IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和装置 図1
  • 特開-空気調和装置 図2
  • 特開-空気調和装置 図3
  • 特開-空気調和装置 図4
  • 特開-空気調和装置 図5
  • 特開-空気調和装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151548
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20241018BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F25B1/00 389A
F25B13/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064986
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L092
【Fターム(参考)】
3L092GA08
3L092HA05
3L092JA01
3L092JA02
3L092JA03
3L092KA17
3L092LA03
(57)【要約】
【課題】熱交換器の小型化が可能な冷凍サイクルを備える空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、第1の室外熱交換器と、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、第3の室内熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、第1のエジェクタと、第2の四方弁と、第2のエジェクタと、第3の配管と、膨張弁と、第4の配管と、第1の流量調整弁と、第5の配管と、第6の配管と、気液分離器と、第7の配管と、を備える。第1のエジェクタは、第1の流入口と、第2の流入口と、流出口と、を有する。第2のエジェクタは、第3の流入口と、第1の流出入口と、第2の流出入口と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の室外熱交換器と、
第1の室内熱交換器と、
第2の室内熱交換器と、
第3の室内熱交換器と、
前記第1の室内熱交換器と前記第1の室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記第1の室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有した圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な第1の四方弁と、
前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管における上流側から前記冷媒が流入する第1の流入口と、前記第1の流入口から流入した前記冷媒と混合させるための前記冷媒が流入する第2の流入口と、混合した前記冷媒を前記第2の配管の下流側に流出させる流出口と、を有した、第1のエジェクタと、
前記第2の配管に設けられ、前記第1のエジェクタの前記第1の流入口と前記流出口とに接続され、前記流出口から流出する前記冷媒の流れる方向を変更可能な第2の四方弁と、
前記第2の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁を通過した前記冷媒が流入する第3の流入口と、前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器の少なくともいずれか一方を通過した前記冷媒が流入する第1の流出入口と、前記第3の流入口から流入した前記冷媒と前記第1の流出入口から流入した前記冷媒とを混合させた状態で流出させる第2の流出入口と、を有した第2のエジェクタと、
前記第2の四方弁と前記第2のエジェクタの前記第3の流入口との間の前記第2の配管と前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器と、の間を、第1の分流器を介して接続する第3の配管と、
前記第3の配管に設けられた膨張弁と、
前記第1の分流器と前記第2の室内熱交換器との間を接続する第4の配管と、
前記第4の配管に設けられ、前記第4の配管の前記冷媒の流れを調整する第1の流量調整弁と、
前記第1の分流器と前記第3の室内熱交換器との間を接続する第5の配管と、
前記第2のエジェクタの前記第1の流出入口と、前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器と、の間を、第2の分流器を介して接続する第6の配管と、
前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続される第1の開口と、前記第1のエジェクタの前記流出口と接続される第2の開口と、少なくとも気体状の冷媒が流出可能な第3の開口と、が設けられた気液分離器と、
前記気液分離器の前記第3の開口と、前記第1のエジェクタの前記第1の流入口とを接続する第7の配管と、
を備えた、空気調和装置。
【請求項2】
第2の流量調整弁を備え、
前記第1の室外熱交換器は、互いに並列に並べられ前記冷媒が流れる複数の室外パスを有し、
前記複数の室外パスは、1以上の前記室外パスからなる第1の室外パス部と、前記第1の室外パス部とは異なる1以上の前記室外パスからなる第2の室外パス部と、を含み、
前記第2の流量調整弁は、前記第1の室外パス部への前記冷媒の流れを調整する、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1の流量調整弁は、膨張弁である、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第1の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第1の配管と、前記第2の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第2の配管と、の間を、接続する第8の配管と、
前記第8の配管に設けられ、前記第8の配管の前記冷媒の流れを調整する第2の流量調整弁と、
を備えた、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第8の配管に設けられた第2の室外熱交換器と、
前記第1の室外熱交換器及び前記第2の室外熱交換器と熱交換する空気の流れを生成する室外送風ファンと、
を備え、
前記第2の室外熱交換器は、前記第1の室外熱交換器に対して前記空気の流れ方向の上流側に配置された、請求項4に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。暖房運転において冷媒は、室外熱交換器(蒸発器)で蒸発し、室内熱交換器(凝縮器)で凝縮する。また、冷房運転において冷媒は、室外熱交換器(凝縮器)で凝縮し、室内熱交換器(蒸発器)で蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4120680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、小型化が可能であり、さらに、省エネルギー化にも寄与し得る空気調和装置が望まれている。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、熱交換器の小型化が可能な冷凍サイクルを備える空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、第1の室外熱交換器と、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、第3の室内熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、第1のエジェクタと、第2の四方弁と、第2のエジェクタと、第3の配管と、膨張弁と、第4の配管と、第1の流量調整弁と、第5の配管と、第6の配管と、気液分離器と、第7の配管と、を備える。前記第1の配管は、前記第1の室内熱交換器と前記第1の室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。前記第2の配管は、前記第1の室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。前記第1の四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。前記第1のエジェクタは、前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管における上流側から前記冷媒が流入する第1の流入口と、前記第1の流入口から流入した前記冷媒と混合させるための前記冷媒が流入する第2の流入口と、混合した前記冷媒を前記第2の配管の下流側に流出させる流出口と、を有する。前記第2の四方弁は、前記第2の配管に設けられ、前記第1のエジェクタの前記第1の流入口と前記流出口とに接続され、前記流出口から流出する前記冷媒の流れる方向を変更可能である。前記第2のエジェクタは、前記第2の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁を通過した前記冷媒が流入する第3の流入口と、前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器の少なくともいずれか一方を通過した前記冷媒が流入する第1の流出入口と、前記第3の流入口から流入した前記冷媒と前記第1の流出入口から流入した前記冷媒とを混合させた状態で流出させる第2の流出入口と、を有する。前記第3の配管は、前記第2の四方弁と前記第2のエジェクタの前記第3の流入口との間の前記第2の配管と前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器と、の間を、第1の分流器を介して接続する。前記膨張弁は、前記第3の配管に設けられている。前記第4の配管は、前記第1の分流器と前記第2の室内熱交換器との間を接続する。前記第1の流量調整弁は、前記第4の配管に設けられ、前記第4の配管の前記冷媒の流れを調整する。前記第5の配管は、前記第1の分流器と前記第3の室内熱交換器との間を接続する。前記第6の配管は、前記第2のエジェクタの前記第1の流出入口と、前記第2の室内熱交換器及び前記第3の室内熱交換器と、の間を、第2の分流器を介して接続する。前記気液分離器は、前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続される第1の開口と、前記第1のエジェクタの前記流出口と接続される第2の開口と、少なくとも気体状の冷媒が流出可能な第3の開口と、が設けられている。前記第7の配管は、前記気液分離器の前記第3の開口と、前記第1のエジェクタの前記第1の流入口とを接続する。
【0007】
前記空気調和装置は、例えば、第2の流量調整弁を備える。前記第1の室外熱交換器は、互いに並列に並べられ前記冷媒が流れる複数の室外パスを有する。前記複数の室外パスは、第1の室外パス部と、第2の室外パス部と、を含む。前記複数の室外パスは、1以上の前記室外パスからなる第1の室外パス部と、前記第1の室外パス部とは異なる1以上の前記室外パスからなる第2の室外パス部と、を含む。前記第2の流量調整弁は、前記第1の室外パス部への前記冷媒の流れを調整する。
【0008】
前記空気調和装置では、例えば、前記第1の流量調整弁は、膨張弁である。
【0009】
前記空気調和装置は、第8の配管と、第2の流量調整弁と、を備える。前記第8の配管は、前記第1の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第1の配管と、前記第2の四方弁と前記第1の室内熱交換器との間の前記第2の配管と、の間を、接続する。前記第2の流量調整弁は、前記第8の配管に設けられ、前記第8の配管の前記冷媒の流れを調整する。
【0010】
前記空気調和装置は、例えば、第2の室外熱交換器と、室外送風ファンと、を備える。
前記第2の室外熱交換器は、前記第8の配管に設けられている。前記室外送風ファンは、前記第1の室外熱交換器及び前記第2の室外熱交換器と熱交換する空気の流れを生成する。
【0011】
以上の空気調和装置によれば、例えば、冷凍サイクルにおける熱交換効率が向上可能となり、熱交換器の小型化が可能な空気調和装置が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて冷房運転時及び除湿運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、実施形態に係る空気調和装置の室外機の一部を示す例示的かつ模式的な図である。
図4図4は、実施形態に係る空気調和装置の室外機(室内機)に搭載される室外エジェクタ(室内エジェクタ)の構成を説明する例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態に係る空気調和装置の室内機の構成を示す例示的かつ模式的な断面図である。
図6図6は、実施形態に係る空気調和装置の制御装置及びその制御装置によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、いくつかの実施形態について、図1図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0014】
図1及び図2は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。図1は、冷房運転時及び除湿運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図であり、図2は、暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。図1及び図2に示される空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0015】
図1に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0016】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0017】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、第1の四方弁25と、第2の四方弁26と、第1のエジェクタとしての室外エジェクタ27と、気液分離器61と、流量調整弁32,106と、を有する。室外熱交換器21は、第1の室外熱交換器21Aと、第2の室外熱交換器21Bと、を含む。
【0018】
室内機12は、室内熱交換器41と、第2のエジェクタとしての室内エジェクタ28と、室内送風ファン42と、膨張弁43とを有する。室内熱交換器41は、第1の室内熱交換器41Aと、室内熱交換器ユニット41Uとを含む。室内熱交換器ユニット41Uは、第2の室内熱交換器41Bと、第3の室内熱交換器41Cとを含む。すなわち、室内熱交換器41は、第1の室内熱交換器41Aと、第2の室内熱交換器41Bと、第3の室内熱交換器41Cとを含む。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、第3の配管53と、第4の配管54と、第5の配管55と、第6の配管56と、第7の配管57と、第8の配管58とを含む。
【0020】
第1の配管51は、第1の室内熱交換器41Aと第1の室外熱交換器21Aとを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、第1の四方弁25は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、領域51a、領域51b、領域51c、領域51dと、を有する。領域51aは、第1の四方弁25と第1の室内熱交換器41Aとを接続する配管領域である。領域51bは、第1の四方弁25とアキュムレータ24とを接続する配管領域である。領域51cは、第1の四方弁25と第1の室外熱交換器21Aとを接続する配管領域である。領域51dは、第1の四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。
【0021】
第2の配管52は、第1の室外熱交換器21Aと第1の室内熱交換器41Aとを接続する。第2の四方弁26、室外エジェクタ27、室内エジェクタ28、気液分離器61は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、領域52a、領域52b、領域52c、領域52d、領域52e、領域52fを有する。領域52aは、第2の四方弁26と第1の室外熱交換器21Aとを接続する配管領域である。領域52bは、第2の四方弁26と室外エジェクタ27の第1の流入口27aとを接続する配管領域である。領域52cは、室外エジェクタ27の流出口27cと気液分離器61の第2の開口61bとを接続する配管領域である。領域52dは、気液分離器61の第1の開口61aと第2の四方弁26とを接続する配管領域である。領域52eは、第2の四方弁26と室内エジェクタ28の第3の流入口28aとを接続する配管領域である。領域52fは、室内エジェクタ28の第2の流出入口28cと第1の室内熱交換器41Aとを接続する配管領域である。
【0022】
第3の配管53は、第2の四方弁26と室内エジェクタ28の第3の流入口28aとの間の第2の配管52(領域52e)と第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cと、の間を、室内分流器202を介して接続する。膨張弁43は、第3の配管53に設けられる。第3の配管53は、領域53aと、領域53bとを有する。領域53aは、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cと膨張弁43とを室内分流器202を介して接続する配管領域である。すなわち、領域53aは、膨張弁43と室内分流器202と接続する。領域53bは、膨張弁43と第2の配管52の領域52eとを接続する配管領域である。室内分流器202は、第1の分流器の一例である。
【0023】
第4の配管54は、室内分流器202と第2の室内熱交換器41Bとの間を接続する。流量調整弁206は、第4の配管54に設けられ、第4の配管54の冷媒の流れを調整する。流量調整弁206は、開度が制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。流量調整弁206は、例えば、膨張弁である。なお、流量調整弁206は、膨張弁が望ましいが、膨張弁以外であってもよい。流量調整弁206は、第1の流量調整弁の一例である。
【0024】
第5の配管55は、室内分流器202と第3の室内熱交換器41Cとの間を接続する。
【0025】
第6の配管56は、室内エジェクタ28の第1の流出入口28bと、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cと、の間を、室内分流器201を介して接続する。室内分流器201は、第2の分流器の一例である。
【0026】
第7の配管57は、第7の配管57は、気液分離器61の第3の開口61cと、室外エジェクタ27の第1の流入口27aとを接続する。第7の配管57は、気液分離器61で分離された気体状の冷媒が主として流れる配管領域である。なお、第7の配管57を流れる冷媒には、液体状の冷媒が含まれてもよい。
【0027】
第8の配管58は、第1の四方弁25と第1の室内熱交換器41Aとの間の第1の配管51と、第2の四方弁26と第1の室内熱交換器41Aとの間の第2の配管52と、の間を、接続する。第2の室外熱交換器21B及び流量調整弁32は、第8の配管58に設けられる。第8の配管58は、領域58a、領域58b、領域58cを有する。領域58aは、第1の室内熱交換器41Aと第1の四方弁25との間の第1の配管51(領域51a)と第2の室外熱交換器21Bとを接続する配管領域である。また、領域58bは、第2の室外熱交換器21Bと、流量調整弁32とを接続する配管領域である。また、領域58cは、流量調整弁32と、第1の室内熱交換器41Aと気液分離器61との間の第2の配管52(領域52e)とを接続する配管領域である。流量調整弁32は、第8の配管58に設けられ、第8の配管58の冷媒の流れを調整する。流量調整弁32は、例えば、膨張弁である。なお、流量調整弁32は、膨張弁が望ましいが、膨張弁以外であってもよい。
【0028】
図1に示されるように、冷房運転及び除湿運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41から第1の室外熱交換器21Aへ流れ、第1の室外熱交換器21Aから、第2の配管52、第3の配管53を通って室内熱交換器41へ流れる。また、図2に示されるように、暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って第1の室外熱交換器21Aから室内熱交換器41へ流れ、室内熱交換器41から、第3の配管53、第2の配管52を通って第1の室外熱交換器21Aへ流れる。
【0029】
室外機11の第1の室外熱交換器21Aは、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。
【0030】
第1の室外熱交換器21Aは、複数(一例として6つ)の室外パス103a~103fと、複数の室外フィン(不図示)と、室外分流器101と、室外分流器102と、室外分流器104と、流量調整弁106とを有する。
【0031】
複数の室外パス103a~103fは、互いに並列に並べられている。各室外パス103a~103fは、配管によって構成され、内部に冷媒が通る。各室外パス103a~103fは、複数の室外フィンを貫くようように設けられ、各室外フィンに接続されている。各室外パス103a~103fは、内部の冷媒と外部の空気との間で熱交換を行う。なお、図1及び図2では、室外パス103a~103fを模式的に太い管で表している。
【0032】
複数の室外パス103a~103fは、1以上(複数:一例として5つ)の室外パス103a~103eからなる第1の室外パス部103Aと、第1の室外パス部103Aとは異なる1以上(一例として1つ)の室外パス103fからなる第2の室外パス部103Bと、を含む。なお、複数の室外パス103a~103fの数と、第1の室外パス部103A及び第2の室外パス部103Bが有する室外パス103a~103fの数とは、上記に限定されない。例えば、複数の室外パス103a~103fは、6つ以外であってもよい。また、第1の室外パス部103Aと第2の室外パス部103Bとのそれぞれに、室外パス103a~103fのうちの2以上が含まれてもよい。また、第1の室外パス部103Aが、室外パス103a~103fのうちの一つ(例えば室外パス103a)から構成され、第2の室外パス部103Bが、室外パス103a~103fのうちの他の複数(例えば室外パス103b~103f)によって構成されてもよい。第1の室外パス部103A及び第2の室外パス部103Bとは、それぞれが室外パス103a~103fのうちの複数によって構成される場合、第1の室外パス群及び第2の室外パス群とも称される。
【0033】
室外分流器101は、第1の配管51の領域51cと複数の室外パス103a~103fとを接続する。室外分流器101は、第1の配管51からの冷媒を、複数の室外パス103a~103fに分配(分流)する。詳細には、室外分流器101は、配管105及び室外分流器104を介して、室外パス103a~103eと接続され、第5の配管55を介して、室外パス103fと接続されている。したがって、室外分流器101は、第1の配管51からの冷媒を、配管105及び室外分流器104を介して室外パス103a~103eに分配するとともに、第5の配管55を介して室外パス103fに分配する。すなわち、室外分流器101は、第1の配管51からの冷媒を、第1の室外パス部103Aと第2の室外パス部103Bとに分配(分流)する。
【0034】
室外分流器104は、室外分流器101と複数の室外パス103a~103fとを接続する。室外分流器104は、室外分流器101からの冷媒を、複数の室外パス103a~103eに分配(分流)する。
【0035】
また、室外分流器101は、複数の室外パス103a~103fからの冷媒を合流させて、第1の配管51に流す。すなわち、室外分流器101は、第1の室外パス部103Aからの冷媒と第2の室外パス部103Bからの冷媒とを合流させて、第1の配管51に流す。このとき、室外分流器104は、複数の室外パス103a~103eからの冷媒を合流させて室外分流器101に流す。
【0036】
配管105は、室外分流器101と第1の室外パス部103Aとを室外分流器104を介して接続する。第5の配管55は、室外分流器101と第2の室外パス部103Bとを接続する。
【0037】
配管105には、流量調整弁106が設けられている。流量調整弁106は、第1の室外パス部103Aへの冷媒の流れを調整する。すなわち、流量調整弁106は、第1の室外パス部103Aを流れる冷媒の流量を調整可能である。流量調整弁106は、例えば、電磁弁である。流量調整弁106は、開度が制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。流量調整弁106は、第2の流量調整弁の一例である。
【0038】
室外分流器102は、第2の配管52と複数の室外パス103a~103fとを接続する。室外分流器102は、第2の配管52からの冷媒を、複数の室外パス103a~103fに分配(分流)する。すなわち、室外分流器102は、第2の配管52からの冷媒を、第1の室外パス部103Aと第2の室外パス部103Bとに分配(分流)する。
【0039】
また、室外分流器102は、複数の室外パス103a~103fからの冷媒を合流させて、第2の配管52に流す。すなわち、室外分流器102は、第1の室外パス部103Aからの冷媒と第2の室外パス部103Bからの冷媒とを合流させて、第2の配管52に流す。
【0040】
室外送風ファン22は、第1の室外熱交換器21A及び第2の室外熱交換器21Bに対する空気の流れ(気流)を生成し、第1の室外熱交換器21A及び第2の室外熱交換器21Bにおける冷媒と空気(外気)との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、第1の室外熱交換器21A及び第2の室外熱交換器21Bと熱交換する空気(外気)の流れ(気流)を生成する。
【0041】
第2の室外熱交換器21Bは、第8の配管58に設けられている。第2の室外熱交換器21Bは、一例として、一つの室外パス303aを有する。室外パス303aは、配管によって構成され、内部に冷媒が通る。室外パス303aは、内部の冷媒と外部の空気との間で熱交換を行う。
【0042】
図3は、実施形態に係る空気調和装置10の室外機11の一部を示す例示的かつ模式的な図である。図3中の矢印は、室外送風ファン22によって生成される空気(外気)の流れ方向を示している。図3に示されるように、第2の室外熱交換器21Bは、室外送風ファン22によって生成される空気(外気)の流れ(気流)の方向である流れ方向において、第1の室外熱交換器21Aに対して上流側に配置されている。したがって、室外送風ファン22の動作によって流れる空気は、第2の室外熱交換器21Bを通った後、第1の室外熱交換器21Aを通る。
【0043】
図1に戻って、圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0044】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0045】
第1の四方弁25は、第1の室外熱交換器21Aと、アキュムレータ24と、第1の室内熱交換器41Aと、圧縮機23の吐出口23bと、に接続される。第1の四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、第1の室外熱交換器21A、アキュムレータ24と、第1の室内熱交換器41Aと、圧縮機23の吐出口23bと、のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0046】
冷房運転時及び除湿運転時において、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bを第1の室外熱交換器21Aに接続し、高温高圧の気体状の冷媒を第1の室外熱交換器21Aに供給する。さらに、冷房運転時及び除湿運転時において、第1の四方弁25は、第1の室内熱交換器41Aとアキュムレータ24とを接続し、低温低圧の気体状の冷媒をアキュムレータ24に戻す。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が第1の室外熱交換器21Aへ流れ、凝縮器として機能する室外エジェクタ27を介して、蒸発器として機能する室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に流れる。そして、室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)で熱交換が行われ、冷房運転時には、室内に向けて冷風を放出する。また、除湿運転時には結露(結露水)を発生させるとともに回収して除湿を行う。室内熱交換器41で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒は、アキュムレータ24へ流れる。
【0047】
また、暖房運転時において、図2に示されるように、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと第1の室内熱交換器41Aとを接続し、高温高圧の気体状の冷媒を第1の室内熱交換器41Aに供給する。第1の室内熱交換器41Aで熱交換(凝縮)された冷媒は、室内エジェクタ28を通常の利用態様とは逆方向に第2の流出入口28cから第1の流出入口28bに通過させて(エジェクタ効果を伴わない状態で通過させて)、第2の室内熱交換器41Bに供給する。また、暖房運転時において、第1の四方弁25は、第1の室外熱交換器21Aとアキュムレータ24とを接続し、低温低圧の気体状の冷媒をアキュムレータ24に提供する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が凝縮器として機能する室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)へ流れ、熱交換の結果放熱して、温風を室内に向けて放出する。そして、室内熱交換器41から第2の配管52を介して第1の室外熱交換器21Aに流れた冷媒は、蒸発器として機能する第1の室外熱交換器21Aで熱交換が行われ(蒸発して)、アキュムレータ24へ流れる。
【0048】
第2の四方弁26は、室内熱交換器41と、室外エジェクタ27の第1の流入口27aと、気液分離器61の第1の開口61aと、第2の配管52の領域52eに接続される。第2の四方弁26は、冷房運転時(除湿運転時)と暖房運転時とで、室内熱交換器41と、室外エジェクタ27の第1の流入口27aと、気液分離器61の第1の開口61aと、第2の配管52の領域52eのそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。なお、第2の四方弁26としては、一般的な四方弁に限らず、冷媒の流れる方向を変更できれば、その他の構成の弁であってもよい。例えば、4つの逆止弁を環状に繋いだブリッジ回路で置き替えてもよい。なお、第2の四方弁としてブリッジ回路を採用した場合は、後述する第2の四方弁駆動回路は省略が可能である。
【0049】
冷房運転時または除湿運転時において、図1に示さるように、第2の四方弁26は、気液分離器61の第1の開口61aと第2の配管52の領域52eとを接続し、気液分離器61で分離された液状の冷媒を室内機12の室内エジェクタ28に駆動流として供給する。また、第2の四方弁26は、室内熱交換器41と室外エジェクタ27の第1の流入口27aとを接続することにより、第1の室外熱交換器21Aで熱交換された(凝縮された)中温高圧の液状の冷媒を室外エジェクタ27に供給する。なお、室外エジェクタ27は、冷房運転時と除湿運転時とで、制御状態を変化さて異なる態様で機能させることで、室外エジェクタ27の流出口27cから吐出させる冷媒の態様(温度状態、圧力状態)を異ならせる。室外エジェクタ27の冷房運転時と除湿運転時における制御状態の詳細は後述する。
【0050】
また、暖房運転時において、図2に示されるように、第2の四方弁26は、室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)で熱交換された(凝縮された)冷媒を室外エジェクタ27に供給する。冷媒は、室外エジェクタ27を介して気液分離器61に供給される。また、第2の四方弁26は、気液分離器61の第1の開口61aと第1の室外熱交換器21Aとを接続する。その結果、室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)で熱交換された(凝縮された)冷媒は、室外エジェクタ27、気液分離器61、第1の室外熱交換器21Aを介してアキュムレータ24(圧縮機23)に戻される。なお、上述したように、暖房運転時には、室内エジェクタ28は通常とは異なる使い方が行われ、第2の流出入口28cから流入した冷媒が第1の流出入口28bから流出されるので、第2の室内熱交換器41Bから室外エジェクタ27へ向かう冷媒は室内エジェクタ28の第3の流入口28aには分流しない。
【0051】
本実施形態の空気調和装置10において、室外機11は室外エジェクタ27を備え、室内機12は室内エジェクタ28を備える。室外エジェクタ27は、第2の配管52の領域52bと領域52cとの間に設けられる。室内エジェクタ28は、第2の配管52の領域52eと領域52fとの間に設けられる。室外エジェクタ27は、第1の流入口27aと第2の流入口27bと流出口27cとを備える。第1の流入口27aは、冷房運転時、除湿運転時及び暖房運転時における冷媒の流れ方向に対して第2の配管52の上流側から駆動流として冷媒が流入する。第2の流入口27bは、第1の流入口27aから流入した冷媒と混合させるための冷媒が吸引流として第7の配管57を介して気液分離器61から流入する。なお、室外エジェクタ27は気液二相の冷媒を扱うことが可能なデバイスであるため、第2の流入口27bに流入する冷媒は、主として気体状の冷媒であるが、一部液体状の冷媒が含まれてもよい。流出口27cは、駆動流としての冷媒と吸引流としての冷媒とが混合された状態の冷媒を第2の配管52の下流側に流出させる。
【0052】
図4は、本実施形態の室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)の構造を示す例示的かつ模式的に示す断面図である。なお、室外エジェクタ27と室内エジェクタ28は一部の部材名称が異なるのみで、同じ構成(構造)のものが利用可能であり、本実施形態でも、室外エジェクタ27と室内エジェクタ28とが同じ構成のものが採用されている。したがって、図4では、室外エジェクタ27を用いて説明を行い、室内エジェクタ28の部材の符号は、室外エジェクタ27に対応する符号の横に括弧書きで示し、詳細な説明は省略する。なお、室外エジェクタ27と室内エジェクタ28とが異なる構成のものであってもよい。図4に示すように、室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)は、簡素な構造を有するため、保守及び空気調和装置10への組み込みが容易である。なお、室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)の構造は、図4の例に限られない。室外エジェクタ27には、第1の流入口27a(第3の流入口28a)と、第2の流入口27b(第1の流出入口28b)と、流出口27c(第2の流出入口28c)と、ノズル部62と、吸引部63と、混合部64と、ディフューザ部65とが設けられる。
【0053】
室外エジェクタ27の場合、図1に示すように、第1の流入口27aは、第2の配管52の領域52bを介して第2の四方弁26に接続されている。例えば、冷房運転時及び除湿運転時には、第1の流入口27aには、第1の室外熱交換器21A側からの冷媒が流れ込む。また、暖房運転時には、室内熱交換器41側(第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41C側)からの冷媒が流れ込む。また、第2の流入口27bは、第7の配管57に接続される。例えば、冷房運転時、除湿運転時、及び暖房運転時には、気液分離器61で分離された気体状の冷媒が流れ込む。前述したように、この場合、液状の冷媒が含まれていてもよい。流出口27cは、第2の配管52の領域52cを介して気液分離器61の第2の開口61bに第1の流入口27aと第2の流入口27bとから流入した冷媒が混合された状態で吐出され、気液分離器61に供給される。
【0054】
室内エジェクタ28の場合、図1に示すように、第3の流入口28aは、第2の配管52の領域52eを介して第2の四方弁26に接続されている。例えば、冷房運転時及び除湿運転時には、第1の流入口27aには、気液分離器61で分離された液状の冷媒が流れ込む。なお、前述したように暖房運転時は、第3の流入口28aは基本的には不使用とされ、冷媒は流れ込まない。また、第1の流出入口28bは、第6の配管56が接続される。第1の流出入口28bには、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cの少なくともいずれか一方を通過した冷媒が流入する。例えば、冷房運転時、除湿運転時には、第2の室内熱交換器41Bから気体状の冷媒が流れ込む。一方、暖房運転時には、前述したように室内エジェクタ28は、通常とは異なる態様で利用され、第1の室内熱交換器41Aから第2の流出入口28cを介して流入した高温高圧の気体状の冷媒が、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cに向けて第1の流出入口28bから吐出される。この場合、高温高圧の気体状の冷媒は、室内エジェクタ28を通過するのみとなる。また、第2の流出入口28cは、領域52fを介して第1の室内熱交換器41Aに接続される。例えば、冷房運転時、除湿運転時には、第3の流入口28aと第1の流出入口28bとから流入した冷媒が混合された状態で吐出され、第1の室内熱交換器41Aに供給される。冷媒は、第1の室内熱交換器41Aで熱交換により気体化され、アキュムレータ24も戻される。また、暖房運転時には、上述したように、第1の室内熱交換器41Aから高温高圧の気体状の冷媒が流れ込み、そのまま、第1の流出入口28bから吐出される。
【0055】
室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)は、上述したように第1の流入口27a(第3の流入口28a)に供給された冷媒(駆動流、駆動冷媒ともいう)を、第2の流入口27b(第1の流出入口28b)に供給された冷媒(吸引流、吸入冷媒ともいう)と混合するとともに昇圧して流出口27c(第2の流出入口28c)から放出することができる。
【0056】
図4に示すように、ノズル部62は、第1の流入口27a(第3の流入口28a)と混合部64との間に設けられる。ノズル部62は、混合部64に向かって先細る部分と徐々に拡大する部分とを有した流路である。なお、ノズル部62の形状は、これには限らず、流入した冷媒を減圧して高速で噴射することができれば、どのような構造であってもよい。ノズル部62は、第1の流入口27a(第3の流入口28a)に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部64に噴出する。ノズル部62の出口近傍における圧力が低いため、ノズル部62に接続された第1の流入口27aは、冷媒を吸引できる。
【0057】
吸引部63は、第2の流入口27b(第1の流出入口28b)と混合部64との間に設けられる。吸引部63は、ノズル部62の周りに設けられ、混合部64に向かって先細る部分を有した略円筒状の流路である。吸引部63は、第2の流入口27b(第1の流出入口28b)に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部64に噴出する。吸引部63の出口近傍における圧力が低いため、吸引部63に接続された第2の流入口27bは、冷媒を吸引できる。
【0058】
混合部64は、ノズル部62及び吸引部63と、ディフューザ部65との間に設けられる。室外エジェクタ27は、混合部64において、吸引部63から噴出した冷媒を、ノズル部62から噴出した冷媒と混合する。
【0059】
ディフューザ部65は、混合部64と流出口27c(第2の流出入口28c)との間に設けられる。ディフューザ部65は、流出口27c(28c)に向かって拡大する部分を有した流路である。混合部64で混合された冷媒は、ディフューザ部65で減速して昇圧し、流出口27c(第2の流出入口28c)から放出される。なお、上述したように、室内エジェクタ28の第2の流出入口28cから冷媒を流入させ、第1の流出入口28bから流出させる場合は、冷媒は、室内エジェクタ28内部を通過するのみで、エジェクタ効果は発生しない。
【0060】
室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)は、室外エジェクタ電磁弁66(室内エジェクタ電磁弁67)を有する。室外エジェクタ電磁弁66(室内エジェクタ電磁弁67)は、第1の流入口27a(第3の流入口28a)を開閉することが可能で、駆動流の流量制御が可能で、エジェクタ効果(ゼロ~最大)の調整が可能である。なお、図4において、室外エジェクタ電磁弁66(室内エジェクタ電磁弁67)はノズル部62の外部に位置する例を示しているが、室外エジェクタ電磁弁66(室内エジェクタ電磁弁67)はノズル部762内部または他の部分に設けられてもよい。例えば、ノズル部62に挿入して開度を調整するニードル状の弁であってもよい。室外エジェクタ電磁弁66(室内エジェクタ電磁弁67)は、開度を制御されることで、第1の流入口27a(第3の流入口28a)に供給される冷媒の量を調節する。なお、室外エジェクタ27(室内エジェクタ28)において、第2の流入口27b(第1の流出入口28b)に供給される冷媒の量は、第1の流入口27a(第3の流入口28a)と同様にエジェクタ電磁弁を第2の流入口27b(第1の流出入口28b)の部分または内部に設けてもよく、エジェクタ効果の調整を行うようにしてもよい。
【0061】
室内機12の室内熱交換器41は、上述したように、第1の室内熱交換器41Aと第2の室内熱交換器41Bと第3の室内熱交換器41Cとを有する。第1の室内熱交換器41Aと第2の室内熱交換器41Bと第3の室内熱交換器41Cとは、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、または凝縮器として放熱する。室内送風ファン42は、室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に向かって送風し、室内熱交換器41と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン42は、室内熱交換器41と熱交換する気流を生成する。例えば、冷房運転時または暖房運転時には、室内送風ファン42は、室内熱交換器41(第1の室内熱交換器41A、第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に向かって送風し、冷風または温風を室内に向けて放出する。また、本実施形態の空気調和装置10においては、除湿運転時として高除湿運転と再熱除湿運転とが可能である。高除湿運転は、膨張弁43及び流量調整弁206の膨張作用により第1の室内熱交換器41Aと第2の室内熱交換器41Bと第3の室内熱交換器41Cとに冷房運転時より低い温度の冷媒を流し、除湿能力の向上を図ることができる。また、再熱除湿運転の場合、第1の室内熱交換器41Aと、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cとで温度差を設け、第1の室内熱交換器41Aの蒸発作用の吸熱で結露水を発生させ湿度を取る一方、第1の室内熱交換器41Aの蒸発作用で温度が下がった空気を第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cで暖める(再熱する)。つまり、室内機12から低温の空気が吹出すことを抑制する。その結果、除湿のために室内温度を低下させたくない場合、例えば、就寝時等に温度の低下を抑制しつつ、除湿を行い、室内環境の快適化に寄与することができる。高除湿運転と再熱除湿運転の詳細は後述する。
【0062】
次に、室内熱交換器41の構成をより詳細に説明する。図1に示されるように、第1の室内熱交換器41Aは、複数(一例として3つ)の室内パス153a~153cと、複数の室内フィン(不図示)と、室内分流器151と、室内分流器152と、を有する。
【0063】
複数の室内パス153a~153cは、互いに並列に並べられている。各室内パス153a~153cは、配管によって構成され、内部に冷媒が通る。各室内パス153a~153cは、複数の室内フィンを貫くようように設けられ、各室内フィンに接続されている。各室内パス153a~153cは、内部の冷媒と外部の空気との間で熱交換を行う。各室内パス153a~153cは、例えば、それぞれの端で折り返されて、1または複数の折り返し形状を有する。なお、図1及び図2では、室内パス153a~153cを模式的に太い管で表している。複数の室内パス153a~153cは、室内パス部153を構成している。
【0064】
図1及び図2に示されるように、室内分流器151は、第1の配管51の領域51aと複数の室内パス153a~153cとを接続する。室内分流器151は、第1の配管51からの冷媒を、複数の室内パス153a~153cに分配(分流)する。
【0065】
また、室内分流器151は、複数の室内パス153a~153cからの冷媒を合流させて、第1の配管51に流す。
【0066】
室内分流器152は、第2の配管52の領域52fと複数の室内パス153a~153cとを接続する。室内分流器152は、第2の配管52からの冷媒を、室内パス153a~153cに分配する。
【0067】
また、室内分流器152は、複数の室内パス153a~153cからの冷媒を合流させて、第2の配管52に流す。
【0068】
また、図1に示されるように、室内熱交換器ユニット41Uは、複数(一例として3つ)の室内パス203a~203cと、複数の室内フィン(不図示)と、室内分流器201と、室内分流器202と、室内分流器204と、流量調整弁206とを有する。室内分流器201は、第2の分流器の一例であり、室内分流器202は、第1の分流器の一例である。
【0069】
複数の室内パス203a~203cは、互いに並列に並べられている。各室内パス203a~203cは、配管によって構成され、内部に冷媒が通る。各室内パス203a~203cは、複数の室内フィンを貫くようように設けられ、各室内フィンに接続されている。各室内パス203a~203cは、内部の冷媒と外部の空気との間で熱交換を行う。各室内パス203a~203cは、例えば、それぞれの端で折り返されて、1または複数の折り返し形状を有する。なお、図1及び図2では、室内パス203a~203cを模式的に太い管で表している。
【0070】
複数の室内パス203a~203cは、1以上(複数:一例として2つ)の室内パス203a~203bからなる室内パス部203Aと、室内パス部203Aとは異なる1以上(一例として1つ)の室内パス203cからなる室内パス部203Bと、を含む。室内パス部203Aは、第2の室内熱交換器41Bを構成し、室内パス部203Bは、第3の室内熱交換器41Cを構成する。なお、複数の室内パス203a~203cの数と、室内パス部203A及び室内パス部203Bが有する室内パス203a~203cの数とは、上記に限定されない。例えば、複数の室内パス203a~203cは、3つ以外であってもよい。また、室内パス部203Aと室内パス部203Bとのそれぞれが、複数の室内パス203a~203cによって構成されていていもよい。また、室内パス部203Aが、室内パス203a~203cのうちの一つ(例えば室内パス203a)から構成され、室内パス部203Bが、室内パス203a~203cのうちの他の複数(例えば室内パス203b~203c)によって構成されてもよい。室内パス部203A及び室内パス部203Bとは、それぞれが室内パス203a~203cのうちの複数によって構成される場合、それぞれ、室内パス群とも称される。
【0071】
室内分流器201は、第6の配管56と複数の室内パス203a~203cとを接続する。室内分流器201は、第6の配管56からの冷媒を、複数の室内パス203a~203cに分配(分流)する。すなわち、室内分流器201は、第6の配管56からの冷媒を、室内パス部203Aと室内パス部203Bとに分配(分流)する。
【0072】
また、室内分流器201は、複数の室内パス203a~203cからの冷媒を合流させて、第6の配管56に流す。すなわち、室内分流器201は、室内パス部203Aからの冷媒と室内パス部203Bからの冷媒とを合流させて、第6の配管56に流す。
【0073】
室内分流器202は、第3の配管53の領域53aと複数の室内パス203a~203cとを接続する。詳細には、室内分流器202は、第4の配管54及び室内分流器204を介して、室内パス203a~203bと接続され、第5の配管55を介して、室内パス203cと接続されている。したがって、室内分流器202は、第3の配管53からの冷媒を、第4の配管54及び室内分流器204を介して室内パス203a~203bに分配するとともに、第5の配管55を介して室内パス203cに分配する。すなわち、室内分流器202は、第3の配管53からの冷媒を、室内パス部203Aと室内パス部203Bとに分配(分流)する。
【0074】
室内分流器204は、室内分流器202と複数の室内パス203a~203bとを接続する。室内分流器204は、室内分流器202からの冷媒を、複数の室内パス203a~203bに分配(分流)する。
【0075】
また、室内分流器202は、複数の室内パス203a~203cからの冷媒を合流させて、第3の配管53に流す。すなわち、室内分流器202は、室内パス部203Aからの冷媒と室内パス部203Bからの冷媒とを合流させて、第3の配管53に流す。このとき、室内分流器204は、複数の室内パス203a~203bからの冷媒を合流させて室内分流器202に流す。
【0076】
第4の配管54は、室内分流器202と室内パス部203A(第2の室内熱交換器41B)とを室内分流器204を介して接続する。第5の配管55は、室内分流器202と室内パス部203B(第3の室内熱交換器41C)とを接続する。
【0077】
第4の配管54には、流量調整弁206が設けられている。流量調整弁206は、室内パス部203A(第2の室内熱交換器41B)への冷媒の流れを調整する。すなわち、流量調整弁206は、室内パス部203A(第2の室内熱交換器41B)を流れる冷媒の流量を調整可能である。
【0078】
図5は、実施形態に係る空気調和装置10の室内機12の構成を示す例示的かつ模式的な断面図であり、特に、第1の室内熱交換器41Aと室内熱交換器ユニット41Uと室内送風ファン42の配置例を示す図である。図5に示すように、室内機12は、筐体71と、二つの風向板72(72a,72b)とを有する。風向板72は、ルーバとも称され得る。なお、室内機12は、この例に限られない。
【0079】
筐体71は、略直方体状に形成される。なお、筐体71は、他の形状に形成されても良い。筐体71は、例えば、建造物の壁に架けられる。筐体71に、通風路73、吸込み口74、及び吹出し口75(75a,75b)が設けられる。
【0080】
通風路73は、筐体71の内部に設けられる。室内機12は、通風路73に気流を通すことができる。吸込み口74は、通風路73の一方の端に設けられ、通風路73を室内機12の外部に連通する。吹出し口75は、通風路73の他方の端に設けられ、通風路73を室内機12の外部に連通する。
【0081】
第1の室内熱交換器41A、室内熱交換器ユニット41U、及び室内送風ファン42は、通風路73に設けられる。室内送風ファン42は、回転することで、通風路73において吸込み口74から吹出し口75へ風を送る。これにより、室内機12は、吸込み口74から室内の空気AFを通風路73へ吸い込み、吹出し口75から通風路73の空気AFを吹き出す。
【0082】
本実施形態において、第1の室内熱交換器41A及び室内熱交換器ユニット41Uは、室内送風ファン42の上流に並列に配置される。また、例えば、第1の室内熱交換器41Aは、室内熱交換器ユニット41Uの第2の室内熱交換器41Bよりも大きい。また、第1の室内熱交換器41Aは、室内熱交換器ユニット41Uよりも筐体71内において前方側(図5の矢印F方向)に配置される。なお、第1の室内熱交換器41A及び室内熱交換器ユニット41Uは、この例に限られない。例えば、第2の室内熱交換器41Bを、第1の室内熱交換器41Aよりも大きくしてもよい。また、第2の室内熱交換器41Bを、室内熱交換器ユニット41Uよりも前方側に配置してもよい。
【0083】
室内送風ファン42が気流を生じさせると、吸込み口74から吸い込まれた空気AFが第1の室内熱交換器41Aまたは室内熱交換器ユニット41Uのフィンを通過する。これにより、第1の室内熱交換器41Aと熱交換した気流AF1と、室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)と熱交換した気流AF2とが、通風路73を流れる。
【0084】
二つの風向板72(72a,72b)は、吹出し口75(75a,75b)の近傍に設けられる。風向板72は、室内送風ファン42の下流に位置する。二つの風向板72はそれぞれ、吹出し口75を塞ぐ閉じ位置と、吹出し口75を開放する開き位置との間で回動可能である。
【0085】
共に開き位置に配置された二つの風向板72は、吹出し口75を二つの流路75a,75bに区画する。室内機12は、例えば、第1の室内熱交換器41Aと熱交換した気流AF1を流路75aから吹き出し、室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)と熱交換した気流AF2を流路75bから吹き出すことができる。なお、室内機12は、吹出し口75から、気流AF1と気流AF2とが混合された気流を吹出しても良い。
【0086】
図1に戻り、膨張弁43は、第3の配管53に設けられる。膨張弁43は、特に冷房運転時や除湿運転時に、気液分離器61側から供給される液状の冷媒による除湿量を得るために、冷媒をさらに膨張させ低い温度の液冷媒として室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に供給する。つまり、膨張弁43の開弁量の制御により、発生させる結露水の量をコントロールし除湿効率の調整を行う。膨張弁43は、例えば、電磁膨張弁である。膨張弁43は、他の膨張弁であってもよい。
【0087】
気液分離器61は、第2の配管52に設けられる。気液分離器61は、例えば表面張力式気液分離器である。なお、気液分離器61は、気体状態の冷媒と液体状態の冷媒とに分離できれば、レシーバータンク等の他の気液分離器であってもよい。気液分離器61に、第1の開口61a(液状冷媒出口)と、第2の開口61b(液状冷媒入口)と、第3の開口61c(気体状冷媒出口)とが設けられる。
【0088】
第1の開口61aは、冷房運転時及び除湿運転時において、気液分離器61で分離された液状の冷媒を、第2の四方弁26を介して室内機12側に供給する。また、第1の開口61aは、暖房運転時において、第2の四方弁26を介して第1の室外熱交換器21Aに液状の冷媒を供給する。
【0089】
第2の開口61bは、冷房運転時、除湿運転時及び暖房運転時において、室外エジェクタ27の流出口27cから吐出される冷媒が流れ込む。
【0090】
第3の開口61cは、冷房運転時、除湿運転時及び暖房運転時において、気液分離器61で分離された気体状の冷媒を、室外エジェクタ27の第2の流入口27bに駆動流(駆動冷媒)として供給する。
【0091】
制御装置14は、室外機11及び室内機12に設けられる上述した室外送風ファン22、室内送風ファン42、圧縮機23、及び各制御弁等の制御を行い、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転制御を行う。制御装置14は、例えば、室外機11に設けられた室外制御装置14a、室内機12に設けられた室内制御装置14b等で構成される。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、電気的に接続され相互に制御信号の送受を行い、協働して室外機11と室内機12の制御を行う。室内機12に設けられた室内制御装置14bは、例えば、利用者が操作するリモートコントローラから信号を入力されて制御されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されて制御されてもよい。なお、室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、まとめて一つの制御装置14としてもよい。この場合、制御装置14は、室外機11に設けても室内機12に設けてもよいが、例えば室内機12に設けることができる。
【0092】
制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。
【0093】
図6は、本実施形態の空気調和装置10の制御装置14及びその制御装置14によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。図6に示すように、本実施形態の空気調和装置10は、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85、膨張弁駆動回路86、室外エジェクタ電磁弁駆動回路87、室内エジェクタ電磁弁駆動回路88と、流量調整弁駆動回路89とを有する。
【0094】
室外ファン駆動回路81は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路82は、室内送風ファン42の駆動回路である。インバータ回路83は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の周波数を変更する。インバータ回路83は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路83は、この例に限られない。
【0095】
第1の四方弁駆動回路84は、第1の四方弁25の駆動回路である。第2の四方弁駆動回路85は、第2の四方弁26の駆動回路である。膨張弁駆動回路86は、膨張弁43の駆動回路である。室外エジェクタ電磁弁駆動回路87は、室外エジェクタ電磁弁66の駆動回路である。室内エジェクタ電磁弁駆動回路88は、室内エジェクタ電磁弁67の駆動回路である。流量調整弁駆動回路89は、流量調整弁32,106,206の駆動回路である。
【0096】
制御装置14は、温度センサT1~T8、及び温度センサSuと、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85と、膨張弁駆動回路86と、室外エジェクタ電磁弁駆動回路87と、室内エジェクタ電磁弁駆動回路88と、流量調整弁駆動回路89とに接続される。制御装置14は、温度取得部91と、運転切替部92と、室外ファン制御部93と、室内ファン制御部94と、圧縮機制御部95と、弁制御部96とを備える。
【0097】
温度取得部91は、温度センサT1~T8及び温度センサSuを用いて、冷凍サイクル内の各部分の温度を測定する。
【0098】
例えば、温度センサT1は、第1の室外熱交換器21Aの内部における冷媒の温度(T1値)を検出する。
【0099】
温度センサT2は、第1の室外熱交換器21Aと第2の四方弁26との間で第1の室外熱交換器21Aの近傍の冷媒の温度(T2値)を検出する。
【0100】
温度センサT3は、第2の室内熱交換器41Bの内部における冷媒の温度(T3値)を検出する。
【0101】
温度センサT4は、室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)と室内エジェクタ28の第1の流出入口28bとの間で室内熱交換器ユニット41Uの近傍の冷媒の温度(T4値)を検出する。
【0102】
温度センサT5は、第1の室内熱交換器41Aの内部における冷媒の温度(T5値)を検出する。
【0103】
温度センサT6は、第1の室内熱交換器41Aと室内エジェクタ28の第2の流出入口28cとの間で第1の室内熱交換器41Aの近傍の冷媒の温度(T6値)を検出する。
【0104】
温度センサT7は、第2の室外熱交換器21Bの内部における冷媒の温度(T7値)を検出する。
【0105】
温度センサT8は、室内機12に吸い込まれた室内の空気の温度であって、室内熱交換器41で熱交換される前の空気の温度(以後、吸い込み空気温度とも称する:T8値)を検出する。
【0106】
温度センサSuは、アキュムレータの冷媒入口で冷媒の温度(Su値)を検出する。
【0107】
運転切替部92は、空気調和装置10における冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転の切り替えを行う。
【0108】
室外ファン制御部93は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部93は、室外ファン駆動回路81を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0109】
室内ファン制御部94は、室内送風ファン42を制御する。例えば、室内ファン制御部94は、室内ファン駆動回路82を制御することで、室内送風ファン42のモータの回転数を制御する。
【0110】
圧縮機制御部95は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部95は、インバータ回路83を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の周波数(運転周波数)を制御する。
【0111】
弁制御部96は、第1の四方弁25、第2の四方弁26、膨張弁43、室外エジェクタ電磁弁66、室内エジェクタ電磁弁67、流量調整弁32,106,206を制御する。弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84を制御することで、第1の四方弁25のアクチュエータを駆動し、第1の四方弁25の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第2の四方弁駆動回路85を制御することで、第2の四方弁26のアクチュエータを駆動し、第2の四方弁26の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、膨張弁駆動回路86を制御することで、膨張弁43の開度を変更させて、冷媒の膨張量を調整する。また、弁制御部96は、室外エジェクタ電磁弁駆動回路87、室内エジェクタ電磁弁駆動回路88を制御することで、室外エジェクタ電磁弁66、室内エジェクタ電磁弁67の開度を変更させて、冷媒の流量を調整する。弁制御部96は、流量調整弁駆動回路89を制御することで、流量調整弁32,106,206の開度を変更させて、冷媒の流量を制御する。
【0112】
上述のように構成される本実施形態の空気調和装置10の冷房運転、除湿運転及び暖房運転について説明する。なお、空気調和装置10は、冷房運転、除湿運転及び暖房運転に限らず、除霜運転及び除菌運転のような他の運転を行うことができる。また、空気調和装置10の冷房運転、除湿運転及び暖房運転は、以下に説明される例に限られない。
【0113】
まず、冷房運転について、図1に示される冷媒の流れ態様に基づいて説明する。本実施形態の空気調和装置10の場合、冷房運転として、通常冷房運転と最低能力冷房運転とが実現可能である。まず、通常冷房運転について説明する。なお、以下では、冷房運転は、特に言及しない限り通常冷房運転である。
【0114】
例えば、空気調和装置10の起動と冷房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、及び圧縮機制御部95は、冷房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン42を起動する。
【0115】
冷房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。リモートコントローラは、冷房運転や暖房運転の目標の温度の設定を行うことができる。以後、設定された目標の温度を設定温度とも称する。
【0116】
冷房運転が開始されると、弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84、第2の四方弁駆動回路85を制御し、第1の四方弁25、第2の四方弁26において冷媒が流れる方向を冷房用に変更させる。また、弁制御部96は、膨張弁駆動回路86、室外エジェクタ電磁弁駆動回路87、室内エジェクタ電磁弁駆動回路88及び流量調整弁駆動回路89を制御し、膨張弁43、室外エジェクタ電磁弁66、室内エジェクタ電磁弁67、及び流量調整弁32,106,206を冷房用に開閉弁状態を変化させる。
【0117】
具体的には、弁制御部96は、流量調整弁106,206を全開にし、流量調整弁32を全閉にする。また、第1の四方弁25が第1の配管51の領域51dと領域51cとを接続し、圧縮機23の吐出口23bと第1の室外熱交換器21Aとを接続する。その結果、圧縮機23から吐出された高圧高温の気体状の冷媒が第1の室外熱交換器21Aに供給される。第1の室外熱交換器21Aは凝縮器として機能し冷媒の熱交換が行われ、中温高圧の液状の冷媒が第2の四方弁26に向けて供給される。なお、本実施形態において、通常の冷房運転時には、室外エジェクタ27における室外エジェクタ電磁弁66は、例えば全開制御され、室外エジェクタ27を実質的には機能させることなく、中温高圧の液状の冷媒をそのまま、気液分離器61に供給する。そして、第2の四方弁26は、気液分離器61で分離された液状の中温高圧の液状の冷媒を室内機12側に供給する。つまり、本実施形態の空気調和装置10が冷房運転される場合、室外機11では、液状の冷媒を飽和状態(例えば、過冷却SC=T2値-T1値=0℃)で第1の室外熱交換器21Aから吐出させる。前述したように、室外エジェクタ27はエジェクタ効果を伴うことなく冷媒を通過させるため、気液分離器61には中温高圧の液状の冷媒が供給され、室内機12側に中温高圧の液状の冷媒を供給することができる。
【0118】
本実施形態の空気調和装置10において、冷房運転が行われる場合、気液分離器61の第1の開口61aから供給される液状の中温高圧の冷媒は、第2の四方弁26を介して、室内機12側に供給された後、途中で分流する。分流した一方の冷媒は、第3の配管53に設けられた膨張弁43に流れる。また、分流した他方の冷媒は、室内エジェクタ28の第3の流入口28aに流れる。膨張弁43に供給された中温高圧の液状の冷媒は、膨張弁43で膨張され低温低圧の冷媒となる。そして、液状の低温低圧の冷媒は、蒸発器として機能する室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に流れ込み熱交換により吸熱するとともに気体化されて、室内エジェクタ28の第1の流出入口28bに供給される。
【0119】
ここで、室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)の配管を通過する冷媒は、配管の通過による圧力損失を伴う場合があるが、室内エジェクタ28の第3の流入口28aには、気液分離器61の第1の開口61aから供給され分流した他方の冷媒(中温高圧の液状の冷媒)が駆動流として供給される。その結果、圧力損失分を補い冷凍能力の確保に寄与する。
【0120】
室内エジェクタ28の第2の流出入口28cから吐出される昇圧された冷媒は、蒸発器として機能する第1の室内熱交換器41Aで気体化され、第1の配管51の領域51a、第1の四方弁25、領域51b、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻る。
【0121】
この場合、室内エジェクタ28と膨張弁43とによる冷媒の昇圧効果を出すために、室内エジェクタ28の室内エジェクタ電磁弁67及び膨張弁43の開度制御が行われる。例えば、T6値-T4値の値が約2℃である場合には冷媒が約0.1MPaだけ昇圧される。そこで、本実施形態では、弁制御部96は、T3値が12℃となるように膨張弁43の開度を制御するととともに、T6値-T4値≧2℃となるように室内エジェクタ28の室内エジェクタ電磁弁67の開度制御を行う。これにより、高い昇圧効果が得られ、省エネルギー化に寄与することができる。このように、本実施形態では、室内エジェクタ28を備えるので、室内エジェクタ28を備えない空調装置に対して能力増大が図れる。また、室内エジェクタ28による昇圧効果により圧縮機23に戻す気体状の冷媒の圧力の向上が図れるため、圧縮機23の仕事量の軽減が可能となり、省エネルギー化に寄与することができる。
【0122】
なお、図1に示されるように、本実施形態の空気調和装置10の場合、冷房運転時に第1の室外熱交換器21Aの下流に気液分離器61が存在する。そのため、膨張弁43には、気液分離器61で分離した十分な量の液状の冷媒が供給できる。
【0123】
このように、冷房運転時の冷媒の循環を制御する本実施形態の空気調和装置10は、膨張弁43の制御で能力コントロールされる室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)と、室内エジェクタ28の制御で能力コントロールされる第1の室内熱交換器41Aと、を備え、その合算で冷房能力を決定することができるので、冷房運転能力の向上に寄与できる。また、圧縮機23の戻す冷媒の圧力を室内エジェクタ28のエジェクタ効果によって昇圧することができるので、圧縮機23の仕事量の軽減による省エネルギー化に寄与することができる。また、本実施形態では、室内エジェクタ28と室外エジェクタ27とのうち室内エジェクタ28を動作させる。これにより、室内エジェクタ28の第1の流出入口28bにより多くの吸引流を入れることができ、効率的に圧縮機23の戻す冷媒の圧力を室内エジェクタ28のエジェクタ効果によって昇圧することができる。
【0124】
次に、最低能力冷房運転について説明する。なお、最低能力冷房運転時の冷媒の流れは、概ね通常冷房運転時と同じであるため、図1を流用して説明を行う。最低能力冷房運転では、弁制御部96は、流量調整弁32,106,206を全閉にする。ただし、弁制御部96は、流量調整弁32については開度を制御する。また、弁制御部96は、室外エジェクタ27でエジェクタ効果が発揮できるように室外エジェクタ電磁弁66を調整する。また、弁制御部96は、室内エジェクタ電磁弁67を全閉にする。
【0125】
この場合、第1の室外熱交換器21Aでは、冷媒は、第1の室外パス部103Aを通らず、第2の室外パス部103Bを通る。第2の室外パス部103Bを通った冷媒は、室外エジェクタ27によって膨張され冷却される。また、室内熱交換器41では、冷媒は、第2の室内熱交換器41Bをと通らず、第3の室内熱交換器41Cを通る。第3の室内熱交換器41Cを通った冷媒は、室内エジェクタ28を介して第1の室内熱交換器41Aに流れる。このとき、室内エジェクタ28の第3の流入口28aには冷媒が流入しない。
【0126】
最低能力冷房運転では、弁制御部96は、設定温度とT8値との差が、0.5℃以下となるように、膨張弁43及び流量調整弁32を制御する。また、弁制御部96は、設定温度とT8値との差が、0.6℃以上となった場合には、流量調整弁32を開いて、第2の室外熱交換器21Bに冷媒を流し、室内熱交換器41に流れる冷媒の量を調整する。このとき、第2の配管52の冷媒の一部が第2の室外熱交換器21Bを通って第1の配管51の領域51aに流れる。すなわち、第2の配管52の冷媒の一部は、室内熱交換器41を通らずに、圧縮機23に戻る。このように、室内熱交換器41に流す冷媒の量を調整することにより、圧縮機23の最低能力で冷房運転を行うことができる。
【0127】
続いて、除湿運転について説明する。なお、除湿運転時の冷媒の流れは、概ね冷房運転時と同じであるため、図1を流用して説明を行う。また、以下では、冷房運転に対する除湿運転の相違点を主に説明する。また、上述したように、本実施形態の空気調和装置10の場合、除湿運転として、高除湿運転と再熱除湿運転とが実現可能である。まず、高除湿運転について説明する。除湿運転では、冷房運転時に室内熱交換器41で結露を発生させて、室内の水分を結露水として回収する。
【0128】
除湿運転では、弁制御部96は、膨張弁43の開度を制御するとともに、流量調整弁206が膨張弁として機能するように流量調整弁206の開度を制御する。また、弁制御部96は、流量調整弁106を全開にし、流量調整弁32を全閉にする。また、弁制御部96は、室外エジェクタ27の室外エジェクタ電磁弁66を全開にして、高圧中温の液冷媒が室内機12に流れるようにする。また、弁制御部96は、室内エジェクタ28における室内エジェクタ電磁弁67を、例えば全閉にする。このとき、室内エジェクタ28の第3の流入口28aには冷媒が流入しない。
【0129】
そして、弁制御部96は、第2の室内熱交換器41Bを流れる冷媒の温度が例えば8℃まで下がるように、膨張弁43及び流量調整弁206の開度を制御する。例えば、弁制御部96は、冷媒の温度を、膨張弁43によって12℃までに下げた後、流量調整弁206によって8℃まで下げるように、膨張弁43及び流量調整弁206を制御する。これにより、第2の室内熱交換器41Bでの除湿量の増大を図ることができる。
【0130】
室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)で蒸発してガスと液の混合の冷媒は、室内エジェクタ28の駆動流の液状の冷媒と混合される。室内エジェクタ28から流入した冷媒は、第1の室内熱交換器41Aでガス化されて圧縮機23に戻る。このように、高除湿運転では、膨張弁43及び流量調整弁206
によって、冷媒を冷却する。このように、本実施形態では、膨張弁43及び流量調整弁206の二つで冷媒の温度を下げることができるので、例えば、膨張弁43だけで冷媒の温度を上げる構成に比べて、除湿運転能力の向上に寄与できる。
【0131】
次に、再熱除湿運転について説明する。再熱除湿運転時の冷媒の流れも、概ね冷房運転時と同じであるため、図1を流用して説明を行う。再熱除湿運転は、第1の室内熱交換器41Aと室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)の一方(一例として、第1の室内熱交換器41A)を除湿用に用いて、他方(一例として、室内熱交換器ユニット41U)を空気加熱用に用いる。その結果、除湿を行いながらも室内に冷風が放出され難くする運転モードである。
【0132】
再熱除湿運転では、弁制御部96は、例えば、膨張弁43及び流量調整弁206をそれぞれ全開にする。また、弁制御部96は、流量調整弁106を全開にし、流量調整弁32を全閉にする。また、弁制御部96は、室外エジェクタ27の室外エジェクタ電磁弁66を全開にする。また、弁制御部96は、室内エジェクタ28における室内エジェクタ電磁弁67を、エジェクタ効果が発揮されるように制御にする。このとき、室内エジェクタ28の第3の流入口28aには冷媒が流入しない。そして、弁制御部96は、SC=T2値-T1値<-5℃となるように、各弁を制御する。
【0133】
この場合、第1の四方弁25が第1の配管51の領域51dと領域51cとを接続し、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続する。その結果、圧縮機23から吐出された高圧高温の気体状の冷媒が室外熱交換器21に供給される。室外熱交換器21は凝縮器として機能し冷媒の熱交換が行われ、中温高圧の液状の冷媒が第2の四方弁26に向けて供給される。なお、本実施形態において、再熱除湿運転時には、冷房運転時と同様に室外エジェクタ27における室外エジェクタ電磁弁66は、例えば全開制御され、室外エジェクタ27を実質的には機能させることなく、中温高圧の液状の冷媒をそのまま、気液分離器61に供給する。そして、第2の四方弁26は、気液分離器61で分離された液状の中温高圧の液状の冷媒を室内機12側に供給する。つまり、本実施形態の空気調和装置10が再熱除湿運転される場合、室外機11では、液状の冷媒を飽和状態で室外熱交換器21から吐出させる。前述したように、室外エジェクタ27はエジェクタ効果を伴うことなく冷媒を通過させるため、気液分離器61には中温高圧の液状の冷媒が供給され、室内機12側に中温高圧の液状の冷媒を供給することができる。
【0134】
本実施形態の空気調和装置10において、再熱除湿運転が行われる場合、気液分離器61の第1の開口61aから供給される液状の中温高圧の冷媒は、第2の四方弁26を介して、室内機12側に供給された後、途中で分流する。分流した一方の冷媒は、第3の配管53に設けられた膨張弁43に流れる。このとき膨張弁43は全開状態に制御され、冷媒は高い温度のまま室内熱交換器ユニット41Uに供給される。つまり、室内熱交換器ユニット41Uには、温かい冷媒が流れ放熱することにより、図5において室内機12の通風路73を流れる空気を温める。室内熱交換器ユニット41Uから吐出された冷媒は、室内エジェクタ28の第1の流出入口28bに吸引流として供給される。また、分流した他方の冷媒は、室内エジェクタ28の第3の流入口28aに駆動流として流れる。
【0135】
室内エジェクタ28の第2の流出入口28cからは、当該室内エジェクタ28による膨張作用により温度が低下した冷媒が蒸発器として機能する第1の室内熱交換器41Aに供給され、熱交換により気体化され、その際の吸熱で結露(結露水)を発生させる。この時、第1の室内熱交換器41Aの周囲の空気は冷やされるが、室内熱交換器ユニット41Uを介しての放熱により暖められる(再熱される)。結果的に、室内機12の通風路73から冷風が放出されることが抑制され、室内機12は除湿を行いながら室内の温度が低下すること抑制することができる。
【0136】
本実施形態の空気調和装置10の再燃除湿運転の場合、上述したように第1の室内熱交換器41Aで除湿を行い第2の室内熱交換器41Bで除湿により冷えた空気を温めている。その結果、室内送風ファン42を例えば送風運転または微送風運転した場合でも良好な除湿を行いつつ、室内に冷風が放出されることを抑制することができるので、例えば就寝中等でも、快適な除湿環境を実現することができる。なお、再熱除湿運転時においても、室内エジェクタ28による昇圧効果により圧縮機23に戻す気体状の冷媒の圧力の向上が図れるため、圧縮機23の仕事量の軽減が可能となり、省エネルギー化に寄与することができる。
【0137】
また、本実施形態の空気調和装置10の場合、第1の室外熱交換器21Aの下流に気液分離器61が存在する。その結果、再熱除湿運転時でも室外機11(第1の室外熱交換器21A)であえて冷媒を完全液化する必要がなく、同じ能力を実現する場合には、第1の室外熱交換器21Aの小型化に寄与することが可能になる。
【0138】
次に、暖房運転について、図2に示す冷媒の流れ態様に基づいて説明する。本実施形態の空気調和装置10の場合、暖房運転として、通常暖房運転と最低能力暖房運転とが実現可能である。まず、通常暖房運転について説明する。なお、以下では、暖房運転は、特に言及しない限り通常暖房運転である。
【0139】
暖房運転の場合も例えば、空気調和装置10の起動と暖房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、及び圧縮機制御部95は、暖房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン42を起動する。
【0140】
暖房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。
【0141】
暖房運転が開始されると、弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84、第2の四方弁駆動回路85を制御し、第1の四方弁25、第2の四方弁26において冷媒が流れる方向を暖房用に変更させる。また、弁制御部96は、膨張弁駆動回路86、室外エジェクタ電磁弁駆動回路87、室内エジェクタ電磁弁駆動回路88、及び流量調整弁駆動回路89を制御し、膨張弁43、室外エジェクタ電磁弁66、室内エジェクタ電磁弁67、流量調整弁32,106,206を暖房用に開閉弁状態を変化させる。
【0142】
具体的には、第1の四方弁25が第1の配管51の領域51dと領域51aとを接続し、圧縮機23の吐出口23bと第1の室内熱交換器41Aとを接続する。その結果、圧縮機23から吐出された高温高圧の気体状の冷媒が第1の室内熱交換器41Aに供給される。このとき、室内エジェクタ28の室内エジェクタ電磁弁67は、全閉状態として、駆動流を供給しないようにされている。その結果、室内エジェクタ28は、第2の流出入口28cから第1の室内熱交換器41Aを通過した冷媒を受け入れ、第1の流出入口28bから吐出するのみとなる。そして、冷媒は室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に供給される。つまり、圧縮機23から供給される高温高圧の気体状の冷媒は、直列に接続された第1の室内熱交換器41A及び室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)に供給に流れる。その結果、第1の室内熱交換器41A及び室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)は凝縮器として機能し冷媒の熱交換を行い、室内に温風を放出する。
【0143】
また、膨張弁43及び流量調整弁206は、全開状態に制御され、室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)から吐出された液体状の冷媒を、第2の四方弁26を介して、室外エジェクタ27の第1の流入口27aに駆動流として供給する。また、室外エジェクタ27の第2の流入口27bには、気液分離器61の第3の開口61cから気体状の冷媒が吸引流として供給される。室外エジェクタ27の流出口27cから吐出される低温低圧の気液二相の冷媒は、気液分離器61に供給され、分離された液体状の冷媒は、蒸発器として機能する第1の室外熱交換器21Aに供給される。そして、第1の室外熱交換器21Aで気体化された冷媒は、第1の四方弁25、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻る。
【0144】
このように、室内エジェクタ28をエジェクタとして機能させず、逆方向から通過させることで、圧縮機23から供給された圧力の高い状態の冷媒を室外エジェクタ27の駆動流に利用可能となる。例えば、第1の室内熱交換器41A及び室内熱交換器ユニット41U(第2の室内熱交換器41B、第3の室内熱交換器41C)を通過した冷媒は、配管の通過による圧力損失の影響を受ける場合があるが、圧縮機23から圧力が高い状態の冷媒を、室外エジェクタ27の駆動流として供給することができる。さらに、室外エジェクタ27の昇圧効果により、気液分離器61を介して第1の室外熱交換器21Aに供給する冷媒の圧力を向上することできる。その結果、圧力が高い状態の気体状の冷媒を圧縮機23に戻すことが可能となり、圧縮機23の仕事量を軽減することが可能となり、暖房運転時にも省エネルギー化に寄与することができる。
【0145】
また、暖房運転時の冷媒の循環路中に室外エジェクタ27を設けることで、気液分離器61を通過して、第1の室外熱交換器21Aへ温度の高い液状の冷媒が供給可能となる。つまり、第1の室外熱交換器21Aに供給する冷媒を露点温度より高くすることが可能になる。その結果、第1の室外熱交換器21Aにおける熱交換時に霜が付きにくくすることができる。つまり、除霜処理を行う必要がない空気調和装置10を提供することができる。また、第1の室外熱交換器21Aの性能を維持しつつ小型化が可能になる。
【0146】
また、暖房運転時は、流量調整弁32が全開にされる。これにより、圧縮機23から出た冷媒の一部が第2の室内熱交換器41Bを通過する。これにより、第2の室内熱交換器41Bにおいて空気が加熱され、加熱された空気が第1の室外熱交換器21Aに流れる。これにより、第1の室外熱交換器21Aに流れる空気が例えば露点温度以上になり、第1の室外熱交換器21Aに霜が付かない。よって、除霜運転が不要の所謂ノンストップ暖房が可能になる。なお、外気温度が比較的高い場合には、暖房運転時に、流量調整弁32を全閉にしてもよい。
【0147】
次に、最低能力暖房運転について説明する。なお、最低能力暖房運転時の冷媒の流れは、概ね通常暖房運転時と同じであるため、図2を流用して説明を行う。最低能力暖房運転では、弁制御部96は、流量調整弁206を全閉にする。また、弁制御部96は、流量調整弁32,106を開く。また、弁制御部96は、室外エジェクタ27でエジェクタ効果が発揮できるように室外エジェクタ電磁弁66を調整する。また、弁制御部96は、室内エジェクタ電磁弁67を全閉にする。
【0148】
そして、最低能力暖房運転では、制御装置14は、例えば、設定温度を中心にPI制御(吸込空気温度の比例制御)を行い、室外機11(圧縮機23、室外送風ファン22)の動作を止めない。すなわち、本実施形態では、設定温度と吸込空気温度とに差温が無くなった場合すなわち最低能力での暖房運転であってもサーモオフを実施しない。
【0149】
具体的には、最低能力での暖房運転時には、流量調整弁206を閉弁(全閉)にする。なお、室内パス部203Aに冷媒が滞留し、その冷媒が冷えることを抑制するために、流量調整弁206を少しだけ(例えば、約80パルス/500パルス)開弁させてもよい。また、制御装置14は、流量調整弁106は全開にする。そして、制御装置14は、設定温度とT8値(吸込温度)との設定温度の±0.2℃の範囲内となるように、各弁を制御する。具体的には、制御装置14は、設定温度より吸込温度が+0.2℃上昇した場合、流量調整弁32を開弁し、第2の室外熱交換器21Bに冷媒ガスを逃がし室温を下げる。一方、設定温度より吸込温度が-0.2℃低下した場合、制御装置14は、流量調整弁32を閉める。それでも、吸込温度が低下する場合は、制御装置14は、流量調整弁206を開け、室内パス部203Aに冷媒ガスを流し、圧縮機23に戻る冷媒の温度を上昇させる。この時、圧縮機23の周波数は最低周波数で変化させない。また、制御装置14は、冷媒配管13を流れる冷媒の量の不足を検出した場合、流量調整弁32を開弁する。
【0150】
なお、上記の最低能力での暖房運転時において、流量調整弁206を常に、少し開いておいてもよい。これにより、第2の室内熱交換器41Bにガス状の冷媒が溜まり、当該冷媒が冷えて液化するのを抑制することができる。よって、暖房能力が低下するのを抑制することができる。
【0151】
以上のように、本実施形態の空気調和装置10は、第1の室外熱交換器21Aと、第1の室内熱交換器41Aと、第2の室内熱交換器41Bと、第3の室内熱交換器41Cと、第1の配管51と、第2の配管52と、圧縮機23と、第1の四方弁25と、室外エジェクタ27と、第2の四方弁26と、室内エジェクタ28と、第3の配管53と、膨張弁43と、第4の配管54と、流量調整弁206と、第5の配管55と、第6の配管56と、気液分離器61と、第7の配管57と、を備える。第1の配管51は、第1の室内熱交換器41Aと第1の室外熱交換器21Aとを接続し、冷媒が流れる。第2の配管52は、第1の室外熱交換器21Aと第1の室内熱交換器41Aとを接続し、前記冷媒が流れる。圧縮機23は、第1の配管51に設けられ、冷媒を吸入する吸入口23aと、冷媒を吐出する吐出口23bと、を有する。第1の四方弁25は、第1の配管51に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。室外エジェクタ27は、第2の配管52に設けられ、第2の配管52における上流側から冷媒が流入する第1の流入口27aと、第1の流入口27aから流入した冷媒と混合させるための冷媒が流入する第2の流入口27bと、混合した冷媒を第2の配管52の下流側に流出させる流出口27cと、を有する。第2の四方弁26は、第2の配管52に設けられ、室外エジェクタ27の第1の流入口27aと流出口27cとに接続され、流出口27cから流出する冷媒の流れる方向を変更可能である。室内エジェクタ28は、第2の四方弁26と第1の室内熱交換器41Aとの間の第2の配管52に設けられ、第2の四方弁26を通過した冷媒が流入する第3の流入口28aと、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cの少なくともいずれか一方を通過した冷媒が流入する第1の流出入口28bと、第3の流入口28aから流入した冷媒と第1の流出入口28bから流入した冷媒とを混合させた状態で流出させる第2の流出入口28cと、を有する。第3の配管53は、第2の四方弁26と室内エジェクタ28の第3の流入口28aとの間の第2の配管52と第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cと、の間を、室内分流器202(第1の分流器)を介して接続する。膨張弁43は、第3の配管53に設けられている。第4の配管54は、室内分流器202と第2の室内熱交換器41Bとの間を接続する。流量調整弁206は、第4の配管54に設けられ、第4の配管54の冷媒の流れを調整する。第5の配管55は、室内分流器202(第1の分流器)と第3の室内熱交換器41Cとの間を接続する。第6の配管56は、室内エジェクタ28の第1の流出入口28bと、第2の室内熱交換器41B及び第3の室内熱交換器41Cと、の間を、室内分流器201(第2の分流器)を介して接続する。気液分離器61は、第2の配管52に設けられ、第2の四方弁26と接続される第1の開口61aと、室外エジェクタ27の流出口27cと接続される第2の開口61bと、少なくとも気体状の冷媒が流出可能な第3の開口61cと、が設けられている。第7の配管57は、気液分離器61の第3の開口61cと、室外エジェクタ27の第1の流入口27aとを接続する。
【0152】
このような構成によれば、例えば、冷凍サイクルにおける熱交換効率が向上可能となり、熱交換器の小型化が可能な空気調和装置10が提供可能となる。
【0153】
また、空気調和装置10は、例えば、流量調整弁106(第2の流量調整弁)を備える。第1の室外熱交換器21Aは、互いに並列に並べられ記冷媒が流れる複数の室外パス103a~103fを有する。複数の室外パス103a~103fは、第1の室外パス部103Aと、第2の室外パス部103Bと、を含む。記複数の室外パス103a~103fは、1以上の前記室外パス103a~103f(一例として室外パス103a~103d)からなる第1の室外パス部103Aと、第1の室外パス部103Aとは異なる1以上の室外パス103a~103f(一例として室外パス103f)からなる第2の室外パス部103Bと、を含む。流量調整弁106は、第1の室外パス部103Aへの冷媒の流れを調整する。
【0154】
このような構成によれば、例えば、流量調整弁106により第1の室外パス部103Aへの冷媒の流量を減らすことで、圧縮機23の低能力の運転が可能となり、圧縮機23が発停を繰り返すことなく運転できる。
【0155】
また、流量調整弁206は、膨張弁である。
【0156】
このような構成によれば、第2の室内熱交換器41Bをより冷やすことができ、除湿量を増加させることができる。
【0157】
また、空気調和装置10は、第8の配管58と、流量調整弁32(第2の流量調整弁)と、を備える。第8の配管58は、第1の四方弁25と第1の室内熱交換器41Aとの間の前記第1の配管51と、第2の四方弁26と第1の室内熱交換器41Aとの間の第2の配管52と、の間を、接続する。流量調整弁32は、第8の配管58に設けられ、第8の配管58の前記冷媒の流れを調整する。
【0158】
このような構成によれば、圧縮機23の低能力の運転時に、流量調整弁32によって、余分な冷媒を第1の室内熱交換器41A側に流さないようすることができる。よって、圧縮機23の低能力運転が可能となり、圧縮機23が発停を繰り返すことなく運転できる。
【0159】
また、空気調和装置10は、例えば、第2の室外熱交換器21Bと、室外送風ファン22と、を備える。第2の室外熱交換器21Bは、第8の配管58に設けられている。室外送風ファン22は、第1の室外熱交換器21A及び前記第2の室外熱交換器21Bと熱交換する空気の流れを生成する。
【0160】
このような構成によれば、暖房運転時に、室外機が吸い込む空気(外気)の温度温度を第2の室外熱交換器21Bによって上昇させることができる。これにより、第1の室外熱交換器21Aに流す冷媒の温度を高くすることができる。その結果、第1の室外熱交換器21Aに流れる空気が露点温度以上になり、第1の室外熱交換器21Aに霜が付かない。よって、除霜運転が不要の所謂ノンストップ暖房が可能になる。
【0161】
なお、上述した実施形態では、第2のエジェクタを室内機12に設けられる室内エジェクタ28として説明した。別の実施形態では、第2のエジェクタを室外機11に設けてもよい。第2のエジェクタを室外機11側に設けることにより、室内機12の静音化や小型化に寄与することができる。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0163】
10…空気調和装置、21A…第1の室外熱交換器、21B…第2の室外熱交換器、22…室外送風ファン、23…圧縮機、23a…吸入口、23b…吐出口、25…第1の四方弁、26…第2の四方弁、27…室外エジェクタ(第1のエジェクタ)、27a…第1の流入口、27b…第2の流入口、27c…流出口、28…室内エジェクタ(第2のエジェクタ)、28a…第3の流入口、28b…第1の流出入口、28c…第2の流出入口、32…流量調整弁(第2の流量調整弁)、41A…第1の室内熱交換器、41B…第2の室内熱交換器、41C…第3の室内熱交換器、43…膨張弁、51…第1の配管、53…第3の配管、54…第4の配管、55…第5の配管、56…第6の配管、57…第7の配管、58…第8の配管、61…気液分離器、61a…第1の開口、61b…第2の開口、61c…第3の開口、103A…第1の室外パス部、103a~103f…室外パス、103B…第2の室外パス部、106…流量調整弁(第2の流量調整弁)、206…流量調整弁(第1の流量調整弁)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6