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  • 特開-生産情報表示装置 図1
  • 特開-生産情報表示装置 図2
  • 特開-生産情報表示装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151489
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】生産情報表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241018BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064861
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】砂子 祐也
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA56
3C100AA58
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB22
3C100BB33
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】各工程間や各作業者間における半製品または仕掛品の滞留時間をガントチャートで表示することを可能にする。
【解決手段】複数の工程を経て生産された製品の生産実績を表示する生産情報表示装置であって、製品の生産において各工程に要した時間を記憶する工程時間記憶手段と、各工程間の生産の滞留時間を記憶する工程間滞留時間記憶手段と、工程時間記憶手段に記憶された各工程に要した時間と工程間滞留時間記憶手段に記憶された滞留時間とに基づき、各工程に要した時間と滞留時間とを表すガントチャートを表示する表示手段とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を経て生産された製品の生産実績を表示する生産情報表示装置であって、
製品の生産において各工程に要した時間を記憶する工程時間記憶手段と、
前記各工程間の生産の滞留時間を記憶する工程間滞留時間記憶手段と、
前記工程時間記憶手段に記憶された前記各工程に要した時間と前記工程間滞留時間記憶手段に記憶された前記滞留時間とに基づき、前記各工程に要した時間と前記滞留時間とを表すガントチャートを表示する表示手段と
を有することを特徴とする生産情報表示装置。
【請求項2】
複数の作業者による作業を経て生産された製品の生産実績を表示する生産情報表示装置であって、
製品の生産において各作業者が作業に要した時間を記憶する作業時間記憶手段と、
前記各作業者間の生産の滞留時間を記憶する作業者間滞留時間記憶手段と、
前記作業時間記憶手段に記憶された前記作業に要した時間と前記作業者間滞留時間記憶手段に記憶された前記滞留時間とに基づき、前記各作業者が作業に要した時間と前記滞留時間とを表すガントチャートを表示する表示手段と
を有することを特徴とする生産情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の生産情報表示装置において、
前記ガントチャートの一方の軸は、製品を示す
ことを特徴とする生産情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産情報表示装置に関する。さらに詳細には、本発明は、複数の工程や複数の作業者による作業などを経て完成する製品の生産実績を表示する生産情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品を生産する生産現場においては、複数の半製品(または仕掛品)がそれぞれ定められた複数の工程を経ることにより、当該各工程において半製品に対する処理が行われ、その結果として所望の製品(完成品)が生産される。
【0003】
こうした生産現場における生産実績を表示する生産情報表示装置として、例えば、特許第6936189号公報に開示された仕掛情報表示装置がある。
【0004】
この特許第6936189号公報に開示された仕掛情報表示装置は、複数の工程を経て製品が生産される場合に、前工程と現工程との間で半製品が滞留している時間を矢印で示す仕掛チャートを表示するようにしている。
【0005】
即ち、特許第6936189号公報に開示された仕掛情報表示装置によれば、前工程と現工程との間で半製品が滞留している時間たる滞留時間のみしか表示されないため、製品を完成させるまでの全行程のうちで、どの工程間において半製品の滞留時間が長いかを判断することができないという問題点があった。
【0006】
さらに、特許第6936189号公報に開示された仕掛情報表示装置によれば、どの作業者間において半製品の滞留時間が長いかを判断することができないという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6936189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術に対する上記した種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各工程間や各作業者間における半製品または仕掛品の滞留時間をガントチャートで表示することを可能にした生産情報表示装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明による生産情報表示装置は、複数の工程を経て生産された製品の生産実績を表示する生産情報表示装置であって、製品の生産において各工程に要した時間を記憶する工程時間記憶手段と、上記各工程間の生産の滞留時間を記憶する工程間滞留時間記憶手段と、上記工程時間記憶手段に記憶された上記各工程に要した時間と上記工程間滞留時間記憶手段に記憶された上記滞留時間とに基づき、上記各工程に要した時間と上記滞留時間とを表すガントチャートを表示する表示手段とを有するようにしたものである。
【0010】
従って、上記した本発明による生産情報表示装置によれば、可視化されたガントチャートを視認することにより、全工程のうちのどの工程間で生産の滞留時間が長いか、即ち、生産効率を低下させる時間が長いかを判断することができるようになる。
【0011】
また、上記した目的を達成するために、本発明による生産情報表示装置は、複数の作業者による作業を経て生産された製品の生産実績を表示する生産情報表示装置であって、製品の生産において各作業者が作業に要した時間を記憶する作業時間記憶手段と、上記各作業者間の生産の滞留時間を記憶する作業者間滞留時間記憶手段と、上記作業時間記憶手段に記憶された上記作業に要した時間と上記作業者間滞留時間記憶手段に記憶された上記滞留時間とに基づき、上記各作業者が作業に要した時間と上記滞留時間とを表すガントチャートを表示する表示手段とを有するようにしたものである。
【0012】
従って、上記した本発明による生産情報表示装置によれば、可視化されたガントチャートを視認することにより、全作業者のうちのどの作業者間で生産の滞留時間が長いか、即ち、生産効率を低下させる時間が長いかを判断することができるようになる。
【0013】
また、上記した目的を達成するために、本発明による生産情報表示装置は、上記した本発明による生産情報表示装置において、上記ガントチャートの一方の軸は、製品を示すようにしたものである。
【0014】
従って、上記した本発明による生産情報表示装置によれば、製品ごと、換言すれば、製造番号ごとにガントチャートを比較することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように構成されているので、各工程間や各作業者間における半製品または仕掛品の滞留時間をガントチャートで表示することができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態の一例による生産情報表示装置の機能的構成を示すブロック構成説明図である。
図2図2は、図1に示す生産情報表示装置により表示されるパターン1におけるガントチャートの一例を示す説明図である。
図3図3は、図1に示す生産情報表示装置により表示されるパターン2におけるガントチャートの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による生産情報表示装置の形態の一例を詳細に説明することとする。
【0018】
(I) 本発明による生産情報表示装置の構成の説明
図1には、本発明の実施の形態の一例による生産情報表示装置の機能的構成を示すブロック構成説明図があらわされている。
【0019】
本発明による生産情報表示装置10は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピューター(タブレット端末を含む。)などのコンピューターシステムにより構築されており、入力部12と、表示部14と、制御部16と、記憶部18とを有している。
【0020】
入力部12は、例えば、キーボードやマウスなどにより構成されており、作業者や当該作業の管理者などにより操作されると、その操作内容を示す操作信号が制御部16に入力される。本発明の実施に関連する入力部12における操作は、表示部14における表示内容としてパターン1とパターン2とのいずれか一方を選択する操作である。なお、入力部12は、タブレット端末のタッチパネルにより構成されていてもよい。
【0021】
ここで、パターン1は、複数の工程を経て生産される各製品の製造番号毎に、各工程に要した時間と各工程間における半製品または仕掛品の滞留時間とを示すガントチャートを、表示部14に表示する表示内容とする。このパターン1においては、製品を完成させるまでの全工程について、各工程に要した時間を表示する。滞留時間とは、ある工程から別の工程に移るまでにかかる時間を意味する。例えば、ある工程と別の工程で異なる設備に移動する必要がある場合であれば、滞留時間は設備間の移動時間に相当する。また、滞留時間は、ある作業者から別の作業者に半製品や仕掛品を渡すまでにかかる時間とも言える。
【0022】
また、パターン2は、複数の作業者による作業を経て生産される各製品の製造番号毎に、各作業者が担当した作業に要した作業時間と各作業者間における半製品または仕掛品の滞留時間とを示すガントチャートを、表示部14に表示する表示内容とする。このパターン2においては、製品を完成させるまでの間に当該製品に対して作業する作業者全員について、各作業者が担当した作業に要した作業時間を表示する。
【0023】
表示部14は、例えば、CRTやLCDなどにより構成されており、パターン1またはパターン2によるガントチャートを表示する。
【0024】
制御部16は、例えば、中央演算処理装置(CPU)や各種のメモリなどにより構成されており、受付部16-1と、抽出部16-2と、表示制御部16-3とを有している。
【0025】
受付部16-1は、入力部12の操作内容を示す操作信号、即ち、パターン1とパターン2とのいずれか一方を選択する操作を示す操作信号を受け付ける。
【0026】
抽出部16-2は、受付部16-1が受け付けたパターン1またはパターン2の操作信号に応じて、記憶部18に記憶されたパターン1またはパターン2に応じた記憶内容を抽出する。
【0027】
表示制御部16-3は、抽出部16-2が抽出したパターン1またはパターン2に応じた記憶内容を示すガントチャートを、表示部14に表示するように制御する。
【0028】
記憶部18は、例えば、ハードディスクや半導体不揮発メモリなどにより構成されており、工程時間記憶部18-1と、工程間滞留時間記憶部18-2と、作業時間記憶部18-3と、作業者間滞留時間記憶部18-4とを有している。
【0029】
工程時間記憶部18-1は、複数の工程を経て生産される各製品の製造番号毎に、各工程に要した時間を記憶する。工程時間記憶部18-1の記憶内容は、パターン1によるガントチャートの表示に用いられる。
工程間滞留時間記憶部18-2は、複数の工程を経て生産される各製品の製造番号毎に、各工程間の生産の滞留時間を記憶する。工程間滞留時間記憶部18-2は、パターン1によるガントチャートの表示に用いられる。
【0030】
作業時間記憶部18-3は、複数の作業者による作業を経て生産される各製品の製造番号毎に、各作業者が作業に要した時間を記憶する。作業時間記憶部18-3は、パターン2によるガントチャートの表示に用いられる。
【0031】
作業者間滞留時間記憶部18-4は、複数の作業者による作業を経て生産される各製品の製造番号毎に、各作業者間の生産の滞留時間を記憶する。作業者間滞留時間記憶部18-4は、パターン2によるガントチャートの表示に用いられる。
【0032】
(II) 本発明による生産情報表示装置の表示動作の説明
図2には、図1に示す生産情報表示装置により表示されるパターン1におけるガントチャートの一例を示す説明図があらわされている。
【0033】
また、図3には、図1に示す生産情報表示装置により表示されるパターン2におけるガントチャートの一例を示す説明図があらわされている。
【0034】
以上の構成において、生産情報表示装置10においては、工程時間記憶部18-1に、複数の工程を経て生産される各製品の製造番号毎に、各工程に要した時間を記憶され、また、 工程間滞留時間記憶部18-2に、複数の工程を経て生産される各製品の製造番号毎に、各工程間の生産の滞留時間を記憶され、また、作業時間記憶部18-3に、複数の作業者による作業を経て生産される各製品の製造番号毎に、各作業者が作業に要した時間を記憶され、また、作業者間滞留時間記憶部18-4に、複数の作業者による作業を経て生産される各製品の製造番号毎に、各作業者間の生産の滞留時間を記憶されるものであるが、こうした処理については公知の技術を適用することができるため詳細な説明は省略し、以下においては、本発明の実施に関連する技術内容についてのみ説明するものとする。
【0035】
生産情報表示装置10において、制御部16の受付部16-1が、入力部12からのパターン1を選択する操作を示す操作信号を受け付けると、制御部16の抽出部16-2は、記憶部18に記憶されたパターン1に応じた記憶内容を抽出する。
【0036】
具体的には、抽出部18-2は、記憶部18の工程時間記憶部18-1および工程間滞留時間記憶部18-2に記憶された記憶内容を抽出する。
【0037】
表示制御部16-3は、抽出部16-2が抽出した工程時間記憶部18-1および工程間滞留時間記憶部18-2に記憶された記憶内容によるパターン1のガントチャートを、表示部14に表示するように制御する。
【0038】
図2には、表示部14に表示されたパターン1によるガントチャート、即ち、製品毎(製造番号毎)に、各工程に要した時間と各工程間における半製品または仕掛品の滞留時間とを並べて示したガントチャートが表示される。
【0039】
図2に示す例においては、ガントチャートの縦軸が製造番号を示し、ガントチャートの横軸が時間を示していて、工程1、工程2、工程3および工程4の4つの工程で半製品または仕掛品に対する処理が行われ、その結果として所望の製品(完成品)が4つ生産される場合を表示している。また、図2に示す例においては、製造番号順に生産しているものとする。
【0040】
ここで、図2に示すガントチャートを目視して、製造番号0003と製造番号0004とに着目すると、工程2と工程3との間での滞留時間tが長いことが容易に視認される。そのため、工程3の作業改善や、工程3の作業の一部を工程2に移管することにより、工程2と工程3との間の滞留時間tを削減することが期待でき、製造番号0001、製造番号0002、製造番号0003および製造番号0004の生産全体にかかる時間Tを削減することが期待できる。
【0041】
また、生産情報表示装置10において、制御部16の受付部16-1が、入力部12からのパターン2を選択する操作を示す操作信号を受け付けると、制御部16の抽出部16-2は、記憶部18に記憶されたパターン2に応じた記憶内容を抽出する。
【0042】
具体的には、抽出部16-2は、記憶部18の作業時間記憶部18-3および作業者間滞留時間記憶部18-4に記憶された記憶内容を抽出する。
【0043】
表示制御部16-3は、抽出部16-2が抽出した作業時間記憶部18-3および作業者間滞留時間記憶部18-4に記憶された記憶内容によるパターン2のガントチャートを、表示部14に表示するように制御する。
【0044】
図3には、表示部14に表示されたパターン2によるガントチャート、即ち、製品毎(製造番号毎)に、各作業者が担当の作業に要した時間と各作業者間における半製品または仕掛品の滞留時間とを並べて示したガントチャートが表示される。
【0045】
図3に示す例においては、ガントチャートの縦軸が製造番号を示し、ガントチャートの横軸が時間を示していて、作業者A、作業者B、作業者Cおよび作業者Dの4人の作業者がそれぞれ半製品または仕掛品に対する作業を実施して、その結果として所望の製品(完成品)が4つ生産される場合を表示している。また、図3に示す例においては、製造番号順に生産しているものとする。
【0046】
ここで、図3に示すガントチャートを目視して、製造番号0003と製造番号0004とに着目すると、作業者Bと作業者Cとの間での滞留時間tが長いことが容易に視認される。そのため、作業者Cの作業教育や、作業者Cが担当する作業の一部を作業者Bの作業に移管することにより、作業者Bと作業者Cとの間の滞留時間tを削減することが期待でき、製造番号0001、製造番号0002、製造番号0003および製造番号0004の生産全体にかかる時間Tを削減することが期待できる。
【0047】
(III) 本発明の実施の形態の一例による生産情報表示装置における作用の説明
上記おいて説明したように、生産情報表示装置10によれば、製品を完成させるまでの全工程のうち、どの工程間において半製品または仕掛品の滞留時間が長いかを容易に視認することができる。
【0048】
また、生産情報表示装置10によれば、製品を完成させるまでの間に、どの作業者間において半製品または仕掛品の滞留時間が長いかを容易に視認することができる。
【0049】
こうしたことにより、どの工程またはどの作業者の作業改善や負担を軽減すると、半製品または仕掛品の滞留時間の減少を期待することができるかがわかり、半製品または仕掛品の滞留時間を減少させる対策をとることによって、製品の生産性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、複数の工程や複数の作業者による作業などを経て完成する製品の生産実績を表示する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 生産情報表示装置
12 入力部
14 表示部(表示手段)
16 制御部(表示手段)
16-1 受付部
16-2 抽出部
16-3 表示制御部
18 記憶部
18-1 工程時間記憶部(工程時間記憶手段)
18-2 工程間滞留時間記憶部(工程間滞留時間記憶手段)
18-3 作業時間記憶部(作業時間記憶手段)
18-4 作業者間滞留時間記憶部(作業者間滞留時間記憶手段)
図1
図2
図3