ3と一体化することにより、アンテナ2が外部に露出されず、アンテナ2による風切り音の発生、及びアンテナ2の折れ曲がりを抑制することができる。また、ピラーガーニッシュ3は上下方向に対して十分な長さがあり、アンテナ2の電波受信性能を確保するためにアンテナ長を長く確保しても、フロントガラス13の視認性、車両10のデザイン性に影響を与えることを抑制することができる。
【0061】
車両10Aのアンテナ取付構造1Aにおいて、樹脂外装部材が、車体11の後部に配置されたリアスポイラー4であってもよい。
【0062】
アンテナ2をリアスポイラー4と一体化することにより、アンテナ2が外部に露出されず、アンテナ2による風切り音の発生、及びアンテナ2の折れ曲がりを抑制することができる。また、リアスポイラー4は車幅方向に対して十分な長さがあり、アンテナ2の電波受信性能を確保するためにアンテナ長を長く確保しても、リアガラス17の視認性、車両10のデザイン性に影響を与えることを抑制することができる。
【0063】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 アンテナ取付構造
2 アンテナ
3 ピラーガーニッシュ
4 リアスポイラー
10 車両
11 車体
12 Aピラー
16 ルーフパネル
21 AMアンテナ
22 FMアンテナ
23 その他アンテナ
31 アウタートリム
32 インナートリム
33 収容空間部
34 収容溝部
35 固定テープ
36 セカンドトリム
37 フック部
38 リフレクター
42 リフレクター
G 間隔
W 電波