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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151493
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】印刷管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241018BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20241018BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 339
G06F3/12 385
G06F3/12 373
G06F21/31
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064868
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】正木 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤志
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AR01
2C061AR03
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA14
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE03
(57)【要約】
【課題】ネットワーク上のセキュリティーに関するリスクを低減でき、またネットワークの通信品質を向上できる印刷管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザーUが利用する端末10と、ユーザーUの指定する印刷文書情報Dの印刷を実行する印刷装置20と、ユーザーUから要求を受け付けて、印刷に関するサービスを行うためのサーバー装置30とを備える印刷管理システム100である。サーバー装置30は、第1のネットワーク1を介して端末および印刷装置20と通信可能に接続される。印刷装置20は、サーバー装置30からサービスの利用が許可された後に、端末10との間で第2のネットワーク2を介して通信可能に接続され、第2のネットワーク2を通じて端末10から印刷文書情報Dを受信し、印刷文書情報Dを印刷媒体に印刷する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが利用する端末と、
前記ユーザーが利用し前記ユーザーの指定する印刷文書情報の印刷を実行する印刷装置と、
前記ユーザーから要求を受け付けて、印刷に関するサービスを行うためのサーバー装置と
を備える印刷管理システムであって、
前記サーバー装置は、第1のネットワークを介して前記端末および前記印刷装置と通信可能に接続され、
前記印刷装置は、
前記サーバー装置から前記サービスの利用が許可された後に、前記端末との間で第2のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記第2のネットワークを通じて前記端末から前記印刷文書情報を受信し、
前記印刷文書情報を印刷媒体に印刷する、印刷管理システム。
【請求項2】
前記サーバー装置は、
前記ユーザーが、予め登録された登録ユーザーであるか否かについて確認し、前記登録ユーザーであることの認証を与える認証部と、
前記認証を得た前記ユーザーが利用する前記印刷装置および前記端末が予め登録された登録装置であるか否かについて確認し、前記印刷装置および前記端末が前記登録装置である場合に、前記印刷装置および前記端末に対して前記サービスの利用の許可として認可を与える認可部と
を備え、
前記印刷装置は、前記印刷装置および前記端末が前記認可を得た後に、前記端末と前記第2のネットワークを介して通信可能に接続される、請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項3】
前記サーバー装置は、前記印刷装置および/または前記端末に認可情報を送信する認可情報送信部を備え、
前記認可情報送信部は、前記印刷装置および/または前記端末に前記認可を与えるときに、前記認可情報を送信し、
前記印刷装置および/または前記端末は、
前記認可情報を受信したときに、受信した前記認可情報を保存する認可情報保存部を備え、
前記認可情報保存部に既に前記認可情報が保存されているときは、前記認可情報の将来における再利用が可能である、請求項2に記載の印刷管理システム。
【請求項4】
前記サーバー装置は、
前記認可を得た前記端末から、前記印刷文書情報の印刷をどのように実行するかについての情報および前記印刷文書情報を特定する情報を含む印刷設定に関する情報である印刷設定情報を受信し、
前記認可を得た前記印刷装置からの要求に応じて前記印刷設定情報を前記印刷装置に送信する印刷設定情報送受信部を備え、
前記印刷装置は、受信した前記印刷設定情報の内容に基づいて前記印刷文書情報を前記印刷媒体に印刷する、請求項2または請求項3に記載の印刷管理システム。
【請求項5】
前記印刷設定情報は、前記印刷文書情報の印刷をどのように実行するかについての情報として、前記印刷媒体のサイズ、両面印刷の要否およびカラー印刷の要否に関する情報の少なくとも一つを含む情報である、請求項4に記載の印刷管理システム。
【請求項6】
前記印刷設定情報送受信部は、
前記端末から受信した前記印刷設定情報に、前記印刷装置が、前記端末を識別することができる識別情報を追加し、
前記印刷装置からの要求に応じて前記識別情報が追加された前記印刷設定情報を前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
前記印刷設定情報の前記識別情報を用いて前記端末との間で前記第2のネットワークを構成し、
前記第2のネットワークを介して通信する、請求項5に記載の印刷管理システム。
【請求項7】
前記印刷装置は、前記印刷文書情報とは別に前記ユーザーが指定する、他の前記印刷文書情報に関する他の前記印刷設定情報を含む、複数の前記印刷設定情報に基づいて、複数の前記印刷設定情報に対応する複数の前記印刷文書情報の印刷を実行する、請求項6に記載の印刷管理システム。
【請求項8】
前記印刷装置は、前記印刷文書情報の印刷が完了したときに印刷完了通知を前記サーバー装置に送信する完了通知送信部を備え、
前記サーバー装置は、前記ユーザーの印刷操作の経費に関する情報である課金情報を管理する課金情報管理部を備え、
前記課金情報管理部は、前記サーバー装置が前記印刷完了通知を受信したときに前記ユーザーの前記課金情報を更新する、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の印刷管理システム。
【請求項9】
前記完了通知送信部は、前記印刷文書情報の印刷が完了したときに、前記印刷完了通知を前記端末に送信し、
前記端末は、前記印刷完了通知を受信したとき前記第2のネットワークからの接続を切断される、または前記第2のネットワークからの接続を切断する、請求項8に記載の印刷管理システム。
【請求項10】
前記端末は、前記印刷完了通知を受信したとき前記端末に保存されている前記印刷文書情報が削除される、請求項9に記載の印刷管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のクラウド印刷システムは、文書などの印刷に関する管理を、クラウドに設置したサーバー装置で行う。印刷の対象となる文書情報は、ユーザーの利用する端末からサーバー装置を介して印刷装置に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-001787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の発明では、文書情報はユーザーが所属する組織内におけるローカルネットワークの外に通信される。よって、文書情報の機密性が高い場合には、セキュリティー上の懸念がある。また、文書情報のデータ容量が大きい場合には、ネットワークの回線負荷が増大し、通信速度などの通信品質が低下する懸念がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、サーバー装置がネットワークを介して提供する、文書情報の印刷に関するサービスにおいて、ネットワーク上のセキュリティーに関するリスクを低減でき、また、ネットワークの通信品質を向上できる、印刷管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、印刷管理システムは、ユーザーが利用する端末と、前記ユーザーが利用し前記ユーザーの指定する印刷文書情報の印刷を実行する印刷装置と、前記ユーザーから要求を受け付けて、印刷に関するサービスを行うためのサーバー装置とを備える印刷管理システムであって、前記サーバー装置は、第1のネットワークを介して前記端末および前記印刷装置と通信可能に接続され、前記印刷装置は、前記サーバー装置から前記サービスの利用が許可された後に、前記端末との間で第2のネットワークを介して通信可能に接続され、前記第2のネットワークを通じて前記端末から前記印刷文書情報を受信し、前記印刷文書情報を印刷媒体に印刷するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ネットワーク上における文書情報のセキュリティーに関するリスクが低減する。また、ネットワークの通信品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る印刷管理システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2】同印刷管理システムの全体の処理の内容を示すフローチャートである。
図3】同印刷管理システムにおける印刷認可処理の内容を示すフローチャートである。
図4】同印刷管理システムにおける出力認可処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分については、同一の参照符号を付すことで、説明を繰り返さない。
【0010】
[印刷管理システムの構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る印刷管理システム100の構成について説明する。図1は、印刷管理システム100の構成を模式的に示すブロック図である。
【0011】
図1より、印刷管理システム100は、ユーザーUが利用する端末(以下、ユーザー端末10と称する)、印刷装置20およびサーバー装置30を備える。ユーザーUが利用する装置である印刷装置20は、ユーザーUの指定する文書に関する情報である印刷文書情報Dの印刷を実行する。サーバー装置30は、ユーザーUからの要求を受け付けて、印刷に関するサービス(以下、印刷サービスと称する)を行う。
【0012】
印刷サービスは、組織内の個別のローカルネットワークのポリシーに拠らず、ユーザーUからの要求を受け付けて印刷文書情報Dの印刷を実行し得るものである。また、印刷サービスは、印刷を実行した個々の印刷操作の履歴を記録および管理するものである。
【0013】
サーバー装置30は、第1のネットワーク1を介してユーザー端末10および印刷装置20と通信可能に接続されている。また、詳しくは後述するが、印刷装置20は、サーバー装置30から印刷サービスの利用が許可された後に、ユーザー端末10との間で第2のネットワーク2を介して通信可能に接続される。
【0014】
印刷管理システム100は、印刷要求およびサービスの利用許可に関する情報は第1のネットワーク1により、サーバー装置30へ送信する。一方で、印刷対象の実体的なデータである印刷文書情報Dは、第1のネットワーク1とは別に構築した第2のネットワーク2を介して、ユーザー端末10と印刷装置20との間で直接に通信される。
【0015】
したがって、印刷文書情報DはユーザーUが所属する組織内におけるローカルネットワークの外に通信されないので、ネットワーク上における文書情報のセキュリティーに関するリスクが低減する。また、印刷文書情報Dのデータ容量が大きい場合であっても印刷文書情報Dはサーバー装置30へ送信されないため、ネットワークの回線負荷に影響を与えない。従って、ネットワークの通信品質を向上できる。
【0016】
第1のネットワーク1は、具体的には、ユーザー端末10および印刷装置20が、接続可能なインターネットである。より具体的には、印刷装置20は、組織内において、印刷装置20を管理する拠点におけるローカルネットワークを介して、ユーザー端末10は、ユーザー端末10を管理する拠点におけるローカルネットワークを介して、第1のネットワークに接続可能である。または、例えばユーザーUが、組織内において、ユーザーUが所属する拠点とは異なる拠点に出張しているときは、ユーザー端末10は、出張先におけるゲスト専用ネットワークなどを介して第1のネットワークに接続可能である。
【0017】
また、第2のネットワーク2は、第1のネットワーク1とは別のネットワークであり、典型的には、印刷装置20をアクセスポイント(親機)として接続する無線LAN(Wi-Fi(登録商標))や、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークである。
【0018】
ユーザー端末10は、典型的には組織内におけるユーザーUの所属する拠点で管理されているパーソナルコンピューターである。同様に管理されていればタブレット端末などでも良い。ユーザーUは印刷サービスを利用して印刷する文書の実体的なデータである印刷文書情報Dをユーザー端末10に保存する。
【0019】
ユーザーUは、サーバー装置30に印刷文書情報Dの印刷設定に関する情報である印刷設定情報Sを送信(図1の破線3)する。サーバー装置30は、印刷装置20からの求めに応じて印刷設定情報Sを印刷装置20に送信(図1の破線4)する。また、ユーザー端末10は、詳しくは後述するが、印刷文書情報Dを印刷装置20に送信(図1の破線5)する。しかし、ユーザー端末10は、サーバー装置30には印刷文書情報Dを送信しない。
【0020】
なお、印刷設定情報Sは、詳細には印刷文書情報Dを特定するための情報(例えば印刷対象文書の保存先や文書名などに関する情報)および印刷文書情報Dの印刷をどのように実行するかについての情報(例えば印刷における印刷媒体のサイズ、両面印刷の要否、カラー印刷の要否など)である。したがって、印刷対象の実体的なデータである印刷文書情報Dについての情報は、ユーザー端末10からサーバー装置30に送信されない。
【0021】
印刷装置20は、ユーザーUが指定する印刷文書情報Dを印刷媒体に印刷する。印刷装置20は、典型的にはイーサネット(登録商標)、無線LAN(Wi-Fiなどの無線通信)などローカルネットワークに接続するための機能を内蔵したネットワークプリンター、MFP(Multifunction Peripheral:複合機)などである。本実施形態では、印刷装置20の指定はユーザーUが行うが、例えばサーバー装置30から利用可能な複数の印刷装置20が端末を介して提案され、ユーザーUがその中から選択するというように構成されても良い。
【0022】
サーバー装置30は、ユーザー端末10から印刷サービスの実行に対する要求を受け付け、印刷サービスをユーザーUに提供するコンピューターである。
【0023】
サーバー装置30は、複数のユニットから構成される。具体的にはサーバー装置30は、ユニットとして、認証部31、認可部32、認可情報送信部33、印刷設定情報送受信部34、課金情報管理部35を備えている。また、各ユニットを制御するサーバー制御部36および第1のネットワーク1に接続されたサーバー通信部37を備えている。
【0024】
認証部31および認可部32は、ユーザーU、ユーザー端末10および印刷装置20が印刷サービスを受けることができるか否かを確認するプロセスを行う。
【0025】
認証部31は、具体的にはユーザーUが、予め登録された登録ユーザーであるか否かについて照合を行い、登録ユーザーであることを確認できれば登録ユーザーであることの認証を与える。
【0026】
認可部32は、認証を得たユーザーUが利用する印刷装置20およびユーザー端末10が予め登録された登録装置であるか否かについて照合し、印刷装置20およびユーザー端末10が登録装置であることを確認できれば印刷装置20およびユーザー端末10に対して印刷サービスの利用の許可として認可を与える。
【0027】
したがって、印刷管理システム100は、サーバー装置30による認証および認可が付与された後で、ユーザー端末10と印刷装置20とが、第2のネットワークを介して通信可能となるように構成することができるので、セキュリティー上のリスクを低減することができる。
【0028】
登録ユーザーとは、サーバー装置30にアクセス可能であり、印刷サービスを利用する権限を有するものとして、印刷サービスまたはサーバー装置30の管理者が定める特定のユーザーである。登録ユーザーは、サーバー装置30にアクセスして印刷サービスを利用する権限を有することを証明するための認証情報を管理者から付与されるか、またはユーザーU自身で認証情報を事前に登録する。登録ユーザーは、認証部31が備える登録ユーザー管理テーブルT31に認証情報とともに登録される。
【0029】
認証部31における照合は、具体的にはユーザーUによって入力された認証情報と、認証部31が備える登録ユーザー管理テーブルT31を照合することにより行われる。より具体的には、登録ユーザー管理テーブルT31を制御するデータベース(不図示)上で、登録ユーザー管理テーブルT31に対して、入力された認証情報に紐づけられた登録ユーザーが存在するか否かをサーバー制御部36がSQLクエリなどによって検索を行う。
【0030】
認証情報の入力は、本実施形態ではユーザーUがユーザー端末10上で入力することで行う。すなわち、ユーザー端末10の画面上に印刷サービスへの認証画面などが表示されて、ユーザーUはキーボードなどで認証情報の入力を行う。なお、認証情報の入力は、認証情報が記録されたRFIDタグ(近距離無線通信により情報の書き込み・読み取り・消去が可能な電子タグ)を備えたICカードを、カードリーダーで読み込ませるなどして行われても良い。
【0031】
予め登録された登録装置とは、サーバー装置30にアクセス可能であり、印刷サービスを利用する権限を有する装置として、印刷サービスまたはサーバー装置30の管理者が定める特定の装置である。登録装置は、認証部31が備える登録装置管理テーブルT32に登録装置を識別する情報(例えば登録装置のIPアドレスなど)とともに登録される。
【0032】
認可部32における照合は、具体的には認可を受ける装置の識別情報と、認可部32における登録装置管理テーブルT32を照合することにより行う。より具体的には、登録装置管理テーブルT32を制御するデータベース(不図示)上で登録装置管理テーブルT32に対して、登録装置と紐づけられた識別情報が存在するか否かをサーバー制御部36がSQLクエリなどによって検索を行う。
【0033】
認可情報送信部33は、認可部32が認可を要求する装置(ユーザー端末10および印刷装置20)に認可を与える場合に、その装置に認可情報を送信するユニットである。認可情報は印刷装置20が備える認可情報保存部22およびユーザー端末10が備える端末認可情報保存部12に各々保存される。
【0034】
したがって、認可情報が認可情報保存部22、端末認可情報保存部12に既に保存されている場合は、認可情報を再利用することであらためてサーバー装置30に認可を要求しないように構成することができる。認可情報が再利用できる場合の詳細については後述する。
【0035】
印刷設定情報送受信部34は、ユーザーUが設定した印刷設定情報Sをユーザー端末10および利用する印刷装置20との間で送受信処理するユニットである。詳しくは後述するが、印刷設定情報送受信部34は、ユーザーUから送信された印刷文書情報Dを、印刷装置20からの求めに応じて、印刷装置20に送信する。
【0036】
印刷装置20は、印刷設定情報送受信部34から受信した印刷設定情報Sの内容に基づいて印刷文書情報Dを印刷媒体に印刷する。したがって、印刷管理システム100は、印刷対象の実体的なデータである印刷文書情報Dはサーバー装置に送信されないので、セキュリティー上のリスクを低減することができる。
【0037】
なお、印刷設定情報送受信部34は、ユーザー端末10および印刷装置20を識別する識別情報(例えばIPアドレスなど)を印刷設定情報Sに追記した後に印刷装置20に送信するものとして構成されても良い。印刷設定情報Sに識別情報が追記されると、印刷装置20は、ユーザー端末10を識別することが可能となる。したがって、ユーザー端末10と印刷装置20との間のネットワーク接続を印刷装置20側から設定することが可能となる。
【0038】
さらに、印刷設定情報送受信部34は、既に認可部32が認可を付与した印刷装置20に対して、定期的に印刷設定情報Sを送信するものとして構成されても良い。または印刷装置20側から定期的に印刷設定情報Sを送信するように要求させて、それに対応して定期的に印刷設定情報Sを送信されるものとして構成されても良い。
【0039】
また、印刷設定情報送受信部34は、印刷文書情報Dとは別にユーザーUが指定する、他の印刷文書情報Dに関する他の印刷設定情報Sを含む、複数の印刷設定情報Sを印刷装置20に送付されるように構成されても良い。
【0040】
課金情報管理部35は、ユーザーUが実行した印刷操作に対する費用を請求するために必要な情報を管理し、印刷の実行が終了した段階で情報更新を行うユニットである。具体的には、課金情報管理部35は、課金情報管理テーブルT35を備えており、課金情報管理テーブルT35の情報更新を行う。
【0041】
課金情報管理テーブルT35は、ユーザー端末10および印刷装置20の識別情報と、印刷設定情報Sに基づいてユーザーUが実行した印刷操作の内容から費用請求に必要となる情報(例えば、カラー印刷の枚数など)が抽出された情報を含む。
【0042】
サーバー制御部36は、上述のユニット間における情報処理や各ユニットとの通信について制御するユニットである。具体的には後述するフローチャートに沿って情報処理や各ユニットとの通信が実行されるように構成されたソフトウェアを実行するユニットである。
【0043】
サーバー通信部37は、ユーザー端末10および印刷装置20と第1のネットワーク1を介して通信可能に接続されるユニットである。
【0044】
印刷装置20も、複数のユニットから構成される。具体的には印刷装置20は、ユニットとして、認可情報保存部22、完了通知送信部24を備えている。また、各ユニットを制御する印刷装置制御部26、第1のネットワーク1および第2のネットワーク2に接続された印刷装置通信部28を備えている。
【0045】
認可情報保存部22は、サーバー装置30から認可が付与されたときに送信される認可情報を保存するユニットである。認証を得たユーザーUが指定する印刷装置20が、過去に認可を付与された履歴がある場合、認可情報保存部22に保存された認可情報を再利用する。
【0046】
完了通知送信部24は、ユーザーUから要求のあった印刷が全て完了したときに、サーバー装置30およびユーザー端末10に完了通知を送信するユニットである。サーバー装置30およびユーザー端末10は完了通知を受信したことを契機にその後の処理が実行されるように構成することができる。
【0047】
印刷装置通信部28は、第1のネットワーク1を介してサーバー装置30と通信可能に接続され、第2のネットワーク2を介してユーザー端末10と通信可能に接続される。第2のネットワーク2は、詳しくは後述するが、端末および印刷装置20が認可情報を取得した後に通信可能に接続される。
【0048】
印刷装置制御部26は、各ユニットが後述のフローチャートに沿って処理を実行することができるように構成されたソフトウェアを実行するユニットである。
【0049】
ユーザー端末10は、端末認可情報保存部12、端末制御部14、第1のネットワーク1および第2のネットワーク2と通信可能に接続される端末通信部16を備える。
【0050】
認可情報保存部22は、上述の印刷装置20の場合と同様に、サーバー装置30から認可を付与される際に送信される認可情報を保存し、必要に応じて認可情報を再利用するユニットである。
【0051】
端末通信部16は、第1のネットワーク1を介してサーバー装置30と通信可能に接続され、第2のネットワーク2を介して印刷装置20と通信可能に接続される。第2のネットワーク2を介した印刷装置20との接続は、ユーザーUが端末側で設定しても良いし、印刷設定情報Sを受信した印刷装置20が、印刷設定情報Sから端末の識別情報を取得し、印刷装置20側で設定するように構成されても良い。
【0052】
[印刷管理システムの処理の流れ]
次に、図2を参照して、サーバー装置30がユーザー端末10から印刷サービスの要求を受け付け、印刷装置20により印刷が実行されるまでの処理の全体的な流れについてフローチャートに沿って説明する。なお、図2における印刷認可処理(ステップS32)および出力認可処理(ステップS35)については図3および図4を参照して図2の説明の後に詳述する。
【0053】
ユーザー端末10は、サーバー装置30に印刷に対する認可(以下、印刷認可)を要求する(ステップS11)。なお、過去に印刷認可を得ており、それが有効な場合は改めて印刷認可を得る必要はない。そこで、ユーザー端末10は、過去の印刷認可に対応する認可情報がユーザー端末10に保存されているか確認する。そして、認可情報が保存されており、その認可情報がサーバー装置30によって無効とされていない場合、ユーザー端末10は改めてサーバー装置30に印刷認可を要求せず、保存されている認可情報を再利用する(ステップS11)。
【0054】
サーバー装置30は、ステップS31にてユーザー端末10からの要求を受け付ける。要求を受けたサーバー装置30は、ユーザー端末10に印刷認可を付与できるか確認する(ステップS32)。そして、印刷認可を付与できることが確認された場合(ステップS32でYES)、ユーザーUはサーバー装置30に印刷設定情報Sを送信し(ステップS12)、サーバー装置30は印刷設定情報Sを受信する(ステップS33)。
【0055】
なお、サーバー装置30は、印刷設定情報Sを受信した後、印刷サービスを要求してきたユーザー端末10の識別情報(例えばIPアドレス)を印刷設定情報Sに追記しても良い。識別情報を印刷設定情報Sに追記することで、印刷装置20がユーザー端末10を識別することができるため、印刷装置20側から第2のネットワーク2を接続するように構成することができる。
【0056】
印刷装置20は、ユーザーUの操作により印刷出力をするために、サーバー装置30に印刷出力に対する認可(以下、出力認可)を要求する(ステップS21)。なお、過去に出力認可を得ており、それが有効な場合は改めて出力認可を得る必要はない。そこで、印刷装置20は、過去の出力認可に対応する認可情報が印刷装置20に保存されているか確認する。そして、認可情報が保存されており、その認可情報がサーバー装置30によって無効とされていない場合、印刷装置20は改めてサーバー装置30に出力認可を要求せず、保存されている認可情報を再利用する(ステップS21)。
【0057】
要求を受けたサーバー装置30は、出力認可を付与できるか確認する(ステップS35)。そして、出力認可を付与する場合(ステップS35でYES)、サーバーは印刷設定情報Sを送信して(ステップS36)、印刷装置20は印刷設定情報Sを受信する(ステップS22)。
【0058】
次にユーザー端末10と印刷装置20とを第2のネットワーク2を介して通信可能に接続する。本実施形態では、接続の設定はユーザー端末10側で行う(ステップS13、S23)。なお、印刷設定情報Sにユーザー端末10の識別情報が記載されている場合、印刷装置20側で接続設定するように構成されても良い。
【0059】
第2のネットワーク2による接続がなされた後に、ユーザー端末10から印刷文書情報Dが印刷装置20に送信され(ステップS14)、印刷装置20は印刷文書情報Dを受信する(ステップS24)。印刷設定情報Sに含まれる印刷文書情報Dを特定する情報は、具体的にはユーザー端末10における印刷文書情報Dのアドレスである。印刷装置20は印刷設定情報Sに含まれるアドレスを用いて印刷文書情報Dを特定する。
【0060】
印刷装置20は、取得した印刷文書情報Dを印刷設定情報Sに記載された印刷設定に基づいて、印刷媒体に印刷する(ステップS25)。そして、印刷が完了した後、サーバー装置30およびユーザー端末10に印刷完了通知を送信し(ステップS26)、サーバー装置30およびユーザー端末10は印刷完了通知を受信する(ステップS37、S15)。印刷装置20は、完了通知の送信後、次の印刷が実行されるまで待機する(END)。
【0061】
また、印刷装置20は、印刷文書情報Dが、印刷文書情報Dとは別にユーザーUが指定する、他の印刷文書情報Dに関する他の印刷設定情報Sを含む、複数の印刷設定情報Sである場合、印刷装置20は、複数の印刷設定情報Sに対応する複数の印刷文書情報Dの印刷を行うように構成されても良い。
【0062】
したがって、印刷管理システム100は、複数の印刷要求に対して連続して印刷を実行することができるので、印刷を効率的に行うことができる。この場合、さらにユーザーUが複数の印刷文書情報Dの中から印刷する印刷文書情報Dを選択するように構成されても良い。
【0063】
サーバー装置30は、印刷完了通知の受信を契機として、課金情報管理テーブルT35を更新する(ステップS38)。したがって、印刷管理システム100は、印刷が終了するたび、課金情報管理テーブルT35を更新するので、ユーザーUの印刷操作の経費に関する情報を最新の状態にすることができる。サーバー装置30は、課金情報の更新後、次の印刷が実行されるまで待機する(END)。
【0064】
ユーザー端末10は、印刷完了通知の受信を契機として、第2のネットワーク2を介した印刷装置20との接続が切断される(または切断する)ように構成されても良い(ステップS16)。したがって、ユーザー端末10は、印刷が終了するたび、自動で第2のネットワーク2から通信が切断される(または切断する)ので、セキュリティー上のリスクを低減することができる。
【0065】
また、ユーザー端末10は、印刷完了通知の受信を契機として、ユーザー端末10に保存された印刷文書情報Dが削除されるように構成してもよい(不図示)。したがって、ユーザー端末10は、印刷が終了するたび、自動で印刷文書情報Dが削除されるので、セキュリティー上のリスクを低減することができる。ユーザー端末10は、完了通知の受信後、次の印刷が実行されるまで待機する(END)。
【0066】
次に、図3を参照して、図2における印刷認可処理(ステップS32)の内容について詳述する。図3は、印刷管理システム100における印刷認可処理の内容を示すフローチャートである。
【0067】
サーバー装置30はユーザーUに認証情報の入力を促し、ユーザーUはユーザー端末10を介して認証情報を入力する(ステップS41)。認証情報はサーバー装置30に送信され、サーバー装置30は、受信した認証情報の照合を行う(ステップS42)。認証情報が登録ユーザーのものであることが確認できれば(ステップS43でYES)、ユーザーUに認証を付与する(ステップS44)。確認されなかった場合には(ステップS43でNO)、認証は付与されず処理は終了する(END)。
【0068】
認証が得られた場合、ユーザー端末10の認可処理に移る。具体的には、サーバー装置30は、ユーザー端末10の識別情報を取得して、識別情報の照合を行う(ステップS45)。そして、識別情報が登録装置のものと確認された場合(ステップS46でYES)、ユーザー端末10に認可が付与され(ステップS47)、印刷認可処理は終了する。確認されなかった場合には(ステップS46でNO)、認可は付与されず、処理は終了する(END)。
【0069】
図2における出力認可処理(ステップS35)の詳細ステップは、図4に示す通りである。図4は、図3におけるユーザー端末10に対する「印刷認可付与」(ステップS47)を印刷装置20に対する「出力認可付与」(ステップS57)と置き換えたものである。図4において、その他の処理は図3と同一である。その他の処理については、説明を省略する。
【0070】
本実施形態の構成によれば、印刷文書情報Dを特定する情報は第1のネットワーク1(インターネット)を介して送信される一方で、印刷対象の実体的なデータである印刷文書情報Dは第1のネットワーク1とは別に一時的に構築した第2のネットワーク2(Wi-Fi(登録商標)などの無線通信)を介して、ユーザーUの端末と印刷装置20の間で直接に通信される。
【0071】
よって、印刷対象の実体的なデータは、ユーザーUが所属する組織内におけるローカルネットワークを超えてユーザーUの端末から送信されない。従って、ネットワーク上のセキュリティーに関するリスクが低減する。また、印刷データが大容量の場合であっても組織内におけるローカルネットワークを介して通信しないため、回線負荷に影響を与えない。従って、ネットワーク上の通信品質を向上できる。
【0072】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
U ユーザー
D 印刷文書情報
S 印刷設定情報
1 第1のネットワーク
2 第2のネットワーク
10 ユーザー端末
12 端末認可情報保存部
14 端末制御部
16 端末通信部
20 印刷装置
22 認可情報保存部
24 完了通知送信部
26 印刷装置制御部
28 印刷装置通信部
30 サーバー装置
31 認証部
32 認可部
33 認可情報送信部
34 印刷設定情報送受信部
35 課金情報管理部
36 サーバー制御部
37 サーバー通信部
T31 登録ユーザー管理テーブル
T32 登録装置管理テーブル
T35 課金情報管理テーブル
100 印刷管理システム
図1
図2
図3
図4