(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151491
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】避難経路通知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20241018BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241018BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20241018BHJP
B64U 101/55 20230101ALN20241018BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B17/00 F
B64U20/80
B64U101:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064865
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池亀 主則
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087BB20
5C087BB73
5C087DD04
5C087EE05
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG67
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG84
5G405AA08
5G405AD05
5G405BA04
5G405BA08
5G405CA28
(57)【要約】
【課題】要避難者が安全に避難可能な避難経路を通知可能な避難経路通知システムを提供する。
【解決手段】避難経路通知システム1において、無人航空機2と、避難者端末3と、を備えるものとし、無人航空機2が、単数又は複数の火災検知手段20と、航空機側通信手段21と、を有し、避難者端末3が、表示手段30と、位置情報検出手段31と、端末側通信手段32と、を有するものとし、航空機側通信手段21と端末側通信手段32とを、直接的又は間接的に通信可能とし、無人航空機2を、火災発生時に、管理対象区域内を飛行し、火災検知手段20により、火災発生位置を検出し、少なくとも、火災検知手段20が検出した火災位置情報及び位置情報検出手段31が検出した端末位置情報に基づき、避難経路を特定し、該避難経路を、表示手段30に表示するものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機と、避難者端末と、を備え、
該無人航空機は、単数又は複数の火災検知手段と、航空機側通信手段と、を有し、
該避難者端末は、表示手段と、位置情報検出手段と、端末側通信手段と、を有しており、
該航空機側通信手段と該端末側通信手段とは、直接的又は間接的に通信可能となっている避難経路通知システムであって、
該無人航空機は、火災発生時に、管理対象区域内を飛行し、該火災検知手段により、火災発生位置を検出し、
少なくとも、該火災検知手段が検出した火災位置情報及び該位置情報検出手段が検出した端末位置情報に基づき、避難経路を特定し、
該避難経路を、該表示手段に表示することを特徴とする避難経路通知システム。
【請求項2】
前記無人航空機は、温度検出手段を更に有し、
前記火災検知手段の少なくとも1つは、赤外線センサであり、
前記無人航空機は、少なくとも、該赤外線センサが検出した火災位置情報及び該温度検出手段が検出した温度情報に基づいて、該無人航空機の耐熱温度を超えない範囲で、火災発生現場に近づく様になっていることを特徴とする請求項1に記載の避難経路通知システム。
【請求項3】
少なくとも前記端末位置情報に基づき、要避難者と避難不要者とを選別し、
該要避難者の前記避難者端末には、前記避難経路を前記表示手段に表示し、
該避難不要者の該避難者端末には、火災発生地区の情報を該表示手段に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の避難経路通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難経路通知システムに関し、より詳細には、無人航空機を備える避難経路通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場やプラント等広い敷地面積を有する施設においては、警報設備、例えば、自動火災報知設備等、が設置されている。該警報設備は、火災感知器や発信機が作動した際に、鳴動し、周囲にいる人に火災の発生を報知するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の施設は、敷地面積が広い故に、警報設備が鳴動しても、火災現場を直接目視可能な距離にいる要避難者でなければ、火災発生現場を認識することは困難である。そのため、建物外に避難した要避難者は、警報装置の鳴動だけでは。どの方向に避難すれば、安全に避難可能を判断することは困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明においては、要避難者が安全に避難可能な避難経路を通知可能な避難経路通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無人航空機と、避難者端末と、を備え、該無人航空機は、単数又は複数の火災検知手段と、航空機側通信手段と、を有し、該避難者端末は、表示手段と、位置情報検出手段と、端末側通信手段と、を有しており、該航空機側通信手段と該端末側通信手段とは、直接的又は間接的に通信可能となっている避難経路通知システムであって、該無人航空機は、火災発生時に、管理対象区域内を飛行し、該火災検知手段により、火災発生位置を検出し、少なくとも、該火災検知手段が検出した火災位置情報及び該位置情報検出手段が検出した端末位置情報に基づき、避難経路を特定し、該避難経路を、該表示手段に表示することを特徴とする避難経路通知システムである。
【0007】
尚、本発明は、前記無人航空機を、温度検出手段を更に有するものとし、前記火災検知手段の少なくとも1つを、赤外線センサとし、前記無人航空機を、少なくとも、該赤外線センサが検出した火災位置情報及び該温度検出手段が検出した温度情報に基づいて、該無人航空機の耐熱温度を超えない範囲で、火災発生現場に近づく様にすることが可能である。
【0008】
更に、本発明は、少なくとも前記端末位置情報に基づき、要避難者と避難不要者とを選別するものとし、該要避難者の前記避難者端末に、前記避難経路を前記表示手段に表示し、該避難不要者の該避難者端末に、火災発生地区の情報を該表示手段に表示する様にすることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、無人航空機を、火災発生時に、管理対象区域内を飛行させ、該無人航空機の火災検知手段により、火災発生位置を検出し、少なくとも、該火災検知手段が検出した火災位置情報及び該位置情報検出手段が検出した端末位置情報に基づき、避難経路を特定し、該避難経路を、表示手段に表示可能に設けたので、要避難者が安全に避難可能な避難経路を通知可能な避難経路通知システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施形態における火災発生時における無人航空機の配置を示す略図である。
【
図3】本発明の実施形態における火災発生時における避難者端末の様子を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を
図1乃至
図3に基づき説明する。避難経路通知システム1は、無人航空機2と、避難者端末3と、を備えている。本実施形態においては、避難経路通知システム1は、中継機器4を更に備えており、火災報知設備5と接続されている。
【0012】
火災報知設備5は、例えば、自動火災報知設備であり、火災感知器50と、受信機51と、を備えている。火災感知器50は、火災を要因とする熱、煙、火炎等を感知する各種センサ類を有しており、該センサ類が、該熱等を感知した際に、火災信号を受信機51に送信する様になっている。受信機51は、該火災信号を受信すると、火災の発生を周囲に報知する様になっている。
【0013】
無人航空機2は、例えば、ドローンであり、火災発生時に、プロペラ等の飛行手段によって管理対象区域6を飛行可能に設けられている。無人航空機2は、単数又は複数の火災検知手段20と、航空機側通信手段21と、を有している。無人航空機2は、可能な限り、陰となる部分ができない様に、管理対象区域6で最も高い構造物の高さ+10m乃至20m程度の高さを飛行可能となっていることが好ましい。本実施形態では、管理対象区域6が俯瞰で略矩形の形状をしており、無人航空機2は、各角に配置されている。又、各無人航空機2で、管理対象区画6を4分割して、監視している。
【0014】
本実施形態において、無人航空機2は、管理対象区域6の地図情報を記録しておくための記録部22と、位置情報検出部23と、演算部24と、温度検出手段25と、を更に有している。位置情報検出部23としては、例えば、自身の位置情報を取得するための全地球測位システム(GPS)と、自身の向いている方向を取得するためのジャイロセンサと、を含むことが可能である。尚、無人航空機2の基本構造については、公知の構造を適宜採用可能である。
【0015】
火災検知手段20は、例えば、無人航空機2に搭載されたカメラや、赤外線センサ等であり、管理対象区域6の上空より火災を特定するために設けられている。本実施形態においては、火災検知手段20の少なくとも1つは、赤外線センサとして設けられている。
【0016】
前記赤外線センサは、火災により発生した火炎を検知し、無人航空機2の現在位置に対する火災発生現場がどの方向に位置しているかを検知するために設けられる。又、温度検出手段25は、無人航空機2周囲の温度を検知するために設けられている。それによって、本実施形態において、無人航空機2は、該赤外線センサが特定した自身に対する火災の方向、及び温度検出手段25が検出した温度情報に基づいて、無人航空機2の耐熱温度を超えない範囲で、火災発生現場60に近づくことが可能に設けられている。
【0017】
演算部24は、無人航空機2が自身の火災検知手段20が火災を検知した位置を火災発生位置として、位置情報検出部23が取得した自身の位置情報と、記録部22に記録している管理対象区域6の地図情報より火災位置情報を生成する。
【0018】
演算部24は、前記火災位置情報及び航空機側通信手段21によって受信した後述する避難者端末3の位置情報検出手段31が検出した端末位置情報に基づいて、適切な避難経路7を特定するために設けられている。本実施形態1には、演算部24には、人工知能(AI)が搭載されており、該AIによって、適切な避難経路7が特定可能となっている。
【0019】
航空機側通信手段21は、後述する避難者端末3の端末側通信手段32と直接的又は間接的に通信可能となっている。本実施形態においては、航空機側通信手段21は、無線LAN等の無線通信を用いて、中継機器4を介して間接的に通信可能となっている。
【0020】
又、本実施形態において、無人航空機2は、中継機器4を介して、火災報知設備5からの火災信号を受信可能に設けられており、該火災信号を受信すると、自動操縦され、管理対象区域6内を飛行する様になっている。
【0021】
避難者端末3は、例えば、スマートフォンやタブレットといったスマート端末であり、表示手段30と、位置情報検出手段31と、端末側通信手段32と、を有している。表示手段30は、例えば、避難者端末3に設けられたディスプレイであり、後述する様に避難経路7と火災発生位置を表示可能に設けられている。
【0022】
位置情報検出手段31は、例えば、GPSであり、避難者端末3の位置情報(端末位置情報)を取得するため設けられている。端末側通信手段32は、後述する避難者端末3の航空機側通信手段21と直接的又は間接的に通信可能となっている。本実施形態においては、避難者側通信手段1は、無線LAN等の無線通信を用いて、中継機器4を介して間接的に通信可能となっている。
【0023】
中継機器4は、例えば、サーバとして設けられる。中継機器4は、火災報知設備5の受信機51と接続されており、火災発生時に、火災信号を受信可能となっており、該火災信号を受信した際に、無人航空機2に火災信号を送る様になっている。本実施形態において、中継機器4は、無人航空機2と避難者端末3との通信の中継も行っている。
【0024】
火災報知設備5の火災感知器50が、火災を感知すると、火災信号が受信機51へと送信される。受信機51は、中継機器4を介して、火災感知器50が発報した場所を含む監視区域を受け持つ無人航空機2に火災信号を送信する。無人航空機2は、該火災信号を受信すると、管理対象区域6内の自身の監視範囲を飛行し、火災検知手段20及び位置情報検出部23により、火災発生現場60の位置を特定する。
【0025】
避難者端末3は、位置情報検出手段31により検出した端末位置情報を、端末側通信手段32から中継機器4を介して、航空機側通信手段21へと送信する。無人航空機2の演算部24は、少なくとも火災検知手段20及び位置情報検出部23が検出した火災位置情報及び航空機側通信手段21を介して取得した避難者端末3の該端末位置情報に基づき、避難経路7及び火災発生位置を特定し、避難経路7及び火災発生位置が表示された管理対象区域6の地
図8を避難者端末3に送信する。
【0026】
避難者端末3の表示手段30は、無人航空機2から送信された避難経路7及び火災発生位置が表示された管理対象区域6の地
図8を表示する。この際、本実施形態においては、無人航空機2の演算部24は、各避難者端末3の端末位置情報に基づき、火災現場と比較的近い位置におり避難の必要な要避難者と火災現場から離れた位置におり、避難の不要な避難不要者とを選別する様になっており、該要避難者には、避難経路7及び火災発生位置が表示された管理対象区域6の地
図8を送信し、該避難不要者には、火災発生した地区(火災発生地区)に関する情報を送信する様になっている、
【0027】
それに応じて、避難者端末3は、該要避難者の避難者端末3の表示手段30には、地
図8を、避難不要者の避難者端末3の表示手段30には、該火災発生地区の情報を、各々表示するものとなっている。
【0028】
従って、本実施形態の避難経路通知システム1においては、火災発生時に、無人航空機2に管理対象区域6内を飛行させ、無人航空機2の火災検知手段20及び位置情報検出部23により、前記火災発生位置を検出し、少なくとも、火災検知手段20及び位置情報検出部23が検出した該火災位置情報及び位置情報検出手段31が検出した前記端末位置情報に基づき、避難経路7を特定し、避難経路7を、表示手段30に表示可能に設けたので、要避難者が安全に避難可能な避難経路を通知可能な避難経路通知システム1を提供することが可能である。
【0029】
又、火災発生時に、無人航空機2を、管理対象区域6内を飛行させる副次的な効果として、以下の効果が挙げられる。無人航空機2の火災検知手段20により俯瞰的に火災現場を観察可能であるので、火災の状況を的確に把握することが可能となり、それによって、火災が、重要施設に広がりそうになった際に、該重要施設付近を集中的に放水する等の措置をとることが可能となるため、より効果的に消火作業を行うことが可能となる。尚、本実施形態においては、無人航空機2が、耐熱性能を超えない範囲で、火災現場に近づく様になっているため、より火災現場の状況を観察可能となっている。
【0030】
以上、本発明を、上記実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0031】
(1)上記実施形態においては、無人航空機2の演算部24によって、避難経路7を特定したが、無人航空機2外、例えば、中継機器4、に避難経路7を特定するための演算手段を設けてもよい。
【0032】
(2)上記実施形態においては、無人航空機2から、避難経路7が表示された管理対象区域6の地
図8を送信するものとしたが、予め、避難者端末3に、管理対象区域6の地
図8を記録したおき、避難経路7に関する情報だけを、無人航空機2から避難者端末3に送る様にしてもよい。
【0033】
(3)上記実施形態においては、無人航空機2と避難者端末3とは、中継機器4を介して間接的に通信するものとしたが、無人航空機2と避難者端末3とが直接通信する様にしてもよい。
【0034】
(4)上記実施形態においては、無人航空機2は、自動操縦となっているが、手動操縦可能に設けてもよい。その際、防災センタにある機器(図示せず)、例えば、防災盤や、避難者端末3によって、手動操縦可能に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 避難通知経路システム 2 無人航空機 20 火災検知手段
21 航空機側通信手段 22 記録部 23 位置情報検出部
24 演算部 25 温度検出手段 3 避難者端末
30 表示手段 31 位置情報検出手段 32 端末側通信手段
4 中継機器 5 火災報知設備 50 火災感知器
51 受信機 6 管理対象区域 60 火災発生現場
7 避難経路 8 地図