(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151475
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241018BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20241018BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241018BHJP
【FI】
F21S2/00 390
F21S2/00 330
F21V8/00 300
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064834
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】染野 智洋
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 灯
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健史
(72)【発明者】
【氏名】岩元 和之
(72)【発明者】
【氏名】府馬 秀典
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA04
3K244BA50
3K244DA01
(57)【要約】
【課題】フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減し光の質を維持すること。
【解決手段】実施形態の照明装置は、光源と、カップレンズと、フレネルレンズと、ライトガイドと、所定の構造とを備える。前記光源は、フレームの基台部に配置される。前記カップレンズは、前記光源に入射側を向けて配置される。前記フレネルレンズは、前記カップレンズの出射側に配置される。前記ライトガイドは、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記カップレンズのフランジ部を支持する支持部とを有する。前記構造は、前記フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの基台部に配置された光源と、
前記光源に入射側を向けて配置されたカップレンズと、
前記カップレンズの出射側に配置されたフレネルレンズと、
前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記カップレンズのフランジ部を支持する支持部とを有するライトガイドと、
前記フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造と、
を備える照明装置。
【請求項2】
前記構造は、
光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、
前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、
前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、
前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材あるいは光反射性部材により形成された枠状シートと、を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記構造は、
光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、
前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、
前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、
前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光吸収性部材により形成された枠状シートと、を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記カップレンズのフランジ部と前記ライトガイドの支持部とを覆う、光透過性部材により形成されたカップレンズホルダを有する、
請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記構造は、光吸収性部材により形成された前記ライトガイドと、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の金属製のスリーブと、を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材、光反射性部材あるいは光吸収性部材により形成された枠状シートを有する、
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記カップレンズは、前記光源から出た光を広角の範囲内で集光し、
前記フレネルレンズは、前記カップレンズから出た光を広角から狭角の範囲内で集光する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記フレネルレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有するフレネルレンズシリンダを備え、
前記フレネルレンズシリンダは前記フレームに対して光軸方向に移動可能とされ、前記カップレンズと前記フレネルレンズの光軸方向の距離により広角から狭角までの配光が可変とされる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記カップレンズは、略円錐台または略角錐台の形状の本体部と、前記本体部の面積が大きい底面側に設けられる略円環状または略角枠状の前記フランジ部とを有し、前記本体部の面積が小さい側が前記入射側となり、
前記フレネルレンズは、略円板状または略角板状である、
請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スポットライト等の照明装置として、光効率向上のためにカップレンズとフレネルレンズとを組み合わせたものが知られている(例えば、特許文献1、2等を参照)。
【0003】
カップレンズやフレネルレンズは当然ながら透明な光透過性部材により形成されるが、その周囲の部材は、筐体を構成するフレーム内での不要な光の反射を防ぎ、フレーム内から外部への光漏れを防ぐために、一般に光吸収性部材(黒色の樹脂や、表面が黒色に着色された部材)で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-174785号公報
【特許文献2】特開2021-72280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LED(Light Emitting Diode)等の光源の周囲は発熱により高温となるが、それ以外にも、カップレンズから漏れる光によりその周囲の部材に光が吸収されて高温になり、樹脂等により形成される部材の耐熱温度を超えてしまう場合がある。耐熱温度を超えてしまうことで、部材の変形等が生じ、安定した動作を保証できなくなる。
【0006】
温度上昇の原因の一つが光吸収性部材であることから、それを他の性質の部材(光透過性部材、光拡散反射性部材等)に変えることも考えられるが、そもそも光吸収性部材は不要な光の反射を防ぐためのものであることから、その変更により外部への漏れ光の増加やそれによる光の質(例えば見栄え)の悪化が懸念される。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減し光の質を維持することのできる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、光源と、カップレンズと、フレネルレンズと、ライトガイドと、所定の構造とを備える。前記光源は、フレームの基台部に配置される。前記カップレンズは、前記光源に入射側を向けて配置される。前記フレネルレンズは、前記カップレンズの出射側に配置される。前記ライトガイドは、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記カップレンズのフランジ部を支持する支持部とを有する。前記構造は、前記フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する。
【0009】
本発明の一態様に係る照明装置は、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減し光の質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態にかかる照明装置の要部の断面図である。
【
図3】
図3は、照明装置の要部の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0012】
図1は、一実施形態にかかる照明装置1の要部の断面図である。
図1において、照明装置1は略円柱状であり、その軸方向が光軸方向となっている。図では光軸方向がZ軸とされているが、使用時における姿勢は任意である。
【0013】
照明装置1は、ヒートシンクを兼ね、筐体を構成する略円筒状のフレーム2を有している。フレーム2は、略円筒状の壁部2aと、壁部2aから内側に延在する基台部2bとを有している。基台部2bの出射側(
図1における下側)には、放熱シート3を介して基板4が配置され、基板4の出射側(
図1における下側)にはLED(Light Emitting Diode)等の光源5が出射側(
図1における下側)に発光面を向けて配置されている。基台部2bには、放熱シート3を介して基板カバー6も設けられ、基板カバー6は基板4の端部を基台部2bとの間で挟み込むようになっている。
【0014】
光源5の出射側には、光源5に入射側を向けてカップレンズ7が配置されている。カップレンズ7は、略円錐台の形状の本体部7aと、この本体部7aの面積が大きい底面側に設けられる略円環状のフランジ部7bとを有し、本体部7aの面積が小さい側(
図1の上側)が入射側となり、反対側(
図1の下側)が出射側となっている。また、カップレンズ7は、入射側に設けられた略円柱状の凹部7cを有している。なお、カップレンズ7の本体部7aは略円錐台の形状に代えて略角錐台の形状としてもよい。この場合、フランジ部7bは略角枠状となる。
【0015】
カップレンズ7の周囲には、略円筒状のライトガイド8が配置されている。ライトガイド8は、カップレンズ7の側面側を包囲する略円筒状の壁部8aと、この壁部8aから内側に延在しカップレンズ7のフランジ部7bを支持する支持部8bとを有している。
【0016】
ライトガイド8の支持部8bの先端には、カップレンズ7のフランジ部7bがライトガイド8の支持部8bから外れないようにするための、略円環状のカップレンズホルダ9が設けられている。なお、カップレンズホルダ9は設けられない場合もある。
【0017】
ライトガイド8の周囲には、略円筒状のフレネルレンズシリンダ10が配置されており、カップレンズ7の出射側には略円板状のフレネルレンズ11が配置されている。フレネルレンズ11は略円板状に代えて略角板状としてもよい。フレネルレンズシリンダ10は、フレーム2の壁部2aとライトガイド8の壁部8aとの間に配置される壁部10aと、この壁部10aから内側に延在しフレネルレンズ11の外周部を支持する支持部10bとを有している。
【0018】
フレネルレンズシリンダ10の出射側(
図1の下側)の内側には略円筒状のレンズシリンダ13が配置されている。レンズシリンダ13は光軸方向(Z軸方向)に対しては移動せず、光軸を中心に回転が可能になっている。レンズシリンダ13の外面とフレネルレンズシリンダ10の壁部10aの内面とには、例えば螺旋状の溝と凸部とが設けられ、レンズシリンダ13が回転することにより、フレネルレンズシリンダ10は光軸方向に移動が可能である。これにより、フレネルレンズ11がカップレンズ7に対して接近・離間することとなり、配光が可変となる。
【0019】
カップレンズ7は、光源5から出た光を広角の範囲内で集光し、フレネルレンズ11は、カップレンズ7から出た光を広角から狭角の範囲内で集光する。従って、カップレンズ7とフレネルレンズ11とが近づいた状態では広角の配光となり、離れた状態では狭角の配光となる。
【0020】
また、フレネルレンズ11の外周部のカップレンズ7側には、リング状シート12が配置されている。
図2は、リング状シート12の斜視図である。
【0021】
なお、フレーム2やライトガイド8やカップレンズホルダ9やフレネルレンズシリンダ10やレンズシリンダ13が略円筒状である場合について説明したが、これらの全てまたは一部は例えば略角筒状でもよく、一般化すれば略筒状であればよい。フレネルレンズシリンダ10が略角筒状となる場合、フレネルレンズ11は略角板状となり、
図2のリング状シート12は、矩形状の角枠状の枠状シートとなる。リング状シートは枠状シートの一例である。
【0022】
本発明の第1の実施形態では、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が透明な光透過性部材により形成されるとともに、光拡散反射性部材、光反射性部材または光吸収性部材により形成されたリング状シート12がフレネルレンズ11の外周部のカップレンズ7側に配置されるものとしている。また、透明なライトガイド8およびカップレンズホルダ9を包囲するフレネルレンズシリンダ10およびフレーム2の少なくともカップレンズ7に対向する側が光吸収性部材により形成されている。
【0023】
以下の表1は、配光の状態と、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9の材質または表面の状態、リング状シート12の有無および材質または表面の状態に対し、各部の上限温度と実測による温度とを示している。配光は原則として「広角」(カップレンズ7とフレネルレンズ11とが近づいた状態)としているが、リング状シート12の温度については「広角」(「広」と表示)以外に「狭角」(「狭」と表示)の場合についても示している。
【0024】
ライトガイド8およびカップレンズホルダ9の材質または表面の状態としては、両者とも「黒」(光吸収性部材)の場合と、両者とも「白」(光拡散反射性部材)の場合と、両者とも「透明」(光透過性部材)の場合とが挙げられている。
【0025】
リング状シート12については、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」または「白」の場合は「なし」で、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」の場合は、「黒」(光吸収性部材)の場合と、「白」(光拡散反射性部材)の場合とが挙げられている。
【0026】
「環境」は照明装置1が置かれた環境であり、ここでは「35°C」となっている。
【0027】
【0028】
表1においてライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」の場合である。この場合、ライトガイド8が実測で「101.1°C」であり、上限温度「85°C」を超えている。
【0029】
表1において、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「白」の場合でも、ライトガイド8が実測で「90.0°C」であり、上限温度「85°C」を超えている。このことから、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9を「白」にしても温度上昇は防げないことがわかる。また、表1からはわからないが、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「白」の場合は、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9の表面から光が拡散反射し、光漏れによる弊害も発生する。
【0030】
一方、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」で、リング状シート12が「黒」の場合、ライトガイド8が実測で「84.6°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。また、レンズシリンダ13は実測で「79.7°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。リング状シート12は実測で「85.0°C」であり、希望温度「90°C」を下回っている。しかし、狭角の場合については、実測で「92.9°C」であり、希望温度「90°C」を超えている。狭角の際にリング状シート12(フレネルレンズ11の外周部)の温度が上昇するのは、カップレンズ7とフレネルレンズ11とが近づいている広角の際にはカップレンズ7の光がフレネルレンズ11の中央に集まり外周部には当たらなかったのが、カップレンズ7とフレネルレンズ11とが離れることでカップレンズ7の光がフレネルレンズ11の外周部にも当たることによる。
【0031】
ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」で、リング状シート12が「白」の場合、ライトガイド8が実測で「84.9°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。また、レンズシリンダ13は実測で「79.2°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。リング状シート12は実測で「83.9°C」であり、希望温度「90°C」を下回っている。また、狭角の場合についても、実測で「86.7°C」であり、希望温度「90°C」を下回っている。よって、リング状シート12が「黒」の場合よりも望ましい。
【0032】
なお、表1からはわからないが、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」となることで、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9を透過した光が漏れ光となって、出射側に出ることでグレア感が出てしまったり、フレーム2の背後から漏れてしまったりする弊害が考えられる。しかし、前述のように第1の実施形態では、透明なライトガイド8およびカップレンズホルダ9を包囲するフレネルレンズシリンダ10およびフレーム2の少なくともカップレンズ7に対向する側が光吸収性部材により形成されているため、漏れ光を有効に吸収し、弊害を防止することができる。
【0033】
なお、表1ではリング状シート12が「黒」の場合と「白」の場合とについて示されているが、リング状シート12が「グレー」の場合や、鏡面反射(アルミ反射)のような「光反射性部材」の場合であっても、温度上昇を抑える効果がある。
【0034】
図3は、照明装置1の要部の他の例を示す断面図であり、本発明の第2の実施形態である。
図3においては、
図1の構成と比較して最も異なる点は、カップレンズ7の側面側を包囲する略円筒状の金属製(例えば、アルミニウム製)のスリーブ14が設けられた点である。また、その他の基本的な構成は
図1と同様であるが、細部は異なっている。例えば、フレネルレンズ11を支持するフレネルレンズシリンダ10は、ライトガイド8を包囲する略円筒状の駆動シリンダ15と螺旋状の溝と凸部とで噛み合っており、フレネルレンズシリンダ10と駆動シリンダ15とが相対的に回転することで、フレネルレンズ11は光軸方向(Z軸方向)に移動可能になっている。
【0035】
また、第1の実施形態と同様に、フレーム2やライトガイド8やカップレンズホルダ9やフレネルレンズシリンダ10の全部または一部は略円筒状に限らず略筒状であればよく、その場合、スリーブ14や駆動シリンダ15も略筒状となってもよい。
【0036】
以下の表2は、配光の状態と、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9の材質または表面の状態に対し、各部の温度を示している。なお、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒+スリーブ」とあるのは、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」で、更にスリーブ14がある場合を示しており、その他のライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」または「透明」は、スリーブ14がない場合を示している。
【0037】
表2において、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」でスリーブ14がない場合、カップレンズ7のフランジ部7bは、「広角」の場合は「95.9°C」、「狭角」の場合は「98°C」であり、上限温度「85°C」を超えている。また、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」でスリーブ14がない場合、カップレンズ7のフランジ部7bは、「広角」の場合は「81.4°C」、「狭角」の場合は「80.9°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。しかし、表2からは分からないが、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「透明」となることで、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9を透過した光が漏れ光となって、出射側に出ることでグレア感が出てしまったり、フレーム2の背後から漏れてしまったりする不都合が発生する。
【0038】
この点、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9が「黒」でスリーブ14がある場合、カップレンズ7のフランジ部7bは、「広角」の場合は「84.3°C」、「狭角」の場合は「84.7°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。なお、この際のスリーブ14は「広角」の場合は「80.8°C」、「狭角」の場合は「81.3°C」であり、上限温度「85°C」を下回っている。これは、金属製のスリーブ14によりカップレンズ7の周辺の熱が分散され、温度上昇が防止されるものと考えられる。また、ライトガイド8およびカップレンズホルダ9は「黒」の光吸収性部材により形成されているため、不要な光の反射が抑制され、出射側でのグレア感やフレーム2背後の漏れ光を防止することができる。
【0039】
なお、第2の実施形態を示す
図3では、第1の実施形態(
図1、
図2)におけるリング状シート12に相当するものは示されていないが、第1の実施形態と同様に、リング状シート(枠状シート)がフレネルレンズ11の外周部のカップレンズ7側に設けられるようにしてもよい。
【0040】
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0042】
以上のように、実施形態に係る照明装置は、フレームの基台部に配置された光源と、前記光源に入射側を向けて配置されたカップレンズと、前記カップレンズの出射側に配置されたフレネルレンズと、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記カップレンズのフランジ部を支持する支持部とを有するライトガイドと、前記フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造と、を備える。これにより、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減し光の質を維持することができる。
【0043】
また、前記構造は、光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材あるいは光反射性部材により形成された枠状シートと、を有する。これにより、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造を具体的に構成することができる。すなわち、ライトガイドが光を透過することによりライトガイドでの発熱が防止され、ライトガイドを透過した光はフレネルレンズシリンダで吸収されるため不要な反射が防止される。また、特に狭角の配光時にフレネルレンズの外周部に当たる光はリング状シートにより拡散反射され、フレネルレンズの外周部の温度上昇が防止される。
【0044】
また、前記構造は、光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光吸収性部材により形成された枠状シートと、を有する。これにより、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造を具体的に構成することができる。光吸収性部材により形成されたリング状シートは、光拡散反射性部材による場合よりは温度上昇を抑える効果は劣るが、上限温度以下に抑える効果はある。
【0045】
また、前記カップレンズのフランジ部と前記ライトガイドの支持部とを覆う、光透過性部材により形成されたカップレンズホルダを有する。これにより、カップレンズホルダが設けられる場合にも、カップレンズホルダの温度上昇が防止される。
【0046】
また、前記構造は、光吸収性部材により形成された前記ライトガイドと、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の金属製のスリーブと、を有する。これにより、フレーム内の温度上昇を抑えるとともに、フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造を具体的に構成することができる。すなわち、金属製のスリーブによりカップレンズの周辺の熱が分散され、温度上昇が防止される。また、ライトガイドは光吸収性部材により形成されているため、不要な光の反射が抑制される。
【0047】
また、前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材、光反射性部材あるいは光吸収性部材により形成された枠状シートを有する。これにより、フレネルレンズの外周部の温度上昇が防止される。
【0048】
また、前記カップレンズは、前記光源から出た光を広角の範囲内で集光し、前記フレネルレンズは、前記カップレンズから出た光を広角から狭角の範囲内で集光する。これにより、広角から狭角までをカバーすることができる。
【0049】
また、前記フレネルレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有するフレネルレンズシリンダを備え、前記フレネルレンズシリンダは前記フレームに対して光軸方向に移動可能とされ、前記カップレンズと前記フレネルレンズの光軸方向の距離により広角から狭角までの配光が可変とされる。これにより、広角から狭角までの配光を可変とすることができる。
【0050】
また、前記カップレンズは、略円錐台または略角錐台の形状の本体部と、前記本体部の面積が大きい底面側に設けられる略円環状または略角枠状の前記フランジ部とを有し、前記本体部の面積が小さい側が前記入射側となり、前記フレネルレンズは、略円板状または略角板状である。これにより、略円筒状の照明装置を構成することができる。
【0051】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 照明装置,2 フレーム,2a 壁部,2b 基台部,3 放熱シート,4 基板,5 光源,6 基板カバー,7 カップレンズ,7a 本体部,7b フランジ部,7c 凹部,8 ライトガイド,8a 壁部,8b 支持部,9 カップレンズホルダ,10 フレネルレンズシリンダ,10a 壁部,10b 支持部,11 フレネルレンズ,12 リング状シート,13 レンズシリンダ,14 スリーブ,15 駆動シリンダ
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、光源と、カップレンズと、フレネルレンズと、ライトガイドと、所定の構造とを備える。前記カップレンズは、前記光源に入射側を向けて配置される。前記フレネルレンズは、前記カップレンズの出射側に配置される。前記ライトガイドは、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部を有する。前記構造は、筐体を構成するフレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する。前記構造は、光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材、光反射性部材あるいは光吸収性部材により形成された枠状シートと、を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源に入射側を向けて配置されたカップレンズと、
前記カップレンズの出射側に配置されたフレネルレンズと、
前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部を有するライトガイドと、
筐体を構成するフレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造と、
を備え、
前記構造は、
光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、
前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材、光反射性部材あるいは光吸収性部材により形成された枠状シートと、
を有する照明装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源に入射側を向けて配置されたカップレンズと、
前記カップレンズの出射側に配置されたフレネルレンズと、
前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部を有するライトガイドと、
筐体を構成するフレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造と、
を備え、
前記構造は、
光透過性部材により形成された前記ライトガイドと、
前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、
を有する照明装置。
【請求項3】
光源と、
前記光源に入射側を向けて配置されたカップレンズと、
前記カップレンズの出射側に配置されたフレネルレンズと、
前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部を有するライトガイドと、
筐体を構成するフレーム内の温度上昇を抑えるとともに、前記フレーム内から外部への漏れ光を低減する構造と、
を備え、
前記構造は、
光吸収性部材により形成された前記ライトガイドと、
前記ライトガイドの内側に配置され、前記カップレンズの側面側を包囲する略筒状の金属製のスリーブと、
を有する照明装置。
【請求項4】
前記構造は、
前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、
前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、
前記光拡散反射性部材あるいは前記光反射性部材により形成された前記枠状シートと、を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記構造は、
前記ライトガイドの壁部を包囲する略筒状の壁部を有し、前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有し、少なくとも前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成されたフレネルレンズシリンダと、
前記カップレンズに対向する側が光吸収性部材により形成された前記フレームと、
前記光吸収性部材により形成された前記枠状シートと、を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記カップレンズのフランジ部と、前記ライトガイドの壁部から内側に延在し前記フランジ部を支持する支持部とを覆う、光透過性部材により形成されたカップレンズホルダを有する、
請求項1,2,4および5のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項7】
前記フレネルレンズの外周部の前記カップレンズ側に配置される光拡散反射性部材、光反射性部材あるいは光吸収性部材により形成された枠状シートを有する、
請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項8】
前記カップレンズは、前記光源から出た光を広角の範囲内で集光し、
前記フレネルレンズは、前記カップレンズから出た光を広角から狭角の範囲内で集光する、
請求項1から3のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項9】
前記フレネルレンズの側面側を包囲する略筒状の壁部と、該壁部から内側に延在し前記フレネルレンズの外周部を支持する支持部を有するフレネルレンズシリンダを備え、
前記フレネルレンズシリンダは前記フレームに対して光軸方向に移動可能とされ、前記カップレンズと前記フレネルレンズの光軸方向の距離により広角から狭角までの配光が可変とされる、
請求項1から3のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項10】
前記カップレンズは、略円錐台または略角錐台の形状の本体部と、前記本体部の面積が大きい底面側に設けられる略円環状または略角枠状のフランジ部とを有し、前記本体部の面積が小さい側が前記入射側となり、
前記フレネルレンズは、略円板状または略角板状である、
請求項1から3のいずれか一つに記載の照明装置。