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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151466
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】光学装置及び光学部材
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20241018BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01J3/50
G01J1/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064814
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】門脇 豊
【テーマコード(参考)】
2G020
2G065
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA24
2G020DA33
2G020DA63
2G065AA02
2G065BA36
2G065BB10
2G065BB48
2G065DA05
(57)【要約】
【課題】ディスプレイ等の被測定物からの光をプローブへ導く光学部材をプローブと組み合わせて光学装置を構成するに際し、プローブに対する光学部材の位置決めを簡単に確実に行うことができる光学装置、及びこの光学装置に使用される光学部材を提供する。
【解決手段】光学装置1は、被測定物からの光を測定するプローブ10、被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせてプローブへ導く光学部材20、を備える。光学部材20は、ケーシング21、ケーシングに設けられ、プローブの先端と嵌合するプローブ受け部22を備え、プローブ10と光学部材20は、一端側をプローブ10に接続され他端側を光学部材20に接続された保持部材30により、プローブ10の先端とプローブ受け部22とが嵌合した状態で位置決めされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物からの光を測定するプローブと、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導く光学部材と、
を備えた光学装置であって、
前記光学部材は、
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブの先端と嵌合するプローブ受け部と、
を備え、
前記プローブと前記光学部材は、一端側を前記プローブに接続され他端側を前記光学部材に接続された保持部材により、前記プローブの先端とプローブ受け部とが嵌合した状態で位置決めされていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記プローブとの間に、前記光学部材に対する前記プローブの位置を調整する調整部材を備える請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記調整部材には、前記プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴が形成されている請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学部材はプリズムを内蔵しており、前記被測定物からの光を前記プリズムの互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせて前記プローブへ導く請求項1~3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている請求項1~3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記保持部材には別の保持部材と係合するための係合部が形成されている請求項1~3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
被測定物からの光を測定するプローブに接続して使用される光学部材であって、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導くプリズムと、
前記プリズムを内包するケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブの先端と嵌合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに一端側を接続され、他端側を前記プローブと接続される保持部材と、
を備えることを特徴とする光学部材。
【請求項8】
さらに、前記保持部材は、前記プローブとの間に設けられ、前記光学部材に対する前記プローブの位置を調整する調整部材を備える請求項7に記載の光学部材。
【請求項9】
前記調整部材には、前記プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴が形成されている請求項8に記載の光学部材。
【請求項10】
前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている請求項7~9のいずれかに記載の光学部材。
【請求項11】
被測定物からの光を測定するプローブと、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導く光学部材と、
を備えた光学装置であって、
前記光学部材は、
プリズムを内蔵するケーシングと、
前記プローブの先端と螺合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブ受け部をプローブの光軸を中心に回転可能に保持する回転部と、
を備えることを特徴とする光学装置。
【請求項12】
前記プリズムは、前記被測定物からの光を前記プリズムの互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせる、請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている、請求項11または12に記載の光学装置。
【請求項14】
被測定物の輝度を測定するプローブと接合して使用される光学部材であって、
被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせるプリズムと、
前記プリズムを内蔵するケーシングと、
前記プローブの先端と螺合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブ受け部をプローブの光軸を中心に回転可能に保持する回転部と、
を備えることを特徴とする光学部材。
【請求項15】
前記プリズムは前記被測定物からの光を互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせて前記プローブへ導く請求項14に記載の光学部材。
【請求項16】
前記ケーシングには、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている請求項14または15に記載の光学部材。
【請求項17】
前記回転部は前記プローブ受け部を回転可能に嵌合する筒状の基部と、基部にプローブ受け部が嵌合された状態で、基部とプローブ受け部を固定するネジ部と、を備えている請求項14または15に記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイ等の被測定物からの光を受光して色や輝度等を測定する光学装置、及びこの光学装置に用いられる光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイの分野において、Under Screen Camera(USC)と呼ばれる技術が開発されている。USCは、ディスプレイの背面にカメラモジュールを配置する技術である。この技術は、Under Display Cameraと呼ばれることもあるが、本明細書では、該当する技術を「USC」との名称で呼ぶことにする。
【0003】
USCを採用したデバイスは、ディスプレイ越しにカメラを視認しづらい構成を有している。このようなデバイスでは、カメラと重なるディスプレイの部分(USC部と呼ぶ)が、カメラと重なっていないディスプレイの通常の部分(以下では通常部と称する)の構造とは異なる構造を有する。したがってディスプレイのγ調整では、USC部と通常部との各々に対してγ調整が必要である。
【0004】
さらに、タクトタイムを短縮するために、USC部と通常部との各々の輝度を同時に計測したいという要望がある。しかしながら、ディスプレイの面内には発光分布がある。このため、計測の対象となる通常部は、USC部にできるだけ近接した部位であることが望ましい。このような事情により、USC部と通常部との間の間隔が10mmといった、近接した2つの部位の輝度を同時に計測することが求められている。
【0005】
上述の要望に応える技術として、プリズムを用いて近接した2つの部位の輝度を測定する装置が特許文献1に開示されている。
【0006】
この装置は、光学装置は、測光部12Aと、第1光学ユニット11Aと、測光部12Bと、第2光学ユニット11Bとを備える。第1光学ユニット11Aは、最も物体側の第1レンズ22A、および、第1部位AR1からの光を偏向させて第1レンズに導く第1プリズム21Aを有する。第2光学ユニット11Bは、最も物体側の第2レンズ22B、および、第2部位AR2からの光を偏向させて、第2レンズ22Bに導く第2プリズム21Bを有する。被測定物1から第1プリズム21Aに至る第1光学ユニット11Aの第1光軸AX1と、被測定物1から第2プリズム21Bに至る第2光学ユニット11Bの第2光軸AX2とが略平行であり、かつ、第1光軸AX1と第2光軸AX2との間の間隔が、第1レンズ22Aの中心と第2レンズ22Bの中心との間の距離よりも小さい、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2022/030292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1では、各測光部12A、12Bと、第1、第2光学ユニット11A、11Bがそれぞれ1つの装置として説明されている。これでは、新たな装置を一から設計することになり、実用性に乏しい。
【0009】
そこで、発明者は上述の特許文献1に記載されている装置を簡単に実用化するべく、従来のプローブを測光部12A、12Bとしてそのまま用いるとともに、第1、第2光学ユニット11A、11Bに相当し、ディスプレイからの光をプローブへ導く光学部材をプローブに接続することで、新たな装置を一から設計することなく対応することを考えた。
【0010】
具体的には、プローブに対し光学部材を精度よく位置決めするためにプローブ先端にネジ山を形成するとともに、ネジ山を受ける螺旋を有するプローブ受け部を光学部材に形成して、プローブと光学部材を取り外し可能に螺合結合することを試みた。しかし、実際にプローブと光学部材を螺合したところ、螺合の程度によってプローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度が変化するため、プローブに対して光学部材が所望の向きとなるように位置決めすることが難しいという不都合が発生した。
【0011】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、ディスプレイ等の被測定物からの光をプローブへ導く光学部材をプローブと組み合わせて光学装置を構成するに際し、プローブに対する光学部材の位置決めを簡単に確実に行うことができる光学装置、及びこの光学装置に使用される光学部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)被測定物からの光を測定するプローブと、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導く光学部材と、
を備えた光学装置であって、
前記光学部材は、
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブの先端と嵌合するプローブ受け部と、
を備え、
前記プローブと前記光学部材は、一端側を前記プローブに接続され他端側を前記光学部材に接続された保持部材により、前記プローブの先端とプローブ受け部とが嵌合した状態で位置決めされていることを特徴とする光学装置。
(2)前記保持部材は、前記プローブとの間に、前記光学部材に対する前記プローブの位置を調整する調整部材を備える前項1に記載の光学装置。
(3)前記調整部材には、前記プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴が形成されている前項2に記載の光学装置。
(4)前記光学部材はプリズムを内蔵しており、前記被測定物からの光を前記プリズムの互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせて前記プローブへ導く前項1~3のいずれかに記載の光学装置。
(5)前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている前項1~3のいずれかに記載の光学装置。
(6)前記保持部材には別の保持部材と係合するための係合部が形成されている前項1~3のいずれかに記載の光学装置。
(7)被測定物からの光を測定するプローブに接続して使用される光学部材であって、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導くプリズムと、
前記プリズムを内包するケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブの先端と嵌合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに一端側を接続され、他端側を前記プローブと接続される保持部材と、
を備えることを特徴とする光学部材。
(8)さらに、前記保持部材は、前記プローブとの間に設けられ、前記光学部材に対する前記プローブの位置を調整する調整部材を備える前項7に記載の光学部材。
(9)前記調整部材には、前記プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴が形成されている前項8に記載の光学部材。
(10)前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている前項7~9のいずれかに記載の光学部材。
(11)被測定物からの光を測定するプローブと、
前記被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせて前記プローブへ導く光学部材と、
を備えた光学装置であって、
前記光学部材は、
プリズムを内蔵するケーシングと、
前記プローブの先端と螺合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブ受け部をプローブの光軸を中心に回転可能に保持する回転部と、
を備えることを特徴とする光学装置。
(12)前記プリズムは、前記被測定物からの光を前記プリズムの互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせる、前項11に記載の光学装置。
(13)前記光学部材には、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている、前項11または12に記載の光学装置。
(14)被測定物の輝度を測定するプローブと接合して使用される光学部材であって、
被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせるプリズムと、
前記プリズムを内蔵するケーシングと、
前記プローブの先端と螺合するプローブ受け部と、
前記ケーシングに設けられ、前記プローブ受け部をプローブの光軸を中心に回転可能に保持する回転部と、
を備えることを特徴とする光学部材。
(15)前記プリズムは前記被測定物からの光を互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせて前記プローブへ導く前項14に記載の光学部材。
(16)前記ケーシングには、別の光学部材と係合するための係合部が形成されている前項14または15に記載の光学部材。
(17)前記回転部は前記プローブ受け部を回転可能に嵌合する筒状の基部と、基部にプローブ受け部が嵌合された状態で、基部とプローブ受け部を固定するネジ部と、を備えている前項14または15に記載の光学部材。
【発明の効果】
【0013】
前項(1)に記載の発明によれば、被測定物からの光を測定するプローブと、被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせてプローブへ導く光学部材が、一端側をプローブに接続され他端側を光学部材に接続された保持部材により、プローブの先端とプローブ受け部とが嵌合した状態で位置決めされている。このため、プローブと光学部材を螺合する場合のように、螺合の程度によってプローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度が変化するといった不都合はなくなり、簡単にかつ確実にプローブに対して光学部材を位置決めすることができる。
【0014】
前項(2)に記載の発明によれば、調整部材により、光学部材に対するプローブの位置を最適に調整することができる。
【0015】
前項(3)に記載の発明によれば、調整部材に備えられた、プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴により、光学部材に対するプローブの位置を容易に調整することができる。
【0016】
前項(4)に記載の発明によれば、光学部材に内蔵されたプリズムにより、被測定物からの光を互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることで、被測定物からの光をプローブの光軸と直交する方向へシフトさせてプローブへ導くことができる。
【0017】
前項(5)に記載の発明によれば、光学部材に形成された係合部により、光学部材と別の光学部材を係合することができる。
【0018】
前項(6)に記載の発明によれば、保持部材に形成された係合部により、保持部材と別の保持部材と係合することができるから、各保持部材に保持された2つのプローブを連結することができる。
【0019】
前項(7)に記載の発明によれば、一端側をケーシングに接続され他端側をプローブに接続された保持部材により、プローブの先端をプローブ受け部に嵌合した状態でプローブを位置決めできる光学部材となる。このため、この光学部材を用いることにより、プローブと光学部材を螺合する場合のように、螺合の程度によってプローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度が変化するといった不都合はなく、簡単にかつ確実にプローブに対する光学部材を位置決めすることができる。
【0020】
前項(8)に記載の発明によれば、調整部材により、光学部材に対するプローブの位置を最適に調整することができる。
【0021】
前項(9)に記載の発明によれば、調整部材に備えられた、プローブの光軸と直交する方向へ長さを有するねじ止め用の長穴により、光学部材に対するプローブの位置を容易に調整することができる。
【0022】
前項(10)に記載の発明によれば、光学部材に形成された係合により、光学部材と別の光学部材を係合することができる。
【0023】
前項(11)に記載の発明によれば、被測定物からの光を測定するプローブの先端を光学部材のプローブ受け部に螺合した状態で、光学部材のケーシングに設けられた回転部により回転可能に保持される。このため、回転部を回転させることにより、プローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度を調整することができるから、簡単にかつ確実にプローブに対して光学部材を位置決めすることができる。
【0024】
前項(12)に記載の発明によれば、光学部材のケーシングに内包されたプリズムは、被測定物からの光を互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせるから、ディスプレイからの光を確実にプローブに導くことができる。
【0025】
前項(13)に記載の発明によれば、光学部材の側面に形成された係合部により、光学部材と別の光学部材を係合することができる。
【0026】
前項(14)に記載の発明によれば、被測定物からの光を測定するプローブの先端を光学部材のプローブ受け部に螺合した状態で、回転部を回転させることにより、プローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度を調整することができるから、簡単にかつ確実にプローブに対して光学部材を位置決めすることができる。
【0027】
前項(15)に記載の発明によれば、光学部材のケーシングに内包されたプリズムは、被測定物からの光を互いに平行に形成された2面でそれぞれ反射させることによりシフトさせるから、被測定物からの光を確実にプローブに導くことができる。
【0028】
前項(16)に記載の発明によれば、光学部材のケーシングの側面に形成された係合部により、光学部材と別の光学部材を係合することができる。
【0029】
前項(17)に記載の発明によれば、回転部は前記プローブ受け部を回転可能に嵌合する筒状の基部と、基部にプローブ受け部が嵌合された状態で、基部とプローブ受け部を固定するネジ部と、を備えているから、プローブの光軸と直交する方向での光学部材の角度を最適に調整して、ネジ部で基部とプローブ受け部を固定することにより、プローブと光学部材を位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の一実施形態に係る光学装置の斜視図である。
図2図1の光学装置の各構成部材を分解して示す斜視図である。
図3】保持部材における調整部材の斜視図である。
図4】保持部材におけるベース板と光学部材の接続関係を説明するための斜視図である。
図5】光学部材を断面で示す光学装置の正面図である。
図6図1の光学装置を2個組み合わせて使用する場合の斜視図である。
図7図1の光学装置を他のプローブと組み合わせて使用する場合の斜視図である。
図8図1に示した光学装置1を2個組み合わせる場合の別の例を説明するための斜視図である。
図9】同じく2個組み合わせた状態の斜視図である。
図10】この発明の他の実施形態に係る光学装置の、一部を断面で示す正面図である。
図11】この発明のさらに他の実施形態に係る光学装置の、一部を断面で示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、この発明の一実施形態に係る光学装置1の斜視図であり、図2は光学装置1の分解斜視図である。
【0033】
この光学装置1は、プローブ10と、光学部材20と、保持部材30を備えている。
【0034】
プローブ10は、被測定物からの光を受光して色や輝度等を測定する測定器である。この実施形態では被測定物がディスプレイである場合について説明する。測定器としてのプローブ10の電気的な構成は周知であるため、その説明は省略する。
【0035】
プローブ10は断面が矩形で直方体形状のプローブ本体11と、プローブ本体11からプローブ10の長さ方向に縮径状態で突出した断面が円形の先端突部12とを有しており、先端突部12の先端からディスプレイの光をプローブ内に取り込む構成となっている。
【0036】
プローブ本体11の一側面には、細板状の固定部13がプローブ本体と一体に取り付けられている。
【0037】
光学部材20は、ディスプレイからの光を取り込んでプローブ10へと導くものであり、直方体形状の中空のケーシング21と、ケーシング21の上面から上方に突出した円筒状のプローブ受け部22を備えている。
【0038】
プローブ受け部22は、図1および図2に示すように、プローブ10を下向きにして先端突部12の先端を嵌合させるものである。プローブ受け部22の内径は、嵌合されるプローブ10の先端突部12の外径よりも少し大きく設定されており、プローブ10の先端突部12をプローブ受け部22に容易に嵌合でき、あるいはプローブ受け部22から容易に取り外せるように構成されている。
【0039】
プローブ受け部22の底面(ケーシング21の上面)には、図2に示すように、プローブ受け部22の内径よりも小さい円形の開口部24が形成されており、プローブ受け部22に先端突部12が嵌合されたプローブ1に、開口部24を介して、ディスプレイからの光が導入される構成となっている。また、開口部24の周囲とプローブ受け部22の下端周縁の間には環状の鍔部25が形成され、プローブ受け部22にプローブ1の先端突部12が嵌合されるときに、先端突部12の端縁がこの鍔部25に当接するようになっている。
【0040】
ケーシング21には図5に示すように、互いに平行に形成された2面23a、23aを有するプリズム23が内蔵されている。このプリズム23は、ケーシングの底壁に設けられた開口(図示は省略)から矢印A方向に入射したディスプレイからの光を、互いに平行な2面23a、23aのうちの一方の面でプローブ1の光軸Pと直交する方向にシフトさせたのち、他方の面で光軸Pの方向に反射させて、ケーシング21の上面の開口部24からプローブ1に導く役割を果たす。このプリズム23により、ディスプレイの微小領域からの光がプローブ1に取り込まれるようになっている。
【0041】
更にケーシング21の一側面には、図1および図2に示すように複数個の係合穴26が形成され、反対側の側面には図4に示すように複数個の係合ピン27が突設されている。
【0042】
保持部材30はプローブ10と光学部材20を位置決め状態に連結保持する役割を果たし、ベース板31と調整板32を備えている。ベース板31の下端部には、図2及び図4に示すように、光学部材20のケージング21の係合ピン27に対応する位置に係合穴31aが形成されている。
【0043】
調整板32はプローブ10とベース板31とを連結するものであり、図3に拡大して示すように、第1片32aと第2片32bとで断面L形に形成されている。第1片32aは調整板32とプローブ本体11の固体部13とを連結し、第2片32bはベース板31と調整板32を連結する。
【0044】
具体的には、第1片32aには上下に間隔をあけて2個の長孔32cが形成されており、プローブ本体11の固体部13には、図2に示すように、これらの長孔32cに対応する位置にネジ穴13aが形成されている。そして、第1片32aを挟んでプローブ本体11と反対側から各長孔32cを挿通してネジ4を差し込み、プローブ本体11の固定部13のネジ穴13aにネジ止めされることにより、調整板32とプローブ10とが連結されている。
【0045】
一方、調整板32の第2片32bにも上下に間隔をあけて2個の長孔32dが形成されており、ベース板31には図2に示すようにこれらの長孔32dに対応する位置にネジ穴31bが形成されている。そして、第2片32bを挟んでベース板31と反対側から各長孔32dを挿通してネジ5を差し込み、ベース板31のネジ穴31bにネジ止めされることにより、調整板32とベース板31とが連結されている。
【0046】
調整板32に形成された各長孔32c、32dはいずれもプローブ10の光軸と直交する方向に長い。このため、長孔32c、32dとネジ4、5の挿通位置を調整することにより、プローブ1の光軸と直交する方向において、光学部材20に対するプローブ10の位置を最適な位置に調整できるようになっている。
【0047】
なお、長孔32c、32dの代わりにネジ径よりも大きい丸穴を形成し、プローブ10の光軸と直交する方向だけでなくあらゆる方向において、光学部材20に対するプローブ10の位置関係を調整できるようにしても良い。
【0048】
ベース板31の下端部の係合穴31aには、光学部材20のケーシング21の係合ピン27が嵌合接続されている。これにより、保持部材30の下端側が光学部材20に接続され、上端側がプローブ10に接続され、プローブ10と光学部材20とは保持部材30によって位置決めされた状態となっている。なお、光学部材20のケーシング21に係合ピン27ではなく係合穴を形成し、この係合穴とベース板31の下端部の係合穴31aとを独立したピンを用いて接続しても良いし、他の接続方式でも良い。
【0049】
光学部材20のケーシング21に内蔵されるプリズム23は、上述したプローブ10と光学部材20との位置決め状態で、ディスプレイからの光をプローブ10の光軸と直交する方向にシフトさせたのち光軸方向へと適正に導くように、ケーシング21内の適正位置に配置されている。
【0050】
このように、ディスプレイからの光を測定するプローブ10と、ディスプレイからの光をプローブ10の光軸と直交する方向へシフトさせてプローブ10へ導く光学部材20が、上端側をプローブ10に接続され下端側を光学部材20に接続された保持部材30により、プローブ10の先端とプローブ受け部22とが嵌合した状態で位置決めされている。このため、プローブ10と光学部材20を螺合接続して位置決めする場合のように、螺合の程度によってプローブ10の光軸Pと直交する方向での光学部材20の角度が変化するといった不都合はなくなり、簡単にかつ確実にプローブ10に対して光学部材20を位置決めすることができる。
【0051】
図1図5に示したように、プローブ10に対する光学部材20を位置決めした光学装置1は、単独で使用しても良い。あるいは、光学装置1を2個使用し、特許文献1に記載されたように、ディスプレイのUSC部と通常部との間の間隔が10mmといった近接した2つの部位の輝度を同時に計測可能に構成してもよい。
【0052】
図6は光学装置1を2個組み合わせた状態の斜視図である。具体的には、図1に示した2個の光学装置1、1を、保持部材30のベース板31がそれぞれ外側に位置するように対向配置させたものである。各光学装置1の光学部材20は、ケーシング21に内蔵された各プリズム23が、10mm程度離れた部位からの光をそれぞれ取り込むことができるように、近接した配置となっている。2個の光学装置1同士の接続は、各光学部材20のケーシング21のベース板と反対側において互いに対向接触する2つの側面の一方に形成された係合ピン27を、他方に形成された係合穴26に嵌合して接続している。
【0053】
つまり、これらの係合穴26及び係合ピン27は、複数の光学装置1を組み合わせるときに、一つの光学部材20の係合穴26または係合ピン27を他方の光学部材20の係合ピン27または係合穴26に篏合することにより、光学部材20同士を係合させる係合部として機能する。ただし、2個の光学装置1同士は接続されていなくても良いし、係合穴同士を単独の係合ピンを差し込んで係合しても良いし、係合ピンと係合穴との篏合方式以外の他の係合方法で接続されていても良い。
【0054】
図7は、図1に示した光学装置1を他のプローブ10と組み合わせて使用する場合の例を示す斜視図である。図7の例では、光学装置1のプローブ10のプローブ本体11における保持部材30のベース板31と反対側の側面は開放されており、ベース板31が邪魔になることがない。このため、開放された側面にプローブ本体11の一側面を沿わせた形態で別のプローブ10が配置されている。図7の例では、別のプローブ10については光学部材20を使用することなく、通常の測定を行うようになっている。
【0055】
図8及び図9は、図1に示した光学装置1を2個組み合わせる場合の別の例を示す斜視図である。図8のように、図1に示した光学装置1のプローブ本体12における保持部材30のベース板31と反対側の開放側面に、別のベース板31を配置する。別のベース板31と光学部材20とは、ベース板31と光学部材20のケーシング21の対向部にそれぞれ形成された係合穴と係合ピンの嵌合により接続されている。
【0056】
また、一方のベース板31の側端面には上下に2個の係合ピン31cが設けられ、他方のベース板31の側端面には上下に2個の係合穴31dが設けられている。
【0057】
図8に示した光学装置1を2個用意し、それぞれの光学装置1、1の各ベース板31の係合ピン31cと係合穴31dが対向する向きで組み合わせ、一方の係合ピン31cと他方の係合穴31dを嵌合させることにより、2個の光学装置1、1を接続して図9に示す装置とする。係合ピン31cの代わりに係合穴を形成し、この係合穴と他方の係合穴31dとに独立したピンを差し込んで、2個の光学装置を係合接続しても良い。あるいは他の係合方法で接続しても良い。
【0058】
図9の装置では、各光学部材20のケーシング21に内蔵された各プリズム23が、10mm程度離れた部位からの光をそれぞれ取り込むことができるように、近接して配置された状態となっている。従って、図9に示す装置を用いることで、ディスプレイのUSC部と通常部との間の間隔が10mmといった近接した2つの部位の輝度を同時に計測可能となる。
【0059】
図10は、この発明の他の実施形態に係るディスプレイ測定用の光学装置100を示すものである。この実施形態では、光学装置100はプローブ101と光学部材200を備えている。
【0060】
プローブ101は断面矩形の直方体形状のプローブ本体102と、プローブ本体102からプローブ101の長さ方向に縮径状態で突出した断面が円形の先端突部103とを有しており、先端突部103の先端からディスプレイの光をプローブ101内に取り込む構成となっている。また、先端突部103の先端部周面には雄ネジ部104が形成されている。
【0061】
光学部材200は、中空のケーシング201と、ケーシング201の上面から上方に突出した円柱状の基部202及び回転部203と、回転部203の上面から上方に突出した円筒状のプローブ受け部204を備えている。
【0062】
基部202はケーシング201と一体であり、プローブ受け部204は回転部203と一体であるが、基部202と回転部203の間にはベアリング部205が介在しており、回転部203は基部202に対して周方向(プローブ101の光軸と直交する方向)に回転可能に保持できるようになっている。
【0063】
また、プローブ受け部204の内周面には、プローブ100の先端突部103の雄ネジ部104と螺合可能な雌ネジ部206が形成されている。
【0064】
プローブ101はその先端突部103を下向きにして、先端突部103の雄ネジ部104を光学部材200のプローブ受け部204の雌ネジ部206と螺合されることにより、光学部材200と接合されている。
【0065】
また、ケーシング201内には図1に示した光学装置1と同様にプリズム23が内蔵されており、ディスプレイからの光をプリズム23の平行な2面23a、23aでプローブ101の光軸と直交する方向にシフトした後、光軸方向に反射させるようになっている。
【0066】
また、図示は省略したが、プリズム23により光軸方向に反射されたディスプレイからの光がプローブ101に導かれるように、ケーシング201の上面、基部202及び回転部203を貫通する開口部が形成されている。
【0067】
図10に示した光学装置100は、プローブ101の先端突部103の雄ネジ部104を光学部材200のプローブ受け部204の雌ネジ部206と螺合して、プローブ101を光学部材200と接合した後、回転部203を基部202に対してプローブ101の光軸と直交する方向に回転させることにより、プローブ101に対する光学部材200の向きを調整して最適な向きで位置決めする。従って、回転部203の回転機構が存在せずプローブ101と光学部材200との螺合のみで位置決めする場合のように、螺合の程度によってプローブ101の光軸と直交する方向での光学部材200の角度が変化するといった不都合はなくなり、簡単にかつ確実にプローブ101に対して光学部材200を位置決めすることができる。
【0068】
なお、図10に示した光学装置は単独で用いられても良いし、2つの光学装置を組み合わせて使用しても良い。組み合わせて使用する場合、例えば光学部材のケーシングを凹凸篏合方式等により係合させるのが望ましい。
【0069】
図11は、この発明のさらに他の実施形態に係るディスプレイ測定用の光学装置110を示すものである。この実施形態では、光学装置110はプローブ111と光学部材210を備えている。
【0070】
プローブ111は断面矩形の直方体形状のプローブ本体112と、プローブ本体112からプローブ111の長さ方向に縮径状態で突出した断面が円形の先端突部113とを有しており、先端突部113の先端からディスプレイの光をプローブ111内に取り込む構成となっている。また、先端突部113の先端部周面には雄ネジ部114が形成されている。
【0071】
光学部材210は、中空のケーシング211と、ケーシング211の上面から上方に突出した円筒状の基部212と、円筒状のプローブ受け部213を備えている。
【0072】
基部212はケーシング211と一体であり、プローブ受け部213はケーシング211及び基部212とは分離可能である。また、プローブ受け部213の内周面には、プローブ111の先端突部113の雄ネジ部114と螺合可能な雌ネジ部214が形成されている。
【0073】
プローブ受け部213の外径は基部2012の内径よりも少し小さく設定されており、基部212に嵌り込んで周方向(プローブの光軸と直交する方向)に回転可能に構成されている。つまり、基部212とプローブ受け部213とで回転部が形成されている。なお、プローブ受け部213の内径を基部212の外径よりも少し大きく設定することにより、プローブ受け部213を基部212に回転可能に外嵌めしても良い。
【0074】
また、基部212を肉厚方向に貫通する止めネジ215が設けられている。この止めネジ215を回転して内方へ進出させることにより、止めネジ215の先端をプローブ受け部213の外周面に圧接係止させることで、プローブ受け部213を回転不能に固定することができる。一方、止めネジ215を逆方向に回転させて後退させプローブ受け部213に対する圧接係止を解除することで、プローブ受け部213の回転が可能になる。
【0075】
プローブ111はその先端突部113を下向きにして、先端突部113の雄ネジ部114を光学部材210のプローブ受け部213の雌ネジ部214と螺合されることにより、光学部材210と接合されている。
【0076】
また、ケーシング211内には図1に示した光学装置1と同様にプリズム23が内蔵されており、ディスプレイからの光をプリズムの平行な2面23a、23aでプローブ111の光軸と直交する方向にシフトした後、光軸方向に反射させるようになっている。
【0077】
また、図示は省略したが、プリズム23により光軸方向に反射されたディスプレイからの光をプローブ111に導くように、ケーシング211の上面を貫通する開口部が形成されている。
【0078】
図11に示した光学装置110は、プローブ111の先端突部113の雄ネジ部114を、光学部材210のプローブ受け部213の雌ネジ部214と螺合して、プローブ111を光学部材210と接合した後、プローブ受け部213を基部212に嵌め込む。そして、プローブ受け部213を基部212に対してプローブ111の光軸と直交する方向に回転させることにより、プローブ111に対する光学部材210の向きを調整して最適な向きに位置決めし、この状態で止めネジ215でプローブ受け部213を固定する。従って、プローブ受け部213の回転機構が存在せずプローブ111と光学部材210との螺合接続のみで位置決めする場合のように、螺合の程度によってプローブ111の光軸と直交する方向での光学部材210の角度が変化するといった不都合はなくなり、簡単にかつ確実にプローブ111に対して光学部材210を位置決めすることができる。
【0079】
なお、図11に示した光学装置110は単独で用いられても良いし、複数の光学装置110を組み合わせて使用しても良い。組み合わせて使用する場合、例えば光学部材210のケーシング211を凹凸篏合方式等により係合させるのが望ましい。
【符号の説明】
【0080】
1、100、110 光学装置
4、5 ネジ
10、101 111 プローブ
11、102、112 プローブ本体
12、103、113 先端突部
13a ネジ穴
20、200、210 光学部材
21、201 211 ケーシング
22、204、213 プローブ受け部
23 プリズム
23a 平行な面
24 開口部
25 鍔部
26 係合穴(係合部)
27 係合突起(係合部)
30 保持部材
31 ベース板
31a 系合穴
31b ネジ穴
31c 係合穴
31d 係合突起
32 調整板
32a 第1片
32b 第2片
32c、32d 長孔
104、114 雄ネジ部
202、212 基部
203 回転部
205 ベアリング部
206、214 雌ネジ部
215 止めネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11