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  • 特開-圧電デバイス及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001515
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】圧電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20231227BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H03H9/02 A
H03H3/02 B
H01L23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100209
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水沢 周一
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108GG03
5J108GG09
5J108GG15
5J108GG16
5J108KK04
5J108MM01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器と蓋部材とをロウ材によって接合する構造を有した圧電デバイスの、気密信頼性を高める新規な構造を提供する。
【解決手段】圧電デバイス10は、圧電素子11を実装する凹部13a及び凹部を囲う土手部13bを有した容器13と、容器内に実装された圧電素子と、土手部の天面13baにロウ材15で接合された金属製の蓋部材17と、を備えている。ロウ材は、天面及び蓋部材の天面側の面の間の、少なくとも一部に設けた第1部分15aと、第1部分から蓋部材の側面全面に及ぶ第2部分15bとから成っている。然も、第2部分の、蓋部材側とは反対面及び土手部の外壁面が、面一の面19となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を実装する凹部及び前記凹部を囲う土手部を有した容器と、前記容器内に実装された圧電素子と、前記土手部の天面にロウ材で接合された金属製の蓋部材と、を備えた圧電デバイスにおいて、
前記ロウ材は、前記天面及び前記蓋部材の前記天面側の面の間の、少なくとも一部に設けた第1部分と、前記第1部分から前記蓋部材の側面全面に及ぶ第2部分とから成り、かつ、
前記第2部分の、前記蓋部材側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面となっていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記ロウ材は金錫であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
多数の圧電デバイスをマトリクス状に形成するための基板であって、前記多数の圧電デバイスを形成する予定部分各々に、圧電素子実装用の凹部及びこれら凹部を区切る土手部を備える基板を用意する工程と、
前記凹部内各々に当該圧電素子を実装する工程と、
前記圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部領域に、当該凹部を覆う蓋部材であって、前記凹部側の面の縁部にロウ材を備える蓋部材を、各蓋部材の間に所定隙間をもって載置する工程と、
前記蓋部材の載置が済んだ基板を熱処理して前記ロウ材を溶融して前記土手部に前記蓋部材を接合する工程と、
前記接合が済んだ基板の、前記所定隙間に当たる部分に沿って、前記所定隙間の部分を、切断手段によって縦横に切断する工程と、を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
多数の圧電デバイスをマトリクス状に形成するための基板であって、前記多数の圧電デバイスを形成する予定部分各々に、圧電素子実装用の凹部及びこれら凹部を区切る土手部を備える基板を用意する工程と、
前記凹部内各々に当該圧電素子を実装する工程と、
前記基板の前記土手部にロウ材を形成する工程と、
前記ロウ材の形成及び圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部領域に、当該凹部を覆う蓋部材を、各蓋部材の間に所定隙間をもって載置する工程と、
前記蓋部材の載置が済んだ基板を熱処理して前記ロウ材を溶融して前記土手部に前記蓋部材を接合する工程と、
前記接合が済んだ基板の、前記所定隙間に当たる部分に沿って、前記所定隙間の部分を、切断手段によって縦横に切断する工程と、を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記所定隙間は、前記切断手段による切断幅より広いことを特徴とする請求項3又は4に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記切断手段は、ダイシングソー又はレーザであることを特徴とする請求項3又は4に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記基板は、水晶製、ガラス製又はセラミック製であることを特徴とする請求項3又は4に記載の圧電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と蓋部材とをロウ材によって接合する構造を有した圧電デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスの一種として、圧電素子を実装する凹部及び凹部を囲う土手部を有する容器と、容器内に実装された圧電素子と、土手部の天面にロウ材を用いて接合された蓋部材と、を備えるものがある。ロウ材を用いた接合構造を有する圧電デバイスでは、気密信頼性を確保するために、土手部の天面と、蓋部材の土手部側の面との間に、ロウ材を適正に残存させること、及び、蓋部材の縁にロウ材のフィレットを適正に形成することが重要である。
【0003】
例えば特許文献1に、土手部の天面に、溝を設けること、及び、前記蓋部材の縁にフィレットを形成することで、気密信頼性を高める技術が記載されている(特許文献1の要約等)。前記溝は、ロウ材が容器内へ流入することを防止し(特許文献1の段落22)、かつ、ロウ材の容器に対するアンカー効果を与える効果を示すという(特許文献1の段落21)。
また、特許文献1に、ウエハレベルパッケージによる製法に対しても、前記溝を設けることが記載されている(特許文献1の段落56及び図12等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-98594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、この出願に係る発明者も、容器の土手部の天面と蓋部材とを、ロウ材によって接合する構造において、気密信頼性の向上に適した構造の研究を鋭意重ねてきた。その結果、容器の土手部の天面と蓋部材との間にロウ材があること、及び、蓋部材の側面全周にロウ材のフィレットが連続している構造は、気密信頼性の向上に有用であることを見出した。また、そのような有用な構造を簡易に形成できる製造方法を見出した。
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従って、この出願の目的は、容器と蓋部材とをロウ材によって接合する構造を有した圧電デバイスの、気密信頼性を高める新規な構造及びその構造を簡易に得られる製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この発明の圧電デバイスによれば、圧電素子を実装する凹部及び凹部を囲う土手部を有した容器と、容器内に実装された圧電素子と、容器の土手部の天面にロウ材で接合された金属製の蓋部材と、を備えた圧電デバイスにおいて、
前記ロウ材は、前記天面及び前記蓋部材の前記天面側の面の間の、少なくとも一部に設けた第1部分と、該第1部分から前記蓋部材の側面全面に及ぶ第2部分とから成り、かつ、
前記第2部分の、前記蓋部材側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面となっていることを特徴とする。
なお、この発明を実施するに当たり、前記ロウ材は金錫であることが好ましい。
【0007】
また、この出願の圧電デバイスの製造方法の第1発明によれば、
多数の圧電デバイスをマトリクス状に形成するための基板であって、前記多数の圧電デバイスを形成する予定部分各々に、圧電素子実装用の凹部及びこれら凹部を区切る土手部を備える基板を用意する工程と、
前記凹部内各々に当該圧電素子を実装する工程と、
前記圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部領域に、当該凹部を覆う蓋部材であって、前記凹部側の面の縁部にロウ材を備える蓋部材を、各蓋部材の間に所定隙間をもって載置する工程と、
前記蓋部材の載置が済んだ基板を熱処理して前記ロウ材を溶融して前記土手部に前記蓋部材を接合する工程と、
前記接合が済んだ基板の、前記所定隙間に当たる部分に沿って、前記所定隙間の部分を、切断手段によって縦横に切断する工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、この出願の圧電デバイスの製造方法の第2発明によれば、
多数の圧電デバイスをマトリクス状に形成するための基板であって、前記多数の圧電デバイスを形成する予定部分各々に、圧電素子実装用の凹部及びこれら凹部を区切る土手部を備える基板を用意する工程と、
前記凹部内各々に当該圧電素子を実装する工程と、
前記基板の前記土手部にロウ材を形成する工程と、
前記ロウ材の形成及び圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部領域に、当該凹部を覆う蓋部材を、各蓋部材の間に所定隙間をもって載置する工程と、
前記蓋部材の載置が済んだ基板を熱処理して前記ロウ材を溶融して前記土手部に前記蓋部材を接合する工程と、
前記接合が済んだ基板の、前記所定隙間に当たる部分に沿って、前記所定隙間の部分を、切断手段によって縦横に切断する工程と、を含むことを特徴とする。
これら製造方法の第1発明、第2発明を実施するに当たり、前記切断手段は、ダイシングソー又はレーザであることが好ましい。
これら製造方法の第1発明、第2発明を実施するに当たり、前記基板は、水晶基板、ガラス基板又はセラミック基板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明の圧電デバイスによれば、容器と蓋部材とは、容器の天面と蓋部材の天面側の面との間の少なくとも一部に設けた第1部分と、この第1部分から蓋部材の側面全面に及ぶ第2部分とから成るロウ材であって、かつ、第2部分の蓋部材側とは反対面及び容器の土手部の外壁面が面一の面となったロウ材によって接合された構造になる。従って、容器の土手部の天面と蓋部材との間にロウ材が存在し、かつ、蓋部材の側面全周にロウ材のフィレットが連続している封止構造が実現されるので、容器に対する蓋部材の接合が強固に行えるから、圧電デバイスの気密信頼性を従来に比べ高めることが出来る。
また、この発明の圧電デバイスの製造方法によれば、マトリクス状に配置された多数の凹部と、これら凹部を区切る土手部とを備える所定の基板を用い、当該凹部内に圧電素子をそれぞれ実装し、縁部にロウ材を備えた蓋部材を各凹部上に載置するか、又は土手部にロウ材を形成し、蓋部材を所定配置で各凹部上に載置し、その後、熱処理をして容器と蓋部材とをロウ材で封止する。そして、この基板の、各蓋部材の間の所定隙間に当たる部分に沿って、切断手段によって縦横に切断することで基板から各圧電デバイスを個片化する。ここで、熱処理して封止が済んだ基板は、各蓋部材の間にロウ材が存在している状態にあるので、切断手段によって基板から圧電デバイスを個片化する際に、ロウ材及び基板の切断手段による切断面は面一の面になる。従って、ロウ材の第2部分の、前記蓋部材側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面となっているロウ材構造を持つ圧電デバイスを簡易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の圧電デバイスの説明図である。
図2】圧電デバイスの製造方法の第1発明の実施形態を説明する図である。
図3】圧電デバイスの製造方法の第1発明の実施形態を説明する図2に続く図である。
図4】圧電デバイスの製造方法の第1発明の実施形態を説明する図3に続く図である。
図5】圧電デバイスの製造方法の第2発明の実施形態の要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して圧電デバイス及びその製造方法に係る各発明の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図は各発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の実施形態中で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、各発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
1. 圧電デバイスの実施形態
図1は、実施形態の圧電デバイス10の説明図である。特に、図1(A)は、圧電デバイス10の平面図、図1(B)は、図1(A)のP-P線に沿った圧電デバイス10の断面図、図1(C)は、図1(A)のQ-Q線に沿った圧電デバイス10の断面図、図1(D)は、図1(A)のR-R線に沿った圧電デバイス10の断面図である。なお、図1(A)では、容器13内に実装されている圧電素子11や容器内の部材であるパッド13c等は破線で示してある。
【0013】
この圧電デバイス10は、圧電素子11を実装する凹部13a及び凹部13aを囲う土手部13bを有した容器13と、容器13内に実装された圧電素子11と、土手部13bの天面13baにロウ材15で接合された金属製の蓋部材17と、を備えている。
然も、ロウ材15は、天面13ba及び蓋部材17の前記天面13ba側の面の間の少なくとも一部に設けた第1部分15aと、第1部分15aから蓋部材17の側面全面に及ぶ第2部分15bとから成っている。然も、第2部分15bの、蓋部材17側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面19となっている。
【0014】
ここで、圧電素子11は、水晶又は圧電セラミックス等の任意の材料で構成できるが、典型的には、水晶素子である。水晶素子は、ATカットの水晶素子、SCカットに代表される2回回転切断による水晶素子、音叉型水晶素子、又は、圧電フィルタ等、任意のもので良い。この実施形態では、圧電素子11がATカット水晶振動片の例を示してある。従って、圧電素子11は、表裏の面に励振用電極11aを備えている。
【0015】
容器13は、セラミックス製でも良く、ガラス製でも良く、水晶製でも良い。容器13の凹部13aの平面形状は、凹部13aに実装される圧電素子11の平面形状に応じた任意の形状とできるが、典型的には、圧電素子11及び凹部13a各々の平面形状は四角形状である。
また、容器13の凹部13a底面の所定位置に、圧電素子11を実装するためのパッド13cを備えている。容器13の外部側の底面に、圧電デバイス10を任意の電子機器(図示せず)に接続するための外部接続端子13dを備えている。パッド13cと外部接続端子13dとは、図示しないビア配線又はキャスタレーションによって電気的に接続してある。
そして、圧電素子11は、励振用電極11aから引き出された引出電極11aaの位置で、容器13のパッド13cに、導電性接着剤21によって、接続固定してある。
【0016】
次に、容器13の土手部13bと、蓋部材17との接続構造について、特に図1(C)、(D)を参照して説明する。
容器13の土手部13bの天面13baに、ロウ材15が接合されるメタライズパタン(図示を省略)を設けてある。蓋部材17は、金属製であり、例えばコバール、銅等で構成できる。蓋部材17の容器13側の面の縁に沿って、ロウ材15の接合を容易にするメタライズパタンを備えていても良い。また、蓋部材17の容器13側の面の縁の比較的内側に、ロウ材15が蓋部材17の中央側に無用に流れることを防止するため、ロウ材に対するぬれ性を低下する構造、例えば、金属製の蓋部材の下地面を露出させるような構造を設けても良い。
そして、上記と重複するが、ロウ材15は、天面13ba及び蓋部材17の前記天面13ba側の面の間の少なくとも一部に設けた第1部分15aと、第1部分15aから蓋部材17の側面全面に及ぶ第2部分15bとから成っている。然も、第2部分15bの、蓋部材17側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面19となっている。然も、この第1部分15a及び第2部分15bで構成されたロウ材15による接合構造が、圧電デバイス10の外周に沿って全周に渡って備わっている。従って、圧電デバイス10では、堅固な封止構造を実現できるので、圧電デバイス10の気密信頼性を従来に比べ高めることが出来る。
【0017】
なお、ロウ材15の第1部分15aは、土手部13bの幅方向全域に及んでいても良く、土手部13bの幅方向の気密信頼性で問題ない一部まででも良く、又は、蓋部材17の下面に一部が及んでいても良い。一方、第2部分15bは、蓋部材17の側面に対し、蓋部材17の厚み方向全域で蓋部材に接合していることが好ましい。
【0018】
1. 製造方法の第1発明の実施形態
次に、本出願の圧電デバイスの製造方法の第1発明の実施形態について、図2図3及び図4を参照して説明する。なお、図2(A)は、基板10wの斜視図であり、図2(B)、(C)、図3(A)、(B)は、それぞれ工程が進んだ基板10wの一部を拡大した斜視図であり、図4(A)は基板10wから個片化した圧電デバイス10の斜視図であり、図4(B)、(C)は、圧電デバイス10の、図4(A)中のS-S線、T-T線に沿った要部断面図である。
【0019】
この実施形態の製造方法では、先ず、多数の圧電デバイスをマトリクス状に形成するための基板10wであって、多数の圧電デバイスを形成する予定部分各々に、圧電素子実装用の凹部13a及びこれら凹部を区切る土手部13bを備える基板10wを用意する(図2(A)参照)。
次に、基板10wの各凹部13a内に圧電素子11を実装する(図2(B)参照)。具体的には、圧電デバイス10の実施形態の欄で説明したように、導電性接着剤21を用いて容器13の凹部13a内のパッド13cに圧電素子11を実装する。
【0020】
次に、圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部13a領域に、凹部13aを覆う蓋部材17であって、凹部13a側の面の縁部にロウ材15を備える蓋部材17を、各蓋部材17の間に所定隙間Wをもって載置する(図2(B),(C)参照)。なお、所定隙間Wは、後に実施する切断工程で用いる切断手段である例えばダイシングソーの歯幅や、レーザダイシングの場合であればレーザによる切断幅を考量して決める幅であって、ダイシングソーの歯幅やレーザによる切断幅に比べて、やや広い幅とする。然も、蓋部材17の裏面側に設けていたロウ材15が、後の熱処理において溶融した際に、隣接する凹部間の土手部に適度な厚みで溜まることができるような幅、すなわち広すぎない幅とする。こうすると、後述の切断工程実施後に、蓋部材17の全周の側面にロウ材15の第2部分15bを残存させることが出来る。なお、図2(C)では所定隙間Wは、縦及び横で同じとしてあるが、縦及び横で異なる場合があっても良い。
【0021】
次に、蓋部材17の載置が済んだ基板を熱処理してロウ材15を溶融して土手部13bに蓋部材17を接合する(図2(C)参照)。この熱処理において、各蓋部材17の裏面側のロウ材15は、蓋部材と土手部13bの天面とを接合すると共に、隣接する蓋部材の間に及んで、隣接する蓋部材の間にロウ材15の溜まりを生じさせる(図3(A)参照)。
次に、ロウ材による接合が済んだ基板の、所定隙間Wに当たる部分に沿って、当該部分を、切断手段30によって縦横に切断する(図3(B)参照)。切断手段は、ダイシングソー又はレーザが好ましい。
この切断が済むと、基板から圧電デバイス10を個片化できる(図4(A)参照)。然も、上記切断工程では、所定隙間Wの箇所のロウ材15と基板10wとを、基板10wの厚さ方向に沿って一括で切断するので、ロウ材15の第2部分15bの、蓋部材17側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面19になる(図4(B)、(C)参照)。
従って、この圧電デバイスの製造方法によれば、ロウ材15の第2部分15bの、蓋部材17側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面19になっている封止構造を簡易に製造することが出来る。
【0022】
3.製造方法の第2発明の実施形態
次に、本出願の圧電デバイスの製造方法の第2発明の実施形態について説明する。製造方法の第2発明の第1発明と相違する点は、ロウ材15を基板10wの土手部に形成する点である。すなわち、第1発明では蓋部材17の、容器13側の面の縁部に、ロウ材を設けていたのに対し、第2発明では容器13の土手部13b側にロウ材を設ける。図5はその説明のための斜視図である。
基板10wの土手部にロウ材15を形成する(図5(A)参照)。ロウ材15の形成は、基板10wの各凹部13a内に圧電素子を実装する前に行っても良いし、圧電素子を実装した後に行っても良い。ただし、各凹部に圧電素子を実装する前にロウ材を形成する方が好ましい。その方が、圧電素子を汚染する危険性が少ないこと、ロウ材の塗布を印刷等で行え、かつ、塗布したロウ材の焼成等を行い易いからである。
【0023】
ロウ材15の形成及び圧電素子の実装が済んだ基板の各凹部13a領域に、凹部を覆う蓋部材17を、各蓋部材の間に、第1発明と同様に所定隙間Wをもって載置する(図5(A)。
その後は、第1発明と同様に、熱処理をして、ロウ材による封止構造を形成し、その後、基板の、所定隙間Wに当たる部分に沿って、当該部分を、切断手段30によって縦横に切断する(図3(B)参照)。
この切断が済むと、基板から圧電デバイス10を個片化できる(図4(A)参照)。然も、上記切断工程では、第1発明と同様に、所定隙間Wの箇所のロウ材15と基板10wとを、基板10wの厚さ方向に沿って一括で切断するので、ロウ材15の第2部分15bの、蓋部材17側とは反対面及び前記土手部の外壁面が、面一の面19になる(図4(B)、(C)参照)。
【符号の説明】
【0024】
10:実施形態の圧電デバイス 11:圧電素子
11a:励振用電極 13:容器
13a:凹部 13b:土手部
13ba:土手部の天面 13c:パッド
13d:外部接続端子 15:ロウ材
15a:ロウ材の第1部分 15b:ロウ材の第2部分
17:蓋部材 19:面一の面
21:導電性接着剤 10w:基板
W:所定隙間 30:切断手段















































図1
図2
図3
図4
図5