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特開2024-151477自転車用チャイルドシート及び自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151477
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシート及び自転車
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20241018BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064842
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】菊地 昭博
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 健次郎
(57)【要約】
【課題】肩ベルトの長さを調整可能な範囲を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供する。
【解決手段】シート本体10は、座部11と、背部12と、ヘッドガード15と、一対の肩ベルト16aと、調整ベルト16bと、を有する。ヘッドガード15は、本体部51と、本体部51から下方に延びる支持部52と、を有する。背部12は、座部に着座した子供の背中を支持するための背凭れ部22と、背凭れ部22よりも後方に、背凭れ部22から離間して配置された後壁部23と、背凭れ部22と後壁部23との間で、支持部52の左右両側の端部を保持する一対の保持部24と、を有する。一対の肩ベルト16aと調整ベルト16bとを連結するベルト連結部Cは、支持部52と後壁部23との間に配置されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に取り付けられるシート本体を備え、
前記シート本体は、
子供が前方を向いた状態で着座する座部と、
前記座部の後端部から上方に延びる背部と、
前記座部に着座した子供の頭部を保護するヘッドガードと、
前記ヘッドガードに挿通され、前記座部に着座した子供の両肩を拘束する一対の肩ベルトと、
前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトと、を有し、
前記ヘッドガードは、
前記座部に着座した子供の頭部の後方に配置される本体部と、
前記本体部と接続され、前記本体部から下方に延びる支持部と、を有し、
前記背部は、
前記座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部と、
前記背凭れ部よりも後方に、前記背凭れ部から離間して配置された後壁部と、
前記背凭れ部と前記後壁部との間で、前記支持部が上下方向に移動可能なように前記支持部の左右両側の端部を保持する一対の保持部と、を有し、
前記一対の肩ベルトと前記調整ベルトとを連結するベルト連結部は、前記支持部と前記後壁部との間に配置されている、自転車用チャイルドシート。
【請求項2】
前記本体部には、前記一対の肩ベルトが挿通される一対の孔部が設けられており、
左右方向において、前記一対の保持部の各々は、前記一対の孔部よりも外側に配置されている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項3】
前記背部は、前記支持部と前記後壁部との間に配置される前壁部を更に有し、
前記ベルト連結部は、前記前壁部と前記後壁部との間に配置されている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項4】
前記一対の保持部の各々は、前記支持部の左右両側の端部の各々が挿通される上下方向に延びる溝部を有し、
前記溝部は、前記支持部の前記端部の前側部分に対向する前側面を有し、
上下方向から見た場合に、前記前側面は、左右方向の中央部に向かうにつれて後方に移動するように傾斜している、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項5】
上下方向から見た場合に、前記背凭れ部及び前記後壁部は、後方に突出するように湾曲した形状を有し、
上下方向から見た場合に、前記背凭れ部の曲率半径は、前記後壁部の曲率半径よりも大きい、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項6】
前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置される、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項7】
前記本体部の前側に露出する前記一対の肩ベルトの長さが長くなるように前記調整ベルトが移動することを規制する一方で、前記本体部の前側に露出する前記一対の肩ベルトの長さが短くなるように前記調整ベルトが移動することを許容するベルト調整部を更に備え、
前記ベルト調整部は、前記座部の下側に配置されている、請求項6に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の自転車用チャイルドシートを備える、自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自転車用チャイルドシート及び自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部及び背部を備える自転車用チャイルドシートが知られている(例えば、特許文献1)。背部は、座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部と、当該背凭れ部の上側に位置し、子供の頭部の高さ位置に応じて上下に移動可能に構成されたヘッドガードと、を有している。ヘッドガードの本体部の下方には、左右方向中央部において下方に延びる柱状の支持部が設けられている。また、ヘッドガードの本体部には、左右一対の肩ベルトを挿通させるための一対のベルト孔が設けられている。一対のベルト孔に挿通された一対の肩ベルトは、ヘッドガードの後方において、1本の調整ベルトの一端部に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-75555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された構成のように、左右方向中央部で上下に延在する柱状部材をヘッドガードの本体部を支持する支持部として用いると共に、ヘッドガードの後方において一対の肩ベルトが左右方向中央部で1つに連結される場合、背凭れ部の後方における左右方向中央部に配置されて上記支持部を上下方向に移動可能に保持する保持部材が一対の肩ベルトの連結部(ベルト連結部)と干渉するおそれがある。このような干渉を防止する方法としては、ベルト連結部の可動域を保持部材の下方に限定することが考えられる。しかし、肩ベルトの長さ調整が可能な範囲(以下「長さ調整範囲」という。)は、ベルト連結部の可動域に依存する。すなわち、ベルト連結部の可動域を長くするほど、肩ベルトの長さ調整範囲が長くなる。このため、ベルト連結部の可動域を保持部材よりも下方の領域に限定すると、肩ベルトの長さ調整範囲が短くなってしまう。一方、肩ベルトの長さ調整範囲を長くするために保持部材が設けられる位置を高くした場合には、保持部材の位置を高くした分だけ、ヘッドガードの最低高さ位置も高くなってしまう。すなわち、自転車用チャイルドシートが上下方向において大型化してしまう。その結果、例えば、自転車用チャイルドシートが運転者の前方に取り付けられる場合には、ヘッドガードによって運転者の視界が遮られてしまうという不利益が生じ得る。
【0005】
本開示の一側面は、肩ベルトの長さを調整可能な範囲を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、[1]~[7]の自転車用チャイルドシートと、[8]の自転車と、を含む。
【0007】
[1]自転車に取り付けられるシート本体を備え、
前記シート本体は、
子供が前方を向いた状態で着座する座部と、
前記座部の後端部から上方に延びる背部と、
前記座部に着座した子供の頭部を保護するヘッドガードと、
前記ヘッドガードに挿通され、前記座部に着座した子供の両肩を拘束する一対の肩ベルトと、
前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトと、を有し、
前記ヘッドガードは、
前記座部に着座した子供の頭部の後方に配置される本体部と、
前記本体部と接続され、前記本体部から下方に延びる支持部と、を有し、
前記背部は、
前記座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部と、
前記背凭れ部よりも後方に、前記背凭れ部から離間して配置された後壁部と、
前記背凭れ部と前記後壁部との間で、前記支持部が上下方向に移動可能なように前記支持部の左右両側の端部を保持する一対の保持部と、を有し、
前記一対の肩ベルトと前記調整ベルトとを連結するベルト連結部は、前記支持部と前記後壁部との間に配置されている、自転車用チャイルドシート。
【0008】
上記[1]の自転車用チャイルドシートでは、ヘッドガードの支持部の左右両側の端部が背部に設けられた一対の保持部によって保持されることによって、ヘッドガードが上下方向に移動可能に保持される。上記構成によれば、ヘッドガードを上下方向に移動可能に保持する保持部材(上記[1]の構成では、一対の保持部)とベルト連結部との干渉を好適に回避することができる。より具体的には、従来のように、背凭れ部の後方における左右方向中央部に保持部材が配置されないため、このような保持部材とベルト連結部との干渉を回避することができる。このため、上述したような干渉を考慮してベルト連結部の可動域を保持部材の下方に限定する必要がない。その結果、ベルト連結部の可動域の確保が容易となる。また、上述したような干渉を回避しつつベルト連結部の可動域を確保することを意図して保持部材の位置を高くする必要もない。すなわち、このように保持部材の位置を高くすることによる座席の大型化(より具体的には、ヘッドガードの最低高さ位置の上昇)を回避することもできる。以上により、上記自転車用チャイルドシートによれば、肩ベルトの長さを調整可能な範囲(すなわち、ベルト連結部の可動域)を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができる。
【0009】
[2]前記本体部には、前記一対の肩ベルトが挿通される一対の孔部が設けられており、
左右方向において、前記一対の保持部の各々は、前記一対の孔部よりも外側に配置されている、[1]の自転車用チャイルドシート。
【0010】
上記[2]の構成では、前後方向から見た場合に、一対の保持部は、一対の肩ベルトがヘッドガードの上下移動に応じて移動する範囲よりも外側に設けられる。これにより、一対の肩ベルトと一対の保持部との干渉(接触等)がより確実に回避されるため、ベルトの損傷が抑制されると共に、肩ベルトの調整をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0011】
[3]前記背部は、前記支持部と前記後壁部との間に配置される前壁部を更に有し、
前記ベルト連結部は、前記前壁部と前記後壁部との間に配置されている、[1]又は[2]の自転車用チャイルドシート。
【0012】
上記[3]の構成によれば、ヘッドガードの支持部が上下に移動する空間とベルト連結部が上下に移動する空間とが、前壁部によって分離される。これにより、上下に移動するヘッドガード(支持部)とベルト連結部との干渉(接触等)をより確実に回避できるため、ベルトの損傷が抑制されると共に、肩ベルトの調整をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0013】
[4]前記一対の保持部の各々は、前記支持部の左右両側の端部の各々が挿通される上下方向に延びる溝部を有し、
前記溝部は、前記支持部の前記端部の前側部分に対向する前側面を有し、
上下方向から見た場合に、前記前側面は、左右方向の中央部に向かうにつれて後方に移動するように傾斜している、[1]~[3]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0014】
上記[4]の構成によれば、支持部の左右両側の端部が一対の保持部に保持されている状態で、支持部を前方にずらそうとする外力が発生しても、支持部が保持部から外れ難い構成を実現することができる。
【0015】
[5]上下方向から見た場合に、前記背凭れ部及び前記後壁部は、後方に突出するように湾曲した形状を有し、
上下方向から見た場合に、前記背凭れ部の曲率半径は、前記後壁部の曲率半径よりも大きい、[1]~[4]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0016】
上記[5]の構成によれば、背凭れ部の曲率半径を比較的大きくすることにより、子供を収容する空間の左右幅を広げることができると共に、後壁部の曲率半径を比較的小さくすることにより、後壁部の左右両側における後方部分の膨らみを抑えることができる。
【0017】
[6]前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置される、[1]~[5]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0018】
上記[1]で述べたように、上記自転車用チャイルドシートでは、座席のコンパクト化(すなわち、ヘッドガードの最低高さ位置を低く抑えること)が図られている。このため、上記[6]の構成によれば、座席を自転車のハンドルとサドルとの間に取り付けて用いることができると共に、運転者の視界が遮られることを抑制して安全性を高めることができる。
【0019】
[7]前記本体部の前側に露出する前記一対の肩ベルトの長さが長くなるように前記調整ベルトが移動することを規制する一方で、前記本体部の前側に露出する前記一対の肩ベルトの長さが短くなるように前記調整ベルトが移動することを許容するベルト調整部を更に備え、
前記ベルト調整部は、前記座部の下側に配置されている、[1]~[6]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0020】
上記のようなベルト調整部が設けられている場合、ベルト連結部の可動域は、ベルト調整部と干渉しない範囲に限定されるところ、ベルト調整部が座部の下側に配置されている場合には、ベルト連結部の可動域を確保するために、支持部と後壁部との間の空間においてベルト連結部が上下移動可能な領域を大きくすることが必要となる。上記[1]で述べた構成によって、このような領域の確保が容易となっていることから、肩ベルトの長さを調整可能な範囲(すなわち、ベルト連結部の可動域)を確保しつつ、ベルト調整部を座部の下側に配置することができる。さらに、上記[6]の構成と組み合わせることにより、ベルト調整部をユーザからアクセスし易い位置に配置することができるため、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0021】
[8][1]~[7]のいずれかの自転車用チャイルドシートを備える、自転車。上記[8]の自転車によれば、上記[1]~[7]の効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一側面によれば、肩ベルトの長さを調整可能な範囲を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態の自転車の側面図である。
図2図2は、図1の自転車用チャイルドシートの斜視図である。
図3図3は、図1の自転車用チャイルドシートを背面から見た一部切り欠き断面斜視図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0025】
図1は、一実施形態に係る自転車用チャイルドシート(以下、単に「チャイルドシート1」という。)が設けられた自転車100を示す。チャイルドシート1は、幼児等の子供を座らせるために、自転車100に取り付けられる。本明細書中において、チャイルドシート1及び自転車100に対する「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「前後方向」、「左右方向」、及び「上下方向」の用語は、特に説明がない場合、チャイルドシート1に着座する幼児を基準とした「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「前後方向」、「左右方向」、及び「上下方向」を意味する。「前後方向」は、接地面に平行な自転車100の進退方向である。また、「上下方向」は、前後方向に直交すると共に接地面に直交する方向である。また、「左右方向」は、前後方向及び上下方向の両方に直交する方向である。
【0026】
図1図5においては、便宜上、「前後方向」をX軸方向と表し、「左右方向」をY軸方向と表し、「上下方向」をZ軸方向と表している。X軸方向の正方向側が「前」に相当し、X軸方向の負方向側が「後」に相当する。また、Y軸方向の正方向側が「左」に相当し、Y軸方向の負方向側が「右」に相当する。また、Z軸方向の正方向側が「上」に相当し、Z軸方向の負方向側が「下」に相当する。なお、「左右方向」において、チャイルドシート1に着座する幼児(チャイルドシート1の左右方向の中心)に接近する側を「(左右方向の)内側」といい、幼児から離間する側を「(左右方向の)外側」という。また、特に説明がない場合、本明細書において、「子供」は、自転車100に着座した子供を意味し、「運転者」は、自転車100のサドル106に着座して自転車100を運転する人を意味する。
【0027】
図1に示されるように、自転車100は、一例として、車体101と、前輪102と、後輪103と、カゴ104と、照明105と、サドル106と、ハンドル107と、駆動機構108と、荷台109とを備える。車体101は、自転車100の骨組みである。前輪102は、車体101の前側に、車体101に対して回転可能に連結されている。後輪103は、車体101の後側に、車体101に対して回転可能に連結されている。自転車100は、前輪102及び後輪103を地面に接地した状態で走行する。カゴ104は、荷物等を収容するための部材である。カゴ104は、前輪102の上方に配置されるように、車体101に連結されている。照明105は、自転車100の前方を照らすための部材である。照明105は、カゴ104と前輪102との間に配置されるように、車体101に連結されている。サドル106は、自転車100の運転者が着座するための部材である。サドル106は、前輪102と後輪103との間において、車体101に連結されている。ハンドル107は、前輪102の向きを変更するための部材である。ハンドル107は、カゴ104とサドル106との間に配置されるように、車体101に連結されている。駆動機構108は、後輪103に回転力を加えるための部材(ペダル、チェーン、ギア等)である。駆動機構108は、前輪102と後輪103との間、及びサドル106の下方に配置されるように、車体101に連結されている。荷台109は、荷物等を積載するための部材である。荷台109は、後輪103の上方に配置されるように、車体101に連結されている。
【0028】
本実施形態では一例として、チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間に配置されるように、車体101に取り付けられている。図1図3に示されるように、チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間に配置されたシート本体10を備える。シート本体10では、座部11と、背部12と、サイドガード13と、足置き14と、ヘッドガード15と、が一体となって構成されている。なお、図3においては、後壁部23の後端部を含む一部をYZ平面に沿って切り欠いた状態を示している。
【0029】
図2又は図3に示されるように、シート本体10は、左右一対の肩ベルト16aと、調整ベルト16bと、左右一対の腰ベルト16cと、股ベルト16dと、を有する。一対の肩ベルト16a、一対の腰ベルト16cは、股ベルト16dの端部に固定されたバックル20に連結可能に構成されている。一対の肩ベルト16aは、子供の両肩を拘束する。
【0030】
座部11は、子供が着座する部分である。座部11には、子供が前方を向いた状態で着座する。座部11の上面11a(座面)には、座り心地を良くするために、クッション部材等が載置されてもよい。座部11の上面11aの左右両側には、腰ベルト16cを挿通させて座部11の上方に引き出すためのベルト挿通孔11bが設けられている。腰ベルト16cのバックル20側とは反対側の端部は、例えば座部11の下方に配置された固定部材(不図示)に固定されている。
【0031】
サイドガード13は、子供の側方への飛び出しを抑制すると共に、自転車100が転倒したときに子供が地面に接触することを抑制するための部分である。サイドガード13は、座部11の左右方向の両端部から上方に延びるように立設されている。本実施形態では、サイドガード13は、座部11と一体的に形成されている。
【0032】
足置き14は、子供の足を置くための部材であり、左右両側に設けられている。足置き14は、部分14a,14b,14cを有する。部分14aは、子供の脚部(膝から下の部分)に沿うように、座部11の前端部から下方に延びる部分である。部分14bは、部分14aの下端部から前方に延びる部分であり、子供の足(靴の下面)が載置される部分である。部分14cは、子供の脚が車体101(ハンドル107と接続されて上下に延びる支柱)に接触するのを防止するために、部分14a,14bの左右方向内側の縁部に接続されて上下方向及び前後方向に延在する部分である。
【0033】
ヘッドガード15は、子供の頭部を保護するための部材である。ヘッドガード15は、背部12(後述する保持部24)により、上下方向に移動可能(摺動可能)に支持されている。ヘッドガード15は、本体部51と、支持部52と、を有する。
【0034】
本体部51は、子供の頭部を保護するために子供の頭部の後方に配置される部分である。本体部51は、後方に突出するように湾曲した形状を有する。本体部51は、支持部52よりも左右方向に延びている。なお、本体部51の前側部分(すなわち、子供の頭部に対向する部分)には、クッション部材等が設けられてもよい。本体部51には、本体部51の後方を通るように設けられた一対の肩ベルト16aを本体部51の前側に引き出すための左右一対のベルト挿通孔51a(孔部)が設けられている。
【0035】
支持部52は、本体部51と接続され、本体部51から下方に延びる部分である。支持部52は、本体部51と一体的に形成されている。支持部52は、上下方向及び左右方向に延在する板状の部材である。図4に示されるように、支持部52は、上方から見て、後述する背凭れ部22と略同一の曲率で後方に突出するように湾曲した形状を有する。支持部52は、後述する保持部24に対して上下方向に移動可能に支持されている。
【0036】
背部12は、座部11の後端部から上側に延びている。背部12は、座部11の後端部及びサイドガード13の後端部に接続されている。なお、座部11、背部12、及びサイドガード13の境界は、必ずしも厳密に特定されなくてもよい。上述した通り、本実施形態では、座部11、背部12、及びサイドガード13は、一体的に形成されている。このような場合、座部11、背部12、及びサイドガード13は、滑らかに連続するように形成され得る。背部12は、前壁部21と、背凭れ部22と、後壁部23と、一対の保持部24と、を有する。
【0037】
前壁部21は、座部11の後端部において上側に延びるように立設されている。図2図4及び図5に示されるように、前壁部21は、第1面21aと、第2面21bと、接続面21cと、背面21dと、を有する。
【0038】
第1面21aは、座部11及びサイドガード13の内面と連続する面であり、背凭れ部22の前面22aと滑らかに繋がる面である。第2面21bは、第1面21aよりも後方に位置している。前方から見た場合に、前壁部21の中央部には、第2面21bを底面とする後方に窪んだ凹部21eが形成されている。凹部21eは、前方から見て略矩形状に形成されている。このような凹部21eが設けられていることにより、第1面21aは、前方から見て略U字状に形成されている。凹部21eの上方は壁部等によって塞がれておらず開放されている。すなわち、このような凹部21eによって、第1面21aに沿った仮想平面と第2面21bとの間には、略直方体状に形成されると共に上方に開口する収容空間S1が形成されている。接続面21cは、第1面21aと第2面21bとを接続するように前後方向に延びる面である。接続面21cは、凹部21eの左右両側及び下側の側面に対応している。背面21dは、第2面21bの反対側に位置する面(すなわち、後方を向く面)である。
【0039】
背凭れ部22は、子供の背中を支持するための部分である。背凭れ部22は、後方に突出するように湾曲した形状を有する板状部材である。背凭れ部22は、前壁部21に設けられた凹部21eの前端部(すなわち、接続面21cの前端部)に沿って、収容空間S1の前方を塞ぐように設けられている。すなわち、収容空間S1は、背凭れ部22の背面22bと第2面21bとの間に形成される空間である。背凭れ部22は、背凭れ部22の前面22aの左右両側及び下側の縁部が前壁部21の第1面21aと滑らかに繋がるように(すなわち、略面一となるように)、前壁部21に支持されている。本実施形態では一例として、図4に示されるように、背凭れ部22の左右両端部には、上下方向に延びると共に後方に突出する突出部22cが設けられている。また、左右両側の接続面21cには、当該突出部22cを左右両側から保持するように上下方向に延びるスリット状の溝部21fが形成されている。左右両側において、背凭れ部22の突出部22cが上下方向に沿って溝部21fの間に保持されることにより、背凭れ部22は、前壁部21に支持されている。背凭れ部22は、上下方向にスライドさせることにより、前壁部21(一対の溝部21f)に対して抜き差し可能とされている。背凭れ部22の上端面22dは、前壁部21の上端面21gと略面一とされている。前壁部21の第1面21a及び背凭れ部22の前面22aには、クッション部材等が設けられてもよい。
【0040】
後壁部23は、背凭れ部22よりも後方に、背凭れ部22から離間して配置されている。本実施形態では、後壁部23は、前壁部21の背面21dから離間して、背面21dの後方に配置されている。後壁部23は、左右両側のサイドガード13の外面と連続し、且つ後方に突出するように湾曲した形状を有する。図1に示されるように、後壁部23は、運転者に対面する部分である。本実施形態では一例として、後壁部23は、サイドガード13と一体的に形成されたヘッド部231と、サイドガード13及びヘッド部231とは別部材として設けられたカバー部232と、によって構成されている。カバー部232は、座部11の一部及び前壁部21の一部を下側及び後側から覆う部材である。カバー部232は、図示しないボルト等の締結部材によって、ヘッド部231及びサイドガード13に対して着脱可能に取り付けられている。
【0041】
一対の保持部24は、ヘッドガード15の支持部52を保持する部分であり、左右両側の各々に設けられている。保持部24は、前壁部21の上端面21gから上方に延在している。保持部24は、前壁部21と一体的に形成されている。保持部24の上端面24aは、ヘッド部231の上端面231aよりも下方に位置している。保持部24は、背凭れ部22と前壁部21の第2面21bとの間(すなわち、上述した収容空間S1)で、支持部52が上下方向に移動可能なように支持部52の左右両側の端部521を保持する。すなわち、ヘッドガード15の支持部52は、収容空間S1に収容された状態で、一対の保持部24によって上下方向に移動可能に保持される。
【0042】
図4に示されるように、一対の保持部24の各々は、支持部52の左右両側の端部521の各々が挿通される溝部41を有している。溝部41は、上下方向に延在している。溝部41は、上下方向から見た場合に、支持部52の端部521の前側部分521a及び後側部分521bを覆うように略コ字状に形成されている。溝部41は、前側部分521aに対向する前側面41aと、後側部分521bに対向する後側面41bと、を有する。前側部分521aは、前側面41aに沿っている。後側部分521bは、後側面41bに沿っている。支持部52の端部521と溝部41とは完全に密着しておらず、支持部52の端部521と溝部41との間には、支持部52の端部521が溝部41の内部(すなわち、前側面41a及び後側面41bの間の空間)を上下方向に移動可能な程度のクリアランスが設けられている。このように、支持部52は、左右両側の端部521が一対の保持部24(溝部41)に把持されることにより、保持部24に対して上下方向に移動可能に支持されている。図5に示されるように、支持部52の下端部522が前壁部21の凹部21eの下面(接続面21c)に接触する位置まで、ヘッドガード15を背部12に対して下降させることが可能とされている。
【0043】
また、上下方向から見た場合に、前側面41a及び後側面41bの各々は、左右方向の内側(中央部)に向かうにつれて後方に移動するように傾斜している。すなわち、上下方向から見た場合に、前側面41aの最も外側の部分41a1は、前側面41aの最も内側の部分41a2よりも前方に位置している。これにより、支持部52の左右両側の端部521が一対の保持部24に保持されている状態で、支持部52を前方にずらそうとする外力が発生しても、支持部52が保持部24から外れ難い構成を実現することができる。
【0044】
図3図5に示されるように、一対の肩ベルト16aの各々は、一対のベルト挿通孔51aの各々に挿通され、前壁部21の背面21dと後壁部23との間のベルト収容空間S2を通るように構成されている。一対の肩ベルト16aは、ベルト収容空間S2内において、V字状に互いに連結されている。一対の肩ベルト16aが互いに連結されたベルト連結部Cは、左右方向の中央部に位置する。一対の肩ベルト16aは、ベルト連結部Cで合流すると共に、調整ベルト16bの一端部と連結されている。
【0045】
図3に示されるように、調整ベルト16bは、左右方向の中央部に配置されている。また、図3及び図5に示されるように、調整ベルト16bは、ベルト収容空間S2においてベルト連結部Cから下方に延びた後に、後壁部23の下端部付近において屈曲して前方に延びている。調整ベルト16bは、座部11の下方において、ベルト調整部17に挿通され、巻取り部18に巻き取られる。すなわち、調整ベルト16bにおけるベルト連結部C側とは反対側の端部は、巻取り部18の内部に収容されている。ベルト調整部17と巻取り部18との間には、調整ベルト16bを引っ張ることが可能な調節領域Rが設けられている。調節領域Rは、調整ベルト16bにアクセス可能な領域(すなわち、調整ベルト16bが外側に露出した領域)であり、調整ベルト16bの下方を覆う壁部等が設けられていない領域である。
【0046】
ベルト調整部17は、座部11の下方において、左右方向の中央部に配置されている。ベルト調整部17は、ヘッドガード15(本体部51)の前側に露出する一対の肩ベルト16aの長さが長くなるように(すなわち、子供の肩を押さえる肩ベルト16aの拘束力が弱くなるように)調整ベルト16bが移動することを規制する。すなわち、ベルト調整部17は、調整ベルト16bが巻取り部18から引き出されてベルト収容空間S2におけるベルト連結部Cが上方に移動する方向D1(図5参照)への調整ベルト16bの移動を規制する。一方、ベルト調整部17は、本体部51の前側に露出する一対の肩ベルト16aの長さが短くなるように(すなわち、子供の肩を押さえる肩ベルト16aの拘束力が強くなるように)調整ベルト16bが移動することを許容する。言い換えれば、ベルト調整部17は、調整ベルト16bが巻取り部18に巻き取られてベルト収容空間S2におけるベルト連結部Cが下方に移動する方向D2(図5参照)への調整ベルト16bの移動を完全には規制しない。より具体的には、ベルト調整部17は、一定以上強い力で方向D2に調整ベルト16bを引っ張る力が生じた場合には、方向D2への調整ベルト16bの移動を許容する。
【0047】
ベルト調整部17は、一対のブラケット71と、支軸72と、規制部材73と、を有する。一対のブラケット71は、座部11に連結されている。一対のブラケット71は、左右方向に互いに離間して配置されている。支軸72は、一対のブラケット71のそれぞれを互いに連結している。規制部材73は、支軸72を介して、一対のブラケット71に対して回動可能に支持されている。
【0048】
規制部材73は、略円柱状の本体73aと、本体73aの周面上に設けられた爪部73bと、チャイルドシート1のユーザ(主に自転車100の運転者)によって操作されるレバー73cと、を有する。規制部材73は、捻りコイルバネ(不図示)等によって、爪部73bが後方に向かって(図5における時計回り方向に)回動するように付勢されている。これにより、通常状態において、爪部73bが調整ベルト16bに食い込んでいる。爪部73bは、複数の爪によって構成されている。複数の爪は、前側に位置する爪ほど支軸72から離れるように形成されている。
【0049】
ユーザが調節領域Rにおいて調整ベルト16bを下方に引き出すことにより、調整ベルト16bを前方(方向D2)に引っ張ったときには、規制部材73は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、図5における反時計回り方向に)、支軸72周りに回動する。これにより、爪部73bが調整ベルト16bに引っ掛からない状態となって、ユーザは調整ベルト16bを前方に引っ張ることができる。調整ベルト16bが前方に引っ張られると、調整ベルト16bとベルト連結部Cで連結された一対の肩ベルト16aがベルト収容空間S2において下方に引っ張られる。その結果、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aの長さを短くすることができる。すなわち、肩ベルト16aによる拘束力を強くすることができる。
【0050】
一方、ユーザがレバー73cを方向D3(図5参照)に押圧しない状態(すなわち、調整ベルト16bに対する爪部73bの係合を解除しない状態)で、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aを前方に引っ張ったときには、調整ベルト16bを方向D1に移動させようとする力が働く。その結果、規制部材73が図5における時計回り方向に支軸72周りに回動することによって、爪部73bが調整ベルト16bにより強く食い込む。これにより、調整ベルト16bの方向D1への移動が規制され、調整ベルト16bとベルト連結部Cで連結された一対の肩ベルト16aの上方への移動が規制される結果、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aの長さは長くならない。なお、ユーザがレバー73cを方向D3に押圧したときには、規制部材73は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、図5における反時計回り方向に)、支軸72周りに回動する。これにより、爪部73bが調整ベルト16bから外れて、調整ベルト16bは方向D1及び方向D2のいずれにも移動可能となる。したがって、ユーザがレバー73cを方向D3に押圧した状態で、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aを前方に引っ張ったときには、肩ベルト16aが前方に引き出される。すなわち、肩ベルト16aによる拘束力を緩めることができる。
【0051】
以上のように、規制部材73(ベルト調整部17)は、調節領域Rにおいて調整ベルト16bを前方に引っ張ることにより肩ベルト16aの拘束力をきつくしようとする動作(すなわち、方向D2への調整ベルト16bの移動)については許容する一方で、肩ベルト16aをヘッドガード15よりも前方に引き出して肩ベルト16aの拘束力を緩めようとする動作(すなわち、方向D1への調整ベルト16bの移動)については規制する。
【0052】
巻取り部18は、調整ベルト16bを巻き取って収容する部材である。巻取り部18は、ベルト調整部17の前方において、ベルト調整部17から離間して配置されている。巻取り部18は、座部11の下方において、シート本体10の左右方向の略中央部に配置されている。なお、巻取り部18は、調整ベルト16bを方向D2に巻き取るように付勢されているが、巻取り部18が調整ベルト16bを方向D2に巻き取る力は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、図5における反時計回り方向に)規制部材73を支軸72周りに回動させるために必要な力よりも小さくされている。すなわち、レバー73cが方向D3に押圧されておらず、調整ベルト16bに爪部73bが係合している状態においては、ベルト調整部17よりもベルト収容空間S2側に位置する調整ベルト16bが巻取り部18によって方向D2に移動させられることはない。一方、調節領域Rにおいて生じた調整ベルト16bの弛みについては、巻取り部18によって自動的に巻き取られる。
【0053】
[作用効果]
以上述べたように、チャイルドシート1では、ヘッドガード15の支持部52の左右両側の端部521が背部12(前壁部21)に設けられた一対の保持部24によって保持されることによって、ヘッドガード15が上下方向に移動可能に保持される。上記構成によれば、ヘッドガード15を上下方向に移動可能に保持する保持部材(本実施形態では、一対の保持部24)とベルト連結部Cとの干渉を好適に回避することができる。より具体的には、従来のように、背凭れ部22の後方における左右方向中央部に保持部材が配置されないため、このような保持部材とベルト連結部Cとの干渉を回避することができる。このため、上述したような干渉を考慮してベルト連結部Cの可動域を保持部材の下方に限定する必要がない。その結果、ベルト収容空間S2におけるベルト連結部Cの可動域(上下に移動可能な範囲)の確保が容易となる。また、上述したような干渉を回避しつつベルト連結部Cの可動域を確保することを意図して保持部材の位置を高くする必要もない。すなわち、このように保持部材の位置を高くすることによる座席の大型化(より具体的には、ヘッドガード15の最低高さ位置の上昇)を回避することもできる。以上により、本実施形態のチャイルドシート1及び自転車100によれば、肩ベルト16aの長さを調整可能な範囲(すなわち、ベルト連結部Cの可動域)を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができる。
【0054】
また、ヘッドガード15の本体部51には、一対の肩ベルト16aが挿通される一対のベルト挿通孔51aが設けられている。本実施形態では、左右方向において、一対の保持部24の各々は、一対のベルト挿通孔51aよりも外側に配置されている。上記構成では、前後方向から見た場合に、一対の保持部24は、一対の肩ベルト16aがヘッドガード15の上下移動に応じて移動する範囲よりも左右方向の外側に設けられる。これにより、一対の肩ベルト16aと一対の保持部24との干渉(接触等)がより確実に回避されるため、ベルトの損傷が抑制されると共に、肩ベルト16aの調整をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0055】
また、図4に示されるように、ベルト連結部Cは、前壁部21(前壁部21の背面21d)と後壁部23との間のベルト収容空間S2に配置されている。上記構成によれば、ヘッドガード15の支持部52が上下に移動する収容空間S1とベルト連結部Cが上下に移動するベルト収容空間S2とが、前壁部21(第2面21bと背面21dとの間の壁部)によって分離される。これにより、上下に移動するヘッドガード15(支持部52)とベルト連結部Cとの干渉(接触等)をより確実に回避できるため、ベルトの損傷が抑制されると共に、肩ベルト16aの調整をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0056】
また、図4に示されるように、上下方向から見た場合に、背凭れ部22及び後壁部23は、後方に突出するように湾曲した形状を有し、背凭れ部22の曲率半径は、後壁部23の曲率半径よりも大きい。上記構成によれば、背凭れ部22の曲率半径を比較的大きくすることにより、子供を収容する空間の左右幅を広げることができると共に、後壁部23の曲率半径を比較的小さくすることにより、後壁部23の左右両側における後方部分の膨らみを抑えることができる。これにより、運転者と後壁部23との間の空間(特に、運転者の左右の脚の前方又は上方の空間)を大きくし、運転者と後壁部23とが接触する可能性を低減できる。
【0057】
また、上述したように、チャイルドシート1では、座席のコンパクト化(すなわち、ヘッドガード15の最低高さ位置を低く抑えること)が実現されている。このため、図1に示されるように、チャイルドシート1を自転車100のハンドル107とサドル106との間に取り付けて用いることができると共に、運転者の視界が遮られることを抑制して安全性を高めることができる。
【0058】
また、ベルト調整部17は、座部11の下側に配置されている。ベルト調整部17が設けられている場合、ベルト連結部Cの可動域は、ベルト調整部17と干渉しない範囲(本実施形態では、ベルト調整部17よりも上方)に限定されるところ、ベルト調整部17が座部11の下側に配置されている場合には、ベルト連結部Cの可動域を確保するために、ベルト収容空間S2においてベルト連結部Cが上下移動可能な領域を大きくすることが必要となる。上述した通り、本実施形態のチャイルドシート1では、このような領域の確保が容易となっている。これにより、肩ベルト16aの長さを調整可能な範囲(すなわち、ベルト収容空間S2においてベルト連結部Cが上下移動可能な可動域)を確保しつつ、ベルト調整部17を座部11の下側に配置することができる。さらに、図1に示されるように、チャイルドシート1がハンドル107とサドル106との間に配置される場合には、ベルト調整部17をユーザからアクセスし易い位置に配置することができるため、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0059】
[変形例]
以上、本開示のいくつかの実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本開示は、上記の各実施形態及び各変形例で示した構成に限られない。各構成の材料及び形状には、上述した具体的な材料及び形状に限らず、上述した以外の様々な材料及び形状を採用することができる。また、上記の各実施形態及び各変形例に含まれる一部の構成は、適宜省略又は変更されてもよいし、任意に組み合わせることが可能である。
【0060】
チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間以外の場所に配置されてもよい。例えば、チャイルドシート1は、ハンドル107と接続されて上下に延びる支柱の上方における左右のハンドル107の間の位置に配置されてもよい。チャイルドシート1は、サドル106の後方(例えば、荷台109の上)等に取り付けられてもよい。また、取付位置の変更に伴って、チャイルドシート1の形状、ベルト調整部17の取付位置等は、適宜変更されてもよい。
【0061】
上記実施形態では、前壁部21(第2面21bと背面21dとの間の壁部)によって、ヘッドガード15の支持部52が収容される収容空間S1とベルト収容空間S2とが分離されたが、このような前壁部21は省略されてもよい。その場合でも、上述したように、本実施形態では、支持部52を支持するための支持部材が左右方向中央部に設けられないため、このような支持部材とベルト連結部Cとの干渉が回避される。これにより、肩ベルト16aの長さを調整可能な範囲(すなわち、ベルト連結部Cの可動域)を確保しつつ座席のコンパクト化を図ることができるという上述した効果を得ることができる。
【0062】
また、チャイルドシート1は、いくつかの部材に分割されているが、これらの部材は一体的に形成されもよい。また、チャイルドシート1において一体的に形成されていた複数の部分は、複数の部材によって分割されてもよい。例えば、チャイルドシート1において、背凭れ部22は、前壁部21と一体的に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…チャイルドシート(自転車用チャイルドシート)、10…シート本体、11…座部、12…背部、15…ヘッドガード、16a…肩ベルト、16b…調整ベルト、17…ベルト調整部、21…前壁部、22…背凭れ部、23…後壁部、24…保持部、41…溝部、41a…前側面、41b…後側面、51…本体部、51a…ベルト挿通孔(孔部)、52…支持部、100…自転車、106…サドル、107…ハンドル、521…端部、521a…前側部分、521b…後側部分、C…ベルト連結部。
図1
図2
図3
図4
図5