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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151490
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H01R13/514
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064862
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】嶋▲崎▼ 雅史
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087HH07
5E087JJ08
5E087JJ09
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】部品点数及び組み付け工数を低減可能としたコネクタアセンブリを提供すること。
【解決手段】コネクタアセンブリ11は、電線41が接続される端子22と電線41が後方向X2に導出されるように端子22を保持するインナハウジング23とを有するモジュールコネクタ21と、インナハウジング23を収容可能な複数の収容部32を有するアウタハウジング31とを備える。アウタハウジング31は、弾性変形することで後方向X2から収容部32へのインナハウジング23の挿入を許容するとともに、インナハウジング23が収容部32に収容された状態で元の形に戻ることで端子22と係合可能な位置に配置され、端子22の正常位置からの移動を規制するリテーナ部33を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続される端子と前記電線が後方向に導出されるように前記端子を保持するインナハウジングとを有するモジュールコネクタと、
前記インナハウジングを収容可能な複数の収容部を有するアウタハウジングと、
を備えるコネクタアセンブリであって、
前記アウタハウジングは、
弾性変形することで後方向から前記収容部への前記インナハウジングの挿入を許容するとともに、前記インナハウジングが前記収容部に収容された状態で元の形に戻ることで前記端子と係合可能な位置に配置され、前記端子の正常位置からの移動を規制するリテーナ部を有する、
コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記リテーナ部は、前記複数の収容部毎に独立して弾性変形可能に設けられている、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記端子は、前記インナハウジングの幅方向に複数並設され、
前記リテーナ部は、前記幅方向と交差する上下方向に弾性変形可能に設けられている、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記複数の収容部は、前記幅方向に並設されている、
請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の収容部は、上下方向に2つ並設され、
上方向の前記収容部に対して設けられた前記リテーナ部は、前記収容部の上端から上方向に弾性変形可能に設けられ、下方向の前記収容部に対して設けられた前記リテーナ部は、前記収容部の下端から下方向に弾性変形可能に設けられている、
請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記リテーナ部は、前記インナハウジングが前記収容部に収容された状態で前記インナハウジングと係合可能な位置に配置され、前記インナハウジングの前記収容部からの抜けを規制する、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記アウタハウジングは、前記リテーナ部とは別の部位に被係合部を有し、
前記インナハウジングは、前記被係合部と係合することで前記インナハウジングの前記収容部からの抜けを規制する係合部を有する、
請求項6に記載のコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタアセンブリとしては、複数のモジュールコネクタと、それら複数のモジュールコネクタを収容可能なアウタハウジングと、リテーナとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。モジュールコネクタは、端子と端子を収容保持するインナハウジングとを有する。そして、リテーナは、アウタハウジングに収容されたモジュールコネクタの端子と係合可能にアウタハウジングに組み付けられることで、端子の正常位置からの移動を規制する。このようなコネクタアセンブリは、例えば、アウタハウジングに収容するモジュールコネクタの種類を変更することで、アウタハウジングを共通部品としながら種類の異なる回路に採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-75200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したようなコネクタアセンブリでは、リテーナが必要であるため、部品点数が多くなるとともに組み付け工数が多くなるという問題があった。
本開示の目的は、部品点数及び組み付け工数を低減可能としたコネクタアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタアセンブリは、電線が接続される端子と前記電線が後方向に導出されるように前記端子を保持するインナハウジングとを有するモジュールコネクタと、前記インナハウジングを収容可能な複数の収容部を有するアウタハウジングと、を備えるコネクタアセンブリであって、前記アウタハウジングは、弾性変形することで後方向から前記収容部への前記インナハウジングの挿入を許容するとともに、前記インナハウジングが前記収容部に収容された状態で元の形に戻ることで前記端子と係合可能な位置に配置され、前記端子の正常位置からの移動を規制するリテーナ部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示のコネクタアセンブリによれば、部品点数及び組み付け工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの斜視図である。
図2図2は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態におけるモジュールコネクタの斜視図である。
図4図4は、一実施形態におけるモジュールコネクタの分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態におけるモジュールコネクタの断面図である。
図6図6は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの一部分解斜視図である。
図7図7は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの断面図である。
図8図8は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの側面図である。
図9図9は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタアセンブリは、
[1]電線が接続される端子と前記電線が後方向に導出されるように前記端子を保持するインナハウジングとを有するモジュールコネクタと、前記インナハウジングを収容可能な複数の収容部を有するアウタハウジングと、を備えるコネクタアセンブリであって、前記アウタハウジングは、弾性変形することで後方向から前記収容部への前記インナハウジングの挿入を許容するとともに、前記インナハウジングが前記収容部に収容された状態で元の形に戻ることで前記端子と係合可能な位置に配置され、前記端子の正常位置からの移動を規制するリテーナ部を有する。
【0009】
同構成によれば、アウタハウジングは、端子の正常位置からの移動を規制するリテーナ部を有するため、別部品のリテーナが不要となる。また、リテーナ部は、弾性変形することで後方向から収容部へのインナハウジングの挿入を許容するとともに、インナハウジングが収容部に収容された状態で元の形に戻ることで端子の移動を規制する。これらのことから、部品点数及び組み付け工数を低減できる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記リテーナ部は、前記複数の収容部毎に独立して弾性変形可能に設けられていてもよい。
同構成によれば、リテーナ部は、複数の収容部毎に独立して弾性変形可能に設けられているため、例えば、モジュールコネクタ毎に独立して端子の移動を規制できる。また、例えば、1つのリテーナ部が複数の収容部に跨がって設けられている場合では、収容部にインナハウジングを挿入する際にリテーナ部が弾性変形することで異なる収容部に収容されたインナハウジングがずれる虞があるが、これを回避できる。
【0011】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記端子は、前記インナハウジングの幅方向に複数並設され、前記リテーナ部は、前記幅方向と交差する上下方向に弾性変形可能に設けられていてもよい。
【0012】
同構成によれば、端子はインナハウジングの幅方向に複数並設され、リテーナ部は、幅方向と交差する上下方向に弾性変形可能に設けられているため、簡単な構成で複数の端子と係合可能なリテーナ部を設けることができる。すなわち、端子がインナハウジングの幅方向に複数並設されており、例えば、リテーナ部も幅方向に弾性変形可能に設けようとすると、リテーナ部の配置が困難となるがこれを回避できる。
【0013】
[4]上記[3]において、前記複数の収容部は、前記幅方向に並設されていてもよい。
同構成によれば、複数の収容部は、インナハウジングの幅方向に並設されているため、例えば、容易に多くの収容部を並設できる。すなわち、例えば、3つ以上の収容部を上下方向に並設しようとすると、収容部同士の間にリテーナ部が弾性変形するスペースが必要となり、設計や製造が困難となる虞があるが、これを回避できる。
【0014】
[5]上記[3]または上記[4]において、前記複数の収容部は、上下方向に2つ並設され、上方向の前記収容部に対して設けられた前記リテーナ部は、前記収容部の上端から上方向に弾性変形可能に設けられ、下方向の前記収容部に対して設けられた前記リテーナ部は、前記収容部の下端から下方向に弾性変形可能に設けられていてもよい。
【0015】
同構成によれば、上方向の収容部に対するリテーナ部は収容部の上端から上方向に弾性変形可能に設けられ、下方向の収容部に対するリテーナ部は収容部の下端から下方向に弾性変形可能に設けられているため、容易に2つの収容部を並設できる。すなわち、例えば、2つの収容部を単純に上下方向に並設しようとすると、収容部同士の間にリテーナ部が弾性変形するスペースが必要となり、設計や製造が困難となる虞があるが、これを回避できる。
【0016】
[6]上記[1]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記リテーナ部は、前記インナハウジングが前記収容部に収容された状態で前記インナハウジングと係合可能な位置に配置され、前記インナハウジングの前記収容部からの抜けを規制してもよい。
【0017】
同構成によれば、リテーナ部は、インナハウジングが収容部に収容された状態でインナハウジングと係合可能な位置に配置され、インナハウジングの収容部からの抜けを規制するため、リテーナ部に2つの機能を待たせることができる。
【0018】
[7]上記[6]において、前記アウタハウジングは、前記リテーナ部とは別の部位に被係合部を有し、前記インナハウジングは、前記被係合部と係合することで前記インナハウジングの前記収容部からの抜けを規制する係合部を有していてもよい。
【0019】
同構成によれば、インナハウジングは、アウタハウジングの被係合部と係合することでインナハウジングの収容部からの抜けを規制する係合部を有するため、インナハウジングは、収容部からの抜けが強固に規制される。すなわち、インナハウジングは、アウタハウジングのリテーナ部と被係合部とによって収容部からの抜けが規制されるため、収容部からの抜けが強固に規制される。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタアセンブリの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(コネクタアセンブリ11の構成)
図1及び図2に示すように、コネクタアセンブリ11は、複数のモジュールコネクタ21と、アウタハウジング31とを備える。本実施形態では、コネクタアセンブリ11は、6つのモジュールコネクタ21を有する。コネクタアセンブリ11は、例えば、車両に設けられる車載機器同士を電気的に接続する経路に介在されるものである。なお、図中には、第1軸線Xと、第1軸線Xと直交する第2軸線Yと、第1軸線Xと第2軸線Yとに直交する第3軸線Zとを図示している。また、図中には、第1軸線Xに沿った前後方向の一方向である前方向X1と、前方向X1の反対方向である後方向X2とを図示している。また、図中には、第2軸線Yに沿った幅方向の一方向である第1幅方向Y1と、第1幅方向Y1の反対方向である第2幅方向Y2とを図示している。また、図中には、第3軸線Zに沿った上下上方の一方向である上方向Z1と、上方向Z1の反対方向である下方向Z2とを図示している。
【0022】
(モジュールコネクタ21の構成)
図3から図5に示すように、モジュールコネクタ21は、端子22とインナハウジング23とを有する。本実施形態のモジュールコネクタ21は、1つのインナハウジング23に対して3つの端子22を有する。コネクタアセンブリ11は、6つのモジュールコネクタ21を有するが、本実施形態では、まず上方向Z1における第1幅方向Y1の端に配置されるモジュールコネクタ21について説明する。
【0023】
(端子22の構成)
端子22は、雌端子部22aと、雌端子部22aの後端の一部から延びる電線接続部22bとを有する。端子22は、例えば、金属板材を折り曲げたり組み合わせたりすることにより構成されている。雌端子部22aは、四角筒状に形成されている。雌端子部22aは、コネクタアセンブリ11に図示しない外部コネクタが嵌合された状態で外部コネクタの雄端子が挿入されつつ接続されるように構成されている。また、雌端子部22aは、後方向X2に延びつつ幅方向の外側に延びるランス片22c(図5参照)を有する。
【0024】
電線接続部22bは、電線41に接続される。詳しくは、図5に示すように、電線41は、芯線41aと、該芯線41aの外周を覆う絶縁被覆41bとを有する被覆電線である。芯線41aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。そして、電線接続部22bは、絶縁被覆41bから外部に突出した芯線41aの外周にかしめられることで圧着される。
【0025】
(インナハウジング23の構成)
インナハウジング23は、絶縁性の樹脂材にて構成されている。インナハウジング23は、電線41が後方向X2に導出されるように端子22を保持する。詳しくは、インナハウジング23は、全体が幅方向(すなわち、第2軸線Yに沿った方向)に扁平の四角筒状に形成されている。
【0026】
図5に示すように、インナハウジング23は、幅方向外側の2つの側壁23aと、2つの側壁23aの間に等間隔に配置される2つの中間側壁23bとを有する。また、インナハウジング23の内部において、側壁23aと中間側壁23bとは、幅方向に突出する係合凸部23cを有する。また、インナハウジング23は、前方向X1の端部である先端に先端壁23dを有する。また、先端壁23dは、端子用孔23eを有する。そして、端子22は、後方向X2から側壁23a及び中間側壁23bの各間に挿入されて保持される。端子22は、ランス片22cが係合凸部23cと係合することでインナハウジング23からの抜けが規制される。端子22は、側壁23a及び中間側壁23bの各間に挿入されることにより、インナハウジング23の幅方向に3つ並設される。
【0027】
また、図3及び図4に示すように、インナハウジング23は、上下方向の外壁23fの一部に開口部23gを有する。開口部23gは、インナハウジング23の幅方向の全体に形成されている。開口部23gは、インナハウジング23の前後方向の中央部に形成されている。図3に示すように、開口部23gは、端子22の一部がインナハウジング23の外部に露出するように設けられている。詳しくは、開口部23gは、端子22における雌端子部22aの後端の一部がインナハウジング23の外部に露出するように設けられている。
【0028】
また、図6及び図7に示すように、インナハウジング23は、上下方向の外壁23hの一部であって開口部23gと反対側の外壁23hの一部に係合部23jを有する。本実施形態の係合部23jは、インナハウジング23の後端からインナハウジング23の上下方向の外側において前方向X1に延びる弾性片23kと、弾性片23kの先端から上下方向の外側に突出する爪23mとを有する。係合部23jは、弾性片23kが撓むことにより上下方向に弾性変形可能とされている。
【0029】
(アウタハウジング31の構成)
アウタハウジング31は、絶縁性の樹脂材にて構成されている。
図2に示すように、アウタハウジング31は、インナハウジング23を収容可能な複数の収容部32を有する。本実施形態では、収容部32は、アウタハウジング31の幅方向に3つ並設されている。また、収容部32は、アウタハウジング31の上下方向に2つ並設されている。すなわち、収容部32は、上下方向に2段、幅方向に3列、並設されることで、アウタハウジング31に合計6つ設けられている。
【0030】
詳しくは、アウタハウジング31は、全体が幅方向に扁平の四角筒状に形成されている。アウタハウジング31は、幅方向外側の2つの側壁31aと、2つの側壁31aの間に等間隔に配置される2つの中間側壁31bとを有する。また、アウタハウジング31は、上下方向外側の2つの外壁31c,31dと、2つの外壁31c,31dの間に配置される仕切り壁31eとを有する。2つの外壁31c,31dは、アウタハウジング31において、後端部に設けられている。そして、側壁31a、中間側壁31b、外壁31c,31d及び仕切り壁31eによって区画された部位が収容部32を構成している。
【0031】
また、アウタハウジング31は、リテーナ部33を有する。リテーナ部33は、弾性変形することで後方向X2から収容部32へのインナハウジング23の挿入を許容する(図8参照)。また、リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に収容された状態で弾性変形した形状から元の形に戻ることで端子22と係合可能な位置に配置され(図7及び図9参照)、端子22の正常位置からの移動を規制する。
【0032】
詳述すると、図2に示すように、リテーナ部33は、複数の収容部32毎に独立して弾性変形可能に設けられている。リテーナ部33は、アウタハウジング31の上下方向外側に設けられている。リテーナ部33は、収容部32の幅方向両側に配置される側壁31aまたは中間側壁31bに設けられた切り欠き31fにおいて前方向X1に延びる一対の弾性延部33aと、一対の弾性延部33aを接続するリテーナ本体部33bとを有する(図6等参照)。リテーナ部33は、弾性延部33aが撓むことにより上下方向に弾性変形可能とされている。詳しくは、上方向Z1の収容部32に対して設けられたリテーナ部33は収容部32の上端から上方向Z1に弾性変形可能に設けられている。また、下方向Z2の収容部32に対して設けられたリテーナ部33は収容部32の下端から下方向Z2に弾性変形可能に設けられている。言い換えると、リテーナ部33は、仕切り壁31eを中心として上下方向に対称に設けられている。そして、上方向Z1の収容部32に対して設けられたリテーナ部33は、上方向Z1に弾性変形することで後方向X2から収容部32へのインナハウジング23の挿入を許容する(図8参照)。また、下方向Z2の収容部32に対して設けられたリテーナ部33は、下方向Z2に弾性変形することで後方向X2から収容部32へのインナハウジング23の挿入を許容する。
【0033】
また、図7に示すように、リテーナ本体部33bにおいて前方向X1の面である先端面は、インナハウジング23と係合可能なハウジング係合面33cを構成している。また、リテーナ本体部33bは、アウタハウジング31の上下方向の内側に向かって突出する突出部33dを有する。突出部33dにおいて前方向X1の面である先端面は、端子22と係合可能な端子係合面33eを構成している。また、突出部33dにおいて後方向X2の面である後端面は、上下方向の内側に向かいつつ前方向X1に向かう傾斜面33fを有する。リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に収容された状態で弾性変形した形状(図8参照)から元の形に戻ることで、端子係合面33eが端子22の雌端子部22aの後端の一部と係合可能な位置に配置される。これにより、リテーナ部33は、端子22の正常位置からの移動を規制する。また、リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に収容された状態で弾性変形した形状(図8参照)から元の形に戻ることで、ハウジング係合面33cがインナハウジング23の開口部23gと係合可能な位置に配置される。これにより、リテーナ部33は、インナハウジング23の収容部32からの抜けを規制する。
【0034】
また、図6及び図7に示すように、アウタハウジング31は、リテーナ部33とは別の部位であって、仕切り壁31eに被係合部34を有する。被係合部34は、仕切り壁31eを上下方向に貫通する孔である。被係合部34は、インナハウジング23の係合部23jの爪23mが係合可能な位置に設けられている。これにより、インナハウジング23が収容部32に収容された状態において、係合部23jは被係合部34と係合することでインナハウジング23の収容部32からの抜けを規制する。なお、本実施形態の被係合部34は、上下方向に2つ並設される収容部32に対して共通の孔で有る。すなわち、被係合部34は、1つの孔で上下方向に2つ並設されるインナハウジング23の係合部23jと係合可能とされている。
【0035】
また、図1及び図2に示すように、本実施形態では、モジュールコネクタ21は、第1のモジュールコネクタ21aと第2のモジュールコネクタ21bと第3のモジュールコネクタ21cとが採用されている。第1のモジュールコネクタ21aと第2のモジュールコネクタ21bと第3のモジュールコネクタ21cとは、例えば、端子22の種類等の構成が異なるものである。また、第1のモジュールコネクタ21aと第2のモジュールコネクタ21bと第3のモジュールコネクタ21cとは、端子22の種類等に応じてインナハウジング23の端子用孔23eの大きさ等が異なる。図1及び図2に示す第1のモジュールコネクタ21a、第2のモジュールコネクタ21b、及び第3のモジュールコネクタ21cは、一例であり、嵌合される外部コネクタの種類に応じて、モジュールコネクタ21の配置や種類等が変更されることになる。例えば、端子22の数が2つの第4のモジュールコネクタを備えたコネクタアセンブリ11としてもよい。なお、本実施形態では、異なる種類の第1のモジュールコネクタ21a、第2のモジュールコネクタ21b、及び第3のモジュールコネクタ21cにおけるインナハウジング23や端子用孔23eや端子22に便宜上、同じ符号を付している。
【0036】
次に、上記のように構成されたコネクタアセンブリ11の作用について説明する。
アウタハウジング31にモジュールコネクタ21を組み付ける場合、アウタハウジング31の後方向X2から収容部32にインナハウジング23が挿入される。
【0037】
この際、図8に示すように、リテーナ部33が弾性変形することで後方向X2からアウタハウジング31内、すなわち収容部32へのインナハウジング23の挿入が許容される。そして、図7及び図9に示すように、インナハウジング23が収容部32に収容されると、リテーナ部33は弾性変形した形状から元の形に戻ることで、端子22と係合可能な位置に配置される。これにより、端子22は正常位置からの移動が規制される。また、リテーナ部33は、インナハウジング23と係合可能な位置に配置される。これにより、インナハウジング23は収容部32からの抜けが規制される。
【0038】
また、リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に正常に収容されていない状態や端子22が正常位置にない状態で、上下方向の外側に突出した状態(図8参照)となる。これにより、例えば、作業者は、コネクタアセンブリ11の一部が正常でない状態を目視可能となる。また、例えば、外部コネクタがコネクタアセンブリ11に嵌合不能となる。
【0039】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)アウタハウジング31は、端子22の正常位置からの移動を規制するリテーナ部33を有するため、別部品のリテーナが不要となる。また、リテーナ部33は、弾性変形することで後方向X2から収容部32へのインナハウジング23の挿入を許容するとともに、インナハウジング23が収容部32に収容された状態で元の形に戻ることで端子22の移動を規制する。これらのことから、別部品のリテーナを備えた構成に比べて、部品点数及び組み付け工数を低減できる。また、端子22は、アウタハウジング31のリテーナ部33によって位置決めされるため、例えば、別部品のリテーナを介してアウタハウジング31に位置決めされる場合に比べて、アウタハウジング31に対する位置決め精度が良好となる。これにより、例えば、コネクタアセンブリ11に図示しない外部コネクタが嵌合された状態で、端子22と外部コネクタの雄端子との接触状態が良好となる。
【0040】
(2)リテーナ部33は、複数の収容部32毎に独立して弾性変形可能に設けられているため、例えば、モジュールコネクタ21毎に独立して端子22の移動を規制できる。また、例えば、1つのリテーナ部33が複数の収容部32に跨がって設けられている場合では、収容部32にインナハウジング23を挿入する際に、異なる収容部32に収容されたインナハウジング23がずれる虞があるが、これを回避できる。
【0041】
(3)端子22はインナハウジング23の幅方向に複数並設され、リテーナ部33は、幅方向と交差する上下方向に弾性変形可能に設けられているため、簡単な構成で複数の端子22と係合可能なリテーナ部33を設けることができる。すなわち、端子22がインナハウジング23の幅方向に複数並設されており、例えば、リテーナ部33も幅方向に弾性変形可能に設けようとすると、リテーナ部33の配置が困難となるがこれを回避できる。
【0042】
(4)複数の収容部32は、インナハウジング23の幅方向に並設されているため、例えば、容易に多くの収容部32を並設できる。すなわち、例えば、3つ以上の収容部32を上下方向に並設しようとすると、収容部32同士の間にリテーナ部33が弾性変形するスペースが必要となり、設計や製造が困難となる虞があるが、これを回避できる。
【0043】
(5)複数の収容部32は、上下方向に2つ並設されている。そして、上方向Z1の収容部32に対するリテーナ部33は収容部32の上端から上方向Z1に弾性変形可能に設けられ、下方向Z2の収容部32に対するリテーナ部33は収容部32の下端から下方向Z2に弾性変形可能に設けられている。よって、容易に2つの収容部32を上下方向に並設できる。すなわち、例えば、2つの収容部32を単純に上下方向に並設しようとすると、収容部32同士の間にリテーナ部33が弾性変形するスペースが必要となり、設計や製造が困難となる虞があるが、これを回避できる。
【0044】
(6)リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に収容された状態でインナハウジング23と係合可能な位置に配置され、インナハウジング23の収容部32からの抜けを規制する。よって、リテーナ部33に、端子22の正常位置からの移動を規制する機能とインナハウジング23の収容部32からの抜けを規制する機能との2つの機能を待たせることができる。
【0045】
(7)アウタハウジング31は、リテーナ部33とは別の部位に被係合部34を有する。そして、インナハウジング23は、被係合部34と係合することでインナハウジング23の収容部32からの抜けを規制する係合部23jを有するため、インナハウジング23は、収容部32からの抜けが強固に規制される。すなわち、インナハウジング23は、アウタハウジング31のリテーナ部33と被係合部34とによって収容部32からの抜けが規制されるため、収容部32からの抜けが強固に規制される。
【0046】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、リテーナ部33は、複数の収容部32毎に独立して弾性変形可能に設けられているとしたが、これに限定されず、1つのリテーナ部33が複数の収容部32に対して設けられていてもよい。すなわち、上記実施形態では、収容部32毎に設けられるリテーナ部33の各々が一対の弾性延部33aを有するとしたが、これに限定されず、1つのリテーナ部33が複数の収容部32に跨がって設けられていてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、端子22はインナハウジング23の幅方向に複数並設され、リテーナ部33は幅方向と交差する上下方向に弾性変形可能に設けられるとしたが、これに限定されず、異なる構成としてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、複数の収容部32は、インナハウジング23の幅方向に並設されるとしたが、これに限定されず、幅方向に並設されずに、上下方向にのみ並設されている構成としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、複数の収容部32は、上下方向に2つ並設されているとしたが、これに限定されず、例えば、上下方向に並設されずに、幅方向にのみ並設されている構成としてもよい。また、例えば、複数の収容部32が上下方向に3つ以上並設されている構成としてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、上方向の収容部32に対するリテーナ部33は収容部32の上端から上方向に弾性変形可能に設けられ、下方向の収容部32に対するリテーナ部33は収容部32の下端から下方向に弾性変形可能に設けられるとしたが、これに限定されない。例えば、収容部32同士の間にリテーナ部33が弾性変形するスペースを設けつつ、2つの収容部32を単純に上下方向に並設してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、リテーナ部33は、インナハウジング23が収容部32に収容された状態でインナハウジング23と係合可能な位置に配置されるとしたが、これに限定されず、端子22と係合可能でインナハウジング23と係合しない構成としてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、アウタハウジング31は被係合部34を有し、インナハウジング23は被係合部34と係合する係合部23jを有するとしたが、これに限定されず、被係合部34及び係合部23jを有していない構成としてもよい。すなわち、インナハウジング23は、アウタハウジング31のリテーナ部33によってのみ収容部32からの抜けが規制される構成としてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、アウタハウジング31は、6つの収容部32を有する構成としたが、2つ以上の収容部32を有する他の構成としてもよい。例えば、収容部32は、上下方向に2段、幅方向に4列、並設されることで、アウタハウジング31に合計8つ設けられていてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、リテーナ部33は、一対の弾性延部33aと、一対の弾性延部33aを接続するリテーナ本体部33bとを有するとしたが、これに限定されず、同様の機能を有する他の構成としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11 コネクタアセンブリ
21 モジュールコネクタ
21a 第1のモジュールコネクタ
21b 第2のモジュールコネクタ
21c 第3のモジュールコネクタ
22 端子
22a 雌端子部
22b 電線接続部
22c ランス片
23 インナハウジング
23a 側壁
23b 中間側壁
23c 係合凸部
23d 先端壁
23e 端子用孔
23f 外壁
23g 開口部
23h 外壁
23j 係合部
23k 弾性片
23m 爪
31 アウタハウジング
31a 側壁
31b 中間側壁
31c 外壁
31d 外壁
31e 仕切り壁
31f 切り欠き
32 収容部
33 リテーナ部
33a 弾性延部
33b リテーナ本体部
33c ハウジング係合面
33d 突出部
33e 端子係合面
33f 傾斜面
34 被係合部
41 電線
41a 芯線
41b 絶縁被覆
X 第1軸線
X1 前方向
X2 後方向
Y 第2軸線
Y1 第1幅方向
Y2 第2幅方向
Z 第3軸線
Z1 上方向
Z2 下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9