(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151522
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F23K 5/02 20060101AFI20241018BHJP
F23K 5/20 20060101ALI20241018BHJP
F24H 3/10 20220101ALN20241018BHJP
【FI】
F23K5/02 A
F23K5/20
F24H3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064936
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛明
(72)【発明者】
【氏名】関矢 政明
(72)【発明者】
【氏名】赤佐 星次
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 奎太
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA15
3K068AB21
3K068CA05
3K068CA16
3K068CB01
3K068CB12
(57)【要約】
【課題】電磁ポンプ22の吐出量の変動を抑制し、燃焼不良の発生を防ぐことができる暖房装置を提供する
【解決手段】筐体3と、燃油を燃焼させ燃焼ガスを発生させるバーナ部10と、燃油を貯留するレベラタンク21と、外部タンクの燃油をレベラタンク21に送る送油パイプ32と、レベラタンク21の燃油をバーナ部10へ送る電磁ポンプ22と、電磁ポンプ22とバーナ部10とを連通させた連絡パイプ22aと、を備え、バーナ部10の燃焼による熱を直接的または間接的に送油パイプ32を流れる燃油が受熱可能な受熱手段を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
燃油を燃焼させ燃焼ガスを発生させるバーナ部と、
燃油を貯留するレベラタンクと、
外部タンクの燃油を前記レベラタンクに送る送油パイプと、
前記レベラタンクの燃油を前記バーナ部へ送る電磁ポンプと、
前記電磁ポンプと前記バーナ部とを連通させた連絡パイプと、
を備え、
前記バーナ部の燃焼による熱を直接的または間接的に前記送油パイプを流れる燃油が受熱可能な受熱手段を備えた
ことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記筐体内を上段と下段に分割する遮熱板と、
前記上段に配置され前記燃焼ガスの熱で放熱する放熱器と、
をさらに備え、
前記受熱手段は、
前記送油パイプを前記遮熱板の近傍に配置した
ことを特徴とする請求項1に記載した暖房装置。
【請求項3】
前記バーナ部はバーナケースを備え、
前記受熱手段は、
一方端が前記バーナケースと当接し、他方端が前記送油パイプと当接した伝熱板である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房装置に関し、特に燃油等の液体燃料を屋外の外部タンクから内部のレベラタンクに貯留して、電磁ポンプでバーナ部に送る構成を備えた暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の暖房装置では、屋外の外部タンクに貯留された灯油などの燃油を、屋外の外部タンクとバーナ部との間に一旦中継的に貯留して液面位を調整するレベラタンクを備え、このレベラタンクから電磁ポンプを駆動して、燃油をバーナ部へ送るものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、筐体の内部に、燃油を燃焼させるバーナ部と、このバーナ部に燃油を供給する電磁ポンプと、該バーナ部に供給される燃油を貯留するレベラタンク(15)と、該レベラタンク内に屋外の外部タンクからの燃油を供給する汲上ポンプ(18)と、屋外の外部タンクから汲上ポンプまでの燃油の経路である汲上管(22)と、汲上ポンプからレベラタンク21までの燃油の経路である送油パイプ(21)とを備えた暖房装置が示されている。
また、レベラタンクの上面はタンク蓋(19)で塞がれており、このタンク蓋に電磁ポンプ(16)および油面センサ(17)と汲上ポンプ(18)が取り付けられている。
電磁ポンプ(16)の下方はレベラタンク内の油面内に開放され、上方はバーナ部へ連接した連絡パイプ(20)が備わる。
【0004】
この暖房装置は、燃油の燃焼によってレベラタンク内の燃油が少なくなると、汲上ポンプを駆動させて外部タンクからレベラタンク内に燃油を汲み上げるものであるが、この汲上ポンプには、磁力の周期的な変化によってシリンダに摺接状態で内装されたプランジャを軸心方向に振動させることによって、外部タンク内の燃料をレベラタンクに向けて吐出するように構成されている。
【0005】
また、レベラタンク内の油温は、暖房装置が室内に置かれていることもあり、また暖房装置による暖房によって一定程度の温度(例えば20℃)に暖められている。そのレベラタンクに、屋外の外部タンクから燃油が供給されると、比較的低温(例えば5℃)の燃油がレベラタンクに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃油の温度が低いと燃油の粘性の影響により電磁ポンプの吐出量が変動し、気化器に送られる燃油の量が変化する懸念があった。
屋外の外部タンクから低温の燃油がレベラタンクに供給される場合も、一時的にレベラタンク内に低温の燃油が流入するため、電磁ポンプの種類によっては電磁ポンプから気化器に送られる吐出量が増え、燃焼不良に至るという懸念があった。
【0008】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、レベラタンク内に流入する燃油の温度を安定させ、電磁ポンプの吐出量の変動を抑制し、燃焼不良の発生を防ぐことができる暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、筐体と、燃油を燃焼させ燃焼ガスを発生させるバーナ部と、燃油を貯留するレベラタンクと、外部タンクの燃油を前記レベラタンクに送る送油パイプと、前記レベラタンクの燃油を前記バーナ部へ送る電磁ポンプと、前記電磁ポンプと前記バーナ部とを連通させた連絡パイプと、を備え、前記バーナ部の燃焼による熱を直接的または間接的に前記送油パイプを流れる燃油が受熱可能な受熱手段を備えたことを特徴とした。
【0010】
請求項2では、前記筐体内を上段と下段に分割する遮熱板と、前記上段に配置され前記燃焼ガスの熱で放熱する放熱器と、をさらに備え、前記受熱手段は、前記送油パイプを前記遮熱板の近傍に配置したことを特徴とした。
【0011】
請求項3では、前記バーナ部はバーナケースを備え、前記受熱手段は、一方端が前記バーナケースと当接し、他方端が前記送油パイプと当接した伝熱板であることを特徴とした。
【発明の効果】
【0012】
この本発明によれば、レベラタンク内に流入する燃油の温度を安定させ、電磁ポンプの吐出量の変動を抑制し、燃焼不良の発生を防ぐことができる暖房装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の第1の実施形態の暖房装置の一部の部品を外した状態の概略構成図
【
図3】本発明の第1の実施形態の暖房装置の一部の部品を外した状態の正面図
【
図4】本発明の第1の実施形態の暖房装置のバーナ部と燃料供給部の周辺を示す斜視図
【
図5】本発明の第2の実施形態の暖房装置の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる第1の実施形態を
図1から
図5を参照して説明する。
【0015】
1は、第1の実施形態の暖房装置で、水平に載置された置台2、筐体3、操作部4、バーナ部10と、バーナ部10と連通した放熱器15、燃焼用ファン16、バーナ部10に燃油を供給する燃料供給部20を備えて構成されている。
【0016】
バーナ部10は、アルミダイキャスト製の図示しない気化器と、この気化器と連接して気化した燃油を燃焼させるバーナ10aと、気化器とバーナ10aとを内蔵する有底角筒状のバーナケース10bを備える。
バーナ10aは、燃焼用ファン16からの燃焼用空気の供給と、燃料供給部20からの燃油の供給を受けて、燃油を燃焼させて燃焼ガスを生成する。
生成した燃焼ガスは、バーナ10aの上部に位置する燃焼室11を通過して、バーナ部10と連通した放熱器15を経て、図示しない排気筒から器具外へ排気される。
【0017】
放熱器15は、バーナ部10で発生した燃焼ガスによって加熱され、室内に輻射熱を放出するとともに、送風ファン17から送風される室内空気と熱交換して温風空気を発生するものである。
【0018】
40は、平面視でコの字状を有し、置台2の上に載置固定されたバーナ取付台である。
19は、バーナ取付台40の上部に架け渡すように設置して筐体3内を上段と下段に分割するようにして固定した遮熱板である。
バーナ取付台40は、上下端および左右端に曲げ部40aを有してバーナ取付台40自体の剛性を高めるとともに、曲げ部40aによって置台2と取付部材41および遮熱板19とそれぞれ螺子などで固定されるものである。
また、遮熱板19がバーナ取付台40の上に架け渡されて固定されていることで、バーナ取付台40の剛性を高めるとともに、遮熱板19の上側に位置する高温の放熱器15の輻射熱が遮熱板19より下側へ伝わるのを緩和するものである。
【0019】
バーナケース10bは、バーナケース10bの上端の周囲に外側へ広がるバーリング部(図示しない)を備え、遮熱板19の中央に前記バーリング部を係止させて取り付けられている。
【0020】
50は、送風ファン17から送風される空気をバーナ部10の下部に空気を送るための風向板である。
風向板50は、左右端と後端をコの字状のバーナ取付台40の内側に接するように収まり、左右端で置台2とバーナ取付台40とともに螺子で共締めされて固定されており、バーナ取付台40の剛性向上に貢献している。
【0021】
レベラタンク21の上面はタンク蓋24で塞がれ、タンク蓋24の上に電磁ポンプ22および油面センサ23が取り付けられている。
電磁ポンプ22は、吸入端(図示せず)がレベラタンク21内に設けられ、連絡パイプ22aを介してバーナ部10へ燃焼量に応じた量のレベラタンク21内の燃油を供給する。
油面センサ23は、レベラタンク21内の油面の上下動に応じて上下動するフロート(図示せず)を有し、下限油面と上限油面を検知する。
なお、この油面センサ23は、光学式のものであってもよい。
【0022】
レベラタンク21は、タンク支持部材25によって置台2に載置固定されており、タンク支持部材25は、ベース部25aと一対の立ち上げ部25bより成り、ベース部25aはゴムブッシュ15cを介して置台2に螺子止めされ、立ち上げ部25bの上端に、レベラタンク21の上端フランジ(図示せず)とタンク蓋24とが螺子で共締めされて、レベラタンク21の底部がベース部25aから離れた状態で固定されている。
【0023】
燃料供給部20は、バーナ部10に供給する燃油を貯留するためのレベラタンク21と、レベラタンク21を置台2の上に固定するためのタンク支持部材25と、レベラタンク21の燃油をバーナ部10に供給する電磁ポンプ22と、レベラタンク21内の燃油の油面高さを検知する油面センサ23と、レベラタンク21の上を塞ぎ電磁ポンプ22と油面センサ23を備えるタンク蓋24と、外部タンクからレベラタンク21までの燃油の経路である送油パイプ32とを備えている。
【0024】
送油パイプ32は、外部タンク(図示せず)と連通したゴム製の送油管(図示せず)と筐体3の外で接続され、水平に筐体3内を引き回した引込部32aと、この引込部32aと連通して筐体3内を上方向に引き回した立上部32bと、この立上部32bと連通してレベラタンク21の上方まで引き回した引回部32cと、この引回部32cと連通してレベラタンク21内へ燃油を落し込む落込部32dを備える。
送油パイプ32の立上部32bの途中に、レベラタンク21内の油面が所定高さよりも低下したときに所定高さまで屋外の外部タンク(図示せず)からレベラタンク21へ燃油を供給する汲上ポンプ30を備える。
【0025】
本発明では、バーナ部10の熱を受けて間接的に送油パイプ32を流れる燃油が加温される受熱手段を備えた。
具体的には、受熱手段は、加熱された放熱器15の熱を受けて温度が上昇する遮熱板19からの輻射熱を受けるように、送油パイプ32の引回部32cを遮熱板19の下側近傍に配置して構成されている。
【0026】
次に、第1の実施形態における作用について説明する。
【0027】
暖房運転によってレベラタンク21内の燃油が消費され、油面センサ23によって下限油面まで燃油が減ったことを検知すると、汲上ポンプ30の駆動が開始され、外部タンクからの燃油がレベラタンク21に供給され、油面センサ23によって上限油面まで燃油が増えたことを検知すると、汲上ポンプ30の駆動が停止され、レベラタンク21内には一定量の燃油が保持される。
なお、汲上ポンプ30の駆動停止は、汲上ポンプ30の駆動開始から所定時間の経過をもって駆動停止するようにしてもよい。
【0028】
送油パイプ32の引回部32c内の燃油は、暖房運転によって加熱された放熱器15の熱を受けて温度が上昇する遮熱板19からの輻射熱を受けて加温される。
特に、レベラタンク21内の燃油が下限油面より高い場合は、汲上ポンプ30が駆動していないので、汲上ポンプ30が駆動して送油パイプ32内の燃油が流動しているときに比べより効果的に燃油が加温され、冷えた外部タンクの燃油の油温を確実に上昇させるものである。
【0029】
これにより、レベラタンク21内に流入する燃油の温度を安定させ、電磁ポンプ22の吐出量の変動を抑制し、燃焼不良の発生を防ぐことができるものである。
【0030】
なお、受熱手段として送油パイプ32が遮熱板19と当接してバーナ部10の熱を遮熱板19を介して伝熱させ、直接的に熱を受けて送油パイプ32を流れる燃油を加温されるように構成してもよいものである。
なお、受熱手段として送油パイプ32が、遮熱板19に設けた図示しない貫通孔を下方から上方へ貫通して遮熱板19の上側に配置され、遮熱板19からの輻射熱を受けるようにして、送油パイプ32を流れる燃油が加温されるように構成してもよいものである。
【0031】
なお、
図5に示すように、受熱手段として、一方端をバーナケース10bと当接させ、他方端を送油パイプ32の引込部32aと当接させた伝熱板44を介して、送油パイプ32を流れる燃油が直接的に加温されるように構成してもよいものである。
これにより、暖房運転によるバーナ部10の熱がバーナケース10bと伝熱板44を経て、送油パイプ32の引込部32aへ伝わり、送油パイプ32内の燃油を加温できるものである。
これによって、レベラタンク21内に流入する燃油の温度を安定させ、電磁ポンプ22の吐出量の変動を抑制し、暖房装置1の燃焼不良の発生を防ぐことができるものである。
【0032】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 :暖房装置
3 :筐体
10 :バーナ部
10a :バーナ
10b :バーナケース
15 :放熱器
19 :遮熱板
21 :レベラタンク
22 :電磁ポンプ
22a :連絡パイプ
32 :送油パイプ
44 :伝熱板