(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151504
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064882
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】篠木 貴幸
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CH03
(57)【要約】
【課題】電線部の大型化や高剛性化を抑制しつつ、電線部を束ねることが可能な、ワイヤハーネスを開示する。
【解決手段】ワイヤハーネス10が、複数の被覆電線16を含む電線部12と、電線部12の端末に設けられたコネクタ部14と、を備え、電線部12は、少なくとも1つの被覆電線16によって構成された巻付電線18が、束ねられた他の被覆電線16にらせん状に巻き付けられてなる束ね領域20を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被覆電線を含む電線部と、
前記電線部の端末に設けられたコネクタ部と、を備え、
前記電線部は、少なくとも1つの前記被覆電線によって構成された巻付電線が、束ねられた他の前記被覆電線にらせん状に巻き付けられてなる束ね領域を有している、ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記束ね領域には、前記電線部の延出方向で相互に離隔する複数箇所において、前記巻付電線を前記他の被覆電線にそれぞれ固定する複数の固定部が設けられている、請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記束ね領域がU字状に曲げられて配策されている、請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両内等の電気配線として用いられるワイヤハーネスは、複数の被覆電線からなる電線部と、電線部の端末に設けられたコネクタ部と、を有している。このようなワイヤハーネスを車両内に配策する場合には、特許文献1に示されるように、電線部をコルゲートチューブや樹脂テープなどの保護部材によって束ね、保護部材に巻き付けられたタイバンド等の結束具により、電線部を車両の所定部位に固定する場合が多い。電線部が保護部材で束ねられていることから、電線部を構成する被覆電線の一部が近隣部材へ引っ掛かったり結束具に巻き込まれることにより、コネクタ部を所定の余長分引き出せずにコネクタ部の接続先への接続が困難となる等の不具合の発生を抑制できるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電線部を保護部材で束ねると、電線部の大型化や高剛性化が避けられないことから、ワイヤハーネスの配策領域が狭小の場合や、ワイヤハーネスがUターン状に配策される場合などには、保護部材を採用できない場合がある。それゆえ、作業者が、結束具により電線部の所定部位を車両に結束固定する際に、電線部の他の領域の被覆電線を巻き込まないように十分に注意して結束作業を行う必要があり、作業性の低下を招いていた。
【0005】
そこで、電線部の大型化や高剛性化を抑制しつつ、電線部を束ねることが可能な、ワイヤハーネスを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、複数の被覆電線を含む電線部と、前記電線部の端末に設けられたコネクタ部と、を備え、前記電線部は、少なくとも1つの前記被覆電線によって構成された巻付電線が、束ねられた他の前記被覆電線にらせん状に巻き付けられてなる束ね領域を有している、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線部の大型化や高剛性化を抑制しつつ、電線部を束ねることが可能な、ワイヤハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るワイヤハーネスを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
(1)複数の被覆電線を含む電線部と、前記電線部の端末に設けられたコネクタ部と、を備え、前記電線部は、少なくとも1つの前記被覆電線によって構成された巻付電線が、束ねられた他の前記被覆電線にらせん状に巻き付けられてなる束ね領域を有している、ものである。
【0010】
本開示のワイヤハーネスによれば、電線部は、電線部を構成する複数の被覆電線のうちの少なくとも1つによって構成された巻付電線が、束ねられた他の被覆電線にらせん状に巻き付けられてなる束ね領域を、有している。これにより、電線部の被覆電線を束ねておくことが望ましい領域において、コルゲートチューブや樹脂テープを用いることなく、巻付電線によって束ねられた束ね領域を構成することができる。巻付電線は、電線部を構成する複数の被覆電線であることから、コルゲートチューブや樹脂テープを用いる場合に比して、電線部の大型化や高剛性化を抑制することができる。その結果、電線部の大型化や高剛性化を抑制しつつ、電線部を束ねることが可能な、ワイヤハーネスを提供できるのである。
【0011】
なお、巻付電線として用いる被覆電線の本数は、1本でもよいし、2本以上であってもよく、電線部の太さや各被覆電線の径寸法、要求される電線部の撓み性等に応じて任意に設定可能である。
【0012】
(2)上記(1)において、前記束ね領域には、前記電線部の延出方向で相互に離隔する複数箇所において、前記巻付電線を前記他の被覆電線にそれぞれ固定する複数の固定部が設けられている、ことが好ましい。これによれば、束ね領域の複数箇所において、巻付電線が他の被覆電線に固定部を介して固定されていることから、巻付電線の偏りが抑制でき、巻付電線による束ね効果を束ね領域で安定して確保することができる。しかも、複数の固定部は電線部の延び出し方向で相互に離隔していることから、束ね領域の全体の高剛性化や大型化の抑制も有利に確保できる。
【0013】
なお、固定部は、巻付電線を他の被覆電線の外周面に固定できるものであれば、任意の構成が採用できる。固定部は、例えば、樹脂テープによるテープ巻によって構成してもよいし、タイバンドやその他の結束用の固定具等によって構成してもよい。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、前記束ね領域がU字状に曲げられて配策されている、ことが好ましい。電線部がU字状に曲げられて配策される配策エリアでは、狭いスペースに電線部のUターンするように折り返された両側部分が相互に近接して配置されることから、電線部における当該配索エリアへの配索部分を束ね領域とすることにより、例えば、配索エリアに電線部を結束固定する結束具への被覆電線の巻き込みなどが発生するリスクを確実に低減できる。
【0015】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のワイヤハーネス10について、
図1を用いて説明する。ワイヤハーネス10は、電線部12の端末にコネクタ部14が設けられた構造を有している。なお、ワイヤハーネス10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは
図1中の上方、下方とは
図1中の下方、左方とは
図1中の左方、右方とは
図1中の右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0017】
<電線部12>
電線部12は、複数の被覆電線16によって構成されている。被覆電線16は、公知のように、銅等の導電体からなる芯線と、芯線の外周を略全長にわたって被覆する合成樹脂製の絶縁被覆とによって構成されている。そして、被覆電線16の端末において絶縁被覆が剥がされて芯線が露出しており、露出した芯線が一方の端部でコネクタ部14に接続されているとともに、他方の端部で図示しない端子部に接続されている。コネクタ部14や端子部に対する芯線の固着方法は、特に限定されるものではなく、接着やろう付け等でもよいし、圧着片による圧着等であってもよい。本実施形態では、束ねられた10本の被覆電線16によって電線部12が構成されているが、電線部12を構成する被覆電線16の数は、後述するように必ずしも限定されない。電線部12は、複数の被覆電線16で構成されていることからも分かるように、柔軟性を有しており、曲げ変形が許容されている。
【0018】
<巻付電線18>
電線部12を構成する被覆電線16のうちの1本が、巻付電線18とされている。巻付電線18は、束ねられた他の9本の被覆電線16に対して、らせん状に巻き付けられた状態で配索されており、他の9本の被覆電線16を束ねられた状態に保持することで、電線部12の束ね領域20を構成している。らせん状に延びる巻付電線18のピッチは、後述するUターン状に曲げられた湾曲部32においても電線部12の長さ方向で間隙のある疎巻状態を維持できる大きさとされている。更に、巻付電線18のピッチが過度に大きいと、被覆電線16が十分な強さで束ねられた状態に保持され難くなることから、ピッチは前述した湾曲部32での間隙を維持し得る範囲で小さいことが望ましく、束ね領域20の柔軟性を確保しながら他の9本の被覆電線16を束ね状態に拘束することができる。
【0019】
<固定部22>
電線部12の束ね領域20には、固定部22が設けられている。固定部22は、例えば粘着テープを巻き付けたテープ巻によって構成されており、固定部22において巻付電線18を含む被覆電線16が束ねられている。従って、固定部22は、巻付電線18が他の被覆電線16に巻き付けられた状態で、粘着テープを巻き付ける等して形成されており、固定部22において巻付電線18が他の被覆電線16に対して固定されている。らせん状に延びていることによって電線部12の長さ方向に伸縮し得る巻付電線18は、他の被覆電線16に対する長さ方向での相対変位が固定部22によって制限されている。
【0020】
本実施形態では、電線部12の長さ方向の2箇所にそれぞれ固定部22が設けられている。以下の説明では、2箇所の固定部22を、コネクタ部14に近い固定部22aと、コネクタ部14から遠い固定部22bとする。巻付電線18は、固定部22a,22bの間を延びている。また、巻付電線18は、固定部22a,22bよりも電線部12の長さ方向の両外側まで延びており、固定部22a,22bが全長にわたって巻付電線18と他の被覆電線16とを相互に固定している。
【0021】
このように、巻付電線18が、電線部12の長さ方向の2箇所に設けられた固定部22a,22bにおいて、他の被覆電線16に固定されていることにより、巻付電線18が他の被覆電線16に対して電線部12の長さ方向において位置決めされており、巻付電線18が他の被覆電線16に対して相対的に移動することによる巻付電線18の偏り、即ちピッチの変化を抑えることができる。それゆえ、束ね領域20において、被覆電線16が束ねられた状態に安定して保持される。
【0022】
<ケース24>
かくの如き構造とされたワイヤハーネス10は、ケース24の配索エリア26に収容状態で配索されている。ケース24は、例えば、中空箱状とされており、合成樹脂等で形成されている。ケース24は、周壁28によって囲まれた内部空間が仕切壁30によって区分けされており、内部空間の一部が配索エリア26とされている。本実施形態の配索エリア26は、ケース24の周壁28と仕切壁30との対向間に設けられており、それら周壁28と仕切壁30との対向方向である上下方向において幅狭とされている。なお、ケース24の具体的な構造は、あくまでも概略的な例示に過ぎず、特に限定されるものではない。例えば、ケース24における配索エリア26の形状や大きさ、周壁28および仕切壁30の構造等は、本実施形態の例示によって限定的に解釈されるべきではない。
【0023】
<ワイヤハーネス10の配索>
ワイヤハーネス10は、ケース24内の配索エリア26に対して、U字状に折り返された状態で配索されている。ワイヤハーネス10は、電線部12の束ね領域20が、ケース24の周壁28と仕切壁30との対向間に配索されており、束ね領域20の一部がUターンするように折り曲げられた湾曲部32とされている。なお、本実施形態では、湾曲部32の両側において電線部12が相互に略平行に延びている。もっとも、電線部12がU字状(Uターン状)に曲げられているとは、必ずしも電線部12が湾曲部32から延び出す両側部分において相互に平行とされた厳密なU字形状を呈する場合に限定されず、例えば、電線部12が湾曲部32から離れるに従って相互に離隔または接近するように折り返された形状も含む。
【0024】
ワイヤハーネス10が配索エリア26に配索された状態において、コネクタ部14に近い固定部22aがケース24の周壁28に近接して配されているとともに、コネクタ部14から遠い固定部22bがケース24の仕切壁30に近接して配されている。そして、固定部22aが周壁28に対して相対変位可能とされているとともに、固定部22bが仕切壁30に対して結束具としてのタイバンド34により位置決めされている。従って、2つの固定部22a,22b間に位置する電線部12の湾曲部32によって、コネクタ部14の左右方向への変位を許容するための余長が確保されている。要するに、コネクタ部14の左右方向への変位が、主として2つの固定部22a,22b間に位置する湾曲部32を含んだ電線部12の変形によって許容されている。なお、固定部22bをケース24に位置決めする手段は、特に限定されず、例えば、粘着テープ、接着剤、機械的な係止構造等を何れも採用可能である。
【0025】
ワイヤハーネス10の電線部12が狭い配索エリア26において折り返されたU字状に配索されていることから、電線部12における折返し部分の両側は、相互に近接して配置されている。このような配索態様において、巻付電線18を備えていない従来のワイヤハーネスでは、固定部22bがタイバンド34でケース24に位置決めされる際に、タイバンド34が、固定部22bと上下方向において対向する被覆電線16を巻き込んでしまうおそれがあった。特に、コネクタ部14が左方へ引き出される等して固定部22aと固定部22bの位置が左右方向で相互にずれている場合には、タイバンド34による被覆電線16の巻き込みが発生し易かった。そこで、本実施形態のワイヤハーネス10では、電線部12を構成する被覆電線16の1本が巻付電線18とされており、巻付電線18が他の9本の被覆電線16にらせん状に巻き付けられた束ね領域20が設けられている。これにより、電線部12を構成する被覆電線16が、束ね領域20において相互に密着状態で束ねられており、それら被覆電線16の間にタイバンド34が誤って差し入れられるのが防止されている。それゆえ、固定部22bのケース24に対するタイバンド34での位置決めを実現しながら、被覆電線16の意図しない巻き込みによってコネクタ部14の左方への移動が制限されてしまう等の不具合を防ぐことができる。
【0026】
このように、ワイヤハーネス10では、電線部12の被覆電線16を束ねておくことが望ましい領域において、コルゲートチューブや樹脂テープを用いることなく、被覆電線16の1つである巻付電線18によって被覆電線16を束ねた束ね領域20を構成することが可能とされている。それゆえ、コルゲートチューブ等を用いる場合に比して、複数の被覆電線16を束ねた状態に保持しつつ、電線部12の大径化や高剛性化を抑制することができて、配索スペースの省スペース化や配索経路の自由度の向上などが図られる。
【0027】
本実施形態では、電線部12の長さ方向における固定部22a,22bの間だけでなく、固定部22a,22bより両外側も束ね領域20とされている。これにより、コネクタ部14が左方へ引き出される等して、固定部22a,22bが左右方向で相互にずれた位置に移動したとしても、電線部12におけるタイバンド34による固定位置と対向する部分が束ね領域20から外れた部分にはなり難く、タイバンド34による被覆電線16の巻き込みがより確実に回避される。
【0028】
また、電線部12の被覆電線16が束ね領域20においてらせん状に延びる巻付電線18によって束ねられていることから、束ね領域20における電線部12の曲げ剛性の増大が抑えられている。即ち、巻付電線18は、電線部12の長さ方向において間隙を有する疎巻状態のらせん状に設けられており、ピッチやリード角の変化によって電線部12の曲げを許容することから、巻付電線18を他の被覆電線16に巻き付けることによる電線部12の高剛性化が抑制されている。それゆえ、複数の被覆電線16を束ね領域20において束ねられた状態に保持しながら、電線部12を湾曲部32において小さな曲率半径で容易に曲げることが可能とされており、U字状の束ね領域20を狭い配索エリア26に対して問題なく収容することができる。
【0029】
また、電線部12の長さ方向の2箇所に設けられた固定部22aと固定部22bとは、電線部12の長さ方向で相互に離隔しており、それら固定部22a,22bの間に電線部12の折返し部分である湾曲部32が設定されている。それゆえ、固定部22a,22bにおいて電線部12の曲げ剛性が高くなったとしても、電線部12のUターン状に曲げられた配索が、固定部22a,22bによって阻害されることなく実現される。
【0030】
なお、ワイヤハーネス10のコネクタ部14は、例えば、車両の蓄電池等に設けられた図示しない雄コネクタに接続される。また、ワイヤハーネス10のコネクタ部14と反対側の端部は、図示が省略されているが、各被覆電線16に端子部がそれぞれ接続されており、各端子部が電圧センサ、サーミスタ、水没検知用センサ等に対して、直接的に或いはバスバー等を介して間接的に接続される。本実施形態の巻付電線18は、他の被覆電線16に比して、固定部22bからコネクタ部14までの長さが長くされているとともに、固定部22bから端子までの長さが短くされている。これにより、らせん状に延びる巻付電線18の全長を、他の被覆電線16の全長に対して、極端に長くする必要がない。
【0031】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0032】
(1)巻付電線18の本数は、1本に限定されず、2本以上とすることもできる。複数の巻付電線18を設ける場合には、それら複数の巻付電線18が相互に離隔した状態で他の被覆電線16に対して多重らせん状に巻き付ければよい。
【0033】
(2)前記実施形態における被覆電線16の本数は、単なる例示であって、限定されるものではない。すなわち、被覆電線16は、巻付電線18以外の被覆電線16が複数本となる本数であればよく、3本以上であればよい。
【0034】
(3)前記実施形態では、電線部12がU字状に曲げられたワイヤハーネス10の配索態様について説明したが、ワイヤハーネス10は、必ずしもU字状に曲げられた状態で配索されなくてもよい。具体的には、例えば、ワイヤハーネス10は、L字状や鈍角状に曲げられた配索態様や、蛇行状に複数箇所において曲げられた配索態様とされていてもよいし、曲げられることなく直線的な配索態様とされていてもよい。
【0035】
(4)巻付電線18と他の被覆電線16とを位置決めする固定部22は、1つまたは3つ以上を設けることもできるし、省略することもできる。固定部22をより多く設けることによって、巻付電線18と他の被覆電線16とがより強く位置決めされて、電線部12を束ねる作用が強くなる。一方、固定部22をより少なくすれば、束ね領域20の柔軟性の向上が図られて、配索エリア26の更なる省スペース化や電線部12の配索経路の自由度の更なる向上等が実現される。なお、電線部12をケース24に対して位置決めするタイバンド34を利用して、巻付電線18と他の被覆電線16とを相互に位置決めする固定部を構成することもできる。また、複数の固定部を設ける場合に、それら固定部は必ずしも同一構造のものに限定されず、例えば、2つの固定部を設ける場合に、一方をテープ巻によって構成し、他方をタイバンドによって構成することも可能である。
【0036】
(5)巻付電線18が他の被覆電線16に巻き付けられた束ね領域20は、必ずしも固定部22a,22bの両外側まで設定されている必要はなく、例えば、束ね領域20の両端が固定部22a,22bの途中に設定されていてもよい。
【0037】
(6)被覆電線16におけるコネクタ部14と反対側の端部は、必ずしも各別の端子部に接続されていなくてもよく、例えば、コネクタ部14と同様のコネクタが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 ワイヤハーネス(実施形態1)
12 電線部
14 コネクタ部
16 被覆電線
18 巻付電線
20 束ね領域
22(22a,22b) 固定部
24 ケース
26 配索エリア
28 周壁
30 仕切壁
32 湾曲部
34 タイバンド