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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151553
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】水素活用・水活用システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064993
(22)【出願日】2023-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 達
(72)【発明者】
【氏名】梅田 博之
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正裕
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】本発明は、燃料電池式発電装置によって生成された水を有効利用することを目的とする。
【解決手段】水素活用・水活用システムが、建造されて地域に分布された複数の住宅と、輸送機とを備える。複数の住宅のそれぞれが、住宅に着脱可能に設けられる貯水槽と、住宅に着脱可能に設けられ、水素が収められたカートリッジと、カートリッジから水素の供給を受けて、供給された水素と酸素から電力と水を生成し、その水を貯水槽に排出する燃料電池式発電装置と、を有し、輸送機が、貯水槽に貯まった水とともに貯水槽を回収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造されて地域に分布された複数の住宅と、輸送機とを備える水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅のそれぞれが、
前記住宅に着脱可能に設けられる貯水槽と、
前記住宅に着脱可能に設けられ、水素が収められたカートリッジと、
前記カートリッジから水素の供給を受けて、供給された水素と酸素から電力と水を生成し、その水を前記貯水槽に排出する燃料電池式発電装置と、
を有し、
前記輸送機が、前記貯水槽に貯まった水とともに前記貯水槽を回収する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記輸送機が、水素で満たされた複数の満杯カートリッジを前記複数の住宅に配送しながら、前記貯水槽に貯まった水とともに前記貯水槽を回収する
ことを特徴とする請求項1に記載の水素活用・水活用システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記満杯カートリッジが円柱状に成しており、前記満杯カートリッジが立てられた状態で格子状に配列されるよう前記輸送機に積載され、前記貯水槽が前記満杯カートリッジによって囲われた隙間に配置されるよう前記輸送機に積載される
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記地域に設置され、水素を製造する水素製造設備と、
前記地域に設置され、前記水素製造設備によって製造された水素を貯蔵する水素貯蔵設備と、
前記地域に設置され、前記水素貯蔵設備に貯蔵された水素を前記カートリッジに充填する水素充填設備と、を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項5】
請求項4に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記水素製造設備が、
前記輸送機によって回収された前記貯水槽から水の供給を受けて、その水を電気分解することによって水素を生成する電気分解装置を有する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記地域に設置され、前記輸送機によって回収された前記貯水槽の中の水にミネラル若しくは次亜塩素酸カルシウム又はこれら両方を添加する添加設備を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項7】
請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅のそれぞれが、
前記住宅の屋根に設置された太陽光発電パネルと、
前記住宅に設置され、前記貯水槽から水の供給を受け、その水を前記太陽光発電パネルによって生成された電力を用いて電気分解することによって水素を生成し、その水素を前記燃料電池式発電装置に供給する水素製造装置と、
を有する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素活用・水活用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水素製造システムを開示する。
特許文献2は、空気中の酸素と水素を電気化学反応させることによって電力を生成する燃料電池を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-030975号公報
【特許文献2】特開2022-189410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池が住宅において自家発電に用いられる場合、工場等の水素製造システムによって製造された水素を住宅に配送する必要がある。燃料電池が水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させると、水が生成される。その水は純水であることから、下水に排水されても大きな問題はない。ところが、その水も有効利用することが要望される。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、燃料電池式発電装置によって生成された水を有効利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の括弧書きで示された参照符号は図1図6において参照される。
【0006】
請求項1に係る発明によれば、建造されて地域に分布された複数の住宅(10)と、輸送機(3)とを備える水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅(10)のそれぞれが、
前記住宅(10)に着脱可能に設けられる貯水槽(24)と、
前記住宅(10)に着脱可能に設けられ、水素が収められたカートリッジ(20)と、
前記カートリッジ(20)から水素の供給を受けて、供給された水素と酸素から電力と水を生成し、その水を前記貯水槽(24)に排出する燃料電池式発電装置(23)と、
を有し、
前記輸送機(3)が、前記貯水槽(24)に貯まった水とともに前記貯水槽(24)を回収する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0007】
以上のような請求項1に係る発明によれば、各住宅(10)の燃料電池式発電装置(23)によって生成された水が有効利用される。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記輸送機(3)が、水素で満たされた複数の満杯カートリッジ(20)を前記複数の住宅(10)に配送しながら、前記貯水槽(24)に貯まった水とともに前記貯水槽(24)を回収する
ことを特徴とする請求項1に記載の水素活用・水活用システムが提供される。
【0009】
以上のような請求項2に係る発明によれば、輸送機(3)の運行コストを低減できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、請求項2に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記満杯カートリッジ(20)が円柱状に成しており、前記満杯カートリッジ(20)が立てられた状態で格子状に配列されるよう前記輸送機(3)に積載され、前記貯水槽(24)が前記満杯カートリッジ(20)によって囲われた隙間に配置されるよう前記輸送機(3)に積載される
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0011】
以上のような請求項3に係る発明によれば、満杯カートリッジ(20)及び貯水槽(24)を有効的に輸送機(3)に積載することができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記地域に設置され、水素を製造する水素製造設備(1a)と、
前記地域に設置され、前記水素製造設備(1a)によって製造された水素を貯蔵する水素貯蔵設備(1b)と、
前記地域に設置され、前記水素貯蔵設備(1b)に貯蔵された水素を前記カートリッジ(20)に充填する水素充填設備(1c)と、を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0013】
以上のような請求項4に係る発明によれば、水素活用・水活用システムにおいて水素が賄える。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、請求項4に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記水素製造設備(1a)が、
前記輸送機(3)によって回収された前記貯水槽(24)から水の供給を受けて、その水を電気分解することによって水素を生成する電気分解装置を有する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0015】
以上のような請求項5に係る発明によれば、水及び水素が循環的に利用される。
【0016】
請求項6に係る発明によれば、請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記地域に設置され、前記輸送機(3)によって回収された前記貯水槽(24)の中の水にミネラル若しくは次亜塩素酸カルシウム又はこれら両方を添加する添加設備(1d)を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0017】
以上のような請求項6に係る発明によれば、前記貯水槽(24)の中の水を飲用に用いやすい。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅(10)のそれぞれが、
前記住宅(10)の屋根に設置された太陽光発電パネル(14)と、
前記住宅(10)に設置され、前記貯水槽(24)から水の供給を受け、その水を前記太陽光発電パネル(14)によって生成された電力を用いて電気分解することによって水素を生成し、その水素を前記燃料電池式発電装置(23)に供給する水素製造装置と、
を有する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【0019】
以上のような請求項7に係る発明によれば、住宅(10)において自然エネルギーを用いて、水及び水素が循環的に利用される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各住宅の燃料電池式発電装置によって生成された水を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、水素活用・水活用システムを示した図である。
図2図2は、住宅を示した図である。
図3図3は、全体管理装置及びストレージ装置を示した図である。
図4図4は、カートリッジストッカーを示した図である。
図5図5は、ロッカーを示した図である。
図6図6は、輸送機に積載されたカートリッジ及び貯水槽の配置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0023】
以下の説明において、「第1」及び「第2」などのような序数が共通の名称に付されている場合、序数はそれが付された対象を識別する目的でのみ用いられる。序数はそれが付された対象を特定の対象に限定しない上、序数はそれが付された対象の順番、順位、順序、階級、優先及び劣後などを特定しない。
【0024】
以下の説明において、時間及び時刻の最小単位は、限定されるものではなく、例えば、1秒、1分、1時間、6時間、12時間、24時間、1週間、2週間、1月、3月、6月又は1年である。時間及び時刻は、暦により表されてもよい。
【0025】
以下の説明において、水素の量の単位は、大気圧における水素の体積であってもよいし、水素の重量であってもよいし、後述のカートリッジ20の数であってもよい。
【0026】
<1. 水素活用・水活用システムの概要>
図1は、水素活用・水活用システムを示した図である。
水素活用・水活用システムは、或る国の或る大地域に存在するシティである。この水素活用・水活用システムでは、太陽光エネルギーなどを利用した水の電気分解による水素の製造と、水素の電気化学反応による電気エネルギーの生成が実現されており、水素と水が循環的に利用される。従って、このシティに住む人々は二酸化炭素を極力排出しない暮らしを送れる。この水素活用・水活用システムは、カーボンニュートラルの推進と、脱炭素社会の実現と、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成とに貢献する。
【0027】
水素活用・水活用システムに属する多数の住宅10が建造されており、これら住宅10が大地域に分布し、これら住宅10が水素活用・水活用システムを構成する。住宅10は、大地域よりも狭い小地域ごとにグループ分けされている。つまり、大地域が小地域に区画され、各小地域に存在する複数の住宅10がグループ9を成している。商用電源用の電力配線網が大地域に張り巡らされ、商用電源の電力が各住宅10に供給される。なお、小地域には小規模電力配線網が張り巡らされ、各住宅10で生成された電力がそのグループ9に属する住宅10の間で小規模電力配線網を介して融通されてもよい。
【0028】
グループ9には、一意のグループIDが割り当てられている。住宅10には、一意の住宅IDが割り当てられている。住宅10には、その住宅10が属するグループ9のグループIDが割り当てられている。
【0029】
水素活用・水活用システムは、多数の住宅10のほか、水素製造プラント1、配送センター2、複数の輸送機3及び複数のストック施設8を備える。
【0030】
水素製造プラント1が大地域の特定の場所に設立されており、配送センター2がプラント1に隣接して設立されている。プラント1には、水素製造設備1a、水素貯蔵設備1b及び水素充填設備1cが設置されている。水素製造設備1aは水素を製造する。例えば水素製造設備は電気分解装置を有してもよい。電気分解装置は、プラント1内の太陽光発電設備又は商用電源から供給された電力を利用して水を電気分解することによって、水素を製造し、その水素を水素貯蔵設備1bに送る。水素貯蔵設備1bは、水素製造設備1aによって製造された水素を貯蔵する。水素充填設備1cは、水素貯蔵設備1bから水素の供給を受けて、人が持ち運べる程度の小型なカートリッジ20に水素を小分けして充填する。カートリッジ20は例えばボンベ又は貯蔵器である。ボンベには、圧縮された高圧な水素が充填される。貯蔵器は、水素吸蔵合金等を有し、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵する。カートリッジ20は、円柱状に成している。
【0031】
水素が満たされたカートリッジ20は、プラント1から配送センター2に送られる。カートリッジ20は、配送センター2から貨物自動車及びマルチコプターなどのような輸送機3によって各住宅10に配送される。輸送機3の大きさ、つまり最大積載量は、輸送するカートリッジ20の数によって決められる。例えば、大量のカートリッジ20の輸送には大型の輸送機3が用いられ、中量のカートリッジ20の輸送には中型の輸送機3が用いられ、小量のカートリッジ20の輸送には小型の輸送機3が用いられる。
【0032】
小規模なストック施設8が各小地域に存在し、カートリッジ20が配送センター2からストック施設8に輸送されることによりカートリッジ20がストック施設8に貯められ、カートリッジ20がストック施設8から、それと同一の小地域にある各住宅10に配送されてもよい。この場合、大型の輸送機3が配送センター2及び複数のストック施設8の間で巡回し、小型の輸送機3が同一の小地域内においてストック施設8と複数の住宅10の間で巡回してもよい。
【0033】
カートリッジ20は、定期便によって定期的に各住宅10に輸送されるほか、臨時便によって不定期的に必要な住宅10に輸送される。定期便には、大型の輸送機3が通常利用される。定期便及び臨時便は、満杯のカートリッジ20を住宅10の居住者(以下、ユーザーという。)に受け渡すとともに、空のカートリッジ20を住宅から回収する。臨時便は、住宅10のユーザーの要請によって運行される。臨時便には、小型又は中型の輸送機3が通常利用される。定期便及び臨時便は、満杯のカートリッジ20の配送と空のカートリッジ20の回収をしながら、更に水の入った貯水槽24(図2参照)を回収してもよい。定期便及び臨時便が貯水槽24をプラント1に輸送して、貯水槽24内の水が水素製造設備1aの電気分解装置に供給されることによって水素が生成されてもよい。
【0034】
輸送機3はリモートコントローラーにより遠隔操縦されてもよいし、直接操縦されてもよい。つまり、オペレータが輸送機3に乗って輸送機3を運転してもよいし、輸送機3を遠隔操縦して輸送機3を運転してもよい。輸送機3は自動運転されてもよい。輸送機3が貨物自動車である場合、輸送機3が通る道路は、輸送機3に専用であってもよいし、輸送機3以外の一般車と共用されてもよい。
【0035】
水素活用・水活用システムは、図2及び図3に示すような管理システムを有しており、この管理システムは、定期便及び臨時便によって輸送される水素の配送量、つまりカートリッジ20の数を管理する。管理システムは、各住宅10のユーザーによって使用される個別管理装置18と、配送センター2の運営者によって使用される全体管理装置40と、共用ロッカー100と、気象情報用ストレージ装置80とを備える。全体管理装置40は、データセンターなどに設置されている。個別管理装置18は、住宅10に設置されているか、ユーザーによって持ち運び可能である。共用ロッカー100は、例えばストック施設8に設置されている。
【0036】
ユーザーは、個別管理装置18を用いて、臨時便で受け取る必要な水素の量を発注する。そうすると、個別管理装置18が、水素の発注量を表すデータを全体管理装置40に送信し、全体管理装置40が、発注量を受信して記憶する。運営者は、業者端末を通じて全体管理装置40を操作して、各住宅10の発注量を集計して、臨時便を運行して、各住宅10の発注量に応じた数のカートリッジ20を臨時便で配送する。
【0037】
定期便によって各住宅10及び各グループ9に輸送される水素の配送量、つまりカートリッジ20の数は、全体管理装置40によって算出される。全体管理装置40は、定期便によって各住宅10及び各グループ9への水素の配送量を決定するために、各住宅10から情報を収集する。また、全体管理装置40は、各住宅10及び各グループ9への水素の配送量を決定するために、気象情報を記録した気象情報用ストレージ装置80から気象情報を取得する。
【0038】
ユーザーは、定期便及び臨時便のほか、施錠・解錠可能な共用ロッカーからカートリッジ20を取得することができる。共用ロッカーは、例えばストック施設8に設置されている。共用ロッカーは、それと同一の小地域にある複数の住宅10のユーザーによって共用される。つまり、複数の共用ロッカーが複数のグループ9にそれぞれ属し、それぞれのグループ9では、それに属する共用ロッカーがそれに属する複数の住宅10のユーザーによって共用される。共用ロッカーには、複数のカートリッジ20が保管されている。
【0039】
ユーザーはIC(Integrated Circuit)チップ付き物品を与えられている。ICチップ付き物品は、例えば鍵、スマートフォン、携帯電話機及びカードなどのような携帯品である。ICチップは、RFID(Radio Frequency Identification)のタグである。ICチップは、ユーザーの居住する住宅10の住宅IDを記憶する。ユーザーはストック施設8まで行って、ICチップ付き物品を共用ロッカーのリーダーに近接させることによって共用ロッカーを解錠し、共用ロッカーからカートリッジ20を取り出して、自身の住宅10に持ち帰る。共用ロッカーの解錠には、物理的な鍵、電子的な鍵又は暗号などのツールが利用されてもよい。共用ロッカーへのカートリッジ20の補充は臨時便、定期便又は補充専用便によって行われる。共用ロッカーの詳細については後述する。
【0040】
<2. 気象情報用ストレージ装置>
気象情報用ストレージ装置80は、全体管理装置40に接続されている。気象情報用ストレージ装置80は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。気象情報用ストレージ装置80は、インターフェース回路により全体管理装置40のコンピューター41に接続されてもよいし、通信ネットワーク90を介してコンピューター41によってアクセスされてもよい。
【0041】
気象情報用ストレージ装置80は、大地域の天気予報をデータ61として記憶する。つまり、気象情報用ストレージ装置80は、大地域の気象の将来推移のデータ61を記憶する。気象とは、大気状態(晴天・曇天・雨天・降雪などのことをいう)、気温、湿度、日射量及び降水量などのようなことをいう。
【0042】
<3. 共用ロッカー>
<3-1. 共用ロッカーの構成>
図4は、ストック施設8に設置された共用ロッカー100を示す図である。
共用ロッカー100は様々な大きさの複数のボックス101を有し、各ボックス101は開閉可能且つ施錠・解錠可能な扉102を有する。各ボックス101は、その大きさに応じた数のカートリッジ20を収容して保管する。ボックス101及び扉102には、一意のボックスIDが割り当てられている。
【0043】
共用ロッカー100は、表示部103、タッチパネル104、制御部105及びリーダー106を有する。表示部103は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイによって構成されている。表示部103は、制御部105から転送された映像信号に従った映像を表示する。タッチパネル104は、表示部103の表面に設けられている。タッチパネル104は、タッチパネル104に対するタッチ等の操作に従った信号を制御部105に出力する。タッチパネル104は、ワンタイムパスワードなどのような解錠用のパスワードの入力に利用される。リーダー106は、リーダー106に近づいたICチップ付き物品のICチップと無線通信をして、ICチップから住宅IDを読み取る。リーダー106は、読み取った住宅IDを制御部105に出力する。
【0044】
制御部105は、小型な汎用コンピューター又は専用コンピューターによって構成されている。制御部105は、通信器によって、インターネットなどのような通信ネットワーク90に接続されている。制御部105は、通信ネットワーク90を通じて全体管理装置40と通信可能である。例えばVPN(Virtual Private Network)などのようなセキュアな通信プロトコルが、制御部105と全体管理装置40の間の通信に採用されてもよい。制御部105は、各扉102を制御することによって各扉102を解錠する機能を有する。
【0045】
制御部105は、許可リストデータを記憶する。許可リストデータは一又は複数の項目からなり、各項目は、許可された住宅IDと、パスワードと、ボックスIDとからなり、各項目において住宅ID、パスワード及びボックスIDが互いに対応付けられている。制御部105が住宅ID、パスワード及びボックスIDからなる項目を全体管理装置40から受信したら、その項目を許可リストデータに追加して、その許可リストデータを更新する。1の住宅IDに対応付けられるボックスIDの数は1又は2以上である。住宅ID、パスワード及びボックスIDからなる項目の許可リストデータへの追加については後に詳細に説明する。
【0046】
<3-2. 共用ロッカーの解錠動作>
ユーザーがICチップ付き物品のICチップをリーダー106に近づけると、リーダー106がICチップから住宅IDを読み取って、その住宅IDを制御部105に転送する。制御部105は、リーダー106によって読み取られた住宅IDを許可リストデータと照合して、その住宅IDと同一のものが許可リストデータに含まれるか否か判断する。住宅IDと同一のものが許可リストデータに含まれていなければ、制御部105が処理を終了する。住宅IDと同一のものが許可リストデータに含まれていれば、制御部105がそのユーザーを認証した上で、その住宅IDに対応付けられたボックスIDを許可リストデータから読み取る。制御部105は、そのボックスIDに割り当てられたボックス101の扉102を解錠する。そして、制御部105は、その住宅IDと、それに対応づけられたパスワード及びボックスIDを許可リストデータから削除して、その許可リストデータを更新する。そして、制御部105が処理を終了する。
【0047】
扉102が解錠されたら、ユーザーがその扉102のボックス101からカートリッジ20を取り出し、扉102を閉じて施錠し、カートリッジ20を自身の住宅10に持ち帰る。
【0048】
なお、ユーザーがICチップをリーダー106に近づけることなく、タッチパネル104を操作することによってパスワード又は住宅IDを入力してもよい。この場合でも、同様にして、入力したパスワード又は住宅IDと同一のものが許可リストデータに含まれていなければ、制御部105が処理を終了し、入力したパスワード又は住宅IDと同一のものが許可リストデータに含まれていれば、制御部105がそのパスワード又は住宅IDに対応付けられたボックスIDのボックス101の扉102を解錠し、入力したパスワード又は住宅IDの項目を許可リストデータから削除して、その許可リストデータを更新する。そして、制御部105が処理を終了する。
【0049】
<3-3. 災害時等のような突発的事象>
災害及び商用電源停電等のような突発的事象の発生時のみならずそれ以外の通常時でも、共用ロッカー100からカートリッジ20を取り出せてもよい。突発的事象が発生した時のみ、共用ロッカー100からカートリッジ20を取り出せてもよい。
【0050】
前者の場合、突発的事象が発生していない通常時に、ユーザーがICチップをリーダー106に近づけたり、パスワードを入力したりすると、制御部105が上述のようなパスワード又は住宅IDの照合処理を行う。一方、突発的事象の発生時も同様であってもよいし、制御部105が全体管理装置40から許可を受けることによって、制御部105は、全てのボックス101の扉102を解錠してもよい。そのため、突発的事象の発生時に定期便及び臨時便が運行されなくても、ユーザーがカートリッジ20を得ることができる。
【0051】
後者の場合、つまり、突発的事象が発生した時のみ共用ロッカー100からカートリッジ20を取り出せる場合、突発的事象が発生した時に全体管理装置40が制御部105に許可を与える。そうすると、ユーザーがICチップをリーダー106に近づけたり、パスワードを入力したりすると、制御部105がリーダー106及びタッチパネル104からの信号を無視することなく、上述のようなパスワード又は住宅IDの照合処理を行う。そのため、突発的事象の発生時に定期便及び臨時便が運行されなくても、ユーザーがカートリッジ20を得ることができる。一方、突発的事象が発生していない通常時には、制御部105が許可を受けていないため、ユーザーがICチップをリーダー106に近づけたり、パスワードを入力したりしても、制御部105がリーダー106及びタッチパネル104からの信号を無視する。そのため、どの扉102も解錠されず、共用ロッカー100におけるカートリッジ20の在庫が通常時に無くならない。
【0052】
<4. 住宅>
全体管理装置40が各住宅10から情報を収集するために、各住宅10は以下のように構成されている。
【0053】
図2は、住宅10を示した図である。住宅10は戸建て住宅である。各住宅10は、宅内電気配線網12、分電器13、太陽光発電パネル14、電力計15、パワーコンディショナー16、蓄電装置17、個別管理装置18、カートリッジストッカー19、水素供給器21、エア供給器22、燃料電池式発電装置23、貯水槽24、残量計25及び電力計26を備える。
【0054】
宅内電気配線網12は、住宅10に張り巡らされている。住宅10に設置された多数の負荷11が宅内電気配線網12に接続されている。宅内電気配線網12が分電器13に接続され、分電器13が商用電源に接続されている。商用電源の電力は、分電器13に順潮流される。住宅10において使用しきれない余剰電力が分電器13を介して商用電源に逆潮流されてもよい。分電器13が小規模電力配線網に接続され、融通電力が分配器に逆潮流されてもよい。住宅10において使用しきれない余剰電力が分電器13を介して小規模電力配線網に逆潮流されてもよい。なお、分電器13が商用電源に接続されず、住宅10が商用電源の電力の供給を受けなくてもよい。同様に、分電器13が小規模配線網に接続されず、住宅10が融通電力の供給を受けなくてもよい。
【0055】
分電器13は、商用電源及び後述のパワーコンディショナー16から分電器13に供給された交流電力を負荷11に分配する。負荷11は、宅内電気配線網12を通じて分電器13から電力の供給を受けるとともに、その電力を消費する。負荷11は、照明器、冷蔵庫、空調機器、給湯器、通信ネットワーク機器(ルーター、無線親機、無線中継機、電話機等)、テレビ、音響機器、録画機及び調理家電などのような電気機器である。全負荷11の総消費電力がパワーコンディショナー16から分電器13に供給される電力よりも小さい場合には、分電器13が余剰電力を商用電源に逆潮流する。余剰電力は、パワーコンディショナー16から分電器13に供給される交流電力から全負荷11の総消費電力を差し引いたものをいう。
【0056】
太陽光発電パネル14は、住宅10の屋根に設置されている。太陽光発電パネル14は、電力計15を介してパワーコンディショナー16に接続される。太陽光発電パネル14は、それに入射する太陽光のエネルギーから直流電力を生成して、パワーコンディショナー16に供給する。電力計15及びパワーコンディショナー16は、住宅10に設置されている。
【0057】
カートリッジストッカー19は、住宅10に設置されている。カートリッジストッカー19は、複数のカートリッジ20を保持する。カートリッジ20はカートリッジストッカー19に対して着脱可能である。カートリッジ20がカートリッジストッカー19に装着されると、カートリッジ20が水素供給器21を介して燃料電池式発電装置23の燃料極に接続される。
【0058】
カートリッジストッカー19は、宅配の受領ボックスを兼ねていてもよい。具体的には、カートリッジストッカー19は物理的な鍵、電子的な鍵又は暗号などのツールを利用して施錠可能・解錠可能な扉を有し、その扉が解錠されて開かれることによってカートリッジストッカー19に対するカートリッジ20の着脱が可能になり、扉が閉じられて施錠されることによってカートリッジストッカー19内のカートリッジ20の盗難が防止される。この場合、カートリッジストッカー19は、複数のカートリッジ20が装着される領域のほか、カートリッジ20以外の配送物が収容される領域を内側に有してもよい。
【0059】
カートリッジストッカー19は、カートリッジストッカー19に装着されたカートリッジ20を監視する監視カメラを有してもよい。監視カメラは、カートリッジ20以外の対象物を監視してもよい。監視カメラは、カートリッジストッカー19に装着されたカートリッジ20等が写った映像の信号を後述の個別管理装置18に出力する。
【0060】
カートリッジストッカー19は、カートリッジストッカー19へのカートリッジ20の装着・非装着をカートリッジ20ごとに検出する着脱センサーを有してもよい。着脱センサーは、カートリッジ20の装着・非装着を表す信号を後述の個別管理装置18に出力する。
【0061】
各住宅10のカートリッジ20がカートリッジストッカー19に対して着脱可能であるため、ユーザー同士でカートリッジ20を融通し合える。
【0062】
カートリッジストッカー19は、例えば図5に示すように構成されていてもよい。カートリッジストッカー19は、上段ボックス19a、扉19b,19c、下段ボックス19d、扉19e,19f及び監視カメラ19gを有する。上段ボックス19aが下段ボックス19dの上に搭載されている。上段ボックス19a及び下段ボックス19dの前面及び後面が開口し、施錠・解錠可能な扉19b,19cが上段ボックス19aの前面及び後面にそれぞれ開閉可能に取り付けられ、施錠・解錠可能な扉19e,19fが下段ボックス19dの前面及び後面にそれぞれ開閉可能に取り付けられている。上段ボックス19a及び下段ボックス19dは住宅10の外壁に設けられ、扉19b,19eが屋外にあり、扉19c,19fが屋内にある。上段ボックス19aはその内側に装着部を有し、カートリッジ20が上段ボックス19a内において装着部に装着される。装着部は上段ボックス19a内において偏って配置され、カートリッジ20以外の配送物が上段ボックス19aに収容可能となっていてもよい。監視カメラ19gが上段ボックス19a内に配置され、カートリッジ20及び配送物が監視カメラ19gによって監視される。下段ボックス19dの内側が上段ボックス19aの内側と同様に設けられ、カートリッジ20が下段ボックス19d内にて装着部に装着されてもよい。水素供給器21が下段ボックス19dに収容されてもよいし、カートリッジ20以外の配送物が下段ボックス19dに収容されてもよい。
【0063】
屋外の扉19bの施錠は個別管理装置18によって制御される。その扉19bの外面にはテンキーなどのような文字入力キーが設けられ、文字入力キーが操作されると操作に応じた信号を個別管理装置18に転送する。個別管理装置18は、全体管理装置40によって配信された正当なパスワードを記憶する。誰かが文字入力キーを操作して、パスワードを個別管理装置18に入力したら、個別管理装置18は入力パスワードを正当なパスワードと対比し、その入力パスワードが正当なパスワードと一致すれば、個別管理装置18が扉19bを解錠する。
【0064】
全体管理装置40が正当なパスワードを個別管理装置18に配信するタイミングは、例えば、災害及び商用電源停電等のような突発的事象の発生時である。突発的事象の発生時には、全体管理装置40は、他の個別管理装置18からの要請に応じて、正当なパスワードと同一の緊急パスワードを他の個別管理装置18にも配信する。全体管理装置40は、緊急パスワードに加えて、正当なパスワードの配信先の個別管理装置18のある住宅10の所在地も他の個別管理装置18に配信する。他の個別管理装置18が所在地と緊急パスワードを受信して、それらを表示する。そのため、他の個別管理装置18のユーザーがその所在地及び緊急パスワードを知って、その所在地の住宅10に訪問して、その住宅10のカートリッジストッカー19の文字入力キーを操作して、緊急パスワードを入力すれば、扉19bが解錠される。そのため、そのユーザーは上段ボックス19aからカートリッジ20を取り出して、自身の住宅に持ち帰ることができる。このように、突発的事象の発生時にユーザーが他のユーザーの住宅10のカートリッジストッカー19からカートリッジ20を取り出せることについては、後に詳述する。
【0065】
図2を参照して、住宅10の各構成要素の説明に戻る。水素供給器21は、バルブなどのような流体機器を有する。水素供給器21は、カートリッジストッカー19に保持されたカートリッジ20を順次選択して、選択したカートリッジ20から燃料電池式発電装置23の燃料極へ水素を供給する。選択されたカートリッジ20の残量が少なくなったら、水素供給器21が次のカートリッジ20を選択して、選択した複数のカートリッジ20から燃料電池式発電装置23へ水素を供給する。選択されたカートリッジ20が空になったら、水素供給器21がそのカートリッジ20の選択を解除して、そのカートリッジ20からの供給を停止する。水素供給器21は、選択中のカートリッジ20から燃料電池式発電装置23への水素の供給流量を調整する。
【0066】
カートリッジストッカー19に保持されたカートリッジ20のうち選択中のカートリッジ20は水素の消費中である。未選択のカートリッジ20は水素を満たしている。選択解除済みのカートリッジ20は空である。
【0067】
水素供給器21がバルブなどを介して水素自動車に接続可能であってもよい。水素自動車がバルブを介して水素供給器21に接続されると、バルブが開き、水素供給器21が選択中のカートリッジ20の水素を水素自動車に供給する。水素自動車は燃料電池及びモーター等を有し、燃料電池が水素から電気エネルギーを生成し、モーターがその電気エネルギーを水素自動車の走行動力に変換する。
【0068】
エア供給器22は、燃料電池式発電装置23の酸素極に接続されている。エア供給器22は、バルブ及びブロワなどのような流体機器を有する。エア供給器22は、燃料電池式発電装置23の酸素極へ空気を供給する。エア供給器22は、燃料電池式発電装置23への水素の供給流量を調整する。
【0069】
燃料電池式発電装置23は、住宅10に設置されている。燃料電池式発電装置23の燃料極及び酸素極は、電力計26を介してパワーコンディショナー16に接続されている。燃料電池式発電装置23は、水素供給器21によって供給された水素と、エア供給器22によって供給された空気中の酸素とを電解質膜を通じて反応させることによって直流電力及び水を生成する。燃料電池式発電装置23は、生成した直流電力を、電力計26を介してパワーコンディショナー16に出力する。燃料電池式発電装置23は、生成した水を一又は複数の貯水槽24へ排出する。
【0070】
貯水槽24は、燃料電池式発電装置23から供給された水を貯める。貯水槽24は、カートリッジ20と一緒にカートリッジストッカー19に装着されてもよい。貯水槽24はカートリッジ20ごとに準備されてもよい。この場合、カートリッジ20が貯水槽24にそれぞれ入れられ、水がカートリッジ20の外側且つ貯水槽24の内側に貯められてもよい。貯水槽24がカートリッジ式であり、貯水槽24がその設置箇所に対して着脱可能であってもよい。貯水槽24が着脱可能であれば、ユーザー同士で貯水槽24を融通し合え、強いては貯水槽24に貯まった水を融通し合える。特に災害等の際に各住宅10への上水の供給が止まった場合に、貯水槽24に貯まった水を融通し合える。
【0071】
貯水槽24が着脱可能なカートリッジ式である場合、貯水槽24が新たな空の貯水槽24と交換され、空の貯水槽24が水の入った元の貯水槽24の装着場所に着脱可能に設けられ、水の入った貯水槽24が回収されてもよい。回収された貯水槽24はその中の水と一緒に販売されてもよく、この場合、貯水槽24が他の物(例えば、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムなどのようなミネラル、料理の原材料セット又は入浴剤)と一緒に販売されてもよく、或いは、他の物(例えば、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムなどのようなミネラル又は入浴剤)が貯水槽24の中の水に添加されて、他の物と水と貯水槽24が一緒に販売されてもよい。貯水槽24の中の水へのミネラルの添加は、プラント1に設置された添加設備1dによって実施されてもよい。添加設備1dは、ミネラルに加えて、又は、ミネラルに代えて、次亜塩素酸カルシウムを貯水槽24の中の水に添加してもよい。貯水槽24がその中の水と一緒に回収される場合、金銭などのようなインセンティブがユーザーに与えられてもよく、この場合、例えば水素の販売額が水の回収量に応じて割り引かれてもよい。水素の販売額とその割引額は全体管理装置40によって管理されてもよい。インセンティブとしての金銭の源泉は、回収された水の販売で得た資金であってもよい。
【0072】
貯水槽24の回収は、定期便、臨時便又はそれ以外の宅配業者によって行われてもよい。貯水槽24が定期便又は臨時便によって回収される場合、貯水槽24が空又は満杯のカートリッジ20と一緒に輸送機3に積載されるところ、カートリッジ20と貯水槽24が例えば図6のように輸送機3内に配置されてもよい。図6に示すように、複数の円柱状のカートリッジ20が立てられた状態で格子状に配列されることから、カートリッジ20によって囲われた隙間が存在し、貯水槽24がその隙間に配置されている。このような貯水槽24とカートリッジ20の配置は、輸送機3の積載のみならず、カートリッジストッカー19の装着に適用されてもよい。
【0073】
回収された貯水槽24がプラント1に輸送され、その貯水槽24の水が水素製造設備に供給され、その水が水素の製造に利用されてもよい。回収された貯水槽24の水が大型タンクなどのような貯蔵設備に移し替えられてもよい。
【0074】
回収された貯水槽24の水は上記の例示以外の用途に利用されてもよい。用途としては、例えば、ボイラーの用水、食料品の製造、飲料品の製造、理化学実験、冷却、加湿、工業及び各種洗浄等が挙げられる。貯水槽24の水が純水であるため、この水を使用しても水垢が発生しない。
【0075】
回収前の貯水槽24が住宅10に張り巡らされた上水配管に接続され、貯水槽24の水が上水として利用されてもよい。貯水槽24が住宅10に張り巡らされた中水配管に接続され、貯水槽24の水が中水として利用されてもよい。貯水槽24の水は純水であるところ、貯水槽24が上水配管に接続される部分に添加器が接続され、その添加器が貯水槽24から上水配管に供給される水にカルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムなどのようなミネラルを添加してもよい。貯水槽24の水が上水として利用される場合、次亜塩素酸カルシウム添加器が、燃料電池式発電装置23と貯水槽24の間の配管に接続されるとともに、燃料電池式発電装置23から貯水槽24へ送られる水に次亜塩素酸カルシウムを添加してもよい。次亜塩素酸カルシウム添加器は、貯水槽24が上水配管に接続される部分に接続されるとともに、貯水槽24から上水配管へ送られる水に次亜塩素酸カルシウムを添加してもよい。
【0076】
貯水計が、回収前の貯水槽24に貯まった水の量を非常に短い周期で周期的に計測して、その計測値を個別管理装置18に出力してもよい。この場合、個別管理装置18は、貯水計の計測値を入力するごとに、その計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、貯水量の時系列データを蓄積する。貯水計による水の量の計測方式は、どのようなものでもよい。例えば、水位計、流量計又は重量計が貯水計に採用されてもよい。水位計は、貯水槽24内の水位を計測するものである。流量計は、貯水槽24に流入する水の流量を計測するとともに、それを時間積分することによって貯水量を算出する。重量計は、貯水槽24の重量を計測することによって、その重量を貯水量に換算する。
【0077】
水素製造装置が住宅10に設置され、貯水槽24の水が水素製造装置に供給されてもよい。この水素製造装置は、太陽光発電パネル14又は商用電源の電力を用いて、水を電気分解することによって水素を製造する。水素製造装置が燃料電池式発電装置23に接続され、水素製造装置によって製造された水素が燃料電池式発電装置23に供給され、その水素が燃料電池式発電装置23の発電に利用されてもよい。
【0078】
電力計15は、非常に短い周期で周期的に太陽光発電パネル14の発電電力及び発電電力量を計測して、それらの計測値を個別管理装置18に出力する。
電力計26は、非常に短い周期で周期的に燃料電池式発電装置23の発電電力及び発電電力量を計測して、それらの計測値を個別管理装置18に出力する。
パワーコンディショナー16は、太陽光発電パネル14及び燃料電池式発電装置23から供給された直流電力を交流電力に変換して、交流電力を分電器13に供給する。
【0079】
パワーコンディショナー16は蓄電装置17に接続されている。蓄電装置17の充電量が満たされてない場合、パワーコンディショナー16が太陽光発電パネル14及び燃料電池式発電装置23から供給された直流電力の一部を蓄電装置17に出力する。蓄電装置17の充電量が満たされている場合、パワーコンディショナー16は蓄電装置17に電力を出力することなく、太陽光発電パネル14及び燃料電池式発電装置23から供給された電力を交流電力に変換した上で、分電器13に供給する。太陽光発電パネル14及び燃料電池式発電装置23の発電電力が不足している場合、つまり、全負荷11の総消費電力がパワーコンディショナー16から分電器13に供給される電力よりも大きい場合、パワーコンディショナー16は蓄電装置17を放電させて、その放電電力を分電器13に供給する。従って、負荷11によって消費される電力は、太陽光発電パネル14、燃料電池式発電装置23、蓄電装置17、商用電源の順に優先して使用される。
【0080】
個別管理装置18は、ユーザーによって使用される。個別管理装置18には、それを使用するユーザーが居住する住宅10の住宅IDが割り当てられている。
【0081】
個別管理装置18は、汎用コンピューターシステム又は専用コンピューターシステムから構成される。汎用コンピューターシステムとは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう。汎用OSは、例えば、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はUnix(登録商標)である。専用コンピューターシステムとは、住宅10の内壁などに設置されているとともに、住宅10の負荷11の監視又は制御をする機能を有するコンピューターシステムをいう。例えば、専用コンピューターシステムとしては、HEMS(Home Energy Management System)コントローラーが挙げられる。個別管理装置18は、汎用コンピューターシステムと専用コンピューターシステムの組み合わせでもよい。ユーザーの端末装置が宅内ネットワークと、必要に応じて通信ネットワーク90とを通じて個別管理装置18にアクセス可能であってもよい。
【0082】
個別管理装置18は、表示装置を有する。個別管理装置18は、表示装置により各種の表示をする。個別管理装置18は、タッチパネル、押しボタン、キー、キーボード、マウス、タッチパッド、スタライス及びポインティングデバイスなどのような入力装置を有する。個別管理装置18が入力装置を操作することによって、個別管理装置18がその操作に応じた指令及び情報などを受け付ける。
【0083】
個別管理装置18は、携帯電話回線通信モジュール、ネットワークカード及びWiFi(登録商標)子機などのような通信器を有する。個別管理装置18は、通信器によって、インターネットなどのような通信ネットワーク90に接続されている。個別管理装置18は、通信ネットワーク90を通じて全体管理装置40にアクセス可能である。例えばVPN(Virtual Private Network)などのようなセキュアな通信プロトコルが、個別管理装置18と全体管理装置40の間の通信に採用されてもよい。
【0084】
個別管理装置18は、プログラム18aを記憶した記憶媒体を有する。このプログラム18aは個別管理装置18を以下のように機能させる。
【0085】
個別管理装置18は、時間を計って現在時刻を認識する計時機能を有する。
【0086】
個別管理装置18は、カートリッジストッカー19に備わる監視カメラの映像信号を全体管理装置40へ転送する。
【0087】
個別管理装置18は、カートリッジストッカー19に備わる監視カメラの映像信号を入力する。個別管理装置18は、監視カメラの映像信号に含まれる映像を表示装置に表示する。
【0088】
個別管理装置18は、監視カメラの映像信号に含まれる映像を画像処理することによって、映像中のカートリッジ20を認識して、カートリッジストッカー19へのカートリッジ20の装着・非装着をカートリッジ20ごとに認識する。個別管理装置18は、カートリッジストッカー19におけるカートリッジ20が装着から非装着になったことを認識したら、その旨を表示装置に表示する。個別管理装置18は、カートリッジストッカー19におけるカートリッジ20が非装着から装着になったことを認識したら、その旨を表示装置に表示する。個別管理装置18は、カートリッジ20ごとの装着・非装着を表した情報を全体管理装置40へ送信する。
【0089】
個別管理装置18は、カートリッジストッカー19に備わる着脱センサーの出力信号を入力する。カートリッジ20が装着から非装着になった場合、着脱センサーの出力信号のレベルが変化し、個別管理装置18がその変化を検出したら、カートリッジ20の非装着の旨を表示装置に表示する。カートリッジ20が非装着から装着になった場合、着脱センサーの出力信号のレベルが変化し、個別管理装置18がその変化を検出したら、個別管理装置18がカートリッジ20の装着の旨を表示装置に表示する。また、個別管理装置18は、着脱センサーの出力信号に基づいた情報、つまりカートリッジ20ごとの装着・非装着を表した情報を全体管理装置40へ送信する。
【0090】
個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値を電力計15から入力するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値の時系列データを蓄積する。個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値の時系列データに基づいて、発電電力の計測値と計測時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、最新の発電電力の計測値も推移と一緒に表示装置に表示する。
【0091】
個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値を電力計15から入力するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。ここで、計測時刻は、計測値が個別管理装置18に入力された時の時刻である。
【0092】
個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値を電力計15から入力するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値の時系列データを蓄積する。個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値の時系列データに基づいて、発電電力量の計測値と計測時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、最新の発電電力量の計測値も推移と一緒に表示装置に表示する。
【0093】
個別管理装置18は、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値を電力計15から入力するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0094】
個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値を電力計26から入力するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値の時系列データを蓄積する。個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値の時系列データに基づいて、発電電力の計測値と計測時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、最新の発電電力の計測値も推移と一緒に表示装置に表示する。
【0095】
更に、個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値を電力計26から入力するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0096】
個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値を電力計26から入力するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値の時系列データを蓄積する。個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値の時系列データに基づいて、発電電力量の計測値と計測時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、最新の発電電力量の計測値も推移と一緒に表示装置に表示する。
【0097】
個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値を電力計26から入力するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0098】
個別管理装置18は、カートリッジ20ごとに水素の残量を認識する。具体的には、カートリッジ20ごとに残量計25が設けられ、残量計25が非常に短い周期で周期的にカートリッジ20の水素の残量を計測し、その計測値が個別管理装置18に出力されることによって、個別管理装置18がカートリッジ20の水素の残量を認識する。残量計25によるカートリッジ20の残量計測の手法はどのようなものでもよい。例えば、残量計25は、カートリッジ20の水素の圧力計によって計測してその計測圧力を水素の残量に換算し、カートリッジ20の重量を重量計によって計測してその計測重量を水素の残量に換算し、カートリッジ20から水素供給器21に送られる水素の流量を流量計により計測してその計測流量の時間積分を水素の残量に換算し、貯水槽24に送られる水の流量を流量計によって計測しその計測流量の時間積分を水素の残量に換算し、カートリッジ20ごとの貯水槽24の水の重量を計測しその計測重量を水素の残量に換算し、又は、燃料電池式発電装置23の発電電力量を計測してその計測電力量を水素の残量に換算してもよい。
【0099】
個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、水素の残量の計測値と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、カートリッジ20ごとに、水素の残量の計測値の時系列データを蓄積する。更に、個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、水素の残量の計測値と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0100】
個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、全てのカートリッジ20の水素残量を総計することによって住宅10に残った水素の全量(以下、全残量という。)を算出する。個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、水素の全残量と計測時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、水素の全残量の時系列データを蓄積する。更に、個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、水素の全残量と計測時刻を対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0101】
上述のように、カートリッジストッカー19に保持されたカートリッジ20のうち選択中のカートリッジ20は水素の消費中であり、未選択のカートリッジ20は水素を満たしており、選択解除済みのカートリッジ20は空である。これらのことが個別管理装置18によって認識されるために、水素供給器21が信号線を介して個別管理装置18に接続されており、水素供給器21の動作が個別管理装置18によって管理されている。個別管理装置18は、カートリッジ20ごとに選択中、未選択及び選択解除を認識する。つまり、個別管理装置18は、カートリッジ20ごとに水素供給中、水素未供給及び水素供給終了を認識する。水素未供給のカートリッジ20は水素に満たされていることから、個別管理装置18は水素未供給のカートリッジ20を満杯と認識する。これにより、個別管理装置18は、満杯のカートリッジ20の数を非常に短い周期で周期的に認識する。水素供給終了のカートリッジ20は空であることから、個別管理装置18はカートリッジ20を空と認識する。これにより、個別管理装置18は、空のカートリッジ20の数を非常に短い周期で周期的に認識する。なお、個別管理装置18は、水素の残量の計測値を残量計25から入力するごとに、住宅10の水素の全残量から満杯及び空のカートリッジ20の数を算出して認識してもよい。
【0102】
個別管理装置18は、満杯のカートリッジ20の数及び空のカートリッジ20の数を認識するごとに、その時刻と満杯のカートリッジ20の数と空のカートリッジ20の数とを互いに対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、満杯のカートリッジ20の数の時系列データと、空のカートリッジ20の数の時系列データと、を蓄積する。個別管理装置18は、満杯のカートリッジ20の数の時系列データに基づいて、満杯のカートリッジ20の数と時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、満杯のカートリッジ20の最新の数も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置18は、空のカートリッジ20の数の時系列データに基づいて、空のカートリッジ20の数と時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、空のカートリッジ20の最新の数も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置18は、満杯及び空のカートリッジ20の数を認識するごとに、その時刻と満杯のカートリッジ20の数と空のカートリッジ20の数とを互いに対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0103】
個別管理装置18は、燃料電池式発電装置23に供給される水素の使用量を算出する。使用されたカートリッジ20の数が水素の使用量を表す場合、空のカートリッジ20のみならず、水素供給中のカートリッジ20も数に含める。水素の使用量は、燃料電池式発電装置23の最初の運転開始時からの累積的なものであってもよいし、所定期間ごと(例えば、1ヶ月ごとに)にゼロにリセットされることによってそのリセット時からの累積的なものであってもよい。水素の使用量は、定期便によってカートリッジ20が住宅10に配送された時にユーザー又は運営者によってリセットされることによってそのリセット時から累積的なものであってもよい。水素の使用量には、定期便によって配送されたカートリッジ20から供給された水素の使用量のみならず、臨時便によって配送されたカートリッジ20から供給された水素の使用量も含み、他の住宅10のカートリッジストッカー19又は共用ロッカー100から持ち帰ったカートリッジ20から供給された水素の使用量も含む。
【0104】
個別管理装置18が水素の使用量を算出するために利用される計測器は様々である。例えば、流量計がカートリッジストッカー19から燃料電池式発電装置23までの水素の経路に設けられ、その流量計が水素の流量を計測するとともに流量の計測値を個別管理装置18に出力し、個別管理装置18が流量の計測値を時間積分することによって水素の使用量を算出してもよい。例えば、個別管理装置18が、電力計26から入力した燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値を水素の使用量に換算してもよい。個別管理装置18は、水素供給器21の信号に基づいて、選択解除となったカートリッジ20の数を総計し、その数を水素の使用量として算出してもよい。例えば、カートリッジストッカー19から燃料電池式発電装置23へ供給される水素の流量が一定であれば、個別管理装置18が時間を計測して、その計時時間を水素の使用量に換算してもよい。
【0105】
個別管理装置18は、水素の使用量を算出するごとに、その時刻と使用量を互いに対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置18は、水素の使用量の時系列データを蓄積する。個別管理装置18は、水素の使用量と時刻との関係を表した推移をグラフ等で標示装置に表示するとともに、最新の使用量も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置18は、水素の使用量を算出するごとに、その時刻と使用量を互いに対応付けて全体管理装置40に送信する。
【0106】
上述のように水素供給器21がカートリッジ20を未選択から選択に切り替えた時に、個別管理装置18がその旨を表示装置に表示する。上述のように水素供給器21がカートリッジ20を選択から選択解除に切り替えた時に、個別管理装置18がその旨を表示装置に表示する。個別管理装置18は、満杯のカートリッジ20の識別情報(例えば、番号)とそのカートリッジ20が満たされている旨とを互いに対応付けて表示装置に表示する。個別管理装置18は、水素供給中のカートリッジ20の識別情報とそのカートリッジ20が供給中である旨とを互いに対応付けて表示装置に表示する。個別管理装置18は、空のカートリッジの識別情報とそのカートリッジ20が空である旨とを互いに対応付けて表示装置に表示する。個別管理装置18は、各カートリッジ20の識別情報と各カートリッジ20の水素残量とを互いに対応付けて表示装置に表示する。個別管理装置18は、全カートリッジ20の水素の総残量を表示装置に表示する。水素の残量及び総残量は百分率で表現されてもよい。
【0107】
個別管理装置18は、住宅10に居住するユーザーのスケジュールを管理する機能を有する。ここでいうユーザーのスケジュールとは、例えば、住宅10における電力消費量が通常よりも増えるイベントの発生日と、住宅10における電力消費量が通常よりも減るイベントの発生日である。ユーザーが個別管理装置18を操作することによってイベントの発生日の情報を個別管理装置18に入力すると、個別管理装置18がイベント発生日の情報を記憶するとともに全体管理装置40に送信する。
【0108】
ユーザーが、臨時便で受け取る必要な水素の発注量を入力装置により個別管理装置18に入力する。そうすると、個別管理装置18が、水素の発注量を認識して、水素の発注量を表すデータを全体管理装置40に送信する。
【0109】
ユーザーが、共用ロッカー100から水素の受け取ることの許可の要求を入力装置により個別管理装置18に入力する。そうすると、個別管理装置18は、許可の要求を全体管理装置40に送信する。必要に応じて、ユーザーが、許可の要求に加えて、必要な水素量若しくは居住人数又はこれら両方を入力装置により個別管理装置18に入力する。そうすると、個別管理装置18は、入力された水素量若しくは居住人数又はこれら両方を全体管理装置40に送信する。
【0110】
<5. 全体管理装置>
図3は、全体管理装置40のブロック図である。全体管理装置40は、配送センター2の運営者によって管理されている。全体管理装置40は、コンピューターシステムにより構成されたサーバー又はホストマシンである。全体管理装置40は、クラウドコンピューティングシステムであってもよい。
【0111】
全体管理装置40は、コンピューター41、メモリデバイス45、入力デバイス43、表示デバイス44及び通信器42を備える。
【0112】
コンピューター41は、全体管理装置40の全体的な制御を司る。コンピューター41は、時間を計って現在時刻を認識する計時機能を有する。コンピューター41は、メインボード、1又は複数のハードウェアプロセッサー、GPU(Graphics Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを有する。メインボードは、バス、バスコントローラ及びインターフェース回路などを有するとともに、ハードウェアプロセッサー、GPU、RAM、メモリデバイス45、入力デバイス43、表示デバイス44及び通信器42の間で情報を伝送する。ハードウェアプロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ハードウェアプロセッサーは、各種の演算処理を行う。RAMは、ハードウェアプロセッサーによる演算処理に際して、ハードウェアプロセッサーに記憶領域又は作業領域を提供する。GPUは、ハードウェアプロセッサーよりも高速に行える処理(例えば、画像処理及び行列演算処理)をハードウェアプロセッサーの指令の下で行う。
【0113】
入力デバイス43は、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド、スタライス、ポインティングデバイス、キー及び押しボタンなどのような入力装置である。入力デバイス43は、管理者94が入力デバイス43に対して行った操作の内容に応じた信号をコンピューター41に出力する。コンピューター41は、入力デバイス43から転送された信号に従って、管理者94による入力及び指令を認識する。
【0114】
表示デバイス44は、例えば液晶ディスプレイデバイス又は有機ELディスプレイデバイスであってもよい。表示デバイス44は、コンピューター41から入力した映像信号に従った映像を表示する。
【0115】
通信器42は、例えばネットワークカード又はWiFi(登録商標)子機であってもよい。通信器42は、ルーターなどを介して通信ネットワーク30に接続される。
【0116】
メモリデバイス45は、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)などのようなメモリデバイスであってもよい。OS(Operating System)がメモリデバイス45に格納され、OSがコンピューター41によって実行されるように全体管理装置40にインストールされている。メモリデバイス45には、コンピューター41、特にハードウェアプロセッサーがOS上で実行可能なプログラム45aが格納されている。
【0117】
メモリデバイス45には、ボックスIDと水素収容量情報が互いに対応付けられたリストデータ45bが格納されている。水素収容量情報は、それに対応付けられたボックスIDのボックス101に収容された水素の量を表す。
【0118】
メモリデバイス45には、住宅IDと所在地情報が互いに対応付けられたリストデータ45cが格納されている。所在地情報は、それに対応付けられた住宅IDの住宅10の所在地を表す。
【0119】
全体管理装置40は、ストレージ装置50に接続されている。ストレージ装置50は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。全体管理装置40のコンピューター41は、ストレージ装置50に情報を記録したり、ストレージ装置50に記録された情報を読み込んだりする。ストレージ装置50は、インターフェース回路によりコンピューター41に接続されてもよいし、通信ネットワーク90を介してコンピューター41によってアクセスされてもよい。
【0120】
続いて、プログラム45aが実現するコンピューター41の機能について説明する。
【0121】
コンピューター41は、個別管理装置18ごとに割り当て住宅IDを認識する。
コンピューター41は、映像信号を各住宅10の個別管理装置18から受信し、その映像信号に基づく映像を表示デバイス44に表示させる。
【0122】
上述のように個別管理装置18が、臨時便の運行に参照される水素の発注量を全体管理装置40のコンピューター41に送信すると、コンピューター41が発注量を受信し、送信元の個別管理装置18に割り当てられた住宅IDと発注量を互いに対応付けてストレージ装置50に記録する。運営者が業者端末を通じて全体管理装置40を操作すると、全体管理装置40のコンピューター41が住宅IDごとの発注量をストレージ装置50から読み取って、住宅IDごとの発注量を表示デバイス44に表示させる。運営者が表示デバイス44を見て、各住宅10の発注量を集計して、臨時便を運行して、各住宅10の発注量に応じた数のカートリッジを臨時便で配送する。
【0123】
コンピューター41は、個別管理装置18から転送された監視カメラの映像信号に含まれる映像を表示デバイス44に表示させる。これにより、管理者がカートリッジストッカー19を監視することができる。また、管理者は、カートリッジストッカー19における水素の不足を視認したら、臨時便によりカートリッジ20を住宅10に配送することができる。
【0124】
コンピューター41は、カートリッジ20ごとの装着・非装着を表した情報を各住宅10の個別管理装置18から受信し、その情報に基づいて各住宅10のカートリッジ20ごとの装着・非装着の旨を表示デバイス44に表示させる。
【0125】
コンピューター41は、住宅10ごとに、個別管理装置18から送られた情報を収集して蓄積する。具体的には、以下の通りである。
【0126】
コンピューター41は、個別管理装置18から太陽光発電パネル14の発電電力の計測値と計測時刻を受信するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値の第1時系列データ51をストレージ装置50に蓄積する。第1時系列データ51は住宅10ごとのデータであり、住宅10の住宅IDが第1時系列データ51に割り当てられることによって、第1時系列データ51と住宅10が互いに関連付けられている。
【0127】
コンピューター41は、個別管理装置18から太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値と計測時刻を受信するごとに、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、太陽光発電パネル14の発電電力量の計測値の第2時系列データ52を蓄積する。第2時系列データ52は住宅10ごとのデータであり、住宅IDが第2時系列データ52に割り当てられている。
【0128】
コンピューター41は、個別管理装置18から燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値と計測時刻を受信するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力の計測値と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、太陽光発電パネル14の発電電力の計測値の第3時系列データ53をストレージ装置50に蓄積する。第3時系列データ53は住宅10ごとのデータあり、住宅IDが第3時系列データ53に割り当てられている。
【0129】
コンピューター41は、個別管理装置18から燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値と計測時刻を受信するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値の第4時系列データ54をストレージ装置50に蓄積する。第4時系列データ54は住宅10ごとのデータであり、住宅10の住宅IDが第4時系列データ54に割り当てられている。
【0130】
コンピューター41は、個別管理装置18からカートリッジ20ごとに水素の残量の計測値と計測時刻を受信するごとに、水素の残量の計測値と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、カートリッジ20ごとの水素の残量の計測値の第5時系列データ55をストレージ装置50に蓄積する。第5時系列データ55は住宅10ごとのデータであり、住宅IDが第5時系列データ55に割り当てられている。
【0131】
コンピューター41は、個別管理装置18から住宅10の水素の全残量と計測時刻を受信するごとに、水素の全残量と計測時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、住宅10の水素の全残量の第6時系列データ56をストレージ装置50に蓄積する。第6時系列データ56は住宅10ごとのデータであり、住宅IDが第6時系列データ56に割り当てられている。
【0132】
コンピューター41は、個別管理装置18から、時刻と満杯のカートリッジ20の数と空のカートリッジ20の数とを受信するごとに、時刻と満杯のカートリッジ20の数と空のカートリッジ20の数とを互いに対応付けてストレージ装置50に記憶する。これにより、コンピューター41は、満杯のカートリッジ20の数の第7時系列データ57と、空のカートリッジ20の数の第8時系列データ58とをストレージ装置50に蓄積する。時系列データ57,59は住宅10ごとのデータであり、住宅IDが時系列データ57,59に割り当てられている。
【0133】
コンピューター41は、個別管理装置18から、時刻と水素の使用量を受信するごとに、水素の使用量と時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、住宅10の水素の使用量の第9時系列データ59をストレージ装置50に記憶する。第9時系列データ59は住宅10ごとのデータであり、住宅IDが第9時系列データ59に割り当てられている。
【0134】
コンピューター41は、個別管理装置18からイベント発生日の情報を受信したら、それをスケジュール情報60としてストレージ装置50に記録する。スケジュール情報60が住宅10ごとのデータであり、住宅IDがスケジュール情報60に割り当てられている。
【0135】
ストレージ装置50は、定期便によって各住宅10に配送された水素の配送量の履歴を表した第1履歴情報61を記憶する。具体的には、ストレージ装置50は、定期便によって各住宅10に水素が配送された配送時刻と水素の配送量とを対応付けて記憶することによって、水素の配送量の時系列データを第1履歴情報61として蓄積している。第1履歴情報61は住宅10ごとにあり、住宅IDが第1履歴情報61に割り当てられている。第1履歴情報61はコンピューター41によって蓄積されたものである。つまり、コンピューター41が、住宅10に配送される水素の配送量を算出したら、その配送量と配送時刻を互いに対応付けてこれらを第1履歴情報61に追加して、第1履歴情報61を更新する。コンピューター41が住宅10に配送される水素の配送量を算出することについては、後に詳述する。
【0136】
ストレージ装置50は、定期便によって各住宅10に前回に配送された水素の配送量からその後の期間使用量を減算することによって得られる変動量の履歴を表した第2履歴情報62を記憶する。具体的には、ストレージ装置50は、定期便によって各住宅10に水素が今回配送される配送時刻と変動量(前回配送時の水素の配送量と期間使用量との差)とを対応付けて記憶することによって、変動量の時系列データを第2履歴情報62として蓄積している。第2履歴情報62はコンピューター41によって蓄積されたものである。第2履歴情報62は住宅10ごとにあり、住宅IDが第2履歴情報62に割り当てられている。ここで、期間使用量とは、水素の使用量の時系列データ59において、前回の配送時から最新の時刻(この時刻は、現在の時刻であるとともに今回の配送時である。)までの水素の使用量をいう。
【0137】
ストレージ装置50は、定期便によって各グループ9に配送された水素の配送量の履歴を表した第3履歴情報63を記憶する。具体的には、ストレージ装置50は、定期便によって各グループ9に水素が配送された配送時刻と水素の配送量とを対応付けて記憶することによって、水素の配送量の時系列データを第3履歴情報63として蓄積している。第3履歴情報63はコンピューター41によって蓄積されたものである。グループ9への水素の配送量とは、そのグループ9に属する全住宅10への水素の配送量の総計である。第3履歴情報63はグループ9ごとにあり、グループIDが第3履歴情報63に割り当てられている。
【0138】
ストレージ装置50は、定期便によって各グループ9に配送された水素の配送量からその後のグループ9の全住宅20の期間使用量の和を減算することによって得られる変動量の履歴を表した第4履歴情報64を記憶する。具体的には、ストレージ装置50は、定期便によって各グループ9に水素が今回配送された配送時刻と変動量(前回配送時のグループ9の全住宅20の水素の配送量の和と全住宅20の期間使用量の和との差)を対応付けて記憶することによって、水素の配送量の変動量の時系列データを第4履歴情報64として蓄積している。第4履歴情報64はコンピューター41によって蓄積されたものである。第4履歴情報64はグループ9ごとにあり、グループIDが第4履歴情報64に割り当てられている。
【0139】
なお、住宅10に居住するユーザーが自身の端末装置を利用して全体管理装置40にアクセスして、自身の住宅10に関連付けられた時系列データ51~59及び履歴情報61~64の内容を閲覧してもよい。ここでの端末装置とは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう
【0140】
<5-1. 各住宅への水素の配送量の算出>
定期便が住宅10及びグループ9に2回目以降の配送を行う場合に、プログラム45aは、以下のように、住宅10及びグループ9への水素の配送量を定期的に算出する処理をコンピューター41に実行させる。
【0141】
コンピューター41は、住宅10への水素の配送量の履歴を表した第1履歴情報61を参照して、最新の水素の配送量を読み取る。最新の水素の配送量とは、前回の定期便で住宅10へ配送された水素の配送量のことをいう。
【0142】
次に、コンピューター41は、水素の使用量の時系列データ59を参照して、前回の配送時から最新の時刻(この時刻は、現在の時刻であるとともに今回の配送時である。)までの水素の使用量(以下、期間使用量という。)を算出する。なお、期間使用量には、定期便で配送された水素の使用分のほか、臨時便で配送された水素の使用分も含まれることもある。更に、他の住宅10のカートリッジストッカー19又は共用ロッカー100から持ち帰ったカートリッジ20から供給された水素の使用量も期間使用量に含まれることもある。
【0143】
次に、コンピューター41は、期間使用量に基づいて、今回配送時の水素の配送量を決定する。例えば、コンピューター41が、期間使用量と前回配送時の水素の配送量とを比較し、比較の結果、期間使用量が前回配送時の水素の配送量に等しい場合には、コンピューター41が、期間使用量を、今回配送時の水素の配送量と決定する。例えば、比較の結果、期間使用量が前回配送時の水素の配送量よりも多ければ、コンピューター41が、期間使用量を、今回配送時の水素の配送量と決定する。比較の結果、期間使用量が前回配送時の水素の配送量よりも少なければ、コンピューター41が、前回配送時の水素の配送量から期間使用量を減算することによってその差を変動量として算出し、期間使用量から変動量を減算することによってその差を今回配送時の水素の配送量と決定する。
【0144】
コンピューター41は、期間使用量のほか、スケジュール情報60を参照して、今回配送時の水素の配送量を決定してもよい。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも増えるイベントの発生日があれば、コンピューター41が、期間使用量に所定値を加算することによって今回配送時の水素の配送量を割増する。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも減るイベントの発生日があれば、コンピューター41が、期間使用量に所定値を減算することによって今回配送時の水素の配送量を割引する。
【0145】
コンピューター41は、期間使用量のほか、天気予報データ61を参照して、今回配送時の水素の配送量を決定してもよい。例えば、天気予報データ81において、雨天、降雪、高温、低温、高湿、高日射量又は低日射量が続く場合、コンピューター41が、期間使用量に所定値を加算することによって今回配送時の水素の配送量を割増する。天気予報データ81において、快適な大気状態、温度、湿度又は日射量が続く場合、コンピューター41が、期間使用量に所定値を減算することによって今回配送時の水素の配送量を割引する。
【0146】
コンピューター41は、期間使用量のほか、季節を考慮して今回配送時の水素の配送量を決定してもよい。例えば、夏又は冬、コンピューター41が、算出した水素の使用量に所定値を加算することによって今回配送時の水素の配送量を割増する。
【0147】
なお、コンピューター41は、AI(Artificial Intelligence)機能により住宅10ごとの配送量を算出してもよい。つまり、コンピューター41は、水素の使用量の時系列データ59を学習済みモデルに入力して、今回配送時の水素の配送量を学習済みモデルから出力してもよい。学習済みモデルは、水素の使用量の様々な時系列データと、これら時系列データにそれぞれ対応付けられた配送量とを対応付けた教師データによって学習されたニューラルネットワークである。学習済みモデルは、プログラム45aのサブルーチンとして、メモリデバイス45に記憶されている。
【0148】
次に、コンピューター41は、決定した水素の配送量を今回の配送時刻に対応付けて、その配送量と配送時刻を第1履歴情報61に追加して、第1履歴情報61を更新する。
【0149】
次に、コンピューター41は、前回配送時の水素の配送量から期間使用量を減算し、その差を変動量として算出する。
次に、コンピューター41は、算出した変動量を今回の配送時刻に対応付けて、その変動量と配送時刻を第2履歴情報62に追加して、第2履歴情報62を更新する。
【0150】
コンピューター41は、グループ9に属する住宅10ごとに上述のような一連の処理を行う。その後、コンピューター41は、そのグループ9に対して、以下のような一連の処理を行う。
【0151】
まず、コンピューター41は、グループ9への水素の配送量の履歴を表した第3履歴情報63を参照して、最新の水素の配送量を読み取る。最新の水素の配送量とは、前回の定期便でグループ9へ配送された水素の配送量のことをいう。
次に、コンピューター41は、グループ9に属する全ての住宅10について算出した水素の配送量を累計する。
次に、コンピューター41は、累計した水素の配送量を今回の配送時刻に対応付けて、その配送量と配送時刻を第3履歴情報63に追加して、第3履歴情報63を更新する。
次に、コンピューター41は、グループ9に属する全ての住宅10について算出した期間使用量を累計する。
次に、コンピューター41は、第3履歴情報63における前回の配送量の累計から、期間使用量の累計を減算し、グループ9における変動量を算出する。
次に、コンピューター41は、算出した変動量を今回の配送時刻に対応付けて、その変動量と配送時刻を第4履歴情報64に追加して、第4履歴情報64を更新する。
【0152】
次に、コンピューター41は、累計した水素の配送量に基づいて、配送にしようする輸送機3の大きさを決定する。例えば、累計した水素の配送量が第1閾値以上であれば、コンピューター41が輸送機3の大きさを大型と決定し、累計した水素の配送量が第2閾値を超えて第1閾値未満であれば、コンピューター41が輸送機3の大きさを中型と決定し、累計した水素の配送量が第2閾値以下であれば、コンピューター41が輸送機3の大きさを小型と決定する。ここで、第2閾値は第1閾値よりも小さい。
【0153】
次に、コンピューター41は、住宅10ごとの決定済み配送量を表示デバイス44に表示させる。更に、コンピューター41は、住宅10ごとの決定済み配送量と一緒にグループ9の累計配送量を表示デバイス44に表示させる。更に、コンピューター41は、グループ9の累計配送量と一緒に輸送機3の決定済み大きさを表示デバイス44に表示させる。コンピューター41が印刷装置に接続され、コンピューター41が、住宅10ごとの決定済み配送量と、グループ9の累計配送量と、輸送機3の決定済み大きさとの印刷を印刷装置に実行させてもよい。運営者が表示デバイス44又は印刷物を見て、グループ9の累計配送量に応じた数のカートリッジ20を準備し、決定済み大きさの輸送機3を準備し、それらカートリッジ20をその輸送機3に荷積みして、その輸送機3を定期便として運行する。
【0154】
<5-2. 共用ロッカーの解錠許可>
上述のように、ユーザーが許可の要求を個別管理装置18に入力して、個別管理装置18が許可の要求を全体管理装置40に送信すると、コンピューター41が許可の要求を受信する。ユーザーが許可の要求に加えて、水素量若しくは居住人数又はこれら両方を個別管理装置18に入力して、個別管理装置18が水素量若しくは居住人数又はこれら両方を全体管理装置40に送信すると、コンピューター41が水素量若しくは居住人数又はこれら両方を受信する。
【0155】
次に、コンピューター41は、送信元の個別管理装置18に割り当てられた住宅IDを認識し、その住宅IDを許可する。
【0156】
次に、コンピューター41は、パスワードを生成する。コンピューター41がそのパスワードを個別管理装置18に送信すると、個別管理装置18がそのパスワードを受信するとともに表示装置に表示する。これにより、ユーザーがパスワードを知る。
【0157】
次に、コンピューター41は水素の提供量を決定する。例えば、コンピューター41は、受信した水素量を水素の提供量に決定してもよい。コンピューター41は、受信した住居人数から水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、水素の配送量の時系列データである第1履歴情報61のうち、最新の配送量に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値の第4時系列データ54に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、住宅10の水素の全残量の第6時系列データ56のうち、最新の全残量に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、満杯のカートリッジ20の数の第7時系列データ57のうち、最新の数に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、空のカートリッジ20の数の第8時系列データ58のうち、最新の数に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、住宅10の水素の使用量の第9時系列データ59に基づいて水素の提供量を算出して決定してもよい。以上に挙げた幾つかの算出要素が組み合わせられて、水素の提供量が算出されてもよい。
【0158】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、スケジュール情報60を参照して、水素の提供量を決定してもよい。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも増えるイベントの発生日があれば、コンピューター41が水素の提供量を割増する。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも減るイベントの発生日があれば、コンピューター41が水素の提供量を割引する。
【0159】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、天気予報データ81を参照して、水素の提供量を決定してもよい。例えば、天気予報データ81において、雨天、降雪、高温、低温、高湿、高日射量又は低日射量が続く場合、コンピューター41が水素の提供量を割増する。天気予報データ81において、快適な大気状態、温度、湿度又は日射量が続く場合、コンピューター41が水素の提供量を割引する。
【0160】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、水素の提供量を決定してもよい。例えば、夏又は冬、コンピューター41が水素の提供量を割増する。
【0161】
次に、コンピューター41は、リストデータ45bを参照して、複数のボックス101に割り当てられた複数のボックスIDの中から一又は複数を、決定した水素の提供量に基づいて決定する。決定済みボックスIDがリストデータ45bにおいて対応付けられた水素の収容量の総和は、決定した水素の提供量に等しい。
【0162】
次に、コンピューター41は、許可した住宅IDと、生成したパスワードと、決定したボックスIDとを互いに対応付けて、共用ロッカー100に送信する。そうすると、共用ロッカー100の制御部105が、住宅ID、パスワード及びボックスIDを受信して、それらを互いに対応付けて許可リストデータに追加する。
【0163】
その後、ユーザーがストック施設8に訪問して、ユーザーがICチップ付き物品のICチップを共用ロッカー100のリーダー106に近づけたり、タッチパネル104により正しいパスワードを入力したりしたら、上述のように共用ロッカー100の制御部105がユーザーを認証するため、制御部105が決定済みボックスIDに割り当てられたボックス101の扉102を解錠する。扉102が解錠されたら、ユーザーがその扉102のボックス101からカートリッジを取り出し、扉102を閉じて施錠し、カートリッジを自身の住宅10に持ち帰る。
【0164】
<5-2-1. 突発的事象の発生時の許可>
突発的事象の発生時のみに共用ロッカー100からカートリッジ20を取り出せるようにする処理について説明する。
【0165】
コンピューター41が突発的事象の発生を認識する。例えば、運営者が入力デバイス43を操作することによって突発的事象の発生の旨をコンピューター41に入力すると、コンピューター41が突発的事象の発生を認識する。又は、政府、自治体および通信事業者などのような情報提供者が緊急地震速報、気象の警戒注意報、災害警報および全国瞬時警報システムなどのような緊急速報を通信ネットワーク90に発信するところ、コンピューター41が緊急速報の有無を常時監視しており、コンピューター41が緊急速報の受信により突発的事象の発生を認識する。
【0166】
コンピューター41が突発的事象の発生を認識したら、コンピューター41が許可の旨の情報を共用ロッカー100に送信する。そうすると、共用ロッカー100の制御部105が許可の旨を受信する。これにより、制御部105は、全てのボックス101の扉102を解錠するか、リーダー106及びタッチパネル104からの信号を無視することなく、上述のようなパスワード又は住宅IDの照合処理を行ってユーザーを認証する。
【0167】
<5-3. 突発的事象の発生時の他人のカートリッジストッカーの解錠許可>
上述のように、突発的事象の発生時にユーザーが他のユーザーの住宅10のカートリッジストッカー19からカートリッジ20を取り出せることについて説明したが、それを実現するためのコンピューター41の処理について説明する。
【0168】
コンピューター41が上述のように突発的事象の発生を認識したら、コンピューター41が個別管理装置18ごとに(つまり、住宅IDごとに)一意の正当なパスワードを生成し、各個別管理装置18に正当なパスワードを配信する。そうすると、各個別管理装置18が正当なパスワードを受信して記憶する。また、コンピューター41は、住宅IDごとに正当なパスワードを対応付ける。
【0169】
一方、突発的事象の発生後に、ユーザーが許可の要求を個別管理装置18に入力して、個別管理装置18が許可の要求を全体管理装置40に送信すると、コンピューター41が許可の要求を受信する。ユーザーが許可の要求に加えて、水素量若しくは居住人数又はこれら両方を個別管理装置18に入力して、個別管理装置18が水素量若しくは居住人数又はこれら両方を全体管理装置40に送信すると、コンピューター41が水素量若しくは居住人数又はこれら両方を受信する。
【0170】
次に、コンピューター41は水素の提供量を決定する。例えば、コンピューター41は、受信した水素量を水素の提供量に決定してもよい。コンピューター41は、受信した住居人数から水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、水素の配送量の時系列データである第1履歴情報61のうち、最新の配送量に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電電力量の計測値の第4時系列データ54に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、住宅10の水素の全残量の第6時系列データ56のうち、最新の全残量に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、満杯のカートリッジ20の数の第7時系列データ57のうち、最新の数に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、空のカートリッジ20の数の第8時系列データ58のうち、最新の数に基づいて水素の提供量を算出してもよい。コンピューター41は、住宅10の水素の使用量の第9時系列データ59に基づいて水素の提供量を算出して決定してもよい。以上に挙げた幾つかの算出要素が組み合わせられて、水素の提供量が算出されてもよい。
【0171】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、スケジュール情報60を参照して、水素の提供量を決定してもよい。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも増えるイベントの発生日があれば、コンピューター41が水素の提供量を割増する。例えば、スケジュール情報60の中に、住宅10における電力消費量が通常よりも減るイベントの発生日があれば、コンピューター41が水素の提供量を割引する。
【0172】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、天気予報データ81を参照して、水素の提供量を決定してもよい。例えば、天気予報データ81において、雨天、降雪、高温、低温、高湿、高日射量又は低日射量が続く場合、コンピューター41が水素の提供量を割増する。天気予報データ81において、快適な大気状態、温度、湿度又は日射量が続く場合、コンピューター41が水素の提供量を割引する。
【0173】
コンピューター41は、以上に挙げた算出要素のほか、水素の提供量を決定してもよい。例えば、夏又は冬、コンピューター41が水素の提供量を割増する。
【0174】
その後、コンピューター41は、各住宅10の水素の全残量の第6時系列データ56のうち最新の全残量と、決定した提供量とに基づいて、何れかの住宅10の住宅IDを決定する。
【0175】
次に、コンピューター41は、リストデータ45cを参照して、決定した住宅IDに対応付けられた所在地情報を読み取る。また、コンピューター41は、決定した住宅IDに対応付けられた正当なパスワード(以下、第1パスワードという。)を認識して決定する。
【0176】
次に、コンピューター41は、決定した住宅IDに対応付けられた所在地情報と、決定した住宅IDに対応付けられた第1パスワードと同一の緊急パスワードとを、許可の要求の送信元の個別管理装置18に送信する。そうすると、個別管理装置18は、緊急パスワードと所在地を表示する。その個別管理装置18のユーザーが所在地及び緊急パスワードを知って、その所在地の住宅10に訪問して、その住宅10のカートリッジストッカー19の文字入力キーを操作して、正当なパスワードと同じ緊急パスワードを入力すれば、扉19bが解錠される。そのため、そのユーザーは上段ボックス19aからカートリッジ20を取り出して、自身の住宅に持ち帰ることができる。
【0177】
<6. 有利な効果>
全体管理装置40のコンピューター41が、住宅10ごとに、個別管理装置18から送信された水素の使用量の時系列データ59を蓄積する蓄積処理と、時系列データ59を参照して、前回の配送時から今回配送時までの期間使用量を算出する算出処理と、期間使用量に基づいて水素の配送量を決定する決定処理と、を実行する。よって、各住宅10に配送される水素の量が適切になり、各住宅10の水素の在庫が過多・過少にならない。
【0178】
コンピューター41が蓄積処理、算出処理及び決定処理を定期的に実行するところ、コンピューター41が1つ前の決定処理により決定された配送量と期間使用量を比較し、比較処理の結果、期間使用量が前回の決定処理により決定された配送量以上であれば、コンピューター41が期間使用量を水素の配送量と決定し、比較処理の結果、期間使用量が前回の決定処理により決定された配送量未満であれば、コンピューター41が前回の決定処理により決定された配送量から期間使用量を減算することによってその差を変動量として算出し、期間使用量から変動量を減算することによってその差を水素の配送量として決定する。これによれば、各住宅10に配送される水素の量が各住宅10における在庫を考慮して適切になり、各住宅10の水素の在庫が過多・過少にならない。配送回数が増えるにつれて、変動量がゼロに収束していき、各住宅10の水素の在庫が過多・過少にならない。
【0179】
コンピューター41が、決定処理において、ユーザーのスケジュール情報60を参照して、各住宅10の期間使用量に基づいて各住宅10の水素の配送量を決定する。よって、ユーザーのスケジュール情報60がユーザーの住宅10から水素の使用量に影響を及ぼすことから、決定された水素の配送量が適切になり、住宅10の水素の在庫が過多・過少にならない。
【0180】
コンピューター41が、決定処理において、天気予報データ81を参照して、各住宅10の期間使用量に基づいて各住宅10の水素の配送量を決定する。よって、天気予報データ81が住宅10の水素の使用量に影響を及ぼすことから、決定された水素の配送量が適切になり、住宅10の水素の在庫が過多・過少にならない。
【0181】
コンピューター41が、住宅10ごとの配送量を累計するとともにその累計をグループ9への配送量として決定する第2決定処理を実行する。これにより、配送に利用する輸送機3に積載する水素の量を適切にできる。
【0182】
ユーザーが自身の個別管理装置18から許可の要求をしたら、コンピューター41が水素の提供量に基づいて共用ロッカー100の複数のボックス101のボックスIDの中から一又は複数を決定し、決定済みボックスIDを共用ロッカー100の制御部105に送信する送信処理を実行する。その後、ユーザーが共用ロッカー100に向かって、制御部105がパスワード又はICチップによりユーザーを認証したら、決定済みボックスIDに対応付けられたボックス101の扉102を解錠する。このようにボックスIDが複数を水素の提供量に基づいて決定され、決定済みボックスIDに対応付けられたボックス101の扉102が解錠されるため、共用ロッカー100に水素を取りに来たユーザーに対して適切な量の水素が提供される。
【0183】
ユーザーが自身の個別管理装置18から許可の要求をしたら、コンピューター41が決定済みボックスIDに加えてパスワードを個別管理装置18及び制御部105に送信する。個別管理装置18がパスワードを表示することによって、ユーザーがそのパスワードを知ることができる。制御部105がパスワードと同一のパスワードの入力によりユーザーを認証すると、制御部105は決定済みボックスIDに対応付けられたボックス101の扉102が解錠される。そのボックス101に収容された水素がそのユーザーにだけに提供される。
【0184】
ユーザーが自身の個別管理装置18から許可の要求をしたら、コンピューター41が決定済みボックスIDに加えてそのユーザーの住宅IDを制御部105に送信する。共用ロッカー100の場所に向かったユーザーがICチップ付き物品を共用ロッカー100のリーダー106に近接させると、制御部105が、リーダー106によって読み取られた住宅IDと、受信した住宅IDとを照合して、ユーザーを認証する。そうすると、制御部105は決定済みボックスIDに対応付けられたボックス101の扉102が解錠される。そのボックス101に収容された水素がそのユーザーにだけに提供される。
【0185】
コンピューター41が突発的事象の発生を認識したら、許可の旨を制御部105に送信する。ここで、制御部105が許可の旨を受けなければ、制御部105がユーザーの認証のための照合処理を行わず、制御部105が許可の旨を受ければ、制御部105が前記ユーザーの認証のための照合処理を行う。よって、突発的事象の発生時のみ、共用ロッカー100に水素を取りに来たユーザーに対して適切な量の水素が提供される。
【0186】
コンピューター41が突発的事象を認識したら、コンピューター41が、複数の個別管理装置18ごとに一意の複数のパスワードを複数の個別管理装置18にそれぞれ配信する。そして、ユーザーが自身の個別管理装置18から全体管理装置40に要求したら、コンピューター41が前記複数のパスワードの中から1つの第1パスワードを水素の提供量に基づいて決定し、第1パスワードと同一の緊急パスワードと第1パスワードの配信先の個別管理装置18の所在地とをその個別管理装置18に送信し、その個別管理装置18が緊急パスワード及び所在地を表示する。そうすると、ユーザーがその所在地に向かって緊急パスワードをカートリッジストッカー19の文字入力キーにより緊急パスワードを入力すれば、そのカートリッジストッカー19の扉19bが解錠される。そのため、そのユーザーは上段ボックス19aからカートリッジ20を取り出して、自身の住宅に持ち帰ることができる。
【0187】
輸送機3が各住宅10の貯水槽24に貯まった水とともに貯水槽24を回収するため、各住宅10の燃料電池式発電装置23によって生成された水が有効利用される。
【0188】
輸送機3が水素で満たされた複数の満杯カートリッジ20を各住宅10に配送しながら、各住宅10から貯水槽24を回収するため、輸送機3の運行コストを低減できる。
【0189】
満杯カートリッジ20の輸送に際して、満杯カートリッジ20が立てられた状態で格子状に配列されるよう輸送機3に積載され、貯水槽24が満杯カートリッジ20によって囲われた隙間に配置されるため、満杯カートリッジ20及び貯水槽24を有効的に輸送機3に積載することができる。
【0190】
プラント1が水素活用・水活用シティに設立され、水素製造設備1a、水素貯蔵設備1b及び水素充填設備(1c)がプラント1に設置されているため、そのシティにおいて水素が賄える。
【0191】
添加設備1dがプラント1に設置されているため、貯水槽24の中の水を飲用に用いやすい。
【0192】
太陽光発電パネル14が各住宅10の屋根に設置され、水素製造装置が各住宅10に設置され、その水素製造装置が太陽光発電パネル14によって生成された電力を用いて貯水槽24の水を電気分解することによって水素を生成し、その水素が燃料電池式発電装置23に供給されるため、住宅10において自然エネルギーを用いて、水及び水素が循環的に利用される。
【符号の説明】
【0193】
1 プラント
1a 水素製造設備
1b 水素貯蔵設備
1c 水素充填設備
1c 添加設備
3 輸送機
9 グループ
10 住宅
18 個別管理装置
19 カートリッジストッカー
19a 上段ボックス
19b 扉
40 全体管理装置
41 コンピューター
20 カートリッジ
23 燃料電池式発電装置
24 貯水槽
50 ストレージ装置
51~59 時系列データ
60 スケジュール情報
61~64 履歴情報
80 気象情報用ストレージ装置
81 天気予報データ
100 共用ロッカー
101 ボックス
102 扉
105 制御部
106 リーダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、建造されて地域に分布された複数の住宅(10)と、輸送機(3)とを備える水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅(10)のそれぞれが、
前記住宅(10)に着脱可能に設けられる貯水槽(24)と、
前記住宅(10)に着脱可能に設けられ、水素が収められたカートリッジ(20)と、
前記カートリッジ(20)から水素の供給を受けて、供給された水素と酸素から電力と水を生成し、その水を前記貯水槽(24)に排出する燃料電池式発電装置(23)と、
を有し、
前記輸送機(3)が、水素で満たされた複数の満杯カートリッジ(20)を前記複数の住宅(10)に配送しながら、前記貯水槽(24)に貯まった水とともに前記貯水槽(24)を回収し、
前記水素活用・水活用システムが、
前記地域に設置され、水素を製造する水素製造設備(1a)
を更に備え、
前記水素製造設備(1a)が、
前記輸送機(3)によって回収された前記貯水槽(24)から水の供給を受けて、その水を電気分解することによって水素を生成する電気分解装置
を有し、
前記水素活用・水活用システムが、
前記地域に設置され、前記水素製造設備(1a)の前記電気分解装置によって製造された水素を貯蔵する水素貯蔵設備(1b)と、
前記地域に設置され、前記水素貯蔵設備(1b)に貯蔵された水素を充填することにより前記満杯カートリッジ(20)を作る水素充填設備(1c)と、を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
以上のような請求項1に係る発明によれば、各住宅(10)の燃料電池式発電装置(23)によって生成された水が有効利用される。輸送機(3)の運行コストを低減できる。水素活用・水活用システムにおいて水素が賄える。水及び水素が循環的に利用される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記水素貯蔵設備(1a)、前記水素貯蔵設備(1b)及び前記水素充填設備(1c)が、前記地域に設立されたプラント(1)に設置されている
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項3に係る発明によれば、請求項2に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラント内の太陽光発電設備を更に備え、
前記電気分解装置が、前記太陽光発電設備から供給された電力を利用して水を電気分解する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項4に係る発明によれば、請求項2又は3に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラント(1)において前記水素充填設備(1c)によって作られた前記満杯カートリッジ(20)が前記プラント(1)の隣りの配送センター(2)に送られて、前記輸送機(3)が前記満杯カートリッジ(20)を前記配送センター(2)から前記複数の住宅(10)に配送する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項5に係る発明によれば、請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記輸送機(3)が、前記満杯カートリッジ(20)を前記住宅(10)に配送しながら、前記貯水槽(24)に貯まった水とともに前記貯水槽(24)を前記住宅から回収するとともに空のカートリッジ(20)も回収する
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項6に係る発明によれば、請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記満杯カートリッジが円柱状に成しており、前記満杯カートリッジが立てられた状態で格子状に配列されるよう前記輸送機に積載され、前記貯水槽が前記満杯カートリッジによって囲われた隙間に配置されるよう前記輸送機に積載される
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
以上のような請求項6に係る発明によれば、満杯カートリッジ(20)及び貯水槽(24)を有効的に輸送機(3)に積載することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項7に係る発明によれば、請求項2又は3に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラント(1)に設置され、前記輸送機(3)によって回収された前記貯水槽(24)の中の水にミネラル若しくは次亜塩素酸カルシウム又はこれら両方を添加する添加設備(1d)を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システムが提供される。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
以上のような請求項7に係る発明によれば、前記貯水槽(24)の中の水を飲用に用いやすい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造されて地域に分布された複数の住宅と、輸送機とを備える水素活用・水活用システムであって、
前記複数の住宅のそれぞれが、
前記住宅に着脱可能に設けられる貯水槽と、
前記住宅に着脱可能に設けられ、水素が収められたカートリッジと、
前記カートリッジから水素の供給を受けて、供給された水素と酸素から電力と水を生成し、その水を前記貯水槽に排出する燃料電池式発電装置と、
を有し、
前記輸送機が、水素で満たされた複数の満杯カートリッジを前記複数の住宅に配送しながら、前記貯水槽に貯まった水とともに前記貯水槽を回収し、
前記水素活用・水活用システムが、
前記地域に設置され、水素を製造する水素製造設備
を更に備え、
前記水素製造設備が、
前記輸送機によって回収された前記貯水槽から水の供給を受けて、その水を電気分解することによって水素を生成する電気分解装置
を有し、
前記水素活用・水活用システムが、
前記地域に設置され、前記水素製造設備の前記電気分解装置によって製造された水素を貯蔵する水素貯蔵設備と、
前記地域に設置され、前記水素貯蔵設備に貯蔵された水素を充填することにより前記満杯カートリッジを作る水素充填設備と、を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記水素貯蔵設備、前記水素貯蔵設備及び前記水素充填設備が、前記地域に設立されたプラントに設置されている
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラント内の太陽光発電設備を更に備え、
前記電気分解装置が、前記太陽光発電設備から供給された電力を利用して水を電気分解する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラントにおいて前記水素充填設備によって作られた前記満杯カートリッジが前記プラントの隣りの配送センターに送られて、前記輸送機が前記満杯カートリッジを前記配送センターから前記複数の住宅に配送する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記輸送機が、前記満杯カートリッジを前記住宅に配送しながら、前記貯水槽に貯まった水とともに前記貯水槽を前記住宅から回収するとともに空のカートリッジも回収する
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記満杯カートリッジが円柱状に成しており、前記満杯カートリッジが立てられた状態で格子状に配列されるよう前記輸送機に積載され、前記貯水槽が前記満杯カートリッジによって囲われた隙間に配置されるよう前記輸送機に積載される
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の水素活用・水活用システムであって、
前記プラントに設置され、前記輸送機によって回収された前記貯水槽の中の水にミネラル若しくは次亜塩素酸カルシウム又はこれら両方を添加する添加設備を更に備える
ことを特徴とする水素活用・水活用システム。