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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151492
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/25 20160101AFI20241018BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/22 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/23 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/36 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
B60J10/25
B60J10/84
B60J10/22
B60J10/23
B60J10/36
B60J10/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064867
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA09
3D201BA01
3D201CA14
3D201CB06
3D201DA16
3D201DA31
3D201DA34
3D201DA45
3D201EA01
(57)【要約】
【課題】フード側壁部とカウル側壁部との間のシール性を高めることができる車両の前部構造を提供する。
【解決手段】車両の前部構造は、エンジンルームと、フードパネル20と、カウルカバー13と、フードパネル20とカウルカバー13との間の隙間をシールするシール部材60とを備えている。シール部材60は、カウルカバー13に取り付けられ、フードパネル20とカウルカバー13との間の隙間をシールする。シール部材60は、側壁部25の後縁部25bに沿って延びるとともに、側壁部25に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられ、上部開口を有する前部ルームと、前記上部開口を開閉するフードパネルと、前記車両の前後方向において前記フードパネルの後側に隣接して配置されるカウルカバーと、前記フードパネル及び前記カウルカバーのいずれか一方に取り付けられ、前記フードパネルと前記カウルカバーとの間の隙間をシールするシール部材と、を備える前記車両における車両の前部構造であって、
前記フードパネルは、前記フードパネルの上面を構成するフード上壁部と、車幅方向における前記フード上壁部の両側縁から下方に延びる一対のフード側壁部とを有し、
前記カウルカバーは、前記フード上壁部の後側に隣接するとともに、前記カウルカバーの上面を構成するカウル上壁部と、前記フード側壁部と後側に隣接するとともに、前記車幅方向における前記カウル上壁部の両側縁から下方に延びる一対のカウル側壁部とを有し、
前記シール部材は、前記フード側壁部の後縁部に沿って延びるとともに、前記フード側壁部及び前記カウル側壁部のうち前記シール部材が取り付けられていない方に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分を有する、
車両の前部構造。
【請求項2】
前記シール部材のうち前記フード側壁部と前記カウル側壁部との間に位置する部分を第1シール部とするとき、
前記シール部材は、前記フード上壁部と前記カウル上壁部との間に位置するとともに、前記フード側壁部及び前記カウル側壁部のうち前記シール部材が取り付けられていない方に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分を有する第2シール部を更に有し、
前記第2シール部は、前記第1シール部の上端から前記車幅方向における内側に向かって延びている、
請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記第2シール部は、前記車幅方向に延びるとともに上方に開口する第2溝部を有し、
前記第1シール部は、前記第2溝部に接続され、下方に延びるとともに前記車幅方向の外側に開口する第1溝部を有する、
請求項2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記フード側壁部及び前記カウル側壁部は、前記車幅方向の外側ほど下側に位置するように延びており、
前記第1シール部は、前記車幅方向の外側ほど下側に位置するように延びており、
前記車両は、前記前後方向に延びるとともに前記上部開口の内側縁を形成する上面部を有するフェンダパネルを備え、
前記第1シール部は、前記第1溝部の前記車幅方向の外側の端から前記下方に延びるとともに前記上面部を指向するガイド部を有する、
請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記シール部材は、前記カウルカバーに取り付けられている、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両前部の構造が記載されている。特許文献1に記載の構造は、フロントウインドガラスとフロントウィンドガラスの前方においてフロントウインドガラスの下端部に沿って配置されるカウルトップパネルとを備える。また、上記構造は、車幅方向においてカウルトップパネルの両側に隣接して配置される一対のカウルサイドパネルと、カウルトップパネルの前端部及び一対のカウルサイドパネルの前端部と隣接するとともに、エンジンルームの上部を覆うフードパネルとを備える。カウルサイドパネルは、車両前部の上面を構成する上方平面と、車幅方向における上方平面の外側の端部から下方に向かって延びる側方平面とを有する。車両の前後方向において側方平面とフードパネルとの間には、隙間が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-147430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構造では、側方平面とフードパネルとの間の隙間を通じて、車両の側方から水がエンジンルーム内へと浸入するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両の前部構造の各態様を記載する。
[態様1]車両の前部に設けられ、上部開口を有する前部ルームと、前記上部開口を開閉するフードパネルと、前記車両の前後方向において前記フードパネルの後側に隣接して配置されるカウルカバーと、前記フードパネル及び前記カウルカバーのいずれか一方に取り付けられ、前記フードパネルと前記カウルカバーとの間の隙間をシールするシール部材と、を備える前記車両における車両の前部構造であって、前記フードパネルは、前記フードパネルの上面を構成するフード上壁部と、車幅方向における前記フード上壁部の両側縁から下方に延びる一対のフード側壁部とを有し、前記カウルカバーは、前記フード上壁部の後側に隣接するとともに、前記カウルカバーの上面を構成するカウル上壁部と、前記フード側壁部と後側に隣接するとともに、前記車幅方向における前記カウル上壁部の両側縁から下方に延びる一対のカウル側壁部とを有し、前記シール部材は、前記フード側壁部の後縁部に沿って延びるとともに、前記フード側壁部及び前記カウル側壁部のうち前記シール部材が取り付けられていない方に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分を有する、車両の前部構造。
【0006】
上記構成によれば、フードパネルによって前部ルームの上部開口が閉じられると、シール部材が弾性変形した状態でカウルカバーのカウル側壁部またはフードパネルのフード側壁部に押し当てられる。これにより、シール部材の密着性を高めつつ、シール部材によってフード側壁部とカウル側壁部との間の隙間をシールすることができる。したがって、フード側壁部とカウル側壁部との間のシール性を高めることができる。
【0007】
[態様2]前記シール部材のうち前記フード側壁部と前記カウル側壁部との間に位置する部分を第1シール部とするとき、前記シール部材は、前記フード上壁部と前記カウル上壁部との間に位置するとともに、前記フード側壁部及び前記カウル側壁部のうち前記シール部材が取り付けられていない方に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分を有する第2シール部を更に有し、前記第2シール部は、前記第1シール部の上端から前記車幅方向における内側に向かって延びている、[態様1]に記載の車両の前部構造。
【0008】
上記構成によれば、フードパネルによって前部ルームの上部開口が閉じられると、シール部材の第2シール部が弾性変形した状態でカウルカバーのカウル上壁部またはフードパネルのフード上壁部に押し当てられる。これにより、シール部材の密着性を高めつつ、シール部材によってフード上壁部とカウル上壁部との間の隙間をシールすることができる。また、第2シール部が、第1シール部の上端から車幅方向における内側に向かって延びているので、第1シール部と第2シール部との間には切れ目がない。したがって、フード側壁部とカウル側壁部との間及びフード上壁部とカウル上壁部との間双方についてシール性を高めることができる。
【0009】
[態様3]前記第2シール部は、前記車幅方向に延びるとともに上方に開口する第2溝部を有し、前記第1シール部は、前記第2溝部に接続され、下方に延びるとともに前記車幅方向の外側に開口する第1溝部を有する、[態様2]に記載の車両の前部構造。
【0010】
上記構成によれば、カウル上壁部の上面を伝って前方に移動する雨水など液水が、第2溝部及び第1溝部の順に移動し、第1溝部を通じて車両の側面へと移動するようになる。したがって、シール部材による排水性を高めることができる。
【0011】
[態様4]前記フード側壁部及び前記カウル側壁部は、前記車幅方向の外側ほど下側に位置するように延びており、前記第1シール部は、前記車幅方向の外側ほど下側に位置するように延びており、前記車両は、前記前後方向に延びるとともに前記上部開口の内側縁を形成する上面部を有するフェンダパネルを備え、前記第1シール部は、前記第1溝部の前記車幅方向の外側の端から前記下方に延びるとともに前記上面部を指向するガイド部を有する、[態様3]に記載の車両の前部構造。
【0012】
上記構成によれば、第1溝部内を第1シール部の車幅方向の外側の端まで移動してきた液水が、ガイド部を伝ってフェンダパネルの上面部に落下する。これにより、前部ルームの内部へ液水が流入することを抑制することができる。
【0013】
[態様5]
前記シール部材は、前記カウルカバーに取り付けられている、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の車両の前部構造。
【0014】
上記構成によれば、シール部材がフードパネルに取り付けられる場合に比べて、フードパネルの構成を簡単にすることができるとともに、シール部材が取り付けられることに起因してフードパネルの外観が損なわれることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フード側壁部とカウル側壁部との間のシール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態の車両の前部構造の平面図である。
図2図2は、図1の要部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、カウルカバーとシール部材との分解斜視図である。
図4図4は、図3のシール部材の平面図である。
図5図5は、図3の5-5線の位置でのカウルカバー及びシール部材の断面図である。
図6図6は、図3の6-6線の位置でのカウルカバー及びシール部材の断面図である。
図7図7は、図2の平面図である。
図8図8は、図1の要部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図8を参照して、車両の前部構造の一実施形態について説明する。
以降では、車両の前後方向及び車幅方向をそれぞれ単に前後方向L及び車幅方向Wとして説明する。また、前後方向Lにおける前方及び後方をそれぞれ単に前方及び後方とするとともに、車幅方向Wにおいて車両の中央(図1の一点鎖線)に近づく側を内側とし、車幅方向Wにおいて車両の中央から離れる側を外側として説明する。また、車両が水平面上に位置するときの車両の上下方向を単に上下方向Zとし、上下方向Zにおける上方及び下方をそれぞれ単に上方及び下方として説明する。
【0018】
本実施形態の車両の前部構造は、車幅方向Wにおいて対称な構造を有している。このため、以降においては、後方から前方を見たときの車両の右側半分について説明することで、左側半分についての説明を省略することがある。
【0019】
図1に示すように、車両の前部には、ウィンドシールド11、エンジンルーム10、フードパネル20、カウルカバー13、一対のピラー12、及び一対のフェンダパネル50が設けられている。また、車両の前部には、シール部材60、センターシール90、及び一対のサイドシール91が設けられている。
【0020】
一対のピラー12及びフードパネル20によって囲まれた部分に、ウィンドシールド11が取り付けられている。
<エンジンルーム10>
図1に示すように、エンジンルーム10は、ウィンドシールド11の前方に位置するとともに上部開口10aを有する。エンジンルーム10内には、図示しないエンジンが収容されている。
【0021】
<フードパネル20>
図1及び図2に示すように、フードパネル20は、上部開口10aを開閉可能に構成されており、車両の上部の外面を構成する。フードパネル20は、所謂後側ヒンジ式であり、フードパネル20の後端部の内面と車体とを連結する図示しない一対のヒンジによって、車幅方向Wに延在する軸線を中心に回動可能に連結されている。
【0022】
フードパネル20は、フードパネル20の上面を構成する上壁部21と、車幅方向Wにおける上壁部21の両側縁から下方に延びる一対の側壁部25とを有している。側壁部25は、車幅方向Wの外側ほど下側に位置するように延びている。
【0023】
<フェンダパネル50>
図2に示すように、フェンダパネル50は、車両の外側壁を構成するフェンダパネル本体51と、フェンダパネル本体51の上部に取り付けられたシール支持部材52とを有している。
【0024】
フェンダパネル本体51は、フードパネル20の側壁部25の外縁25aと対向する対向縁51aを有する。
シール支持部材52は、側壁部25により上側及び外側から覆われている。シール支持部材52は、フェンダパネル本体51の対向縁51aのうち前後方向Lに沿って延びる部分51bから内側に延びる第1面部53、第1面部53の内縁から上側に延びる第1側面部54、及び第1側面部54の上縁から内側に延びる第2面部55を有する。シール支持部材52は、第2面部55の内縁から上側に延びる第2側面部56、及び第2側面部56の上縁から内側に延びる第3面部57を有する。
【0025】
第3面部57は、上部開口10aの内側縁57aを形成する。
第1面部53及び第2面部55の後側には、後側ほど上側且つ内側に位置するように傾斜して延びる傾斜面部58が設けられている。傾斜面部58は、第1面部53及び第2面部55に連なっている。
【0026】
第3面部57には、前後方向Lに沿って延びるサイドシール91が支持されている。サイドシール91は、例えばゴム製である。
図8に示すように、第3面部57の後端部の後縁及び内縁には、上方に延びる立壁部59が設けられている。
【0027】
<カウルカバー13>
図1に示すように、カウルカバー13は、前後方向Lにおいてウィンドシールド11と上部開口10aとの間に位置している。すなわち、カウルカバー13は、フードパネル20の後側に隣接して配置されている。
【0028】
カウルカバー13は、車幅方向Wにおける中央に位置するメインカウルカバー30と、車幅方向Wにおいてメインカウルカバー30の両側に隣接して配置される一対のサイドカウルカバー40とを備える。メインカウルカバー30及び一対のサイドカウルカバー40は、いずれも硬質樹脂製である。
【0029】
メインカウルカバー30の上面の前縁部分には、車幅方向Wに沿って延びるセンターシール90が支持されている。センターシール90は、メインカウルカバー30とフードパネル20の上壁部21との間の隙間をシールする。センターシール90は、ゴム製である。センターシール90は、車幅方向Wにおいてメインカウルカバー30の全体にわたって延びている。
【0030】
図2及び図3に示すように、サイドカウルカバー40は、上壁部41と、車幅方向Wにおける上壁部41の両側縁から下方に延びる一対の側壁部45とを有している。
上壁部41は、サイドカウルカバー40の上面を構成する部分であり、フードパネル20の上壁部21の後側に隣接している。本実施形態では、上壁部41は、メインカウルカバー30とともにカウルカバー13の上面を構成している(図1参照)。上壁部41は、上壁部本体41aと、上壁部本体41aの前縁から前方に延びる傾斜壁部41bとを有する。傾斜壁部41bは、前側ほど下方に位置するように傾斜している。
【0031】
前後方向Lにおける上壁部41とフードパネル20の上壁部21との間には、隙間S2が設けられている(図5参照)。
図3及び図5に示すように、傾斜壁部41bは、複数(本実施形態では4つ)の爪部48を有している。複数の爪部48は、傾斜壁部41bの前縁から下方に突出している。複数の爪部48は、車幅方向Wにおいて互いに間隔をあけて配置されている。
【0032】
側壁部45は、サイドカウルカバー40の側面を構成する部分であり、フードパネル20の側壁部25の後側に隣接している(図6参照)。
図3及び図6に示すように、側壁部45は、側壁部本体45aと、側壁部本体45aの前縁から前方に延びる湾曲壁部45bとを有する。湾曲壁部45bは、車幅方向Wの外側ほど後側に位置するように湾曲して延びている。
【0033】
側壁部本体45aの下縁には、車体に対して取り付けられる図示しない取付部が設けられている。
前後方向Lにおける側壁部45とフードパネル20の側壁部25との間には、隙間S1が設けられている(図6参照)。
【0034】
<シール部材60>
図2及び図3に示すように、シール部材60は、サイドカウルカバー40とフードパネル20との間の隙間をシールするものである。シール部材60は、サイドカウルカバー40の前縁に複数の爪部48を介して取り付けられている。
【0035】
シール部材60は、第1シール部70と第2シール部80とを有している。
(第2シール部80)
まず、第2シール部80について説明する。
【0036】
図2に示すように、第2シール部80は、フードパネル20の上壁部21とサイドカウルカバー40の上壁部41との間に位置するとともに、上壁部21に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分である先端部82bを有する。
【0037】
第2シール部80は、車幅方向Wに延びるとともに上方に開口する第2溝部89を有する。第2溝部89は、車幅方向Wの外側ほど下方に位置している。
図5に示すように、第2シール部80は、車幅方向Wに沿って延びる底壁部81と、底壁部81の後縁から起立する後壁部83と、底壁部81の前縁から上方に起立する前壁部82とを有している。底壁部81、後壁部83、及び前壁部82によって上記第2溝部89が形成されている。
【0038】
底壁部81には、複数の爪部48がそれぞれ挿通される複数の貫通孔88が、車幅方向Wにおいて互いに間隔をあけて配置されている(図3及び図4参照)。爪部48の先端部を熱かしめすることによって、シール部材60がサイドカウルカバー40に取り付けられている。
【0039】
後壁部83は、サイドカウルカバー40の上壁部41の内面に沿って延びるとともに、上壁部41の内面に当接されている。
前壁部82は、基端部82aと、基端部82aから上方に延びる先端部82bとを有する。先端部82bは、フードパネル20によって押圧されていない自然状態において、上側ほど前方に位置するように傾斜している。先端部82bは、上部開口10aを覆っている状態のフードパネル20によって押圧されることで、上壁部21の内面に沿うように撓み変形する。
【0040】
第2溝部89における車幅方向Wの外側の端部には、第2溝部89を通じた雨水など液水の排出に際して当該液水の移動を規制する規制部89aが設けられている(図4参照)。規制部89aは、前壁部82及び底壁部81のうちの前側の部分から突出している。規制部89aの上縁は、後側ほど下方に位置するように傾斜している。
【0041】
(第1シール部70)
次に、第1シール部70について説明する。
図2に示すように、第1シール部70は、フードパネル20の側壁部25とサイドカウルカバー40の側壁部45との間の隙間S1をシールする。
【0042】
第1シール部70は、側壁部25の後縁部25bに沿って延びるとともに、側壁部25に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分74aを有する。
第1シール部70は、第2シール部80の車幅方向Wの外側の端から車幅方向Wの外側に向かって延びている。詳しくは、第1シール部70は、車幅方向Wの外側ほど下側に位置するように延びている。第1シール部70は、第2溝部89に接続され、車幅方向Wの外側に開口する第1溝部79を有する。第1溝部79は、下方、より詳しくは車幅方向Wの外側ほど下側に位置するように延びている。
【0043】
図6に示すように、第1シール部70は、側壁部45に沿って延びる後壁部71と、後壁部71の前縁から前側に延びるとともに側壁部25に沿って延びる前壁部72とを有している。
【0044】
後壁部71は、後側ほど車幅方向Wの外側に位置するように傾斜している。
前壁部72は、前側ほど車幅方向Wの外側に位置するように傾斜している。
図3及び図6に示すように、前壁部72は、第2シール部80に接続される基端部73と、基端部73から前側に延びる先端部74とを有する。先端部74が、側壁部25に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分74aを有している。
【0045】
図7及び図8に示すように、第1シール部70は、第1溝部79の車幅方向Wの外側の端から下方に延びるとともに第3面部57を指向するガイド部75を有している。ガイド部75は、シール支持部材52の第3面部57の内側縁57a及び立壁部59よりも車幅方向Wの外側に位置している。
【0046】
なお、本実施形態において、エンジンルーム10が本発明に係る前部ルームに相当する。また、本実施形態において、フードパネル20の上壁部21が本発明に係るフード上壁部に相当するとともに、フードパネル20の側壁部25が本発明に係るフード側壁部に相当する。また、本実施形態において、サイドカウルカバー40の上壁部41が本発明に係るカウル上壁部に相当するとともに、サイドカウルカバー40の側壁部45が本発明に係るカウル側壁部に相当する。また、本実施形態において、第3面部57が本発明に係る上面部に相当する。
【0047】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2及び図6に示すように、フードパネル20によってエンジンルーム10の上部開口10aが閉じられると、シール部材60が弾性変形した状態でフードパネル20の側壁部25に押し当てられる。これにより、シール部材60の密着性を高めつつ、シール部材60によって側壁部25と側壁部45との間の隙間S1をシールすることができる。
【0048】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)第1シール部70は、側壁部25の後縁部25bに沿って延びるとともに、側壁部25に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分74aを有している。
【0049】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、側壁部25と側壁部45との間のシール性を高めることができる。
(2)シール部材60は、上壁部21と上壁部41との間に位置するとともに、側壁部25に対して弾性変形した状態で押し当てられる部分である先端部82bを有する第2シール部80を更に有している。
【0050】
こうした構成によれば、フードパネル20によってエンジンルーム10の上部開口10aが閉じられると、シール部材60の第2シール部80が弾性変形した状態でフードパネル20の上壁部21に押し当てられる。これにより、シール部材60の密着性を高めつつ、シール部材60によって上壁部21と上壁部41との間の隙間S2をシールすることができる。また、第2シール部80が、第1シール部70の上端から車幅方向Wにおける内側に向かって延びているので、第1シール部70と第2シール部80との間には切れ目がない。したがって、側壁部25と側壁部45との間及び上壁部21と上壁部41との間双方についてシール性を高めることができる。
【0051】
(3)第2シール部80は、車幅方向Wに延びるとともに上方に開口する第2溝部89を有している。第1シール部70は、第2溝部89に接続され、下方に延びるとともに車幅方向Wの外側に開口する第1溝部79を有している。
【0052】
上記構成によれば、図2の矢印にて示すように、上壁部41の上面を伝って前方に移動する液水が、第2溝部89及び第1溝部79の順に移動し、第1溝部79を通じて車両の側面へと移動するようになる。したがって、シール部材60による排水性を高めることができる。
【0053】
(4)第1シール部70は、第1溝部79の車幅方向Wの外側の端から下方に延びるとともに第3面部57を指向するガイド部75を有している。
上記構成によれば、図8の矢印にて示すように、第1溝部79内を第1シール部70の車幅方向Wの外側の端まで移動してきた液水が、ガイド部75を伝ってフェンダパネル50の第3面部57に落下する。これにより、エンジンルーム10の内部へ液水が流入することを抑制することができる。
【0054】
(5)シール部材60は、カウルカバー13に取り付けられている。
こうした構成によれば、シール部材60がフードパネル20に取り付けられる場合に比べて、フードパネル20の構成を簡単にすることができる。さらに、シール部材60がフードパネル20に取り付けられる場合に比べて、シール部材60が取り付けられることに起因してフードパネル20の外観が損なわれることを抑制できる。
【0055】
(6)第2溝部89における車幅方向Wの外側の端部には、規制部89aが設けられている。第2溝部89を通じて車幅方向Wの外側へと移動する液水は、規制部89aによってその移動が規制されることで、第1シール部70の前側、すなわち第1シール部70とフードパネル20との間からエンジンルーム10へ一層浸入しにくくなる。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ガイド部75を省略してもよい。
【0057】
・第1溝部79及び第2溝部89を省略してもよい。
・本実施形態では、シール部材60が、第1シール部70及び第2シール部80を備えるものについて例示したが、これに限られない。シール部材60は、第2シール部80を備えていないものであってもよい。シール部材60とは別体であり、第2シール部80に相当する部材を設けるようにしてもよい。この場合、第1シール部70と第2シール部80に相当する部材とを隙間無く配置すればよい。
【0058】
・第2シール部80を省略してもよい。
・シール部材は、フードパネル20に取り付けられるとともに、サイドカウルカバー40の外面に対して弾性変形した状態で押し当てられていてもよい。
【0059】
・本実施形態では、メインカウルカバー30及びサイドカウルカバー40によってカウルカバー13を分割して構成するようにしたが、メインカウルカバー30及びサイドカウルカバー40は一体であってもよい。この場合、センターシール90とシール部材60とが一体に形成されていてもよい。
【0060】
・前部ルームはエンジンを収容するエンジンルーム10に限定されず、荷物入れなどであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…エンジンルーム
10a…上部開口
11…ウィンドシールド
12…ピラー
13…カウルカバー
20…フードパネル
21…上壁部(フード上壁部)
25…側壁部(フード側壁部)
25a…外縁
25b…後縁部
30…メインカウルカバー
40…サイドカウルカバー
41…上壁部(カウル上壁部)
41a…上壁部本体
41b…傾斜壁部
45…側壁部(カウル側壁部)
45a…側壁部本体
45b…湾曲壁部
48…爪部
50…フェンダパネル
51…フェンダパネル本体
51a…対向縁
51b…部分
52…シール支持部材
53…第1面部
54…第1側面部
55…第2面部
56…第2側面部
57…第3面部
57a…内側縁
58…傾斜面部
59…立壁部
60…シール部材
70…第1シール部
71…後壁部
72…前壁部
73…基端部
74…先端部
74a…部分
75…ガイド部
79…第1溝部
80…第2シール部
81…底壁部
82…前壁部
82a…基端部
82b…先端部
83…後壁部
88…貫通孔
89…第2溝部
89a…規制部
90…センターシール
91…サイドシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8