(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151478
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシート及び自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20241018BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064844
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】菊地 昭博
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 健次郎
(57)【要約】
【課題】安全性及びユーザの利便性を向上させることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供する。
【解決手段】一実施形態のチャイルドシート1は、自転車に取り付けられるシート本体10を備え、シート本体10は、子供が前方を向いた状態で着座する座部11と、座部11の後端部から上方に延びる背部12と、座部11に着座した子供の両肩を拘束する一対の肩ベルト16aを有するベルト部材16と、ベルト部材16が挿通され、肩ベルト16aのうち背部12の前方に露出する部分の長さが長くなる方向D1へのベルト部材16の移動を規制する一方で、方向D1と反対の方向D2へのベルト部材16の移動を許容するベルト調整部17と、座部11の上方に位置するベルト部材16の第1端部16eとは反対側の第2端部16fを収容し、方向D2にベルト部材16を巻き取る巻取り部18と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に取り付けられるシート本体を備え、
前記シート本体は、
子供が前方を向いた状態で着座する座部と、
前記座部の後端部から上方に延びる背部と、
前記座部に着座した子供の両肩を拘束する一対の肩ベルトを有するベルト部材と、
前記ベルト部材が挿通され、前記肩ベルトのうち前記背部の前方に露出する部分の長さが長くなる第1方向への前記ベルト部材の移動を規制する一方で、前記第1方向と反対の第2方向への前記ベルト部材の移動を許容するベルト調整部と、
前記座部の上方に位置する前記ベルト部材の第1端部とは反対側の第2端部を収容し、前記ベルト部材のうち前記ベルト調整部よりも前記第2端部側の部分を前記第2方向に巻き取る巻取り部と、
を有する、自転車用チャイルドシート。
【請求項2】
前記ベルト調整部及び前記巻取り部の間には、前記シート本体の外側から前記ベルト部材にアクセスして前記ベルト部材を引っ張ることが可能な調節領域が設けられている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項3】
前記ベルト部材は、前記座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部の後方において、前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトを更に有し、
前記ベルト調整部は、前記一対の肩ベルト及び前記調整ベルトを連結するベルト連結部と前記巻取り部との間に配置されている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項4】
前記巻取り部は、前記座部の下方に配置されている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項5】
前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置され、
前記ベルト調整部は、前記座部の下方に配置されている、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項6】
前記ベルト部材は、前記座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部の後方において、前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトを更に有し、
前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置され、
前記ベルト調整部は、前記一対の肩ベルト及び前記調整ベルトを連結するベルト連結部と前記巻取り部との間に配置され、
前記ベルト調整部及び前記巻取り部は、前記座部の下方に配置されるとともに、前記シート本体の左右方向の略中央部に配置される、請求項1に記載の自転車用チャイルドシート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の自転車用チャイルドシートを備える、自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自転車用チャイルドシート及び自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部及び背部が一体となって構成されている自転車用チャイルドシートが知られている(例えば、特許文献1)。背部は、座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部と、当該背凭れ部の上側に位置し、子供の頭部の高さ位置に応じて上下移動可能に構成されたヘッドガードと、当該ヘッドガードに設けられた左右一対のベルト孔から前側にそれぞれ露出している左右一対の肩ベルトとを有している。左右一対の肩ベルトは、左右一対の肩ベルト孔の後側で1本の調節ベルトの一端部にそれぞれ縫い付けられている。調節ベルトの他端部は、座部に固定された股ベルトに連結可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の自転車用チャイルドシートが自転車に取り付けられた状態で、調節ベルトの他端部が垂れ下がっていると、調整ベルトの他端部を含む部分が車輪に巻き込まれるおそれがある。また、上記特許文献1に記載されたように調整ベルトの他端部を股ベルトに固定可能な構成によれば、調節ベルトの他端部の垂れ下がりを抑制できるが、調整ベルトの他端部を含み且つシートの外側に露出する余剰部分が長い場合には、ループ状に形成された上記余剰部分がチャイルドシートに着座した子供の靴等に当たって汚れてしまい、ユーザの利便性を損ねるおそれがある。
【0005】
本開示の一側面は、安全性及びユーザの利便性を向上させることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、[1]~[6]の自転車用チャイルドシートと、[7]の自転車と、を含む。
【0007】
[1]自転車に取り付けられるシート本体を備え、
前記シート本体は、
子供が前方を向いた状態で着座する座部と、
前記座部の後端部から上方に延びる背部と、
前記座部に着座した子供の両肩を拘束する一対の肩ベルトを有するベルト部材と、
前記ベルト部材が挿通され、前記肩ベルトのうち前記背部の前方に露出する部分の長さが長くなる第1方向への前記ベルト部材の移動を規制する一方で、前記第1方向と反対の第2方向への前記ベルト部材の移動を許容するベルト調整部と、
前記座部の上方に位置する前記ベルト部材の第1端部とは反対側の第2端部を収容し、前記ベルト部材のうち前記ベルト調整部よりも前記第2端部側の部分を前記第2方向に巻き取る巻取り部と、
を有する、自転車用チャイルドシート。
【0008】
上記[1]の自転車用チャイルドシートでは、巻取り部によって、ベルト部材の第2端部が収容される。これにより、ベルト部材の第2端部がシートの外側に露出して垂れ下がることが抑制される。さらに、ベルト調整部と巻取り部との間において、ベルト部材が緩んで余剰部分が発生したとしても、当該余剰部分は巻取り部によって巻き取られるため、当該余剰部分がそのままの状態となってシート本体の外側に露出して垂れ下がることも抑制される。その結果、ベルト部材の垂れ下がった部分が車輪に巻き取られたり、座部に着座した子供の靴等に接触して汚れたりすることが抑制される。以上により、上記自転車用チャイルドシートによれば、安全性及びユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
[2]前記ベルト調整部及び前記巻取り部の間には、前記シート本体の外側から前記ベルト部材にアクセスして前記ベルト部材を引っ張ることが可能な調節領域が設けられている、[1]に記載の自転車用チャイルドシート。
【0010】
上記[2]の構成によれば、ユーザは、調整領域からアクセス可能なベルト部材の部分を引っ張ることにより、背部の前方に露出する肩ベルトの長さを短くして、座部に着座した子供の両肩を適切に拘束することができる。また、ユーザは、このような調整を行った後、ベルト部材から手を離すだけで、巻取り部にベルト部材を自動的に巻き取らせることができるため、調整後のベルト部材の収納作業から開放される。一方、仮に、上記のような調整領域がベルト調整部の巻取り部側とは反対側のみに設けられる場合、上記のように調整後にユーザが手を離しただけでは、調整によって生じたベルト部材の余剰部分は巻取り部に自動的に巻き取られない。さらに、ベルト部材の長さの調整中に、子供が身体を前方に傾ける動作等を行うことにより、ベルト部材を第1方向に引っ張る力が生じた場合に、ユーザが調整のために掴んでいるベルト部材にも上記力が働くため、調整作業がし難くなる。以上により、上記[2]の構成によれば、肩ベルトの長さ調整を容易に行うことが可能になるため、ユーザの利便性をより一層向上させることができる。
【0011】
[3]前記ベルト部材は、前記座部に着座した子供の背中を支持する背凭れ部の後方において、前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトを更に有し、
前記ベルト調整部は、前記一対の肩ベルト及び前記調整ベルトを連結するベルト連結部と前記巻取り部との間に配置されている、[1]又は[2]の自転車用チャイルドシート。
【0012】
上記[3]の構成によれば、一対の肩ベルトを背凭れ部の後方において1本の調整ベルトに連結し、当該1本の調整ベルトをベルト調整部及び巻取り部によって調整及び巻き取る構成にすることにより、必要となるベルト調整部及び巻取り部の個数をそれぞれ1つにすることができる。その結果、シート本体の部品点数を削減し、シート本体をコンパクト化することができる。
【0013】
[4]前記巻取り部は、前記座部の下方に配置されている、[1]~[3]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0014】
上記[4]の構成によれば、例えば、ベルト部材の第2端部の従来の固定位置(例えば、股ベルト)に巻取り部を配置する場合と比較して、ベルト部材の第2端部を含む部分(すなわち、巻取り部に巻き取られる部分)が子供の身体(例えば手等)に接触することを抑制できる。その結果、安全性を向上させることができる。
【0015】
[5]前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置され、
前記ベルト調整部は、前記座部の下方に配置されている、[1]~[4]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0016】
上記[5]の構成によれば、シート本体の座部前方にアクセスし難い状況において、ベルト調整部を座部の下方に配置することにより、ベルト調整部に対するユーザの操作性を向上させることができる。
【0017】
[6]前記ベルト部材は、前記一対の肩ベルトの長さを調節するために前記一対の肩ベルトの両方と連結された調整ベルトを更に有し、
前記シート本体は、前記自転車のハンドルと、前記自転車の運転者が着座するサドルとの間に配置され、
前記ベルト調整部は、前記一対の肩ベルト及び前記調整ベルトを連結するベルト連結部と前記巻取り部との間に配置され、
前記ベルト調整部及び前記巻取り部は、前記座部の下方に配置されるとともに、シート本体の左右方向の略中央部に配置される、[1]~[5]のいずれかの自転車用チャイルドシート。
【0018】
上記[6]の構成によれば、一対の肩ベルトを1本の調整ベルトに連結し、当該1本の調整ベルトをベルト調整部及び巻取り部によって調整及び巻き取る構成にすることにより、必要となるベルト調整部及び巻取り部の個数をそれぞれ1つにすることができる。また、ベルト調整部及び巻取り部が座部の下方に配置されている。これにより、仮に運転者とシート本体との間(すなわち、背部の後方)に調整部及び巻取り部が設けられる場合と比較して、運転者とシート本体との間のスペースを広げることができる。さらに、ベルト調整部及び巻取り部は、シート本体の左右方向の略中央部に配置されているため、運転者の左右の脚部とベルト調整部及び巻取り部とが干渉(接触)する可能性を低減できる。以上により、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0019】
[7][1]~[6]のいずれかの自転車用チャイルドシートを備える、自転車。上記[7]の自転車によれば、[1]~[6]の効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一側面によれば、安全性及びユーザの利便性を向上させることができる自転車用チャイルドシート、及び当該自転車用チャイルドシートを備える自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自転車用チャイルドシートが取り付けられた自転車の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の自転車用チャイルドシートの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の自転車用チャイルドシートを背面から見た一部切り欠き断面斜視図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る自転車用チャイルドシートの断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係る自転車用チャイルドシートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る自転車用チャイルドシート(以下、単に「チャイルドシート1」という。)が設けられた自転車100を示す。チャイルドシート1は、幼児等の子供を座らせるために、自転車100に取り付けられる。本明細書中において、チャイルドシート1及び自転車100に対する「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「前後方向」、「左右方向」、及び「上下方向」の用語は、特に説明がない場合、チャイルドシート1に着座する幼児を基準とした「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「前後方向」、「左右方向」、及び「上下方向」を意味する。「前後方向」は、接地面に平行な自転車100の進退方向である。また、「上下方向」は、前後方向に直交すると共に接地面に直交する方向である。また、「左右方向」は、前後方向及び上下方向の両方に直交する方向である。
【0024】
図1~
図7においては、便宜上、「前後方向」をX軸方向と表し、「左右方向」をY軸方向と表し、「上下方向」をZ軸方向と表している。X軸方向の正方向側が「前」に相当し、X軸方向の負方向側が「後」に相当する。また、Y軸方向の正方向側が「左」に相当し、Y軸方向の負方向側が「右」に相当する。また、Z軸方向の正方向側が「上」に相当し、Z軸方向の負方向側が「下」に相当する。なお、「左右方向」において、チャイルドシート1に着座する幼児(チャイルドシート1の左右方向の中心)に接近する側を「(左右方向の)内側」といい、幼児から離間する側を「(左右方向の)外側」という。また、特に説明がない場合、本明細書において、「子供」は、自転車100に着座した子供を意味し、「運転者」は、自転車100のサドル106に着座して自転車100を運転する人を意味する。
【0025】
図1に示されるように、自転車100は、一例として、車体101と、前輪102と、後輪103と、カゴ104と、照明105と、サドル106と、ハンドル107と、駆動機構108と、荷台109とを備える。車体101は、自転車100の骨組みである。前輪102は、車体101の前側に、車体101に対して回転可能に連結されている。後輪103は、車体101の後側に、車体101に対して回転可能に連結されている。自転車100は、前輪102及び後輪103を地面に接地した状態で走行する。カゴ104は、荷物等を収容するための部材である。カゴ104は、前輪102の上方に配置されるように、車体101に連結されている。照明105は、自転車100の前方を照らすための部材である。照明105は、カゴ104と前輪102との間に配置されるように、車体101に連結されている。サドル106は、自転車100の運転者が着座するための部材である。サドル106は、前輪102と後輪103との間において、車体101に連結されている。ハンドル107は、前輪102の向きを変更するための部材である。ハンドル107は、カゴ104とサドル106との間に配置されるように、車体101に連結されている。駆動機構108は、後輪103に回転力を加えるための部材(ペダル、チェーン、ギア等)である。駆動機構108は、前輪102と後輪103との間、及びサドル106の下方に配置されるように、車体101に連結されている。荷台109は、荷物等を積載するための部材である。荷台109は、後輪103の上方に配置されるように、車体101に連結されている。
【0026】
本実施形態では一例として、チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間に配置されるように、車体101に取り付けられている。
図1~
図3に示されるように、チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間に配置されたシート本体10を備える。シート本体10では、座部11と、背部12と、サイドガード13と、足置き14と、ヘッドガード15と、が一体となって構成されている。なお、
図3においては、後壁部23の後端部を含む一部をYZ平面に沿って切り欠いた状態を示している。
【0027】
図2又は
図3に示されるように、シート本体10は、ベルト部材16を有する。ベルト部材16は、左右一対の肩ベルト16aと、調整ベルト16bと、左右一対の腰ベルト16cと、股ベルト16dと、を有する。一対の肩ベルト16aは、第1端部16eを有する。第1端部16eは、背部12の前方、且つ、座部11の上方に位置する。第1端部16eは、肩ベルト16aのうち後述するヘッドガード15のベルト挿通孔51aに挿通されて背部12の前方に引き出された部分の端部である。一対の肩ベルト16aの各々の第1端部16e及び一対の腰ベルト16cは、股ベルト16dの端部に固定されたバックル20に連結可能に構成されている。
【0028】
座部11は、子供が着座する部分である。座部11には、子供が前方を向いた状態で着座する。座部11の上面11a(座面)には、座り心地を良くするために、クッション部材等が載置されてもよい。座部11の上面11aの左右両側には、腰ベルト16cを挿通させて座部11の上方に引き出すためのベルト挿通孔11bが設けられている。腰ベルト16cのバックル20側とは反対側の端部は、例えば座部11の下方に配置された固定部材(不図示)に固定されている。
【0029】
サイドガード13は、子供の側方への飛び出しを抑制すると共に、自転車100が転倒したときに子供が地面に接触することを抑制するための部分である。サイドガード13は、座部11の左右方向の両端部から上方に延びるように立設されている。本実施形態では、サイドガード13は、座部11と一体的に形成されている。
【0030】
足置き14は、子供の足を置くための部材であり、左右両側に設けられている。足置き14は、部分14a,14b,14cを有する。部分14aは、子供の脚部(膝から下の部分)に沿うように、座部11の前端部から下方に延びる部分である。部分14bは、部分14aの下端部から前方に延びる部分であり、子供の足(靴の下面)が載置される部分である。部分14cは、子供の脚が車体101(ハンドル107と接続されて上下に延びる支柱)に接触するのを防止するために、部分14a,14bの左右方向内側の縁部に接続されて上下方向及び前後方向に延在する部分である。
【0031】
ヘッドガード15は、子供の頭部を保護するための部材である。ヘッドガード15は、背部12(後述する保持部24)により、上下方向に移動可能(摺動可能)に支持されている。ヘッドガード15は、本体部51と、支持部52と、を有する。
【0032】
本体部51は、子供の頭部を保護するために子供の頭部の後方に配置される部分である。本体部51は、後方に突出するように湾曲した形状を有する。本体部51は、支持部52よりも左右方向に延びている。なお、本体部51の前側部分(すなわち、子供の頭部に対向する部分)には、クッション部材等が設けられてもよい。本体部51には、本体部51の後方を通るように設けられた一対の肩ベルト16aを本体部51の前側に引き出すための左右一対のベルト挿通孔51a(孔部)が設けられている。
【0033】
支持部52は、本体部51と接続され、本体部51から下方に延びる部分である。支持部52は、本体部51と一体的に形成されている。支持部52は、上下方向及び左右方向に延在する板状の部材である。
図4に示されるように、支持部52は、上方から見て、後述する背凭れ部22と略同一の曲率で後方に突出するように湾曲した形状を有する。支持部52は、後述する保持部24に対して上下方向に移動可能に支持されている。
【0034】
背部12は、座部11の後端部から上側に延びている。背部12は、座部11の後端部及びサイドガード13の後端部に接続されている。なお、座部11、背部12、及びサイドガード13の境界は、必ずしも厳密に特定されなくてもよい。上述した通り、本実施形態では、座部11、背部12、及びサイドガード13は、一体的に形成されている。このような場合、座部11、背部12、及びサイドガード13は、滑らかに連続するように形成され得る。背部12は、前壁部21と、背凭れ部22と、後壁部23と、一対の保持部24と、を有する。
【0035】
前壁部21は、座部11の後端部において上側に延びるように立設されている。
図2、
図4及び
図5に示されるように、前壁部21は、第1面21aと、第2面21bと、接続面21cと、背面21dと、を有する。
【0036】
第1面21aは、座部11及びサイドガード13の内面と連続する面であり、背凭れ部22の前面22aと滑らかに繋がる面である。第2面21bは、第1面21aよりも後方に位置している。前方から見た場合に、前壁部21の中央部には、第2面21bを底面とする後方に窪んだ凹部21eが形成されている。凹部21eは、前方から見て略矩形状に形成されている。このような凹部21eが設けられていることにより、第1面21aは、前方から見て略U字状に形成されている。凹部21eの上方は壁部等によって塞がれておらず開放されている。すなわち、このような凹部21eによって、第1面21aに沿った仮想平面と第2面21bとの間には、略直方体状に形成されると共に上方に開口する収容空間S1が形成されている。接続面21cは、第1面21aと第2面21bとを接続するように前後方向に延びる面である。接続面21cは、凹部21eの左右両側及び下側の側面に対応している。背面21dは、第2面21bの反対側に位置する面(すなわち、後方を向く面)である。
【0037】
背凭れ部22は、子供の背中を支持するための部分である。背凭れ部22は、後方に突出するように湾曲した形状を有する板状部材である。背凭れ部22は、前壁部21に設けられた凹部21eの前端部(すなわち、接続面21cの前端部)に沿って、収容空間S1の前方を塞ぐように設けられている。すなわち、収容空間S1は、背凭れ部22の背面22bと第2面21bとの間に形成される空間である。背凭れ部22は、背凭れ部22の前面22aの左右両側及び下側の縁部が前壁部21の第1面21aと滑らかに繋がるように(すなわち、略面一となるように)、前壁部21に支持されている。本実施形態では一例として、
図4に示されるように、背凭れ部22の左右両端部には、上下方向に延びると共に後方に突出する突出部22cが設けられている。また、左右両側の接続面21cには、当該突出部22cを左右両側から保持するように上下方向に延びるスリット状の溝部21fが形成されている。左右両側において、背凭れ部22の突出部22cが上下方向に沿って溝部21fの間に保持されることにより、背凭れ部22は、前壁部21に支持されている。背凭れ部22は、上下方向にスライドさせることにより、前壁部21(一対の溝部21f)に対して抜き差し可能とされている。背凭れ部22の上端面22dは、前壁部21の上端面21gと略面一とされている。前壁部21の第1面21a及び背凭れ部22の前面22aには、クッション部材等が設けられてもよい。
【0038】
後壁部23は、背凭れ部22よりも後方に、背凭れ部22から離間して配置されている。本実施形態では、後壁部23は、前壁部21の背面21dから離間して、背面21dの後方に配置されている。後壁部23は、左右両側のサイドガード13の外面と連続し、且つ後方に突出するように湾曲した形状を有する。
図1に示されるように、後壁部23は、運転者に対面する部分である。本実施形態では一例として、後壁部23は、サイドガード13と一体的に形成されたヘッド部231と、サイドガード13及びヘッド部231とは別部材として設けられたカバー部232と、によって構成されている。カバー部232は、座部11の一部及び前壁部21の一部を下側及び後側から覆う部材である。カバー部232は、図示しないボルト等の締結部材によって、ヘッド部231及びサイドガード13に対して着脱可能に取り付けられている。
【0039】
一対の保持部24は、ヘッドガード15の支持部52を保持する部分であり、左右両側の各々に設けられている。保持部24は、前壁部21の上端面21gから上方に延在している。保持部24は、前壁部21と一体的に形成されている。保持部24の上端面24aは、ヘッド部231の上端面231aよりも下方に位置している。保持部24は、背凭れ部22と前壁部21の第2面21bとの間(すなわち、上述した収容空間S1)で、支持部52が上下方向に移動可能なように支持部52の左右両側の端部521を保持する。すなわち、ヘッドガード15の支持部52は、収容空間S1に収容された状態で、一対の保持部24によって上下方向に移動可能に保持される。
【0040】
図4に示されるように、一対の保持部24の各々は、支持部52の左右両側の端部521の各々が挿通される溝部41を有している。溝部41は、上下方向に延在している。溝部41は、上下方向から見た場合に、支持部52の端部521の前側部分521a及び後側部分521bを覆うように略コ字状に形成されている。溝部41は、前側部分521aに対向する前側面41aと、後側部分521bに対向する後側面41bと、を有する。前側部分521aは、前側面41aに沿っている。後側部分521bは、後側面41bに沿っている。支持部52の端部521と溝部41とは完全に密着しておらず、支持部52の端部521と溝部41との間には、支持部52の端部521が溝部41の内部(すなわち、前側面41a及び後側面41bの間の空間)を上下方向に移動可能な程度のクリアランスが設けられている。このように、支持部52は、左右両側の端部521が一対の保持部24(溝部41)に把持されることにより、保持部24に対して上下方向に移動可能に支持されている。
図5に示されるように、支持部52の下端部522が前壁部21の凹部21eの下面(接続面21c)に接触する位置まで、ヘッドガード15を背部12に対して下降させることが可能とされている。
【0041】
また、上下方向から見た場合に、前側面41a及び後側面41bの各々は、左右方向の内側(中央部)に向かうにつれて後方に移動するように傾斜している。すなわち、上下方向から見た場合に、前側面41aの最も外側の部分41a1は、前側面41aの最も内側の部分41a2よりも前方に位置している。これにより、支持部52の左右両側の端部521が一対の保持部24に保持されている状態で、支持部52を前方にずらそうとする外力が発生しても、支持部52が保持部24から外れ難い構成を実現することができる。
【0042】
図3~
図5に示されるように、一対の肩ベルト16aの各々は、一対のベルト挿通孔51aの各々に挿通され、前壁部21の背面21dと後壁部23との間のベルト収容空間S2を通るように構成されている。一対の肩ベルト16aは、ベルト収容空間S2内において、V字状に互いに連結されている。一対の肩ベルト16aが互いに連結されたベルト連結部Cは、左右方向の中央部に位置する。一対の肩ベルト16aは、ベルト連結部Cで合流すると共に、調整ベルト16bの一端部と連結されている。
【0043】
図3に示されるように、調整ベルト16bは、左右方向の中央部に配置されている。また、
図3及び
図5に示されるように、調整ベルト16bは、ベルト収容空間S2においてベルト連結部Cから下方に延びた後に、後壁部23の下端部付近において屈曲して前方に延びている。調整ベルト16bは、座部11の下方において、ベルト調整部17に挿通され、巻取り部18に巻き取られる。すなわち、調整ベルト16bにおけるベルト連結部C側とは反対側の第2端部16f(すなわち、ベルト部材16における第1端部16eとは反対側の端部)は、巻取り部18の内部に収容されている。ベルト調整部17と巻取り部18との間には、調整ベルト16bを引っ張ることが可能な調節領域Rが設けられている。調節領域Rは、シート本体10の外側から調整ベルト16bにアクセス可能な領域(すなわち、調整ベルト16bが外側に露出した領域)であり、調整ベルト16bの下方を覆う壁部等が設けられていない領域である。
【0044】
ベルト調整部17は、座部11の下方において、シート本体10の左右方向の略中央部に配置されている。ベルト調整部17は、ベルト連結部Cと巻取り部18との間に配置されている。ベルト調整部17は、ヘッドガード15(本体部51)の前側に露出する一対の肩ベルト16aの長さが長くなるように(すなわち、子供の肩を押さえる肩ベルト16aの拘束力が弱くなるように)調整ベルト16bが移動することを規制する。すなわち、ベルト調整部17は、調整ベルト16bが巻取り部18から引き出されてベルト収容空間S2におけるベルト連結部Cが上方に移動する方向D1(第1方向)(
図5参照)への調整ベルト16bの移動を規制する。一方、ベルト調整部17は、本体部51の前側に露出する一対の肩ベルト16aの長さが短くなるように(すなわち、子供の肩を押さえる肩ベルト16aの拘束力が強くなるように)調整ベルト16bが移動することを許容する。言い換えれば、ベルト調整部17は、調整ベルト16bが巻取り部18に巻き取られてベルト収容空間S2におけるベルト連結部Cが下方に移動する方向D2(第2方向)(
図5参照)への調整ベルト16bの移動を完全には規制しない。より具体的には、ベルト調整部17は、一定以上強い力で方向D2に調整ベルト16bを引っ張る力が生じた場合には、方向D2への調整ベルト16bの移動を許容する。
【0045】
ベルト調整部17は、一対のブラケット71と、支軸72と、規制部材73と、を有する。一対のブラケット71は、座部11に連結されている。一対のブラケット71は、左右方向に互いに離間して配置されている。支軸72は、一対のブラケット71のそれぞれを互いに連結している。規制部材73は、支軸72を介して、一対のブラケット71に対して回動可能に支持されている。
【0046】
規制部材73は、略円柱状の本体73aと、本体73aの周面上に設けられた爪部73bと、チャイルドシート1のユーザ(主に自転車100の運転者)によって操作されるレバー73cと、を有する。規制部材73は、捻りコイルバネ(不図示)等によって、爪部73bが後方に向かって(
図5における時計回り方向に)回動するように付勢されている。これにより、通常状態において、爪部73bが調整ベルト16bに食い込んでいる。爪部73bは、複数の爪によって構成されている。複数の爪は、前側に位置する爪ほど支軸72から離れるように形成されている。
【0047】
ユーザが調節領域Rにおいて調整ベルト16bを下方に引き出すことにより、調整ベルト16bを前方(方向D2)に引っ張ったときには、規制部材73は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、
図5における反時計回り方向に)、支軸72周りに回動する。これにより、爪部73bが調整ベルト16bに引っ掛からない状態となって、ユーザは調整ベルト16bを前方に引っ張ることができる。調整ベルト16bが前方に引っ張られると、調整ベルト16bとベルト連結部Cで連結された一対の肩ベルト16aがベルト収容空間S2において下方に引っ張られる。その結果、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aの長さを短くすることができる。すなわち、肩ベルト16aによる拘束力を強くすることができる。
【0048】
一方、ユーザがレバー73cを方向D3(
図5参照)に押圧しない状態(すなわち、調整ベルト16bに対する爪部73bの係合を解除しない状態)で、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aを前方に引っ張ったときには、調整ベルト16bを方向D1に移動させようとする力が働く。その結果、規制部材73が
図5における時計回り方向に支軸72周りに回動することによって、爪部73bが調整ベルト16bにより強く食い込む。これにより、調整ベルト16bの方向D1への移動が規制され、調整ベルト16bとベルト連結部Cで連結された一対の肩ベルト16aの上方への移動が規制される結果、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aの長さは長くならない。なお、ユーザがレバー73cを方向D3に押圧したときには、規制部材73は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、
図5における反時計回り方向に)、支軸72周りに回動する。これにより、爪部73bが調整ベルト16bから外れて、調整ベルト16bは方向D1及び方向D2のいずれにも移動可能となる。したがって、ユーザがレバー73cを方向D3に押圧した状態で、ヘッドガード15よりも前側に露出する肩ベルト16aを前方に引っ張ったときには、肩ベルト16aが前方に引き出される。すなわち、肩ベルト16aによる拘束力を緩めることができる。
【0049】
以上のように、規制部材73(ベルト調整部17)は、調節領域Rにおいて調整ベルト16bを前方に引っ張ることにより肩ベルト16aの拘束力をきつくしようとする動作(すなわち、方向D2への調整ベルト16bの移動)については許容する一方で、肩ベルト16aをヘッドガード15よりも前方に引き出して肩ベルト16aの拘束力を緩めようとする動作(すなわち、方向D1への調整ベルト16bの移動)については規制する。
【0050】
巻取り部18は、調整ベルト16bを巻き取って収容する部材である。巻取り部18は、ベルト調整部17の前方において、ベルト調整部17から離間して配置されている。巻取り部18は、座部11の下方において、シート本体10の左右方向の略中央部に配置されている。なお、巻取り部18は、調整ベルト16bを方向D2に巻き取るように付勢されているが、巻取り部18が調整ベルト16bを方向D2に巻き取る力は、爪部73bが前側に移動するように(すなわち、
図5における反時計回り方向に)規制部材73を支軸72周りに回動させるために必要な力よりも小さくされている。すなわち、レバー73cが方向D3に押圧されておらず、調整ベルト16bに爪部73bが係合している状態においては、ベルト調整部17よりもベルト収容空間S2側に位置する調整ベルト16bが巻取り部18によって方向D2に移動させられることはない。一方、調節領域Rにおいて生じた調整ベルト16bの弛みについては、巻取り部18によって自動的に巻き取られる。
【0051】
[作用効果]
以上述べたように、チャイルドシート1では、巻取り部18によって、ベルト部材16の第2端部16fが収容される。これにより、ベルト部材16の第2端部16fがシート本体10の外側に露出して垂れ下がることが抑制される。さらに、ベルト調整部17と巻取り部18との間において、ベルト部材16が緩んで余剰部分が発生したとしても、当該余剰部分は巻取り部18によって巻き取られるため、当該余剰部分がそのままの状態となってシート本体10の外側に露出して垂れ下がることも抑制される。その結果、ベルト部材16の垂れ下がった部分が車輪(前輪102)に巻き取られたり、子供の靴等に接触して汚れたりすることが抑制される。以上により、本実施形態のチャイルドシート1及び自転車100によれば、安全性及びユーザの利便性を向上させることができる。
【0052】
また、ベルト調整部17及び巻取り部18の間には、シート本体10の外側からベルト部材16にアクセスしてベルト部材16を引っ張ることが可能な調節領域Rが設けられている。上記構成によれば、ユーザは、調節領域Rからアクセス可能なベルト部材16の部分(調整ベルト16bの一部)を引っ張ることにより、背部12の前方に露出する肩ベルト16aの長さを短くして、子供の両肩を適切に拘束することができる。また、ユーザは、このような調整を行った後、ベルト部材16から手を離すだけで、巻取り部18にベルト部材16を自動的に巻き取らせることができるため、調整後のベルト部材16の収納作業から開放される。一方、仮に、上記のような調整領域がベルト調整部17の巻取り部18側とは反対側(例えば、ベルト調整部17とベルト連結部Cとの間)のみに設けられる場合、上記のように調整後にユーザが手を離しただけでは、調整によって生じたベルト部材16の余剰部分(すなわち、ベルト調整部17に対して巻取り部18が位置する側とは反対側に形成された余剰部分)は巻取り部18に自動的に巻き取られない。さらに、ベルト部材16の長さの調整中に、子供が身体を前方に傾ける動作等を行うことにより、ベルト部材16を方向D1に引っ張る力が生じた場合に、ユーザが調整のために掴んでいるベルト部材16にも上記力が働くため、調整作業がし難くなる。
【0053】
これに対して、本実施形態のように調節領域Rがベルト調整部17よりも巻取り部18側に設けられている場合、当該調節領域Rにおいてベルト部材16を方向D1に引っ張ることによってベルト調整部17よりも巻取り部18側に移動したベルト部材16の部分は、ベルト調整部17によって方向D1への移動が規制される結果、上記のような子供の動作が発生したとしても、ベルト調整部17を越えて方向D1に引っ張られることがない。すなわち、ベルト調整部17よりも巻取り部18側で調整作業を実施して、ベルト連結部Cとベルト調整部17との間の調整ベルト16bの一部をベルト調整部17よりも巻取り部18側に移動させることにより、調整後の肩ベルト16aの長さを即時に確定させることができる。すなわち、上述した子供の動作等によって、調整後の肩ベルト16aの長さが変化しない。以上により、ベルト調整部17と巻取り部18との間に調節領域Rが配置される構成によれば、肩ベルト16aの長さ調整を容易に行うことが可能になるため、ユーザの利便性をより一層向上させることができる。
【0054】
また、ベルト部材16は、背凭れ部22の後方(ベルト収容空間S2)において、一対の肩ベルト16aの長さを調節するために一対の肩ベルト16aの両方と連結された調整ベルト16bを有し、ベルト調整部17は、ベルト連結部Cと巻取り部18との間に配置されている。上記構成によれば、一対の肩ベルト16aをベルト収容空間S2において1本の調整ベルト16bに連結し、当該1本の調整ベルト16bをベルト調整部17及び巻取り部18によって調整及び巻き取る構成にすることにより、必要となるベルト調整部17及び巻取り部18の個数をそれぞれ1つにすることができる。その結果、シート本体10の部品点数を削減し、シート本体10をコンパクト化することができる。
【0055】
また、巻取り部18は、座部11の下方に配置されている。上記構成によれば、例えば、ベルト部材16の第2端部16fの従来の固定位置(例えば、股ベルト16dの留め具等)に巻取り部18を配置する場合と比較して、ベルト部材16の第2端部16fを含む部分(すなわち、巻取り部18に巻き取られる部分)が子供の身体(例えば手等)に接触することを抑制できる。例えば、ベルト部材16と一緒に子供の指等が巻取り部18に巻き込まれることによる子供の怪我等を防止できるため、安全性を向上させることができる。
【0056】
また、シート本体10は、ハンドル107とサドル106との間に配置され、ベルト調整部17は、座部11の下方に配置されている。上記構成によれば、シート本体10の座部11前方(例えば、子供の股部の前方の空間)にアクセスし難い状況において、ベルト調整部17を座部11の下方に配置することにより、ベルト調整部17(主にレバー73c)に対するユーザの操作性を向上させることができる。すなわち、子供が座部11に着座した状態において、子供の身体が邪魔にならずに、シート本体10の下方からベルト調整部17に容易にアクセスすることができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。また、
図5に示されるように、ベルト調整部17を座部11の下方のうちシート本体10の前後方向中央部よりも後側(本実施形態では、背部12の下側及び後側の屈曲部の近傍)に配置することにより、シート本体10の後方からのベルト調整部17へのアクセスより一層容易化することができる。
【0057】
また、チャイルドシート1は、ハンドル107とサドル106との間に配置されるタイプであり、ベルト調整部17及び前記巻取り部18は、シート本体10の左右方向の略中央部において、座部11の下方に配置される。上記構成によれば、仮に運転者とシート本体10との間(すなわち、後壁部23の後方)にベルト調整部17及び巻取り部18が設けられる場合と比較して、運転者とシート本体10との間のスペースを広げることができる。さらに、ベルト調整部17及び巻取り部18は、シート本体10の左右方向の略中央部に配置されているため、運転者の左右の脚部とベルト調整部17及び巻取り部18とが干渉(接触)する可能性を低減できる。以上により、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0058】
[変形例]
以上、本開示のいくつかの実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本開示は、上記の各実施形態及び各変形例で示した構成に限られない。各構成の材料及び形状には、上述した具体的な材料及び形状に限らず、上述した以外の様々な材料及び形状を採用することができる。また、上記の各実施形態及び各変形例に含まれる一部の構成は、適宜省略又は変更されてもよいし、任意に組み合わせることが可能である。
【0059】
(第1変形例)
図6を参照して、第1変形例の自転車用チャイルドシート(以下、「チャイルドシート1A」という。)について説明する。
図6は、左右方向中央部におけるチャイルドシート1Aの断面図である。チャイルドシート1がハンドル107と接続されて上下に延びる支柱101aの後方に取り付けられるのに対して、チャイルドシート1Aは、支柱101aの上方において、左右のハンドル107(グリップ部分)の間に取り付けられる。また、チャイルドシート1Aの各部の構成及び形状は、上記のような取付位置の違いに応じて、チャイルドシート1の各部の構成及び形状とは相違している。なお、チャイルドシート1Aが取付られる自転車100においては、チャイルドシート1Aとの干渉を防ぐために、カゴ104は省略されてもよい。
【0060】
チャイルドシート1Aでは、ベルト調整部17は、座部11の左右方向中央部において、座部11の前側部分11Aの下方に形成された収容空間S4に配置されている。収容空間S4は、座部11に着座した子供の左右の脚部(太腿)の間の空間(すなわち、前側部分11Aの上方の空間)の下方の空間である。巻取り部18は、ベルト調整部17よりも下方に配置されている。具体的には、チャイルドシート1Aは、子供の左右両脚に共通の1つの足置き14Aを有している。足置き14Aは、子供の左右両脚を収容可能なように、シート本体10の左右幅の全体に延在する壁部14dを有している。巻取り部18は、壁部14dの下方に配置されている。壁部14dの左右方向中央部には、ベルト調整部17を通過した調整ベルト16b(ベルト部材16)を巻取り部18に導くための挿通孔14eが設けられている。
【0061】
収容空間S4の前方は、ベルト調整部17にアクセス可能なように開放されている。また、このように前方が開放された収容空間S4によって、ベルト調整部17と巻取り部18との間(収容空間S4におけるベルト調整部17よりも前方の領域)に、ベルト部材16(調整ベルト16b)にアクセス可能な調節領域Rが形成されている。チャイルドシート1Aにおいては、ベルト収容空間S2から下方に延びた調整ベルト16bは、座部11全体の下方において前方に延びている。そして、当該調整ベルト16bは、座部11の前側部分11Aの下方の収容空間S4に配置されたベルト調整部17を通過した後に足置き14Aの挿通孔14eを通過し、足置き14A(壁部14d)の裏側(子供の足が置かれる側とは反対側)に配置された巻取り部18に巻き取られる。
【0062】
(第2変形例)
図7を参照して、第2変形例の自転車用チャイルドシート(以下、「チャイルドシート1B」という。)について説明する。
図7は、左右方向中央部におけるチャイルドシート1Bの断面図である。チャイルドシート1Bは、荷台109の上に取り付けられる点において、チャイルドシート1と相違している。また、チャイルドシート1Bの各部の構成及び形状は、上記のような取付位置の違いに応じて、チャイルドシート1の各部の構成及び形状とは相違している。
【0063】
チャイルドシート1Bは、座部11の前方において、左右の足置き14の部分14cの間の空間の上方を覆うように形成されたカバー91を備えている。カバー91は、座部11の前端部よりも前方に配置されている。チャイルドシート1Bでは、ベルト調整部17は、カバー91の下方(子供の両脚(膝下部分)の間)に形成された収容空間S5に配置されている。巻取り部18は、ベルト調整部17よりも下方に配置されている。具体的には、チャイルドシート1Bは、カバー91の下方に配置される部分を有すると共に荷台109に固定される座板92を有している。巻取り部18は、座板92のうち荷台109の前端部よりも前方に突出した部分92Aの下方に配置されている。部分92Aの左右方向中央部には、ベルト調整部17を通過した調整ベルト16b(ベルト部材16)を巻取り部18に導くための挿通孔92aが設けられている。
【0064】
収容空間S5の前方は、ベルト調整部17にアクセス可能なように開放されている。また、このように前方が開放された収容空間S5によって、ベルト調整部17と巻取り部18との間(収容空間S5におけるベルト調整部17よりも前方の領域)に、ベルト部材16(調整ベルト16b)にアクセス可能な調節領域Rが形成されている。チャイルドシート1Bにおいては、ベルト収容空間S2(
図5,
図6等参照)から下方に延びた調整ベルト16bは、座部11全体の下方(座板92の上方)において、前方に延びている。そして、当該調整ベルト16bは、座部11の前方のカバー91の下方の収容空間S5に配置されたベルト調整部17を通過した後に部分92Aの挿通孔92aを通過し、部分92Aの下側に配置された巻取り部18に巻き取られる。
【0065】
上記のようにチャイルドシート1とは取付位置が異なると共に各部の形状等が異なるチャイルドシート1A,1Bによっても、チャイルドシート1と同様の効果が奏される。すなわち、チャイルドシート1A,1Bにおいても、巻取り部18によって、ベルト部材16(調整ベルト16b)の第2端部16fが収容される。これにより、ベルト部材16の第2端部16fがシート本体10の外側に露出して垂れ下がることが抑制される。さらに、ベルト調整部17と巻取り部18との間において、ベルト部材16が緩んで余剰部分が発生したとしても、当該余剰部分は巻取り部18によって巻き取られるため、当該余剰部分がそのままの状態となってシート本体10の外側に露出して垂れ下がることも抑制される。以上により、ベルト部材16の垂れ下がった部分が車輪(チャイルドシート1Aの場合は前輪102、チャイルドシート1Bの場合は後輪103)に巻き取られたり、座部11に着座した子供の靴等に接触して汚れたりすることが抑制される。
【0066】
(他の変形例)
チャイルドシート1,1A,1Bは、いくつかの部材に分割されているが、これらの部材は一体的に形成されもよい。また、チャイルドシート1において一体的に形成されていた複数の部分は、複数の部材によって分割されてもよい。例えば、チャイルドシート1において、背凭れ部22は、前壁部21と一体的に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B…チャイルドシート(自転車用チャイルドシート)、10…シート本体、11…座部、12…背部、16…ベルト部材、16a…肩ベルト、16b…調整ベルト、16e…第1端部、16f…第2端部、17…ベルト調整部、18…巻取り部、22…背凭れ部、100…自転車、106…サドル、107…ハンドル、C…ベルト連結部、R…調節領域。