(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151502
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電極式液面レベルセンサ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/24 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01F23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064880
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深井 泰
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝夫
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA17
2F014AB01
2F014DA01
(57)【要約】
【課題】電極への泡沫の付着を効果的に抑えることで誤検知を回避することが可能な電極式液面レベルセンサを提供する。
【解決手段】保護管11内に配設された電極棒13a,13bと保護管11との間に配設されて電極棒13a,13bを取り囲む内筒15を設け、この内筒15を、メッシュ状部材を筒状に形成して構成し、保護管11の下端開口部よりも下方へ突出させ、内筒15と保護管11との間に全周に亘って隙間Sを形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管内に電極棒を配設して該保護管内の液面レベルを検出する電極式液面レベルセンサであって、
前記電極棒と前記保護管との間に配設されて前記電極棒を取り囲む内筒を設け、
前記内筒は、メッシュ状部材を筒状に形成して構成され、前記保護管の下端開口部よりも下方へ突出させ、前記内筒と前記保護管との間には全周に亘って隙間を形成するようにしたことを特徴とする電極式液面レベルセンサ。
【請求項2】
前記内筒の上端は開放され、前記内筒の上方には、前記内筒の内部へ散水する散水ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1記載の電極式液面レベルセンサ。
【請求項3】
処理槽に流入した処理水の液位レベルを検知するために用いられ、前記散水ノズルからの散水は、前記処理槽への処理水の流入がある場合に常時行われることを特徴とする請求項2記載の電極式液面レベルセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡沫が発生する処理槽に設置されてこの処理槽の液面レベルを正確に検知することが可能な電極式液面レベルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所では、海水を取水し、復水器等の熱交換器に使用している。このため、取水する海水中に存在するクラゲ等の異物を除去する必要があり、取水口には、
図7に示されるように、これら異物を除去する除塵機(スクリーン)3が設置されている。
しかしながら、除塵機3の網に付着したクラゲ等の異物により取水口の前後で差圧が生じ、最悪の場合には海水量が低下して火力発電所の運転に支障をきたす虞がある。そこで、取水口に設けられる除塵機にスプレー装置を設置し、付着した異物を除去するようにしている。
【0003】
除塵機3によって除去されたクラゲ等の異物は、海水と共にクラゲ処理槽4に流入して一時的に貯められるが、このクラゲ処理槽4のレベルが所定レベル以上に上昇するとポンプ5が自動起動し、海水と共にクラゲ溜め槽(かご)6へ移送され、ここで回収されて廃棄物として処理するようにしている。また、クラゲ処理槽4のレベルが所定レベル未満に降下すると、ポンプ5が自動停止し、クラゲ溜め槽6への移送が停止される。
【0004】
このように、ポンプ5の起動、停止を自動で繰り返すことでクラゲ処理槽4の液面レベルが管理されているが、ポンプの自動起動、停止を適切に制御するためには、クラゲ処理槽4の液面レベルを正確にモニタリングする必要がある。このため、従来においては、処理槽の液面レベルをモニタリングするために、可動部のない電気的なレベルセンサとして広く用いられる電極式の液面レベルセンサが用いられている。
【0005】
この電極式の液面レベルセンサは、それ自体周知のもので(特許文献1~3参照)、
図8にも示されるように、複数の電極13a,13bを先端の高さが異なるように設置し、電極棒間が導電性液体に接触した場合に電流が流れる原理を利用して、液面が所定レベル以上に上昇した場合にポンプを起動させ、液面が所定レベルを下回った場合にポンプを停止させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013―79808号公報
【特許文献2】特開昭63-210627号公報
【特許文献3】特開昭53-48767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クラゲ処理槽4の処理水表面には、海洋生物から発生する泡やスプレー装置の稼働に伴う多量のスプレー液の流入等により、多量の泡沫が発生するため、この泡沫が電極13a,13bに付着すると、誤検知を誘発する不都合がある。すなわち、本来ポンプ5を起動すべき液面レベルに上昇してもポンプ5が起動しなかったり、ポンプ5を停止すべき液面レベルに低下してもポンプ5が停止しなかったりする不都合がある。特に処理槽内の液面レベルが低い場合にポンプ5が停止しない場合には、ポンプが空引きの状態となり損傷する虞がある。
一般的に電極式のレベルセンサ1には、泡や異物等による影響がないように、電極棒13a,13bが筒状の保護管15で保護されているが、処理槽4の液面レベルが著しく低下した場合には、液面上の泡沫が保護管内に流入し、電極棒13a,13bに付着して誤検知を誘発する不都合がある。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、電極への泡沫の付着を効果的に抑えることで誤検知を回避することが可能な電極式液面レベルセンサを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明に係る電極式液面レベルセンサは、保護管内に電極棒を配設して該保護管内の液面レベルを検出する電極式液面レベルセンサであって、
前記電極棒と前記保護管との間に配設されて前記電極棒を取り囲む内筒を設け、
前記内筒は、メッシュ状部材を筒状に形成して構成され、前記保護管の下端開口部よりも下方へ突出させ、前記内筒と前記保護管との間には全周に亘って隙間を形成するようにしたことを特徴としている。
なお、内筒のメッシュ孔は、泡沫の通過を防ぎつつ、海水のみを通過させることができる程度の大きさに形成されている。
【0010】
したがって、このような電極式液面レベルセンサを処理槽に設置することで、処理槽の液面レベルが低下し、保護管の下端より泡沫が保護管内に入り込む場合でも、内筒は、保護管の内側にあって、保護管の下端開口部よりも下方に突出しているので、内筒の内側に泡沫が入り込むことはなく、電極に泡沫が付着する不都合を回避することが可能となる。
【0011】
この際、内筒は、メッシュ状部材によって形成されているので、泡沫は内筒に遮られて内筒の内側へ移動することはないが、海水は内筒のメッシュ孔を介して内筒の内側に流入するので、海水のみが内筒の内側まで流入する。また、保護管と内筒との間には、全周に亘って隙間が形成されているので、保護管と内筒との間に海水が入り込む際に内筒が抵抗となることはない。
さらに、海水が内筒を通過する場合においても、内筒の海水に浸かっている全範囲に亘って海水がメッシュ孔を通過するので、内筒の外側と内側との間で海水を速やかに移動させることが可能となり、内筒内の液面を保護管と内筒との間の液面に速やかに追従させることが可能となる。
このため、メッシュ状の内筒を設けたことによる液面変動の追従遅れは殆どなく、泡沫が電極棒に付着しないことと相俟ってこの液面レベルセンサを取り付けた箇所での液面レベルを正確に検知することが可能となる。
【0012】
以上の構成において、内筒の上端は開放され、前記内筒の上方には、前記内筒の内部へ散水する散水ノズルを設けることが好ましい。
前述の構成により、電極には泡沫が付着することは殆どなくなるが、仮に泡沫が内筒内に入った場合でも、内筒内には散水ノズルから散水した水によって流れが積極的に形成されるので、電極への泡沫の付着を回避することが可能となり、また、泡沫が電極に付着した場合でも、付着した泡沫を除去することが可能となる。
【0013】
なお、散水ノズルからの散水は、液面レベルが低下して電極棒が大きく表出した場合に行うことで、付着した泡沫を効果的に除去することが可能となるが、処理槽への処理水の流入がある場合に常時行うようにしてもよい。このような構成においても、内筒内には処理水による流動が常時形成されることになるので、効果的に電極への泡沫の付着を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、電極棒と保護管との間に電極棒を取り囲む内筒を設け、この内筒をメッシュ状部材を筒状に形成して構成すると共に保護管の下端開口部よりも下方へ突出させ、さらに、内筒と保護管との間に全周に亘って隙間を形成するようにしたので、泡沫が内筒の内側に入り込む不都合はなくなり、電極棒への泡沫の付着を効果的に抑えることが可能となる。
また、保護管と内筒との間に全周に亘って隙間を形成するようにしたので、保護管と内筒との間に処理水を抵抗なく流入させることが可能となり、また、保護管の内側で処理水に浸っている内筒の全範囲でメッシュ孔を介して水を流通させることが可能となるので、内筒の下端開口部が何等かの都合で閉塞された場合でも、内筒内の液面レベルを保護管と内筒との間の液面レベルに速やかに追従させることが可能となる。
【0015】
さらに、内筒の上方に、内筒の内部へ散水する散水ノズルを設けるようにすることで、液面レベルが低い場合に散水によって電極に付着した泡沫を洗い流すことが可能となり、また、液面レベルが高い場合であっても、内筒の内部への散水によって、内筒の内側に水の流れを積極的に形成することが可能となり、電極への泡沫の付着を回避すると共に電極に付着した泡沫を除去しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る電極式液面レベルセンサが用いられる異物処理設備の概略構成を示す図であり、泡沫が発生する処理槽の例としてクラゲ処理槽に本発明に係る電極式液面レベルセンサを設置した例を示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る電極式液面レベルセンサとこれにより起動・停止されるポンプ及び散水機能を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る電極式液面レベルセンサにおいて、保護管の内側に内筒を固定する例を示す図であり、保護管の上端開口部から見た図であり、(a)は、内筒の外周面から径方向外側へ延設された取付片を保護管にボルト留めする例を示す図、(b)は、保護管の上端部に保護管の軸心を過ぎるように架設された架橋材に、内筒の外周面に設けられた取付片をボルト留めする例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る電極式液面レベルセンサを泡沫が発生する処理槽に設置した状態を示す図であり、保護管と内筒との間に泡沫が流入した状態を示す図である。
【
図5】
図5は、内筒内に散水する散水装置の制御フローを示すフローチャートであり、処理槽の液面レベルが低下した場合に散水させる動作処理例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、内筒内に散水する散水装置の制御フローを示すフローチャートであり、処理槽へ処理水が流入している場合に常時散水させる動作処理例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、従来の電極式液面レベルセンサを設置した異物処理設備の概略構成を示す図である。
【
図8】
図8は、従来の電極式液面レベルセンサの保護管内に泡沫が流入し、電極棒に泡沫が付着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電極式液面レベルセンサの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に本発明に係る電極式液面レベルセンサ1を設置したクラゲ処理設備2の概要が示されている。このクラゲ処理設備2は、海水を取水する取水口からクラゲ等の異物が流入するのを防止するために、取水口の手前に除塵機3を設置し、この除塵機3によって海水中のクラゲ等の異物を除去するようにしている。
【0018】
除塵機3は、例えば、バースクリーン(バー枠)自体が回動する回転バースクリーンであり、頭軸外周面に設けた押出フィンによって異物を機械的に除去すると共に、除塵機の下流側に設置されたスプレー装置によって除塵機の網に付着した異物を除去するようにしている。
【0019】
除去されたクラゲ等の異物は、海水と共にクラゲ処理槽4へ移送され、ここで一時的に貯留されるようになっている。そして、クラゲ処理槽4の液面が所定の液面レベル以上に達すると排水ポンプ5が稼働し、クラゲ等の異物が海水と共にクラゲ溜め槽6へ送出され、このクラゲ溜め槽6で回収されて廃棄物として処分されるようになっている。
【0020】
クラゲ処理槽4は、クラゲ等の異物を海水と共に受け入れるもので、浅底部とこの浅底部に続いて略中央に形成された深底部とを備え、深底部に、排水ポンプ5とこの排水ポンプ5を起動・停止させるためにクラゲ処理槽4の液面レベルを検知する電極式液面レベルセンサ1が設けられている。
【0021】
電極式液面レベルセンサ1は、
図2にも示されるように、処理槽4に設けられた図示しないホルダーによって軸方向を上下方向に向けた状態で固定されると共に、上端および下端が開口された非導電性材料によって形成された保護管11と、この保護管11の内部に挿入され、上端部がコネクタ12に接続された複数の電極棒(この例では2つの電極棒)13a,13bとを有している。
【0022】
一方の電極棒13bの下端は他方の電極棒13aの下端よりも下方に延設されており、処理槽4に流れ込んだ処理水の液面が双方の電極に差し掛かる高さになると、電極棒間に電流が流れるので、制御部14はこれを検知して排水ポンプ5を起動させ、処理槽4に貯留されている処理水(クラゲ等の異物を含む海水)をクラゲ溜め槽6へ移送する。また、ポンプ5の稼働により処理槽4の液面が徐々に低下し、保護管内の液面が一方の電極棒の先端よりも下回ると、電極間に電流が流れなくなるので、制御部14はこれを検知して排水ポンプ5を停止させ、処理水のクラゲ溜め槽6への移動を停止する。
【0023】
このような電極式液面レベルセンサ1において、保護管11の内部には、2つの電極棒13a、13bと保護管11の間に配設され、2つの電極棒13a、13bを取り囲む内筒15がさらに設けられている。
この内筒15は、メッシュ状部材を筒状に形成して構成され、例えば、ステンレス製のパンチングメタルやメッシュ金網を丸めて筒状に形成したものであっても、円筒状の枠体の周面にステンレスネットを固定して筒状にしたものであってもよい。また、メッシュ状部材の材質もステンレス等の耐腐食性金属を用いるものであっても、グラスファイバや合成樹脂等で形成してもよい。
ここで、メッシュ孔の大きさ(粗さ)は、処理槽4で発生する泡沫を通過させにくく、海水のみを通過させることが可能な程度の大きさに形成されている。
【0024】
この内筒15は、保護管11に対して適当な手段により固定されているもので、
図3(a)に示されるように、保護管11の上端部に設けられた取付台座11aを内筒15から突設された取付片15aをボルト留めするものであっても、
図3(b)に示されるように、保護管11の上端に径方向に架設されたリブ11bに、内筒15に設けられた取付板15bをボルト留めするものであってもよい。
【0025】
また、
図4にも示されるように、内筒15の外径は、保護管11の内径よりも小さく形成され、内筒15と保護管11は、互いの軸心をほぼ一致させて固定されている。このため、内筒15と保護管11との間には、全周に亘って隙間Sが形成されている。
【0026】
また、内筒15の軸方向の長さは、保護管11よりも長く形成され、内筒15の上端部を保護管11の内側で該保護管11の上端部に固定した状態においては、内筒15は、保護管11の下端開口部よりも下方へ突出した状態となっている。
この内筒15の保護管11の下端開口部からの突出量は、処理槽4の底面に当接するまで突出させるものであってもいいが、処理槽4の液面が著しく低下して保護管11の下端近くになった場合でも、内筒15の下端が十分に処理水に浸かっている状態を確保できる突出量、例えば、保護管11の下端から約20cmほど下方へ突出させた状態にするとよい。
【0027】
したがって、処理槽4の液面が著しく低下し、液面上に浮遊している泡沫が保護管11の下端開口部から保護管11内に流入する場合であっても、泡沫は、内筒15内に入り込むことはなく、内筒15と保護管11との間で浮遊する状態となる。したがって、電極棒13a、13bに泡沫が付着することが無くなるので、誤検知を回避することが可能となる。
また、内筒15はメッシュ状部材で構成されているので、内筒15と保護管11との間に入り込んだ処理水は、泡を内筒15と保護管11の間に残したまま内筒15の内側へ流入するので、処理槽4の水位がそのまま内筒15内の液面レベルに反映される。
【0028】
この際、内筒15と保護管11は、内筒15の外周面と保護管11の内周面との間に全周に亘って隙間Sが形成されるように取付けられているので、内筒15は、処理水が保護管11内(保護管11と内筒15との間)に入り込む際に通路抵抗となることはなく、保護管11と内筒15との間の液面は、処理槽4の液面に遅れることなく追従することになる。
また、内筒15はメッシュ状に形成されるものの、下端が開口しているので、内筒15内の液面も処理槽4の液面変動に即座に追従する。この際、内筒15の下端開口部が異物等によって塞がれた場合においては、内筒15のメッシュ孔を介してのみ海水が内筒の内側へ移動するため、通路抵抗が生じて内筒内の液面の追従遅れが懸念されるが、内筒15と保護管11との間には全周に亘って隙間Sが形成されているので、内筒15の保護管11より下方へ突出した部分のみならず、内筒15内で海水によって浸っている全周面からメッシュ孔を介して処理水が内筒15の内側へ移動する。このため、内筒15内の液面は、内筒15と保護管11との間の隙間Sの液面に遅れることがなく即座に追従させることが可能となる。このように、内筒15の下端開口部が閉塞された場合においても、保護管11と内筒15との間の液面の変動を内筒15の液面に速やかに反映させることが可能となるので、内筒15を設けたことによる追従遅れの影響は特に生じない。
【0029】
内筒15を保護管11との間に隙間なく固定して保護管11の下端から下方へ延ばした場合には、内筒15の内側へ流入する泡沫は効果的に低減させることは可能であるが、内筒15の下端開口部が異物によって塞がれた場合には、内筒15の内外の流動に寄与するメッシュ部分は保護管11の下端から突出した部分のみとなるので、通路抵抗は大きくなり、内筒内の液面の追従遅れが生じかねない。これに対して、本構成においては、保護管11内の海水に浸かっている内筒の周面全体からメッシュ孔を介して海水が内側に流入するので、通路抵抗は低減され、内筒内の液面は、保護管11と内筒15との間の隙間Sの液面に速やかに追従させることが可能となる。
【0030】
次に、電極式液面レベルセンサ1に付加的に設けられる散水機能について説明する。
以上の構成により、電極棒13a、13bへの泡沫の付着は効果的に回避することが可能であるが、処理槽4の液面が大きく変動し、処理槽内の処理水が十分に攪拌されているような場合には、泡沫が内筒15内に流入しないとは言えない。このため、万が一、泡沫が内筒15内に流入した場合でも、泡沫が電極棒13a、13bに付着しにくくし、また、一旦付着した泡沫を容易に除去する機能をさらに付加することが好ましい。
図2や
図4に示す例では、この機能を実現するために内筒15の上方に散水機能を更に設けたものである。
内筒15の上端は、電極棒13a、13bを位置決め固定する栓体によって塞ぐようにしてもよいが、散水機能を設ける場合には、内筒15の上端は開放され、内筒15の上方に、内筒15の内部へ散水する散水ノズル20を設ける。
この散水ノズル20から散水される水は、主として内筒15内に散水されるものとすればよく、海水を利用するものであっても、工業用水を利用するものであってもよい。
【0031】
散水ノズル20による散水状態は、この散水ノズル20に接続される散水管21を介して供給される水の供給状態を、開閉弁(又は流量調整弁)22を制御することで調節可能であり、内筒15内の液面レベルや処理槽4に流れ込む処理水の有無によって散水状態を制御するとよい。
【0032】
具体的には、
図5に示されるように、処理槽4内の液面レベル(内筒15内の液面レベル)が低下して排水ポンプ5が停止した状態において、開閉弁(又は流量調整弁)22を開として散水ノズル20からの散水を開始する(ステップ50,52)。このような液面レベルが低下した場合には、電極棒13a、13bも大きく表出している状態となるので、電極棒13a、13bに泡が付着している場合には、散水された水によって洗い流すことが可能となる。
なお、処理槽4内の液面レベル(内筒15内の液面レベル)が上昇してLoレベルよりも高くなった場合には、開閉弁(又は流量調整弁)22を閉として散水ノズル20からの散水を停止する(ステップ50,54)。
【0033】
また、
図1に示されるように、クラゲ処理槽4の海水受け入れ口付近に、処理槽への海水の流入の有無を検知する海水流入検知センサ23を設け、又は、除塵機3に該除塵機の稼働の有無を検知する除塵機稼働検知センサ24を設け、これらセンサからの出力に基づき、
図6に示されるように、クラゲ処理槽4への海水の流入があることと直接的又は間接的に判定し(ステップ56)、クラゲ処理槽4への海水の流入があると判定された場合には、開閉弁(又は流量調整弁)22を開として散水ノズル20からの散水を開始し(ステップ58)、クラゲ処理槽4への海水の流入がないと判定された場合には開閉弁(又は流量調整弁)22を閉として、散水ノズル20からの散水を停止してもよい(ステップ60)。
【0034】
このような構成においては、散水されるタイミングが処理槽の液面(内筒内の液面)に連動するものではないが、処理槽への海水の流入がある場合には、処理槽4の泡沫が発生しやすく、また、処理槽内が攪拌された状態となっているので、内筒15内への泡沫の流入も懸念される状態となる。しかし、処理槽へ海水の流入がある場合には、内筒15内に対して散水ノズル20から散水がなされるので、内筒15内の液面レベルが比較的高い場合であっても散水によって内筒内の水の流れが積極的に形成され、電極棒13a、13bへの泡沫の付着が低減され、また、万が一電極棒13a、13bに泡沫が付着した場合でも内筒内に水の流れを形成して付着している泡沫を除去することが可能となる。
【0035】
なお、以上の例では、電極棒を2本設けた液面レベルセンサ1を例にしたが、3本以上の複数の電極棒を備えた電極式液面レベルセンサを用いた場合でも同様の構成を採用してもよい。
また、保護管と内筒は、電極棒毎に設けるようにしても、また、複数の電極棒を収容する保護管に対して、内筒を電極棒毎に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 電極式液面レベルセンサ1
11 保護管
13a、13b 電極棒
15 内筒
20 散水ノズル
S 隙間