(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151480
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/28 20060101AFI20241018BHJP
D06F 39/14 20060101ALI20241018BHJP
D06F 37/18 20060101ALI20241018BHJP
D06F 39/12 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
D06F37/28
D06F39/14
D06F37/18
D06F39/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064848
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】臼井 良典
(72)【発明者】
【氏名】長井 智
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA12
3B165AE02
3B165BA50
3B165BA72
3B165BA85
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA13
3B165CB01
3B165CB31
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】洗濯機の蓋に関し、意匠性の向上を図る。
【解決手段】洗濯機は、洗濯機本体と、洗濯機本体の上部に回動可能に設けられ、洗濯機本体の内部と外部とを連通する開口部を開閉する蓋部材と、を備える。蓋部材は、当該蓋部材の前端部に位置する取付部に設けられ、取付部の下面を露出させた状態で取付部の上面及び前端縁部の少なくとも一部を覆う意匠部材と、取付部と意匠部材との間に設けられて取付部と意匠部材とを接着する接着部材と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体と、
前記洗濯機本体の上部に回動可能に設けられ、前記洗濯機本体の内部と外部とを連通する開口部を開閉する蓋部材と、
を備え、
前記蓋部材は、
当該蓋部材の前端部に位置する取付部に設けられ、前記取付部の下面を露出させた状態で前記取付部の上面及び前端縁部の少なくとも一部を覆う意匠部材と、
前記取付部と前記意匠部材との間に設けられて前記取付部と前記意匠部材とを接着する接着部材と、
を有する洗濯機。
【請求項2】
前記蓋部材は、
前後方向の途中部分に設けられた曲げ部と、
前記曲げ部よりも後側に設けられて前記蓋部材の後側を構成する後側部材と、
前記曲げ部よりも前側に設けられて前記蓋部材の前側を構成する前側部材と、を有し、
前記曲げ部を支点に折れ曲がり可能な二つ折り式に構成されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記蓋部材が閉じられた状態において、前記意匠部材の表面は、前記蓋部材の表面のうち前記意匠部材の表面以外の表面の高さ位置以下に位置している、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記意匠部材の上面は、前側へ向かうほど下降する傾斜面に形成されており、
前記取付部と前記意匠部材とを合わせた厚み寸法は、前記蓋部材の前側へ向かうほど薄くなっている、
請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記意匠部材は、当該意匠部材の前後方向における後側に設けられて前記取付部側へ向かって突出する複数の突出部を有し、
前記取付部は、前記突出部の挿入を受けて前記取付部に対する前記意匠部材の位置を規制する受け部を有している、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記意匠部材は樹脂の成型品で構成され、
前記突出部は、前記意匠部材を樹脂成型する際のゲートで構成されている、
請求項5に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型の洗濯機には、洗濯機本体の内部と外部とを連通する開口部を開閉するための蓋が設けられている。このような蓋に関し、意匠性について改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、蓋に関して意匠性の向上を図った洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態による洗濯機は、洗濯機本体と、前記洗濯機本体の上部に回動可能に設けられ、前記洗濯機本体の内部と外部とを連通する開口部を開閉する蓋部材と、を備える。前記蓋部材は、当該蓋部材の前端部に位置する取付部に設けられ、前記取付部の下面を露出させた状態で前記取付部の上面及び前端縁部の少なくとも一部を覆う意匠部材と、前記取付部と前記意匠部材との間に設けられて前記取付部と前記意匠部材とを接着する接着部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による洗濯機の一例について蓋部材を閉じた状態で外観を示す斜視図
【
図2】一実施形態による洗濯機の一例について蓋部材を開いた状態で外観を示す斜視図
【
図3】一実施形態による洗濯機の一例について蓋部材を閉じた状態で外観を示す側面図
【
図4】一実施形態による洗濯機の一例について蓋部材の一例を上方から見た状態で示す斜視図
【
図5】一実施形態による洗濯機の一例について意匠部材の一例を下方から見た状態を示す斜視図
【
図6】一実施形態による洗濯機の一例について蓋部材を示す断面図
【
図7】一実施形態による洗濯機の一例について
図6のX7線部分を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1から
図3に例示する洗濯機1は、洗濯槽の回転軸が縦方向であるいわゆる縦軸型の洗濯機である。洗濯機1は、水槽2、回転槽3、洗濯機本体10、及び蓋部材20を備える。なお、
図3の左側を洗濯機1の前側とし、
図3の右側を洗濯機1の後側とする。洗濯機1の使用時に、ユーザは、洗濯機1の前側に位置するものとする。また、洗濯機1の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機1の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機1の上側とする。そして、洗濯機1の前後方向及び上下方向に対して直角方向を、洗濯機1の幅方向すなわち左右方向とする。
【0008】
洗濯機本体10は、洗濯機1の外殻を構成しており、
図1から
図3に示すように、箱体11、トップカバー12、バックカバー13、及び操作パネル14を有している。箱体11は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上側が開口している。
図2及び
図3に示すように、水槽2及び回転槽3は、洗濯機本体10の内部すなわち箱体11の内部に収容されている。水槽2及び回転槽3は、上側が開口した有底円筒形状に形成されている。
【0009】
トップカバー12の外形は、箱体11の外形に沿った形状に形成されており、箱体11の上部に設けられている。トップカバー12は、
図2に示すように、内側に開口部121を有している。開口部121は、洗濯機1の内部と外部とを連通している。バックカバー13は、全体として洗濯機1の左右方向に長い矩形状に構成されている。バックカバー13は、
図2及び
図3に示すように、トップカバー12の後端部及び上部の一部に設けられている。バックカバー13の内部には、図示しない注水装置等の一部が収容されている。また、洗濯機1が乾燥機能を備えたものである場合、例えばヒータ等で構成されて乾燥風を生成するための乾燥ユニットも、バックカバー13の内部に収容することができる。
【0010】
操作パネル14は、トップカバー12の前部の上部、すなわち洗濯機本体10の前部の上部に設けられている。操作パネル14は、洗濯機1の運転に関する各種の入力操作を受け付けるとともに、各種の設定や運転状況を表示する機能を有する。操作パネル14は、蓋部材20が閉じた状態において、蓋部材20よりも前側に位置している。
【0011】
蓋部材20は、トップカバー12に設けられており、トップカバー12の開口部121を開閉する。本実施形態の場合、蓋部材20は、バックカバー13の前側に位置している。蓋部材20は、蓋部材20の後端部分がトップカバー12に回動可能に取り付けられている。これにより、蓋部材20は、洗濯機本体10の上部に回動可能に設けられており、開口部121を開閉する。
【0012】
蓋部材20は、全体として矩形状、この場合、左右方向の長さ寸法と前後方向つまり奥行方向の長さ寸法とがほぼ等しい正方形状の板状に構成されている。蓋部材20は、例えば曲げ部21を支点に二つに折り曲げ可能に構成された、いわゆる二つ折り式の蓋で構成することができる。曲げ部21は、蓋部材20の前後方向の途中部分、例えば前後方向の中央付近に設けられており、蓋部材20を山折りに折り曲げ可能に構成している。蓋部材20を閉じた際、蓋部材20の表面は全体として概ね平坦に構成されており、洗濯機1の上面を構成する。
図3に示すように、蓋部材20を閉じた際、蓋部材20は、後側から前側に向かって下方へ傾斜した姿勢で配置される。すなわち、蓋部材20を閉じた際、洗濯機1の上面は、後方から前方へ向かって下降傾斜している。
【0013】
蓋部材20は、
図4及び
図6に示すように、後側部材30、前側部材40、意匠部材50、及び接着部材60を備えている。後側部材30、前側部材40、及び意匠部材50は、蓋部材20の表面を構成する。すなわち、蓋部材20の表面は、後側部材30の表面301と、前側部材40の表面401と、意匠部材50の表面501と、を含んで構成されている。本実施形態の場合、蓋部材20の表面は、後側部材30の表面301と、前側部材40の表面401と、意匠部材50の表面501と、から構成されている。なお、蓋部材20の表面は、上述した後側部材30の表面301、前側部材40の表面401、及び意匠部材50の表面501以外の構成を含んでいても良い。
【0014】
後側部材30は、曲げ部21よりも後側に設けられており、蓋部材20の後側の表面を構成する。すなわち、後側部材30の上面301は、蓋部材20の後側の表面を構成する。後側部材30の後端部31は、トップカバー12に回動可能に接続されている。また、後端部31内には、蓋部材20が閉まる際の衝撃を吸収するための図示しないばね等が内蔵されている。後側部材30は、例えば複数の部品を組み合わせて構成しても良い。すなわち、後側部材30のうち上面301つまり表面に露出する部材は、例えば厚みが5mm程度の硬質ガラス等で構成し、他の部分は樹脂で構成しても良い。
【0015】
前側部材40は、曲げ部21よりも前側に設けられており、蓋部材20の前側を構成する。すなわち、前側部材40の上面401は、蓋部材20の前側の表面を構成する。前側部材40は、例えば樹脂の成型品で構成されている。後側部材30の前端部と前側部材40の後端部とは、回動可能に接続されて曲げ部21を構成している。
【0016】
前側部材40は、
図1及び
図6に示すように、手掛け部41及び取付部42を有している。手掛け部41は、ユーザが蓋部材20を開閉させる際にユーザが手を掛ける部分である。手掛け部41は、前側部材40の前側部分に設けられており、前側部材40の上面401から下方に潜り込むようにして形成されている。この場合、手掛け部41は、前側部材40の上面401から上方へは突出していない。
【0017】
取付部42は、前側部材40の前端部を構成しており、全体として左右方向に長い略矩の板状に形成されている。なお、この場合、前側部材40の前端部とは、前側部材40の前端つまり先端を含む所定の領域を意味する。
図6及び
図7に示すように、取付部42は、蓋部材20の全体のうち最も厚みが薄い部分となる。取付部42は、手掛け部41よりも前側に位置している。取付部42は、前側部材40の上面401に対して段差を有して構成されている。
図4及び
図7に示すように、取付部42の上面421は、例えば前方へ向かうほど下降する方向に傾斜する傾斜面に形成されている。この場合、取付部42の上面421は、傾斜した平面でもよいし、緩やかに湾曲した湾曲面でも良い。また、取付部42の下面422は、例えば平坦面に形成されている。
【0018】
意匠部材50は、蓋部材20の前端部分を装飾する機能を有する。すなわち、意匠部材50は、意匠性を発揮させることにより蓋部材20の意匠性を向上させる機能を有する。意匠部材50は、前側部材40とは異なる材質又は前側部材40とは異なる装飾が施された部材で構成されている。意匠部材50は、例えばABS樹脂の成型品で構成することができる。また、意匠部材50は、表面に塗装等の着色や樹脂メッキ等の装飾を施したものでもよい。本実施形態の場合、意匠部材50には、操作パネル等の電気的構成は設けられていない。また、蓋部材20自体にも、操作パネル等の電気的構成は設けられていない。
【0019】
意匠部材50は、全体として左右方向に長い長尺の板状に構成されている。意匠部材50は、取付部42に設けられている。取付部42は、前側部材40の前端部を構成する。つまり、取付部42は、前側部材40の前端部に設けられている。そして、意匠部材50は、
図7に示すように、前側部材40の前端部の裏面つまり取付部42の下面422を露出させた状態で取付部42の上面421を覆っている。本実施形態の場合、意匠部材50は、取付部42の上面421の全体を覆っている。なお、意匠部材50は、例えばユーザ等に取付部42の上面421を視認させない若しくは認識させない程度に上面421を覆わない部分、例えばスリットや切り欠き、穴などの構成を有していても良い。すなわち、取付部42の上面421は、意匠性を阻害しない程度であれば意匠部材50に覆われていない部分が存在していても良い。
【0020】
ここで、取付部42のうちの前端の縁部つまり前側部材40の最先端の部分を前端縁部423と称する。意匠部材50は、前端縁部423の少なくとも一部を覆っている。この場合、意匠部材50は、前端縁部423を覆っていない部分よりも、前端縁部423を覆っている部分の方が大きくなるように設定されている。本実施形態の場合、意匠部材50は、取付部42のうち、取付部42の上面421と前端縁部423との全体を覆うとともに、下面422の全体を覆わずに露出させている。なお、意匠部材50は、前端縁部423を覆わない部分、例えばスリットや切り欠き、穴などの構成を有していても良い。
【0021】
具体的には、意匠部材50は、
図5に示すように、主体部51、前壁部52、及び左右の側壁部53を有している。主体部51は、取付部42の上面421を覆う部分であって、意匠部材50の大部分を占めている。前壁部52及び左右の側壁部53は、主体部51の4辺部のうち後側の辺部を除く3辺部に設けられて取付部42側へ延び出た壁部である。すなわち、前壁部52及び左右の側壁部53は、主体部51の4辺部のうち後側の辺部を除く3辺部を囲っている。前壁部52及び左右の側壁部53の高さ寸法は、主体部51の厚み寸法以下に設定されている。
【0022】
主体部51の厚み寸法は、
図7に示すように、前後方向に亘って略均一に構成されている。主体部51は、取付部42の上面421に沿って形成されている。この場合、意匠部材50の表面501は、取付部42の上面421に沿って、例えば前方へ向かうほど下降する傾斜面に形成されている。なお、意匠部材50の表面501は、傾斜した平面でもよいし、緩やかに湾曲した湾曲面でも良い。そして、蓋部材20の前端部における厚み寸法、つまり取付部42と意匠部材50とを合わせた厚み寸法は、蓋部材20の先端側つまり前側へ行くほど薄くなっている。具体的には、
図7に示すように、蓋部材20の先端部において、取付部42と意匠部材50とを合わせた厚み寸法は、後側から前側へ向かって厚み寸法T1から厚み寸法T2となるように漸次減少している。
【0023】
また、蓋部材20が閉じられた状態において、意匠部材50の表面501は、前側部材40の表面401以下の高さ位置に設定されている。この場合、前側部材40の表面401と、意匠部材50の表面501と、の境界部分には、段差が形成されていないか、意匠部材50の表面501よりも前側部材40の表面401の方が低くなる段差が形成されている。換言すれば、前側部材40と意匠部材50との境界部分は、前側部材40側から意匠部材50側へ向かう際に、意匠部材50の上面501が前側部材40の上面401よりも高くなる段差を有していない
【0024】
この場合、
図7に示すように、前側部材40の下面422を基準とした場合、下面422から意匠部材50の表面501までの寸法は、下面422から前側部材40の表面401までの寸法Hよりも常に小さい。つまり、前側部材40の下面422を基準とした場合、下面422から意匠部材50の表面501までの寸法の最大値となる寸法T2は、下面422から前側部材40の表面401までの寸法Hよりも小さい。
【0025】
また、
図5に示すように、意匠部材50は、2つ以上の突出部54を有している。本実施形態の場合、意匠部材50は、突出部54を3つ有している。突出部54は、取付部42に設けられた受け部43と対応する位置に設けられている。すなわち、突出部54は、意匠部材50の前後方向における後側に設けられている。また、本実施形態の場合、突出部54は、意匠部材50の長手方向の両端付近と、中央付近と、の3か所に設けられている。
【0026】
突出部54は、受け部43に挿入可能な形状であって、意匠部材50の裏面502側から前側部材40側つまり取付部42の上面421へ向かって突出して形成されている。
本実施形態の場合、各突出部54は、意匠部材50の裏面502側に対して垂直方向の面を有し、意匠部材50の長手方向に長い矩形状で、かつ、前後方向が厚み方向となる薄い板状すなわちタブ形状に形成されている。なお、突出部54の具体的な形状は、上述したものに限られず、例えば円柱状や角柱状であっても良い。この場合、突出部54は、意匠部材50を樹脂成型する際のゲートで構成することができる。ゲートは、樹脂成型の際に、型の製品部分に樹脂を流入するための入り口である。本実施形態の場合、突出部54は、例えば意匠部材50を樹脂成型する際のタブゲートで構成することができる。
【0027】
この場合、前側部材40は、突出部54に対応して2つ以上の受け部43を有している。本実施形態の場合、前側部材40の取付部42は、受け部43を3つ有している。受け部43は、突出部54に対応した位置、つまり取付部42において前後方向における後側に設けられている。また、受け部43は、取付部42の長手方向の両端付近と、中央付近と、の3か所に設けられている。受け部43は、例えば貫通していない穴で構成することができる。受け部43は、突出部54の挿入を受けて前側部材40に対する意匠部材50の位置を規定する機能を有する。すなわち突出部54及び受け部43は、取付部42に対する意匠部材50の前後方向及び左右方向の位置を決める位置決めとして機能する。
【0028】
接着部材60は、前側部材40と意匠部材50との間に設けられており、前側部材40と意匠部材50とを接着する部材である。この場合、前側部材40と意匠部材50とは、ねじやスナップフィット等の機械的な結合部品を用いずに、接着部材60の接着力によって相互の固定されている。接着部材60は、例えば両面テープやホットメルト等の接着剤の層で構成される。接着部材60は、
図4に示すように、取付部42の上面421のうち例えば受け部43を除いた部分に設けられている。接着部材60の厚み寸法は、前側部材40の取付部42や意匠部材50の厚み寸法に比べて十分に薄い。
【0029】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機1は、洗濯機本体10と、蓋部材20と、を備える。蓋部材20は、洗濯機本体10の上部に回動可能に設けられ、洗濯機本体10の内部と外部とを連通する開口部121を開閉する。また、蓋部材20は、意匠部材50を有する。意匠部材50は、蓋部材20の前端部に位置する取付部42に設けられている。
【0030】
これによれば、蓋部材20の先端部に意匠部材50を設けることで、蓋部材20の意匠性を向上させることができる。ここで、意匠部材50を取付部42に取り付ける際に、例えばねじやスナップフィット等の機械的な構造を用いると、このような機械的構造を設けるスペースが必要になり、これにより、蓋部材20の厚みが大きくなってしまう。すると、蓋部材20の先端部つまり意匠部材50と、洗濯機1の上面すなわち操作パネル14の面との段差が大きくなってしまう。その結果、蓋部材20を閉じた際に先端部の段差が目立ってしまい意匠性が低下する。
【0031】
そこで、本実施形態において、意匠部材50は、取付部42の下面422を露出させた状態で取付部42の上面421及び前端縁部423の少なくとも一部を覆っている。この場合、意匠部材50は、取付部42の上面421の全体を覆っている。そして、蓋部材20は、接着部材60を更に有する。接着部材60は、取付部42の上面421と意匠部材50の裏面502との間に設けられて、取付部42と意匠部材50とを接着する。
【0032】
これによれば、意匠部材50は、取付部42の下面422には設けられていない。そして、意匠部材50と取付部42とは、ねじやスナップフィット等の機械的な構造ではなく、接着部材60によって固定されている。このため、意匠部材50及び取付部42の厚み、つまり蓋部材20の先端部の厚み寸法を極力薄いものにすることができる。これにより、蓋部材20を閉じた場合でも、先端部の段差を極力目立たなくすることができ、その結果、意匠性の向上を図ることができる。
【0033】
また、例えば蓋部材20の先端部と操作パネル14との間に大きな段差があると、その段差部分にホコリ等が溜まりやすくなり、また、ホコリ等が溜まった場合に清掃し難い。これに対し、本実施形態によれば、蓋部材20の先端部の厚み寸法を極力薄いものにすることで、例えば蓋部材20の先端部と操作パネル14との間の段差を極力小さくすることができる。このため、蓋部材20の先端部と操作パネル14との間の段差部分にホコリが溜まり難くし、また、ホコリ等が溜まった場合でも清掃し易くすることができる。
【0034】
また、実施形態による蓋部材20は、曲げ部21と、後側部材30と、前側部材40と、を有している。曲げ部21は、蓋部材20の前後方向の途中部分に設けられている。後側部材30は、曲げ部21よりも後側に設けられて蓋部材20の後側を構成する。前側部材40は、曲げ部21よりも前側に設けられて蓋部材20の前側を構成する。そして、蓋部材20は、曲げ部21を支点に折れ曲がり可能な二つ折り式に構成されている。
【0035】
ここで、蓋部材20の先端部に意匠部材50を設けつつ先端部の厚みを極力薄くするために、本実施形態では、取付部42の下面422を露出させる構成、すなわち取付部42の下面422を意匠部材50によって覆わない構成とした。このため、取付部42の下面422側は、意匠部材50によって覆われていないことから、意匠部材50によって覆われた部分に比べて意匠性に劣る。
【0036】
そこで、本実施形態では、蓋部材20は二つ折り式に構成されている。通常、ユーザは、このような二つ折り式の蓋部材20については、曲げ部21を支点に後側部材30と前側部材40とが山折りとなるようにして、蓋部材20を開く。このため、蓋部材20を二つ折り式に構成することで、意匠部材50に覆われてない取付部42の下面422がユーザの目に触れる機会を低減することができる。その結果、本実施形態によれば、取付部42の下面422に関し、意匠部材50に覆われてないことによる意匠性の低下の影響を軽減させることができる。
【0037】
また、蓋部材20が閉じられた状態において、意匠部材50の表面501は、前側部材40の表面401以下の高さ位置に設定されている。これによれば、ユーザが、蓋部材20の奥側から手前側へ向かって拭き取る動作を行う際に、前側部材40の表面401と意匠部材50の表面501との境界部分に生じる段差に引っ掛かることが抑制される。そのため、ユーザは、引っ掛かりなどの異物感を感じることなく清掃を行うことができ、その結果、清掃性の向上を図ることができる。
【0038】
意匠部材50の表面501は、前側へ向かうほど下降する傾斜面に形成されている。そして、取付部42と意匠部材50とを合わせた厚み寸法は、
図7に示すように、蓋部材20の前側へ向かうほど薄くなっている。これによれば、蓋部材20の先端部をより薄くすることができるため、上述したような意匠性や清掃性を更に向上させることができる。
【0039】
また、意匠部材50は、複数の突出部54を有している。突出部54は、意匠部材50の前後方向における後側に設けられて前側部材40側へ向かって突出している。前側部材40は、受け部43を有している。受け部43は、突出部54の挿入を受けて前側部材40に対する意匠部材50の位置を規制する。
【0040】
これによれば、前側部材40に対する意匠部材50の位置を正確に取り付けることができるため、製造時に前側部材40に対して意匠部材50の位置がずれて意匠性が低下する等の不都合を抑制することができる。さらに、位置決めを行うための構成である突出部54と受け部43とを、前後方向の後側に設けることで、蓋部材20の前端側の厚みを薄くすることができる。
【0041】
また、意匠部材50は樹脂の成型品で構成されている。そして、突出部54は、意匠部材50を樹脂成型する際のゲートで構成されている。これによれば、意匠部材50を樹脂成型する際に生じるゲートを位置決めに用いることで、位置決めのための構成を別途設ける必要がなく、また、ゲートを削る工程等も削減できる。その結果、意匠部材50の製造工数やコストを低減することができる。
【0042】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…洗濯機、10…洗濯機本体、121…開口部、20…蓋部材、21…曲げ部、30…後側部材、40…前側部材、401…前側部材の表面、42…取付部、421…取付部の上面、422…取付部の下面、423…取付部の前端縁部、43…受け部、50…意匠部材、501…意匠部材の表面、54…突出部、60…接着部材