(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151544
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064978
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄輝
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS13
5H730AS17
5H730BB27
5H730DD02
5H730FG05
5H730XX50
(57)【要約】
【課題】電力変換装置の受動素子を利用して周囲に異常を報知することができる技術を提供する。
【解決手段】電子装置は、スイッチング素子と、スイッチング素子に接続された受動素子と、を備える電力変換装置と、電力変換装置のスイッチング素子のオン/オフを切り替えるPWM信号をスイッチング素子に入力する第1制御装置と、を備えている。第1制御装置は、スイッチング素子に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数にすることにより受動素子を鳴動させる鳴動制御を実行してもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続された受動素子と、を備える電力変換装置と、
前記電力変換装置の前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えるPWM信号を前記スイッチング素子に入力する第1制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記スイッチング素子に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数にすることにより前記受動素子を鳴動させる鳴動制御を実行する、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記電力変換装置は、一次側回路と、前記一次側回路と絶縁された二次側回路とを備え、
前記スイッチング素子と前記受動素子は、前記一次側回路の前記スイッチング素子と前記受動素子、又は前記二次側回路の前記スイッチング素子と前記受動素子である、電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子装置であって、
前記第1制御装置と通信する第2制御装置を更に備え、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置と通信できない通信不能状態である場合に、前記鳴動制御を実行する、電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子装置であって、
前記電力変換装置から電力が供給される電力供給先装置を更に備え、
前記第1制御装置は、前記電力変換装置から前記電力供給先装置に電力を供給する必要がない場合に、前記鳴動制御を実行する、電子装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子装置であって、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置と通信できる通信可能状態であって、前記第2制御装置から所定の鳴動指示を受信する場合に、前記鳴動制御を実行する、電子装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子装置であって、
前記第2制御装置は、前記第2制御装置に接続されている電気機器が故障した場合に、前記第1制御装置へ前記鳴動指示を送信する、電子装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記電力変換装置と隣接する位置に配置されており、前記受動素子が鳴動したときの鳴動音を拡大する拡音装置を更に備えている、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にDCDCコンバータ故障診断装置が開示されている。特許文献1に開示の装置は、複数のスイッチング素子(FET)と、スイッチング素子の故障を診断する診断部と、通報部とを備えている。診断部は、いずれかのスイッチング素子の故障を検出すると、故障したスイッチング素子の情報を通報部に出力して外部のユーザ等に通報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、通報部に不具合が生じると装置の異常を報知することができないことがある。そこで本明細書は、電力変換装置の受動素子を利用して周囲に異常を報知することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様は、電子装置が、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続された受動素子と、を備える電力変換装置と、前記電力変換装置の前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えるPWM信号を前記スイッチング素子に入力する第1制御装置と、を備えている。前記第1制御装置は、前記スイッチング素子に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数にすることにより前記受動素子を鳴動させる鳴動制御を実行してもよい。
【0006】
この構成によれば、電力変換装置の受動素子が可聴域内の周波数で振動して鳴動する。これにより、電力変換装置の受動素子を利用して周囲に音を発することができ、周囲に異常を報知することができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、前記電力変換装置は、一次側回路と、前記一次側回路と絶縁された二次側回路とを備えていてもよい。前記スイッチング素子と前記受動素子は、前記一次側回路の前記スイッチング素子と前記受動素子、又は前記二次側回路の前記スイッチング素子と前記受動素子であってもよい。
【0008】
この構成によれば、電力変換装置の一次側回路と二次側回路が絶縁されているので、一次側回路と二次側回路を別個で制御することができる。これにより、一次側回路から二次側回路に電力を伝送することなく受動素子を鳴動させることができる。
【0009】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、電子装置が、前記第1制御装置と通信する第2制御装置を更に備えていてもよい。前記第1制御装置は、前記第2制御装置と通信できない通信不能状態である場合に、前記鳴動制御を実行してもよい。この構成によれば、通信不能状態である場合に周囲に異常を報知することができる。
【0010】
第4の態様では、上記第3の態様において、電子装置が、前記電力変換装置から電力が供給される電力供給先装置を更に備えていてもよい。前記第1制御装置は、前記電力変換装置から前記電力供給先装置に電力を供給する必要がない場合に、前記鳴動制御を実行してもよい。この構成によれば、電力変換装置の受動素子を鳴動させても支障がない状態で、通信不能状態である場合に周囲に異常を報知することができる。
【0011】
第5の態様では、上記第3又は第4の態様において、前記第1制御装置は、前記第2制御装置と通信できる通信可能状態であって、前記第2制御装置から所定の鳴動指示を受信する場合に、前記鳴動制御を実行してもよい。この構成によれば、明確な指示に基づいて受動素子を鳴動させることができる。
【0012】
第6の態様では、上記第5の態様において、前記第2制御装置は、前記第2制御装置に接続されている電気機器が故障した場合に、前記第1制御装置へ前記鳴動指示を送信してもよい。この構成によれば、第2制御装置に接続されている電気機器が故障した場合に周囲に異常を報知することができる。
【0013】
第7の態様では、上記第1から第6のいずれかの態様において、電子装置が、前記電力変換装置と隣接する位置に配置されている拡音装置であって、前記受動素子が鳴動したときの鳴動音を拡大する拡音装置を更に備えていてもよい。この構成によれば、異常を周囲に明確に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例の電子装置2について図面を参照して説明する。
図1に示すように、電子装置2は、DC-DCコンバータ20(電力変換装置の一例)と、第1制御装置100と、第2制御装置200とを備えている。電子装置2は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、又はガソリン自動車等の車両に搭載される。
【0016】
実施例のDC-DCコンバータ20は、入力電圧を昇圧して出力する昇圧コンバータである。変形例では、DC-DCコンバータ20は、入力電圧を降圧して出力する降圧コンバータであってもよい。DC-DCコンバータ20の入力側(一次側)は、直流の電源40に接続される。電源40は、直流電圧をDC-DCコンバータ20に印加する。DC-DCコンバータ20の出力側(二次側)は、例えば二次電池90(電力供給先装置の一例)に接続される。変形例では、DC-DCコンバータ20の出力側(二次側)は、電動製品92(電力供給先装置の他の一例、例えばモータ)に接続されてもよい。DC-DCコンバータ20は、電源40の電圧を昇圧して二次電池90又は電動製品92に入力する。二次電池90は、DC-DCコンバータ20を介して電源40から供給される電力を蓄電する。電動製品92は、DC-DCコンバータ20を介して電源40から供給される電力により動作する。
【0017】
図2に示すように、DC-DCコンバータ20は、一次側回路50と、二次側回路60と、一次側回路50と二次側回路60の間に構成されているトランス70とを備えている。DC-DCコンバータ20は、一次側回路50と二次側回路60が絶縁されている絶縁型のコンバータである。
【0018】
実施例のDC-DCコンバータ20は、位相シフトフルブリッジ型のコンバータである。このDC-DCコンバータ20は、DAB(Dual Active Bridge)方式のコンバータと呼ばれることもある。なお、DC-DCコンバータ20の型式は特に限定されない。DC-DCコンバータ20は、位相シフトフルブリッジ型ではないコンバータであってもよい。また、DC-DCコンバータ20は、非絶縁型のコンバータであってもよい。以下では、位相シフトフルブリッジ型のDC-DCコンバータ20の一例について説明する。
【0019】
DC-DCコンバータ20の一次側回路50は、複数のスイッチング素子51-54と、一次側コイル55と、一次側インダクタンス56と、一次側コンデンサ58とを備えている。
【0020】
複数のスイッチング素子51-54は、第1スイッチング素子51と、第2スイッチング素子52と、第3スイッチング素子53と、第4スイッチング素子54とを含む。DC-DCコンバータ20では、複数のスイッチング素子51-54のオン/オフの切り替えが繰り返し行われることにより入力直流電圧が出力直流電圧に変換される。以下では、一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54のうち、主に第1スイッチング素子51について説明する。第2スイッチング素子52、第3スイッチング素子53、及び第4スイッチング素子54については、第1スイッチング素子51と同様の構成なので詳細な説明を省略する。
【0021】
第1スイッチング素子51は、トランジスタ51aと、ダイオード51bとを備えている。トランジスタ51aとダイオード51bは、並列接続されている。第1スイッチング素子51は、トランジスタ51aにPWM(Pulse Width Modulation)信号が入力され、それによってトランジスタ51aがオン/オフすることによりオン/オフする。第2スイッチング素子52、第3スイッチング素子53、及び第4スイッチング素子54についても同様である。複数のスイッチング素子51-54は、一次側コイル55と直列接続されている。
【0022】
一次側コイル55は、コア(不図示)に巻き回されており、二次側コイル65と共同でトランス70を構成している。トランス70を介して一次側回路50の電力が二次側回路60に伝送される。一次側インダクタンス56は、一次側コイル55と直列接続されている。一次側インダクタンス56は、一次側回路50を流れる電流のエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを放出する。一次側コンデンサ58は、一次側インダクタンス56と並列接続されている。一次側コンデンサ58は、一次側回路50の電荷を蓄積し、蓄積した電荷を放出する。
【0023】
DC-DCコンバータ20の二次側回路60は、複数のスイッチング素子61-64と、二次側コイル65と、二次側インダクタンス66と、二次側コンデンサ68とを備えている。
【0024】
複数のスイッチング素子61-64は、第5スイッチング素子61と、第6スイッチング素子62と、第7スイッチング素子63と、第8スイッチング素子64とを含む。DC-DCコンバータ20では、一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54のオン/オフの切り替えと共に、二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64のオン/オフの切り替えが繰り返し行われることにより入力直流電圧が出力直流電圧に変換される。以下では、二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64のうち、主に第5スイッチング素子61について説明する。第6スイッチング素子62、第7スイッチング素子63、及び第8スイッチング素子64については、第5スイッチング素子61と同様の構成なので詳細な説明を省略する。
【0025】
第5スイッチング素子61は、トランジスタ61aと、ダイオード61bとを備えている。トランジスタ61aとダイオード61bは、並列接続されている。第5スイッチング素子61は、トランジスタ61aにPWM(Pulse Width Modulation)信号が入力され、それによってトランジスタ61aがオン/オフすることによりオン/オフする。第6スイッチング素子62、第7スイッチング素子63、及び第8スイッチング素子64についても同様である。複数のスイッチング素子61-64は、二次側コイル65と直列接続されている。
【0026】
二次側コイル65は、コア(不図示)に巻き回されており、一次側コイル55と共同でトランス70を構成している。二次側インダクタンス66は、二次側コイル65と直列接続されている。二次側インダクタンス66は、二次側回路60を流れる電流のエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを放出する。二次側コンデンサ68は、二次側インダクタンス66と並列接続されている。二次側コンデンサ68は、二次側回路60の電荷を蓄積し、蓄積した電荷を放出する。
【0027】
上記のDC-DCコンバータ20では、一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54に可聴域内の周波数(例えば、20-20000Hz)のPWM信号が入力されると、一次側回路50の受動素子(例えば、一次側コイル55、一次側インダクタンス56、一次側コンデンサ58)が鳴動する。即ち、一次側回路50の受動素子55、56、58が可聴域内の周波数で振動することにより音を発する。
【0028】
電子装置2の第1制御装置100及び第2制御装置200(
図1参照)は、それぞれ、例えばCPU、ROM、及びRAM等を備えており、記憶装置に記憶されているプログラムに基づいて電子装置2に関する所定の制御や処理を実行する。
【0029】
第1制御装置100は、例えば、DC-DCコンバータ20に電気的に接続されており、DC-DCコンバータ20の複数のスイッチング素子51-54、61-64をオン/オフするためのPWM信号を複数のスイッチング素子51-54、61-64に入力する。また、第1制御装置100は、第2制御装置200と有線又は無線で接続されており、第2制御装置200と通信する。第1制御装置100と第2制御装置200は、情報の送受信を実行する。
【0030】
第2制御装置200は、例えば、車両に搭載されているECU(Engine Control Unit又はElectronic Control Unit)である。第2制御装置200は、車両に搭載されている電気機器202に電気的に接続されていてもよい。車両に搭載されている電気機器202は、例えば、カーエアコン、ドライブレコーダー、インフォテイメントシステム(例えばカーナビ)等である。
【0031】
(鳴動制御処理;
図3)
次に、実施例の鳴動制御処理について説明する。
図3は、実施例の鳴動制御処理のフローチャートである。鳴動制御処理は、例えば、第1制御装置100が第2制御装置200からDC-DCコンバータ20を始動するための始動指示を受信すると開始される。鳴動制御処理のS10では、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20を始動する。第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20の一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54、及び二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64にPWM信号を入力する。
【0032】
続くS12では、第1制御装置100が、第2制御装置200と通信可能であるか否かを判断する。例えば、第1制御装置100は、通信確認用のping信号を第2制御装置200に送信し、それから所定時間(例えば10秒)以内にping信号に対する応答信号を第2制御装置200から受信する場合は、通信可能状態(YES)であると判断する。一方、第1制御装置100は、第2制御装置200に通信確認用のping信号を送信した後に、所定時間(例えば10秒)が経過してもping信号に対する応答信号を第2制御装置200から受信しない場合は、通信不能状態(NO)であると判断する。第2制御装置200と通信できる通信可能状態である場合(S12でYES)、処理はS14に進む。一方、第2制御装置200と通信できない通信不能状態である場合(S12でNO)、処理はS20に進む。
【0033】
S12でYESの後のS14では、第1制御装置100が、第2制御装置200から鳴動指示を受信するか否かを判断する。鳴動指示は、DC-DCコンバータ20の受動素子(例えば、一次側回路50の一次側コイル55、一次側インダクタンス56、及び一次側コンデンサ58)を鳴動させるための指示情報である。鳴動指示は、所定の故障情報を含んでいてもよい。故障情報は、例えば、第2制御装置200に接続されている電気機器202(例えば、カーナビ、カーエアコン、ドライブレコーダー等)が故障していることを示す情報である。第2制御装置200は、例えば、第2制御装置200に接続されている電気機器202が故障した場合に、故障情報を含む鳴動指示を第1制御装置100へ送信する。第1制御装置100が第2制御装置200から鳴動指示を受信する場合(S14でYES)、処理はS16に進む。第1制御装置100が第2制御装置200から鳴動指示を受信しない場合(S14でNO)、処理はS18に進む。
【0034】
S14でYESの後のS16では、第1制御装置100が、鳴動制御を実行する。第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20の受動素子(例えば、一次側回路50の一次側コイル55、一次側インダクタンス56、及び一次側コンデンサ58)を所定時間(例えば3分)にわたり鳴動させる。具体的には、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20の一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数(例えば、20-20000Hz)にする。そうすると、一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54が可聴域内の周波数で動作する(オン/オフする)。これにより、一次側回路50の受動素子(例えば、一次側コイル55、一次側インダクタンス56、一次側コンデンサ58)が鳴動する。即ち、一次側回路50の受動素子55、56、58が可聴域内の周波数で振動することにより周囲に音を発する。これにより、周囲に異常を報知することができる。
【0035】
一方、S16では、第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20の二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64にはPWM信号を入力しない。そのため、二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64は動作しない(オン/オフしない)。二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64が動作しないので、DC-DCコンバータ20は動作しない(DC-DCコンバータ20が停止する)。S16の後、鳴動制御処理は終了する。
【0036】
上記のS14でNOの後のS18では、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20の動作を継続させる。第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20の一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54、及び二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64にPWM信号を入力し続ける。S18の後、処理は上記のS12に戻る。
【0037】
上記のS12でNOの後のS20では、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20の動作が必要であるか否かを判断する。例えば、第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20に接続されている二次電池90の蓄電量が所定の基準蓄電量未満になる場合に、DC-DCコンバータ20の動作が必要である(YES)と判断する。変形例では、第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20に接続されている電動製品92(例えばモータ)の電源がオンにされている場合に、DC-DCコンバータ20の動作が必要である(YES)と判断してもよい。DC-DCコンバータ20の動作が必要である場合は、二次電池90(変形例では電動製品92)に電力を供給する必要がある場合である。DC-DCコンバータ20の動作が必要でない場合は、二次電池90(変形例では電動製品92)に電力を供給する必要がない場合である。DC-DCコンバータ20の動作が必要であると判断される場合(S20でYES)、処理はS18に進む。一方、DC-DCコンバータ20の動作が必要でないと判断される場合(S20でNO)、処理はS16に進む。
【0038】
S20でYESの後のS18では、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20の動作を継続させる。S18の処理は上述した通りである。S18の後、処理はS12に戻る。一方、S20でNOの後のS16では、第1制御装置100が、DC-DCコンバータ20の受動素子(例えば、一次側回路50の一次側コイル55、一次側インダクタンス56、及び一次側コンデンサ58)を所定時間(例えば3分)にわたり鳴動させる。S16の処理は上述した通りである。S16の後、鳴動制御処理は終了する。
【0039】
(効果)
以上、実施例の電子装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、電子装置2では、第1制御装置100が、一次側回路50の複数のスイッチング素子51-54に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数にすることにより一次側回路50の受動素子(例えば、一次側コイル55、一次側インダクタンス56、一次側コンデンサ58)を鳴動させる鳴動制御を実行する(
図3のS16参照)。
【0040】
この構成によれば、DC-DCコンバータ20の一次側回路50の受動素子55、56、58が可聴域内の周波数で振動して鳴動する。これにより、一次側回路50の受動素子55、56、58を利用して周囲に音を発することができ、周囲に異常を報知することができる。また、上記の構成によれば、DC-DCコンバータ20の一次側回路50と二次側回路60が絶縁されているので、一次側回路50と二次側回路60を別個で制御することができる。これにより、一次側回路50から二次側回路60に電力を伝送することなく一次側回路50の受動素子55、56、58を鳴動させることができる。
【0041】
また、第1制御装置100は、第2制御装置200と通信できない通信不能状態である場合に、鳴動制御を実行する(
図3のS12でNO、S16参照)。この構成によれば、通信不能状態である場合に周囲に異常を報知することができる。
【0042】
また、電子装置2は、DC-DCコンバータ20から電力が供給される二次電池90(変形例では電動製品92)を備えている。第1制御装置100は、DC-DCコンバータ20から二次電池90に電力を供給する必要がない場合に、鳴動制御を実行する(
図3のS20でNO、S16参照)。この構成によれば、DC-DCコンバータ20の受動素子55、56、58を鳴動させても支障がない状態で、通信不能状態である場合に周囲に異常を報知することができる。
【0043】
また、第1制御装置100は、第2制御装置200と通信できる通信可能状態であって、第2制御装置200から所定の鳴動指示を受信する場合に鳴動制御を実行する(
図3のS12でYES、S14でYES、S16参照)。この構成によれば、明確な指示に基づいてDC-DCコンバータ20の受動素子55、56、58を鳴動させることができる。
【0044】
第2制御装置200は、第2制御装置200に接続されている電気機器202(例えば、カーナビ、カーエアコン、ドライブレコーダー等)が故障した場合に、第1制御装置100へ鳴動指示を送信する。この構成によれば、第2制御装置200に接続されている電気機器202が故障した場合に周囲に異常を報知することができる。
【0045】
(変形例)
(1)上記の実施例では、S16の鳴動制御において、DC-DCコンバータ20の一次側回路50の受動素子55、56、58を鳴動させる構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、S16の鳴動制御において、DC-DCコンバータ20の二次側回路60の受動素子(例えば、二次側コイル65、二次側インダクタンス66、二次側コンデンサ68)を鳴動させてもよい。この場合、第1制御装置100は、二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64に入力するPWM信号の周波数を可聴域内の周波数(例えば、20-20000Hz)にする。二次側回路60の複数のスイッチング素子61-64に可聴域内の周波数のPWM信号が入力されると、二次側回路60の受動素子65、66、68が鳴動する。即ち、二次側回路60の受動素子65、66、68が可聴域内の周波数で振動することにより音を発する。
【0046】
(2)上記の実施例では、電力変換装置の一例としてDC-DCコンバータ20について説明したが、この構成に限定されない。変形例では、交流電圧を直流電圧に変換するAC-DCコンバータが電力変換装置の一例であってもよい。また、他の変形例では、直流電圧を交流電圧に変換するインバータが電力変換装置の一例であってもよい。
【0047】
(3)実施例では、電子装置2が、DC-DCコンバータ20と隣接する位置に配置されている拡音装置(不図示)を備えていてもよい。拡音装置は、例えば、DC-DCコンバータ20のトランス70と隣接する位置に配置されている。拡音装置は、例えば、マイクとスピーカを備えている。拡音装置は、DC-DCコンバータ20の受動素子(例えば、一次側回路50の一次側コイル55、一次側インダクタンス56、一次側コンデンサ58)が発する鳴動音を拡大して周囲に発することができる。拡音装置は、鳴動制御(
図3のS16参照)が実行される場合に、鳴動音を拡大して周囲に発する。この構成によれば、異常を周囲に明確に報知することができる。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0049】
2:電子装置、20:DC-DCコンバータ、40:電源、50:一次側回路、51:第1スイッチング素子、52:第2スイッチング素子、53:第3スイッチング素子、54:第4スイッチング素子、55:一次側コイル、56:一次側インダクタンス、58:一次側コンデンサ、60:二次側回路、61:第5スイッチング素子、62:第6スイッチング素子、63:第7スイッチング素子、64:第8スイッチング素子、65:二次側コイル、66:二次側インダクタンス、68:二次側コンデンサ、70:トランス、90:二次電池、92:電動製品、100:第1制御装置、200:第2制御装置、202:電気機器