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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151462
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】生タイヤ供給装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20241018BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B29D30/06
B65G47/14 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064804
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗澤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡内 直人
【テーマコード(参考)】
3F080
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3F080AA10
3F080BA01
3F080CG01
4F215AH20
4F215AP06
4F215AR07
4F215VA12
4F215VD01
4F215VL14
4F215VM01
4F215VP35
4F215VQ03
4F215VQ07
4F215VR01
4F215VR03
4F501TA12
4F501TC01
4F501TE22
4F501TF01
4F501TL34
4F501TQ03
4F501TQ07
4F501TR06
4F501TT01
4F501TT03
4F501TU07
4F501TV03
4F501TV12
(57)【要約】
【課題】生タイヤのストック部と加硫機との間のスペースについて、スペース効率を向上させることが可能な生タイヤ供給装置を提供する。
【解決手段】生タイヤ供給装置10は、本体フレーム21と、本体フレーム21に対して第1回転軸23を介して回転可能に支持されるメインテーブル30と、メインテーブル30に対して第2回転軸31を介して回転可能に支持されるサブテーブル40と、メインテーブル30及びサブテーブル40を回転駆動する駆動部24と、駆動部24を制御するコントローラ60と、を備え、コントローラ60が、加硫機6に対する生タイヤRの仮置き位置Aとサブテーブル40の位置とが一致するように、メインテーブル30の第1回転軸23回りの位相を調整し、かつ、サブテーブル40に載置された生タイヤRの周方向の位相が加硫機6への投入に適した所定の位相となるように、サブテーブル40の第2回転軸31回りの位相を調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫機の直前の仮置き位置に生タイヤを供給する生タイヤ供給装置であって、
本体フレームと、
前記本体フレームに対して第1回転軸を介して回転可能に支持されるメインテーブルと、
前記メインテーブルに対して第2回転軸を介して回転可能に支持されるサブテーブルと、
前記メインテーブル及び前記サブテーブルを回転駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラが、
前記仮置き位置と前記サブテーブルの位置とが一致するように、前記メインテーブルの前記第1回転軸回りの位相を調整し、かつ、
前記サブテーブルに載置された前記生タイヤの周方向の位相が前記加硫機への投入に適した所定の位相となるように、前記サブテーブルの前記第2回転軸回りの位相を調整する、生タイヤ供給装置。
【請求項2】
前記生タイヤに付された識別子を検出する検出部をさらに備え、
前記検出部が、前記仮置き位置に位置する前記サブテーブル上の前記生タイヤの前記識別子を読み取り、
前記コントローラが、
前記検出部が前記識別子から読み取った情報に基づいて、前記サブテーブルの前記第2回転軸回りの位相を調整する、請求項1に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項3】
複数の前記サブテーブルを備え、
前記駆動部が、
前記複数のサブテーブルのうちの前記仮置き位置に位置する1つの前記サブテーブルを駆動可能に構成される、請求項1又は請求項2に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項4】
3個の前記サブテーブルを備え、
前記コントローラが、前記メインテーブルを120度ずつ回動させて、前記3個のサブテーブルのうちの1つの前記サブテーブルを、前記仮置き位置に位置させる、請求項1又は請求項2に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項5】
前記サブテーブルにおいて、前記生タイヤが載置される受け部材をさらに備え、
前記受け部材が、リング状に配置された複数のセグメントで構成される、請求項1又は請求項2に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項6】
前記受け部材が、4個の前記セグメントで構成される、請求項5に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項7】
前記セグメントが、前記サブテーブルの径方向についての位置を調整可能な支持部材を介して前記サブテーブルに支持される、請求項5に記載の生タイヤ供給装置。
【請求項8】
前記セグメントが、前記サブテーブルの径方向の内側に向かって先下がりとなる傾斜部を有する、請求項5に記載の生タイヤ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生タイヤの供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造工程では、ストック部にストックされた生タイヤを加硫機に供給するための生タイヤ供給装置が用いられる。生タイヤ供給装置は、加硫機に対して生タイヤを1本ずつ供給する。従来のタイヤ供給装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-163002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生タイヤのストック部と加硫機との間のスペースについて、スペース効率を向上させることが可能な生タイヤ供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る生タイヤ供給装置は、加硫機の直前の仮置き位置に生タイヤを供給する生タイヤ供給装置であって、本体フレームと、前記本体フレームに対して第1回転軸を介して回転可能に支持されるメインテーブルと、前記メインテーブルに対して第2回転軸を介して回転可能に支持されるサブテーブルと、前記メインテーブル及び前記サブテーブルを回転駆動する駆動部と、前記駆動部を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記仮置き位置と前記サブテーブルの位置とが一致するように、前記メインテーブルの前記第1回転軸回りの位相を調整し、かつ、前記サブテーブルに載置された前記生タイヤの周方向の位相が前記加硫機への投入に適した所定の位相となるように、前記サブテーブルの前記第2回転軸回りの位相を調整する。
【0006】
上記構成の生タイヤ供給装置は、ストック部から加硫機に生タイヤを供給するとともに、生タイヤの位相を調整することができる。これにより、生タイヤのストック部と加硫機との間のスペースについて、スペース効率を向上させることができる。
【0007】
(2)本発明の前記(1)の態様の生タイヤ供給装置は、前記生タイヤに付された識別子を検出する検出部をさらに備え、前記検出部が、前記仮置き位置に位置する前記サブテーブル上の前記生タイヤの前記識別子を読み取り、前記コントローラが、前記検出部が前記識別子から読み取った情報に基づいて、前記第2回転軸回りの位相を調整すると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置は、生タイヤを加硫機へ投入する直前のタイミングで、次に加硫機へ投入される生タイヤの識別子を1つずつ検出するため、生タイヤの個体と、加硫機に対する生タイヤの投入順序とを紐づけた情報を確実に取得することができる。このため、上記構成の生タイヤ供給装置は、生タイヤの加硫機への投入タイミングを確実に把握することができる。
【0008】
(3)本発明の前記(1)又は(2)の態様の生タイヤ供給装置は、複数の前記サブテーブルを備え、前記駆動部が、前記複数のサブテーブルのうちの前記仮置き位置に位置する1つの前記サブテーブルを駆動可能に構成されると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置は、各サブテーブルについて個別に駆動部を設ける場合に比べて、駆動部の構成を簡素にすることができる。これにより、生タイヤ供給装置をよりコンパクトに構成することが可能となる。また、生タイヤ供給装置の製造コストを抑制することができる。
【0009】
(4)本発明の前記(1)~(3)の何れかの態様の生タイヤ供給装置は、3個の前記サブテーブルを備え、前記コントローラが、前記メインテーブルを120度ずつ回動させて、前記3個のサブテーブルのうちの1つの前記サブテーブルを、前記仮置き位置に位置させると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置は、メインテーブル上において、3個の生タイヤを周方向に並べて保持することができる。このため、生タイヤ供給装置は、3個の生タイヤを直線上に並べて保持した場合に比べて、ストック部と加硫機との間に確保すべき距離を短くすることができる。上記構成の生タイヤ供給装置は、生タイヤのストック部と加硫機との間のスペースについて、スペース効率を向上させることができる。
【0010】
(5)本発明の前記(1)~(4)の何れかの態様の生タイヤ供給装置は、前記サブテーブルにおいて、前記生タイヤが載置される受け部材をさらに備え、前記受け部材が、リング状に配置された複数のセグメントで構成されると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置によれば、サブテーブル上に載置した生タイヤの変形を抑制することができる。
【0011】
(6)本発明の前記(5)の態様の生タイヤ供給装置は、前記受け部材が、4個の前記セグメントで構成されると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置によれば、種々の大きさの生タイヤの供給に対応することができる。
【0012】
(7)本発明の前記(5)又は(6)の態様の生タイヤ供給装置は、前記セグメントが、前記サブテーブルの径方向についての位置を調整可能な支持部材を介して前記サブテーブルに支持されると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置によれば、種々の大きさの生タイヤの供給に対応することができる。
【0013】
(8)本発明の前記(5)~(7)の何れかの態様の生タイヤ供給装置は、前記セグメントが、前記サブテーブルの径方向の内側に向かって先下がりとなる傾斜部を有すると好ましい。
上記構成の生タイヤ供給装置によれば、サブテーブル上に載置した生タイヤの変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生タイヤのストック部と加硫機との間のスペースについて、スペース効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】加硫工程におけるタイヤの製造装置を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の平面模式図である。
図3】メインテーブルを下側から見た場合の断面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の制御ブロック図である。
図6】生タイヤ供給装置による生タイヤの搬送動作の説明図である。
図7】生タイヤ供給装置による生タイヤの位相合わせ動作の説明図である。
図8】ローダーによる生タイヤの投入動作(チャックによる把持前の状態)の説明図である。
図9】ローダーによる生タイヤの投入動作(チャックによる把持後の状態)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0017】
[本発明の基礎となった知見]
タイヤの製造では、成形機において、トレッド、サイドウォール等の部材を組み合わせて、生タイヤ(未加硫状態のタイヤ、ローカバーとも称される)が成形される。生タイヤは、加硫機に供給される。生タイヤは、加硫機のモールドに投入され、モールド内で加圧及び加熱される。これにより、タイヤ(加硫後のタイヤ)が得られる。
【0018】
タイヤの製造では、モールド及び生タイヤのそれぞれについて、周方向の基準(後で説明する基準方向X及び基準点P)が設定される。モールドに対する生タイヤの投入工程では、モールドの基準方向(基準方向X)に対して生タイヤの基準点(基準点P)が所定の位置関係を示すようにして、生タイヤがモールドに投入される。このように、生タイヤをモールドに投入する際にモールドの位相に対して生タイヤの位相をあるべき(最適な)位相に合わせることは、「位相合わせ」とも称される。位相合わせは、例えば、タイヤ品質の一つの尺度であるユニフォミティに影響する。
【0019】
従来、加硫機の手前には、生タイヤをストックしておくためのスペース(ストック部)があり、このストック部及び加硫機の間には、生タイヤを加硫機に搬送するための搬送装置と、加硫機に投入される生タイヤを位相合わせするための位相合わせ装置と、が配置される。また、従来のタイヤの搬送装置としては、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示されたタイヤの搬送装置は、タイヤの位相を調整するための装置については何ら開示していない。このため従来は、ストック部と加硫機との間に、搬送装置と位相合わせ装置という2つの装置を配置するための比較的広いスペースを確保する必要があった。そこで、ストック部と加硫機との間のスペース効率の向上を図ることができる生タイヤ供給装置の構成について、本発明者らは鋭意検討した。
【0020】
[加硫工程について]
図1は、加硫工程におけるタイヤの製造装置を示す模式図である。図1に示すように、加硫工程に配置されるタイヤTの製造装置1は、ストック台車5、生タイヤ供給装置10、加硫機6、ローダー7、識別子検出装置(検出部)8、及びタイヤ搬送装置9を含む。本発明に係る生タイヤ供給装置10(以下、単に供給装置10とも称する)は、タイヤTの製造装置1の一部を構成する。
【0021】
タイヤTの製造では、生タイヤRは、成形機(図示されず)において、トレッドやサイドウォール等の部材を組み合わせることにより得られる。この成形機において成形された生タイヤRは、ストック台車5に載せられて、加硫工程の最上流部に位置するストック部Sに搬送される。
【0022】
タイヤTの製造では、成形機において生タイヤRを成形すると、バーコード等の識別子Bが生タイヤRに付される。この識別子Bは、製造するタイヤTの種類、サイズ等の製品情報を表す。このため、生タイヤRにこの識別子Bが付されることにより、例えば、モールドに投入すべき生タイヤRとは異なる生タイヤRのモールドへの投入が防止される。また、本実施形態に示す識別子Bは、生タイヤRをモールドに投入する際の位相合わせに関する情報も表す。このため、この識別子Bが生タイヤRに付されることにより、位相合わせに関する情報を考慮して、生タイヤRをモールドに投入することができる。
【0023】
図1に示されるように、ストック台車5は複数本の生タイヤRを搬送する。搬送後、生タイヤRはストック台車5から供給装置10に載せ換えられる。本実施形態では、ストック台車5から供給装置10への生タイヤRの載せ換え作業は作業者が行う。なお、タイヤTの製造においては、生タイヤRを供給装置10に移載するための手段に、特に制限はない。ストック台車5でなくコンベア等の他の搬送手段を用いて、供給装置10に生タイヤRが搬送されてもよい。
【0024】
図1において、紙面の下側がこのタイヤTの製造における上流側であり、この紙面の上側がこのタイヤTの製造における下流側である。生タイヤRは、供給装置10によって、ストック台車5の下流側の位置から加硫機6の上流側の位置(後で説明する仮置き位置A)まで搬送される。
【0025】
供給装置10は、加硫機6の直前(上流側)の仮置き位置Aに生タイヤRを供給する。図示されていないが、加硫機6はモールドを備える。生タイヤRは、モールドに投入され、このモールド内で加圧及び加熱される。これにより、タイヤT(加硫後のタイヤ)が得られる。タイヤTは、モールドから取り出され、タイヤ搬送装置9によって次工程に搬送される。
【0026】
ローダー7は、仮置き位置Aに位置する生タイヤRを把持し、モールドに投入する。識別子検出装置8は、仮置き位置Aに位置する生タイヤRについて、この生タイヤRに付された識別子Bを検出する。
【0027】
[生タイヤ供給装置の詳細構成について]
図2は、本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の平面模式図である。図3は、メインテーブルを下側から見た場合の断面模式図である。図4は、本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の斜視図である。図2図4に示すように、供給装置10は、本体部20、メインテーブル30、サブテーブル40、及び、受け部材50を備える。
【0028】
本体部20は、供給装置10の骨格を構成する本体フレーム21を備える。本体フレーム21は、鋼製の角パイプ及び板材等を適宜組み合わせて、メインテーブル30及びサブテーブル40を支持可能な剛性を有するフレームとして構成される。本実施形態の本体フレーム21は、平面視において、略矩形の外形形状を有する。本体部20は、さらにキャスター22を備える。本実施形態の供給装置10は、矩形の4隅にそれぞれ配置された合計4個のキャスター22を備える。供給装置10は、キャスター22によって、床上を移動(走行)可能に構成される。本体部20は、さらに、ストッパー11を備える。供給装置10は、床上の所定位置に形成された孔(図示せず)にストッパー11を差し込むことによって、ストック部Sと加硫機6との間の所定位置に位置決めされる。
【0029】
本体部20は、さらに第1回転軸23を備える。第1回転軸23は、床上に配置された本体部20において、鉛直方向に延びて設けられる。第1回転軸23は、本体フレーム21に対して、図示されない軸受を介して軸回りに回転可能に支持される。第1回転軸23は、その上端にメインテーブル30が固定される。
【0030】
本体部20は、さらに駆動部24を備える。駆動部24は、第1回転軸23を駆動するための第1駆動部24aと、後で説明する第2回転軸31を駆動するための第2駆動部24bとを含む。第1駆動部24a及び第2駆動部24bは、いずれも電動モータであり、モータ軸を有する。第1駆動部24aは前記モータ軸に固定された第2ギア27を備える。
【0031】
図3に示すように、第1回転軸23の軸方向の途中には、第1ギア26が設けられる。第1ギア26は、第1駆動部24aの第2ギアに噛合する。本実施形態の供給装置10において、第1ギア26及び第2ギア27は、はすば歯車である。供給装置10は、第1駆動部24aを作動させることによって、第2ギア27及び第1ギア26を介して第1回転軸23を駆動する。メインテーブル30は、第1駆動部24aの作動によって、第1回転軸23の軸回りに回動される。
【0032】
メインテーブル30は、鋼製の板材により構成され、平面視において略三角形状の形態を有する。メインテーブル30は、本体部20の上方において、第1回転軸23によって回転可能に支持される。メインテーブル30は、その上面が床と略水平になっている。
【0033】
メインテーブル30は、三角形の各頂点の近傍においてそれぞれ第2回転軸31を備える。本実施形態の供給装置10は、3個の第2回転軸31を備える。第2回転軸31は、メインテーブル30において、鉛直方向に延びて設けられる。第2回転軸31は、メインテーブル30に対して、図示されない軸受を介して、軸回りに回転可能に支持される。第2回転軸31は、その上端にサブテーブル40が固定される。
【0034】
第2駆動部24bは前記モータ軸に固定された第4ギア28を備える。第2駆動部24bは、アクチュエータ25を介して、本体フレーム21に支持される。
【0035】
図3に示すように、第2回転軸31は、下端に第3ギア32が設けられる。第3ギア32は、第2駆動部24bの第4ギア28に噛合する。第3ギア32及び第4ギア28は、平歯車である。供給装置10は、第2駆動部24bを作動させることによって、第4ギア28及び第3ギア32を介して第2回転軸31を駆動する。サブテーブル40は、第2駆動部24bの作動によって、第2回転軸31の軸回りに回動される。
【0036】
図2及び図3に示すように、本実施形態の供給装置10は、サブテーブル40及び第2回転軸31を、3個備えている。供給装置10は、第1回転軸23の軸心を中心として、120度ずつ位相がズレた位置に配置された3個のサブテーブル40を備える。なお、以下の説明では、3個の各サブテーブル40を区別する場合、第1のサブテーブル40を第1サブテーブル40Aと称し、第2のサブテーブル40を第2サブテーブル40Bと称し、第3のサブテーブル40を第3サブテーブル40Cと称する。以下の説明では、3個のサブテーブル40のうちの1個のサブテーブル40が、仮置き位置Aに位置している状態において、略三角形状のメインテーブル30の各頂点の位置のうち、加硫機6に最も近い位置を第1位置P1と称し、メインテーブル30の回転方向において第1位置P1の1つ上流側に位置する頂点の位置を第2位置P2と称し、残りの頂点の位置を第3位置P3と称する。なお、本実施形態では、3個のサブテーブル40を備える場合を例示するが、本発明の生タイヤ供給装置におけるサブテーブルの個数は、これに限定されない。
【0037】
供給装置10は、ストック部Sと加硫機6との間のスペース効率を向上させるために、供給装置10自体のコンパクト性が要求される。一方、供給装置10は、作業者の作業負担を軽減するために、一度にできる限り多くの生タイヤRをストックできること(換言すると、できるだけ多くのサブテーブル40を備えること)が要求される。供給装置10は、サブテーブル40を3個備える構成とすることで、供給装置10自体のコンパクト性を維持しつつ、生タイヤRのストック数(3個)を確保することができる。供給装置10は、3個の生タイヤRを同心円上に並べて保持することができるため、3個の生タイヤRを直線上に並べて保持した場合に比べて、ストック部Sと加硫機6との間の距離を短くすることができる。このような構成の供給装置10では、装置自体のコンパクト性の確保と、生タイヤのストック数の確保、という背反する要求の調和が図られている。このため、本発明の供給装置10は、サブテーブル40の個数を3個とすることが最も好ましい。
【0038】
受け部材50は、サブテーブル40上に載置される生タイヤRを支持する部材であり、生タイヤRと直接接触する。受け部材50は、実質的にリング状に配置された複数のセグメント51により構成される。本実施形態の供給装置10は、4個のセグメント51によって、受け部材50を構成している。なお、本実施形態では、4個のセグメント51により受け部材50を構成した場合を例示するが、本発明の生タイヤ供給装置における受け部材50の分割数は、これに限定されない。
【0039】
セグメント51は、サブテーブル40の上面に対して、ステー(支持部材)41を介して支持される。セグメント51は、樹脂製である。本実施形態のセグメント51は、モノマーキャスティングナイロン製、又は、超高分子ポリエチレン製である。このような材料で構成されたセグメント51は、生タイヤRと接触した際の密着性が低い。このため、受け部材50に対して生タイヤRを載置し、さらに、除去する際に、セグメント51との密着に起因して生タイヤRに変形が生じることを抑制できる。
【0040】
セグメント51は、傾斜部52を備える。傾斜部52は、サブテーブル40の径方向について、セグメント51の径方向内側に位置する。傾斜部52は、サブテーブル40の径方向の内側に向かって先下がりとなる傾斜を有している。受け部材50は、各セグメント51の傾斜部52で生タイヤRを受けることによって、生タイヤRと受け部材50との接触面積が抑制される。本実施形態の供給装置10は、受け部材50によって、少ない接触面積で生タイヤRを支持することによって、受け部材50に対して生タイヤRを載置し、さらに、除去する際に、セグメント51との接触に起因して生タイヤRに変形が生じることを抑制できる。
【0041】
ステー41の下面には下方に突出する図示しない凸部が形成されている。前記凸部は、サブテーブル40の上面に形成された支持孔42に嵌まる形状を有する。ステー41は、支持孔42に前記凸部を嵌めることによって、サブテーブル40の上面に設置される。本実施形態の供給装置10において、支持孔42は、サブテーブル40の径方向の異なる位置に複数形成されている。このような構成により、ステー41は、支持孔42の選択位置を変更することによって、受け部材50が成すリング形状の径を調整することができる。本実施形態の供給装置10は、このような受け部材50を備えることにより、複数の異なるサイズの生タイヤRを、サブテーブル40上に載置することが可能となる。換言すると、本発明の供給装置10は、1つの供給装置10によって、複数サイズの生タイヤRの供給に対応することができる。
【0042】
本実施形態の供給装置10は、受け部材50を4個のセグメント51で構成する。受け部材50の分割数が少ない場合(例えば、2個の場合)、支持孔42の選択位置によっては、受け部材50全体の形状がリング状からかけ離れた形状となる場合がある。この場合、受け部材50による生タイヤRの支持状態が不安定となる。一方、受け部材50の分割数が多いと、支持孔42の選択位置を変更する際に、多数のセグメント51の位置を調整する必要が生じ、作業者の負担が大きくなる。本実施形態の供給装置10では、受け部材50による生タイヤRの支持の安定性の確保と、作業者の負担の軽減、という背反する要求の調和が図られている。このため、本発明の供給装置10は、受け部材50の分割数を4個とすることが最も好ましい。
【0043】
[コントローラについて]
図5は、本発明の一実施形態に係る生タイヤ供給装置の制御ブロック図である。図5に示すように、供給装置10はコントローラ60を備える。コントローラ60は、例えばプログラマブルシーケンサ、マイコン、パーソナルコンピュータ、その他の制御デバイスにより構成される。コントローラ60は、加硫機6、ローダー7、識別子検出装置8、第1駆動部24a、第2駆動部24b、及びアクチュエータ25に接続される。コントローラ60は、メインテーブル30(第1駆動部24a及びアクチュエータ25)、サブテーブル40(第2駆動部24b及びアクチュエータ25)、及びローダー7の動作を制御する。コントローラ60は、識別子検出装置8が検出した識別子Bが表す情報に基づいて、サブテーブル40(第2駆動部24b)の動作を制御する。コントローラ60は、メインテーブル30、サブテーブル40、及びローダー7の動作と、加硫機6の動作とを協調制御する。
【0044】
[ローダーについて]
図1に示されるように、ローダー7は供給装置10と加硫機6との間に配置される。ローダー7は、生タイヤRを掴み、この生タイヤRをモールドに投入する。ローダー7は、タイヤTの製造において生タイヤRを加硫機6のモールドに投入するために一般的に用いられるローダーが用いられる。
【0045】
[識別子検出装置について]
図1に示されるように、識別子検出装置8は、供給装置10と加硫機6との間に配置される。識別子検出装置8は、加硫機6の上流側に位置する生タイヤRの仮置き位置Aに視野を向けて配置される。識別子検出装置8、仮置き位置Aに位置する生タイヤRの識別子Bを検出する。本実施形態において、生タイヤRに付される識別子Bはバーコードであり、識別子検出装置8は、バーコードリーダーである。識別子B及び識別子検出装置8は、タイヤTの製造において一般的に用いられる識別子及び識別子検出装置が用いられる。
【0046】
[メインテーブルの動作について]
図6は、生タイヤ供給装置による生タイヤの搬送動作の説明図である。供給装置10は、メインテーブル30の第1回転軸23回りの回転によって、生タイヤRを仮置き位置Aに搬送することができる。
【0047】
本実施形態の供給装置10は、3個のサブテーブル40を備えている。図6上図に示す状態では、3個のサブテーブル40のうちの第1サブテーブル40Aが第1位置P1に位置し、第2サブテーブル40Bが第2位置P2に位置し、第3サブテーブル40Cが第3位置P3に位置している。そして、図6上図に示す状態では、第1サブテーブル40Aが仮置き位置Aに位置している。加硫工程の所定位置に供給装置10が設置された場合、供給装置10の第1位置P1は、仮置き位置Aに一致している(P1=A)。
【0048】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、3個のサブテーブル40が各位置P1~P3に配置された状態で、作業者の手によって、各サブテーブル40の受け部材50に生タイヤRが載置される。このとき、第1サブテーブル40Aに載置された生タイヤRは、仮置き位置Aに配置される。なお、供給装置10は、各サブテーブル40に生タイヤRを載置する作業を、メインテーブル30を回転させながら行ってもよい。
【0049】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、後で説明する方法によって、仮置き位置Aに配置された第1サブテーブル40A上の生タイヤRを位相合わせし、その後、位相合わせが完了した生タイヤRを、ローダー7によって加硫機6に投入する。
【0050】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、次に、図6中図に示すように、メインテーブル30を所定の方向(本実施形態では時計回りの方向)に120度だけ回動させる。これにより、回動前において第2位置P2に位置していた第2サブテーブル40Bが、仮置き位置A(第1位置P1)に位置される。図6中図に示す状態では、3個のサブテーブル40のうちの第2サブテーブル40Bが第1位置P1に位置し、第3サブテーブル40Cが第2位置P2に位置し、第1サブテーブル40Aが第3位置P3に位置している。なお、このとき第1サブテーブル40Aは、生タイヤRが載置されていない(空の)状態にある。
【0051】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、後で説明する方法によって、仮置き位置Aに配置された第2サブテーブル40B上の生タイヤRを位相合わせし、その後、位相合わせが完了した生タイヤRを、ローダー7によって加硫機6に投入する。
【0052】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、次に、図6下図に示すように、メインテーブル30を所定の方向(本実施形態では時計回りの方向)に120度だけさらに回動させる。これにより、回動前において第2位置P2に位置していた第3サブテーブル40Cが、仮置き位置A(第1位置P1)に位置される。図6下図に示す状態では、3個のサブテーブル40のうちの第3サブテーブル40Cが第1位置P1に位置し、第1サブテーブル40Aが第2位置P2に位置し、第2サブテーブル40Bが第3位置P3に位置している。なお、このとき第1サブテーブル40A及び第2サブテーブル40Bは、生タイヤRが載置されていない(空の)状態にある。
【0053】
供給装置10を用いた生タイヤRの供給方法では、後で説明する方法によって、仮置き位置Aに配置された第3サブテーブル40C上の生タイヤRを位相合わせし、その後、位相合わせが完了した生タイヤRを、ローダー7によって加硫機6に投入する。
【0054】
供給装置10は、以上に示した手順で、サブテーブル40上に保持していた3個の生タイヤRを、順次仮置き位置Aに搬送する。そして、3個の生タイヤRの搬送が完了した場合、図6上図の状態に戻って、作業者の手によって、次の3個の生タイヤRを3個の各サブテーブル40上に載置する。
【0055】
本実施形態の供給装置10は、3個のサブテーブル40のうちの1つが生タイヤRの仮置き位置Aに位置するように、コントローラ60が第1駆動部24aを制御する。本実施形態の供給装置10は、コントローラ60が第1駆動部24aを制御して、メインテーブル30を第1回転軸23回りに120度ずつ回転させる。供給装置10は、このような構成により、3個のサブテーブル40を、順次生タイヤRの仮置き位置Aに位置させることができる。供給装置10は、このメインテーブル30の回転動作によって、各サブテーブル40に載置された生タイヤRを1個ずつ仮置き位置Aに供給することができる。
【0056】
[サブテーブルの動作について]
図7は、生タイヤ供給装置による生タイヤの位相合わせ動作の説明図である。供給装置10は、サブテーブル40の第2回転軸31回りの回転によって、生タイヤRの位相合わせを行うことができる。
【0057】
本実施形態の供給装置10は、サブテーブル40を回転駆動する第2駆動部24bを備える。第2駆動部24bは、3個のサブテーブル40のうち、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40のみを駆動することができるように構成される。
【0058】
第2駆動部24bは、アクチュエータ25を介して本体フレーム21により支持されている。第2駆動部24bは、アクチュエータ25の伸縮に応じて、第3ギア32が第4ギア28に噛合する近接位置と、第3ギア32と第4ギア28とが離間する離間位置と、の間を変位する。メインテーブル30が第1回転軸23回りに回転される間、第2駆動部24bは、アクチュエータ25によって離間位置に位置される。一方、3つのサブテーブル40のうちの1つが仮置き位置Aに位置していて、メインテーブル30の回転が停止しているとき、第2駆動部24bは、アクチュエータ25によって、近接位置に位置される。
【0059】
本実施形態の供給装置10は、第2駆動部24bが近接位置に位置する場合、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40について、コントローラ60が第2駆動部24bを制御することによって、サブテーブル40を第2回転軸31回りに回転させることができる。供給装置10は、この仮置き位置Aに位置するサブテーブル40の回転動作によって、仮置き位置Aに配置された生タイヤRの位相合わせを行うことができる。
【0060】
[位相合わせ動作について]
コントローラ60には、モールド(加硫機6)における生タイヤRの基準方向Xと、識別子検出装置8による識別子Bの検出位置(視野方向)との間の位相差βの情報が予め記憶されている(図7参照)。
【0061】
位相合わせ動作では、まず、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40が回転される。これにより、このサブテーブル40上に載置された生タイヤRが回転する。識別子検出装置8は、仮置き位置Aにおいてサブテーブル40上を回転する生タイヤRから識別子Bを検出する。図7では、識別子Bが位置Yにある状態からサブテーブル40の回転が開始し、回転角γだけ回転したときに、識別子検出装置8が識別子Bを検出した場合を示している。コントローラ60は、識別子検出装置8が識別子Bを検出したときの生タイヤRの位相を基準として、位相合わせを行う。
【0062】
このときコントローラ60は、識別子Bが表す情報から、識別子Bと基準点Pとの間の位相差αの情報を取得する。さらに、コントローラ60は、識別子検出装置8が識別子Bを検出したときの位相から、基準点Pの位相と基準方向Xの位相とを一致させるために必要な回転角(α+β)を算出する。
【0063】
コントローラ60は、識別子検出装置8が識別子Bを検出したときの生タイヤRの位相から、算出した角度(α+β)だけサブテーブル40をさらに回転させる。これにより、基準点Pの位相と基準方向Xの位相とを一致させることができる。供給装置10は、以上のような手順で、生タイヤRの位相合わせを行う。なお、本発明の供給装置10における生タイヤRの位相合わせの方法は、この方法には限定されない。生タイヤRの位相合わせの方法は、識別子B及び識別子検出装置8を用いた場合の一般的な位相合わせの方法を採用することができる。
【0064】
[生タイヤの供給方法について]
前述したように、成形機(図示されず)において成形した生タイヤRはストック台車5に載せられ、ストック部Sまで搬送される。ストック台車5は、供給装置10に対して横付けにされる。作業者は、ストック台車5上の複数の生タイヤRのうちの3個の生タイヤRを、1つずつ第1位置P1~第3位置P3に位置する各サブテーブル40上(受け部材50)に載置する。供給装置10は、最大3個の生タイヤRを保持することができる。生タイヤRは、生タイヤRの中心軸を第2回転軸31の軸心に略一致させた状態で、各サブテーブル40上(受け部材50)に載置される。供給装置10を用いる場合、作業者は、各サブテーブル40に載置した3個の生タイヤRが全て加硫機6に投入された後、次の3個の生タイヤRを各サブテーブル40に載置する。
【0065】
次に、供給装置10は、コントローラ60が第1駆動部24aを制御し、メインテーブル30を120度ずつ回動させることによって、生タイヤRを1本ずつ加硫機6の直前の仮置き位置Aに搬送する。
【0066】
次に、供給装置10は、コントローラ60が第2駆動部24bを制御し、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40を回転させる。これにより、仮置き位置Aのサブテーブル40上に載置された生タイヤRが回転する。供給装置10は、前述した手法により、生タイヤRの位相が、この生タイヤRをモールドに投入する際のこの生タイヤRのあるべき位相に合わせられる。
【0067】
図8は、ローダーによる生タイヤの投入動作(チャックによる把持前の状態)の説明図である。図9は、ローダーによる生タイヤの投入動作(チャックによる把持後の状態)の説明図である。図8及び図9は、位相合わせ後のローダーの動作を説明する図である。供給装置10は、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40において生タイヤRの位相合わせが完了すると、仮置き位置Aの生タイヤRをローダー7が掴み、この生タイヤRが持ち上げられる。そして、このローダー7がこの生タイヤRを加硫機6のモールドに投入する。これにより、生タイヤRの加硫機6への供給が完了する。
【0068】
図8及び図9に示されるように、ローダー7は、生タイヤRを掴むためのチャック7aを備える。チャック7aは、水平方向にスイング可能なフレーム7bに支持される。このフレーム7bは、図示されない昇降手段により上下に昇降可能にこのローダー7に取り付けられる。ローダー7において、チャック7aは水平方向及び上下方向に移動可能である。
【0069】
チャック7aは、図示されない拡縮機構を有する。ローダー7が生タイヤRを掴むとき、チャック7aは水平方向に移動し生タイヤRの直上に配される。チャック7aは、縮径状態で生タイヤRに向けて下降され、生タイヤRの径方向内側に挿入される。挿入後、チャック7aは拡径され、生タイヤRがチャック7aに把持される。これにより、生タイヤRがローダー7に掴まれ、例えば、モールドに向けて生タイヤRが搬送される。
【0070】
供給装置10は、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40において位相合わせが行われた生タイヤRを、ローダー7を用いてモールドに投入する。なお、コントローラ60は、モールドへの投入のためにローダー7が生タイヤRを持ち上げると、メインテーブル30を回転させる。これにより、次の生タイヤRが仮置き位置Aに供給される。
【0071】
モールドに投入された生タイヤRは、このモールド内で加圧及び加熱される。これにより、タイヤTが得られる。加硫機6からタイヤTが取り出されると、位相合わせの完了した仮置き位置Aの生タイヤRが、ローダー7を用いてモールドに投入される。
【0072】
供給装置10は、複数本の生タイヤRを順に加硫機6に向けて搬送しつつ、生タイヤRをモールドに投入する直前において、生タイヤRの位相合わせを行うことができる。換言すると、位相合わせを行った生タイヤRがそのままローダー7で掴まれ、モールドに投入される。しかもこの生タイヤRの位相合わせは、人手を介さずに行われる。供給装置10は、モールドに対する生タイヤRの位相合わせを正確かつ効率よく行うことができる。
【0073】
供給装置10は、位相合わせを行うときに、仮置き位置Aのサブテーブル40に載せた生タイヤRを回転させた状態で、識別子検知装置8が生タイヤRの識別子Bを検知する。コントローラ60は、識別子Bが表す情報に基づいて、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40(具体的には、第2駆動部24b)の動作を制御する。これにより、仮置き位置Aのサブテーブル40における生タイヤRの位相が、この生タイヤRをモールドに投入する際のこの生タイヤRのあるべき位相に合わせられる。
【0074】
本実施形態の供給装置10を用いた場合、生タイヤRが加硫機6に投入されたタイミングを個体毎にコントローラ60が記録する。このため、仮に品質に問題のあるタイヤTが発見された場合に、その問題のあるタイヤTが加硫機6に投入されたタイミングを容易かつ正確に特定することができる。この生タイヤRの供給装置10は、高品質なタイヤの安定な製造に貢献する。
【0075】
以上、説明したように、本実施形態の供給装置10は、生タイヤRをストック部Sから加硫機6の直前の仮置き位置Aまで搬送する機能と、仮置き位置Aにある生タイヤRの位相合わせを行う機能とを有する。供給装置10は、従来は2つの個別の装置で実現していた上記2つの機能を、1つの装置のみで実現することができる。このため、本実施形態の供給装置10を用いれば、ストック部Sから加硫機6の間のスペースにおいて、供給装置10のスペースが占める割合を従来に比べて少なくすることができる。
【0076】
[各実施形態の作用効果]
【0077】
(1)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、加硫機6の直前の仮置き位置Aに生タイヤRを供給する装置である。供給装置10は、本体フレーム21と、本体フレーム21に対して第1回転軸23を介して回転可能に支持されるメインテーブル30と、メインテーブル30に対して第2回転軸31を介して回転可能に支持されるサブテーブル40と、メインテーブル30及びサブテーブル40を回転駆動する駆動部24と、駆動部24を制御するコントローラ60と、を備える。供給装置10は、コントローラ60が、加硫機6に対する生タイヤRの仮置き位置Aとサブテーブル40の位置とが一致するように、メインテーブル30の第1回転軸23回りの位相を調整し、かつ、サブテーブル40に載置された生タイヤRの周方向の位相が加硫機6への投入に適した所定の位相(即ち、この生タイヤRをモールドに投入する際のこの生タイヤRのあるべき位相)となるように、サブテーブル40の第2回転軸31回りの位相を調整する。
【0078】
このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、生タイヤRの位相を調整すると共に、ストック部Sから加硫機6に生タイヤRを供給することができる。換言すると、生タイヤ供給装置10は、生タイヤRをストック部Sから仮置き位置Aまで搬送する機能と、生タイヤRの位相合わせを行う機能と、を両方持ち合わせているため、ストック部Sと加硫機6との間のスペースに1つの装置を配置するだけでよく、ストック部Sと加硫機6との間に確保すべきスペースが従来に比べて少なくて済む。このため、生タイヤ供給装置10は、生タイヤRのストック部Sと加硫機6との間のスペースについて、スペース効率を向上させることができる。
【0079】
(2)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、生タイヤRに付された識別子Bを検出する識別子検出装置8をさらに備える。生タイヤ供給装置10は、識別子検出装置8が、仮置き位置Aに位置するサブテーブル40上の生タイヤRの識別子Bを読み取り、コントローラ60が、識別子検出装置8が識別子Bから読み取った情報に基づいて、サブテーブル40の第2回転軸31回りの位相を調整する。
上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、生タイヤRを加硫機6へ投入する直前のタイミングで、次に加硫機6へ投入される生タイヤRの識別子Bを1つずつ検出する。このため、生タイヤ供給装置10は、コントローラ60が、生タイヤRの個体の識別情報と、加硫機6に対する生タイヤRの投入順序とを紐づけた情報を確実に取得することができる。このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、コントローラ60によって、生タイヤRの加硫機6への投入タイミングを確実に把握することができる。
【0080】
(3)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、複数のサブテーブル40を備え、第2駆動部24bが、複数のサブテーブル40のうちの生タイヤRの仮置き位置Aに位置する1つのサブテーブル40を駆動可能に構成される。
このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、1つの第2駆動部24bによって、全てのサブテーブル40A~40Cを駆動することができるため、各サブテーブル40について個別に第2駆動部24bを設ける場合に比べて、駆動部24の構成を簡素にすることができる。これにより、生タイヤ供給装置10をよりコンパクトに構成することが可能となる。また、生タイヤ供給装置10の製造コストを抑制することができる。
【0081】
(4)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、3個のサブテーブル40を備え、コントローラ60が、メインテーブル30を120度ずつ回動させて、3個のサブテーブル40のうちの1つを、仮置き位置Aに位置させる。
本実施形態の生タイヤ供給装置10は、メインテーブル30上において、3個の生タイヤRを周方向に並べて保持することができる。本実施形態の生タイヤ供給装置10は、3個の生タイヤRを、同心円上に等間隔で保持することができる。このため、生タイヤ供給装置10は、3個の生タイヤRを直線上に並べて保持した場合に比べて、ストック部Sと加硫機6との間に確保すべき距離を短くすることができる。このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、生タイヤRのストック部Sと加硫機6との間のスペースについて、スペース効率を向上させることができる。
【0082】
(5)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、サブテーブル40において、生タイヤRが載置される受け部材50をさらに備え、受け部材50が、リング状に配置された複数のセグメント51で構成される。
このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、サブテーブル40上に載置した生タイヤRの変形を抑制することができる。
【0083】
(6)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、受け部材50が、4個のセグメント51で構成される。このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、種々の大きさの生タイヤRの供給に対応することができる。
【0084】
(7)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、セグメント51が、サブテーブル40の径方向についての位置を調整可能なステー41を介してサブテーブル40に支持される。
このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、種々の大きさの生タイヤRの供給に対応することができる。
【0085】
(8)上記実施形態の生タイヤ供給装置10は、セグメント51が、サブテーブル40の径方向の内側に向かって先下がりとなる傾斜部52を有する。
このような構成の生タイヤ供給装置10によれば、サブテーブル40上に載置した生タイヤRの変形を抑制することができる。
【0086】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明された生タイヤ供給装置に関する技術は、様々なタイプのタイヤの製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0088】
6:加硫機
10:生タイヤ供給装置
21:本体フレーム
23:第1回転軸
24:第1駆動部(駆動部)
25:第2駆動部(駆動部)
30:メインテーブル
31:第2回転軸
40:サブテーブル
41:ステー(支持部材)
50:受け部材
51:セグメント
52:傾斜部
60:コントローラ
A:仮置き位置
B:識別子
R:生タイヤ
S:ストック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9