IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精工株式会社の特許一覧 ▶ 多摩川精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-回転センサ一体型軸受 図1
  • 特開-回転センサ一体型軸受 図2
  • 特開-回転センサ一体型軸受 図3
  • 特開-回転センサ一体型軸受 図4
  • 特開-回転センサ一体型軸受 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151540
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】回転センサ一体型軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 41/00 20060101AFI20241018BHJP
   H02K 11/225 20160101ALI20241018BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20241018BHJP
   F16C 19/52 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F16C41/00
H02K11/225
F16C19/06
F16C19/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064973
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】梅井 玲於奈
(72)【発明者】
【氏名】野元 宣寿
(72)【発明者】
【氏名】小柴 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宏泰
(72)【発明者】
【氏名】村松 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】平栗 征一
【テーマコード(参考)】
3J217
3J701
5H611
【Fターム(参考)】
3J217JA02
3J217JA12
3J217JA24
3J217JA32
3J217JA42
3J217JB14
3J217JB26
3J217JB32
3J217JB56
3J217JB63
3J217JB70
3J217JB83
3J701AA02
3J701AA12
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA77
3J701CA13
3J701CA14
3J701FA46
3J701GA01
3J701GA24
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB02
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR01
5H611UA05
5H611UA08
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】回転センサのセンサステータと軸受とを容易に一体化する。
【解決手段】回転センサ一体型軸受1は、回転軸6を支持する軸受2と、回転軸6の回転を検出する回転センサのセンサステータ3と、軸受2に係合する第1係合部41とセンサステータ3に係合する第2係合部42とを有し、センサステータ3と軸受2とを連結する連結部4と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を支持する軸受と、
前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータと、
前記軸受に係合する第1係合部と前記センサステータに係合する第2係合部とを有し、前記センサステータと前記軸受とを連結する連結部と、を備える、回転センサ一体型軸受。
【請求項2】
前記軸受の外輪の内径面には係合溝が設けられており、
前記第1係合部は、径方向の外側に向って突出する形状を呈しており、
前記連結部は、前記第1係合部が前記係合溝に嵌め込まれることによって、前記外輪に係合する、請求項1に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項3】
前記第2係合部は、前記センサステータの樹脂部分に埋め込まれることによって、前記センサステータに係合する、請求項1に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項4】
前記第2係合部は、前記軸受側から前記センサステータ側に向うにしたがって径方向の外側に向って延びる又は径方向の内側に向って延びる形状を呈している、請求項3に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項5】
前記第2係合部は、径方向の外側に向って立ち上がる又は径方向の内側に向って立ち上がる立上り部を有している、請求項3に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項6】
前記回転センサは、レゾルバであり、
前記センサステータは、周方向に沿って並べて配置されるとともに、前記回転軸に設けられたロータの回転を検出する複数のコイルを備え、
前記連結部は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ前記複数のコイルの外側に配置され、
前記第2係合部には、切欠部が複数設けられている、請求項3~5のいずれか一項に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項7】
前記切欠部は、径方向において前記コイルと対向する位置に設けられている、請求項6に記載の回転センサ一体型軸受。
【請求項8】
前記回転センサは、レゾルバであり、
前記センサステータは、周方向に沿って並べて配置されるとともに、前記回転軸に設けられたロータの回転を検出する複数のコイルを備え、
前記連結部は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ前記複数のコイルの外側に配置され、
前記第2係合部は、径方向の内側に向って立ち上がる立上り部を有し、
前記立上り部における立ち上がり方向の先端側の端縁は、軸方向に沿って見たときに多角形状を呈している、請求項3に記載の回転センサ一体型軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転センサのセンサステータと軸受とが一体に構成された回転センサ一体型軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸を支持する軸受に近接した位置に、回転軸の回転を検出する回転センサが設けられることがある。軸受に近接した位置に回転センサを設ける構成が、例えば特許文献1に開示されている。この文献には、ハウジングに固定された固定部材が軸受の外輪を支持しつつ回転センサのセンサステータを保持することにより、センサステータを軸受に近接させて設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-172345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサステータは、回転軸の回転を検出できるように適切な位置に設けられる必要がある。特許文献1に記載された構成では、センサステータが固定部材を介してハウジングに取り付けられている。このため、この構成では、ハウジングと回転軸との位置関係が適切となるように高い加工精度が求められ、センサステータを軸受に近接させて設けることが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、回転センサのセンサステータと軸受とを容易に一体化することが可能な回転センサ一体型軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、[1]「回転軸を支持する軸受と、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータと、前記軸受に係合する第1係合部と前記センサステータに係合する第2係合部とを有し、前記センサステータと前記軸受とを連結する連結部と、を備える、回転センサ一体型軸受。」である。
【0007】
この回転センサ一体型軸受において、連結部は、軸受に係合する第1係合部とセンサステータに係合する第2係合部とを有している。すなわち、センサステータは、連結部によって軸受に連結されている。これにより、回転センサ一体型軸受は、連結部を用いることによって、回転センサのセンサステータと軸受とを容易に一体化することができる。
【0008】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[2]「前記軸受の外輪の内径面には係合溝が設けられており、前記第1係合部は、径方向の外側に向って突出する形状を呈しており、前記連結部は、前記第1係合部が前記係合溝に嵌め込まれることによって、前記外輪に係合する、上記[1]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受は、連結部の第1係合部を外輪の係合溝に嵌め込むことによって、連結部を外輪に容易に取り付けることができる。
【0009】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[3]「前記第2係合部は、前記センサステータの樹脂部分に埋め込まれることによって、前記センサステータに係合する、上記[1]又は[2]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受では、ねじ等の固定具を用いることなく、インサート成形等の種々の方法によって連結部とセンサステータとを一体化させることができる。これにより、回転センサ一体型軸受は、ねじ等の部品点数の増加抑制しつつ、連結部とセンサステータとを係合させることができる。また、第2係合部が埋め込まれるセンサステータの樹脂部分は、連結部を保持するホルダとしての機能も兼ねている。このため、回転センサ一体型軸受は、連結部を備える場合であっても、軸方向の厚さが増加することを抑制できる。
【0010】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[4]「前記第2係合部は、前記軸受側から前記センサステータ側に向うにしたがって径方向の外側に向って延びる又は径方向の内側に向って延びる形状を呈している、上記[3]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この回転センサ一体型軸受では、軸方向に対して第2係合部が傾斜している。これにより、回転センサ一体型軸受は、傾斜する第2係合部がセンサステータの樹脂部分に引っ掛かることによって、センサステータから連結部の第2係合部が抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。
【0011】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[5]「前記第2係合部は、径方向の外側に向って立ち上がる又は径方向の内側に向って立ち上がる立上り部を有している、上記[3]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受は、センサステータの樹脂部分に埋設された立上り部が引っ掛かることによって、センサステータから連結部の第2係合部が抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。
【0012】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[6]「前記回転センサは、レゾルバであり、前記センサステータは、周方向に沿って並べて配置されるとともに、前記回転軸に設けられたロータの回転を検出する複数のコイルを備え、前記連結部は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ前記複数のコイルの外側に配置され、前記第2係合部には、切欠部が複数設けられている、上記[3]~[5]のいずれかに記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受は、センサステータの樹脂部分に埋め込まれた第2係合部に切欠部を設けることによって、連結部とセンサステータとが周方向に相対回転することを抑制できる。
【0013】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[7]「前記切欠部は、径方向において前記コイルと対向する位置に設けられている、上記[6]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受は、コイルと対向する位置に設けられた切欠き部によって、連結部とセンサステータとが周方向に相対回転することを抑制できる。
【0014】
本発明の回転センサ一体型軸受は、[8]「前記回転センサは、レゾルバであり、前記センサステータは、周方向に沿って並べて配置されるとともに、前記回転軸に設けられたロータの回転を検出する複数のコイルを備え、前記連結部は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ前記複数のコイルの外側に配置され、前記第2係合部は、径方向の内側に向って立ち上がる立上り部を有し、前記立上り部における立ち上がり方向の先端側の端縁は、軸方向に沿って見たときに多角形状を呈している、上記[3]に記載の回転センサ一体型軸受。」であってもよい。この場合、回転センサ一体型軸受は、センサステータの樹脂部分に埋め込まれた第2係合部の内周縁の形状を多角形状とすることによって、連結部とセンサステータとが周方向に相対回転することを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転センサのセンサステータと軸受とを容易に一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、回転センサ一体型軸受の正面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った回転センサ一体型軸受の一部分の断面図である。
図3図3は、連結部の正面図である。
図4図4(a)は、変形例に係る連結部の正面図である。図4(b)は、他の変型例に係る連結部の正面図である。
図5図5は、変形例に係る回転センサ一体型軸受の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1及び図2に示されるように、回転センサ一体型軸受1は、軸受2、センサステータ3、及び連結部4を備えている。軸受2は、ハウジング5に対して回転軸6を回転可能に支持する(図2参照)。回転軸6は、例えば、ハイブリッド自動車又は電気自動車の電動モータ又はモータジェネレータの回転軸であってもよい。以下、軸受2の中心線Aに平行な方向を軸方向といい、中心線Aに垂直な方向を径方向といい、中心線Aに平行な方向から見た場合に中心線Aを中心とする円周に沿った方向を周方向という。
【0019】
軸受2は、内輪21、外輪22、及び複数の玉23を備えている。内輪21は、円環状に形成されている、内輪21の内径面21aには、回転軸6が嵌め合わされる。内輪21の外径面21bには、周方向に沿って円環状に延在する内輪軌道面21cが形成されている。内輪軌道面21cは、玉23に対応した形状に形成されている。
【0020】
外輪22は、円環状に形成されている。外輪22の内径面22aには、周方向に沿って円環状に延在する外輪軌道面22cが形成されている。外輪軌道面22cは、玉23に対応した形状に形成されている。外輪22の外径面22bには、ハウジング5が嵌め合わされる。また、外輪22の内径面22aには、係合溝22dが形成されている。本実施形態において、係合溝22dは、周方向に沿って円環状に延在している。係合溝22dは、外輪軌道面22cよりもセンサステータ3側に設けられている。
【0021】
複数の玉23の各々は、球状に形成されている。複数の玉23は、内輪軌道面21cと外輪軌道面22cとの間に配置されている。複数の玉23は、保持器により保持されていてもよい。このように、軸受2は、内輪21、外輪22、及び複数の玉23を有する玉軸受として構成されている。但し、軸受2は、玉軸受に限定されず、他のタイプの転がり軸受であってもよい。
【0022】
センサステータ3は、軸方向において軸受2に隣接して設けられている。センサステータ3は、回転軸6の回転を検出する回転センサのステータとして機能する。本実施形態において、センサステータ3は、回転軸6に設けられたロータ7とによって、回転センサとしてのレゾルバを構成する。センサステータ3は、ロータ7の径方向の外側に、径方向隙間(ギャップ)Cを介して配置されている。ロータ7は、回転軸6とともに回転する。ロータ7は、回転によってセンサステータ3との径方向隙間Cが変化するように、周方向にわたって外径寸法を異ならせた非円形形状を呈している。回転軸6の回転とともにロータ7が一体的に回転し、センサステータ3に設けられたティース32とロータ7との径方向隙間Cが変化する。これにより、センサステータ3は、ティース32に巻かれたコイル35によって回転軸6の回転角に応じた電圧を得ることができる。
【0023】
より詳細には、センサステータ3は、ステータコア31、複数のティース32、第1インシュレータ33、第2インシュレータ34、及び複数のコイル35を備えている。ステータコア31は、略円環状を呈している。複数のティース32は、ステータコア31の内周面から径方向の内側に向けて突出している。複数のティース32は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並べて設けられている。ステータコア31及びティース32は、電磁鋼板によって構成されている。また、ステータコア31及びティース32は、軸方向において複数の電磁鋼板を積層することによって構成されていてもよい。
【0024】
第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、ステータコア31及びティース32を挟み込むようにして設けられている。コイル35は、第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34を介してティース32に巻かれている。複数のコイル35は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並べて設けられている。上述したように、コイル35は、ティース32とロータ7との径方向隙間Cの変化に応じた電圧を発生させることによって、回転軸6に設けられたロータ7の回転を検出する。第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、それぞれ絶縁性を有する樹脂材料(合成樹脂等)によって形成されている。第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、ティース32とコイル35とを電気的に絶縁する。本実施形態において、第2インシュレータ34は、第1インシュレータ33よりも軸受2側に設けられている。
【0025】
また、本実施形態において第1インシュレータ33には、径方向の外側に向って突出する端子台36が取り付けられている。端子台36には、コイル35に接続された端子が複数設けられている。回転軸6の回転に伴ってコイル35によって得られた回転角に応じた電圧は、端子台36に設けられた端子を介してセンサステータ3外に導出され、回転軸6の回転角の検出に用いられる。なお、端子台36は、径方向外側に向って突出するように設けられることに限定されない。例えば、端子台36は、第1インシュレータ33から軸方向に沿って突出するように設けられていてもよい。
【0026】
連結部4は、軸受2とセンサステータ3とを連結する。これにより、センサステータ3は、連結部4を介して軸受2に支持(保持)される。つまり、連結部4は、ハウジング5の精度の影響を受けることなく、軸受2に近接させてセンサステータ3を配置することができる。なお、本実施形態において、連結部4は、軸受2の外輪22とセンサステータ3とを連結する。連結部4は、一例として、金属材料によって形成されている。但し、連結部4は、金属以外の材料によって形成されていてもよい。連結部4は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ複数のコイル35の外側に配置されている。
【0027】
図1図3に示されるように、連結部4は、第1係合部41、第2係合部42、及び本体部43を備えている。本体部43は、環状を呈する略筒状の部材である。本体部43の内径及び外径は、内輪21の外径よりも大きく、外輪22の内径よりも小さい径となっている。
【0028】
第1係合部41は、本体部43における軸受2側の端部に設けられている。第1係合部41は、軸受2の外輪22に係合する。第1係合部41は、本体部43から径方向の外側に向って突出する形状を呈している。なお、本実施形態において、第2係合部42は、突出方向の先端部が円弧状に折り返されている。また、本実施形態において、第2係合部42は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて3つ設けられている。但し、第2係合部42の数は、3つに限定されない。例えば、第2係合部42は、周方向の全域にわたって設けられていてもよい。また、第2係合部42は、周方向に沿って互いに不等間隔で並ぶように設けられていてもよい。連結部4は、第1係合部41が外輪22の係合溝22dに嵌め込まれることによって、外輪22に係合する。ここでは、連結部4は、第1係合部41が加締めによって外輪22の係合溝22dに嵌め込まれることによって、外輪22に係合する。
【0029】
第2係合部42は、本体部43におけるセンサステータ3側の端部に設けられている。第2係合部42は、センサステータ3に係合する。本実施形態において、第2係合部42は、センサステータ3の第2インシュレータ34に係合する。また、第2係合部42は、センサステータ3の樹脂部分である第2インシュレータ34に埋め込まれることによって、第2係合部42に係合する。
【0030】
第2係合部42は、径方向の内側に向って立ち上がる立上り部42aを有している。立上り部42aは、本実施形態では一例として、周方向の全域にわたって設けられている。第2係合部42の立上り部42aは、第2インシュレータ34に埋め込まれている。例えば、第2係合部42(立上り部42a)は、インサート成形によって第2インシュレータ34に埋め込まれ、第2インシュレータ34と一体化される。
【0031】
第2係合部42の立上り部42aには、切欠部42bが複数設けられている。切欠部42bは、立上り部42aにおける立ち上がり方向の先端側の縁部(立上り部42aの内周縁)の一部を円弧状に切り取った形状を呈している。切欠部42bは、コイル35と同数設けられている。複数の切欠部42bのそれぞれは、複数のコイル35のぞれぞれと径方向において対向する位置に設けられている。なお、切欠部42bの数は、コイル35と同数であることに限定されない。例えば、切欠部42bの数は、コイル35の数の約数であってもよく、コイル35の数の倍数であってもよい。
【0032】
以上のように、この回転センサ一体型軸受1において、連結部4は、軸受2に係合する第1係合部41とセンサステータ3に係合する第2係合部42とを有している。すなわち、センサステータ3は、連結部4によって軸受2に連結されている。これにより、回転センサ一体型軸受1は、連結部4を用いることによって、回転センサのセンサステータ3と軸受2とを容易に一体化することができる。
【0033】
また、回転センサ一体型軸受1は、連結部4を用いることによって、回転軸6を支持する軸受2と回転軸6の回転を検出するセンサステータ3とを近接した状態で互いに連結することができる。これにより、回転センサ一体型軸受1は、軸受2に近接した位置において回転軸6の回転状態をより精度良く検出することが可能となる。
【0034】
連結部4は、軸受2の外輪22に設けられた係合溝22dに第1係合部41が嵌め込まれることによって、外輪22に係合する。この場合、回転センサ一体型軸受1は、連結部4の第1係合部41を外輪22の係合溝22dに嵌め込むことによって、連結部4を外輪22に容易に取り付けることができる。
【0035】
連結部4の第2係合部42は、センサステータ3の樹脂部分である第2インシュレータ34に埋め込まれている。この場合、回転センサ一体型軸受1では、ねじ等の固定具を用いることなく、インサート成形等の種々の方法によって連結部4とセンサステータ3とを一体化させることができる。これにより、回転センサ一体型軸受1は、ねじ等の部品点数の増加抑制しつつ、連結部4とセンサステータ3とを係合させることができる。また、第2係合部42が埋め込まれる第2インシュレータ34は、連結部4を保持するホルダとしての機能も兼ねている。このため、回転センサ一体型軸受1は、連結部4を備える場合であっても、軸方向の厚さが増加することを抑制できる。
【0036】
第2係合部42は、センサステータ3の第2インシュレータ34に係合する。このため、回転センサ一体型軸受1は、ステータコア31及びティース32に圧縮応力を加えることなく、センサステータ3(第2インシュレータ34)と連結部4とを連結することができる。これにより、回転センサ一体型軸受1は、検出精度の低下を抑制しつつ、センサステータ3と連結部4とを連結することができる。
【0037】
連結部4の第2係合部42は、径方向の内側に向って立ち上がる立上り部42aを有している。立上り部42aは、第2インシュレータ34に埋め込まれている。この場合、回転センサ一体型軸受1は、第2インシュレータ34に埋設された立上り部42aが引っ掛かることによって、センサステータ3から連結部4の第2係合部42が抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。
【0038】
連結部4の第2係合部42には、切欠部42bが複数設けられている。この場合、回転センサ一体型軸受1は、第2インシュレータ34に埋め込まれた第2係合部42に切欠部42bを設けることによって、連結部4とセンサステータ3(第2インシュレータ34)とが周方向に相対回転することを抑制できる。
【0039】
切欠部42bは、径方向においてコイル35と対向する位置に設けられている。この場合、回転センサ一体型軸受1は、コイル35と対向する位置に設けられた切欠部42bによって、連結部4とセンサステータ3(第2インシュレータ34)とが周方向に相対回転することを抑制できる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、第2係合部42の立上り部42aに設けられる切欠部42bの形状は、図3に示されるように円弧状であることに限定されない。例えば、図4(a)に示されるように、第2係合部42の立上り部42aには、円弧状の切欠部42bに代えて略矩形状の切欠部42cが設けられていてもよい。
【0041】
また、回転センサ一体型軸受1は、上述した連結部4に代えて、図4(b)に示される連結部4Aを備えていてもよい。連結部4Aは、第1係合部41、第2係合部42A、及び本体部43を備えている。第2係合部42Aは、立上り部42aを有している。第2係合部42Aの立上り部42aは、第2インシュレータ34に埋め込まれる。立上り部42aにおける立ち上がり方向の先端側の端縁42dは、軸方向に沿って見たときに多角形状を呈している。つまり、立上り部42aの内周縁は、軸方向に沿って見たときに多角形状を呈している。なお、第2係合部42Aの端縁42dにおける多角形状の角部Kの数は、コイル35の数と一致している。また、多角形状における角部Kと角部Kとの間の辺部Hは、径方向においてコイル35と対向している。これに限定されず、多角形状における角部Kが、径方向においてコイル35と対向する構成であってもよい。このように、回転センサ一体型軸受1は、第2インシュレータ34に埋め込まれた第2係合部42Aの端縁42dを多角形状とすることによって、連結部4Aとセンサステータ3(第2インシュレータ34)とが周方向に相対回転することを抑制できる。
【0042】
例えば、上記では、第2係合部42等が有する立上り部42aが径方向の内側に向って立ち上がる場合を例に説明した。これに限定されず、第2係合部42等が有する立上り部は、径方向の外側に向って立ち上がる構成であってもよい。そして、この径方向の外側に向って立ち上がる立上り部が、第2インシュレータ34に埋め込まれていればよい。この場合であっても、回転センサ一体型軸受1は、センサステータ3から連結部4の第2係合部42等が抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。
【0043】
例えば図5に示されるように、回転センサ一体型軸受1Aは、上述した実施形態に係る連結部4に代えて形状の異なる連結部4Bを備えていてもよい。連結部4Bは、第1係合部41、第2係合部42B、及び本体部43を備えている。第2係合部42Bは、円環状を呈している。また、第2係合部42Bは、軸受2側からセンサステータ3側に向うにしたがって径方向の内側に向って延びる形状(テーパ形状)を呈している。なお、本体部43も、第2係合部42の形状に沿ってテーパ形状を呈していてもよい。第2係合部42Bは、第2インシュレータ34に埋め込まれている。この場合、回転センサ一体型軸受1Aは、傾斜する第2係合部42Bが第2インシュレータ34に引っ掛かることによって、センサステータ3から第2係合部42Bが抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。なお、このテーパ状の第2係合部42Bの先端部に、上述した切欠部42b又は42cが設けられていてもよい。
【0044】
なお、第2係合部は、図5に示される第2係合部42Bとは逆に、軸受2側からセンサステータ3側に向うにしたがって径方向の外側に向って延びる形状(テーパ形状)を呈していてもよい。この場合であっても、センサステータ3から第2係合部が抜け出ることが抑制される。
【0045】
また、連結部4,4A及び4Bの本体部43は、周方向の全域にわたって設けられている。このため、本体部43は、軸受2の玉23の周りに潤滑剤(グリース等)を蓄えることができる。これにより、本体部43は、軸受2の潤滑性能を向上させることができる。但し、軸受2の玉23の周りに潤滑剤(潤滑油等)を流通させる構成がある。この構成の場合、本体部43には、潤滑剤を流通させる孔が設けられていてもよい。これにより、本体部43は、当該本体部43に設けられた孔を介して玉23の周りに潤滑剤を供給することができる。
【0046】
上記においてセンサステータ3は、レゾルバのステータとした。これに限定されず、センサステータ3は、レゾルバ以外の回転センサ(例えば光学式のロータリーエンコーダ等)のステータであってもよい。
【0047】
連結部4の第1係合部41は、軸受2の外輪22に係合することに限定されない。第1係合部41は、軸受2の内輪21に係合していてもよい。第1係合部41と、外輪22又は内輪21との係合方法についても、ねじを用いる等、種々の方法を採用することができる。また、連結部4の第2係合部42は、センサステータ3の第2インシュレータ34に係合することに限定されない。第2係合部42は、センサステータ3の第1インシュレータ33に係合していてもよい。第2係合部42は、第2インシュレータ34又は第1インシュレータ33に埋め込まれることによって係合することに限定されない。第2係合部42と、第2インシュレータ34又は第1インシュレータ33との係合方法についても、ねじを用いる等、種々の方法を採用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1A…回転センサ一体型軸受、2…軸受、3…センサステータ、4,4A,4B…連結部、6…回転軸、7…ロータ、22a…内径面、22…外輪、22d…係合溝、35…コイル、41…第1係合部、42,42A,42B…第2係合部、42a…立上り部、42b,42c…切欠部、42d…端縁。
図1
図2
図3
図4
図5