IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピステクノロジー株式会社の特許一覧

特開2024-151473デジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151473
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】デジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20241018BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241018BHJP
   G09G 3/3275 20160101ALI20241018BHJP
   H03M 1/66 20060101ALI20241018BHJP
   H03M 1/74 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G09G3/20 623F
G09G3/36
G09G3/3275
G09G3/20 611H
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 612F
G09G3/20 641Q
H03M1/66 C
H03M1/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064830
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
5C380
5J022
【Fターム(参考)】
5C006AA16
5C006AF82
5C006BC11
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF31
5C006BF43
5C080AA06
5C080AA10
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C380BA21
5C380CA04
5C380CA12
5C380CE07
5C380CF28
5C380CF48
5C380CF51
5C380CF52
5C380CF64
5C380DA06
5J022AB06
5J022BA03
5J022CF02
5J022CF04
5J022CF07
(57)【要約】
【課題】
オフセットキャンセル駆動を効果的に行って出力ばらつきの減少を図ることができるデジタルアナログ変換器を提供する。
【解決手段】
Kビットのデジタルデータ信号、第1及び第2の電圧を受け入れ、デジタルデータ信号に応じて各々が第1又は第2の電圧を示す2のK乗個の電圧を生成するデコーダと、2のK乗個の電圧に応じて第1及び第2の電圧の電圧間を2のK乗個に分割した2のK乗個の電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する出力電圧を出力する差動増幅器と、を備え、差動増幅器は、2のK乗個の電圧を受け入れるMUXと、2のK乗個の差動対と、2のK乗個の差動対の出力が供給される増幅段とを有し、差動対の各々で第1の状態に一方の入力端への入力電圧と、それに続く第2の状態に他方の入力端への入力電圧とが異なることが積極的に生じるようにMUXが差動対の各々の入力端への電圧供給を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Kビット(Kは2以上の正数)のデジタルデータ信号、第1の電圧及び前記第1の電圧とは異なる電圧レベルの第2の電圧を受け入れ、前記デジタルデータ信号に応じて各々が前記第1の電圧又は前記第2の電圧を示す2のK乗個の電圧を生成する第1デコーダと、
前記2のK乗個の電圧に応じて前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧間を2のK乗個に分割した2のK乗個の電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する出力電圧を出力する差動増幅器と、を備えるデジタルアナログ変換器であって、
前記差動増幅器は、
各々が第1及び第2差動入力端と第1及び第2差動出力端を有し、前記第1差動出力端同士が第1のノードに接続され、前記第2差動出力端同士が第2のノードに接続された2のK乗個の差動対と、
非反転入力端及び反転入力端を有し、第1の状態では前記非反転入力端が前記第1のノードに接続されかつ前記反転入力端が前記第2のノードに接続され、第2の状態では前記非反転入力端が前記第2のノードに接続されかつ前記反転入力端が前記第1のノードに接続され、前記非反転入力端及び前記反転入力端各々への入力電圧に応じて前記出力電圧を出力する増幅段と、
前記第1デコーダから前記2のK乗個の電圧を受け入れる2のK乗個の入力端を有し、前記第1の状態では前記2のK乗個の入力端を同数で2群の入力端に分けたうちの一方の群の入力端の電圧を、前記2のK乗個の差動対を同数で2群の差動対に分けたうちの一方の群の差動対の前記第1差動入力端に各々供給し、前記2群の入力端のうちの他方の群の入力端の電圧を前記2群の差動対のうちの他方の群の差動対の前記第1差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第2差動入力端に供給し、前記第2の状態では前記一方の群の入力端の電圧を前記他方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、前記他方の群の入力端の電圧を前記一方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第1差動入力端に供給するマルチプレクサと、を含むことを特徴とするデジタルアナログ変換器。
【請求項2】
前記増幅段及び前記マルチプレクサは制御信号に応じて前記第1の状態と前記第2の状態を切り替えることを特徴とする請求項1記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項3】
前記制御信号は、所定の周期で交互に切り替えを行う第1の期間と第2の期間を有し、前記第1の期間に亘って前記第1の状態を指定し、前記第2の期間に亘って前記第2の状態を指定することを特徴とする請求項2記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項4】
前記マルチプレクサは、
前記制御信号に応じて前記第1の状態で各々オンとなり、前記一方の群の入力端の電圧を前記一方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、前記他方の群の入力端の電圧を前記他方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第2差動入力端に供給する前記2のK乗個の2倍の数の第1スイッチ群と、
前記制御信号に応じて前記第2の状態で各々オンとなり、前記一方の群の入力端の電圧を前記他方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、前記他方の群の入力端の電圧を前記一方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第1差動入力端に供給する前記2のK乗個の2倍の数の第2スイッチ群と、を含むことを特徴とする請求項2又は3記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項5】
前記マルチプレクサは、前記第1の状態及び前記第2の状態の夫々で、前記2のK乗個の入力端から前記2のK乗個の差動対の第1差動入力端及び第2差動入力端に夫々供給される電圧が前記Kビットのデジタルデータ信号に依らずそれぞれ同一となる複数の端子を有する場合、前記2のK乗個の入力端のうちの前記複数の端子に対応する端子同士を共通化し、前記2のK乗個の差動対の第1差動入力端のうちの前記複数の端子に対応する端子同士を共通化し、前記2のK乗個の差動対の第2差動入力端のうちの前記複数の端子に対応する端子同士を共通化し、更に、前記2のK乗個の2倍の数のスイッチを有する前記第1のスイッチ群及び前記第2のスイッチ群のうち、共通化した端子同士の間に接続される複数のスイッチも共通化されることを特徴とする請求項2又は3記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項6】
Mビット(MはKより大きい正数)のデジタルデータ信号のうちの上位(M-K)ビットのデジタル値に基づき、互いに異なる電圧レベルの複数の参照電圧のうちから隣接する2つの参照電圧を選択し各々を前記第1の電圧及び前記第2の電圧として前記第1のデコーダに供給する第2のデコーダと、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項7】
前記複数の参照電圧を生成する参照電圧群生成部を更に含むことを特徴とする請求項6記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項8】
前記参照電圧群生成部は、
両端に所定の電源電圧が与えられ、抵抗分割により複数のガンマ参照電圧を生成する第1のラダー抵抗と、
前記複数のガンマ参照電圧を受け、ガンマ設定デジタルコードに基づき、前記複数のガンマ参照電圧のうちから隣接する2つのガンマ参照電圧を選択し、前記2つのガンマ参照電圧のうちの一方又は他方を複数のガンマ入力電圧として振り分ける第3デコーダと、
各々が複数の入力端を有し、前記複数の入力端で受けた前記ガンマ入力電圧の加重平均電圧をガンマ電源電圧として夫々が出力する複数のガンマアンプと、
前記複数のガンマアンプから夫々出力された前記ガンマ電源電圧を複数のタップに受け、前記複数のタップ間の抵抗分割により前記複数の参照電圧を生成する第2のラダー抵抗と、を含むことを特徴とする請求項7記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項9】
前記第3デコーダには、前記デジタルデータ信号として前記ガンマ設定デジタルコードが入力され、前記第1の電圧及び前記第2の電圧として前記2つのガンマ参照電圧が入力される前記第1デコーダが適用され、前記複数のガンマアンプの各々には前記差動増幅器が適用されることを特徴とする請求項8記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の前記デジタルアナログ変換器を複数含み、
画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ片の各々を、複数の前記デジタルアナログ変換器により、各々がアナログの電圧レベルを有する複数の前記出力電圧に変換し、前記複数の出力電圧を各々が有する複数の駆動信号を表示パネルの複数のデータ線に各々供給することを特徴とするデータドライバ。
【請求項11】
複数の表示セルが夫々に接続されている複数のデータ線を有する表示パネルと、
請求項1乃至3のいずれか1に記載の前記デジタルアナログ変換器を複数含み、各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ片の各々を、複数の前記デジタルアナログ変換器により、各々がアナログの電圧レベルを有する複数の前記出力電圧に変換し、前記複数の出力電圧を各々が有する複数の駆動信号を前記表示パネルの前記複数のデータ線に各々供給するデータドライバと、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアナログ変換器、及び当該デジタルアナログ変換器を含むデータドライバ、及び当該データドライバを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、アクティブマトリクス型の表示装置として、液晶表示装置、或いは有機EL表示装置等が主流となっている。このような表示装置には、複数のデータ線と複数の走査線が交差状に配線され、複数のデータ線に画素スイッチを介して接続されている表示セルがマトリクス状に配列された表示パネルと共に、表示パネルの複数のデータ線へ階調レベルに対応したアナログ電圧信号を供給するデータドライバと、表示パネルの複数の走査線へ各画素スイッチのオン、オフを制御する走査信号を供給する走査ドライバが搭載されている。データドライバには、映像デジタル信号を輝度レベルに対応したアナログの電圧に変換し、これを増幅した電圧信号を表示パネルの各データ線に供給するデジタルアナログ変換部が含まれている。
【0003】
以下に、データドライバの概略構成について説明する。
【0004】
データドライバは、例えばシフトレジスタ、データレジスタラッチ、レベルシフタ、デジタルアナログ変換部を含む。
【0005】
シフトレジスタは、表示コントローラから供給されたスタートパルスに応じて、クロック信号に同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチに供給する。データレジスタラッチは、シフトレジスタから供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、表示コントローラから供給された映像デジタルデータを所定のS個(Sは2以上の整数)毎に取り込み、S個の映像デジタルデータ信号をレベルシフタに供給する。レベルシフタは、データレジスタラッチから供給されたS個の映像デジタルデータ信号の各々に対して、その信号振幅を増加するレベルシフト処理を施して得たS個のレベルシフト後の映像デジタルデータ信号をデジタルアナログ変換部に供給する。
【0006】
デジタルアナログ変換部は、参照電圧群生成部、デコーダ部及び増幅部を含む。
【0007】
参照電圧群生成部は、互いに電圧値が異なる複数の参照電圧を生成してデコーダ部に供給する。例えば、参照電圧群生成部は、少なくとも2つの基準電源電圧との間をラダー抵抗で分圧した複数の分圧電圧を参照電圧群とし、その参照電圧群の参照電圧の各々をデコーダ部に供給する。尚、参照電圧群のうちの一部の参照電圧は、表示デバイス(液晶、有機EL)のガンマ特性に応じて電圧値が調整可能とされ、差動増幅器からなるガンマバッファの出力電圧としてラダー抵抗に供給されている。
【0008】
デコーダ部は、データドライバの各出力に夫々対応して設けられているS個のデコーダを有する。デコーダの各々は、参照電圧群生成部で生成された複数の参照電圧が供給されるとともに、レベルシフタから供給された映像デジタルデータ信号を受け、この映像デジタルデータ信号に対応した参照電圧を、複数の参照電圧から選択し、選択した参照電圧を増幅部に供給する。
【0009】
増幅部は、デコーダ部の各デコーダで選択された参照電圧を個別に増幅して出力するS個の差動増幅器を有する。
【0010】
デジタルアナログ変換部では、高画質表示のため、増幅部の各出力毎の差動増幅器は、同一階調出力時の出力間の電圧ばらつきを十分小さく抑えることが求められる。また複数チップを用いた表示装置では、上述したガンマバッファの差動増幅器は、同一階調出力時のチップ間の電圧ばらつきを十分小さく抑えることが求められる。
【0011】
差動増幅器では、半導体製造プロセス等に起因する素子特性のばらつきを抑えるため、接続切替により出力ばらつきの正負を時間平均することで出力ばらつきを低減するオフセットキャンセル(chopping)駆動が知られている。
【0012】
また、かかる差動増幅器としては、多階調に対する面積削減のため、複数の差動対を並列接続した差動分割アンプが用いられている。並列接続された複数の差動対を有する差動増幅器において、最少2状態の切替により出力ばらつきを低減するオフセットキャンセル駆動方法として、差動対の非反転/反転の入力を入れ替える方法がある。また、非反転/反転の入力入替と同時に、複数の差動対間の入力を入れ替える方法も提案されている。
【0013】
例えば、特許文献1には、2つの等価差動段である第1及び第2の差動対を有する差動増幅器において、2つの電圧V(T1)、V(T2)のうちの一方の電圧V(T1)を第1の差動対の非反転入力端へ入力し、他方の電圧V(T2)を第2の差動対の非反転入力端へ入力しかつ出力電圧を第1及び第2の差動対の反転入力端に共通入力する第1の状態と、一方の電圧V(T1)を第2の差動対の反転入力端へ入力し、他方の電圧V(T2)を第1の差動対の反転入力端へ入力しかつ出力電圧を第1及び第2の差動対の非反転入力端に共通入力する第2の状態と、を周期的に切り替える構成が開示されている。
【0014】
特許文献2には、3つ以上の差動対を有する増幅器に対して、反転入力側と非反転入力側のミスマッチと差動対相互のミスマッチを、少ない接続状態の切替をもってキャンセル可能とし、省面積、出力間相互の電圧ばらつきを縮減可能とする出力回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006-310959号公報
【特許文献2】特開2008-122455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に開示された差動増幅器では、反転入力側と非反転入力側の入替、且つ、差動対間の入替は一義的に決まる2個の等価差動段構成で、複数の入替が可能な2のM乗個(M≧2)の等価差動段を有する差動増幅器には単純に適用できないという課題があった。
【0017】
特許文献2に開示された差動増幅器では、(2-1)の差動対が備えられ、差動対毎に2つの入力電圧を第1の接続状態と第2の接続状態とで入れ替える仕様が固定されているので、最適な差動対間の入替方法になるとは限らないという課題があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、2のK(Kは2以上の整数)乗個の差動対を含む差動増幅器を備え、オフセットキャンセル駆動を効果的に行って出力ばらつきの減少を図ることができるデジタルアナログ変換器、当該デジタルアナログ変換器を備えたデータドライバ、及び当該データドライバを備えた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のデジタルアナログ変換器は、Kビット(Kは2以上の正数)のデジタルデータ信号、第1の電圧及び前記第1の電圧とは異なる電圧レベルの第2の電圧を受け入れ、前記デジタルデータ信号に応じて各々が前記第1の電圧又は前記第2の電圧を示す2のK乗個の電圧を生成する第1デコーダと、前記2のK乗個の電圧に応じて前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧間を2のK乗個に分割した2のK乗個の電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する出力電圧を出力する差動増幅器と、を備えるデジタルアナログ変換器であって、前記差動増幅器は、各々が第1及び第2差動入力端と第1及び第2差動出力端を有し、前記第1差動出力端同士が第1のノードに接続され、前記第2差動出力端同士が第2のノードに接続された2のK乗個の差動対と、非反転入力端及び反転入力端を有し、第1の状態では前記非反転入力端が前記第1のノードに接続されかつ前記反転入力端が前記第2のノードに接続され、第2の状態では前記非反転入力端が前記第2のノードに接続されかつ前記反転入力端が前記第1のノードに接続され、前記非反転入力端及び前記反転入力端各々への入力電圧に応じて前記出力電圧を出力する増幅段と、前記第1デコーダから前記2のK乗個の電圧を受け入れる2のK乗個の入力端を有し、前記第1の状態では前記2のK乗個の入力端を同数で2群の入力端に分けたうちの一方の群の入力端の電圧を、前記2のK乗個の差動対を同数で2群の差動対に分けたうちの一方の群の差動対の前記第1差動入力端に各々供給し、前記2群の入力端のうちの他方の群の入力端の電圧を前記2群の差動対のうちの他方の群の差動対の前記第1差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第2差動入力端に供給し、前記第2の状態では前記一方の群の入力端の電圧を前記他方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、前記他方の群の入力端の電圧を前記一方の群の差動対の前記第2差動入力端に各々供給し、かつ前記出力電圧を前記2のK乗個の差動対全ての前記第1差動入力端に供給するマルチプレクサと、を含むことを特徴としている。
【0020】
本発明のデータドライバは、上述したデジタルアナログ変換器を複数含み、各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ片の各々を、複数の前記デジタルアナログ変換器により、各々がアナログの電圧レベルを有する複数の前記出力電圧に変換し、前記複数の出力電圧を各々が有する複数の駆動信号を表示パネルの複数のデータ線に各々供給することを特徴としている。
【0021】
本発明の表示装置は、複数の表示セルが夫々に接続されている複数のデータ線を有する表示パネルと、上述したデジタルアナログ変換器を複数含み、各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ片の各々を、複数の前記デジタルアナログ変換器により、各々がアナログの電圧レベルを有する複数の前記出力電圧に変換し、前記複数の出力電圧を各々が有する複数の駆動信号を前記表示パネルの前記複数のデータ線に各々供給するデータドライバと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明のデジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置によれば、2のK乗個の差動対の各々で第1の状態でマルチプレクサからの第1差動入力端への入力電圧と、それに続く第2の状態のマルチプレクサからの第2差動入力端への入力電圧とが互いに異なる関係を持つ状況が積極的に作り出されているので、オフセットキャンセル駆動が効果的に行われ、これにより出力ばらつきの減少を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるデジタルアナログ変換器の構成を示す回路図である。
図2図1のデジタルアナログ変換器における第1の状態の第1の期間と第2の状態の第2の期間との関係を示す図である。
図3】K=2の場合の図1のデジタルアナログ変換器内のマルチプレクサ(MUX)の構成を示す回路図である。
図4A図3のMUXの場合の第1及び第2の状態における第1乃至第4差動対各々への入力電圧を示す図である。
図4B図3のMUXの場合の第1及び第2の状態における第1乃至第4差動対各々への入力電圧と電圧V<1>~V<4>との電圧レベルの対応関係を示す図である。
図4C図4Bの対応関係において電圧レベルがVA=0、VB=4の場合の第1及び第2の状態における各差動対への入力電圧レベルを示す図である。
図5】電圧レベルがVA=0、VB=4の場合の出力電圧のばらつきをモンテカルロシミュレーションにより推定した結果の特性を示す図である。
図6】電圧レベルがVA=0、VB=4の場合の第1及び第2の状態における各差動対への入力電圧レベルの他の例を示す図である。
図7】K=2の場合のMUXの他の構成を示す回路図である。
図8A図7のMUXの場合の第1及び第2の状態における第1乃至第4差動対各々への入力電圧を示す図である。
図8B図7のMUXの場合の第1及び第2の状態における第1乃至第4差動対各々への入力電圧と電圧V<1>~V<4>との電圧レベルの対応関係を示す図である。
図8C図4Bの対応関係において電圧レベルがVA=0、VB=4の場合の第1及び第2の状態における第1乃至第4差動対各々への入力電圧レベルを示す図である。
図9】電圧レベルがVA=0、VB=4の場合の第1及び第2の状態における各差動対への入力電圧レベルの他の例を示す図である。
図10】K=3の場合の図1のデジタルアナログ変換器内のMUXの構成を示す回路図である。
図11A図10のMUXの場合の第1及び第2の状態における第1乃至第8差動対各々への入力電圧と電圧V<1>~V<8>との電圧レベルの対応関係を示す図である。
図11B図11Aの対応関係において電圧レベルがVA=0、VB=8の場合の第1及び第2の状態における第1乃至第8差動対各々への入力電圧レベルを示す図である。
図12】電圧レベルがVA=0、VB=8の場合の出力電圧のばらつきをモンテカルロシミュレーションにより推定した結果の特性を示す図である。
図13A】1及び第2の状態における第1乃至第8差動対各々への入力電圧と電圧V<1>~V<8>との電圧レベルの対応関係の他の例を示す図である。
図13B図11Aの対応関係において電圧レベルがVA=0、VB=8の場合の第1及び第2の状態における第1乃至第8差動対各々への入力電圧レベルを示す図である。
図14】本発明によるデジタルアナログ変換器の他の構成を示す回路図である。
図15A】K=2の場合の上位(M-K)ビットによるVA、VBの選択電圧と出力電圧Voutとの電圧レベルの対応関係を示す図である。
図15B】K=3の場合の上位(M-K)ビットによるVA、VBの選択電圧と出力電圧Voutとの電圧レベルの対応関係を示す図である。
図16】本発明によるデジタルアナログ変換器が適用された表示装置の構成を示すブロック図である。
図17】本発明によるデジタルアナログ変換器が適用された参照電圧群生成部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0025】
図1は本発明によるデジタルアナログ変換器の概略構成を示している。図1において、このデジタルアナログ変換器は、符号100で示されている。デジタルアナログ変換器100は、デコーダ50と、同一導電型の2のK(Kは2以上の整数)乗個の差動対を含む差動増幅器10と、を有し、Kビットのデジタルデータ信号DTを、アナログの電圧レベルを有する出力電圧Voutに変換する。
【0026】
デコーダ50は、デジタルデータ信号DT、及び互いに異なる電圧値からなる2つの電圧VA及びVBを受ける。デジタルデータ信号DTが示すデジタル値(K=2の場合、D1、D0)は所定のサンプリング周期(1データ期間)で変化することができる。デコーダ50は、デジタルデータ信号DTのデジタル値に基づき、電圧VA及びVBを用いた2のK乗個の電圧からなる組み合わせ電圧V<1>~V<2>を生成し、その生成した電圧V<1>~V<2>を差動増幅器10に供給する。例えば、デコーダ50は、K=2の場合には、デジタル値(D1、D0)を電圧VA及びVBを用いた4つの選択電圧V<1>~V<4>を生成する。また、K=3の場合には、デジタル値(D2、D1、D0)を電圧VA及びVBを用いた8つの選択電圧V<1>~V<8>を生成する。
【0027】
差動増幅器10は、デコーダ50に接続され、デコーダ50から供給される2のK乗個の電圧V<1>~V<2>の平均値となる電圧レベルを増幅し、その増幅結果を出力電圧信号Voutとして出力する。すなわち、2のK乗個の電圧V<1>~V<2>を受けると、出力電圧Voutは、
Vout=(V<1>+V<2>+・・・+V<2>)/K ・・・(1)
となる。
【0028】
尚、電圧V<1>~V<2>の各々は電圧VA及び電圧VBの一方が選択されるので、上式(1)の出力電圧Voutは、電圧VA及びVBを所定の割合で分割する加重平均電圧でもある。したがって、Kビットのデジタルデータ信号DTのデジタル値に基づき、電圧VA又はVBが適切に選択された電圧V<1>~V<2>の2のK乗個の組合せをデコーダ50より差動増幅器10へ供給することにより、電圧VA及びVBとの電圧間を2のK乗個に分割した2のK乗個の電圧レベルを出力電圧Voutとして取り出すことができる。
【0029】
差動増幅器10は、2のK乗個の同一導電型の第1乃至第2差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)と、電流源13-1~13-2と、増幅段30と、MUX(マルチプレクサ)40とを含んでいる。差動増幅器10には、デコーダ50から供給される2のK乗個の電圧V<1>~V<2>の他に入力信号として制御信号CP1、CP2が供給される。例えば、図2に示すように、制御信号CP1は第1の期間に高レベルHとなり、第2の期間に低レベルLとなるように生成され、制御信号CP2は第2の期間に高レベルHとなり、第1の期間に低レベルLとなるように生成される。第1の期間と第2の期間とは同じ時間長であり、例えば、表示パネルの1画面分の表示データを更新するフレーム周期等の所定の周期で繰り返される。第1の期間と第2の期間とでデジタル値D1、D0は同じである。
【0030】
差動増幅器10には後述する2つの接続状態があり、制御信号CP1、CP2はその2つの接続状態のうちのいずれか一方を選択するために増幅段30及びMUX40に供給される信号である。制御信号CP1が供給される第1の期間に第1の状態が生じ、制御信号CP2が供給される第2の期間に第2の状態が生じる。
【0031】
差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々は2つのNチャネル型トランジスタ11_1、12_1~11_2、12_2によって構成されている。差動対(11_1、12_1)の一方のNチャネル型トランジスタ11_1のドレインはノードn11に接続され、一方のNチャネル型トランジスタ12_1のドレインはノードn12に接続されている。トランジスタ11_1、12_1のソースは共通接続されると共に電流源13-1を介して低位電源電圧VSSAの供給ラインに接続されている。差動対(11_1、12_1)の非反転入力端又は反転入力端となるトランジスタ11_1、12_1のゲートは個別にMUX40に接続されている。第2乃至第2差動対(11_2、12_2)~(11_2、12_2)についても第1差動対(11_1、12_1)と同様に接続されている。
【0032】
尚、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)を構成する一方のトランジスタ11_1~11_2のゲートが第1差動入力端であり、他方のトランジスタ12_1~12_2のゲートが第2差動入力端である。また、トランジスタ11_1~11_2のドレインが第1差動出力端であり、他方のトランジスタ12_1~12_2のドレインが第2差動出力端である。
【0033】
尚、以降、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)各々を構成する差動対トランジスタが等価な特性を有するものとして動作を説明する。つまり、実際の構成では、例えば入力が共通な複数の差動対を差動対トランジスタのサイズを変更した一つの差動対に置き換えるケースもあるが、説明の便宜上、各差動対の差動対トランジスタの特性は同一とし、それと等価な構成も本発明に含むものとする。最もシンプルな具体例として、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各差動対トランジスタは全て同一サイズとする。
【0034】
また、差動増幅器10に含まれる差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)としては、図1に示すNチャネル型の差動対に代えて、Pチャネル型の差動対や、Nチャネル型のトランジスタ及びPチャネル型のトランジスタで対を為す両導電型の差動対を採用しても良い。
【0035】
増幅段30は2つの入力端を有する差動増幅器からなり、2つの入力端の一方はノードn11に接続され、他方はノードn12に接続されている。増幅段30には高位電源電圧VDDAと低位電源電圧VSSAとが印加される。また、上述したように増幅段30には制御信号CP1、CP2が供給される。制御信号CP1が供給される第1の状態ではノードn11に接続された一方の入力端が非反転入力端(+)となり、ノードn12に接続された他方の入力端が反転入力端(-)となる。制御信号CP2が供給される第2の状態ではノードn11に接続された一方の入力端が反転入力端(-)となり、ノードn12に接続された他方の入力端が非反転入力端(+)となる。このように第1及び第2の状態の各々においては非反転入力端(+)と反転入力端(-)とが逆になった状態で増幅段30は増幅動作を行い、出力電圧Voutを生成する。出力電圧Voutは帰還電圧FBとしてMUX40に供給される。
【0036】
MUX40は、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)各々の2つのNチャネル型トランジスタ11_1、12_1~11_2、12_2各々のゲートに接続されている。MUX40は、デコーダ50から供給される2のK乗個の電圧V<1>~V<2>を受ける。また、上述したようにMUX40には制御信号CP1、CP2が供給される。
【0037】
MUX40は、制御信号CP1、CP2に応じて電圧V<1>~V<2>のいずれか又は帰還電圧FBをトランジスタ11_1、12_1~11_2、12_2各々のゲートに供給する。MUX40からは差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の一方のトランジスタ11_1~11_2のゲートには電圧V(TL1)~V(TL2)が供給され、他方のトランジスタ12_1~12_2のゲートには電圧V(TR1)~V(TR2)が供給される。制御信号CP1が供給される第1の状態では電圧V(TL1)~V(TL2)の各々は電圧V<1>~V<2>のいずれか1の電圧となり、電圧V(TR1)~V(TR2)の各々は帰還電圧FBとなる。制御信号CP2が供給される第2の状態では電圧V(TL1)~V(TL2)の各々は帰還電圧FBとなり、電圧V(TR1)~V(TR2)の各々は電圧V<1>~V<2>のいずれか1の電圧となる。
【0038】
尚、MUX40において、デコーダ50から供給される2のK乗個の電圧V<1>~V<2>及び2のK乗個の差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)は夫々同数の2群に分けられる。そして制御信号CP1が供給される第1の状態では、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの一方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第1差動入力端(トランジスタ11_1~11_2のゲート)のうち2群に分けられた差動対の一方の群の第1差動入力端に各々供給され、2群に分られけた電圧V<1>~V<2>のうちの他方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第1差動入力端(トランジスタ11_1~11_2のゲート)のうち2群に分けられた差動対の他方の群の第1差動入力端に各々供給される。また第1の状態では、帰還電圧FBが、2のK乗個の差動対の第2差動入力端(トランジスタ12_1~12_2のゲート)の全てに供給される。制御信号CP2が供給される第2の状態では、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの一方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第2差動入力端(トランジスタ12_1~12_2のゲート)のうち2群に分けられた差動対の他方の群の第2差動入力端に各々供給され、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの他方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第2差動入力端(トランジスタ11_1~11_2のゲート)のうち2群に分けられた差動対の一方の群の第2差動入力端に各々供給される。また第2の状態では、帰還電圧FBが、2のK乗個の差動対の第1差動入力端(トランジスタ11_1~11_2のゲート)の全てに供給される。すなわち、第1の状態と第2の状態とでは各差動対には同じ番号の電圧V<1>~V<2>は供給されない。例えば、第1の状態で、2群に分けられた一方の群に属する第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに、2群に分けられた一方の群の電圧V<1>が電圧V(TL1)として供給されると、第2の状態で、差動対(11_1、12_1)のトランジスタ12_1のゲートには、電圧V<1>以外の2群に分けられた他方の群の電圧が電圧V(TR1)として供給される。このことは他の第2乃至第2差動対(11_2、12_2)~(11_2、12_2)についても同様である。
【0039】
そして所定の周期で切り替えを行う第1の期間と第2の期間を設け、第1の期間では第1の状態とし、第2の期間では第2の状態として時間平均化を図ることにより差動対のバラツキによって出力電圧Voutに生じるオフセット電圧をキャンセルすることができる。
【0040】
図3は、かかる構成のデジタルアナログ変換器100の差動増幅器10において、K=2とした場合のMUX40の内部構成例を示している。
【0041】
図3において、MUX40は、デコーダ50から供給される電圧V<1>~V<4>を個別に受け入れる4つの入力端IN1~IN4(第1入力端~第4入力端)を有している。また、MUX40は、2つのスイッチ群41、42を有している。スイッチ群41を構成する各スイッチ41L1~41L4及び41R1~41R4は、制御信号CP1に応答して第1の期間においてオンとなり、第2の期間にオフとなる。スイッチ群42を構成する各スイッチ42L1~42L4及び42R1~42R4は、制御信号CP2に応答して第2の期間においてオンとなり、第1の期間にオフとなる。
【0042】
スイッチ群41のオン時には、デコーダ50から入力端IN1~IN4に供給される電圧V<1>~V<4>はスイッチ41L1~41L4を介して電圧V(TL1)~V(TL4)として出力され、出力電圧Voutである帰還電圧FBはスイッチ41R1~41R4を介して電圧V(TR1)~V(TR4)として出力される。一方、スイッチ群42のオン時には、デコーダ50から供給される電圧V<1>~V<4>のうちの電圧V<1>は42R3を介して電圧V(TR3)として出力され、電圧V<2>は42R4を介して電圧V(TR4)として出力され、電圧V<3>は42R1を介して電圧V(TR1)として出力され、電圧V<4>は42R2を介して電圧V(TR2)として出力され、帰還電圧FBはスイッチ42L1~42L4を介して電圧V(TL1)~V(TL4)として出力される。
【0043】
次に、図3に示した内部構成のMUX40の場合の第1及び第2の状態について説明する。
【0044】
第1の状態では、スイッチ群41がオンとなり、スイッチ群42がオフとなり、MUX40の入力端IN1~IN4のうちの一方の群の入力端IN1、IN2の電圧V<1>、V<2>が第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のうちの一方の群の差動対である第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ11_1、11_2のゲート(第1差動入力端)に各々供給され、他方の群の入力端IN3、IN4の電圧V<3>、V<4>が他方の群の差動対である第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_3、11_4のゲート(第1差動入力端)に各々供給され、かつ出力電圧Voutである帰還電圧FBが第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲート(第2差動入力端)に各々供給される。
【0045】
第2の状態では、スイッチ群41がオフとなり、スイッチ群42がオンとなり、一方の群の入力端IN1、IN2の電圧V<1>、V<2>が他方の群の差動対である第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_3~12_4のゲート(第2差動入力端)に各々供給され、他の群の入力端IN3、IN4の電圧V<3>、V<4>が一方の群の差動対である第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ12_1~12_2のゲート(第2差動入力端)に各々供給され、帰還電圧FBが第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4のゲート(第1差動入力端)に各々供給される。
【0046】
具体的には、図4Aに示すように、第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧V<1>が電圧V(TL1)として供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧V<2>が電圧V(TL2)として供給され、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ11_3のゲートに電圧V<3>が電圧V(TL3)として供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ11_4のゲートに電圧V<4>が電圧V(TL4)が供給される。同時に第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4各々のゲートに帰還電圧FBが電圧V(TR1)~V(TR4)として供給される。
【0047】
第1の状態は第1の期間に亘って生じる。第1の期間の経過後の第2の期間では第2の状態が生じる。第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4各々のゲートに帰還電圧FBが電圧V(TL1)~V(TL4)として供給される。同時に第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ12_1のゲートに電圧V<3>が電圧V(TR1)として供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ12_2のゲートに電圧V<4>が電圧V(TR2)として供給され、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ12_3のゲートに電圧V<1>が電圧V(TR3)として供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ12_4のゲートに電圧V<2>が電圧V(TR4)として供給される。
【0048】
図4Bは、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の入力電圧である、第1の状態(CP1)の電圧V(TL1)~V(TL4)及び第2の状態(CP2)の電圧V(TR1)~V(TR4)と電圧V<1>~V<4>との対応関係を示している。尚、図4Bにおいて、本発明のデジタルアナログ変換器の特性の傾向を示すため、電圧V<1>~V<4>は具体的な電圧値ではなく相対的な電圧レベルを用いて示す。
【0049】
ここで、電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=4とした場合には電圧V<1>~V<4>の各々には電圧レベル0又は4が割り当てられる。デジタルデータ信号DTが示すデジタル値(D1、D0)は(0、0)、(0、1)、(1、0)、(1、1)の4値を示すので、その4値の各々で第1の状態の電圧V(TL1)~V(TL4)及び第2の状態の電圧V(TR1)~V(TR4)に対して電圧レベル0又は4が設定される。
【0050】
デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=4、V<2>=V<3>=V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=4、V<3>=V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=V<3>=4、V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=V<3>=V<4>=4となる。
【0051】
図4Cに示すように、デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧レベル4のV(TL1)が供給され、第2乃至第4差動対(11_2、12_2)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_2~11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ12_3のゲートに電圧レベル4のV(TR3)が供給され、第1、第2及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_1、12_2、11_4のゲートに電圧レベル0のV(TR1)、V(TR2)、V(TR4)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル1となる。
【0052】
デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ11_1、11_2のゲートに電圧レベル4のV(TL1)、V(TL2)が各々供給され、第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_3、11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL3)、V(TL4)が供給される。デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ12_1、12_2のゲートに電圧レベル0のV(TR1)、V(TR2)が各々供給され、第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_3、12_4各々のゲートに電圧レベル4のV(TR3)、V(TR4)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル2となる。
【0053】
デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第3差動対(11_1、12_1)~(11_3、12_3)のトランジスタ11_1~11_3のゲートに電圧レベル4のV(TL1)~V(TL3)が各々供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL4)が供給される。デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1、第3及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_1、12_3、12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR1)、V(TR3)、V(TR4)が各々供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ12_2のゲートに電圧レベル0のV(TR2)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【0054】
デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4のゲートに電圧レベル4のV(TL1)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR1)~V(TR4)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル4となる。
【0055】
実施例1の第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の各々においては、第1の状態(第1の期間)にMUX40からの一方のトランジスタのゲートへの入力電圧と、それに続く第2の状態(第2の期間)にMUX40からの他方のトランジスタのゲートへの入力電圧とが互いに異なる関係を持つ状況が積極的に作り出されている。その互いに異なる電圧関係としては、具体的には、第1の状態(第1の期間)のMUX40からの差動対の一方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが0であれば、第2の状態(第2の期間)のMUX40からの差動対の他方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが4になる場合と、逆に第1の状態(第1の期間)のMUX40からの差動対の一方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが4であれば、第2の状態(第2の期間)のMUX40からの差動対の他方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが0になる場合とがある。その互いに異なる電圧関係は図4Cから分かるように、デジタル値(D1、D0)が(0、0)と(1、0)である時には2つの差動対で生じ、デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時には4つの差動対で生じている。
【0056】
上述した電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=4とした場合の出力電圧Voutの電圧レベル1、2、3、4の各々の出力ばらつきをモンテカルロシミュレーションにより推定すると、図5に実線Aで示す特性が得られた。図5において破線Bは、実線Aで示す特性の比較対象としての特性である。破線Bで示す特性は、差動対毎に2つのトランジスタのゲート間で第1の状態(第1の期間)と第2の状態(第2の期間)とで入力信号を切り替える従来技術の場合の出力ばらつきである。この2つの特性を比較すると本実施例1ではデジタル値(D1、D0)が(0、0)、(1、0)、(0、1)である時に対応する出力電圧Voutの電圧レベル1、2、3で出力ばらつきの減少を図ることができた。特に、全ての差動対において上述した互いに異なる電圧関係が生じている出力電圧Voutが電圧VA、VBの中間の電圧レベル2の場合に、出力ばらつきの低減効果が大きいことが分かった。このモンテカルロシミュレーションの結果から実施例1のデジタルアナログ変換器100では高精度のオフセットキャンセルを実行することができると考えられる。
【0057】
尚、実施例1において、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<3>=V<4>=4、V<2>=0となるようにすれば、図5Cに示したデジタル値毎の第1及び第2の状態における各差動対に供給される電圧V(TL1)~V(TL4)及びV(TR1)~V(TR4)の電圧値は図6に示す通りである。図6においては、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の電圧V(TL1)~V(TL4)及びV(TR1)~V(TR4)の供給電圧が図4Cに示した場合とは異なる。すなわち、第1の状態(CP1)では、第1、第3及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_1、11_3、11_4のゲートに電圧レベル4のV(TL1)、V(TL3)、V(TL4)が各々供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧レベル0のV(TL2)が供給される。一方、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第3差動対(11_1、12_1)~(11_3、12_3)のトランジスタ12_1~12_3のゲートに電圧レベル4のV(TR1)~V(TR3)が各々供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ12_4のゲートに電圧レベル0のV(TR4)が供給される。この第1及び第2の状態においても出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【0058】
尚、実施例1の図4Cでは、電圧VA及びVB間を4個に分割した電圧レベルのうち、デジタル値(D1、D0)を電圧VA(電圧レベル0)を除いた電圧VBまでの4個の電圧レベル1~4に割り当てた仕様例で説明したが、デジタル値(D1、D0)の(0、0)~(1、1)を電圧VAを含み電圧VBを除く4個の電圧レベル0~4に割り当てた仕様に置き換えることも可能である。その場合、図5Cの出力電圧レベル0の出力ばらつきの特性は出力電圧レベル4と同等となる。上記のような仕様変更は容易に可能であるので詳細は省略する。したがって以下の各実施例においても、Kビットのデジタル値を電圧VAを除いた電圧VBまでの2のK乗個の出力電圧レベル1~2に割り当てた仕様例で説明する。
【実施例0059】
図7は実施例2として図1に示した構成のデジタルアナログ変換器100の差動増幅器10において、K=2とした場合のMUX40の他の内部構成例を示している。
【0060】
図7において、MUX40は、図3に示したものと同様に、2つのスイッチ群41、42を有している。スイッチ群41を構成する各スイッチ41L1~41L4及び41R1~41R4は、制御信号CP1に応答して第1の期間においてオンとなり、第2の期間にオフとなる。スイッチ群42を構成する各スイッチ42L1~42L4及び42R1~42R4は、制御信号CP2に応答して第2の期間においてオンとなり、第1の期間にオフとなる。
【0061】
スイッチ群41のオン時には、デコーダ50から供給される電圧V<1>~V<4>はスイッチ41L1~41L4を介して電圧V(TL1)~V(TL4)として出力され、出力電圧Voutである帰還電圧FBはスイッチ41R1~41R4を介して電圧V(TR1)~V(TR4)として出力される。一方、スイッチ群42のオン時には、デコーダ50から供給される電圧V<1>~V<4>のうちの電圧V<1>は42R4を介して電圧V(TR4)として出力され、電圧V<2>は42R3を介して電圧V(TR3)として出力され、電圧V<3>は42R2を介して電圧V(TR2)として出力され、電圧V<4>は42R1を介して電圧V(TR1)として出力され、帰還電圧FBはスイッチ42L1~42L4を介して電圧V(TL1)~V(TL4)として出力される。
【0062】
次に、図7に示した内部構成のMUX40の場合の第1及び第2の状態について説明する。図3と同様に、MUX40において、電圧V<1>、V<2>を受ける入力端IN1、IN2の群と電圧V<3>、V<4>を受ける入力端IN3、IN4の群とに分けられ、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)の群と第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)の群とに分けられている。
【0063】
図8Aに示すように、第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧V<1>が電圧V(TL1)として供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧V<2>が電圧V(TL2)として供給され、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ11_3のゲートに電圧V<3>が電圧V(TL3)として供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ11_4のゲートに電圧V<4>が電圧V(TL4)が供給される。同時に第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4各々のゲートに帰還電圧FBが電圧V(TR1)~V(TR4)として供給される。
【0064】
第1の状態(CP1)は第1の期間に亘って生じる。第1の期間の経過後の第2の期間では第2の状態が生じる。第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4各々のゲートに帰還電圧FBが電圧V(TL1)~V(TL4)として供給される。同時に第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ12_1のゲートに電圧V<4>が電圧V(TR1)として供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ12_2のゲートに電圧V<3>が電圧V(TR2)として供給され、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ12_3のゲートに電圧V<2>が電圧V(TR3)として供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ12_4のゲートに電圧V<1>が電圧V(TR4)として供給される。
【0065】
図8Bは上述した図8Aの第1の状態(CP1)の電圧V(TL1)~V(TL4)と第2の状態(CP2)の電圧V(TR1)~V(TR4)とに対する電圧V<1>~V<4>の割り当てを示している。
【0066】
ここで、電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=4とした場合には電圧V<1>~V<4>には電圧レベル0又は4が割り当てられる。デジタルデータ信号DTが示すデジタル値(D1、D0)は(0、0)、(0、1)、(1、0)、(1、1)の4値を示すので、その4値の各々で第1の状態の電圧V(TL1)~V(TL4)及び第2の状態の電圧V(TR1)~V(TR4)に対して電圧レベル0又は4が設定される。
【0067】
デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=4、V<2>~V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=4、V<3>=V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>~V<3>=4、V<4>=0となり、デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>~V<4>=4となる。
【0068】
図8Cに示すように、デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧レベル4のV(TL1)が供給され、第2乃至第4差動対(11_2、12_2)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_2~11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D1、D0)が(0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR4)が供給され、第1乃至第3差動対(11_1、12_1)、~(11_3、12_3)のトランジスタ12_1~11_3のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR3)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル1となる。
【0069】
デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ11_1、11_2のゲートに電圧レベル4のV(TL1)、V(TL2)が各々供給され、第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_3、11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL3)、V(TL4)が供給される。デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ12_1、12_2のゲートに電圧レベル0のV(TR1)、V(TR2)が各々供給され、第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_3、12_4各々のゲートに電圧レベル4のV(TR3)、V(TR4)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル2となる。
【0070】
デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第3差動対(11_1、12_1)~(11_3、12_3)のトランジスタ11_1~11_3のゲートに電圧レベル4のV(TL1)~V(TL3)が各々供給され、第4差動対(11_4、12_4)のトランジスタ11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL4)が供給される。デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ12_1のゲートに電圧レベル0のV(TR1)が供給され、第2乃至第4差動対(11_2、12_2)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_2~12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR2)~V(TR4)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【0071】
デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4のゲートに電圧レベル4のV(TL1)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D1、D0)が(1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR1)~V(TR4)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル4となる。
【0072】
実施例2の第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の各々においては、実施例1と同様に、第1の状態(第1の期間)のMUX40からの一方のトランジスタのゲートへの入力電圧とそれに続く第2の状態(第2の期間)のMUX40からの他方のトランジスタのゲートへの入力電圧とが互いに異なる関係を持つ状況が積極的に作り出されている。その互いに異なる電圧関係は図8Cから分かるように、デジタル値(D1、D0)が(0、0)と(1、0)である時には2つの差動対で生じ、デジタル値(D1、D0)が(0、1)である時には4つの差動対で生じているので、実施例1と同様に、出力電圧Voutの電圧レベル1、2、3で出力ばらつきの減少を図ることができたと考えられる。よって、実施例2のデジタルアナログ変換器100でも高精度のオフセットキャンセルを実行することができると考えられる。
【0073】
尚、実施例2において、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<3>=V<4>=4、V<2>=0となるようにすれば、図8Cに示したデジタル値毎の第1及び第2の状態における各差動対に供給される電圧V(TL1)~V(TL4)及びV(TR1)~V(TR4)の電圧値は図9に示す通りである。図9においては、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の電圧V(TL1)~V(TL4)及びV(TR1)~V(TR4)の供給電圧が図8Cに示した場合とは異なる。すなわち、第1の状態(CP1)では、第1、第3及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_1、11_3、11_4のゲートに電圧レベル4のV(TL1)、V(TL3)、V(TL4)が各々供給され、第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧レベル0のV(TL2)が供給される。一方、デジタル値(D1、D0)が(1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1、第2及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)、(11_4、12_4)のトランジスタ12_1、12_2、12_4のゲートに電圧レベル4のV(TR1)、V(TR2)、V(TR4)が各々供給され、第3差動対(11_3、12_3)のトランジスタ12_3のゲートに電圧レベル0のV(TR3)が供給される。この第1及び第2の状態においても出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【実施例0074】
図10は実施例3として図1に示した構成のデジタルアナログ変換器100の差動増幅器10において、K=3とした場合のMUX40の他の内部構成例を示している。尚、図10において、入力端IN3、IN4の各々に関わる系列は1つの系列として共通化されているが、実際には入力端IN1、IN2の各々に関わる系列と同様に独立している。また、入力端IN7、IN8の各々に関わる系列は1つの系列として共通化されているが、実際には入力端IN5、IN6の各々に関わる系列と同様に独立している。
【0075】
図10において、MUX40は、図3に示したものと同様に、2つのスイッチ群41、42を有している。スイッチ群41を構成する各スイッチ41L1~41L8及び41R1~41R8は、制御信号CP1に応答して第1の期間においてオンとなり、第2の期間にオフとなる。スイッチ群42を構成する各スイッチ42L1~42L8及び42R1~42R8は、制御信号CP2に応答して第2の期間においてオンとなり、第1の期間にオフとなる。
【0076】
デコーダ50に供給されるデジタルデータ信号DTのデジタル値は(D2、D1、D0)である。デコーダ50は、デジタル値(D2、D1、D0)に基づき、電圧VAと電圧VBとの組み合わせ電圧V<1>~V<8>を選択し、その電圧V<1>~V<8>をMUX40の入力端IN1~IN8に供給する。尚、MUX40において、電圧V<1>~V<8>を受ける入力端IN1~IN8は、入力端IN1~IN4の群と入力端IN5~IN8の群とに分けられ、第1~第8差動対は、第1~第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の群と第5~第8差動対(11_5、12_8)~(11_8、12_8)の群とに分けられている。
【0077】
MUX40では、スイッチ群41のオン時には、2群の一方をなす入力端IN1~IN4に供給される電圧V<1>~V<4>はスイッチ41L1~41L4を介して2群の一方をなす第1~第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の第1差動入力端(トランジスタ11_1~11_4のゲート)へ電圧V(TL1)~V(TL4)として各々出力され、2群の他方をなす入力端IN5~IN8に供給される電圧V<5>~V<8>はスイッチ41L5~41L8を介して2群の他方をなす第5~第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)の第1差動入力端(トランジスタ11_5~11_8のゲート)へ電圧V(TL5)~V(TL8)として各々出力され、出力電圧Voutである帰還電圧FBはスイッチ41R1~41R8を介して第1~第8差動対全ての第2差動入力端(トランジスタ12_1~12_8のゲート)へ電圧V(TR1)~V(TR8)として各々出力される。一方、スイッチ群42のオン時には、2群の一方をなす入力端IN1~IN4に供給される電圧V<1>~V<4>はスイッチ42R5~42R8を介して2群の他方をなす第5~第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)の第2差動入力端(トランジスタ12_5~12_8のゲート)へ電圧V(TR5)~V(TR8)として各々出力され、2群の他方をなす入力端IN5~IN8に供給される電圧V<5>~V<8>はスイッチ42R1~42R4を介して2群の一方をなす第1~第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の第2差動入力端(トランジスタ12_1~12_4のゲート)へ電圧V(TR1)~V(TR4)として各々出力され、帰還電圧FBはスイッチ42L1~42L8を介して第1~第8差動対全ての第1差動入力端(トランジスタ11_1~11_8のゲート)へ電圧V(TL1)~V(TL8)として各々出力される。
【0078】
よって、MUX40によって第1の状態(CP1)において第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1~11_8のゲートに供給される電圧V(TL1)~V(TL8)に対する電圧V<1>~V<8>の割り当て、そして第2の状態(CP2)において第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_8のゲートに供給される電圧V(TR1)~V(TR8)に対する電圧V<1>~V<8>の割り当てをまとめて示すと図11Aの通りになる。
【0079】
ここで、電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=8とした場合には電圧V<1>~V<8>の各々には電圧レベル0又は8が割り当てられる。デジタルデータ信号DTが示すデジタル値(D2、D1、D0)は(0、0、0)、(0、0、1)、(0、1、0)、(0、1、1)、(1、0、0)、(1、0、1)、(1、1、0)、(1、1、1)の8値を示すので、その8値の各々で第1の状態の電圧V(TL1)~V(TL8)及び第2の状態の電圧V(TR1)~V(TR8)に対して電圧レベル0又は8が設定される。
【0080】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=8、V<2>~V<8>=0となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=8、V<3>~V<8>=0となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=8、V<2>=0、V<3>=V<4>=8、V<5>~V<8>=0となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>~V<4>=8、V<5>~V<8>=0となる。また、デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=8、V<2>~V<4>=0、V<5>~V<8>=8となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=V<2>=8、V<3>=V<4>=0、V<5>~V<8>=0となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、0)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>=8、V<2>=0、V<3>~V<8>=8となり、デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、1)である時のデコーダ50の選択電圧の電圧レベルはV<1>~V<8>=8となる。
【0081】
図11Bに示すように、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧レベル8のV(TL1)が供給され、第2乃至第8差動対(11_2、12_2)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_2~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL8)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第5差動対(11_5、12_5)のトランジスタ12_5のゲートに電圧レベル8のV(TR5)が供給され、それ以外の第1乃至第4、第6乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)、(11_6、12_6)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_4、12_6~12_8のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)、V(TR6)~V(TR8)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル1となる。
【0082】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ11_1、11_2のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL2)が各々供給され、第3乃至第8差動対(11_3、12_3)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_3~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL3)~V(TL8)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)が各々供給され、第7及び第8差動対(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_7、12_8のゲートにも電圧レベル0のV(TR7)、V(TR8)が各々供給され、第5及び第6差動対(11_5、12_5)、(11_6、12_6)のトランジスタ12_5、12_6各々のゲートに電圧レベル8のV(TR5)、V(TR6)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル2となる。
【0083】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第3及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_1、11_3、11_4のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL3)、V(TL4)が各々供給され、第2、第5乃至第8差動対(11_2、12_2)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_2、11_5~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL2)、V(TL5)~V(TL8)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4、及び第6差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)、(11_6、12_6)のトランジスタ12_1~12_4、12_6のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)、V(TR6)が各々供給され、第5、第7及び第8差動対(11_5、12_5)、(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_5、12_7、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR5)、V(TR7)、V(TR8)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【0084】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4のゲートに電圧レベル8のV(TL1)~V(TL4)が各々供給され、第5乃至第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_5~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL5)~V(TL8)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)が各々供給され、第5乃至第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_5~12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR5)~V(TR8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル4となる。
【0085】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第5乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_5~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL5)~V(TL8)が供給され、第2乃至第4差動対(11_2、12_2)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_2~11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第5差動対(11_1、12_1)~(11_5、12_5)のトランジスタ12_1~12_5のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR5)が供給され、それ以外の第6乃至第8差動対(11_6、12_6)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_6~12_8のゲートに電圧レベル0のV(TR6)~V(TR8)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル5となる。
【0086】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第2、第5乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_2、11_5~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL2)、V(TL5)~V(TL8)が各々供給され、それ以外の第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_3、11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL3)、V(TL4)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第6差動対(11_1、12_1)~(11_6、12_6)のトランジスタ12_1~12_6のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR6)が各々供給され、それ以外の第7及び第8差動対(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_7、12_8のゲートに電圧レベル0のV(TR7)、V(TR8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル6となる。
【0087】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第3乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_3~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL3)~V(TL8)が各々供給され、残りの第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧レベル0のV(TL2)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第5、第7、第8差動対(11_1、12_1)~(11_5、12_5)、(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_5、12_7、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR5)、V(TR7)、V(TR8)が各々供給され、残りの第6差動対(11_6、12_6)のトランジスタ12_6のゲートに電圧レベル0のV(TR6)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル7となる。
【0088】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)~V(TL8)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル8となる。
【0089】
実施例3の第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)の各々においては、実施例1及び2と同様に、第1の状態(第1の期間)のMUX40からの一方のトランジスタのゲートへの入力電圧とそれに続く第2の状態(第2の期間)のMUX40からの他方のトランジスタのゲートへの入力電圧とが互いに異なる関係を持つ状況が積極的に作り出されている。その互いに異なる電圧関係としては、具体的には、第1の状態(第1の期間)のMUX40からの差動対の一方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが0であれば、第2の状態(第2の期間)のMUX40からの差動対の他方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが8になる場合と、逆に第1の状態(第1の期間)のMUX40からの差動対の一方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが8であれば、第2の状態(第2の期間)のMUX40からの差動対の他方のトランジスタのゲートへの入力電圧レベルが0になる場合とがある。その互いに異なる電圧関係は図11Bから分かるように、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)と(1、1、0)である時には2つの差動対で生じ、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)と(1、0、1)である時には4つの差動対で生じている。また、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)と(1、0、0)である時には6つの差動対で生じ、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時には8つの差動対の全て生じている。
【0090】
尚、図11Bにおいて、第1の状態及び第2の状態の夫々で、第3差動対の入力電圧V(TL3)及びV(TR3)と第4差動対の入力電圧V(TL4)及びV(TR4)は、デジタル値(D2、D1、D0)に依らずそれぞれ同一の電圧レベルが供給されている。同様に、第1の状態及び第2の状態における第7差動対の入力電圧V(TL7)及びV(TR7)と第8差動対の入力電圧V(TL8)及びV(TR8)は、デジタル値(D2、D1、D0)に依らずそれぞれ同一の電圧レベルが供給されている。また図11Aより、第1の状態と第2の状態の切替わりにおいて、第3差動対の入力電圧として電圧V<3>とV<7>が供給され、第4差動対の入力電圧として電圧V<4>とV<8>が供給され、第7差動対の入力電圧として電圧V<7>とV<3>が供給され、第8差動対の入力電圧として電圧V<8>とV<4>が供給される。したがって電圧V<3>とV<4>は等しく、電圧V<7>とV<8>も等しい。このような場合、MUX40は、図10に示すように、デコーダ50で選択される電圧V<3>とV<4>を受ける入力端(IN3、IN4)を共通化し、電圧V<7>とV<8>を受ける入力端(IN7、IN8)も共通化することができる。更に、第3及び第4差動対で夫々入力電圧V(TL3)及びV(TL4)を受ける第1差動入力端同士を共通化し、第3及び第4差動対で夫々入力電圧V(TR3)及びV(TR4)を受ける第2差動入力端同士を共通化することができる。同様に、第7及び第8差動対で夫々入力電圧V(TL7)及びV(TL8)を受ける第1差動入力端同士を共通化し、第7及び第8差動対で夫々入力電圧V(TR7)及びV(TR8)を受ける第2差動入力端同士を共通化することができる。更に、スイッチ群41及び42において、共通化した端子同士及び共通化した端子と帰還電圧FBを受ける端子間を接続する2つのスイッチ(41L3、41L4)、(41R3、41R4)、(41L7、41L8)、(41R7、41R8)、(42L3、42L4)、(42R3、42R4)、(42L7、42L8)、(42R7、42R8)も夫々共通化することができる。
【0091】
上述したK=3、電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=8とした実施例3の場合の出力電圧Voutの電圧レベル1~8の各々の出力ばらつきをモンテカルロシミュレーションにより推定すると、図12に実線Cで示す特性が得られた。図12において破線Dは、実線Cで示す特性の比較対象としての特性である。破線Dで示す特性は、差動対毎に2つのトランジスタのゲート間で第1の状態(第1の期間)と第2の状態(第2の期間)とで入力信号を切り替える従来技術の場合の出力ばらつきである。この2つの特性を比較すると本実施例3ではデジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)~(1、0、1)である時に対応する出力電圧Voutの電圧レベル1~6で出力ばらつきの低減を図ることができた。特に、多数の差動対において上述した互いに異なる電圧関係が生じている出力電圧Voutが電圧レベル3~5の場合に、出力ばらつきの低減効果が大きく、特に電圧VA、VBの中間の電圧レベル4で低減効果が最大となることが分かった。このモンテカルロシミュレーションの結果から実施例3のデジタルアナログ変換器100では高精度のオフセットキャンセルを実行することができる。
【実施例0092】
K=3とした場合のMUX40の内部構成は、図10に示したものに限定されず、図10のスイッチ群42のオン時には、デコーダ50から供給される電圧V<1>~V<8>はスイッチ42R8~42R1を介して電圧V(TR8)~V(TR1)として各々出力され、帰還電圧FBはスイッチ42L1~42L8を介して電圧V(TL1)~V(TL8)として各々出力されるようにしても良い。
【0093】
このような内部構成のMUX40においては、第1の状態(CP1)において第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1~11_8のゲートに供給される電圧V(TL1)~V(TL8)に対する電圧V<1>~V<8>の割り当て、そして第2の状態(CP2)において第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_8のゲートに供給される電圧V(TR1)~V(TR8)に対する電圧V<1>~V<8>の割り当てをまとめて示すと図13Aの通りになる。
【0094】
ここで、本実施例4でも上述した実施例3と同様に電圧VA及びVBの電圧レベルをVA=0、VB=8とし、デコーダ50がデジタル値(D2、D1、D0)に基づいて電圧V<1>~V<8>をMUX40に出力する。この場合の各デジタル値(D2、D1、D0)に対する第1の状態(CP1)の電圧V(TL1)~V(TL8)の電圧レベル及び第2の状態(CP2)の電圧V(TR1)~V(TR8)の電圧レベルは次の通りとなる。
【0095】
図13Bに示すように、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1差動対(11_1、12_1)のトランジスタ11_1のゲートに電圧レベル8のV(TL1)が供給され、第2乃至第8差動対(11_2、12_2)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_2~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL8)が各々供給される。
【0096】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第7差動対(11_1、12_1)~(11_7、12_7)のトランジスタ12_1~12_7のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR7)が供給され、第8差動対(11_8、12_8)のトランジスタ12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR8)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル1となる。
【0097】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1及び第2差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)のトランジスタ11_1、11_2のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL2)が各々供給され、第3乃至第8差動対(11_3、12_3)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_3~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL3)~V(TL8)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第6差動対(11_1、12_1)~(11_6、12_6)のトランジスタ12_1~12_6のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR6)が各々供給され、第7及び第8差動対(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_7、12_8のゲートにも電圧レベル8のV(TR7)、V(TR8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル2となる。
【0098】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第3及び第4差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_1、11_3、11_4のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL3)、V(TL4)が各々供給され、第2、第5乃至第8差動対(11_2、12_2)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_2、11_5~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL2)、V(TL5)~V(TL8)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4、第7差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)、(11_7、12_7)のトランジスタ12_1~12_4、12_7のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)、V(TR7)が各々供給され、第5、第6及び第8差動対(11_5、12_5)、(11_6、12_6)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_5、12_6、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR5)、V(TR6)、V(TR8)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル3となる。
【0099】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_1~11_4のゲートに電圧レベル8のV(TL1)~V(TL4)が各々供給され、第5乃至第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_5~11_8のゲートに電圧レベル0のV(TL5)~V(TL8)が各々供給される。
【0100】
デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)のトランジスタ12_1~12_4のゲートに電圧レベル0のV(TR1)~V(TR4)が各々供給され、第5乃至第8差動対(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_5~12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR5)~V(TRL8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル4となる。
【0101】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第5乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_5~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL5)~V(TL8)が供給され、第2乃至第4差動対(11_2、12_2)~(11_4、12_4)のトランジスタ11_2~11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL2)~V(TL4)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4、第8差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_4、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR4)、V(TR8)が供給され、それ以外の第5乃至第7差動対(11_5、12_5)~(11_7、12_7)のトランジスタ12_5~12_7のゲートに電圧レベル0のV(TR5)~V(TR7)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル5となる。
【0102】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第2、第5乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_2、12_2)、(11_5、12_5)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_2、11_5~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL2)、V(TL5)~V(TL8)が各々供給され、それ以外の第3及び第4差動対(11_3、12_3)、(11_4、12_4)のトランジスタ11_3、11_4のゲートに電圧レベル0のV(TL3)、V(TL4)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、0、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第4、第7、第8差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)、(11_7、12_7)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_4、12_7、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR4)、V(TR7)、V(TR8)が各々供給され、それ以外の第5及び第6差動対(11_5、12_5)、(11_6、12_6)のトランジスタ12_5、12_6のゲートに電圧レベル0のV(TR5)、V(TR6)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル6となる。
【0103】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、0)である時の第1の状態(CP1)では、第1、第3乃至第8差動対(11_1、12_1)、(11_3、12_3)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1、11_3~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)、V(TL3)~V(TL8)が各々供給され、残りの第2差動対(11_2、12_2)のトランジスタ11_2のゲートに電圧レベル0のV(TL2)が供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、0)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第6、第8差動対(11_1、12_1)~(11_6、12_6)、(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_6、12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR6)、V(TR8)が各々供給され、残りの第7差動対(11_7、12_7)のトランジスタ12_7のゲートに電圧レベル0のV(TR7)が供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル7となる。
【0104】
デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、1)である時の第1の状態(CP1)では、第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ11_1~11_8のゲートに電圧レベル8のV(TL1)~V(TL8)が各々供給される。デジタル値(D2、D1、D0)が(1、1、1)である時の第2の状態(CP2)では、第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)のトランジスタ12_1~12_8のゲートに電圧レベル8のV(TR1)~V(TR8)が各々供給される。この第1及び第2の状態において出力電圧Voutは電圧レベル8となる。
【0105】
実施例4の第1乃至第8差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)の各々においては、実施例3と同様に、第1の状態(第1の期間)のMUX40からの一方のトランジスタのゲートへの入力電圧とそれに続く第2の状態(第2の期間)のMUX40からの他方のトランジスタのゲートへの入力電圧とが互いに異なる関係を持つ状況が積極的に作り出されている。その互いに異なる電圧関係は図13Bから分かるように、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、0)と(1、1、0)である時には2つの差動対で生じ、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、0、1)と(1、0、1)である時には4つの差動対で生じている。また、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、0)と(1、0、0)である時には6つの差動対で生じ、デジタル値(D2、D1、D0)が(0、1、1)である時には8つの差動対の全て生じている。これらのことから実施例3と同様に出力電圧Voutの電圧レベル1~6で出力ばらつきの低減を図ることができる。よって、実施例4のデジタルアナログ変換器100でも高精度のオフセットキャンセルを実行することができる。
【0106】
尚、図13Bより、第1の状態及び第2の状態の夫々で、第3差動対の入力電圧V(TL3)及びV(TR3)と第4差動対の入力電圧V(TL4)及びV(TR4)は、デジタル値(D2、D1、D0)に依らずそれぞれ同一の電圧レベルが供給され、同様に、第5差動対の入力電圧V(TL5)及びV(TR5)と第6差動対の入力電圧V(TL6)及びV(TR6)は、デジタル値(D2、D1、D0)に依らずそれぞれ同一の電圧レベルが供給されている。また図13Aより、第1の状態と第2の状態の切替わりにおいて、第3差動対の入力電圧として電圧V<3>とV<6>が供給され、第4差動対の入力電圧として電圧V<4>とV<5>が供給され、第5差動対の入力電圧として電圧V<5>とV<4>が供給され、第6差動対の入力電圧として電圧V<6>とV<3>が供給される。したがって電圧V<3>とV<4>は等しく、電圧V<5>とV<6>も等しい。このような場合、MUX40は、図10と同様に、電圧V<3>とV<4>を受ける入力端同士を共通化し、電圧V<5>とV<6>を受ける入力端同士も共通化することができる。更に、第3及び第4差動対で夫々入力電圧V(TL3)及びV(TL4)を受ける第1差動入力端同士を共通化し、第3及び第4差動対で夫々入力電圧V(TR3)及びV(TR4)を受ける第2差動入力端同士を共通化することができる。同様に、第5及び第6差動対で夫々入力電圧V(TL5)及びV(TL6)を受ける第1差動入力端同士を共通化し、第5及び第6差動対で夫々入力電圧V(TR5)及びV(TR6)を受ける第2差動入力端同士を共通化することができる。更に、スイッチ群41及び42において、共通化した端子同士及び共通化した端子と帰還電圧FBを受ける端子間を接続する2つのスイッチも夫々共通化することができる。
【実施例0107】
図14は本発明の実施例5としてデジタルアナログ変換器の概略構成を示している。図1において、このデジタルアナログ変換器は、符号101で示されている。デジタルアナログ変換器101は、参照電圧群生成部90と、デコーダ51と、2のK(Kは2以上の整数)乗個の差動対を含む差動増幅器10と、を有し、Mビットのデジタルデータ信号DTを、アナログの電圧レベルを有する出力電圧Voutに変換する。ここで、MはKより大である(M>K)。
【0108】
参照電圧群生成部90は、基準電源電圧VGH及びVGLに基づき、電圧値が各々異なる参照電圧Vg0~VgR(Rは2以上の整数)を生成し、その参照電圧Vg0~VgRをデコーダ51に供給する。
【0109】
デコーダ51は、第1デコーダ51aと第2デコーダ51bとからなる。第2デコーダ51bにはMビットのデジタルデータ信号DTのうちの上位M-Kビットが供給され、第1デコーダ51aにはMビットのデジタルデータ信号DTのうちの残りの下位Kビットが供給される。第2デコーダ51bは参照電圧群生成部90に接続されている。第2デコーダ51bは、参照電圧群生成部90から供給される参照電圧Vg0~VgRのうちから、デジタルデータ信号DTのうちのM-Kビットのデジタル値に対応した2つの隣接する参照電圧VA、VBを選択する。第1デコーダ51aは、実施例1に示したデコーダ50と同一であり、デジタルデータ信号DTのうちのKビットのデジタル値に基づき、電圧VA及びVBを用いた2のK乗個の電圧からなる組み合わせ電圧V<1>~V<2>を生成し、その生成した電圧V<1>~V<2>を差動増幅器10に供給する。
【0110】
差動増幅器10は実施例1に示したものと同一であるので、ここでの更なる説明は省略される。
【0111】
かかる構成のデジタルアナログ変換器101の参照電圧群生成部90では、K=2の場合には、参照電圧Vg0~VgRが電圧レベル0、4、8、12、・・・のように4レベル間隔で生成される。第2デコーダ51bではデジタルデータ信号DTのうちの(M-2)ビットのデジタル値に対応した互いに隣接する2つの参照電圧VA、VBが選択される。図15Aに示すように、例えば、(VA、VB)の電圧レベルは(0、4)、(4、8)、(8、12)、・・・のような組み合わせで選択される。
【0112】
また、図15Aに示すように、(VA、VB)の電圧レベルが(0、4)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧VA又はVBの4個の組み合わせ電圧V<1>~V<4>が電圧レベル(0、4)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutはデジタルデータ信号DTの下位2ビットのデジタル値(D1、D0)に応じて電圧レベル1、2、3、4のいずれか1レベルとなる。
【0113】
同様に、(VA、VB)の電圧レベルが(4、8)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧V<1>~V<4>が電圧レベル(4、8)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutは下位2ビットのデジタル値(D1、D0)に応じて電圧レベル5、6、7、8のいずれか1レベルとなる。(VA、VB)が電圧レベル(8、12)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧V<1>~V<4>が電圧レベル(8、12)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutは下位2ビットのデジタル値(D1、D0)に応じて電圧レベル9、10、11、12のいずれか1レベルとなる。
【0114】
また、参照電圧群生成部90では、K=3の場合には、参照電圧Vg0~VgRが電圧レベル0、8、16、24、・・・のように8レベル間隔で生成される。第2デコーダ51bではデジタルデータ信号DTのうちの上位(M-3)ビットのデジタル値に対応した互いに隣接する2つの参照電圧VA、VBが選択される。図15Bに示すように、例えば、(VA、VB)の電圧レベルは(0、8)、(8、16)、(16、24)、・・・のような組み合わせで選択される。
【0115】
また、図15Bに示すように、(VA、VB)の電圧レベルが(0、8)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧VA又はVBの8個の組み合わせ電圧V<1>~V<8>が電圧レベル(0、8)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutはデジタルデータ信号DTの下位3ビットのデジタル値(D2、D1、D0)に応じて電圧レベル1、2、3、4、5、6、7、8のいずれか1レベルとなる。
【0116】
同様に、(VA、VB)の電圧レベルが(8、16)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧V<1>~V<8>が電圧レベル(8、16)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutは下位3ビットのデジタル値(D2、D1、D0)に応じて電圧レベル9、10、11、12、13、14、15、16のいずれか1レベルとなる。(VA、VB)が電圧レベル(16、24)である場合には、第1デコーダ51aでは電圧V<1>~V<8>が電圧レベル(16、24)の組み合わせで生成され、差動増幅器10の出力電圧Voutは下位3ビットのデジタル値(D2、D1、D0)に応じて電圧レベル17、18、19、20、21、22、23、24のいずれか1レベルとなる。
【0117】
このように図14に示したデジタルアナログ変換器101では、参照電圧群生成部90により多数の参照電圧を生成し、それらの参照電圧から(M-K)ビットのデジタル値に対応した互いに隣接する2つの参照電圧(VA、VB)が選択し、更に電圧(VA、VB)を用いた2のK乗個の電圧からなる組み合わせ電圧V<1>~V<2>を生成することができるので、差動増幅器10では様々な多値電圧レベルの増幅出力を実現することができる。尚、参照電圧(VA、VB)を用いた2のK乗個の電圧に基づき差動増幅器10から出力される出力電圧は、参照電圧(VA、VB)の線形補間電圧を含む2のK乗個の電圧である。
【実施例0118】
図14に示したデジタルアナログ変換器101を表示装置のデータドライバに適用することができる。図16は本発明に係るデータドライバを含む表示装置200の概略構成を示している。
【0119】
表示装置200は、表示パネル15、表示コントローラ16、走査ドライバ17及びデータドライバ18を含む。
【0120】
表示パネル15は、例えば液晶又は有機ELパネル等からなり、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査線GL1~GLmと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線DL1~DLnと、を含む。水平走査線及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。
【0121】
表示コントローラ16は、映像信号VDに基づき、スタートパルス、クロック信号CLK、垂直及び水平同期信号等の各種制御信号、並びに各画素の輝度レベルを表す映像デジタルデータ片の系列を含む映像デジタル信号DVSを生成する。
【0122】
表示コントローラ16は、上記した水平同期信号に同期した走査タイミング信号を生成しこれを走査ドライバ17に供給すると共に、上記した映像デジタル信号DVSをデータドライバ18に供給する。
【0123】
走査ドライバ17は、表示コントローラ16から供給された走査タイミング信号に基づいて、水平走査パルスを表示パネル15の水平走査線GL1~GLmの各々に順次印加する。
【0124】
データドライバ18は、制御部20、シフトレジスタ80、データレジスタラッチ70、レベルシフタ60、参照電圧群生成部90、n個のデコーダ51及びn個の差動増幅器10を含む。
【0125】
表示コントローラ16は、映像信号VDに基づき、スタートパルス、クロック信号CLK、垂直及び水平同期信号等の各種制御信号、並びに各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ片の系列を含む映像デジタル信号DVSを生成し、これをデータドライバ18の制御部20に供給する。制御部20は、映像信号VDから映像デジタル信号DVS及び各種制御信号を分離し、制御が必要な各ブロックへ夫々供給する。
【0126】
シフトレジスタ80は、制御部20から供給されるクロックCLK信号及びスタートパルスに応じて、クロック信号CLKに同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチ70に供給する。
【0127】
データレジスタラッチ70は、制御部20から供給される映像デジタル信号DVS及びシフトレジスタ80から供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、映像デジタル信号DVSに含まれる映像デジタルデータ片を所定個(例えばn個)毎に取り込み、各映像デジタルデータ片を表すn個の映像デジタルデータ信号をレベルシフタ60に供給する。
【0128】
レベルシフタ60は、データレジスタラッチ70から供給されたn個の映像デジタルデータ信号の各々に対して、その信号振幅を増加するレベルシフト処理を施して得たn個のレベルシフト後の映像デジタルデータ信号を各デコーダ51に供給する。
【0129】
参照電圧群生成部90は、直流の基準電源電圧VGH、及び基準電源電圧VGHより低電圧の基準電源電圧VGLを受ける。参照電圧群生成部90は、基準電源電圧VGH及びVGLに基づき、夫々電圧値が異なる参照電圧Vg0~VgRを生成し、かかる参照電圧Vg0~VgRを、データドライバ18のn個の出力チャネルに各々対応して設けられたn個のデコーダ51の各々に供給する。
【0130】
デコーダ51の各々は、上記した参照電圧群のうちから、レベルシフタ60にてレベルシフトされた映像デジタルデータ信号に対応した一対の参照電圧を選択する。そして、デコーダ51の各々は、選択した一対の参照電圧を2つの電圧(VA、VB)として、データドライバ18のn個の出力チャネルに各々対応して設けられている差動増幅器10に供給する。
【0131】
差動増幅器10は、入力された電圧VA及びVB間を分割する例えば、16レベルの出力電圧Voutのうちの1つを生成し、この出力電圧Voutを有する駆動信号を出力する。この際、n個の差動増幅器10から出力されたn個の駆動信号は、駆動信号S1~Snとして表示パネル15のデータ線DL1~DLnに夫々供給される。
【0132】
ここで、図16に示されるデータドライバ18の各出力毎に設けられるデコーダ51、差動増幅器10及び参照電圧群生成部90として、図14に示したデジタルアナログ変換器101を適用することができる。
【0133】
すなわち、図16に示すデコーダ51は、レベルシフタ60から供給された映像デジタルデータ信号に基づき、参照電圧群生成部90が生成した参照電圧Vg0~VgRのうちから、互いに隣接する一対の2つの電圧(VA、VB)を選択する。そして、デコーダ51は、選択した2つの電圧(VA、VB)を用いて、2のK乗個の電圧からなる組み合わせ電圧V<1>~V<2>を生成し、その電圧V<1>~V<2>を差動増幅器10に供給する。また、制御信号(CP1、CP2)が制御部20から差動増幅器10に供給される。上述したように、差動増幅器10は2のK乗個の差動対とMUX40を備え、MUX40を介して、電圧V<1>~V<2>を2のK乗個の差動対各々の第1差動入力端と第2差動入力端の一方へ供給し、帰還電圧FBを2のK乗個の差動対各々の第1差動入力端と第2差動入力端の他方へ供給する。制御信号(CP1、CP2)はMUX40へ供給され、制御信号(CP1、CP2)に基づく第1及び第2の状態において、2のK乗個の差動対の各々の第1差動入力端と第2差動入力端への電圧V<1>~V<2>及び帰還電圧FBの供給を切替制御する。尚、MUX40において、デコーダ51から供給される電圧V<1>~V<2>及び2のK乗個の差動対は夫々同数の2群に分けられる。そして制御信号CP1が供給される第1の状態では、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの一方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第1差動入力端のうち2群に分けられた差動対の一方の群の第1差動入力端に各々供給され、2群に分られけた電圧V<1>~V<2>のうちの他方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第1差動入力端のうち2群に分けられた差動対の他方の群の第1差動入力端に各々供給される。また帰還電圧FBが、2のK乗個の差動対の第2差動入力端の全てに供給される。一方、制御信号CP2が供給される第2の状態では、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの一方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第2差動入力端のうち2群に分けられた差動対の他方の群の第2差動入力端に各々供給され、2群に分けられた電圧V<1>~V<2>のうちの他方の群の電圧が、2のK乗個の差動対の第2差動入力端のうち2群に分けられた差動対の一方の群の第2差動入力端に各々供給される。また帰還電圧FBが、2のK乗個の差動対の第1差動入力端の全てに供給される。
【0134】
また、差動増幅器10内において、制御信号CP1が供給される第1の状態ではノードn11に接続された一方の入力端が非反転入力端(+)となり、ノードn12に接続された他方の入力端が反転入力端(-)となる。制御信号CP2が供給される第2の状態ではノードn11に接続された一方の入力端が反転入力端(-)となり、ノードn12に接続された他方の入力端が非反転入力端(+)となる。このように第1及び第2の状態の各々においては非反転入力端(+)と反転入力端(-)とが逆になった状態で増幅段30は増幅動作を行い、出力電圧Voutを有する駆動信号を生成する。
【0135】
このように図14に示したデジタルアナログ変換器101を適用することにより、省面積化を図りつつ多出力間の同一階調の駆動信号の出力時の電圧ばらつきが小さい高精度出力のデータドライバを実現することができる。
【実施例0136】
また、図1に示したデジタルアナログ変換器100を上述のデータドライバ18内の参照電圧群生成部90に適用することができる。図17は、図14及び16に示した参照電圧群生成部90の内部構成の一例を示す回路図である。
【0137】
参照電圧群生成部90は、ガンマ設定デジタルコードに従って、表示パネル15の表示特性に適合したガンマ特性に沿った電圧値を夫々が有する複数のガンマ電源電圧を生成し、当該複数のガンマ電源電圧に基づき参照電圧Vg0~VgR(Rは2以上の整数)を生成する。
【0138】
図17に示すように、参照電圧群生成部90は、差動増幅器10G_1a及び10G_1b、ラダー抵抗R1及びR2、x(xは3以上の整数)個のデコーダ50G、x個のガンマアンプ10G-2、及びレベルシフタ60Gを含む。
【0139】
差動増幅器10G_1aは、外部供給されたガンマ基準電圧を有する基準電源電圧VGHを電流増幅した電圧をラダー抵抗R1の一端に印加する。
【0140】
差動増幅器10G_1bは、外部供給されており、基準電源電圧VGHより低いガンマ基準電圧を示す基準電源電圧VGLを電流増幅した電圧をラダー抵抗R1の他端に印加する。
【0141】
ラダー抵抗R1は、その一端及び他端に印加された電圧間を分圧して複数の線形分圧電圧を生成し、x個のデコーダ50Gの各々に供給する。
【0142】
レベルシフタ60Gは、例えば10~12ビットのガンマ設定デジタルコードを受け、各ビットの信号レベルの信号振幅を増加するレベルシフト処理を施して得た、夫々が10~12ビットのガンマ設定デジタルコード片をx個のデコーダ50Gに供給する。
【0143】
各デコーダ50Gの各々は、ラダー抵抗R1にて生成された複数の線形分圧電圧のうちから、ガンマ設定デジタルデータ片に基づき、互いに隣接する2つの線形分圧電圧を2つの電圧(VA,VB)として選択し、更にガンマアンプ10G-2の複数の差動対の各々に対して、選択した電圧VA又はVBを入力電圧として振り分ける。
【0144】
各ガンマアンプ10G-2は、例えば図1又は図14に示す差動増幅器10からなり、電圧VA又はVBが夫々に振り分けられた入力電圧V<1>~V<2>に基づき、電圧VA及びVB間を分割した各電圧レベルを、ガンマ電源電圧として出力する。所定数(x個)のガンマアンプ10G-2から夫々出力されたx個のガンマ電源電圧は、ガンマ電源電圧VG1~VGXとしてラダー抵抗R2の両端タップ及び中間タップに供給される。これにより、ラダー抵抗R2は、ガンマ特性に対応した参照電圧Vg0~VgR(Rは2以上の整数)を生成する。
【0145】
このように図17に示したデコーダ50G及びガンマアンプ10G_2として、図1に示したデジタルアナログ変換器100を適用することができる。これにより表示装置のデータドライバを複数のチップから構成する場合に複数チップ間相互の電圧ばらつきが小さい高精度出力のデータドライバを実現することができる。
【符号の説明】
【0146】
10 差動増幅器
11_1~11_2、12_1~12_2 トランジスタ
13_1~13_2 電流源
30 増幅段
40 MUX
41、42 スイッチ群
50、51 デコーダ
100、101 デジタルアナログ変換器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17