(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151481
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報生成装置、情報生成方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20241018BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01B11/00 H
H04N7/18 C
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064849
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩平
【テーマコード(参考)】
2F065
5C054
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA07
2F065BB15
2F065CC16
2F065FF01
2F065FF09
2F065FF42
2F065FF61
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065MM03
2F065QQ01
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ31
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA05
(57)【要約】
【課題】低コストで特徴点の3次元情報を得ることができる技術を提供する。
【解決手段】情報生成装置は、人物Mが撮像された動画像を取得する処理と、動画像に含まれる第1画像における人物Mの第1画像領域を取得する処理と、第1画像領域の第1画像寸法情報を取得する処理と、所定経路に対する人物Mのずれ量を求める処理と、ずれ量に基づいて人物Mの推定移動経路を求める処理と、人物Mが前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの関節点の3次元情報を生成する処理と、推定移動経路に基づいて、人物Mの関節点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部6を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成装置であって、
前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付ける処理と、
前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得する処理と、
前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得する処理と、
前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得する処理と、
前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求める処理と、
前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求める処理と、
前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成する処理と、
前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部を備える
情報生成装置。
【請求項2】
前記移動体は、人物であり、
前記所定箇所は、前記人物の身長であり、
前記特徴点は、前記人物の関節点である
請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項3】
所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成装置であって、
前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付ける処理と、
前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得する処理と、
前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得する処理と、
前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報を取得する処理と、
前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求める処理と、
前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成する処理と、
前記第1ずれ量に基づいて、前記第1画像の前記特徴点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部を備える
情報生成装置。
【請求項4】
所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成方法であって、
前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付けるステップと、
前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得するステップと、
前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得するステップと、
前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得するステップと、
前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求めるステップと、
前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求めるステップと、
前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成するステップと、
前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正するステップと、を含む
情報生成方法。
【請求項5】
所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付けるステップと、
前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得するステップと、
前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得するステップと、
前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得するステップと、
前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求めるステップと、
前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求めるステップと、
前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成するステップと、
前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正するステップと、を実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報生成装置、情報生成方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人物等の移動体の特徴点を3次元情報として取得するために、複数のカメラを用いて移動体を撮像したり、深度を取得するセンサを備えたカメラによって移動体を撮像したりすることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の方法では、複数のカメラを必要としたり、深度を取得するセンサを備えたカメラを用意したりする必要があり、コストを増加させる要因を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態である情報生成装置は、所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する装置である。この情報生成装置は、前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付ける処理と、前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得する処理と、前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得する処理と、前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得する処理と、前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求める処理と、前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求める処理と、前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成する処理と、前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、低コストで特徴点の3次元情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る動作解析システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、動作解析システムを用いた動作解析の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、関節点の3次元情報を生成する処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、動画像に含まれる画像および画像に撮像された人物の位置関係を示す図であり、(a)は、動画像に含まれる画像を示す図、(b)は、人物のX-Y平面上の位置関係を示す図である。
【
図5】
図5は、人物とカメラとの位置関係をX2方向側から見たときの図である。
【
図6】
図6は、動画像に含まれる2次元の画像に撮像された人物の画像領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に実施形態の内容を列記して説明する。
[実施形態の概要]
(1)実施形態である情報生成装置は、所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する装置である。この情報生成装置は、前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付ける処理と、前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得する処理と、前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得する処理と、前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得する処理と、前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求める処理と、前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求める処理と、前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成する処理と、前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部を備える。
【0009】
上記構成によれば、動画像に基づいて、移動体が所定経路に沿って移動したと仮定したときの特徴点の3次元情報を生成し、さらに、第1画像から前記第2画像までの間における移動体の推定移動経路を求め、推定移動経路に基づいて特徴点の3次元情報を補正するので、2次元の動画像を用いたとしても、比較的精度の高い特徴点の3次元情報を取得することができる。
よって、2次元の動画像を撮像可能なカメラ1台を用いて移動体を撮像すれば、必要な動画像を得ることができる。
この結果、低コストで特徴点の3次元情報を得ることができる。
【0010】
(2)上記情報生成装置において、前記移動体が、人物である場合、前記所定箇所は、前記人物の身長であり、前記特徴点は、前記人物の関節点であることが好ましい。
この場合、人物の関節点の3次元情報を取得することができる。
【0011】
(3)また、他の観点から見た情報生成装置は、所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する装置である。この情報生成装置は、前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付ける処理と、前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得する処理と、前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得する処理と、前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報を取得する処理と、前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求める処理と、前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成する処理と、前記第1ずれ量に基づいて、前記第1画像の前記特徴点の3次元情報を補正する処理と、を実行する処理部を備える。
【0012】
上記構成によれば、低コストで特徴点の3次元情報を得ることができる。
【0013】
(4)また、他の観点から見た実施形態は、所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成方法である。この情報生成方法は、前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付けるステップと、前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得するステップと、前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得するステップと、前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得するステップと、前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求めるステップと、前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求めるステップと、前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成するステップと、前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正するステップと、を含む。
【0014】
(5)また、他の観点から見た実施形態は、所定経路を移動する移動体が有する特徴点の3次元情報を生成する情報生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。このコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記移動体の所定箇所の大きさを示す実寸法情報を受け付けるステップと、前記所定経路に対して固定された撮像装置によって撮像された動画像であって前記移動体が撮像された前記動画像を取得するステップと、前記動画像に含まれる複数の画像のうちの第1画像に撮像された前記移動体の第1画像領域を取得するとともに、前記複数の画像のうちの前記第1画像から所定時間経過したあとの第2画像に撮像された前記移動体の第2画像領域を取得するステップと、前記第1画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第1画像寸法情報および前記第2画像領域における前記所定箇所の大きさを示す第2画像寸法情報を取得するステップと、前記実寸法情報および前記第1画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第1ずれ量を求めるとともに、前記実寸法情報および前記第2画像寸法情報に基づいて前記所定経路に対する前記移動体の第2ずれ量を求めるステップと、前記第1ずれ量および前記第2ずれ量に基づいて、前記第1画像から前記第2画像までの間における前記移動体の推定移動経路を求めるステップと、前記移動体が前記所定経路に沿って移動したと仮定したときの前記特徴点の3次元情報を、前記複数の画像それぞれに基づいて生成するステップと、前記推定移動経路に基づいて、前記複数の画像のうちの前記第1画像から前記第2画像までの間に含まれる画像それぞれの前記特徴点の3次元情報を補正するステップと、を実行させるコンピュータプログラムである。
【0015】
[実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態に係る動作解析システムの全体構成を示す図である。
実施形態に係る動作解析システム1は、移動体である人物を撮像し、撮像した動画に基づいて人物の動作解析を行うシステムである。
【0016】
動作解析システム1は、カメラ2と、処理装置4と、を備える。
カメラ2は、CCD素子やCMOS素子等の撮像素子およびレンズ等の光学機構を有する撮像装置である。カメラ2は、所定の撮像範囲を撮像し動画または静止画等の2次元の画像データを生成する機能を有する。カメラ2は、撮像範囲内の人物Mを被写体とし、人物Mが撮像された動画像を生成する。
カメラ2は、処理装置4に通信可能に接続されている。カメラ2が生成する動画像は、データとして処理装置4へ与えられる。
【0017】
本実施形態において、人物Mは、経路rに沿って歩行し移動するものとする。経路rは、直線状である。
なお、以下の説明では、各図中、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、およびZ方向とする。また、
図3に示すように、X方向のうちの一方向をX1方向、X1方向の反対方向をX2方向とする。Y方向のうちの一方向をY1方向、Y1方向の反対方向をY2方向とする。Z方向のうちの一方向をZ1方向、Z1方向の反対方向をZ2方向とする。
本実施形態において、X-Y平面は水平面である。Z方向は上下方向である。
【0018】
人物Mは、X-Y平面に平行な路面Rを移動する。経路rは、路面R上に設けられている。経路rはX方向に平行に延びている。なお、
図1において人物MがY方向に沿って立っているように見えるが、これは、模式的に示しているためであり、実際には人物Mは上下方向(Z方向)に沿って立っている。
カメラ2は、路面R上に設置されている。カメラ2の焦点軸はY方向に平行に延びている。カメラ2は、経路rのうちの範囲Wを1つの画像で撮像することができる。カメラ2は、経路rに対して固定された状態で、範囲Wを撮像する。
【0019】
処理装置4は、処理部6と、記憶部8と、入出力部10と、を備えるコンピュータ等により構成される。
処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等からなる。
【0020】
記憶部8は、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。
記憶部8には、処理部6に実行させるためのコンピュータプログラムや、必要な情報が記憶されている。処理部6は、記憶部8のようなコンピュータ読み取り可能な非一過性の記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、処理部6が有する各種処理機能を実現する。
【0021】
入出力部10は、入力デバイスと、出力デバイスと、を含む。入力デバイスは処理装置4のオペレータによる操作を受け付ける機能を有する。入力デバイスには、キーボードやマウス、タッチパネル等が含まれる。出力デバイスは、処理装置4による処理に関する各種情報を外部へ向けて出力する機能を有する。出力デバイスには、モニタや、プリンタ、タッチパネル、スピーカ等が含まれる。
【0022】
図2は、動作解析システム1を用いた動作解析の手順を示すフローチャートである。
動作解析では、まず、カメラ2によって人物Mの撮像が行われる(
図2中、ステップS1)。人物Mが撮像された動画像は、処理装置4に与えられる。処理装置4の処理部6は、動画像に基づいて、人物Mの特徴点である関節点を推定し、関節点の3次元情報を生成する(
図2中、ステップS2)。処理部6は、動画像に含まれる複数の画像の全てについて、関節点の3次元情報を生成する。
次いで、処理装置4は、関節点の3次元情報に基づいて、人物Mの動作を把握し、動作解析を行う(
図2中、ステップS3)。
処理装置4は、入出力部10を介して外部へ動作解析の結果を出力する(ステップS4)。
【0023】
ここで、処理装置4は、上述のように、人物Mの関節点の3次元情報を生成する機能を有しており、経路rを移動する人物Mの関節点(特徴点)の3次元情報を生成する情報生成装置を構成する。
以下、処理装置4による関節点の3次元情報を生成する処理について説明する。
【0024】
図3は、関節点の3次元情報を生成する処理を示すフローチャートである。
関節点の3次元情報を生成する処理において、処理装置4の処理部6は、まず、カメラ2によって人物Mが撮像された動画像を取得する(
図3中、ステップS10)。
次いで、処理部6は、人物Mの身長の入力を受け付ける処理を実行する(
図3中、ステップS11)。
処理部6は、入出力部10の出力デバイスに、人物Mの身長の入力を受け付けるための表示を出力する。処理装置4のオペレータによって入力デバイスが操作され、入力デバイスによって人物Mの身長が入力されると、処理部6は、オペレータによる入力を実寸法情報Hとして受け付ける。実寸法情報Hは、移動体である人物Mの所定箇所(身長)の実際の大きさを示す情報である。
【0025】
実寸法情報Hを受け付けると、処理部6は、第1画像、第2画像、および第3画像それぞれにおける人物Mの画像領域を取得する(
図3中、ステップS12)。
第1画像、第2画像、および第3画像は、動画像に含まれる画像である。
【0026】
図4は、動画像に含まれる画像および画像に撮像された人物Mの位置関係を示す図である。
図4(a)は、動画像に含まれる画像Iを示す図である。この画像Iは、第1画像、第2画像、および第3画像を重畳して示している。よって、人物Mの画像領域が3つ表れている。
図4(a)中、第1画像領域m1は、第1画像に撮像された人物Mの画像領域である。第2画像領域m2は、第2画像に撮像された人物Mの画像領域である。第3画像領域m3は、第3画像に撮像された人物Mの画像領域である。
第2画像は、第1画像から所定時間経過した後の画像である。また、第3画像は、第2画像から所定時間経過した後の画像である。
よって、
図4(a)において、第1~3画像における画像領域m1~m3は、間隔を置いて並んで表れている。
【0027】
第1画像は、例えば、複数の画像のうち、人物M(の全体)が画像Iにおける上流側(画像Iにおける左側)に撮像されている画像であるものとする。
第3画像は、例えば、複数の画像のうち、人物M(の全体)が画像Iにおける下流側(画像Iにおける右側)に撮像されている画像であるものとする。
さらに、第2画像は、第1画像のタイミングと第3画像のタイミングとの中間のタイミングで撮像された画像であるものとする。
【0028】
処理部6は、動画像に含まれる複数の画像のうち、第1画像、第2画像、および第3画像を特定し、第1画像、第2画像、および第3画像それぞれの画像領域m1~m3を取得する(
図3中、ステップS12)。
【0029】
画像領域m1~m3を取得すると、処理部6は、ステップS13へ進み、画像領域m1~m3の画像寸法情報を取得する(
図3中、ステップS13)。
図4(a)に示すように、第1画像領域m1の第1画像寸法情報h1は、第1画像領域m1における人物Mの身長に対応する大きさを示す情報である。
第2画像領域m2の第2画像寸法情報h2は、第2画像領域m2における人物Mの身長に対応する大きさを示す情報である。
第3画像領域m3の第3画像寸法情報h3は、第3画像領域m3における人物Mの身長に対応する大きさを示す情報である。
画像寸法情報h1~h3は、各撮像範囲の大きさ(長さ)を示していればよく画素数等で示すことができる。
なお、
図4(a)では、3つの画像寸法情報のうち、第2画像寸法情報h2が最も小さく、第3画像寸法情報h3が最も大きい。
【0030】
画像領域m1~m3の画像寸歩情報h1~h3を取得すると、処理部6は、経路rに対する人物Mのずれ量を求める(
図3中、ステップS14)。
図4(b)は、人物MのX-Y平面上の位置関係を示す図である。
図4(b)において、横軸はX方向を示しており、縦軸はY方向を示している。また、
図4(b)には、経路rが示されている。経路rのY方向の位置をyrとする。
また、
図4(b)において、点Aは、第1画像における人物MのX-Y平面上の位置を示している。点Bは、第2画像における人物MのX-Y平面上の位置を示している。点Cは、第3画像における人物MのX-Y平面上の位置を示している。
【0031】
点AのX方向の位置はx1、点AのY方向の位置はyrである。点BのX方向の位置はx2、点BのY方向の位置はy1である。点CのX方向の位置はx3、点CのY方向の位置はy2である。
点BのY方向の位置および点CのY方向の位置は、経路rからずれている。
ここで、ずれ量とは、Y方向における経路rと人物Mの位置との間隔をいう。
図4(b)中、点Aに位置する人物Mは、経路r上に位置するため、ずれ量は0である。
図4(b)において、点Bに位置する人物Mは、ずれ量g1だけ経路rに対してY1方向にずれている。
図4(b)において、点Cに位置する人物Mは、ずれ量g2だけ経路rに対してY2方向にずれている。
【0032】
処理部6は、
図3中のステップS14において、実寸法情報Hおよび画像寸法情報h1~h3に基づいて人物Mのずれ量を求める。
【0033】
図5は、人物Mとカメラ2との位置関係をX2方向側から見たときの図である。なお、
図5では、理解を容易にするため、カメラ2を路面に設置したように示している。
図5中、Y方向位置yrに位置する人物Mは、経路r上に位置する。
また、
図5中、Y方向位置y10の人物Mは、Y方向位置yrに対してずれ量gだけY1方向にずれている。
ここで、画像I上における人物Mの画像領域の大きさは、カメラ2と人物Mとの距離の変化に対して反比例する。
よって、経路r上に位置する人物Mを撮像したときの画像I上の基準寸法情報をhr、Y方向位置y10の人物Mの画像寸法情報をh10、カメラ2とY方向位置yrとの間の距離をDとすると、下記式(1)が成り立つ。
h10/hr=D/(D+g) ・・・(1)
【0034】
処理装置4の記憶部8には、経路r上に位置する人物Mの実寸法情報Hと、経路r上に位置する人物Mを撮像したときの画像I上の基準寸法情報hrと、の対応関係を示す情報が記憶されている。処理部6は、この情報を用いて、人物Mの実寸法情報Hに対応する基準寸法情報hrを取得することができる。例えば、人物Mの実寸法情報Hが1700mmである場合、前記情報には、1700mmに対応する基準寸法情報hrが登録されている。処理部6は、実寸法情報Hに応じた基準寸法情報hrを前記情報から取得し、処理に用いる。
また、距離Dは予め記憶部8に記憶させることができる。
よって、処理部6は、画像寸法情報h10を式(1)に代入することで、ずれ量gを求めることができる。
【0035】
処理部6は、実寸法情報Hおよび画像寸法情報h1~h3に基づいて人物Mのずれ量gを求めることができる。
第1画像寸法情報h1に基づいて求められるずれ量は0となる。第2画像寸法情報h2に基づいて求められるずれ量はg1となる。第3画像寸法情報h3に基づいて求められるずれ量はg2(-g2)となる。
【0036】
ずれ量を求めた処理部6は、次いで、人物Mの推定移動経路を求める(
図3中、ステップS15)。
処理部6は、
図4(b)に示すように、点Aと、点Bと、を結んだ経路を第1推定移動経路re1とする。また、処理部6は、点Bと、点Cと、を結んだ経路を第2推定移動経路re2とする。第1推定移動経路re1は、人物Mが点Aから点Bまで移動するときに通過したと推定する経路である。
【0037】
次いで、処理部6は、人物Mの関節点の3次元情報を生成する(
図3中、ステップS16)。
図6は、動画像に含まれる2次元の画像に撮像された人物Mの画像領域の一例を示す図である。
処理部6は、画像における人物Mの画像領域m10を取得し、画像領域m10に基づいて、人物Mの骨格m11を推定する。さらに、処理部6は、骨格m11に基づいて、人物Mの複数の関節点m12を推定する。処理部6は、複数の関節点m12の2次元情報(2次元座標)を生成する。
処理部6は、機械学習を利用した手法を用いて、人物Mの骨格m11および複数の関節点m12の推定を行う。骨格m11および複数の関節点m12の推定手法としては、オープンポーズ等の公知の手法が挙げられる。
【0038】
さらに、処理部6は、人物Mが経路rに沿って移動したと仮定した上で、複数の関節点m12の3次元情報(3次元座標)を生成する。
処理部6は、複数の関節点m12の2次元情報に基づいて、複数の関節点m12の3次元情報を生成する。
処理部6は、動画像に含まれる複数の画像それぞれについて人物Mの複数の関節点m12の3次元情報を生成する。
【0039】
次いで、処理部6は、ステップS15にて求めた推定移動経路に基づいて、複数の画像それぞれの複数の関節点m12の3次元情報を補正する。
処理部6は、第1画像(人物Mが点Aのときの画像)から第2画像(人物Mが点Bのときの画像)までの動画像に含まれる画像については、人物Mが推定移動経路re1を移動したものとして、関節点m12の3次元情報を補正する。
処理部6は、第2画像から第3画像(人物Mが点Cのときの画像)までの動画像に含まれる画像については、人物Mが推定移動経路re2を移動したものとして、関節点m12の3次元情報を補正する。
処理部6は、関節点m12の補正を終えると、処理を終え、
図2中のステップS3へ進む。
【0040】
上記構成のシステム1では、動画像に基づいて、人物M(移動体)が経路rに沿って移動したと仮定したときの関節点m12(特徴点)の3次元情報を生成し、さらに、人物Mの推定移動経路re1、re2を求め、推定移動経路re1、re2に基づいて関節点m12の3次元情報を補正するので、2次元の動画像を用いたとしても、比較的精度の高い関節点m12の3次元情報を取得することができる。
よって、2次元の動画像を撮像可能なカメラ1台を用いて人物Mを撮像すれば、必要な動画像を得ることができる。
この結果、低コストで関節点m12の3次元情報を得ることができる。
【0041】
〔その他〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
上記実施形態では、
図3に示すように、推定移動経路を求めた後、複数の関節点m12の3次元情報を生成する場合を示したが、複数の関節点m12の3次元情報を生成する処理は、3次元情報の補正を実行する前までに行われていればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、複数の画像それぞれについて複数の関節点m12の3次元情報を生成した後、生成した3次元情報を補正した場合を例示したが、3次元情報の生成と補正を、複数の画像毎に逐次行ってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、推定移動経路を求め、人物Mが推定移動経路を移動したものとして、関節点m12の3次元情報を補正したが、推定移動経路を求めず、複数の画像の一部または全部についてずれ量gを求め、ずれ量gに基づいて、複数の画像の一部または全部から生成される関節点m12の3次元情報を補正してもよい。
【0044】
上記実施形態では、移動体が人物Mの場合を例示したが、人物M以外の移動体を対象とすることもできる。人物M以外の移動体を対象とする場合、特徴点については、本実施形態のように関節点ではなく、対象となる移動体特有の特徴点についての3次元情報が生成される。
【0045】
本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
2 カメラ(撮像装置)
4 処理装置(情報生成装置)
6 処理部