(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151539
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】振動制御装置及び振動制御方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064970
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波津久 涼太
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129EE43
2F129EE50
2F129FF02
2F129FF12
2F129HH19
2F129HH20
(57)【要約】
【課題】運転者を適切に振動させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】振動制御装置は、音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって運転者を振動させる振動制御装置である。振動制御装置は、取得部を備える。取得部は、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得する。また、振動制御装置は、制御部を備える。制御部は、運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって前記運転者を振動させる振動制御装置であって、
前記運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得する取得部と、
前記運転者音声情報に基づいて、前記振動機から前記運転者への振動を決定する制御部と、
を備える、振動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動制御装置であって、
前記運転者音声情報は、前記運転者が発する音声の音量を含む、振動制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の振動制御装置であって、
前記運転者音声情報は、前記運転者が発する音声の音量を時間で積分して得られる積分値を含む、振動制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の振動制御装置であって、
前記運転者音声情報は、会話への前記運転者の集中度である会話集中度を含む、振動制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の振動制御装置であって、
前記取得部は、運転への前記運転者の集中度である運転集中度をさらに取得し、
前記制御部は、前記運転者音声情報と、前記運転集中度とに基づいて、前記振動を決定する、振動制御装置。
【請求項6】
音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって前記運転者を振動させる振動制御方法であって、
前記運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得し、
前記運転者音声情報に基づいて、前記振動機から前記運転者への振動を決定する、振動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動制御装置及び振動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なナビゲーション装置では、目的地への経路を案内するための案内音声が、音声出力装置から適宜通知される。運転者が、このような案内音声を聞き逃さないようにするために、案内音声の通知前に、運転者に振動を与えることによって、案内音声への運転者の集中度を高める技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者が同乗者等との会話に集中している状況、つまり案内音声を伴う運転への運転者の集中度が低下している状況において、運転者への振動が小さい場合には、運転者は振動に気づかないことがあるという問題がある。一方、案内音声への運転者の集中度が低下していない状況下で、運転者への振動が大きい場合には、振動が運転者を不快にさせてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、運転者を適切に振動させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る振動制御装置は、音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって運転者を振動させる振動制御装置であって、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得する取得部と、運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定する。このような構成によれば、運転者を適切に振動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る振動制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る振動制御装置の配置例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る振動機の配置例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る振動制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る振動制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態3に係る振動制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態4に係る振動制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】その他の変形例に係る振動制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】その他の変形例に係る振動制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図10】その他の変形例に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【
図11】その他の変形例に係る通信端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る振動制御装置1の構成を示すブロック図である。振動制御装置1は、会話測定装置3、運転者測定装置4、及び、振動機5と通信可能に接続され、会話測定装置3、及び、運転者測定装置4は、ナビゲーション装置2と通信可能に接続されている。ここでいう接続は、有線による接続でもよいし、無線による接続でもよい。
【0010】
ナビゲーション装置2は、車両の位置及び目的地に基づいて、当該位置と当該目的地との間の適切な経路を探索し、当該経路を案内する音声(以下、案内音声と記すこともある)を音声出力装置2aから運転者に通知する。なお、
図1の例では、音声出力装置2aはナビゲーション装置2に設けられているが、車両に設けられてもよい。
【0011】
ナビゲーション装置2は、音声出力装置2aが経路を案内する音声を運転者に通知する前に、会話測定装置3及び運転者測定装置4に、通知予定信号を通知する。
【0012】
会話測定装置3は、通知予定信号を受けると、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を生成し、当該運転者音声情報を振動制御装置1に出力する。本実施の形態1では、会話測定装置3は、通知予定信号を受けると、運転者の音声の音量を測定し、測定された音量に基づいて、運転者が発する音声の音量を含む運転者音声情報を生成する。なお、運転者が発する音声は、同乗者または携帯電話に対する運転者の会話でもよいし、運転者の歌声でもよい。
【0013】
運転者測定装置4は、通知予定信号を受けると、運転者の状況を判定し、当該状況を示す状況情報を生成し、当該状況情報を振動制御装置1に出力する。本実施の形態1では、運転者測定装置4は、通知予定信号を受けると、運転者の画像を取得し、当該画像に基づいて、運転者が会話しているか否かの判定結果を含む状況情報を生成する。
【0014】
振動制御装置1は、会話取得部11aと、運転者状況取得部11bと、振動制御部12とを備える。なお、会話取得部11a及び運転者状況取得部11bは、取得部の概念に含まれ、振動制御部12は、制御部の概念に含まれる。以下で説明するように、振動制御装置1は、音声出力装置2aが案内音声を運転者に通知する前に、振動機5によって運転者を振動させる制御が可能となっている。以下、振動制御装置1の各構成要素について詳細に説明する。
【0015】
会話取得部11aは、会話測定装置3から運転者音声情報を取得する。
図1の例では、会話取得部11aは、会話測定装置3のインターフェースであるが、これに限ったものではない。例えば、会話取得部11aは、会話測定装置3を含んでもよい。また例えば、会話測定装置3が運転者音声情報の生成に必要な情報を測定し、会話取得部11aが当該情報に基づいて運転者音声情報を生成するというように、会話測定装置3と会話取得部11aとが協働して運転者音声情報を取得してもよい。
【0016】
運転者状況取得部11bは、運転者測定装置4から状況情報を取得する。
図1の例では、運転者状況取得部11bは、運転者測定装置4のインターフェースであるが、これに限ったものではない。例えば、運転者状況取得部11bは、運転者測定装置4を含んでもよい。また例えば、運転者測定装置4が状況情報の生成に必要な情報を取得し、運転者状況取得部11bが当該情報に基づいて状況情報を生成するというように、運転者測定装置4と運転者状況取得部11bとが協働して状況情報を取得してもよい。
【0017】
振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報と、運転者状況取得部11bで取得された状況情報とに基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。本実施の形態1では、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報に基づいて、運転者が発する音声の音量が、予め定められた閾値x以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて振動機5から運転者への振動を決定する。
【0018】
振動制御部12は、例えば強さ、回数、時間及び振動パターンの少なくともいずれか1つが異なる複数の振動から1つの振動を決定する。なお本明細書において、例えばA、B、C、…、及び、Zの少なくともいずれか1つとは、A、B、C、…、及び、Zのグループから1つ以上抜き出した全ての組み合わせのうちのいずれか1つであることを意味する。以下では、振動制御部12は、強さが異なる複数の振動から1つの振動を決定する例について説明する。具体的には、振動制御部12は、音量が閾値x以上である場合に強い振動を決定し、音量が閾値x未満である場合に弱い振動を決定する例について説明する。
【0019】
なお本実施の形態1では、運転者状況取得部11bで取得される状況情報は、運転者が会話しているか否かの判定結果を示す。このような構成によれば、振動制御部12は、運転者音声情報と状況情報とに基づいて、運転者が会話中に発する音声の音量が閾値x以上であるか否かを判定可能となっている。しかしながら、運転者が発する音声の音量が、会話中の音量でなくてもよいのであれば、つまり歌声の音量などでもよいのであれば、運転者音声情報は必須でなく、運転者状況取得部11b及び運転者測定装置4も必須ではない。
【0020】
図2は、以上で説明した振動制御装置1、会話測定装置3及び運転者測定装置4の配置例を示す図である。
図2には、右ハンドル車両の室内の前方部分が示されており、具体的には、ハンドル8が設けられたダッシュボード7が示されている。
図2の例では、振動制御装置1及び会話測定装置3は、運転座席と助手席との間の前方のダッシュボード7に設けられ、運転者測定装置4は、運転座席の前方のダッシュボード7に設けられている。しかしながら、振動制御装置1、会話測定装置3及び運転者測定装置4の配置はこれに限ったものではない。例えば、振動制御装置1及び会話測定装置3は一体的に設けられてもよいし、後述するように、振動制御装置1は車両に設けられなくてもよい。
【0021】
図1の振動機5は、振動制御部12で決定された振動で運転者を振動する。音声出力装置2aが案内音声を運転者に通知する前に、ナビゲーション装置2からの通知予定信号の通知と、振動制御装置1による振動の決定とが行われるので、振動機5は案内音声の通知前に運転者を振動可能となっている。
【0022】
図3は、それぞれが振動機5である振動機5a~5dの配置例を示す図である。
図3には、背もたれ部SH1と座面部SH2とを含む運転座席が示されている。振動機5aは、背もたれ部SH1の中心部分と左端部分との間に設けられ、振動機5bは、背もたれ部SH1の中心部分と右端部分との間に設けられている。振動機5cは、座面部SH2の中心部分と左端部分との間に設けられ、振動機5dは、座面部SH2の中心部分と右端部分との間に設けられている。なお、振動機5は、運転者に振動を与えることができるのであれば、振動機5の数及び配置は上記に限ったものではない。例えば、振動機5の数は4個ではなく8個でもよいし、振動機5は、背もたれ部SH1及び座面部SH2以外に設けられてもよい。
【0023】
図4は、本実施の形態1に係る振動制御装置1の動作を示すフローチャートである。なお、この動作は、ナビゲーション装置2が案内音声を通知可能な状態になると開始する。
【0024】
ステップS1にて、ナビゲーション装置2は、車両の一定距離走行後に、音声出力装置2aが案内音声を運転者に通知するか否かを判定する。車両の一定距離走行後に、音声出力装置2aが案内音声を通知すると判定された場合には、ナビゲーション装置2は通知予定信号を通知して処理がステップS2に進む。音声出力装置2aが案内音声を通知すると判定された場合には、ステップS1の処理が再度行われる。
【0025】
ステップS2にて、運転者測定装置4は状況情報を生成する。
【0026】
ステップS3にて、運転者状況取得部11bは、運転者測定装置4から状況情報を取得し、振動制御部12は、運転者状況取得部11bで取得された状況情報に基づいて、運転者が会話しているか否かを判定する。運転者が会話していると判定された場合には処理がステップS4に進み、運転者が会話していないと判定された場合には処理がステップS1に戻る。
【0027】
ステップS4にて、会話測定装置3は、運転者の音声の音量を測定し、当該音量を含む運転者音声情報を生成する。
【0028】
ステップS5にて、会話取得部11aは、会話測定装置3から運転者音声情報を取得し、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報に基づいて、運転者の音声の音量が閾値x以上であるか否かを判定する。音量が閾値x以上であると判定された場合には処理がステップS6に進み、音量が閾値x未満であると判定された場合には処理がステップS7に進む。
【0029】
ステップS6にて、振動制御部12は、振動機5の振動として、ステップS7で決定される第1振動よりも強い第2振動を決定する。その後、ステップS8に処理が進む。
【0030】
ステップS7にて、振動制御部12は、振動機5の振動として、第1振動を決定する。その後、ステップS8に処理が進む。
【0031】
ステップS8にて、振動制御部12は振動機5を制御することによって、振動機5は、振動制御部12で決定された振動で運転者を振動する。その後、
図4の動作が終了する。図示しないが、ステップS8の後に、音声出力装置2aは案内音声を運転者に通知する。
【0032】
なお、
図4では、振動制御部12は、1つの閾値xを用いることによって2つの振動の中から1つの振動を決定したが、これに限ったものではない。例えば、振動制御部12は、n個の閾値xを用いることによって(n+1)の振動の中から1つの振動を決定してもよい。
【0033】
また、以上の説明では、ステップS3にて運転者が会話しているか否かを判定してから、ステップS5にて運転者の音声の音量が閾値x以上であるか否かを判定した。しかしこれに限ったものではなく、ステップS2,S3を行なわずに、運転者の歌声などの音量が閾値x以上であるか否かを判定してもよい。
【0034】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る振動制御装置1によれば、運転者が発する音声の音量を含む運転者音声情報に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。このような構成によれば、例えば、運転者の会話の音量が大きくて、会話への運転者の集中度が高い場合、換言すれば案内音声への運転者の集中度が低い場合には、運転者に強い振動を与えることができる。これにより、運転者が案内音声を聞き逃すことを抑制することができる。一方、運転者が会話をしていない場合などのように、案内音声への集中度が高い場合には、運転者に弱い振動を与えることができる。これにより、振動が運転者を不快にさせることを抑制することができる。
【0035】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る振動制御装置1のブロック図は、
図1と同様である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0036】
実施の形態1では、会話測定装置3が、運転者の音声の音量を含む運転者音声情報を生成し、会話取得部11aは、会話測定装置3で生成された運転者音声情報を取得する。しかしながら、運転者の会話中の音量が概ね大きいにもかかわらず、運転者音声情報が生成される瞬間において当該音量がたまたま低い場合には、振動制御部12は音量が低いと判定してしまい、運転者に強い振動を与えることができなくなる場合がある。
【0037】
そこで、本実施の形態2では、会話測定装置3は、運転者が発する音声の音量を一定時間測定し、当該音声の音量を時間で積分して得られる積分値を含む運転者音声情報を生成し、会話取得部11aは、会話測定装置3で生成された運転者音声情報を取得する。なお、積分は、例えば、音量を測定する一定時間をt秒間とし、音量の取得回数を1回/秒として、t秒間の音量を累積的に加算する計算でもよいし、その加算で得られた音量の加算値を加算回数(取得回数が1回/秒である場合にはt)で除算する計算でもよい。
【0038】
本実施の形態2では、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報に基づいて、音量の積分値が、予め定められた閾値y以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて振動機5から運転者への振動を決定する。
【0039】
図5は、本実施の形態2に係る振動制御装置1の動作を示すフローチャートである。
図5の動作は、
図4の動作のうちステップS4,S5をステップS11~S14に置き換えた動作と同様である。このため、以下ではステップS11~S14の動作について主に説明する。
【0040】
ステップS3からステップS11に処理が進んだ場合、会話測定装置3は、運転者の音声の音量を測定する。
【0041】
ステップS12にて、会話測定装置3は、ステップS11の音量測定時間がt秒以上であるか否かを判定する。音量測定時間がt秒以上である場合には処理がステップS13に進み、音量測定時間がt秒未満である場合には処理がステップS11に戻る。
【0042】
ステップS13にて、会話測定装置3は、音声の音量を時間で積分して得られる積分値を含む運転者音声情報を生成する。
【0043】
ステップS14にて、会話取得部11aは会話測定装置3から運転者音声情報を取得し、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報に基づいて、音量の積分値が閾値y以上であるか否かを判定する。積分値が閾値y以上であると判定された場合には処理がステップS6に進み、積分値が閾値y未満であると判定された場合には処理がステップS7に進む。これ以降の動作は実施の形態1と同様である。これにより、積分値が閾値y以上である場合には、強い振動が決定され、積分値が閾値y未満である場合には、弱い振動が決定される。
【0044】
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る振動制御装置1によれば、運転者が発する音声の音量を時間で積分して得られる積分値を含む運転者音声情報に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。このような構成によれば、運転者の会話中の瞬間的な音量ではなく、一定期間の音量に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定することができる。
【0045】
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る振動制御装置1のブロック図は、
図1と同様である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0046】
実施の形態1では、振動制御部12は、運転者が発する音声の音量を含む運転者音声情報に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定した。しかしながら、例えば運転者が、普段から音声の音量が大きい人である場合などには、案内音声を伴う運転への運転者の集中度が高いにもかかわらず、運転者に強い振動を与えて運転者を不快にさせてしまう場合がある。
【0047】
そこで、本実施の形態3では、運転者測定装置4は、運転者の目線及び手の動きに基づいて、運転への運転者の集中度である運転集中度を判定する。例えば、運転者測定装置4は、運転者が会話をしながら手を動かしていると判定した場合、または、運転者の目線が同乗者の方に複数回向いていると判定した場合には、会話への運転者の集中度が高いと判定して、運転集中度を低くする。そして、運転者測定装置4は、運転集中度を含む状況情報を生成し、当該状況情報を振動制御装置1に出力する。
【0048】
運転者状況取得部11bは、運転集中度を含む状況情報を取得し、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報と、運転者状況取得部11bで取得された運転集中度を含む状況情報とに基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。例えば、振動制御部12は、運転者音声情報に基づいて、運転者が発する音声の音量が、予め定められた閾値x以上であるか否かを判定する。また、振動制御部12は、状況情報に基づいて、運転集中度が、予め定められた閾値z以上であるか否かを判定する。そして、振動制御部12は、これらの判定結果に基づいて振動機5から運転者への振動を決定する。
【0049】
図6は、本実施の形態3に係る振動制御装置1の動作を示すフローチャートである。
図6の動作は、
図4の動作のうちステップS2をステップS21に置き換え、ステップS5とステップS6との間にステップS22を追加した動作と同様である。このため、以下ではステップS21,S22の動作について主に説明する。
【0050】
ステップS1からステップS21に処理が進んだ場合、運転者測定装置4は、運転集中度を含む状況情報を生成する。その後、ステップS3に処理が進む。
【0051】
ステップS5からステップS22に処理が進んだ場合、振動制御部12は、状況情報に基づいて、運転集中度が閾値z以上であるか否かを判定する。運転集中度が閾値z以上であると判定された場合には処理がステップS7に進み、運転集中度が閾値z未満であると判定された場合には処理がステップS6に進む。これ以降の動作は実施の形態1と同様である。これにより、運転集中度が閾値z未満である場合には、強い振動が決定され、運転集中度が閾値z以上である場合には、弱い振動が決定される。
【0052】
なお、
図6では、振動制御部12は、運転者音声情報と、運転集中度を含む状況情報とに基づいて、振動機5の振動として、2つの振動(第1振動及び第2振動)のいずれかを決定したが、これに限ったものではない。例えば、振動制御部12は、運転者音声情報と、運転集中度を含む状況情報との組み合わせに基づいて、振動機5の振動として、4つの振動のいずれかを決定してもよい。
【0053】
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る振動制御装置1によれば、運転者音声情報と、運転集中度を含む状況情報とに基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。このような構成によれば、案内音声を伴う運転への運転者の集中度が高いにもかかわらず、換言すれば会話への集中度が低いにもかかわらず、運転者に強い振動を与えて運転者を不快にさせてしまうことを抑制することができる。
【0054】
なお、以上の説明では、本実施の形態3を実施の形態1に適用したが、実施の形態2に適用してもよい。
【0055】
<実施の形態4>
本実施の形態4に係る振動制御装置1のブロック図は、
図1と同様である。以下、本実施の形態4に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0056】
実施の形態3で説明したように、実施の形態1では、案内音声を伴う運転への運転者の集中度が高いにもかかわらず、運転者に強い振動を与えて運転者を不快にさせてしまう場合がある。
【0057】
そこで、本実施の形態4では、会話測定装置3は、運転者及び同乗者の会話の内容に基づいて、会話への運転者の集中度である会話集中度を判定する。例えば、会話測定装置3は、会話内容が「見て」のような注目を促すような言葉を含んでいると判定した場合には、会話集中度を高くする。そして、会話測定装置3は、会話集中度を含む運転者音声情報を生成し、当該運転者音声情報を振動制御装置1に出力する。
【0058】
会話取得部11aは、会話集中度を含む運転者音声情報を取得し、振動制御部12は、運転者音声情報に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。例えば、振動制御部12は、会話取得部11aで取得された運転者音声情報に基づいて、会話集中度が、予め定められた閾値w以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて振動機5から運転者への振動を決定する。なお、本実施の形態4では、運転者状況取得部11b及び運転者測定装置4は必須ではない。
【0059】
図7は、本実施の形態4に係る振動制御装置1の動作を示すフローチャートである。
図7の動作は、
図4の動作のうちステップS2からステップS5をステップS31,S32に置き換えた動作と同様である。このため、以下ではステップS31,S32の動作について主に説明する。
【0060】
ステップS1からステップS31に進んだ場合、会話測定装置3は、会話集中度を含む運転者音声情報を生成する。
【0061】
ステップS32にて、振動制御部12は、運転者音声情報に基づいて、会話集中度が閾値w以上であるか否かを判定する。会話集中度が閾値w以上であるか否かを判定する。会話集中度が閾値w以上であると判定された場合には処理がステップS6に進み、会話集中度が閾値w未満であると判定された場合には処理がステップS7に進む。これ以降の動作は実施の形態1と同様である。これにより、会話集中度が閾値w以上である場合には、強い振動が決定され、会話集中度が閾値w未満である場合には、弱い振動が決定される。
【0062】
<実施の形態4のまとめ>
以上のような本実施の形態4に係る振動制御装置1によれば、会話集中度を含む運転者音声情報に基づいて、振動機5から運転者への振動を決定する。このような構成によれば、会話への集中度が低いにもかかわらず、運転者に強い振動を与えて運転者を不快にさせてしまうことを抑制することができる。
【0063】
<その他の変形例>
上述した
図1の会話取得部11a及び運転者状況取得部11bを含む取得部と、振動制御部12を含む制御部とを、以下「取得部等」と記す。取得部等は、
図8に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得する取得部と、運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定する制御部と、を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されてもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されてもよい。プロセッサには、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0064】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。取得部等の各部の機能それぞれは、処理回路を分散させた回路で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0065】
処理回路81がプロセッサである場合、取得部等の機能は、ソフトウェア等との組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェア等には、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア及びファームウェアが該当する。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。
図9に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、振動制御装置1は、処理回路81により実行されるときに、運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得するステップと、運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定するステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、取得部等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、それらのドライブ装置、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0066】
以上、取得部等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、取得部等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、取得部については専用のハードウェアとしての処理回路81でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0067】
以上のように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0068】
また、以上で説明した振動制御装置は、車両装置と、通信端末と、車両装置及び通信端末の少なくとも1つにインストールされるアプリケーションの機能と、サーバとを適宜に組み合わせてシステムとして構築される振動制御システムにも適用することができる。通信端末は、例えば、携帯電話、スマートフォン及びタブレットなどを含む。以上で説明した振動制御装置の各機能あるいは各構成要素は、前記システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0069】
図10は、本変形例に係るサーバ91の構成を示すブロック図である。
図10のサーバ91は、通信部91aと制御部91bとを備えており、車両92の車両装置93と無線通信を行うことが可能となっている。
【0070】
取得部である通信部91aは、車両装置93と無線通信を行うことにより、車両装置93で取得された運転者音声情報を受信する。
【0071】
制御部91bは、サーバ91の図示しないプロセッサなどが、サーバ91の図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、
図1の振動制御部12と同様の機能を有している。つまり、制御部91bは、運転者音声情報に基づいて、振動機から運転者への振動を決定する。そして、通信部91aは、制御部91bの決定結果を示す信号を車両装置93に送信する。このように構成されたサーバ91によれば、実施の形態1で説明した振動制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
図11は、本変形例に係る通信端末96の構成を示すブロック図である。
図11の通信端末96は、通信部91aと同様の通信部96aと、制御部91bと同様の制御部96bとを備えており、車両97の車両装置98と無線通信を行うことが可能となっている。なお、通信端末96には、例えば車両97の運転者が携帯する携帯電話、スマートフォン、及びタブレットなどの携帯端末が適用される。このように構成された通信端末96によれば、実施の形態1で説明した振動制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0073】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0074】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0075】
(付記1)
音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって前記運転者を振動させる振動制御装置であって、
前記運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得する取得部と、
前記運転者音声情報に基づいて、前記振動機から前記運転者への振動を決定する制御部と、
を備える、振動制御装置。
【0076】
(付記2)
前記運転者音声情報は、前記運転者が発する音声の音量を含む、付記1に記載の振動制御装置。
【0077】
(付記3)
前記運転者音声情報は、前記運転者が発する音声の音量を時間で積分して得られる積分値を含む、付記1に記載の振動制御装置。
【0078】
(付記4)
前記運転者音声情報は、会話への前記運転者の集中度である会話集中度を含む、付記1に記載の振動制御装置。
【0079】
(付記5)
前記取得部は、運転への前記運転者の集中度である運転集中度をさらに取得し、
前記制御部は、前記運転者音声情報と、前記運転集中度とに基づいて、前記振動を決定する、付記1から付記4のうちのいずれか1項に記載の振動制御装置。
【0080】
(付記6)
音声出力装置が運転者に音声を通知する前に、振動機によって前記運転者を振動させる振動制御方法であって、
前記運転者に関する音声の情報である運転者音声情報を取得し、
前記運転者音声情報に基づいて、前記振動機から前記運転者への振動を決定する、振動制御方法。
【符号の説明】
【0081】
1 振動制御装置、2a 音声出力装置、5 振動機、11a 会話取得部、11b 運転者状況取得部、12 振動制御部。