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特開2024-151467半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151467
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 53/30 20230101AFI20241018BHJP
【FI】
H10B53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064815
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】520233375
【氏名又は名称】富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】置田 陽一
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FR01
5F083GA11
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA43
5F083JA56
5F083JA60
5F083MA06
5F083MA17
5F083MA18
5F083MA19
5F083PR34
(57)【要約】
【課題】優れた強誘電体特性を得ることができる半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、トランジスタと、前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタと、を有し、前記強誘電体キャパシタは、前記トランジスタに接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜と、前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜と、を有する。半導体記憶装置は不揮発性メモリとして使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、
前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタと、
を有し、
前記強誘電体キャパシタは、
前記トランジスタに接続された第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、
前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、
前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜と、
前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、
前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜と、
を有する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1電極の熱膨張係数をα1E、前記第1電極の厚さをd1E、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1M、前記第1金属膜の厚さをd1M、前記強誘電体膜の熱膨張係数をα、前記強誘電体膜の厚さをd、前記第2金属膜の熱膨張係数をα2M、前記第2金属膜の厚さをd2M、前記第2電極の熱膨張係数をα2E、前記第2電極の厚さをd2E、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ、前記強誘電体膜の厚さ、前記第2金属膜の厚さ及び前記第2電極の厚さの和をD1としたとき、式(1)で表されるα1の値が12×10-6-1以下である請求項1に記載の半導体記憶装置。
α1=α1E×d1E/D1+α1M×d1M/D1+α×d/D1+α2M×d2M/D1+α2E×d2E/D1 ・・・(1)
【請求項3】
前記第1電極の熱膨張係数をα1E、前記第1電極の厚さをd1E、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1M、前記第1金属膜の厚さをd1M、前記強誘電体膜の熱膨張係数をα、前記強誘電体膜の厚さをd、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ及び前記強誘電体膜の厚さの和をD2としたとき、式(2)で表されるα2の値が12×10-6-1以下である請求項1に記載の半導体記憶装置。
α2=α1E×d1E/D2+α1M×d1M/D2+α×d/D2・・・(2)
【請求項4】
前記強誘電体膜は、ジルコニウム若しくはシリコン又はこれらの両方が添加された酸化ハフニウム膜である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1電極及び前記第2電極は、窒化チタン膜、窒化タンタル膜若しくはタングステン膜又はこれらの任意の組み合わせを含む請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1金属元素及び前記第2金属元素は、イリジウム、ルテニウム若しくは白金又はこれらの任意の組み合わせである請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜の厚さは、5nm~100nmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
トランジスタを形成する工程と、
前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタを形成する工程と、
を有し、
前記強誘電体キャパシタを形成する工程は、
前記トランジスタに接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、を含む積層体を形成する工程と、
前記積層体の熱処理を行い、前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜を形成し、前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜を形成する工程と、
を有する半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記積層体において、前記第1電極の熱膨張係数をα1EA、前記第1電極の厚さをd1EA、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1MA、前記第1金属膜の厚さをd1MA、前記強誘電体膜の熱膨張係数をαFA、前記強誘電体膜の厚さをdFA、前記第2金属膜の熱膨張係数をα2MA、前記第2金属膜の厚さをd2MA、前記第2電極の熱膨張係数をα2EA、前記第2電極の厚さをd2EA、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ、前記強誘電体膜の厚さ、前記第2金属膜の厚さ及び前記第2電極の厚さの和をD3としたとき、式(3)で表されるα3の値が12×10-6-1以下であり、
前記熱処理を行う工程の後に、前記第1電極、前記第1金属膜、前記第1導電性金属酸化物膜、前記強誘電体膜、前記第2導電性金属酸化物膜、前記第2金属膜及び前記第2電極をエッチングする工程を有する請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
α3=α1EA×d1EA/D3+α1MA×d1MA/D3+αFA×dFA/D3+α2MA×d2MA/D3+α2EA×d2EA/D3 ・・・(3)
【請求項10】
前記積層体において、前記第1電極の熱膨張係数をα1EA、前記第1電極の厚さをd1EA、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1MA、前記第1金属膜の厚さをd1MA、前記強誘電体膜の熱膨張係数をαFA、前記強誘電体膜の厚さをdFA、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ及び前記強誘電体膜の厚さの和をD4としたとき、式(4)で表されるα4の値が12×10-6-1以下であり、
前記熱処理を行う工程の前に、前記第2金属膜及び前記第2電極をエッチングする工程を有し、
前記熱処理を行う工程の後に、前記第1電極、前記第1金属膜及び前記第1導電性金属酸化物膜、前記強誘電体膜をエッチングする工程を有する請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
α4=α1EA×d1EA/D4+α1MA×d1MA/D4+αFA×dFA/D4・・・(4)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置の一つとして、強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリが知られている。また、近年、強誘電体特性を示す酸化ハフニウム系材料について種々の研究が発表されている。例えば、酸化ハフニウム系材料は直方晶系(orthorhombic)の結晶構造を含む場合に強誘電体特性を示しやすいこと、及び、酸化ハフニウム系材料の残留応力が正の引張方向である場合に直方晶系の結晶構造を含みやすいことが発表されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-338619号公報
【特許文献2】特開2006-041182号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Applied Physics Letters 117, 242901 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強誘電体キャパシタの強誘電体膜に酸化ハフニウム系材料を用いることが考えられるが、優れた強誘電体特性を得ることは容易でない。
【0006】
本開示の目的は、優れた強誘電体特性を得ることができる半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、トランジスタと、前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタと、を有し、前記強誘電体キャパシタは、前記トランジスタに接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜と、前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜と、を有する半導体記憶装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、優れた強誘電体特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る半導体記憶装置を示す断面図である。
図2】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第1例を示す断面図(その1)である。
図3】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第1例を示す断面図(その2)である。
図4】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第1例を示す断面図(その3)である。
図5】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第1例を示す断面図(その4)である。
図6】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第2例を示す断面図(その1)である。
図7】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第2例を示す断面図(その2)である。
図8】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の第2例を示す断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
実施形態は、強誘電体キャパシタを備えた半導体記憶装置、すなわち強誘電体メモリに関する。図1は、実施形態に係る半導体記憶装置を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る半導体記憶装置100は、トランジスタTr1と、トランジスタTr2と、強誘電体キャパシタCap1と、強誘電体キャパシタCap2とを有する。強誘電体キャパシタCap1はトランジスタTr1に接続されており、強誘電体キャパシタCap2はトランジスタTr2に接続されている。
【0013】
半導体記憶装置100は、半導体基板1と、p型のウェル2と、2つのn型のソース領域15と、n型のドレイン領域16とを有する。半導体基板1は、例えばシリコン(Si)基板である。ウェル2に素子分離絶縁膜3が形成されており、素子分離絶縁膜3により素子活性領域が画定されている。ソース領域15及びドレイン領域16は素子活性領域内に設けられている。ソース領域15及びドレイン領域16はウェル2の表層部に設けられており、ドレイン領域16は2つソース領域15の間に設けられている。一方のソース領域15がトランジスタTr1に含まれ、他方のソース領域15がトランジスタTr2に含まれ、ドレイン領域16はトランジスタTr1及びTr2に共有されている。ソース領域15の上面にシリサイド層17が形成され、ドレイン領域16の上面にシリサイド層18が形成されている。
【0014】
トランジスタTr1及びTr2は、いずれも、ゲート絶縁膜11と、ゲート電極12と、シリサイド層13と、サイドウォール絶縁膜14とを有する。ゲート絶縁膜11は、ソース領域15とドレイン領域16との間のチャネルの上に設けられ、ゲート電極12はゲート絶縁膜11の上に設けられ、シリサイド層13はゲート電極の上面に形成されている。サイドウォール絶縁膜14は、ゲート絶縁膜11、ゲート電極12及びシリサイド層13の積層体の側面を覆う。ゲート絶縁膜11及びサイドウォール絶縁膜14は酸化シリコン(SiO)膜等の絶縁膜である。ゲート電極12は、例えば多結晶シリコン(ポリシリコン)膜である。
【0015】
半導体記憶装置100は、カバー膜21と、層間絶縁膜22と、エッチングストッパ膜23と、層間絶縁膜24と、酸化抑制膜25と、層間絶縁膜26とを有する。カバー膜21はトランジスタTr1及びTr2を覆う。カバー膜21は窒化シリコン(SiN)膜等の絶縁膜である。層間絶縁膜22はカバー膜21の上に設けられている。層間絶縁膜22はSiO膜等の絶縁膜である。エッチングストッパ膜23は層間絶縁膜22の上に設けられている。エッチングストッパ膜23はSiN膜等の絶縁膜である。層間絶縁膜24はエッチングストッパ膜23の上に設けられている。層間絶縁膜24はSiO膜等の絶縁膜である。酸化抑制膜25は層間絶縁膜24の上に設けられている。酸化抑制膜25はSiN膜等の絶縁膜である。層間絶縁膜26は酸化抑制膜25の上に設けられている。層間絶縁膜26はSiO膜等の絶縁膜である。
【0016】
半導体記憶装置100は、2つの導電プラグ31と、導電プラグ32とを有する。一方の導電プラグ31は、層間絶縁膜22及びカバー膜21を貫通して、トランジスタTr1のシリサイド層17に接し、トランジスタTr1のソース領域15に電気的に接続されている。他方の導電プラグ31は、層間絶縁膜22及びカバー膜21を貫通して、トランジスタTr2のシリサイド層17に接し、トランジスタTr2のソース領域15に電気的に接続されている。導電プラグ32は、層間絶縁膜22及びカバー膜21を貫通して、シリサイド層18に接し、ドレイン領域16に電気的に接続されている。導電プラグ31及び32はタングステン(W)膜等の導電膜を有する。
【0017】
半導体記憶装置100は、配線33と、2つの導電プラグ34とを有する。配線33は、層間絶縁膜24及びエッチングストッパ膜23を貫通して、導電プラグ32に接し、ドレイン領域16に電気的に接続されている。配線33は酸化抑制膜25により覆われている。一方の導電プラグ34は、層間絶縁膜26、酸化抑制膜25、層間絶縁膜24及びエッチングストッパ膜23を貫通して、一方の導電プラグ31に接し、トランジスタTr1のソース領域15に電気的に接続されている。他方の導電プラグ34は、層間絶縁膜26、酸化抑制膜25、層間絶縁膜24及びエッチングストッパ膜23を貫通して、他方の導電プラグ31に接し、トランジスタTr2のソース領域15に電気的に接続されている。配線33及び導電プラグ34はW膜等の導電膜を有する。配線33はビット線として用いられる。
【0018】
強誘電体キャパシタCap1及びCap2は、いずれも、下部電極41と、下部金属膜42と、下部導電性金属酸化物膜43と、強誘電体膜44と、上部導電性金属酸化物膜45と、上部金属膜46と、上部電極47とを有する。
【0019】
強誘電体キャパシタCap1の下部電極41は一方の導電プラグ34に接し、トランジスタTr1のソース領域15に電気的に接続されている。強誘電体キャパシタCap2の下部電極41は一方の導電プラグ34に接し、トランジスタTr2のソース領域15に電気的に接続されている。下部電極41は、例えば窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜若しくはW膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。下部電極41の熱膨張係数は、例えば4.5×10-6-1~10×10-6-1である。下部電極41の厚さは、例えば50nm~200nm程度である。下部電極41は第1電極の一例である。
【0020】
下部金属膜42は下部電極41の上に設けられている。下部金属膜42は第1金属元素を含む。第1金属元素は、例えばイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)若しくは白金(Pt)又はこれらの任意の組み合わせである。下部金属膜42は、例えばIr膜、Ru膜若しくはPt膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。下部金属膜42の厚さは、例えば5nm~100nm程度である。下部電極41は下部金属膜42よりも厚い。下部金属膜42は第1金属膜の一例である。
【0021】
下部導電性金属酸化物膜43は下部金属膜42の上に設けられている。下部導電性金属酸化物膜43は第1金属元素を含む。下部導電性金属酸化物膜43は、例えば酸化Ir(IrO)膜、酸化Ru(RuO)膜若しくは酸化Pt(PtO)膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。下部導電性金属酸化物膜43の厚さは、例えば1nm~2nm程度である。下部導電性金属酸化物膜43は第1導電性金属酸化物膜の一例である。
【0022】
強誘電体膜44は下部導電性金属酸化物膜43の上に設けられている。強誘電体膜44は酸化ハフニウム(HfO)系の強誘電体膜である。強誘電体膜44は、例えばジルコニウム(Zr)若しくはシリコン(Si)又はこれらの両方が添加されたHfO膜である。強誘電体膜44の厚さは、例えば5nm~100nm程度である。
【0023】
上部導電性金属酸化物膜45は強誘電体膜44の上に設けられている。上部導電性金属酸化物膜45は第2金属元素を含む。第2金属元素は、例えばIr、Ru若しくはPt又はこれらの任意の組み合わせである。第2金属元素が第1金属元素と同一であってもよく、第1金属元素とは相違していてもよい。上部導電性金属酸化物膜45は、例えばIrO膜、RuO膜若しくはPtO膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。上部導電性金属酸化物膜45の厚さは、例えば1nm~2nm程度である。上部導電性金属酸化物膜45は第2導電性金属酸化物膜の一例である。
【0024】
上部金属膜46は上部導電性金属酸化物膜45の上に設けられている。上部金属膜46は第2金属元素を含む。上部金属膜46は、例えばIr膜、Ru膜若しくはPt膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。上部金属膜46の厚さは、例えば5nm~100nm程度である。
【0025】
上部電極47は上部金属膜46の上に設けられている。上部電極47は、例えばTiN膜、TaN膜若しくはW膜又はこれらの任意の組み合わせを含む。上部電極47の熱膨張係数は、例えば4.5×10-6-1~10×10-6-1である。上部電極47の厚さは、例えば50nm~200nm程度である。上部電極47は上部金属膜46よりも厚い。上部電極47は第2電極の一例である。
【0026】
このように、強誘電体膜44が下部電極41と上部電極47との間に設けられている。下部金属膜42が下部電極41と強誘電体膜44との間に設けられている。下部導電性金属酸化物膜43が下部金属膜42と強誘電体膜44との間に設けられている。上部金属膜46が上部電極47と強誘電体膜44との間に設けられている。上部導電性金属酸化物膜45が上部金属膜46と強誘電体膜44との間に設けられている。
【0027】
半導体記憶装置100は、保護膜48と、層間絶縁膜27とを有する。保護膜48は強誘電体キャパシタCap1及びCap2を覆う。保護膜48は酸化アルミニウム(Al)膜等の絶縁膜である。保護膜48の厚さは、例えば10nm程度である。層間絶縁膜27は保護膜48の上に設けられている。層間絶縁膜27はSiO膜等の絶縁膜である。
【0028】
半導体記憶装置100は、2つの導電プラグ35と、配線50とを有する。一方の導電プラグ35は、層間絶縁膜27及び保護膜48を貫通して、強誘電体キャパシタCap1の上部電極47に接し、強誘電体キャパシタCap1の上部電極47に電気的に接続されている。一方の導電プラグ35は、層間絶縁膜27及び保護膜48を貫通して、強誘電体キャパシタCap2の上部電極47に接し、強誘電体キャパシタCap2の上部電極47に電気的に接続されている。配線50は、層間絶縁膜27及び2つの導電プラグ35の上に設けられ、2つの導電プラグ35に電気的に接続されている。配線50はアルミニウム(Al)膜等の導電膜を有する。配線50はプレート線として用いられる。
【0029】
半導体記憶装置100は層間絶縁膜28を有する。層間絶縁膜28は配線50を覆う。層間絶縁膜28はSiO膜等の絶縁膜である。
【0030】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置100の製造方法の二つの例について説明する。図2図5は、実施形態に係る半導体記憶装置100の製造方法の第1例を示す断面図である。図6図8は、実施形態に係る半導体記憶装置100の製造方法の第2例を示す断面図である。
【0031】
第1例では、まず、図2に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜3と、トランジスタTr1及びTr2を形成する。次いで、カバー膜21及び層間絶縁膜22を形成し、導電プラグ31及び32を形成し、エッチングストッパ膜23及び層間絶縁膜24を形成し、配線33を形成し、酸化抑制膜25及び層間絶縁膜26を形成し、導電プラグ34を形成する。
【0032】
その後、図3に示すように、層間絶縁膜26及び導電プラグ34の上に、下部電極41A、下部金属膜42A、強誘電体膜44A、上部金属膜46A及び上部電極47Aを全面に形成する。
【0033】
第1例では、好ましくは、下部電極41A、下部金属膜42A、強誘電体膜44A、上部金属膜46A及び上部電極47Aは、下記の式(3)で表される熱膨張係数α3が12×10-6-1以下となるように形成する。
【0034】
α3=αBEA×dBEA/D3+αBMA×dBMA/D3+αFA×dFA/D3+αTMA×dTMA/D3+αTEA×dTEA/D3 ・・・(3)
【0035】
αBEAは下部電極41Aの熱膨張係数であり、dBEAは下部電極41Aの厚さである。αBMAは下部金属膜42Aの熱膨張係数であり、dBMAは下部金属膜42Aの厚さである。αFAは強誘電体膜44Aの熱膨張係数であり、dFAは強誘電体膜44Aの厚さである。αTMAは上部金属膜46Aの熱膨張係数であり、dTMAは上部金属膜46Aの厚さである。αTEAは上部電極47Aの熱膨張係数であり、dTEAは上部電極47Aの厚さである。D3は下部電極41Aの厚さ、下部金属膜42Aの厚さ、強誘電体膜44Aの厚さ、上部金属膜46Aの厚さ及び上部電極47Aの厚さの和である。
【0036】
続いて、熱処理を行う。この結果、強誘電体膜44Aが結晶化する。この熱処理としては、例えば窒素(N)ガス雰囲気中で、例えば400℃~600℃の温度での急速加熱処理(rapid thermal annealing:RTA)を行う。この熱処理の際に、強誘電体膜44A中の酸素原子の一部が下部金属膜42A及び上部金属膜46Aに拡散し、図4に示すように、下部金属膜42Aの一部が下部導電性金属酸化物膜43Aとなり、上部金属膜46Aの一部が上部導電性金属酸化物膜45Aとなる。
【0037】
次いで、上部電極47A、上部金属膜46A、上部導電性金属酸化物膜45A、強誘電体膜44A、下部導電性金属酸化物膜43A、下部金属膜42A及び下部電極41Aの積層体をエッチングする。この結果、図5に示すように、上部電極47、上部金属膜46、上部導電性金属酸化物膜45、強誘電体膜44、下部導電性金属酸化物膜43、下部金属膜42及び下部電極41を有する強誘電体キャパシタCap1及びCap2が形成される。その後、強誘電体キャパシタCap1及びCap2を覆う保護膜48を形成する。
【0038】
続いて、層間絶縁膜27、導電プラグ35、配線50及び層間絶縁膜28を形成する(図1参照)。
【0039】
このようにして、実施形態に係る半導体記憶装置100を製造することができる。
【0040】
第2例では、まず、第1例と同様に、層間絶縁膜26及び導電プラグ34の上への、下部電極41A、下部金属膜42A、強誘電体膜44A、上部金属膜46A及び上部電極47Aの形成までの処理を行う(図3参照)。
【0041】
第2例では、好ましくは、下部電極41A、下部金属膜42A及び強誘電体膜44Aは、下記の式(4)で表される熱膨張係数α4が12×10-6-1以下となるように形成する。
【0042】
α4=αBEA×dBEA/D4+αBMA×dBMA/D4+αFA×dFA/D4 ・・・(4)
【0043】
D4は下部電極41Aの厚さ、下部金属膜42Aの厚さ及び強誘電体膜44Aの厚さの和である。
【0044】
次いで、図6に示すように、上部電極47A及び上部金属膜46Aの積層体をエッチングする。その後、上部電極47A、上部金属膜46A及び強誘電体膜44Aを覆う保護膜49を形成する。保護膜49は保護膜48の一部となる膜である。
【0045】
続いて、熱処理を行う。この結果、強誘電体膜44Aが結晶化する。この熱処理としては、例えば窒素(N)ガス雰囲気中で、例えば400℃~600℃の温度でのRTAを行う。この熱処理の際に、強誘電体膜44A中の酸素原子の一部が下部金属膜42A及び上部金属膜46Aに拡散し、図7に示すように、下部金属膜42Aの一部が下部導電性金属酸化物膜43Aとなり、上部金属膜46Aの一部が上部導電性金属酸化物膜45Aとなる。
【0046】
次いで、強誘電体膜44A、下部導電性金属酸化物膜43A、下部金属膜42A及び下部電極41Aの積層体をエッチングする。この結果、図8に示すように、上部電極47、上部金属膜46、上部導電性金属酸化物膜45、強誘電体膜44、下部導電性金属酸化物膜43、下部金属膜42及び下部電極41を有する強誘電体キャパシタCap1及びCap2が形成される。その後、強誘電体キャパシタCap1及びCap2を覆う保護膜48を形成する。
【0047】
続いて、層間絶縁膜27、導電プラグ35、配線50及び層間絶縁膜28を形成する(図1参照)。
【0048】
このようにして、実施形態に係る半導体記憶装置100を製造することができる。
【0049】
第1例、第2例のいずれにおいても、熱処理前に強誘電体膜44Aが下部電極41Aに接していると、熱処理の際に、強誘電体膜44A中の酸素原子の一部が下部電極41Aに拡散し、下部電極41Aを構成する材料の酸化物膜が形成される。下部電極41Aを構成する材料の例はTiN、TaN及びWであるが、これらの材料の酸化物膜は導電性を示さず、常誘電体膜として機能するため、下部電極41Aと強誘電体膜44Aとの間に、強誘電体膜44Aに直列に接続されるキャパシタが寄生することになる。同じく、熱処理前に強誘電体膜44Aが上部電極47Aに接していると、上部電極47Aと強誘電体膜44Aとの間に、強誘電体膜44Aに直列に接続されるキャパシタが寄生することになる。そして、これらキャパシタが寄生すると、強誘電体キャパシタにおいて、強誘電体膜44に印加される電圧が、下部電極41と上部電極47との間の電圧よりも低くなってしまう。
【0050】
一方、本実施形態では、熱処理前に強誘電体膜44Aと下部電極41Aとの間に下部金属膜42Aが形成されており、熱処理の際に下部導電性金属酸化物膜43Aが形成される。同じく、熱処理前に強誘電体膜44Aと上部電極47Aとの間に上部金属膜46Aが形成されており、熱処理の際に上部導電性金属酸化物膜45Aが形成される。下部導電性金属酸化物膜43A及び上部導電性金属酸化物膜45Aは導電性を有するため、強誘電体キャパシタCap1及びCap2において、強誘電体膜44に印加される電圧は、下部電極41と上部電極47との間の電圧と実質的に等しい。従って、優れた強誘電体特性を得ることができる。
【0051】
また、強誘電体膜44A中の酸素原子の下部電極41A又は上部電極47Aへの拡散は実質的に抑制される。このため、下部電極41及び上部電極47は、不可避的不純物としての酸素より多くの酸素を含まない。従って、下部電極41及び上部電極47のいずれにおいても、厚さ方向での酸素濃度の変動は小さく、好ましくは酸素濃度の最大値は最小値の1.2倍以下であり、より好ましくは酸素濃度の最大値は最小値の1.1倍以下である。
【0052】
また、本願発明者が鋭意検討を行った結果、強誘電体キャパシタCap1及びCap2を構成する膜のうちで熱処理時に半導体基板1のほぼ全体に形成されている膜の積層体の熱膨張係数が12×10-6-1以下であると、強誘電体膜44の残留応力が適切なものとなり、特に優れた強誘電体特性が得られることが判明した。
【0053】
従って、第1例において熱膨張係数α3が12×10-6-1以下である場合、強誘電体キャパシタCap1及びCap2において強誘電体膜44の残留応力が適切なものとなり、特に優れた強誘電体特性を得ることができる。また、第2例において熱膨張係数α4が12×10-6-1以下である場合も、強誘電体キャパシタCap1及びCap2において強誘電体膜44の残留応力が適切なものとなり、特に優れた強誘電体特性を得ることができる。
【0054】
なお、下部金属膜42Aから下部金属膜42及び下部導電性金属酸化物膜43が形成され、上部金属膜46Aから上部金属膜46及び上部導電性金属酸化物膜45が形成されるため、半導体記憶装置100において熱処理時の熱膨張係数α3又はα4を特定することはできない。しかし、下部導電性金属酸化物膜43及び上部導電性金属酸化物膜45は極めて薄いため、第1例の方法で製造された場合には、下記の式(1)で表される熱膨張係数α1で熱膨張係数α3を近似でき、第2例の方法で製造された場合には、下記の式(2)で表される熱膨張係数α2で熱膨張係数α2を近似できる。
【0055】
α1=αBE×dBE/D1+αBM×dBM/D1+α×d/D1+αTM×dTM/D1+αTE×dTE/D1 ・・・(1)
【0056】
α2=αBE×dBE/D2+αBM×dBM/D2+α×d/D2 ・・・(2)
【0057】
αBEは下部電極41の熱膨張係数であり、dBEは下部電極41の厚さである。αBMは下部金属膜42の熱膨張係数であり、dBMは下部金属膜42の厚さである。αは強誘電体膜44の熱膨張係数であり、dは強誘電体膜44の厚さである。αTMは上部金属膜46の熱膨張係数であり、dTMは上部金属膜46の厚さである。αTEは上部電極47の熱膨張係数であり、dTEは上部電極47の厚さである。D1は下部電極41の厚さ、下部金属膜42の厚さ、強誘電体膜44の厚さ、上部金属膜46の厚さ及び上部電極47の厚さの和である。D2は下部電極41の厚さ、下部金属膜42の厚さ及び強誘電体膜44の厚さの和である。
【0058】
半導体記憶装置100が第1例、第2例のどちらの方法により製造されたかは、例えば保護膜48の構成に基づいて区別することができる。すなわち、第2例の方法で製造された場合には、保護膜48が保護膜49を含むのに対し、第1例の方法で製造された場合には、保護膜48が保護膜49を含まない。
【0059】
また、熱膨張係数α4は熱膨張係数α3未満であるため、熱膨張係数α3が12×10-6-1以下であれば、必然的に熱膨張係数α4も12×10-6-1以下である。従って、半導体記憶装置100が第1例、第2例のどちらの方法により製造されたか区別できない場合であっても、熱膨張係数α3が12×10-6-1以下であれば、熱処理時に熱膨張係数α1及びα2の両方が12×10-6-1以下であったと推定できる。
【0060】
なお、下部金属膜42及び上部金属膜46の厚さは5nm~100nmであることが好ましい。下部金属膜42又は上部金属膜46の厚さが5nmより小さい場合、熱処理時に強誘電体膜44Aから下部電極41A又は上部電極47Aに酸素原子が拡散し、常誘電体膜が形成されるおそれがある。下部金属膜42又は上部金属膜46の厚さが100nmより大きい場合、下部金属膜42又は上部金属膜46のエッチングに要する時間が長くなるおそれがある。
【0061】
半導体記憶装置は、例えば不揮発性メモリとして使用することができる。
【0062】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0064】
(付記1)
トランジスタと、
前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタと、
を有し、
前記強誘電体キャパシタは、
前記トランジスタに接続された第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、
前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、
前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜と、
前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、
前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に設けられ、前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜と、
を有する半導体記憶装置。
(付記2)
前記第1電極の熱膨張係数をα1E、前記第1電極の厚さをd1E、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1M、前記第1金属膜の厚さをd1M、前記強誘電体膜の熱膨張係数をα、前記強誘電体膜の厚さをd、前記第2金属膜の熱膨張係数をα2M、前記第2金属膜の厚さをd2M、前記第2電極の熱膨張係数をα2E、前記第2電極の厚さをd2E、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ、前記強誘電体膜の厚さ、前記第2金属膜の厚さ及び前記第2電極の厚さの和をD1としたとき、式(1)で表されるα1の値が12×10-6-1以下である付記1に記載の半導体記憶装置。
α1=α1E×d1E/D1+α1M×d1M/D1+α×d/D1+α2M×d2M/D1+α2E×d2E/D1 ・・・(1)
(付記3)
前記第1電極の熱膨張係数をα1E、前記第1電極の厚さをd1E、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1M、前記第1金属膜の厚さをd1M、前記強誘電体膜の熱膨張係数をα、前記強誘電体膜の厚さをd、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ及び前記強誘電体膜の厚さの和をD2としたとき、式(2)で表されるα2の値が12×10-6-1以下である付記1に記載の半導体記憶装置。
α2=α1E×d1E/D2+α1M×d1M/D2+α×d/D2・・・(2)
(付記4)
前記強誘電体膜は、ジルコニウム若しくはシリコン又はこれらの両方が添加された酸化ハフニウム膜である付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記5)
前記第1電極及び前記第2電極は、窒化チタン膜、窒化タンタル膜若しくはタングステン膜又はこれらの任意の組み合わせを含む付記4に記載の半導体記憶装置。
(付記6)
前記第1金属元素及び前記第2金属元素は、イリジウム、ルテニウム若しくは白金又はこれらの任意の組み合わせである付記5に記載の半導体記憶装置。
(付記7)
前記第1金属膜及び前記第2金属膜の厚さは、5nm~100nmである付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記8)
前記第1電極及び前記第2電極において、酸素濃度の最大値は最小値の1.2倍以下である付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記9)
トランジスタを形成する工程と、
前記トランジスタに接続された強誘電体キャパシタを形成する工程と、
を有し、
前記強誘電体キャパシタを形成する工程は、
前記トランジスタに接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた酸化ハフニウム系の強誘電体膜と、前記第1電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第1金属元素を含む第1金属膜と、前記第2電極と前記強誘電体膜との間に設けられ、第2金属元素を含む第2金属膜と、を含む積層体を形成する工程と、
前記積層体の熱処理を行い、前記第1金属膜と前記強誘電体膜との間に前記第1金属元素の酸化物を含む第1導電性金属酸化物膜を形成し、前記第2金属膜と前記強誘電体膜との間に前記第2金属元素の酸化物を含む第2導電性金属酸化物膜を形成する工程と、
を有する半導体記憶装置の製造方法。
(付記10)
前記積層体において、前記第1電極の熱膨張係数をα1EA、前記第1電極の厚さをd1EA、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1MA、前記第1金属膜の厚さをd1MA、前記強誘電体膜の熱膨張係数をαFA、前記強誘電体膜の厚さをdFA、前記第2金属膜の熱膨張係数をα2MA、前記第2金属膜の厚さをd2MA、前記第2電極の熱膨張係数をα2EA、前記第2電極の厚さをd2EA、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ、前記強誘電体膜の厚さ、前記第2金属膜の厚さ及び前記第2電極の厚さの和をD3としたとき、式(3)で表されるα3の値が12×10-6-1以下であり、
前記熱処理を行う工程の後に、前記第1電極、前記第1金属膜、前記第1導電性金属酸化物膜、前記強誘電体膜、前記第2導電性金属酸化物膜、前記第2金属膜及び前記第2電極をエッチングする工程を有する付記9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
α3=α1EA×d1EA/D3+α1MA×d1MA/D3+αFA×dFA/D3+α2MA×d2MA/D3+α2EA×d2EA/D3 ・・・(3)
(付記11)
前記積層体において、前記第1電極の熱膨張係数をα1EA、前記第1電極の厚さをd1EA、前記第1金属膜の熱膨張係数をα1MA、前記第1金属膜の厚さをd1MA、前記強誘電体膜の熱膨張係数をαFA、前記強誘電体膜の厚さをdFA、前記第1電極の厚さ、前記第1金属膜の厚さ及び前記強誘電体膜の厚さの和をD4としたとき、式(4)で表されるα4の値が12×10-6-1以下であり、
前記熱処理を行う工程の前に、前記第2金属膜及び前記第2電極をエッチングする工程を有し、
前記熱処理を行う工程の後に、前記第1電極、前記第1金属膜及び前記第1導電性金属酸化物膜、前記強誘電体膜をエッチングする工程を有する付記9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
α4=α1EA×d1EA/D4+α1MA×d1MA/D4+αFA×dFA/D4・・・(4)
【符号の説明】
【0065】
1:半導体基板
41、41A:下部電極
42、42A:下部金属膜
43、43A:下部導電性金属酸化物膜
44、44A:強誘電体膜
45、45A:上部導電性金属酸化物膜
46、46A:上部金属膜
47、47A:上部電極
48、49:保護膜
100:半導体記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8